JP2595922B2 - 抗rna結合蛋白質抗体の測定法 - Google Patents

抗rna結合蛋白質抗体の測定法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自己免疫病、自己免疫
現象の予知、診断、経過観察の一環として行われる自己
抗体検査の抗原試薬として有効に利用される抗RNA結
合蛋白質抗体の測定法に関する。
【0002】
【従来の技術】低分子RNAに特異的に結合する蛋白質
としては、細胞核内の低分子RNAに結合し、RNAの
スプライシングに寄与する一群の蛋白質および細胞質内
の低分子RNAに結合し、RNA代謝調節を司る一群の
蛋白質が知られている。全身性の自己免疫疾患では何ら
かの機構により該RNA結合蛋白質に対する抗体を産生
するようになり、それが原因となって例えば炎症、潰
瘍、皮疹、乾燥などの様々な自己免疫現象に伴う病変が
発現する。さらに、自己免疫疾患患者血清中に出現する
抗体に対し対応するRNA結合蛋白質は、該疾患群間で
多様であり、例えば全身性紅斑性狼瘡(SLE)、混合
性結合組織病(MCTD)では核内RNA結合蛋白質に
対し、乾燥症候群(SjS)では細胞質内のRNA結合
蛋白質に対し高頻度で抗体を産生する。したがって、こ
れら自己免疫疾患患者血清中に出現する各種の自己抗体
を検出することの臨床上の本質的意義は該疾患の診断、
経過観察および自己免疫現象の予知にある。
【0003】従来から該抗体群を検出するために使用さ
れる抗原としては、ヒトの培養細胞や哺乳動物細胞の抽
出液あるいは細胞そのものが粗抗原として用いられてき
た。これは、該蛋白質の抗原性が種を越えて共通である
ので自己免疫疾患患者血清中に見いだされる自己成分に
対する抗体すなわち自己抗体を検出するための抗原とし
ていかなる哺乳動物由来のものも使用できるからであ
る。また、細胞核内RNA結合蛋白質に対する抗体群と
しては、抗リボ核蛋白質抗体群と抗スミス抗体群が、細
胞質内RNA結合蛋白質に対する抗体群としては、抗S
SA/Ro抗体群と抗SSB/La抗体群が広く知られ
ており、これら抗体群の検出は、因習的に管理された基
準血清と上述した粗抗原液との反応様式に対比させて、
例えば2元免疫拡散法による出現沈降線の融合現象ある
いは蛍光抗体法による培養細胞の染色像の判読により検
出されているにすぎず、抗原が精製されているものであ
る必要がなかった。
【0004】近年、該抗体群に対する抗原の性質、機能
が分子生物学的あるいは蛋白化学的に明らかにされるに
至り、精製抗原を検出試薬として用いる鋭敏で定量的な
臨床検査法を確立する必要性が生じてきている。RNA
結合蛋白質の分離精製法に関しては多くの科学文献に記
載されている(Clin Exp.Immunol.,54,731-738,(198
3)、J.Biol.Chem.,258,2604-2613(1983)など)。大抵の
方法においては、動物組織あるいは培養細胞から抽出し
た蛋白溶液を塩析した後、各クロマトグラフィに供する
分離法が一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】塩析法は、塩濃度の増
加に伴って蛋白質の溶解度が減少する現象を利用した分
画方法であるが、RNA結合蛋白質の粗分画に塩析法を
用いた場合、所定の塩濃度範囲で効果的に該蛋白質を析
出させることはできない。これはRNA結合蛋白質の多
種多様性に起因していると考えられ、なるべく多くのR
NA結合蛋白質を析出させる目的では、選択すべき塩濃
度範囲は極めて広範になり分離効果は著しく悪くなる。
さらに塩析法では、目的とするRNA結合蛋白質以外に
も多くの蛋白質が所定の塩濃度範色で析出し、これらの
蛋白質が相当量夾雑することは避けることができない。
そこで本発明者らは、RNAに結合可能な蛋白質に特徴
的なアミノ酸配列として亜鉛結合フィンガ配列に着目
し、効率的なRNA結合蛋白質の分画法に関し鋭意検討
