JP2596224B2 - 車両用制動装置 - Google Patents

車両用制動装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両用制動装置に関する
ものであり、特に、前車輪と後車輪との制動力の配分に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両の制動は、前車輪の回転および後車
輪の回転を抑制することにより行われる。この制動時に
は車両後方から前方への減速度の大きさに応じた荷重移
動が生じ、後車輪の荷重が減少するため、車両の減速度
が大きいほど後車輪の制動力の前車輪の制動力に対する
割合を小さく抑えることが必要である。そのため従来
は、特開昭64−41453号公報に記載されているよ
うに、後車輪のブレーキのリヤホイールシリンダに供給
する液圧を前車輪のブレーキのフロントホイールシリン
ダに供給する液圧に対して一定の比率で減圧することが
行われており、また、後車輪の荷重を検出し、その大き
さに応じて減圧開始液圧の高さを変えることも行われて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに後車輪の荷重に応じて減圧開始液圧を変えるように
しても、前車輪および後車輪に適正な配分の制動力が得
られるとは限らない。製造時における摩擦材の摩擦係数
のばらつき、走行中の熱フェードの発生による摩擦係数
の変化、車速等により、ホイールシリンダに供給される
液圧が同じであっても得られる制動力が異なることがあ
るからである。
【0004】本発明は、摩擦材の摩擦係数のばらつき等
の影響を受けることなく、前車輪と後車輪とに適正な配
分の制動力を得ることができる車両用制動装置を提供す
るとを課題として為されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の車両用制動装置
は、上記の課題を解決するために、(a)車両の減速度
を検出する減速度検出手段と、(b)前車輪の回転を抑
制するブレーキのフロントホイールシリンダの圧力を検
出するフロントホイールシリンダ圧検出手段と、(c)
後車輪の回転を抑制するブレーキのリヤホイールシリン
ダの圧力を検出するリヤホイールシリンダ圧検出手段
と、(d)前車輪の荷重を検出する前車輪荷重検出手段
と、(e)後車輪の荷重を検出する後車輪荷重検出手段
と、(f)減速度検出手段,フロントホイールシリンダ
圧検出手段,リヤホイールシリンダ圧検出手段,前車輪
荷重検出手段および後車輪荷重検出手段の相前後する2
時点の検出結果に基づいて、前車輪の制動力を前車輪の
荷重で除した値と、後車輪の制動力を後車輪の荷重で除
した値とが実質的に等しくなるようにフロントホイール
シリンダの圧力とリヤホイールシリンダの圧力との少な
くとも一方を制御する圧力制御手段とを含むように構成
される。
【0006】
【作用】車輪の最大制動力は車輪の荷重および路面の摩
擦係数で決まる。これら車輪の荷重と路面の摩擦係数と
の積である摩擦力と等しい制動力が得られるとき、車輪
は最大の制動力を発揮するのである。したがって、路面
の摩擦係数が一様であるとすれば、その一様な摩擦係数
と前車輪および後車輪の各荷重との積に相当する制動力
がそれぞれ前車輪と後車輪との両方についても得られる
とき、車両が最も効果的に制動されることとなる。前車
輪の制動力を荷重で除した値と後車輪の制動力を荷重で
除した値とが実質的に等しくなるようにするということ
は、前車輪と後車輪との両方について同時に最大制動力
が得られるようにするということ、あるいは前車輪と後
車輪とについて最大制動力の何パーセントで制動が行わ
れるかを合わせるということであり、それにより前車輪
と後車輪との制動力の配分が適正配分となる。
【0007】このようにして制動力配分を適正にするた
めには制動力を検出することが必要であるが、制動力を
検出することは容易ではない。そこで、本発明において
は車両の減速度,フロントホイールシリンダの圧力,リ
ヤホイールシリンダの圧力,前車輪の荷重および後車輪
の荷重が検出され、それらから制動力が推定される。実
施例の項において詳述するように、相前後する2時点に
おいて検出される車両の減速度,フロントホイールシリ
ンダの圧力,リヤホイールシリンダの圧力,前車輪の荷
重および後車輪の荷重から制動力を推定することが可能
なのである。
【0008】
【発明の効果】このように本発明の車両用制動装置にお
いては、前車輪の制動力を前車輪の荷重で除した値と、
