JP2004300060A - ストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の製造方法 - Google Patents
ストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004300060A JP2004300060A JP2003094283A JP2003094283A JP2004300060A JP 2004300060 A JP2004300060 A JP 2004300060A JP 2003094283 A JP2003094283 A JP 2003094283A JP 2003094283 A JP2003094283 A JP 2003094283A JP 2004300060 A JP2004300060 A JP 2004300060A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- antibody
- streptococcus mutans
- streptococcus
- antigen
- cells
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
【解決手段】免疫動物に、ストレプトコッカス・ミュータンスの全菌体、そのプロテアーゼ処理菌体、及びこれらの菌体の抗原抽出物から選ばれる少なくとも1種の免疫原を免疫して抗体混合物を得、その後、上記各免疫原から選ばれる少なくとも1種を抗原として用いたアフィニティー精製法によって当該抗体混合物を精製するポリクローナル抗体の製造方法において、前記免疫動物への免疫原及びアフィニティー精製に用いる抗原の少なくとも一方として、前記プロテアーゼ処理菌体、または当該菌体の抗原抽出物を使用し、且つアフィニティー精製における担体からの溶出の際に、カオトロピックイオンを使用する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ストレプトコッカス・ミュータンスに特異的なポリクローナル抗体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ミュータンスレンサ球菌と呼ばれる一群の乳酸発酵性細菌が、齲蝕発症に深く関わっていることが知られている。
【0003】
これらミュータンスレンサ球菌群は、ストレプトコッカス・クリセタス(S.cricetus、血清型a)、ストレプトコッカス・ラッタス(S.rattus、血清型b)、ストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans、血清型c、e、f)、ストレプトコッカス・フェルス(S.ferus、血清型c)、ストレプトコッカス・マカカ(S.macacae、血清型c)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(S.sobrinus、血清型d、g)、ストレプトコッカス・ドウネイ(S.downey、血清型h)として、血清学的、遺伝学的に異なる7種の型に分類されている。
【0004】
従来、これらミュータンスレンサ球菌の唾液中の濃度が105〜106個/mlの場合には、齲蝕の危険あり、106個/ml以上の場合は特に危険であると言われており、人の口腔内におけるミュータンスレンサ球菌の存在量を知ることで、その人の齲蝕危険度の判定を行なうことが可能である。一般に、これらミュータンスレンサ球菌の濃度は、バシトラシンを入れた培地を用いて唾液中のミュータンスレンサ球菌を選択的に培養してコロニー数を調べることにより測定されている(そのための測定キットも市販されている)。そして、唾液中の各ミュータンスレンサ球菌の濃度についても、同様に培養を行なって得られたコロニーの中から各菌のコロニーを同定し、その数を調べることにより一応知ることができる。なお、同定の方法としては、糖発酵試験等の生化学的方法、DNAプローブを用いる遺伝学的方法、血清型特異的抗体を用いる免疫学的方法等が知られている。
【0005】
近年、ミュータンスレンサ球菌の中でヒトの口腔に存在するのは主にストレプトコッカス・ミュータンスとストレプトコッカス・ソブリヌスの2菌種であることが明らかとなった。特に、ストレプトコッカス・ミュータンスはヒト口腔から高頻度に分離され(9割以上の人から分離される)、齲蝕の発生に深く関連することが判明した。
【0006】
現在、口腔内のミュータンスレンサ球菌の測定法としては培養法が広く実施されている。しかし、培養法は、培養操作が不可欠であること、更に分離したコロニーの形態からの菌種の同定には熟練した手技が必要であることから、検査時間および操作の煩雑さの点で問題がある。
【0007】
歯垢や唾液等の臨床検体からストレプトコッカス・ミュータンスを直接検出する方法としては、各種モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体を用いた免疫学的測定方法が報告されている。これらの方法は菌を培養する必要が無く、検出に要する時間が大幅に短縮できるという利点がある。
【0008】
口腔内には様々なストレプトコッカス属に分類されるレンサ球菌が常在していることが知られている。口腔内の各部位により細菌叢中の存在比率は異なるが、齲蝕危険度の判定に使用する歯垢や唾液では、ストレプトコッカス属のレンサ球菌が細菌叢の約50%近くを占めることが知られており(例えば、非特許文献1)、また、唾液1ml中の総菌数は108個/ml以上であると言われている。ミュータンスレンサ球菌数は一般的に107個以下であるので、口腔内のレンサ球菌は大部分がミュータンスレンサ球菌以外のレンサ球菌であるといえる。
【0009】