した結果、本発明を完成させた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、動物組織、培
養細胞またはそれらの加工品からRNA結合蛋白質を抽
出し、次いで得られる抽出物にZ++、Ni++、Cu++ま
たはCo++を添加し、RNA結合蛋白質を凝集析出させ
ることにより他の可溶性蛋白質から分離し、その後にキ
レート剤を添加してRNA結合蛋白質を再溶解させ、精
製されたRNA結合蛋白質を取得し、これを抗原として
使用し、被験対象物中に存在する抗体を検出又は定量す
ることを特徴とする抗RNA結合蛋白質抗体の測定法に
関する。
【0007】動物組織、培養細胞またはそれらの加工品
からRNA結合蛋白質を含む希薄塩可溶性画分を抽出す
る過程において、同時に可溶化される考えられうるすべ
ての蛋白分解酵素による侵襲から保護するため蛋白分解
酵素に対する阻害剤を添加した抽出用緩衝液で抽出され
るのが好ましい。さらにこの抽出操作に関し、なるべく
多くのRNA結合蛋白質を得るために被抽出対象物から
の抽出は2回行い、2回の抽出物を合体するのが好まし
い。本抽出操作に用いる抽出用緩衝液の塩濃度は、グロ
ブリン分画の蛋白質が溶解し易く、かつ核内ヒストンが
溶解しない濃度であれば特に制限はないが、生理的塩濃
度で行うのが好ましい。また、抽出液中のRNA結合蛋
白質の検出は操作が簡易であることから、目的とするR
NA結合蛋白質を特異的に認識する抗血清を用いた2元
免疫拡散法により行うのが好ましい。
【0008】次いで、2価の金属イオンの添加により凝
集析出させるが、これを容易にするために、得られた抽
出液を低イオン強度の弱アルカリ緩衝液に対し十分に透
析するのが好ましい。2価の金属イオンの添加方法とし
ては、2価の金属イオンの懸濁液を上記抽出液と同容量
加え、30分以上氷上に静置するのが好ましい。この際
に添加する2価の金属イオンの溶液は、その飽和濃度以
下の溶液であってもRNA結合蛋白質の凝集析出は生じ
るが、凝集析出を容易ならしめるために、飽和濃度を超
える懸濁液として使用し懸濁粒子を凝集析出のキャリア
として用いるのが好ましい。凝集析出したRNA結合蛋
白質は遠沈、濾過などの分離手段によって回収する。な
お、回収した沈澱は飽和濃度の2価の金属イオンの溶液
で洗浄するのが好ましい。
【0009】ここで、2価の金属イオンとしては、イオ
ン半径が0.71〜0.75ÅのZ++、Ni++、Cu++
よびCo++が効果が高く好ましく、中でもZn++が最も
好ましい。具体的には添加される2価の金属イオンを含
む塩としては、塩化亜鉛、塩化ニッケル、塩化第2銅、
塩化コバルト等の塩化物が好ましいが、これに制限され
るものではない。
【0010】その後引き続き、分離した該沈澱にキレー
ト剤を添加して沈澱を再溶解させる。このとき、キレー
ト剤は緩衝液に溶解し、キレート剤溶液として用いるの
が好ましい。該溶液は沈澱回収前と同体積添加し、再溶
解せしめるのが好ましい。この場合、添加するキレート
剤溶液の濃度を段階的に増加させることにより、再溶解
するRNA結合蛋白質の種類を限定することができる。
例えば、終濃度30mM以下のエチレンジアミン4酢酸
塩(EDTA)溶液でSSB/La蛋白質を、終濃度3
0mM以上のエチレンジアミン4酢酸塩(EDTA)溶
液でSSA/Ro蛋白質を効率よく再溶解することがで
きる。
【0011】ここでキレート剤としては、エチレンジア
ミン4酢酸塩(EDTA)、エチレングリコール−O
O′−ビス(2アミノメチル)−NNN′N′−4酢酸塩
(EGTA)、o−フェナンスロリン、8−オキシキノリ
ンなどが使用できるが、EDTAの使用が最も好まし
い。以上のような工程により、全蛋白量に対する分離精
製の対象であるRNA結合蛋白質の比を飛躍的に増大さ
せることができる。すなわち、他の夾雑蛋白の大部分を
除去することができる。
【0012】ここで、この方法により精製倍率を飛躍的
