JP2596731Y2 - 円筒型のエアクリーナ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は自動車，農業機械，建
設機械等のエンジンに使用される円筒型のエアクリーナ
の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車や農業機械，建設機械等のエンジ
ンに使用される円筒型のエアクリーナにおいても、器体
の軽量化のため、ケースの樹脂化が図られているが、エ
ンジンの大きさや配管状態に応じて形状が変化する中央
のボデー筒部を少量生産でも採算がとれるように薄鉄板
製とし、その一端の出口側カバーと他端の閉鎖カバーを
合成樹脂製とするようにしている。（即ち、鉄板製のボ
デー筒部１を長さや入口パイプ等の取付け位置の違った
ものを予め幾種類か用意しておいて、これにカバーを組
付けるだけで、需要に答えるようになされている。）

【０００３】その一例を示せば図４のとおりであり、中
央の両端開放のボデー筒部１は薄鉄板で作られ、中央よ
り他端（図で左端）寄りの位置には入口パイプ１ａが接
線方向上向きに設けられると共に一端部の下側には集塵
筒１ｂが設けられ、そこには吸気管中の脈動作用によっ
て開閉するゴム製の排出弁ｖが取付けられている。

【０００４】このボデー筒部１の一端（出口側端）には
出口側カバー２が施され、この出口側カバー２は合成樹
脂製環状のもので、内面にはろ過エレメントｅの保持筒
２ｂとこれより大径で長いエアのガイド筒２ｃが内外二
重に形成される一方、外面の中心部にはエンジンの吸気
管に接続される出口パイプ２ａが穿設され、周縁の内向
きフランジ部２ｄは段付き凸状に形成されて、そのフラ
ンジ部２ｄがボデー筒部１の段付き端部に嵌め込まれ、
その外周から止めリング５をかぶせてかしめ付けるか、
又は図５のように内向きフランジ部２ｄを段付き凹状に
形成して、そのフランジ部２ｄをボデー筒部１の段付き
端部にスナップ式に係合させるかして、出口側カバー２
がボデー筒部１に結合されている。

【０００５】ボデー筒部１の内部には、ろ紙又は不織布
を菊花形筒状に形成したろ材３の内外に多孔筒３ａ（た
だし、外筒は設けない場合もある）を嵌挿し、ボデーの
出口側端にウレタン樹脂等からなるパッキングを兼ねた
環状の端板３ｂを被着する一方、ボデーの入口側端には
周辺のウレタン樹脂等のパッキング部を鉄板で連ねた盲
端板３ｃを被着したろ過エレメントｅが、出口側端部を
出口側カバー２の保持筒２ｂとガイド筒２ｃの間に気密
に嵌挿して配設されている。

【０００６】一方、ボデー筒部１の他端（入口側端）に
は、合成樹脂製皿状の閉鎖カバー４が施され、この閉鎖
カバー４はろ過エレメントｅの盲端板３ｃのパッキング
部を受けると共にエレメントｅの周りを囲むガイド筒４
ｂを備え、かつ、周壁４ａは途中に張出し環状みぞ部４
ｃを備え、周壁４ａの先端部はボデー筒部１内に嵌挿さ
れる一方、張出し環状みぞ部４ｃ内にはパッキング材６
が設けられてボデー筒部１の開放端部を受け止め、周囲
方向の複数箇所においてクリップ金具７により着脱可能
に取付けられている。

【０００７】そして、使用時には入口パイプ１ａから流
入する外気に旋回性を付与し、その遠心作用で外気に含
まれている粗いダストを予備的に分離し、かつ細かいダ
ストはろ過エレメントｅを横切らせて捕捉するようにな
されている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
円筒型のエアクリーナは、製作の面で要求に応じ易い便
利さがある反面、中央のボデー筒部１と両側のカバー
２，４とは材質が異なり、合成樹脂製のカバー２，４の
方が鉄製のボデー筒部１より熱膨張係数が大きいが、一
方の閉鎖カバー４の方はボデー筒部１に随時着脱できる
ようにルーズに嵌め合わされているのに対し、出口側カ
バー２の方はボデー筒部１に簡単に分離できないように
強固に結合されているため、使用環境の変化即ち使用場
所での温度変化により出口側カバー２に伸び縮みによる
変形及び熱応力が生じ、シール性が破れてエアクリーナ
としての機能が失われることがある。

【０００９】そこで、この考案は鉄製のボデー筒部に一
体的に結合される合成樹脂製の出口側カバーが使用環境
の温度変化を受けたにしても、カバーに変形や過度の応
力を生じないようにすることを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的のもとにこの考
案は、入口パイプを備え内側に円筒状のろ過エレメント
を収容する鉄製のボデー筒部の一端には、外面に出口パ
イプを有する合成樹脂製の出口側カバーを一体的に結合
する一方、他端には合成樹脂製皿状の閉鎖カバーを着脱
可能に取付ける円筒型のエアクリーナとして、上記出口
側カバーの周縁のフランジ部又は壁面の途中に所要幅の
みぞを環状に形成したことを特徴としている。

【００１１】

【実施例】図１，図２はこの考案の一実施例を示すもの
であり、１１は薄鉄板製で両端の開放された中央のボデ
ー筒部で、中央より他端（図で左端）寄りの位置には入
口パイプ１１ａが接線方向上向きに設けられると共に一
端部下側には集塵筒１１ｂが設けられ、そこには吸気管
内の脈動作用によって開閉するゴム製の排出弁ｖが取付
けられている。