従って、齲蝕危険度の判定のためには、108個/mlオーダーのミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌中に混在する105個/mlオーダーのストレプトコッカス・ミュータンスを測定する、即ち、ミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌がストレプトコッカス・ミュータンスの1000倍量程度存在していてもストレプトコッカス・ミュータンスを正確に測定する必要がある。このような測定のためには、105個/mlのストレプトコッカス・ミュータンスとの反応性に比べて、108個/mlのミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌との交差反応性は著しく低いという、高力価で且つ特異性の非常に高い抗体が必要になる。
【0010】
モノクローナル抗体を用いた方法としては、酵素標識したストレプトコッカス・ミュータンスに対するモノクローナル抗体と検体を混合し、孔径0.45μmのメンブランフィルターで濾過することでストレプトコッカス・ミュータンスと結合した酵素標識抗体のみをフィルター上に保持し、酵素基質添加後の発色により検出する方法が提案されているが(非特許文献2、特許文献1)、該方法で使用されているモノクローナル抗体は105個レベルのストレプトコッカス・ミュータンスの反応性と107個レベルのストレプトコッカス・サリバリウスとの交差反応性は同程度である。口腔内では、107〜108個レベルのストレプトコッカス・サリバリウスが存在する場合があり、この場合にはストレプトコッカス・ミュータンスが正確に測定できないという問題がある。
【0011】
ミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌との反応性に着目し、ストレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・サリバリウス、ストレプトコッカス・サンギスと反応しないストレプトコッカス・ミュータンスに対するモノクローナル抗体を用いた測定法が提案されている(特許文献2)。該モノクローナル抗体の特異性は、一定量(108個)の上記3菌種とストレプトコッカス・ミュータンスの培養菌に対する抗体の反応性を該抗体の2倍希釈系列により調べて、評価されており、抗原抗体反応の容量−作用曲線がプラトーとなるような抗体過剰域においても、ストレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・サリバリウス、ストレプトコッカス・サンギスに対する交差反応性は検出されないという性質が開示されている。しかし、105個のストレプトコッカス・ミュータンスに対する反応性については調べられておらず、ミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌がストレプトコッカス・ミュータンスの1000倍量程度存在していている場合にストレプトコッカス・ミュータンスを正確に測定できるかどうか不明である。また、その他の口腔内レンサ球菌のストレプトコッカス・ゴルドニイ、ストレプトコッカス・オラリスとの反応性は全く検討していないという問題がある。
【0012】
また、ストレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・サリバリウス、ストレプトコッカス・サンギスおよびポルフィロモナス・ジンジバリスと反応せず、ストレプトコッカス・ミュータンスおよびストレプトコッカス・ソブリヌスと対するモノクローナル抗体を用いた測定法が提案されている(特許文献3)。該モノクローナル抗体に関して、一定量の培養菌(乾燥重量5μg)に対する反応性を調べた場合、ストレプトコッカス・サンギス、ストレプトコッカス・サリバリウス、ストレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・ラッタス、ストレプトコッカス・フェルス、ストレプトコッカス・アンギノーサス、ラクトバチラス・カゼイ、ポルフィロモナス・ジンジバリスに対する交差反応性は検出されないこと、また、105個/mlのストレプトコッカス・ミュータンスは測定可能であるが、106個/mlのストレプトコッカス・サリバリウスに対する交差反応性は検出されないという性質が開示されている。しかし、この場合も、ミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌がストレプトコッカス・ミュータンスの1000倍量程度存在していている場合にストレプトコッカス・ミュータンスを正確に測定できるかどうか不明であり、また、その他の口腔内レンサ球菌のストレプトコッカス・ゴルドニイ、ストレプトコッカス・オラリスとの反応性は全く検討していないという問題がある。
【0013】
一方、ストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体を利用した方法として、ガラススライド上でのラテックス凝集法を用いた方法が報告されている(非特許文献3、4、特許文献4)。一般的に、ストレプトコッカス・ミュータンスは抗原性があまり高くなく、アフィニティー精製により交差反応の原因となる抗体を除去しても特異性の高いポリクローナル抗体を得ることは困難であることが知られているが(例えば、非特許文献5)、該方法においてはストレプトコッカス・ミュータンス菌体をウサギに免疫し作製したポリクローナル抗体をアフィニティー精製無しに使用している。従って、ここで使用しているポリクローナル抗体の特異性は低いことが考えられ、このため、該方法該方法に於いては、1×106個/ml以上の濃度の菌体試料溶液に於いてしか陽性反応が得られておらず、十分な感度が達成されていない。
【0014】