後車輪の制動力を後車輪の荷重で除した値とが実質的に
等しくなるように制御するようにされており、車両の積
載荷重のみを検出する場合のように摩擦材の摩擦係数の
ばらつき等の影響を受けることなく、適正な配分の制動
力を得ることができる。しかも、制動力自体を検出する
のではなく、検出の容易な車両の減速度,フロントホイ
ールシリンダの圧力,リヤホイールシリンダの圧力,前
車輪の荷重および後車輪の荷重を検出し、その検出結果
に基づいて適正な配分の制動力を容易に得ることができ
る。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。
【0010】図2において10はブレーキぺダルであ
る。ブレーキぺダル10の踏込みにより、マスタシリン
ダ12の2個の加圧室にそれぞれ液圧が発生させられ
る。一方の加圧室に発生させられた液圧は前車輪14に
設けられたブレーキのフロントホイールシリンダ16に
供給され、他方の加圧室に発生させられた液圧は後車輪
20に設けられたブレーキのリヤホイールシリンダ22
に供給される。なお、前車輪14,後車輪20,フロン
トホイールシリンダ16およびリヤホイールシリンダ2
2は実際には2個ずつ設けられているが、左右の前車輪
と左右の後車輪とはそれぞれまとめて制御されるため、
ここでは代表的に1個のみ示して説明する。
【0011】リヤホイールシリンダ22に供給される液
圧は、圧力制御装置28により減圧制御される。この圧
力制御装置28は、図3に示すように圧力制御弁30と
荷重設定装置32とから成る。圧力制御弁30のバルブ
ハウジング34内には、段付状の弁孔36が形成されて
いる。弁孔36の大径孔部38の開口はプラグ40によ
り閉塞されるとともに、プラグ40に設けられたポート
42においてリヤホイールシリンダ22に連通させられ
ている。プラグ40にはまた、嵌合穴44が形成され、
この嵌合穴44と弁孔36の小径孔部46とに跨ってプ
ランジャ48が液密かつ摺動可能に嵌合されている。プ
ランジャ48の液密はシール50,52により保たれ、
それによりプランジャ48と大径孔部38との間に入力
室54が形成され、ポート56において前記マスタシリ
ンダ12の加圧室に連通させられている。
【0012】プランジャ48内には、入力室54に連通
する半径方向通路60,軸方向通路62,プランジャ4
8のプラグ40側の端面に開口する弁孔64が形成され
ており、弁孔64内には弁体66が収容されるととも
に、スプリング68により嵌合穴44の底部に配設され
た円盤70に当接させられている。円盤70には複数の
貫通孔72が設けられ、弁孔64とポート42との連通
を保つ。弁孔64内にはまた、弁座形成部材76が固着
されており、弁体64の弁座形成部材76への着座,離
間によりマスタシリンダ12の加圧室とリヤホイールシ
リンダ22との連通が遮断,許容される。
【0013】プランジャ48の弁孔64が形成された側
とは反対側の端部には小径の係合頭部82が形成され、
バルブハウジング34に設けられた大気圧室84内に突
出させられている。大気圧室84内には2個のばね受け
86,88が軸方向に摺動可能かつ回転不能に嵌合され
るとともに、それらの間にスプリング90が配設されて
いる。一方のばね受け86は係合頭部82に当接させら
れ、他方のばね受け88は、パルスモータ92により回
転させられるねじ部材94に螺合されている。したがっ
て、ねじ部材94が回転させられればばね受け88が軸
方向に移動し、スプリング90の設定荷重が変えられ
る。圧力制御弁30は、通常は開いてマスタシリンダ1
2の加圧室をリヤホイールシリンダ22に連通させてい
るが、マスタシリンダ12の圧力が増大し、プランジャ
48を図において左方へ移動させる向きの力がスプリン
グ90の付勢力より大きくなればプランジャ48が移動
して弁体66が弁座形成部材76に着座し、連通が遮断
される。それによりリヤホイールシリンダ22への供給
圧力はプランジャ48の大径部と小径部との断面積によ
って決まる比率で減圧されるのであるが、このリヤホイ
ールシリンダ22への供給圧力がスプリング90の設定
荷重を変えることにより変えられるのであり、ばね受け
88,ねじ部材94およびパルスモータ92が荷重設定
装置32を構成している。
【0014】本液圧ブレーキ装置においてリヤホイール
シリンダ22に供給される液圧の高さは、制御ユニット
100により制御される。この制御ユニット100は、
CPU,ROM,RAMおよびそれらを接続するバスを
有するコンピュータを主体とするものである。制御ユニ
