JP2597605B2 - 熱安定性高強度炭素繊維の製造方法 - Google Patents
熱安定性高強度炭素繊維の製造方法Info
- Publication number
- JP2597605B2 JP2597605B2 JP62262806A JP26280687A JP2597605B2 JP 2597605 B2 JP2597605 B2 JP 2597605B2 JP 62262806 A JP62262806 A JP 62262806A JP 26280687 A JP26280687 A JP 26280687A JP 2597605 B2 JP2597605 B2 JP 2597605B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- strength
- carbon fiber
- fiber
- transition metal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Inorganic Fibers (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高強度炭素繊維の製造方法に関し、黒鉛化
処理によっても強度低下を起こさない、熱安定性の高い
高強度炭素繊維の製造方法に関するものである。
処理によっても強度低下を起こさない、熱安定性の高い
高強度炭素繊維の製造方法に関するものである。
(従来の技術) 従来、ポリアクリロニトリル(PAN)、ピッチ、レー
ヨンを出発原料とする炭素繊維の製造方法が種々知られ
ている。これらの多くは繊維化、安定化、炭素化、黒鉛
化の各工程で、必要に応じて張力を加えることにより高
強度化、高弾性化しうることが知られている。
ヨンを出発原料とする炭素繊維の製造方法が種々知られ
ている。これらの多くは繊維化、安定化、炭素化、黒鉛
化の各工程で、必要に応じて張力を加えることにより高
強度化、高弾性化しうることが知られている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、何れの出発原料を用いた場合において
も、炭素質が黒鉛質に変化する、即ち結晶化が起こる20
00℃以下の熱処理によって繊維の強度が低下すると言う
問題点を有していた。
も、炭素質が黒鉛質に変化する、即ち結晶化が起こる20
00℃以下の熱処理によって繊維の強度が低下すると言う
問題点を有していた。
すなわち、熱処理によって炭素繊維内に局部的に黒鉛
結晶が析出し、この結晶析出に伴う局部的な収縮等が起
因する微小な欠陥が導入されるため強度が低下すると言
う宿命的な問題点を有していた。
結晶が析出し、この結晶析出に伴う局部的な収縮等が起
因する微小な欠陥が導入されるため強度が低下すると言
う宿命的な問題点を有していた。
かかる問題点によって、本来高い耐熱性を特徴とする
炭素繊維の応用範囲は著しく限定されていた。
炭素繊維の応用範囲は著しく限定されていた。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意研究の結
果、フェノール樹脂、縮合多環多核芳香族(COPNA)樹
脂、レーヨン及び等方性ピッチから成る群より選ばれる
難黒鉛化性を有する各種炭素前駆体に遷移金属を有機化
合物として、分子又は原子オーダーで均一微小分散させ
ると、その触媒作用により2000℃以上の熱処理を受けて
も黒鉛結晶が析出しないことを新規に知見し、本発明を
完成するに到った。
果、フェノール樹脂、縮合多環多核芳香族(COPNA)樹
脂、レーヨン及び等方性ピッチから成る群より選ばれる
難黒鉛化性を有する各種炭素前駆体に遷移金属を有機化
合物として、分子又は原子オーダーで均一微小分散させ
ると、その触媒作用により2000℃以上の熱処理を受けて
も黒鉛結晶が析出しないことを新規に知見し、本発明を
完成するに到った。
即ち、本発明は遷移金属の有機化合物を含有する難黒
鉛化性の炭素前駆体を溶融紡糸した後、不融化し、次い
で炭素化、黒鉛化処理をして熱安定性高強度炭素繊維を