このように唾液又は歯垢から直接調製した臨床検体中のストレプトコッカス・ミュータンスの測定に関しては、齲蝕危険度の判定のためには検出限界が105個/mlの簡便な測定法が望まれているが、この要求を満たすストレプトコッカス・ミュータンス測定方法は従来知られていなかった。
【0015】
本発明者等は、検出感度があがらない原因の一つに被検体液中に存在するミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌の影響があると考え、鋭意検討した結果、口腔内に存在するミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌に対する交差反応性を十分に低く抑え、ストレプトコッカス・ミュータンスを特異的に検出・定量することが可能であるポリクローナル抗体と該抗体の製造方法を先に提案した(特願2001−384595号)。この製造方法は、免疫動物に、菌体または菌体からの抗原抽出物を免疫原として免疫することにより抗体混合物を得、次いで該免疫原をアフィニティー担体として使用し、アフィニティー精製することで実施される。この時、免疫動物への免疫原及びアフィニティー精製に用いる抗原の少なくとも一方に、ストレプトコッカス・ミュータンス菌体表面に存在する交差反応の原因となる物質と考えられる菌体表面タンパク質をプロテアーゼ処理により除去した菌体(以下「プロテアーゼ処理菌体」ともいう)、またはその抗原抽出物を使用することにより、唾液または歯垢から直接調製した臨床検体中のストレプトコッカス・ミュータンスを特異的に検出できる抗体を調製することが可能になる。
【0016】
ここで、アフィニティー精製は、抗体混合物とアフィニティー担体を接触させ、ストレプトコッカス・ミュータンスとのみ反応する抗体(以下「特異的抗体」ともいう)をアフィニティー担体に吸着させ、アフィニティー担体を洗浄することで夾雑物質を除去した後、アフィニティー担体より特異的抗体を溶出することにより実施される。一般的に、抗原−抗体複合体の結合力は強いので、上記アフィニティー担体からの抗体の溶出には、酸性条件、アルカリ性条件、変性剤の使用等厳しい条件が適用され、中でも酸性条件による溶出がよく行われている(例えば、非特許文献6)。
【0017】
【非特許文献1】武笠英彦監修,「う蝕細菌の分子生物学−研究の成果と展望−」,第1版,クインテッセンス出版,1997年,p29―37
【非特許文献2】安富豊ら著,「小児歯科学雑誌」,第30巻,1992年,p186−193
【特許文献1】特許第30938833号
【特許文献2】特開平10−36400号公報
【特許文献3】特開2001−172299号公報
【非特許文献3】武井勉著,「阪大医学雑誌」,第35巻,1990年,p93−109
【非特許文献4】Takei著,「T.Archs.oral.Biol.」,第37巻,1990年,p99−104
【特許文献4】特開平1−250067号公報
【非特許文献5】浜田茂幸編集,「う蝕と歯周病」,日本歯科詳論社,第1巻,1982年,p17―23
【非特許文献6】「アフィニティークロマトグラフィーハンドブック」,アマシャムファルマシアバイオテク,1999年
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記ストレプトコッカス・ミュータンスに特異的なポリクローナル抗体の製造方法において、アフィニティー担体からの抗体の溶出を、溶出液を酸性条件にすることにより実施した場合、免疫動物の個体差に起因して、製造されるポリクローナル抗体のミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌との交差反応性のバラツキが大きくなり、この交差反応を十分に低く抑えられない抗体が製造されるケースが生じることが判明した。これは、上記方法により、多数の免疫動物から抗体混合物を得、大量に前記特異的抗体を製造する場合において、目的とする抗体の生産性を低下させるものであり、該方法を工業的に実施する上での大きな障害になっていた。
【0019】
そこで、本発明は、免疫動物の個体差に影響されることなく安定的に、ミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌との交差反応性を十分に低く抑えたストレプトコッカス・ミュータンスに特異的なポリクローナル抗体を製造する方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上述した問題に鑑み、本発明者等が鋭意検討した結果、免疫動物の個体差に影響されず安定的に、ストレプトコッカス・ミュータンスに特異的なポリクローナル抗体を製造できる方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
即ち、本発明は、免疫動物に、ストレプトコッカス・ミュータンスの全菌体、そのプロテアーゼ処理菌体、及びこれらの菌体の抗原抽出物から選ばれる少なくとも1種の免疫原を免疫して抗体混合物を得、その後、上記各免疫原から選ばれる少なくとも1種を抗原として用いたアフィニティー精製法によって当該抗体混合物を精製するポリクローナル抗体の製造方法であって、前記免疫動物への免疫原及びアフィニティー精製に用いる抗原の少なくとも一方として、前記プロテアーゼ処理菌体、または当該菌体の抗原抽出物を使用し、且つアフィニティー精製における担体からの溶出の際に、カオトロピックイオンを使用することを特徴とするストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の製造方法である。
【0022】