ット100には、ブレーキぺダル10の踏込みを検出す
るブレーキスイッチ102,前車輪14の荷重を検出す
る前車輪荷重センサ104,後車輪20の荷重を検出す
る後車輪荷重センサ106,フロントホイールシリンダ
16に供給される液圧を検出するフロント液圧センサ1
08,リヤホイールシリンダ22に供給される液圧を検
出するリヤ液圧センサ110および減速度センサ112
が接続されている。なお、前後の車輪荷重センサ10
4,106はそれぞれ、左右の前車輪,後車輪のうちの
一方の前車輪,後車輪の荷重を検出し、フロントおよび
リヤの液圧センサ108,110は左右の前車輪,後車
輪のうちの一方の前車輪,後車輪のブレーキのホイール
シリンダ圧を検出するものであるが、前後2個ずつの車
輪の荷重およびホイールシリンダの圧力をいずれも検出
してそれらの平均を求め、前車輪,後車輪の荷重,ホイ
ールシリンダ圧としてもよい。
【0015】また、RAMには、図4に示すように、第
一前車輪荷重メモリ116,第二前車輪荷重メモリ11
8,第一後車輪荷重メモリ120,第二後車輪荷重メモ
リ122,第一フロント液圧メモリ124,第二フロン
ト液圧メモリ126,第一リヤ液圧メモリ128,第二
リヤ液圧メモリ130,第一減速度メモリ132,第二
減速度メモリ134がワーキングメモリと共に設けられ
ている。さらに、ROMには図1にフローチャートで示
すリヤ液圧設定ルーチンが格納されている。
【0016】次に作動を説明する。制動時にはブレーキ
ぺダル10が踏み込まれ、マスタシリンダ12の2個の
加圧室にそれぞれ発生させられた液圧がフロントホイー
ルシリンダ16とリヤホイールシリンダ22とに供給さ
れ、前車輪14および後車輪20の回転が抑制される。
このように制動が行われる間、リヤ液圧設定ルーチンが
実行される。まず、ステップS1(以下、S1と略称す
る。)において前車輪荷重WF ,後車輪荷重WR ,フロ
ントホイールシリンダ16の液圧PF ,リヤホイールシ
リンダ22の液圧PR,減速度Gが読み込まれ、第一の
前車輪荷重メモリ116,後車輪荷重メモリ120,フ
ロント液圧メモリ124,リヤ液圧メモリ128および
減速度メモリ132に格納される。これら第一のメモリ
に格納された値には0を付して示す。
【0017】次いで、S2においてブレーキぺダル10
が踏み込まれているか否かにより制動中であるか否かの
判定が行われる。制動中であればS2はYESとなり、
S3においてS1の実行から設定時間tが経過したか否
かの判定が行われる。この判定は当初はNOであり、設
定時間tが経過するまでS2およびS3が実行され、そ
の間に制動が解除されればルーチンの実行は終了する。
制動が解除されることなく設定時間tが経過すればS3
がYESとなってS4が実行され、再び、前車輪荷重W
F ,後車輪荷重WR ,フロントホイールシリンダ16の
液圧PF ,リヤホイールシリンダ22の液圧PR ,減速
度Gが読み込まれ、第二の前車輪荷重メモリ118,後
車輪荷重メモリ122,フロント液圧メモリ126,リ
ヤ液圧メモリ130および減速度メモリ134に格納さ
れる。これら第二のメモリに格納された値には1を付し
て示す。
【0018】続いてS5において前車輪14のブレーキ
効き係数BF および後車輪20のブレーキ効き係数BR
が算出される。S1とS4とにおいて設定時間tを経て
読み込まれた2時点の検出値およびブレーキ効き係数B
F ,BR について数1および数2が成り立つ。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
【0021】ブレーキの効き係数は、ブレーキの構造,
タイヤの半径,摩擦材の摩擦係数等により決まり、摩擦
材の摩擦係数の変化に応じて変わる。しかし、この変化
は緩慢であり、微小な設定時間t内の変化は無視しても
よく、BF0=BF1,BR0=BR1である。また、前車輪荷
重と後車輪荷重との総和は常に一定であってWF0+WR0
=WF1+WR1であり、ブレーキ効き係数BF およびBR
は数3,数4で表される。
【0022】
【数3】
【0023】
【数4】
【0024】なお、これらブレーキ効き係数BF0,BR0
は、次にS6の説明において述べるようにリヤホイール
シリンダ20に発生させるべき設定液圧Pの算出に使わ
れるのであるが、その算出時に(WF1+WR1)は消去さ
れるため、S5ではブレーキ効き係数BF0,BR0は(W
F1+WR1)を付さない式で示されている。
【0025】次にS6において、前後の車輪の制動力を
