JP2596772B2 - 消波装置 - Google Patents

消波装置

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JP2596772B2
JP2596772B2 JP63013663A JP1366388A JP2596772B2 JP 2596772 B2 JP2596772 B2 JP 2596772B2 JP 63013663 A JP63013663 A JP 63013663A JP 1366388 A JP1366388 A JP 1366388A JP 2596772 B2 JP2596772 B2 JP 2596772B2
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Inventor
政和 沖
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株式会社間組
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は波のエネルギを反射および吸収することに
よって消滅させる消波装置に関する。
<従来の技術> 従来から、安全な港湾水域を確保するのに種々の消波
装置が提案されている。これらは、一般な海底に構造物
や障害物を固定または積み重ねた防波構造(防波堤)
で、海底地盤の地質や水深その他に応じて設計され、か
つ構築されており、これにより充分に所期の防波効果乃
至消波効果が達成されるように構成されている。
<発明が解決しようとする問題点> しかしながら、かかる従来の消波装置では、入射波を
受ける例えば防波堤前部に大きな反射波を生じ、これが
船舶航行の障害になるとともに、水深が大きくなるにつ
れて建設費が増大する。また、かかる防波堤は海底に設
立されるので、この防波堤の前部および背部間における
海水交換率が悪いなどの問題点があった。
また、最近では、外海に面した沿岸域をより有効に利
用するため、海水交換機能を持ち、消波効率が良く、し
かも経済性の高い消波構造物の必要性が高まっている。
この発明はかかる従来の問題点および必要性に着目し
てなされたものであり、反射波の発生を抑制し、海水交
換率の悪化がなく、しかも構造を簡単にして安価に得ら
れる消波装置を得ることを目的とする。
<問題点を解決するための手段> 本発明では、水平板とこの水平板の周辺に連設した鉛
直板とからなる下端開口の箱状構造物を、水面から所定
深さの水中に設置し、該箱状構造物の内部に空気層を設
けると共に、鉛直隔壁によって複数の隔室に隔成し、こ
れらの各隔室を前記各鉛直隔壁に設けた開口を通じて連
通させたことを特徴とする消波装置を提供する。
<作用> この発明における箱状構造物は、水平板により振幅方
向の波の反射と砕波を行い、鉛直板により、構造物背後
に入射波とは反対方向の流れを生ぜしめて、この流れを
上記入射波に衝突させることによって消波するように作
用する。また、上記箱状構造物内に空気層を設けた場合
には、その空気層の厚みに応じて波の山を低く抑えると
ともに、波の谷を押し上げるようにして、全体として、
波高を平滑化するように作用する。
<発明の実施例> 以下に、この発明の実施例を図について説明する。第
1図はその一実施例を示す断面図、第2図は同じく斜視
図である。同図において、1は箱状構造物で、これが水
平板2と、この水平板2の周辺に連設した鉛直板3とか
らなり、下端が下方に向って開放している。また、この
箱状構造物1は、水面から所定深さの水中に位置するよ
うに、海底4に立設した複数本の脚柱5上に固定されて
いる。また、この箱状構造物1内には空気層6が設けら
れ、これが空気層隣接水面7と適当な相対圧力を維持し
ながら接している。8a,8bは箱状構造物1内の空気層6
を隔成するように設けた補強用の鉛直隔壁で、隔室P,Q,
Rを形成しており、必要に応じて2列以上設けられる。9
a,9bは鉛直隔壁8a,8bに形成した複数の開口で、これら
が波によって空気層6の圧力変化が生じた際に、各隔室
P,Q,Rへの空気の移動を許容し、消波作用するように機
能するものである。また、10は鉛直隔壁8a,8bによって
隔成した空気層6に、波の進行方向とは交差する方向に
複数列設けた鉛直補強板である。なお、鉛直隔壁8a,8b
上の上記開口9a,9bは波の進行方向に設けられている。
次に、作用について説明する。
いま、波が矢印A方向に進行してきた場合には、第3
図に示すように、水平板2は振幅方向の波を反射し、こ
の反射波とは逆方向の入射波とを衝突させて、砕波を行
う。一方、鉛直板3は箱状構造物1の背後に、入射波と
は反対方向(D方向)の流れを発生させ、これを水平板
2の上部に導いて上記入射波と衝突させることにより、
この入射波を砕き、消波作用をする。
また、箱状構造物1の内部には、空気層6が設けられ
ているので、波Aが到来すると、この波の山の直下にあ
る隔室Pの空気層6の空気は、水圧の上昇に伴って上昇
する。このため、第4図に示すようにその空気は鉛直隔
壁8aの開口9aを通って低圧の空気層6となっている隔室
Qに、さらに鉛直隔壁8bの開口9bを通って隔室Rに逃げ
込む。このため、波の山の直下の上記空気層6は薄くな
り、その分、波の山の水面を引き下げるように作用す
る。一方、波の谷の直下にある隔室Rの空気層6は、上
記とは、逆に厚くなり、波の谷の水面を押し上げるよう
に作用し、結局、水平板2上の波高は、実線から1点鎖
線で示す状態に平滑化される。このようにして、空気層
6は消波効果をさらに確実なものにする。
第5図はこの発明による消波効果を実験結果によって
示すものであり、縦軸には、入射波高Hiと透過波高Htの
比である透過率Kt(Ht/Hi)をとってある。ここでKtが
小さい程消波効果が高いことを示す。
また、横軸には、消波装置の幅つまり箱状構造物1の
幅(入射波の進行方向の長さ)Bと入射波長Lの比B/L
をとってある。
この実験結果から、この消波装置は入射波長の1/5〜1
/6程度の幅で波高を1/2以下に減少できることがわか
る。
さらに、箱形構造物1内に空気層6を設けた場合に
は、設けない場合に比べて、図示のように消波効果が一
層高いこともわかる。
<発明の効果> 以上説明してきたように、この発明によれば、水平板
とこれに連設した鉛直板とからなる下端開口の箱状構造
物を、水中に設置するように構成したので、上記水平板
および鉛直板による反射波によって入射波を効果的に砕
波することができるとともに、上記鉛直板によって箱状
構造物の背後に生じさせた流れを、入射波と衝突させる
ことができ、消波効果をさらに確かなものとすることが
できる。また、箱状構造物内に空気層を設けた場合に
は、波の高低に伴う水圧変化を、空気層の空気の移動に
よって緩和するので、波高の一層の平滑化が図ることが
でき、従って、消波効果がより向上するという利点が得
られる。そして、かかる箱状構造物は、全体として形
状、構造が簡単であるところから、建設費を低減でき、
極めて実用性の高いものになる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明に係る消波装置の全体を示す断面図、
第2図は同じく拡大した斜視図、第3図はこの発明によ
る消波効果を示す説明図、第4図はさらに空気層による
消波効果を示す説明図、第5図はこの発明による実験結
果を示す特性グラフである。 1……箱状構造物、2……水平板、3……鉛直板、6…
…空気層。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水平板とこの水平板の周辺に連設した鉛直
    板とからなる下端開口の箱状構造物を、水面から所定深
    さの水中に設置し、 該箱状構造物の内部に空気層を設けると共に、鉛直隔壁
    によって複数の隔室に隔成し、これらの各隔室を前記各
    鉛直隔壁に設けた開口を通じて連通させたことを特徴と
    する消波装置。
JP63013663A 1988-01-26 1988-01-26 消波装置 Expired - Lifetime JP2596772B2 (ja)

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