に増大できる具体的なRNA結合蛋白質としては、YR
NA複合体蛋白質を構成するSSB/La蛋白質、SS
A/Ro蛋白質が挙げられる。以上の工程により得られ
るRNA結合蛋白質は、例えばオクタロニ法などの一部
の免疫測定法に使用する抗原としてそのまま用いること
ができる。さらに分子ふるいクロマトグラフィ、イオン
交換クロマトグラフィ、吸着クロマトグラフィ、ある種
の群特異的クロマトグラフィなどの操作を少なくとも一
段階組み合わせることによりさらに高度に精製されたR
NA結合蛋白質標品を得ることができ、該標品は免疫化
学反応を測定原理とするいかなる自己抗体測定用診断剤
に使用する抗原としても用いることができる。
【0013】次に得られるRNA結合蛋白質を抗原とし
て使用し、被験対象物中に存在する抗体を検出又は定量
する抗RNA結合蛋白質抗体の測定法について説明す
る。本発明の測定法は、前記抗原を使用しさえすれば、
どのような測定方法であってもよい。例えば、酵素免疫
測定法、放射免疫測定法、免疫比濁法、免疫比ろう法、
ラテックス凝集法、血球凝集法、蛍光免疫測定法、免疫
化学発光法、色素免疫測定法などを行なうことができ
る。好ましい一例として、標識2次抗体を用いる免疫測
定法について説明する。
【0014】固体表面、例えばポリスチレン孔を前記ポ
リペプチド鎖で覆う。通常、この被覆操作はアルカリ域
に緩衝作用を有する。例えば炭酸ナトリウム緩衝液にポ
リペプチド鎖を溶解し0.01ないし100μg/ml溶液
として用い、低温下にて1夜中行う。その後に、固体表
面に物理吸着されなかったポリペプチド鎖を緩衝液と共
に吸引除去し、つづいて該ポリペプチド鎖と免疫化学的
交叉性のない親水性球状蛋白質、例えばミルクカゼイン
などの0.01ないし1%(重量/容積)溶液で、室温
下約1時間ブロッキングを行う。これは、ポリペプチド
鎖で被覆されなかった固体表面あるいは固体表面に物理
吸着したポリペプチド鎖の分子表面上の易吸着性部位を
覆うことにより、その後に添加する被験対象物溶液また
は標識2次抗体溶液中の蛋白成分が非特異的に吸着する
のを防ぐためである。その後に、被覆あるいはブロッキ
ングに使用されなかったポリペプチド鎖または蛋白成分
を固体表面から除去するため、非イオン系界面活性剤を
含有する中性の洗浄液で十分に洗浄する。以上のように
して抗原となるポリペプチド鎖を担体に固定し、次いで
抗体の検出又は定量を行なう。
【0015】非イオン系界面活性剤と免疫化学的交叉性
のない親水性球状蛋白質とを含有する生理的緩衝液で適
宜に希釈した被験対象物、例えば患者血清を該ポリペプ
チド鎖で被覆した固体表面と抗原抗体結合反応が完結す
るのに十分な時間接触させる。その後更に、非イオン系
界面活性剤を含有する中性の洗浄液で固体表面を十分に
洗浄し、過剰量の標識2次抗体を含有する生理的溶液に
該固体表面を抗原抗体結合反応が完結するのに十分な時
間接触させる。ここで標識物質は、酵素、放射性同位元
素、蛍光物質等、特に制限されないが、酵素標識が特に
好ましい。そしてひきつづき、非イオン系界面活性剤を
含有する中性の洗浄液で固体表面を十分に洗浄し、該標
識2次抗体の存在または量を検出する。酵素標識の場
合、酵素に対する特異的基質溶液に該固体表面を酵素反
応の生成物が検出されるに十分な時間接触させる。この
場合、酵素反応により生成される産物の量は被験対象物
中に含有される該ポリペプチド鎖上の抗原決定基に対す
る抗体量に比例依存的であり、したがって間接的に被験
対象物中の該抗体を定量することができる。
【0016】
【実施例】以下に、SSB/La蛋白質の分離精製法に
ついて、実施例により本発明を詳述する。 実施例 緩衝液A:11中に、塩化ナトリウム8g、塩化カリウ
ム0.2g、燐酸2ナトリウム・12水塩2.7g、燐
酸1カリウム0.2gを含有する燐酸系緩衝液。 緩衝液B:蛋白分解酵素阻害剤として、エチレングリコ
ール−OO′−ビス(2アミノメチル)−NNN′N′