本発明の製造方法を適応することで、例えば、特願2001−384595号記載のストレプトコッカス・ミュータンスに対する反応性が、ストレプトコッカス・ゴルドニイ、ストレプトコッカス・サリバリウス、ストレプトコッカス・オラリス、ストレプトコッカス・ミティス、およびストレプトコッカス・サンギスに対する反応性と比較してそれぞれ1000倍以上であることを特徴とするポリクローナル抗体を、容易かつ安定的に製造することが可能になる。これは、本発明者等によって上記のストレプトコッカス・ミュータンスに対する特異的な抗体を製造するための免疫方法、アフィニティー担体からの抗体の溶出条件等が注意深く検討され、これらの条件の最適の組み合わせが見出されたことによりなされたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係るポリクローナル抗体の製造方法は、要するに
(1)免疫動物に、ストレプトコッカス・ミュータンスの全菌体、そのプロテアーゼ処理菌体、及びこれらの菌体の抗原抽出物から選ばれる少なくとも1種の免疫原を免疫して抗体混合物を得、その後、上記プロテアーゼ処理菌体またはその抗原抽出物を抗原として用いたアフィニティー精製法により特異的抗体を回収するか、または、
(2)免疫動物に、ストレプトコッカス・ミュータンスのプロテアーゼ処理菌体、またはその抗原抽出物を免疫して抗体混合物を得、その後、ストレプトコッカス・ミュータンス全菌体、またはその抗原抽出物を抗原として用いたアフィニティー精製法によって特異的抗体を回収する
方法において適用される。
【0024】
これらの製造方法では、免疫動物への免疫原、及びアフィニティー精製に用いる抗原の少なくとも一方に、ストレプトコッカス・ミュータンスのプロテアーゼ処理菌体、またはその抗原抽出物を使用している。ストレプトコッカス・ミュータンスのプロテアーゼ処理菌体は、プロテアーゼの作用により、菌体表面に存在する交差反応の原因となる物質と考えられる菌体表面タンパク質が除去されている。
【0025】
したがって、斯様なプロテアーゼ処理菌体、またはその抗原抽出物を、免疫動物への免疫原として用いれば、交差反応を引き起こす抗体の産生を大きく抑えることができ、特異性の高いポリクローナル抗体を製造することが可能になる。他方、該プロテアーゼ処理菌体、またはその抗原抽出物を、アフィニティー精製に用いれば、これら抗原は前記の如くに菌体表面に存在する交差反応の原因となる菌体表面タンパク質が除去されているため、抗体混合物中に含まれる、これに対応する交差反応を引き起こす抗体は、アフィニティー担体には吸着せず、その結果、やはり特異性の高いポリクローナル抗体を製造することが可能になる。
【0026】
本発明において、ストレプトコッカス・ミュータンスとは、ミュータンスレンサ球菌群の内で血清型がc、e、およびf型に分類される菌体を意味する。血清型がc型の標準菌株としてIngbritt、MT6R等の菌株が、血清型がe型の標準菌株としてLM7、P4等の菌株が、血清型がf型の標準菌株としてSE11、OMZ175等の菌株がそれぞれ例示される。
【0027】
また、ポリクローナル抗体(以下、単に「抗体」ともいう)とは、抗血清中に含まれる抗体画分のことであり、抗体のグロブリンクラスは限定されず、現在知られているどのようなグロブリンクラスのものも含まれる。また、通常の抗体分子のみならず、該抗体の部分分解物(Fab、Fab’、Fab’2等)、および該抗体の活性フラグメント(抗体の抗原認識部位)が存在する部分構造等も含む意味である。
【0028】
本発明の製造方法において、免疫動物への免疫原としては、前記したストレプトコッカス・ミュータンスの血清型c、e、fの全菌体、またはそれら3種類のストレプトコッカス・ミュータンスのプロテアーゼ処理菌体が使用できる。これらの全菌体、若しくはプロテーゼ処理菌体からの抗原抽出物も使用できる。ストレプトコッカス・ミュータンスの各血清型由来の各免疫原(全菌体、プロテアーゼ処理菌体、またはこれらの菌体の抗原抽出物)単独で免疫動物に免疫できるが、それらを混合して免疫しても良い。
【0029】
ストレプトコッカス・ミュータンスの全菌体としては、生菌の他、ホルマリン処理、或いは加熱処理等の前処理を施された死菌、凍結保存された菌体等も使用可能である。
【0030】
プロテアーゼ処理菌体は、全菌体をプロテアーゼ処理することにより調製できる。プロテアーゼとしては、公知の各種プロテアーゼ、または、それらの混合物が制限無く使用でき、例示すると、プロナーゼ、プロテイナーゼK、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン等が挙げられる。
【0031】
プロテアーゼ処理法は、例えば、使用するプロテアーゼの反応至適pH付近になるよう調製した緩衝液等に全菌体を懸濁し、プロテアーゼを加え、良く混合しながら15〜50℃にて10分〜120分保温することで実施できる。反応終了後、例えば、反応液を遠心分離、または濾過することで、プロテアーゼを除去しプロテアーゼ処理菌体を回収する。プロテアーゼの混入を避けるために、上記の遠心または濾過等で回収した菌体をリン酸生理食塩緩衝液(pH7.4)(以下「PBS」と略すこともある)等の緩衝液に懸濁し、同様の操作により菌体を回収することで洗浄操作を3〜5回実施することが好適である。
【0032】
全菌体またはプロテアーゼ処理菌体からの抗原の抽出は、特に制限されるものではないが、菌体表面に存在するタンパク質、タイコ酸等は他の口腔内レンサ球菌との相同性が高いものが多いので、菌体表面 に存在する多糖抗原を抽出するのが好ましい。多糖抗原の抽出は、菌体懸濁液を加熱処理する方法(Rants,L.A.,Stanford.Med.Bull.13:290−291,1955.)、亜硝酸により抽出する方法(武井勉.阪大医学雑誌.35:93−109,1990.)等の従来公知の方法により行なうことができる。抽出された多糖抗原は、そのままで免疫原として使用することも可能であるし、更に精製して使用することもできる。
