JP2597737Y2 - 電池の安全機構 - Google Patents

電池の安全機構

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JP2597737Y2
JP2597737Y2 JP8742192U JP8742192U JP2597737Y2 JP 2597737 Y2 JP2597737 Y2 JP 2597737Y2 JP 8742192 U JP8742192 U JP 8742192U JP 8742192 U JP8742192 U JP 8742192U JP 2597737 Y2 JP2597737 Y2 JP 2597737Y2
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克夫 山田
吉郎 原田
浩平 山本
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富士電気化学株式会社
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、例えば筒形および角
形アルカリ電池,ニッケル−カドミウム電池,リチウム
一次または二次電池などにおいて、発熱を伴う短絡等に
対して内部回路を確実に遮断するための電池の安全機構
に関する。
【0002】
【従来の技術】筒形および角型アルカリ電池,ニッケル
−カドミウム電池,リチウム一次または二次電池などの
ような高エネルギー密度の電池では、内部短絡や外部電
源などによる強制的な過大電流放電などにより急激に温
度が上昇すると、電池内にガスが発生し内圧が著しく高
くなり、ついには破裂および発火などの事故に至ること
がある。
【0003】また、特にニッケル−カドミウム電池やリ
チウム二次電池などの充電を行う電池では、過大電圧に
より過充電がなされた場合には同じく発熱を伴う内圧上
昇が生じ、同じく破裂,発火などの惧れがあり、安全上
重大な問題となっている。
【0004】以上の問題を解決するために、この種の電
池では従来次の安全機構が採用されていた。封口部分
に薄肉部を形成しておき、内圧上昇が生じたときにこの
部分が局部破壊してガスを外部に逃がす防爆機構。封
口部分に切刃を対向させ、内圧上昇が生じたときに封口
部分の膨脹により切刃が封口部分を突き破りガスを外部
に逃がす防爆機構。電流制限要素としてPTC素子を
用いた電流遮断機構。前記とまたはとの組合せ
機構。
【0005】これらの安全機構のうち、前記PTC素子
を用いたまたはの安全機構を有する電池では、温度
が上昇することによりPTC素子の抵抗値が指数関数的
に増加し、温度が下がるとPTC素子の抵抗値が可逆的
に減少するため、抵抗値増加により電池の内部電流が遮
断され、それによって温度が低下すると、再び導通状態
となる。このため、PTC素子を用いたものは封口破壊
以前にPTC素子が電流を遮断して温度上昇および内圧
上昇が抑制されれば、封口の破壊を伴わず、電池を再使
用できる利点がある。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このP
TC素子を用いた電流遮断機構にあっては、一般にトリ
ップ現象と称されるショートモードになった場合には、
PTC素子自体が発熱し、なおかつ電流も流れ続けて、
安全機構としての機能を失う場合もあるため、電流遮断
機構としては完全なものではなかった。
【0007】この考案は以上の問題を解決するものであ
って、その目的は、前記PTC素子による電流遮断機構
に代えて、温度上昇が生じたときには電池の内部回路を
物理的に確実に遮断し、それによって温度が低下したと
きには回路を確実に復旧できる遮断機構を備えることに
より、さらに安全性を高めた電池を提供するものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
にこの考案は、電池内部に収装された発電要素から導出
された電流取出しリード部側と前記電池に設けられた外
部接続用端子部との間に可撓性を有する細長な導電性
部材を介設し、該導電性部材の一方の基端部を前記電流
取出しリード部側部材または前記外部接続用端子部側部
材の一方に電気的に常時接続し、該導電性部材の他方の
自由端部を前記電流取出しリード部側部材または前記外
部接続用端子部側部材の他方に常時付勢されて接触する
接点部とするとともに、該電池内部に該電池内部の温度
に依存して変形し、変形時に前記導電性部材を前記付勢
方向と逆方向に押圧する短小なバイメタル部材を前記導
電性部材の前記基端部に近接して設け、該バイメタル部
材が変形して該導電性部材の該基端部の近傍を押圧した
ときに該導電性部材の該接点部が該バイメタル部材の変
位量に比較して大きく変位してそれまでの接触が解除さ
れるようにしてなることを特徴とするのである。
【0009】さらに、この考案に係る前記電池の安全機
構には、前記電池の内部圧力が上昇したときに、該電池
外方へ向けて膨出,破断して、前記電池の内部と外部と
を連通させる封口板を備えた防爆機構を併せて設けても
よい。
【0010】
【作用】以上の構成によれば、電池内部の発熱により内