−4酢酸塩(EDTA)10-3M、フッ化フェニルメチ
ルスルフォニル(PMSF)10-3M、ロイペプチン
0.05%(重量/容積)、アンチパイン0.05%
(重量/容積)、キモスタチン0.05%(重量/容
積)、ペプスタンチンA0.05%(重量/容積)をさ
らに含有する緩衝液A。 緩衝液C:トリス緩衝液10mM×HCl pH8.0。 懸濁液D:塩化亜鉛0.2Mを懸濁させた緩衝液C。 キレート液E1:エチレンジアミン4酢酸塩(EDT
A)10mMを含有する緩衝液C。 キレート液E2:エチレンジアミン4酢酸塩(EDT
A)20mMを含有する緩衝液C。 キレート液E3:エチレンジアミン4酢酸塩(EDT
A)30mMを含有する緩衝液C。 キレート液E4:エチレンジアミン4酢酸塩(EDT
A)40mMを含有する緩衝液C。 キレート液E5:エチレンジアミン4酢酸塩(EDT
A)50mMを含有する緩衝液C。 キレート液E6:エチレンジアミン4酢酸塩(EDT
A)100mMを含有する緩衝液C。
【0017】以下に示す操作は、すべて4℃で行った。 1)使用されるRNA結合蛋白質を含有する組織抽出液
の取得 緩衝液B300mlを家兎胸腺アセトン粉末(ペルーフリ
ーズ(Pel Freeze)社製)30gに添加し、該混合物を
一昼夜溶解させた。その後、該懸濁液を10,000×
gで30分間遠心分離し、上澄液を抽出液Aとした。こ
の沈澱物から2回目の抽出を行うため、沈澱物に緩衝液
B50mlを添加し4時間攪拌した。その後、該懸濁液を
10,000×gで30分間遠心分離し、上澄液を抽出
液Bとし、抽出液Aと合わせることにより抽出液Cとし
た。
【0018】2)塩化亜鉛懸濁液によるRNA結合蛋白
質の析出沈澱の回収 抽出液Cを緩衝液Cに対し十分な時間透析した後、同一
体積の懸濁液Dを添加し30分以上放置した。その後、
凝集析出した蛋白質を10,000×gで20分間遠心
分離した。
【0019】3)キレート剤溶液によるRNA結合蛋白
質の再溶解 2)で得られた沈澱からキレート液E1、E2、E3、
E4、E5、E6を順次150mlずつ添加し、各々の段
階で再溶解する蛋白質量を測定した。得られた蛋白質を
RNA結合蛋白質分画標品とした。
【0020】4)各溶離液中のSSB/Laの蛋白質酵
素免疫測定法による測定 96穴のELISA用マイクロプレートの孔に1000
分の1に希釈したSSB/La蛋白溶液(各分画標品)
200μlを入れ、4℃で1晩吸着させた。希釈には、
0.1M炭酸ナトリウム緩衝液、pH8.6を使用した。
その翌日、0.2%ミルク溶液400μlで室温下に1
時間ブロックし、プレート上の未反応部位および吸着蛋
白表面の易吸着性部位を被覆した。つづいて、1次抗体
溶液(抗SSB/La血清を、0.1%ミルクおよび
0.1%トウィーン20を含むダルベッコリン酸緩衝生
理食塩液で1,000分の1に希釈)20μlを添加
し、室温下で2時間反応させ、抗SSB/La抗体を被
覆抗原に結合させた。1次抗体反応後プレートを洗浄し
(洗浄用緩衝液として、0.1%トウィーン20を含む
ダルベッコリン酸緩衝生理食塩液を用い、3分間5回洗
浄)、2次抗体溶液(フォスファターゼ標識抗ヒトIg
G+A+M抗体血清(KPL社製)を0.1%ミルクお
よび0.1%トウィーン20を含むダルベッコリン酸緩
衝生理食塩液で1,000分の1に希釈)20μlを添
加し、さらに室温下で2時間反応させ2次抗体をプレー
ト上の1次抗体(抗SSB/La抗体)と結合させた。
2次抗体反応にひきつづいて、上記同様にプレートを洗
浄し、基質溶液(1mg/mlp−ニトロフェニルリン酸、
1Mジエタノールアミン緩衝液)200μlを添加し、
1次抗体に捕捉された標識2次抗体の酵素活性を分光光
度計により405nmの波長で吸光度を測定することによ
り求めた。この酵素活性は、プレート上のSSB/La
抗原の量と比例関係にあるので、酵素活性の大きさをも