【0033】
これらの免疫原は、そのまま免疫に使用することも可能であるし、免疫用担体と結合させて使用することも可能である。担体としては、スカシガイのヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、ニワトリ血清アルブミン、ポリ−L−リジン、ポリアラニルリジン、ジパルミチルリジン、破傷風トキソイド又は多糖類等の従来公知の担体が好適に使用可能である。
【0034】
本発明の抗体を作製するための免疫原としては、作製の容易さと、得られる抗体の力価が高いということから、ストレプトコッカス・ミュータンスの全菌体またはプロテアーゼ処理菌体を直接免疫するのが特に好適である。更に、ストレプトコッカス・ミュータンスの全菌体を直接免疫する方法は、全菌体の抗原性がプロテアーゼ処理菌体より高いため、高力価の抗体を安定して得ることができるという利点がある。
【0035】
上記のような免疫原を免疫する動物としては、抗体取得のために一般的に使用される動物が使用可能であるが、マウス、ヤギ、ウサギ、モルモット等の哺乳動物を用いるのが好適である。
【0036】
これら動物に免疫原を免疫する方法としては、従来公知の方法が制限なく採用でき、例えば、免疫原を皮下、または静脈内に注射することで実施できる。免疫原は、例えば、菌体または菌体抽出物を直接注射してもよいし、菌体または菌体抽出物にアジュバントを添加混合して注射してもよい。例えば、菌体を直接免疫する場合には、ストレプトコッカス・ミュータンスをブレインハートインフージョン(以下BHIと略す)液体培地等で培養後に得られる菌体の懸濁液をそのまま使用することも可能である。また、アジュバントとしては、フロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント、水酸化アルミニウムアジュバント又は百日咳菌アジュバント等の従来公知のアジュバントが好適に使用可能である。
【0037】
これら動物に免疫原を免疫後、採血し血清を調製することで、ストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体を含む多種の抗体の混合液、即ち、抗体混合物が得られる。
【0038】
この抗体混合物の中には、ミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌にも反応する抗体が同時に存在するので、該抗体混合物から特異的抗体を選択的に回収する。
【0039】
本発明では、抗体混合物から特異的抗体を精製する方法として、アフィニティー精製法を採用する。このアフィニティー精製法において用いる抗原(抗原保持物)としては、前記した免疫動物への免疫原と同様に、ストレプトコッカス・ミュータンスの全菌体、そのプロテアーゼ処理菌体、及びこれらの菌体の抗原抽出物から選ばれる少なくとも1種が使用される。ただし、免疫動物への免疫原が、ストレプトコッカス・ミュータンスの全菌体、またはその抗原抽出物であった場合には、かかるアフィニティー精製法に用いる抗原としては、プロテアーゼ処理菌体、またはその抗原抽出物に特定して使用される。
【0040】
アフィニティー精製の操作は、上記抗原が固定化された不溶性担体(「抗原固定化担体」ともいう)と、抗体混合物とを接触させ、抗体混合物中の特異的抗体を吸着させて該抗原固定化担体を回収した後に、緩衝液等による洗浄で夾雑物を除去し、次いで、該抗原固定化担体から上記特異的抗体を溶出させることにより行うことができる。また、ストレプトコッカス・ミュータンスの全菌体またはプロテアーゼ処理菌体を、不溶性担体を使用せずにそのまま使用して抗体混合物と接触させることにより、これら菌体に特異的抗体を吸着させて分離し、次いで、これら菌体より特異的抗体を溶出させることにより実施しても良い。後者の方法は、操作が簡便である他、ストレプトコッカス・ミュータンスの菌体表面に存在する複数種の抗原と反応する複数種の抗体を同時に回収することが可能であるということから、より好適である。
【0041】
本発明は、こうしたアフィニティー精製法において、抗原固定化担体から特異的抗体を溶出させる際に、カオトロピックイオンを用いる点に、大きな特徴を有している。それにより、溶出して得られるポリクローナル抗体の特異性はさらに向上し、その優れた性状は、免疫動物の個体差にほとんど影響されなくなる。したがって、特異性の高いポリクローナル抗体を、安定した品質で製造することが可能になる。
【0042】
ここで、カオトロピックイオンとは、水溶液中の水分子のカゴ型構造を壊す作用のあるイオンの総称で、このイオンの添加により表面張力の減少、イオン近接領域の水和エントロピーの増加等が観察される。カオトロピックイオンは、疎水性分子の水溶性を増加させ疎水結合を弱めることで抗原抗体反応に影響を及ぼす。こうしたカオトロピックイオンとしては、公知のものが特に制限なく使用できる。カオトロピックイオンの具体例として、チオシアン酸イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、臭素イオン、亜硝酸イオン等が挙げられる。これらの中でも、チオシアン酸イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオンは抗体に与える影響が少なく、安定して抗体を精製できるという特徴があるので特に好適である。
【0043】
これらカオトロピックイオンは、例えば、0.5〜4Mの範囲の溶出液として好適に使用され、1種類のカオトロピックイオンを単独で用いても良いし、複数のカオトロピックイオンを組み合わせて使用しても良い。
【0044】
