JP2596229B2 - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP2596229B2 JP1275491A JP1275491A JP2596229B2 JP 2596229 B2 JP2596229 B2 JP 2596229B2 JP 1275491 A JP1275491 A JP 1275491A JP 1275491 A JP1275491 A JP 1275491A JP 2596229 B2 JP2596229 B2 JP 2596229B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融亜鉛めっきを施し
た後、加熱処理を行ういわゆる合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法、特に連続合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法に関するものである。
【0002】すなわち、鋼板の連続式溶融亜鉛めっき法
にあっては、鋼板を連続的に加熱および還元処理を行
い、次いで溶融亜鉛めっき浴に浸漬させて鋼板表面にめ
っき処理を施している。本発明は、そのような溶融亜鉛
めっき直後に、気体絞り法等により必要付着量にめっき
量コントロールを行ってからめっき鋼板に加熱処理を施
すことにより、鋼板から亜鉛めっき層内に鉄拡散を行っ
て合金化処理する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
に関する。
【0003】
【従来の技術】溶融亜鉛めっき鋼板の合金化処理を行う
加熱方法としては、従来ガス加熱による直接加熱方式が
一般的であったが、近年、誘導加熱(以下I/H と略す)
による内部加熱方式も採用されつつある。I/H 方式によ
れば温度制御性が特に向上し、一方、ガス加熱方式では
応答性の改善が図られる。
【0004】高周波誘導加熱を用いた方法としては、ガ
ス加熱方式の代替としてすべて誘導加熱に切り換えたオ
ールI/H 方式とガス加熱方式との併用であるコンビネー
ションI/H 方式の2種類が採用されつつある。
【0005】I/H 方式の合金化処理 (以下GAと略す)
は、古くから知られ (特公昭37−3107号公報等参照)、
ガス加熱方式とのコンビネーションI/H 方式について
も、特開昭61−207563号公報においてガス加熱+I/H 方
式( ポストI/H 方式) とI/H +ガス加熱方式( プレI/H
方式) とが開示されている。また、合金化度に応じて行
うI/H 制御法それ自体は特開平1−177351号公報に開示
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、コンビ
ネーションI/H方式のうち特にポストI/H 方式の優位性
に着目し、それを利用した製造方法上の問題点を検討し
た。
【0007】オールI/H 方式は操業条件変更 (板厚、
幅、L/S 、鋼種、etc.) に対する応答性は極めて良好
で、ガス加熱方式で発生する非定常時の部分がミニマム
化でき、処理鋼板の歩留ロスを最小限に抑えることがで
きる。しかしながらこのように電力だけで加熱するこ
とにより、原単位悪化ひいては成品のコストアップを招
くため、I/H とガス加熱を併用し、I/H によるガス加熱
のデメリットを補完する方式が究極の合金化処理方法で
ある。ガス加熱とI/H のコンビネーションは、その制
御方法において極めて難しく、最適制御システムを開発
する必要がある。
【0008】本発明の目的は、コンビネーションI/H 方
式のうちのポストI/H 方式による合金化溶融亜鉛めっき
鋼板の製造方法、特にその制御方法を提供することであ
る。なお、プレI/H 方式においても同様手段で制御を行
い効果を上げることは可能であるが、制御応答性を含め
ポストI/H 方式の方が総合的に優位である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる目
的達成のために、定常時の制御と非定常時の制御とを別
方式で行うことに着目した。つまり、定常時には加熱量
などの変動幅がそれほ大きくないためフィードバック制
御(FB 制御) によっても十分に対処でき、むしろその方
がコスト的にも有利である。
【0010】一方、非定常時、つまり板厚、幅、ライン
スピード(L/S)、鋼種、などが変化し、加熱条件を大幅
に変更する必要が有る場合、フィードフォアード制御(F
F 制御) を行うことが有利であり、しかもその場合にあ
って昇温時と降温時とではガス加熱部とI/H 加熱部の負
荷の割合を変えることによりより速やかな加熱条件の変
更が可能となることを知り、本発明を完成した。
【0011】ここに、本発明は、溶融亜鉛めっきされた
鋼板に合金化処理を行う際に、合金化処理にガス加熱と
高周波誘導加熱とを併用する溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法において、例えば定常時においては合金化度計また
は合金化処理炉内板温度計の実測値が一定になるようフ
ィードバック制御にて高周波誘導加熱投入電力を制御
し、非定常時ではフィードフォアード制御にて、目標鋼
板温度を変化させるために昇温時にはガス加熱部の負荷
を上げるとともに高周波誘導加熱部の負荷を下げ、一方
降温時にはガス加熱部の負荷を下げるとともに高周波誘
導加熱部の負荷を上げるガス加熱と誘導加熱の連動制御