って試料中の抗原量を測定することができる。
【0021】得られた結果を図1に示す。なお、Lowry
法により各分画標品の蛋白量を求めたが、EDTAが2
0mM、30mMのものは、蛋白量あたりのSSB/L
a抗原の活性が格段に増大していた。
【0022】5)SDSポリアクリルアミドゲル電気泳
動法による分析 Laemmliらの方法に準じ、12.5%アクリルアミドゲ
ル(架橋度0.8)中で各分画標品を泳動試料として展
開した。泳動条件は、泳動開始時40mA、濃縮泳動時
4V/cm、分離泳動時8V/cmとした。また、泳動試料
は予め還元剤を含まない試料用緩衝液(312.5mM
トリス−塩酸、pH6.8、0.1%ブロムフェノールブ
ルー、10%ドデシル硫酸ナトリウム、20%グリセリ
ン)を25体積%加え30分間室温処理した。泳動後の
ゲルは0.05%CBBで1晩染色し、翌日、0.7%
酢酸で脱色した。なお、分子量マーカーとして、92.
5Kダルトン、66.2Kダルトン、45.0Kダルト
ン、31.0Kダルトン、21Kダルトン及び14.4
Kダルトンのマーカーを有するBIO−RAD社製分子
量マーカーを使用した。その結果、EDTA濃度が20
mM及び30mMのものは、全染色蛋白バンドに対する
分子量約50Kダルトンのバンドの濃さの比が増大して
いた。
【0023】
【発明の効果】従来、RNA結合蛋白質に対する抗体測
定時に使用する抗原としては細胞の抽出液がそのまま用
いられてきた。しかし、近年自己抗原になりうる細胞構
成成分としてRNA結合蛋白質の分子的性状が明らかに
されつつあり、これらの機能と自己免疫疾患罹患者の血
清中に出現する、これらに対する抗体の機能および病因
との関連、または該疾患経過中に見られる自己免疫現象
と血清中の抗体価変動との関連もしくは病日との関連に
ついても諸説が議論され、病因物質としての抗RNA結
合蛋白質抗体の寄与ならびに臨床像との関連の把握が重
要となってきている。したがって、本発明のごとく、特
異的に効率よくRNA結合蛋白質を他の蛋白質や成分か
ら分画する方法の確立は、自己免疫疾患の診断や経過観
察、あるいは自己免疫現象の予知のために行われる臨床
検査に、用いられる試薬構成要素として純度、特異性の
高い抗原を調整するための精製を提供するものとなる。
そして、得られたRNA結合蛋白質を用いた本発明の抗
RNA結合蛋白質抗体の測定法は、臨床上非常に有効な
ものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるRNA結合蛋白質(S
SB/La蛋白質)の亜鉛沈澱からのキレート剤溶液に
よる再溶解量を示す図であり、縦軸は溶解上清中のSS
B/Laの抗原量を酵素免疫測定法で定量した時の波長
405nmにおける吸光度を、横軸は用いたキレート剤溶
液のEDTA濃度を表す。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動物組織、培養細胞またはそれらの加工
    品からRNA結合蛋白質を抽出し、次いで得られる抽出
    物にZ++、Ni++、Cu++またはCo++を添加し、RN
    A結合蛋白質を凝集析出させることにより他の可溶性蛋
    白質から分離し、その後にキレート剤を添加してRNA
    結合蛋白質を再溶解させ、精製されたRNA結合蛋白質
    を取得し、これを抗原として使用し、被験対象物中に存
    在する抗体を検出又は定量することを特徴とする抗RN
    A結合蛋白質抗体の測定法。
  2. 【請求項2】 精製するRNA結合蛋白質がSSB/L
    a蛋白質である請求項1記載の抗RNA結合蛋白質抗体
    の測定法。
  3. 【請求項3】 精製するRNA結合蛋白質がSSA/R
    o蛋白質である請求項1記載の抗RNA結合蛋白質抗体
    の測定法。
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