製造するにあたり、フェノール樹脂、縮合多環多核芳香
族(COPNA)樹脂、レーヨン及び等方性ピッチから成る
群より選ばれる炭素前駆体に対して1重量%以上の溶解
度を有する遷移金属の有機化合物を分子又は原子オーダ
ーで、難黒鉛化性の該炭素前駆体に均一微小分散させて
含有せしめることを特徴とする熱安定性高強度炭素繊維
の製造方法である。
鉛化性の炭素前駆体を溶融紡糸した後、不融化し、次い
で炭素化、黒鉛化処理をして熱安定性高強度炭素繊維を
製造するにあたり、フェノール樹脂、縮合多環多核芳香
族(COPNA)樹脂、レーヨン及び等方性ピッチから成る
群より選ばれる炭素前駆体に対して1重量%以上の溶解
度を有する遷移金属の有機化合物を分子又は原子オーダ
ーで、難黒鉛化性の該炭素前駆体に均一微小分散させて
含有せしめることを特徴とする熱安定性高強度炭素繊維
の製造方法である。
本発明の製造方法により得られる炭素繊維は引張り強
度700MPa以上であり、黒鉛化によっても殆ど強度が低下
しない優れた性能を有するものである。
度700MPa以上であり、黒鉛化によっても殆ど強度が低下
しない優れた性能を有するものである。
本発明では、難黒鉛化性の炭素前駆体としてフェノー
ル樹脂、縮合多環多核芳香族(COPNA)、レーヨン、等
方性ピッチ等が使用できるが、安価で熱硬化性を有する
フェノール樹脂が好ましい。
ル樹脂、縮合多環多核芳香族(COPNA)、レーヨン、等
方性ピッチ等が使用できるが、安価で熱硬化性を有する
フェノール樹脂が好ましい。
本発明の製造方法において使用される遷移金属として
はMo,W,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Niのなかから選ばれる1種もし
くは2種以上の組合せが使用できるが、比較的融点およ
び沸点の低いFe,Co,Niがこれ等の高温における除去が容
易であることからも好ましい。
はMo,W,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Niのなかから選ばれる1種もし
くは2種以上の組合せが使用できるが、比較的融点およ
び沸点の低いFe,Co,Niがこれ等の高温における除去が容
易であることからも好ましい。
遷移金属の有機化合物としては、有機酸の塩、錯体等
であって、フェノール樹脂、縮合多環多核芳香族(COPN
A)樹脂、レーヨン及び等方性ピッチから成る群より選
ばれる難黒鉛化性の炭素前駆体に対して1重量%以上の
溶解度を有するものを使用する。溶解度が1重量%未満
だと前記炭素前駆体に対する遷移金属の有機化合物の溶
解量が不足し、本発明により得られる炭素繊維が高強度
をしめさなくなるためである。
であって、フェノール樹脂、縮合多環多核芳香族(COPN
A)樹脂、レーヨン及び等方性ピッチから成る群より選
ばれる難黒鉛化性の炭素前駆体に対して1重量%以上の
溶解度を有するものを使用する。溶解度が1重量%未満
だと前記炭素前駆体に対する遷移金属の有機化合物の溶
解量が不足し、本発明により得られる炭素繊維が高強度
をしめさなくなるためである。
より具体的には塩としては酢酸、アセチル酢酸、プロ
ピオン酸、カプリル酸、カプリン酸等の前記遷移金属
塩、錯体としてはニッケロセン、フェロセン等のπ電子
錯体が好ましいが難黒鉛化性の前記炭素前駆体に対する
溶解度の高い化合物を選択する必要がある。
ピオン酸、カプリル酸、カプリン酸等の前記遷移金属
塩、錯体としてはニッケロセン、フェロセン等のπ電子
錯体が好ましいが難黒鉛化性の前記炭素前駆体に対する
溶解度の高い化合物を選択する必要がある。
即ち、本発明において遷移金属は炭素化後の炭素前駆
体中に分子あるいは原子オーダーで均一微小分散してい
ることが重要である。仮に、遷移金属を1μm程度の微
粒子金属として炭素前駆体に分散せしめたのち、炭素化
し、引続き黒鉛化すると本発明とは逆に黒鉛結晶を析出
させる触媒として作用することが確認されている。
体中に分子あるいは原子オーダーで均一微小分散してい
ることが重要である。仮に、遷移金属を1μm程度の微
粒子金属として炭素前駆体に分散せしめたのち、炭素化