部温度が上昇してバイメタル部材が僅かに変形すると、
電性部材の接点部が電流取出しリード部側部材または
外部接続用端子部側部材から比較的大きく離隔し内部回
路を遮断する。このように内部回路が遮断されて温度が
低下したときに導電性部材の接点部が再び電流取出しリ
ード部側部材または外部接続用端子部側部材に接触する
ので、電池の内部回路の遮断,接続復旧動作を確実に行
うことができる。
【0011】さらに、電池の内圧上昇を抑制する防爆機
構と組合せれば、電流遮断による温度上昇抑制ととも
に、確実に電池の内圧を逃がして電池の破裂を防止する
ことができる。
【0012】
【実施例】以下、この考案の実施例につき添付図面を参
照して詳細に説明する。
【0013】図1乃至図3はこの考案を筒形リチウム一
次電池に適用した場合の実施例を示す。この電池は、有
底円筒形の電池ケース1と、ケース1の内部に収装され
た発電要素2と、ケース1の上部開口に封口ガスケット
3を介して気密にカシメ付け固定された端子部4とを備
えている。発電要素2は図示省略するが、正極に二酸化
マンガンを主剤とする合剤を、負極に金属リチウムを用
いこれをセパレータを介してスパイラル状に巻回し、さ
らに非水電解液を注液したものである。この発電要素2
から引き出される図示しない一方のリード板は電池ケー
ス1側にスポット溶接などにより接続され、他方のリー
ド板5は、以下の構造により端子部4に接続されてい
る。
【0014】すなわち、端子部4は、内部に防爆機構お
よび電流遮断機構を組込んだ多層組立体であって、その
下部から順に前記発電要素2から導出される前記リード
板5の上端がスポット溶接により接続された第一の押さ
え板6,第二の押さえ板7と、第二の押さえ板7上に配
置された円盤8と、円盤8上に絶縁板9を介して配置さ
れたリング10と、リング10上に配置された外部接続
用の端子板本体11とを備えている。
【0015】第一の押さえ板6および第二の押さえ板7
は偏平リングであり、両者の中央には防爆機構を構成す
る封口板12の周縁が挾持固定され、この封口板12に
よって電池内は外部と気密に区画されている。この封口
板12はプラスチックフィルムと金属薄板とを積層した
延性に富む材料で、所定の圧力により膨脹し、破断する
機能をもっている。
【0016】円盤8の中央には円筒状をなす固定接点部
8aが立上げ形成されている。一方前記リング10の内
周には細長い導電性部材14が配設され、この導電性部
材14の基端側は半径方向に延長する直線部となって前
記リング10の内周に固着され、またこの導電性部材1
4はその基端側から半円弧状に湾曲して前記円筒状固定
接点部8aに沿って延出し、その自由端部には可動接点
部14aが設けられている。この導電性部材14はその
自身の弾性により可動接点部14aが常時固定接点8a
に圧接するように付勢されている。この導電性部材14
の直線状基端部と平行に短小なバイメタル部材15が配
設され、このバイメタル部材15の基端部はリング10
の内周に固着されている。そして、導電性部材14の基
端部でバイメタル部材15と対向する面には突起14b
が取り付けられ、この突起14bはバイメタル部材15
の自由端部と常時接触している。
【0017】前記端子板本体11は、その中央に外部と
接触すべく形成された凸状部を備えた皿状の部材で、そ
の凸状部中央にはガス抜き穴11aおよびこれの打抜き
による切刃11bが下部側(電池内部側)に向けて突設
され、前記封口板12に対向している。
【0018】前記第一の押さえ板6,第二の押さえ板
7,および円盤8は互いに導通し、かつ前記リード板5
に接続されている。これに対し、リング10および端子
板本体11は互いに導通しているが、絶縁板9によって
電池内部側とは絶縁されており、前記導電性部材14を
介してリード板5側に接続されている。
【0019】以上の構成における電流遮断作用は次の通
りである。まず通常温度では図3(a)に示すように
電性部材14の可動接点部14aは円盤8側の固定接点
部8aに向けて付勢されており、可動接点部14aと固
定接点部8aとは電気的に導通し、この結果リード板5
は端子板本体11側に導通し、外部回路と接続可能とな
っている。
【0020】この状態から、内部短絡等の何らかの異常
により電池内部温度が所定の温度まで上昇すると、図3
(b)に示すようにバイメタル部材15はリング10と
の固着部を中心として導電性部材14の付勢方向と逆方
向に傾斜し、導電性部材14の基部に設けた突起14b
を介して導電性部材14を付勢方向と逆方向に押圧し、
導電性部材14の自由端に設けた可動接点部14aを円
筒状固定接点部8aから離間して、リード板5と端子板
本体11と間の導通を物理的に遮断し、電池内部の温
度上昇を抑制する。そして、この回路遮断の結果内部温
度が下がると、再びバイメタル部材15は直線状に戻
り、導電性部材14はその弾性により図3(a)の状態
に戻り、導電性部材14の可動接点部14aが円筒状固
定接点部8aに当接し、再び電池の内部回路を構成す
る。
【0021】尚、前記実施例では導電性部材14を絶縁
板9に対して外部接続用端子部側のリング10に取り付
けているが、これとは逆に絶縁板9に対してリード板5