を行い、高周波誘導加熱の変化率を大きくとるように制
御することを特徴とする、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法である。ここに定常時とはストリップ変化を伴
わない同一コイル内で、ラインスピード、温度等操作条
件の変化が±10%程度以内の部分であって、一方非定常
時とは、板幅、ラインスピード、鋼種などが変更すると
きをいい、定常時と非定常時の判断は事前にコイル情報
より上位コンピュータによって行う。
【0012】すなわち、定常時には変動量は通常±10%
以内とわずかであり、むしろ速やかな応答が求められる
ため、I/H 加熱方式のFB制御が効果的であり、一方変更
点が通過する場合のような非定常時には熱量の変動が大
きいガス加熱方式によって主として制御を行い、その場
合の応答性の遅さはFF方式で補償しようとするのであ
る。そしてこれらの組み合わせによって、予想外にも総
合的に極めて精度の高い合金化度の制御が低コストで可
能になる。
【0013】
【作用】次に、添付図面を参照して本発明についてさら
に説明する。図1は、本発明にかかる溶融亜鉛めっき鋼
板製造方法を実施するための合金化装置の略式説明図で
あり、溶融亜鉛めっき浴10から引き上げられためっき鋼
板12は、ワイピングノズル14によってめっき付着量を所
定範囲内に調整する。
【0014】溶融亜鉛めっき鋼板12は、次いで溶融亜鉛
めっき鋼板の合金化装置15に送られる。この合金化装置
15はガス加熱炉16と誘導加熱装置20とから構成されてい
る。後述する保持帯、冷却帯を含めて全体が支持フレー
ム機構 (図示せず) 内に収容されて取付けられている。
【0015】めっき鋼板12はガス加熱炉16に入り通常は
500〜550 ℃に加熱される。ガス加熱炉16を出た亜鉛め
っき鋼板12はさらに誘導加熱装置20に入り、温度制御作
用により、上記温度範囲内への正確な温度調節が行われ
る。加熱された鋼板は次いで保持帯22および冷却帯24を
経て、空冷帯28から装置外に出る。
【0016】ここで、本発明によれば、定常時にあって
は、合金化度計26またはGA板温度計27の実測値により
FB (フィードバック) 制御を行う。すなわち、それぞれ
が一定値を保つ (合金化度、板温度の目標値) ようにI/
H 投入電力量を制御する。このときの制御は予め演算し
て求めておいて関係式を使って行ってもよく、図示例で
はファージコントローラを組込んだ判断制御器30によっ
て行う。
【0017】次に、非定常時である条件変更点において
は、ラインプロセスコントローラ32でその変更条件を判
断し、その信号をうけて判断制御器30において必要熱量
の増減分を演算し、昇温時にはI/H への投入電力量を増
加させる前にガス加熱の負荷率を高めI/H の負荷率を下
げておく、逆に降温時にはI/H への投入電力量を減少さ
せる前にガス加熱の負荷率を下げ、I/H の負荷率を高め
ておく、以上により、I/H での負荷率偏差を大きくとる
ことができ、非定常時の急変化に十分速やかに対応する
ことができる。
【0018】好適態様によれば、I/H 負荷率は常時一定
設定を狙い、電力原単位をできるだけ抑制するのが好ま
しい。すなわち、定格vs25%程を目安に、定常時にお
ける設定を25%とし、変化に対する応答を±10%程度と
する。非定常時における応答は10〜100 %域で行うよ
うにすることが現実的な手法である。通常、I/H は電源
制御域が10〜100 %域であり、10%未満の低電力コント
ロールは電源系統の安定性から不可能であり10%未満は
カットされ0%指示となる。また、鋼板サイズによって
はその最大吸収電力量が規制され (飽和磁束密度の関係
式より) それ以上の電力は無効値となってしまう。した
がって、これら最大〜最小電力域での非定常時における
応答は、コンピューターシステム、AI (ファジーコント
ローラー) システム等で運用されるのが好ましい。
【0019】
【実施例】次に、本発明をその実施例によってさらに具
体的に説明する。図1に示す装置を使用して、溶融亜鉛
めっき終了後のめっき鋼板に合金化処理を行った。合金
化処理条件は次の通りであった。
【0020】 鋼板寸法:0.80mm厚さ×1530mm幅 L/S : 100 mpm 浴温度 : 460 ℃ めっき前鋼板温度: 450 〜 470 ℃ Zn付着量:片面55/55 g/m2
【0021】以上の条件で、深絞り用材料 (極低炭Ti添
加鋼−A鋼) とBHハイテン材 (極低炭P 添加鋼−B鋼)
を順次変更しながら溶融亜鉛めっきしてから合金化処理
を行った。極低炭Ti添加鋼の場合、合金化し易いため、
目標板温度は500 ℃、極低炭P 添加鋼の場合、合金化し
にくいため、目標板温度は550 ℃とした。また両者とも
目標合金化度は8.5 %とした。
【0022】まず、比較例として処理容量を同じ58 T/H
としたうえで、ガス加熱方式のみで最初A鋼を炉温度85
0 ℃で処理し(Cガス流量=550 Nm3/h)、途中からB鋼に
切り換え、同時に炉温度を950 ℃、板温度を550 ℃に変
え(Cガス流量=900Nm3/h)、さらにA鋼に切り換えた。
A鋼からB鋼への変更には3分間、B鋼からA鋼への変
更には5分間を要した。結果を図2に示すが、合金化実
績は、ガス加熱方式ではフィードバック制御が行われな
いためまた行われたとしても応答が極めて遅いため、合
金化度のバラツキは±1 %にも達してしまい、特に変更
点の非定常部では−2 %から+4 %にもばらついてしま