し、引続き黒鉛化すると本発明とは逆に黒鉛結晶を析出
させる触媒として作用することが確認されている。
以下、本発明をフェノール樹脂を例にその構成に基づ
き説明する。
き説明する。
当該遷移金属化合物を難黒鉛化性の炭素前駆体の1つ
であるフェノール樹脂に添加する方法としてはフェノー
ル樹脂の製造時、又はフェノール樹脂の製造後に攪拌そ
の他通常の分散方法があり、その際分子又は原子オーダ
ーの大きさで微小に均一分散させることが重要である。
微小に均一分散させないと得られる炭素繊維の強度にば
らつきができ好ましくない。
であるフェノール樹脂に添加する方法としてはフェノー
ル樹脂の製造時、又はフェノール樹脂の製造後に攪拌そ
の他通常の分散方法があり、その際分子又は原子オーダ
ーの大きさで微小に均一分散させることが重要である。
微小に均一分散させないと得られる炭素繊維の強度にば
らつきができ好ましくない。
次に遷移金属有機化合物の添加量としては、炭素前駆
体の炭素化後の重量にたいして、遷移金属換算で0.05〜
10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%の範囲が好適
である。
体の炭素化後の重量にたいして、遷移金属換算で0.05〜
10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%の範囲が好適
である。
遷移金属有機化合物の添加量が0.05重量%未満、又は
10重量%より多いと当該遷移金属化合物が別の触媒作用
を呈し、特に量が多くなると金属が凝集して大きな黒鉛
結晶を析出させ、これによって繊維中に欠陥が生じ強度
の低下を招くため好ましくない。
10重量%より多いと当該遷移金属化合物が別の触媒作用
を呈し、特に量が多くなると金属が凝集して大きな黒鉛
結晶を析出させ、これによって繊維中に欠陥が生じ強度
の低下を招くため好ましくない。
上記遷移金属の有機化合物を原子オーダーで微小分散
させたフェノール樹脂はTsカーボンと称され、CuKの(N
iフィルター)でX線回折とすると26゜にピークを有す
る単一成分の乱層構造炭素を与える。当該炭素成分は、
ミクロに等方的であり、黒鉛化によるほとんど強度劣化
のない高強度炭素遷移を与えるのに重要である。
させたフェノール樹脂はTsカーボンと称され、CuKの(N
iフィルター)でX線回折とすると26゜にピークを有す
る単一成分の乱層構造炭素を与える。当該炭素成分は、
ミクロに等方的であり、黒鉛化によるほとんど強度劣化
のない高強度炭素遷移を与えるのに重要である。
得られた遷移金属が均一微小分散されたフェノール樹
脂を常法に従って溶融紡糸する。
脂を常法に従って溶融紡糸する。
次いで溶融紡糸した該フェノール樹脂を熱硬化させ
る。加熱は酸化性雰囲気中で若しくは非酸化性雰囲気中
100℃〜450℃の温度で行なうことが好ましい。ここでフ
ェノール樹脂あるいはCOPNA樹脂以外の熱可塑性を有す
る前駆体の場合には酸素、窒素酸化物、オゾン、硫黄酸
化物等の存在下での酸化不融化が必要となる。フェノー
ル樹脂等の熱硬化性樹脂の熱硬化処理方法としては、酸
性触媒とアルデヒド類の混合水溶液で硬化せしめるか、
又は酸性触媒とアルデヒド類の混合水溶液で予備硬化せ
しめた後塩基性触媒とアルデヒド類で硬化せしめる方法
等の常法が用いられる。酸性触媒としては例えば塩酸、
硫酸、りん酸等の無機酸及び有機酸が用いられ、塩基性
触媒としては通常アンモニアが用いられ、その他にヘキ
サメチレンテトラミン、尿素、水酸化カリウム等が用い
られる。又、アルデヒド類としては一般的にホルムアル
デヒドを用いるが、パラホルムアルデヒド、トリオキサ
ンを用いてもよい。得られた硬化ノボラック繊維を、繊
維に含有される又は付着した爽雑物、アルデヒド類の重
縮合物、酸性触媒等を除去する為にメタノール、エタノ
ール等の低級アルコール類水溶液あるいはアンモニア、
水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液、好ましくはメタ
ノール、エタノール等の低級アルコール水溶液で処理し