カオトロピックイオンを含む溶出液は、カオトロピックイオンの塩を水に溶解して調製しても良いし、または、例えば、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液等の緩衝液に溶解し所望のpHの溶出液を調製することもができる。カオトロピックイオンの塩としては、例えば、各カオトロピックイオンのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が好適に利用できる。
【0045】
抗原固定化担体を用いてアフィニティー精製する方法において、不溶性担体としては、アガロース、デキストラン、セルロース、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、塩化ビニル、ガラス、シリコーンラバー、又は多孔性シリカビーズ等の従来公知の担体が何ら制限無く使用可能である。
【0046】
また、これらの不溶性担体に前記抗原を固定化する方法としては、臭化シアン活性化法等の化学的結合法や、物理化学的吸着性を利用した方法が何ら制限無く使用可能である。
【0047】
アフィニティー精製法における抗原固定化担体と抗体混合物の接触および分離法としては、バッチ法およびクロマトグラフィー法の何れの方法も適用可能である。また、両方法を組み合わせて実施することも可能である。
【0048】
クロマトグラフィー法では、抗原固定化担体をカラムに充填後、抗体混合物をカラムに添加し、次いで緩衝液等をカラムに添加してカラムに吸着されず溶出する画分を廃棄した後に、溶出液をカラムに添加し、吸着した抗体を回収すれば良い。また、バッチ法においては、抗原固定化担体を懸濁した液と抗体混合物を混合し、抗原抗体反応を十分行わせた後に、例えば遠心処理により沈殿を回収し、この沈殿を緩衝液等に懸濁し遠心処理により沈殿を回収するという操作を複数回繰り返すことにより洗浄し、最後に沈殿を溶出液に懸濁することで抗体を溶出すれば良い。
【0049】
ストレプトコッカス・ミュータンス全菌体或いはプロテアーゼ処理菌体をそのまま使用する場合の抗体混合物との接触および分離法は、上記バッチ法と同様であり、すなわち、菌体懸濁液と抗体混合物を混合し、抗原抗体反応を十分行わせた後に、例えば遠心処理により沈殿を回収することで実施できる。
【0050】
以上説明した本発明の抗体の製造法によれば、免疫動物の個体差に関係なく、ストレプトコッカス・ミュータンスに対し、高い特異性と反応性を持つポリクローナル抗体が安定的に製造できる。このポリクローナル抗体は、通常、ストレプトコッカス・ミュータンスに対する反応性が、ストレプトコッカス・ゴルドニイ、ストレプトコッカス・サリバリウス、ストレプトコッカス・オラリス、ストレプトコッカス・ミティス、およびストレプトコッカス・サンギスに対する反応性と比較してそれぞれ1000倍以上である。このようにストレプトコッカス・ミュータンスに対する特異性の高いポリクローナル抗体を免疫学的測定法に応用すれば、被検体液中に他のレンサ球菌が存在していても、105個/ml程度の濃度のストレプトコッカス・ミュータンスを検出することができる。
【0051】
この免疫学的測定に使用する被検体液としては、ストレプトコッカス・ミュータンスを含むものであれば特に限定されないが、例えば、唾液、歯垢、菌体培養液、培養菌体懸濁液等が使用できる。特に、齲蝕リスクを検査するための検体として、唾液、歯垢を含む体液が好適に使用される。なお、唾液および歯垢は、被検体液中にそれぞれ単独で含まれていてもよいし、混合物として含まれていてもよい。また、被検体液に含まれる不溶物を分散させる目的で超音波処理を施す、ガラスビーズ等の破砕剤と混合し攪拌する等の従来公知の方法によって被検体液を処理し、分析に供することもできる。また、上記の被検体液に抽出処理を施して調製した抽出液を被検体液として測定することもできる。抗原の抽出法としては、例えば、加熱処理する方法(Rants,L.A.,Stanford.Med.Bull.13:290−291,1955.)、亜硝酸、アルカリ、塩、キレート剤、カオトロピックイオン、界面活性剤を使用して抽出する方法(武井勉.阪大医学雑誌.35:93−109,1990.)、菌体細胞の膜構造を破壊する酵素により処理する方法(特開平9−178752公報)等公知の方法が制限無く利用できる。
【0052】
免疫学的測定方法は特に限定されず、抗原抗体反応により抗原を測定する方法として知られている免疫凝集法、光学免疫測定法、標識免疫測定法、およびこれらの組合わせ等の従来公知の免疫学的測定方法が制限無く使用できる。これらの免疫学的測定法を実施するための測定試薬は、本発明により得られるポリクローナル抗体を含む免疫学的測定試薬であればその形態は特に限定されず、本発明の抗体を含む溶液;本発明の抗体を粒子、メンブレン等の不溶性担体に固定化したもの、或いはその懸濁液;本発明の抗体に放射性物質、酵素、各種色素類、コロイド類、各種着色粒子等の標識物質を結合させたもの、或いはそれらの溶液や懸濁液;又はこの様な標識された本発明の抗体を粒子やメンブレン等の不溶性担体に固定化したもの或いはそれらの懸濁液;およびこれらを組み合わせたもの等、様々な形態をとり得る。
【0053】
各種の免疫学的測定方法のなかでも、ラテックス定量法や酵素免疫測定法は、自動分析装置を用いて多数の被検体液を処理することが可能であるので、集団検診等の検査法として好適である。また、フロースルー免疫測定法、免疫クロマトグラフィー法、およびラテックス凝集法は簡便性に加えて特別な知識や装置を必要とすることなく迅速な測定が可能であり、歯科医院や家庭においても実施可能であるため、汎用的な検査方法として好適である。
【0054】