【００１２】ボデー筒部１１の一端（出口側端）には出
口側カバー１２が施されるが、この出口側カバー１２は
合成樹脂製環状のもので、内面にはろ過エレメントｅの
保持筒１２ｂとこれより大径で長いガイド筒１２ｃが内
外二重に形成されると共に外面の中心部にはエンジンの
吸気管に接続される出口パイプ１２ａが突設され、周縁
の内向きフランジ部１２ｄは段付き凸状に形成され、そ
のフランジ部１２ｄの基部には外面から内面側に向かう
所要幅のみぞ１２ｅが環状に設けられており、その内向
きフランジ部１２ｄがボデー筒部１１の段付き端部に嵌
め込まれ、その外周から止めリング１５をかぶせてかし
め付けられている。しかし、止めリング１５を用いるこ
となく、出口側カバー１２にボデー筒部１１の端部を直
接かしめ付けることもある。

【００１３】ボデー筒部１１の内部には、ろ紙又は不織
布を菊花形筒状に形成したろ材１３の内外にメタルラス
等の多孔筒１３ａを嵌挿し（ただし、外筒は省略する場
合もある）、ボデーの出口側端にウレタン樹脂等からな
るパッキングを兼ねた環状の端板１３ｂを被着する一
方、ボデーの入口側端には周辺のウレタン樹脂等のパッ
キング部を鉄板で連ねた盲端板１３ｃをパッキング部に
おいて被着したろ過エレメントｅが、その出口側端部を
出口側カバー１２の保持筒１２ｂとガイド筒１２ｃの間
に気密に嵌挿して配設されている。

【００１４】又、ボデー筒部１１の他端（入口側端）に
は、合成樹脂製皿状の閉鎖カバー１４が施され、この閉
鎖カバー１４はろ過エレメントｅの盲端板１３ｃのパッ
キング部を受けると共にろ過エレメントｅの周りを囲む
ガイド筒１４ｂを備え、かつ、周壁１４ａは途中で外方
に分岐したに張出し環状みぞ部１４ｃを備え、周壁１４
ａの先端部はボデー筒部１１内に嵌挿される一方、張出
し環状みぞ部１４ｃ内にはパッキング材１６が設けられ
てボデー筒部１１の開放端部を受け止め、周囲方向の複
数箇所においてクリップ金具１７により着脱可能に取付
けられている。

【００１５】そして、使用時には入口パイプ１１ａから
外気がボデー筒部１１内に接線状態に取入れられ、旋回
しつつガイド筒１４ｂに案内されて出口端側に向かい、
その旋回流動によって外気に含まれている粗いダストは
空気流から分離されて集塵筒１１ｂ内に入り、空気流は
周囲部からろ過エレメントｅを横切ることにより細かな
ダストが捕捉され、浄化された空気は出口パイプ１２ａ
からエンジンの吸気管に送られ、集塵筒１１ｂ内に入っ
たダストは吸気管内に生じる脈動作用で開閉する排出弁
ｖから適宜に排出される。

【００１６】ところで、上記使用時にエアクリーナが高
温な環境又は低温な環境のもとに置かれた場合、樹脂製
の出口側カバー１２及び閉鎖カバー１４が鉄製のボデー
筒部１１より大きく伸び縮みすることになるが、出口側
カバー１２には周縁のフランジ部１２ｄに所定幅のみぞ
１２ｅを環状に設けてあるので、この環状みぞ１２ｅに
よって伸び縮みを適切に吸収することができ、又閉鎖カ
バー１４は前記のようにボデー筒部１１に対し寸法的に
余裕を持って組付けられているので支障をきたさない。

【００１７】図３は変更例を示すもので、この場合には
出口側カバー１２に設けるみぞ１２ｅを内向きフランジ
部１２ｄにではなく、保持筒１２ｂとガイド筒１２ｃと
の間の壁面にみぞ１２ｅを外側に向けて山形環状に形成
し、かつろ過エレメントｅの盲端板１３ｃも全体をウレ
タン等の合成樹脂材としてあるが、その機能は上述の例
と変りない。又、図示の例では出口側カバー１２を止め
リング１５によってボデー筒部１１にかしめ付けたもの
を示したが、これは図５のようにスナップ式に結合する
ようにしてもよく、その場合には出口側カバー１２に対
しみぞ１２ｅを図３のように設けるのが適している。

【００１８】

【考案の効果】以上のようにこの考案は、中央の鉄製の
ボデー筒部の一端には合成樹脂製の出口側カバーを一体
的に結合する一方、他端には合成樹脂製の開閉カバーを
着脱可能に取付ける円筒型のエアクリーナとして、ボデ
ー筒部に一体的に結合される出口側カバーの周縁のフラ
ンジ部又は壁面の途中に所要幅のみぞを環状に形成した
ので、使用環境の温度変化によって出口側カバーが伸び
縮みしたにしても、その歪みを適切に吸収することがで
き、出口側カバーに変形が起きたり、過度の応力が生じ
たりせず、シール性が保たれ、長期に使用してもエアク
リーナとしての機能を失わない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例の半断面側面図。

【図２】図１を左側からみた正面図。

【図３】変更例の下半部の断面側面図。

【図４】従来の一例の半断面側面図。

【図５】他の従来品の半部分の断面側面図。

【符号の説明】

１１ ボデー筒部 １１ａ 入口パイプ １１ｂ 集塵筒 １２ 出口側カバー １２ａ 出口パイプ １２ｂ 保持筒 １３ ろ材 １４ 閉鎖カバー ｅ ろ過エレメント

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 入口パイプを備え内側に円筒状のろ過エ
   レメントを収容する鉄製のボデー筒部の一端には、外面
   に出口パイプを有する合成樹脂製の出口側カバーを一体
   的に結合する一方、他端には合成樹脂製皿状の閉鎖カバ
   ーを着脱可能に取付ける円筒型のエアクリーナにおい
   て、上記出口側カバーの周縁のフランジ部又は壁面の途
   中に所要幅のみぞを環状に形成してなる円筒型のエアク
   リーナ。