てもよい。低級アルコール溶液で処理したものは繊維の
伸度が大幅に向上するので硬化ノボラック繊維構造物の
製造には好適である。
る。加熱は酸化性雰囲気中で若しくは非酸化性雰囲気中
100℃〜450℃の温度で行なうことが好ましい。ここでフ
ェノール樹脂あるいはCOPNA樹脂以外の熱可塑性を有す
る前駆体の場合には酸素、窒素酸化物、オゾン、硫黄酸
化物等の存在下での酸化不融化が必要となる。フェノー
ル樹脂等の熱硬化性樹脂の熱硬化処理方法としては、酸
性触媒とアルデヒド類の混合水溶液で硬化せしめるか、
又は酸性触媒とアルデヒド類の混合水溶液で予備硬化せ
しめた後塩基性触媒とアルデヒド類で硬化せしめる方法
等の常法が用いられる。酸性触媒としては例えば塩酸、
硫酸、りん酸等の無機酸及び有機酸が用いられ、塩基性
触媒としては通常アンモニアが用いられ、その他にヘキ
サメチレンテトラミン、尿素、水酸化カリウム等が用い
られる。又、アルデヒド類としては一般的にホルムアル
デヒドを用いるが、パラホルムアルデヒド、トリオキサ
ンを用いてもよい。得られた硬化ノボラック繊維を、繊
維に含有される又は付着した爽雑物、アルデヒド類の重
縮合物、酸性触媒等を除去する為にメタノール、エタノ
ール等の低級アルコール類水溶液あるいはアンモニア、
水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液、好ましくはメタ
ノール、エタノール等の低級アルコール水溶液で処理し
てもよい。低級アルコール溶液で処理したものは繊維の
伸度が大幅に向上するので硬化ノボラック繊維構造物の
製造には好適である。
本発明の硬化反応においては、繊維の表面から繊維の
内部へと硬化が進行するので、低硬化度の硬化ノボラッ
ク繊維の内部は未硬化のノボラック樹脂であり、一方硬
化度の高過ぎる場合には繊維内部にメチノール基等の生
成が多い。従って上記硬化ノボラック繊維の硬化度は、
重量増加率が4〜25重量%のものである。硬化度が4重
量%未満では本発明の焼成時にノボラック樹脂が溶融し
たり、分解して目的とする炭素繊維又は炭素繊維構造物
が得られず、又、硬化ノボラック繊維の硬化度が25重量
%を超えると焼成時に発生する分解ガスが多くなり、炭
化収率が低いばかりでなく、高強度、高弾性率を有する
炭素繊維又は炭素繊維構造物が得難い。
内部へと硬化が進行するので、低硬化度の硬化ノボラッ
ク繊維の内部は未硬化のノボラック樹脂であり、一方硬
化度の高過ぎる場合には繊維内部にメチノール基等の生
成が多い。従って上記硬化ノボラック繊維の硬化度は、
重量増加率が4〜25重量%のものである。硬化度が4重
量%未満では本発明の焼成時にノボラック樹脂が溶融し
たり、分解して目的とする炭素繊維又は炭素繊維構造物
が得られず、又、硬化ノボラック繊維の硬化度が25重量
%を超えると焼成時に発生する分解ガスが多くなり、炭
化収率が低いばかりでなく、高強度、高弾性率を有する
炭素繊維又は炭素繊維構造物が得難い。
また、所望の場合には、室温〜350℃以下の範囲の温
度で酸化性雰囲気若しくは湿式酸化により上記樹脂を不
融化することも可能である。
度で酸化性雰囲気若しくは湿式酸化により上記樹脂を不
融化することも可能である。
次いで、該硬化フェノール樹脂を非酸化性雰囲気中で
炭素化及び黒鉛化する。
炭素化及び黒鉛化する。
本発明方法における非酸化性雰囲気としては、例えば
窒素、ヘリウム、アルゴン等より成る群より選ばれる1
種あるいは2種以上の混合雰囲気が挙げられる。
窒素、ヘリウム、アルゴン等より成る群より選ばれる1
種あるいは2種以上の混合雰囲気が挙げられる。
上記炭素化は、200℃の温度から昇温速度を400℃/時
以下、好ましくは100℃/時以下として、到達温度700℃
〜1500℃で行う。昇温速度が400℃/時より速くなると
炭素化収率が低下し、また、到達温度が700℃未満では
得られる炭素繊維の強度発現が不十分となり好ましくな
い。
以下、好ましくは100℃/時以下として、到達温度700℃
〜1500℃で行う。昇温速度が400℃/時より速くなると
炭素化収率が低下し、また、到達温度が700℃未満では