適正な配分とするためにリヤホイールシリンダ22に発
生させるべき設定液圧Pが求められる。この設定液圧P
は、前輪制動力と後輪制動力との配分が適正になるに
は、前車輪制動力を前車輪荷重で除した値と、後車輪制
動力を後車輪荷重で除した値とが実質的に等しくなれば
よいことから求められる。前車輪制動力および後車輪制
動力は数5,数6で表される。
【0026】
【数5】
【0027】
【数6】 これら数5,数6から数7が成立する。
【0028】
【数7】 数7をPR1について解けば、数8が得られる
【0029】
【数8】 S6においては数8で表される演算が行われ、リヤホイ
ールシリンダ20に発生させるべき設定液圧Pが求めら
れるのである。
【0030】続いてS7が実行され、S6において求め
られた設定液圧PとS4で読み込まれた最新のリヤホイ
ールシリンダ液圧PR1とが等しいか否かの判定が行われ
る。等しければリヤホイールシリンダ液圧が適正な制動
力配分を得るのに適した値であることを意味し、リヤホ
イールシリンダ圧を増大も減少もさせる必要がなく、S
11において最新の前輪荷重WF1,後輪荷重WR1,フロ
ントホイールシリンダ圧PF1,リヤホイールシリンダ圧
R1,減速度G1 が第二のメモリ118,122,12
6,130,134から第一のメモリ116,120,
124,128,132に移されてWF0,FR0,PF0
R0,G0 にされた後、ルーチンの実行はS2に戻る。
【0031】それに対し、PR1がPと等しくない場合に
はS7がNOとなってS8が実行され、PR1がPより大
きいか否かの判定が行われる。PR1がPより小さければ
現在のリヤホイールシリンダ液圧が適正な制動力配分を
得るために不足であることを意味し、S9においてリヤ
ホイールシリンダ圧が増大させられる。スプリング90
の設定荷重が大きくされ、PR とP1 との差の分だけリ
ヤホイールシリンダ圧が増大するように圧力制御弁32
の減圧開始液圧が高くされるのである。
【0032】また、PR1がPより大きい場合には、適正
な配分の制動力を得るのにリヤホイールシリンダ圧が過
大であることを意味し、S10が実行されてリヤホイー
ルシリンダ圧が減圧される。スプリング90の設定荷重
が小さくされ、圧力制御弁30の減圧開始液圧が低くさ
れるのである。
【0033】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、フロント液圧センサ104がフロントホイ
ールシリンダ圧検出手段を構成し、リヤ液圧センサ10
6がヤホイールシリンダ圧検出手段を構成し、前車輪荷
重センサ108が前車輪荷重検出手段を構成し、後車輪
荷重センサ110が後車輪荷重検出手段を構成し、減速
度センサ112が減速度検出手段を構成するとともに、
圧力制御装置28,ROMのS1〜S11を記憶する部
分ならびにCPUおよびRAMのそれらステップを実行
する部分が圧力制御手段を構成しているのである。
【0034】なお、上記実施例においては、リヤホイー
ルシリンダ圧が圧力制御弁30のスプリング90の設定
荷重を調節することにより増大,減少させられるように
なっていたが、電磁液圧制御弁を設けて制御するように
してもよい。例えば、図5に示すように、フロントホイ
ールシリンダ16へは前記実施例の場合と同様にマスタ
シリンダ12の加圧室に発生させられた液圧が供給さ
れ、リヤホイールシリンダ22へは圧力発生装置140
において発生させられた液圧が供給されるようにするの
である。
【0035】圧力発生装置140は、図6に示すよう
に、リザーバ142からポンプ143によりブレーキ液
を汲み上げてアキュムレータ144に供給するととも
に、アキュムレータ144の液圧を電磁液圧制御弁14
6が励磁電流の大きさに対応する高さに制御してリヤホ
イールシリンダ22に供給するものである。この電磁液
圧制御弁146は、本出願人に係る特願平2−1829
38号に記載の電磁液圧制御弁とほぼ同じである。ブレ
ーキぺダル10の踏込み力が踏込み力センサ148(図
5参照)により検出され、フォースモータ150のコイ
ル152に励磁電流が供給される。スプール154は非
制動時には図に示す位置にあり、制御圧ポート156を
低圧ポート158に連通させているが、励磁電流の供給
により前進させられ、制御圧ポート156を高圧ポート
160に連通させる。スプール154には反力ピン16
2によって後退方向の力が加えられ、スプール154は
前進方向の制御力と後退方向の反力とが釣り合う位置で
停止し、制御圧ポート156の液圧はコイル152の励