より好適な測定法は免疫クロマトグラフィー法であり、特に、特願2001−384595号に記載されるような被検体液を一時的に吸収・保持するためのサンプルパッドと、標識抗体を一時的に保持するためのコンジュゲートパッドと、検出用抗体が固定化され、前記サンプルパッドに一時的に吸収・保持された被検体液および該被検体液に同伴されて前記コンジュゲートパッドより流出した標識抗体が展開される展開メンブレンとがこの順番で接合された免疫クロマトグラフィーテストストリップを用いる方法が最適である。該免疫クロマトグラフィーテストストリップにおいて、本発明で製造されるポリクローナル抗体は、標識抗体及び検出用抗体の一方または両方として使用される。これら各種の免疫学的測定方法を実施するための詳細は、上記特願2001−384595号に記載される他、特開2001−302697号公報等により公知であり、これらの方法に準じて適宜に実施すればよい。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0056】
実施例1
[チオシアン酸溶出法によるポリクローナル抗体の製造と評価]
(A)〔ストレプトコッカス・ミュータンスに対する抗体混合物の製造]
BHI(DIFCO社)3.7gを100mlの超純水に溶解後、オートクレーブ処理し、BHI液体培地を調製した。BHI液体培地100ml中でIngbrittを37℃、5時間、嫌気条件下(N2:H2:CO2=80:10:10)で培養した。培養液を4000g、5分遠心処理し、上清の培地成分を除去し菌体沈殿を回収した。次いで、沈殿物を100mlのPBSに懸濁させて、同様の遠心分離をする操作を3回行い、沈殿物を洗浄した。菌体沈殿をPBSに懸濁しA600=1.0に調整し、Ingbrittの菌体懸濁液を調製した。
【0057】
また、上記とは別に、BHI培地にて培養して得たIngbritt菌体沈殿を洗浄した後、0.1M トリス塩酸緩衝液(pH8.0)に懸濁しA600=15に調整した。ここにプロナーゼ(和光純薬社)を5mg/mlとなるように添加し、37℃で1時間保温した。反応終了後、遠心分離し菌体沈殿を回収した。次いで、沈殿物を10mlのPBSに懸濁して、同様の遠心分離をする操作を3回行い、沈殿物を洗浄した。菌体沈殿をPBSに懸濁しA600=1.0に調整し、Ingbrittのプロテアーゼ処理菌体懸濁液を調製した。
【0058】
免疫は以下のように実施した。
【0059】
0.5mlの菌体懸濁液またはプロテアーゼ処理菌体懸濁液と0.5mlのフロイントの完全アジュバントを良く混合し、ウサギの皮下に注射した。2週間後、1mlの菌体懸濁液またはプロテアーゼ処理菌体懸濁液と1mlのフロイント不完全アジュバントを良く混合し、ウサギ皮下に追加免疫した。同様の追加免疫を4週目、6週目に行い、力価の上昇をスライドグラスを利用した菌体の凝集反応の程度により確認後、最終免疫より2〜3週間後に、定法に従い採血しストレプトコッカス・ミュータンスに対する抗体混合物(菌体懸濁液を免疫して得られた抗体混合物)を得た。
【0060】
これとは別に、0.5mlのプロテアーゼ処理菌体懸濁液を用いても、同様の免疫処理を行い、ストレプトコッカス・ミュータンスに対する抗体混合物(プロテアーゼ処理菌体懸濁液を免疫して得られた抗体混合物)を得た。
(B)〔ストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の精製]
(A)の方法に従い、1LのBHI液体培地で培養したIngbrittまたはプロテアーゼ処理IngbrittをPBSで3回洗浄し、次いで2M チオシアン酸ナトリウムで3回洗浄し、更にPBSで3回洗浄し、菌体懸濁液、及びプロテアーゼ処理菌体懸濁液(A600=12.5)を調製した。
【0061】
次いで、
a)このプロテアーゼ処理菌体懸濁液と、(A)で調製したプロテアーゼ処理菌体懸濁液を免疫して得られた抗体混合物0.5mlとを混合する、
b)上記菌体懸濁液と、(A)で調製したプロテアーゼ処理菌体懸濁液を免疫して得られた抗体混合物0.5mlとを混合する、及び
c)上記プロテアーゼ処理菌体懸濁液と、(A)で調製した菌体懸濁液を免疫して得られた抗体混合物0.5mlとを混合する
という操作をそれぞれ実施し、各混合液を4℃、60分反応させた。各混合液を4000g、5分遠心分離し、各菌体を回収した。この各菌体を10mlのPBSに懸濁し、同様の遠心分離をする操作を3回行い洗浄した。
【0062】
次いで、0.5mlの2M チオシアン酸ナトリウム溶液に各菌体を懸濁し、吸着した抗体を溶出し、遠心分離により上清をそれぞれ回収した。同様の溶出操作を再度行い、各画分のタンパク質量を280nmの吸光度により測定した。
【0063】
次いで、あらかじめPBSで平衡化した1mlのプロテインA−セファロース(アマシャムファルマシアバイオテク社)を充填したカラムに上記各溶出液にPBSを添加しチオシアン酸ナトリウム濃度が0.2Mとなるように調製した溶液を添加し、5mlのPBSでカラムを洗浄後、5mlの0.1Mグリシン−塩酸緩衝液(pH3.0)にて溶出し、直ちに1Mトリス−塩酸(pH9.0)を添加しpH7.4に各調整した。IgGの溶出画分は、A280を測定することでそれぞれ確認した。
【0064】
以上により、a)プロテアーゼ処理菌体懸濁液を抗原として得た抗体混合物をプロテアーゼ処理菌体により精製したポリクローナル抗体「M−1」を得た。また、b)プロテアーゼ処理菌体懸濁液を抗原として得た抗体混合物を菌体により精製したポリクローナル抗体「M−2」を得た。さらに、c)菌体懸濁液を抗原として得た抗体混合物をプロテアーゼ処理菌体により精製したポリクローナル抗体「M−3」を得た。
(C)〔ポリクローナル抗体の特異性評価]
I.〔ストレプトコッカス・ミュータンス測定用免疫クロマト法ストリップの作製]
(1)〔金コロイド標識されたストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の調製]