得られる炭素繊維の強度発現が不十分となり好ましくな
い。
更に黒鉛化を最高温度2000〜3000℃で行う。最高温度
が3000℃より高くなると昇華がおこり炭素繊維に欠陥が
生じ強度低下を招くためである。前記X線回折により26
゜のピークを有する乱層構造炭素のミクロな等方性によ
り該当黒鉛化によっても黒鉛結晶が析出せず、黒鉛化に
よる強度劣化のない高強度炭素繊維が得られる。
が3000℃より高くなると昇華がおこり炭素繊維に欠陥が
生じ強度低下を招くためである。前記X線回折により26
゜のピークを有する乱層構造炭素のミクロな等方性によ
り該当黒鉛化によっても黒鉛結晶が析出せず、黒鉛化に
よる強度劣化のない高強度炭素繊維が得られる。
(実施例) 以下本発明を実施例及び比較例により説明する。
実施例1 フェノール500gと37%のホルマリン水溶液450gとp−
トルエンスルホン酸2gを攪拌しながら90℃で3時間反応
させ粗合成物を得た。この粗生成物100重量部に対し、
アセチルアセトンニッケル塩2.5gをクロロホルム:エタ
ノール=1:1の混合溶媒30ccに溶解させた溶液を加え十
分攪拌した。この混合物を160℃で1mmHgの減圧下で蒸留
し未反応成分及び水分や溶媒を除去し、軟化点120℃の
樹脂を得た。
トルエンスルホン酸2gを攪拌しながら90℃で3時間反応
させ粗合成物を得た。この粗生成物100重量部に対し、
アセチルアセトンニッケル塩2.5gをクロロホルム:エタ
ノール=1:1の混合溶媒30ccに溶解させた溶液を加え十
分攪拌した。この混合物を160℃で1mmHgの減圧下で蒸留
し未反応成分及び水分や溶媒を除去し、軟化点120℃の
樹脂を得た。
前記樹脂を直径0.1mmの300孔を有する紡糸用ノズルを
用いて140℃で溶融紡糸し、次いで37%のHCl及び37%の
ホルマリン水溶液中に4時間浸漬し硬化樹脂繊維を得
た。この硬化樹脂繊維を空気中200℃で後硬化処理した
後、非酸化性ガス雰囲気で200℃から1000℃の温度範囲
を0.01g/dの張力下で20℃/時の昇温速度で昇温し炭素
化した。引き続き、非酸化性ガス雰囲気下で2000,2400,
2800の各温度まで400℃/時の昇温速度で0.02g/dの張力
下で昇温し黒鉛化を行なった。得られた繊維について測
定した引っ張強度と引っ張り弾性率を第1表に示す。ま
た、得られた繊維のX線回折を行った。これを第1図に
示す。
用いて140℃で溶融紡糸し、次いで37%のHCl及び37%の
ホルマリン水溶液中に4時間浸漬し硬化樹脂繊維を得
た。この硬化樹脂繊維を空気中200℃で後硬化処理した
後、非酸化性ガス雰囲気で200℃から1000℃の温度範囲
を0.01g/dの張力下で20℃/時の昇温速度で昇温し炭素
化した。引き続き、非酸化性ガス雰囲気下で2000,2400,
2800の各温度まで400℃/時の昇温速度で0.02g/dの張力
下で昇温し黒鉛化を行なった。得られた繊維について測
定した引っ張強度と引っ張り弾性率を第1表に示す。ま
た、得られた繊維のX線回折を行った。これを第1図に
示す。
実施例2 実施例1で得られた粗生成物を180℃で0.1mmHgの減圧
下で蒸留した後、得られた樹脂100重量部に対し5gのニ
ッケロセンを30ccをクロロホルムに溶解させた溶液を加
え充分攪拌した。攪拌後、150℃でロータリーエバポレ
ーターを用いクロロホルムを除去し、軟化点120℃の樹
脂を得た。紡糸、硬化処理、炭素化、黒鉛化は実施例1
と同様に行った。得られた繊維について測定した引っ張
強度と引っ張弾性率を第1表に示す。
下で蒸留した後、得られた樹脂100重量部に対し5gのニ
ッケロセンを30ccをクロロホルムに溶解させた溶液を加
え充分攪拌した。攪拌後、150℃でロータリーエバポレ
ーターを用いクロロホルムを除去し、軟化点120℃の樹
脂を得た。紡糸、硬化処理、炭素化、黒鉛化は実施例1
と同様に行った。得られた繊維について測定した引っ張
強度と引っ張弾性率を第1表に示す。
比較例1 実施例1で得られた粗生成物を180℃0.1mmHgの減圧下
で蒸留し軟化点120℃の樹脂を得た。実施例1と同様に