側の部材に設けることができる。
【0022】次にこの電池の防爆作用について説明す
る。まず電池の内圧が正常であれば、図(a)に示す
ように封口板12は平坦に保持されている。しかし、何
らかの異常により電池内部でガスが発生して内圧が高ま
り、これが所定圧力以上になると、図(b)に示すよ
うに封口板12は電池の外方へ向けて膨出し、これと対
向する切刃11bに接触して破断される。内部のガス
は、この破孔から図中矢印のごとくガス抜き穴11aを
通じて外部に放出され、電池自体の破裂は防止される。
【0023】図,図(a)および(b)は、上記実
施例と異なる防爆機構を備えた電池を示すものである。
この電池にあっては、バイメタル部材14による電流遮
断作用は前記実施例と同様であるが、防爆機構に関して
は、端子板本体11側にガス抜き穴11aが開口されて
いるのみで、切刃は設けられていない。
【0024】この電池の防爆作用について述べると、正
常時には図(a)に示すように、封口板12は平坦に
保持されているが、何らかの異常により内圧が高まる
と、図(b)に示すように、封口板12は電池外方へ
向けて膨出し、内圧が所定圧力以上になると自己破断
し、内部のガスはこの破孔から矢印のごとくガス抜き穴
11aを通じて外部に放出され電池自体の破裂を防止す
る。
【0025】なお、前記各実施例ではこの考案をリチウ
ム一次電池に適用した場合について示したが、この考案
は、その他の電池、例えば筒形および角形アルカリ電
池,ニッケル−カドミウム電池,リチウム二次電池など
に適用できることは勿論である。
【0026】
【考案の効果】以上各実施例によって詳細に説明したよ
うに、この考案による電池の安全機構によれば、電池内
部の発熱により内部温度が上昇してバイメタル部材が僅
かに変形すると、導電性部材の接点部が電流取出しリー
ド部側部材または外部接続用端子部側部材から比較的大
きく離隔し内部回路を遮断する。このように内部回路が
遮断されて温度が低下したときに導電性部材の接点部が
再び電流取出しリード部側部材または外部接続用端子部
側部材に接触するので、電池の内部回路の遮断接続復旧
動作を確実に行うことができる。
【0027】また、電池の内圧上昇を抑制する防爆機構
と組合せた場合には、電流遮断による温度上昇抑制とと
もに、確実に電池の内圧を逃がして電池の破裂を防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の実施例によるリチウム一次電池の要
部断面図である。
【図2】この考案の実施例によるリチウム一次電池の安
全機構を示す分解斜視図である。
【図3】(a),(b)はこの考案の電流遮断機構の実
施例の動作を示す説明図である。
【図4】(a),(b)は防爆機構の一実施例の動作を
示す説明図である。
【図5】他の防爆機構を有するこの考案のリチウム一次
電池の要部断面図である
【図6】(a),(b)は防爆機構の他の実施例の動作
を示す説明図である。
【符号の説明】
1 電池ケース 2 発電要素 4 端子部 5 リード板 8a 固定接点部 11 端子板本体 12 封口板 14 導電性部材 14a 可動接点部 15 バイメタル部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−198051(JP,A) 特開 平5−205727(JP,A) 特公 昭42−21112(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 2/20 - 2/34

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電池内部に収装された発電要素から導出
    された電流取出しリード部側と前記電池に設けられた外
    部接続用端子部との間に可撓性を有する細長な導電性
    部材を介設し、該導電性部材の一方の基端部を前記電流
    取出しリード部側部材または前記外部接続用端子部側部
    材の一方に電気的に常時接続し、該導電性部材の他方の
    自由端部を前記電流取出しリード部側部材または前記外
    部接続用端子部側部材の他方に常時付勢されて接触する
    接点部とするとともに、該電池内部に該電池内部の温度
    に依存して変形し、変形時に前記導電性部材を前記付勢
    方向と逆方向に押圧する短小なバイメタル部材を前記導
    電性部材の前記基端部に近接して設け、該バイメタル部
    材が変形して該導電性部材の該基端部の近傍を押圧した
    ときに該導電性部材の該接点部が該バイメタル部材の変
    位量に比較して大きく変位してそれまでの接触が解除さ
    れるようにしてなることを特徴とする電池の安全機構。
  2. 【請求項2】 前記電池の内部圧力が上昇したときに、
    該電池外方へ向けて膨出,破断して、前記電池の内部と
    外部とを連通させる封口板を備えた防爆機構を有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電池の安全機構。
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