う。それぞれ変更点で未処理 (処理不足) および過処理
領域が生じてしまう。
【0023】次に、本発明にしたがってI/H コンビネー
ションによる合金化処理を行った。I/H の負荷率は定常
時は25%とし、変更点におけるI/H 部の負荷を昇温時に
は25%から0%に下げ、一方降温時には25%から100 %
に上げた。I/H 加熱部は周波数10 KHz、電力定格Max 10
00KWであった。結果は図3に示す。合金化度のバラツキ
は±0.5 %に抑えることができ、特に変更点の非定常部
では−0.7 %から+0.8 %の範囲内に抑えることができ
た。この程度のバラツキは材料温度のバラツキに等し
く、実質上一定と考えることができる。このように、本
発明によれば、I/H は定常部におけるFB制御部では平均
25%負荷で運転可能であり、また非定常部のFF制御部で
は負荷ゼロまたは100 %で運転を行うことができる。な
お、本例は鋼種が変更された場合であるが、板厚、その
他の仕様が変更された場合にも同様である。
【0024】本発明によりガス加熱方式とI/H 方式との
コンビネーションを採用するとともに、定常時の制御を
FB方式で行い、非定常時の制御をFF方式で行うことによ
り両者の利点を効果的に利用できる。
【0025】本発明によれば、次のような利点がみられ
た。電力原単位とガス加熱燃料原単位のコスト比較に
おいて、オールI/H 方式と比較して本発明にかかるポス
トI/H 方式では、ランニングコストは、ほぼ1/2 となっ
た。合金化度のバラツキを比較しても、ガス加熱方式
によれば±1%となり、一方本発明によれば、バラツキ
は±0.5 %と半減している。非定常時の応答特性の改
善を見ると、ガス加熱方式と比較して、250Ton Vs 20To
n となり、これは歩留ロスが250ton/月減少したことを
意味する。
【0026】
【発明の効果】このように、本発明によれば、特に非定
常時に優れた効果を発揮するが、そのような優れた作用
効果は合金化溶融亜鉛めっき鋼板に限らず、ガス加熱炉
全てに適用可能 (ただし、連続式ラインが有効) であ
り、それらの例として、塗料の乾燥用のオーブン炉、連
続式焼鈍設備etc.に適用可能である。また、合金化度制
御もAIに限らず少々の歩留ロスはあるが手動対応でもメ
リットは大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製
造装置の概略説明図である。
【図2】本発明の方法に対する比較例の結果を示す図表
である。
【図3】本発明にかかる方法の実施例の結果を示す図表
である。
【符号の説明】
10 : 溶融亜鉛めっき浴 12 : めっき鋼板 14 : ワイピングノズル 15 : 合金化装置 16 : ガス加熱炉 20 : 誘導加熱装置 22 : 保持帯 24 : 冷却帯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−177351(JP,A) 特開 平2−153060(JP,A) 特開 平3−79748(JP,A) 特開 平3−199365(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融亜鉛めっきされた鋼板に合金化処理
    を行う際に、合金化処理にガス加熱と高周波誘導加熱と
    を併用する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法におい
    て、目標鋼板温度を変化させるために、昇温時にはガス
    加熱部の負荷を上げるとともに高周波誘導加熱部の負荷
    を下げ、一方降温時にはガス加熱部の負荷を下げるとと
    もに高周波誘導加熱部の負荷を上げるガス加熱と誘導加
    熱の連動制御を行い、高周波誘導加熱の変化率を大きく
    とるように制御することを特徴とする、合金化溶融亜鉛
    めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】定常時においては、まず高周波誘導加熱投
    入電力を制御し、その後誘導加熱投入電力が一定となる
    ようにガス加熱部を制御し、非定常時には請求項1記載
    の制御を行うことを特徴とする、合金化溶融亜鉛めっき
    鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】定常時にはフィードバック制御、非定常時
    にはフィードフォアード制御を行う請求項2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】フィードバック制御を行う際に、合金化度
    計あるいは合金化処理炉内または合金化処理炉出側に設
    けた板温度計の計測量を用いる請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】ガス加熱と誘導方式を併用するにあたっ
    て、誘導加熱装置をガス加熱炉の出側に設置し、さらに
    誘導加熱装置の出側に保持帯を設けた請求項1〜4のい
    ずれかに記載の方法。
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CN107866443B (zh) * 2017-08-07 2023-11-28 上海利正卫星应用技术有限公司 一种镁合金轧制时板带在线加热装置

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