紡糸、硬化処理、炭素化、黒鉛化を行った。得られた繊
維について測定した引張強度と引張弾性率を第1表に示
す。
で蒸留し軟化点120℃の樹脂を得た。実施例1と同様に
紡糸、硬化処理、炭素化、黒鉛化を行った。得られた繊
維について測定した引張強度と引張弾性率を第1表に示
す。
また、CuKα線を用い得られた繊維のX線回折図形を
得た。これを第2図に示す。
得た。これを第2図に示す。
(発明の効果) 以上説明してきたように、本発明の方法は遷移金属の
有機化合物を、フェノール樹脂、縮合多環多核芳香族
(COPNA)樹脂、レーヨン及び等方性ピッチから成る群
より選ばれる炭素前駆体に、分子又は原子オーダーで微
小分散させて含有せしめることにより、黒鉛化による強
度劣化のない熱安定性の高い高強度炭素繊維を工業的に
安価に製造することができるという効果が得られる。
有機化合物を、フェノール樹脂、縮合多環多核芳香族
(COPNA)樹脂、レーヨン及び等方性ピッチから成る群
より選ばれる炭素前駆体に、分子又は原子オーダーで微
小分散させて含有せしめることにより、黒鉛化による強
度劣化のない熱安定性の高い高強度炭素繊維を工業的に
安価に製造することができるという効果が得られる。
第1図は実施例1で得られた樹脂のX線回折図、 第2図は比較例1で得られた樹脂のX線回折図である。
Claims (2)
- 【請求項1】遷移金属の有機化合物を含有する難黒鉛化
性の炭素前駆体を溶融紡糸した後、不融化し、次いで炭
素化、黒鉛化処理をして熱安定性高強度炭素繊維を製造
するにあたり、フェノール樹脂、縮合多環多核芳香族
(COPNA)樹脂、レーヨン及び等方性ピッチから成る群
より選ばれる炭素前駆体に対して1重量%以上の溶解度
を有する遷移金属の有機化合物を分子又は原子オーダー
で、難黒鉛化性の該炭素前駆体に均一微小分散させて含
有せしめることを特徴とする熱安定性高強度炭素繊維の
製造方法。 - 【請求項2】上記遷移金属はMo,W,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Niか
らなる群より選ばれる1種若しくは2種以上である特許
請求の範囲第1項記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62262806A JP2597605B2 (ja) | 1987-10-20 | 1987-10-20 | 熱安定性高強度炭素繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62262806A JP2597605B2 (ja) | 1987-10-20 | 1987-10-20 | 熱安定性高強度炭素繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01111022A JPH01111022A (ja) | 1989-04-27 |
JP2597605B2 true JP2597605B2 (ja) | 1997-04-09 |
Family
ID=17380868
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62262806A Expired - Lifetime JP2597605B2 (ja) | 1987-10-20 | 1987-10-20 | 熱安定性高強度炭素繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2597605B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2760759B1 (fr) * | 1997-03-14 | 1999-06-11 | Carbone Ind | Procede de realisation de textures activees en fibres de carbone |
CN109457323B (zh) * | 2018-11-14 | 2019-12-03 | 苏州大学 | 利用金属镓进行碳化的方法 |