磁電流の大きさに対応する高さになる。
【0036】本実施例においては、前記実施例の場合と
同様に制動時にはリヤ液圧設定ルーチンが実行され、適
正な配分の制動力を得るために必要な設定液圧Pが算出
される。そして、最新のリヤホイールシリンダ圧PR1
設定液圧Pより大きい場合には、電磁液圧制御弁146
のコイル152への励磁電流が減少させられ、リヤホイ
ールシリンダ圧が低下させられる。また、最新のリヤホ
イールシリンダ圧PR1が設定液圧Pより低い場合には、
コイル152への励磁電流が増大させられ、リヤホイー
ルシリンダ圧が増大させられる。
【0037】なお、上記各実施例の制動装置において
は、前車輪および後車輪について、あるいは前車輪につ
いて、ホイールシリンダにマスタシリンダ12に発生さ
せられた液圧を供給することにより車輪の回転を抑制す
る所謂マニュアル式となっていたが、ブレーキぺダル
等、ブレーキ操作部材の操作量を電気的に検出し、その
検出に基づいてブレーキのホイールシリンダに液圧を供
給する電子制御ブレーキ装置にも本発明を適用すること
ができる。この場合には、上記各実施例と同様にフロン
トホイールシリンダ圧を基準としてリヤホイールシリン
ダ圧を制御してもよく、あるいは前記リヤ液圧設定ルー
チンのS6においてリヤホイールシリンダ圧とフロント
ホイールシリンダ圧との比率を求め、両圧力がその比率
となり、かつ、車両にブレーキ操作部材の操作量に見合
った減速度が生ずるようにフロントホイールシリンダ圧
とリヤホイールシリンダ圧との両方を制御してもよい。
【0038】また、上記各実施例においては、左右のリ
ヤホイールシリンダ圧がまとめて制御されるようになっ
ていたが、独立に制御されるようにしてもよい。この場
合には、各車輪について荷重センサ,ホイールシリンダ
圧センサを設けるとともに圧力制御装置を設け、適正な
配分の制動力が得られるようにホイールシリンダの圧力
をそれぞれ制御する。
【0039】その他、特許請求の範囲を逸脱することな
く、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した
態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用制動装置を制御
する制御ユニットの主体を成すコンピュータのROMに
格納されたリヤ液圧設定ルーチンを示すフローチャート
である。
【図2】上記車両用制動装置の系統図である。
【図3】上記車両用制動装置においてリヤホイールシリ
ンダの圧力を制御する圧力制御装置を示す正面断面図で
ある。
【図4】上記コンピュータのRAMの構成を示す図であ
る。
【図5】本発明の別の実施例である車両用制動装置の系
統図である。
【図6】図5に示す車両用制動装置においてリヤホイー
ルシリンダに供給する圧力を発生する圧力発生装置を示
す図である。
【符号の説明】
14 前車輪 16 フロントホイールシリンダ 20 後車輪 22 リヤホイールシリンダ 28 圧力制御装置 100 制御ユニット 104 前車輪荷重センサ 106 後車輪荷重センサ 108 フロント液圧センサ 110 リヤ液圧センサ 112 減速度センサ 140 圧力発生装置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の減速度を検出する減速度検出手段
    と、前車輪の回転を抑制するブレーキのフロントホイー
    ルシリンダの圧力を検出するフロントホイールシリンダ
    圧検出手段と、後車輪の回転を抑制するブレーキのリヤ
    ホイールシリンダの圧力を検出するリヤホイールシリン
    ダ圧検出手段と、前記前車輪の荷重を検出する前車輪荷
    重検出手段と、前記後車輪の荷重を検出する後車輪荷重
    検出手段と、前記減速度検出手段,前記フロントホイー
    ルシリンダ圧検出手段,前記リヤホイールシリンダ圧検
    出手段,前記前車輪荷重検出手段および前記後車輪荷重
    検出手段の相前後する2時点の検出結果に基づいて、前
    車輪の制動力を前車輪の荷重で除した値と、後車輪の制
    動力を後車輪の荷重で除した値とが実質的に等しくなる
    ように前記フロントホイールシリンダの圧力と前記リヤ
    ホイールシリンダの圧力との少なくとも一方を制御する
    圧力制御手段とを含むことを特徴とする車両用制動装
    置。
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