KR102619545B1 (ko) * | 2021-06-25 | 2023-12-29 | 나재훈 | 정온 특성을 가진 면상 발열체 제조 장치 및 방법 |
-
1987
- 1987-10-20 JP JP62262806A patent/JP2597605B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01111022A (ja) | 1989-04-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4412675A (en) | Carbon spring and process for preparing the same | |
US7722851B2 (en) | Bulk synthesis of carbon nanotubes from metallic and ethynyl compounds | |
US9926649B2 (en) | Carbon nanotube fibers/filaments formulated from metal nanoparticle catalyst and carbon source | |
US8222403B2 (en) | Heteroaromatic phthalonitriles | |
US5356574A (en) | Process for producing pitch based activated carbon fibers and carbon fibers | |
KR101041208B1 (ko) | 본질적으로 위스커가 없는 탄화규소 및 이의 제조방법 | |
US8277534B2 (en) | Carbon nanotube fibers/filaments formulated from metal nanoparticle catalyst and carbon source | |
JP2597605B2 (ja) | 熱安定性高強度炭素繊維の製造方法 | |
JP2615268B2 (ja) | 炭素糸及びその製造方法 | |
KR910005574B1 (ko) | 탄소 재료용 피치의 제조방법 | |
EP0526787B1 (en) | Process for producing pitch-based carbon fiber | |
JP2004176236A (ja) | 炭素繊維の製造方法 | |
EP1164212B1 (en) | Silica-group composite oxide fiber and process for the production thereof | |
JPH10158937A (ja) | 炭化ケイ素系無機繊維及びその製造方法 | |
JPH05302217A (ja) | マトリックス用ピッチの製造方法 | |
JP3465699B2 (ja) | シリカ基複合酸化物繊維及びその製造方法 | |
JP2002029719A (ja) | カーボンチューブ及びその製造方法 | |
EP0295684A2 (en) | Process for producing conductive graphite fiber | |
JPH05247731A (ja) | 繊維状活性炭とその製造方法 | |
JP3072945B2 (ja) | 炭素繊維の製造方法 | |
CN115821429A (zh) | 一种碳纤维催化石墨化的方法 | |
JP2001316945A (ja) | 炭素繊維及び繊維状活性炭 | |
EP0612870B1 (en) | Process for producing carbon fibers | |
Al-Falahi | Study the effect of chromium complex on the graphitization of phenolic resins for developing thermally stable nano carbon fillers | |
JPH03234823A (ja) | 新規な炭素繊維とその製造法 |