コロイド粒径が40nmの市販金コロイド溶液(British BioCell International)10mlに100mMK2CO3を88μl添加し、pHを9.0に調製後、0.22μmフィルター処理した。金コロイド溶液の520nmの吸光度を測定したところ、A520=1.0であった。
【0065】
次いで、1mg/mlに調整したM−1、M−2、M−3の各ポリクローナル抗体の2mMホウ酸緩衝溶液(pH9.0)64μlを、上記金コロイド溶液に撹拌しながら添加し、室温下5分放置した。次いで、10%スキムミルク−2mMホウ酸緩衝液(pH9.0)を1.1ml撹拌しながら添加し(スキムミルク終濃度1%)、室温下30分放置した。次いで、反応溶液を10℃、10000g、30分遠心処理し、上清を除去後、2mlの2mMPBS(pH7.4)を添加し、下層の金コロイド画分を再懸濁した。該再懸濁した画分の520nmの吸光度を測定したところ、A520=4.9であった。
【0066】
得られた各抗体の金コロイド画分(以下、「金コロイド標識M−1」「金コロイド標識M−2」「金コロイド標識M−3」と表記することもある)は、4℃にて保存した。
【0067】
(2)〔免疫クロマト法ストリップの作製]
以下の方法により、図1及び図2に示すような免疫クロマト法ストリップを組み立てた。
【0068】
ニトロセルロースメンブレン(MILLIPORE社、Hi−Flow Plus Membrane、HF180、25mm×6mm)からなる展開メンブレン4上の検出ライン6上に、1mg/mlのM−1、M−2、またはM−3をスポットした。さらに判定ライン7上に抗ウサギIgG(H+L)ポリクローナル抗体1μlをスポットし、インキュベーター内で37℃、60分乾燥し抗体を固定化した。該抗体固定化メンブレンを1%スキムミルク−0.1%TritonX100水溶液中で室温下、5分振とうした。次いで、該メンブレンを10mMリン酸緩衝液(pH7.4)中で室温下、10分振とう後取り出し、真空ポンプで吸引しながら60分間デシケーター中で乾燥した。
【0069】
また、コンジュゲートパッド3(MILLIPORE社、7.5mm×6mm)を0.5%PVA−0.5%ショ糖水溶液中で1分間振とう後取り出し、真空ポンプで吸引しながら60分間デシケーター中で乾燥した。該コンジュゲートパッドにA520=1.0に調整した金コロイド標識M−1、金コロイド標識M−2または金コロイド標識M−3を25μl添加し、真空ポンプで吸引しながら60分間デシケーター中で乾燥した。更に、サンプルパッド2(MILLIPORE社、17mm×6mm)を1%Tween20−PBS水溶液中で1分間振とう後取り出し、真空ポンプで吸引しながら60分間デシケーター中で乾燥した。尚、吸収パッド5(MILLIPORE社、20mm×6mm)は未処理のまま用いた。
【0070】
このように調製した、図1に示すような免疫クロマト法ストリップの各構成部分をプラスチックの支持台上に配置し、図2に示すような免疫クロマト法ストリップを組み立てた。M−1を固定化したニトロセルロースメンブレンには金コロイド標識M−1を、M−2を固定化したニトロセルロースメンブレンには金コロイド標識M−2を、M−3を固定化したニトロセルロースメンブレンには金コロイド標識M−3を組み合わせて、免疫クロマト法ストリップM−1、免疫クロマト法ストリップM−2、免疫クロマト法ストリップM−3を組み立てた。
【0071】
II.〔特異性評価試験]
(1)〔唾液の採取]
被験者にパラフィンペレットを約1分間噛ませ、分泌された唾液を採取した。
【0072】
(2)〔培養法による唾液中のストレプトコッカス・ミュータンスの定量]
上記(1)の方法に従い得られた唾液を適宜希釈して、100μlをミチス・サリバリウス・バシトラシン(以下、「MSB」と表記することもある。)固体培地上およびBHI固体培地上に添加し、37℃、嫌気条件下、24〜48時間培養した。MSBおよびBHI固体培地上に生じるコロニー数を計数し、希釈率から、ミュータンスレンサ球菌濃度を個/mlとして算出した。
【0073】
MSBおよびBHI培地上のストレプトコッカス・ミュータンスの識別は、コロニーの形態学的分類、および形態学的に識別不可能なコロニーに関しては、該コロニーを純粋培養後、ミュータンスレンサ球菌の血清型特異的な抗体を利用した免疫学的測定方法および、糖発酵試験等の生化学的方法によりストレプトコッカス・ミュータンスの同定を行った。
【0074】
(3)[検体の前処理]
上記(1)で採取した唾液100μlを遠心分離し上清を除去した。沈殿を500μlの0.1MNaOHに懸濁し、遠心分離により上清を除去した。次いで沈殿を500μlのPBSに懸濁し、遠心分離にて上清を除去した。PBSによる同様の操作を再度実施した後、沈殿に10μlの4M酢酸と5μlの2M亜硝酸ナトリウムを添加し、良く混合後室温で10分間放置した。45μlの0.05%Tween20を含む1Mトリス(pH未調製)と40μlの0.05%Tween20を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)を添加し、被検体液を調製した。
【0075】
(4)〔免疫クロマト法ストリップによるストレプトコッカス・ミュータンスの測定]
前記I.−(2)で製造した免疫クロマトグラフ法ストリップM−1〜M−3を用いて、上記(3)で調製した被検体液中のストレプトコッカス・ミュータンスの測定を実施した。免疫クロマト法ストリップに於ける10分後のスポット発色強度を、4段階(+++:強い陽性、++:陽性、+:弱い陽性、−:陰性)に識別した結果と、(2)の培養法により得られたストレプトコッカス・ミュータンス菌数とを比較した。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1から明らかなように、チオシアン酸ナトリウム溶出により調製したポリクローナル抗体により、105/mlのストレプトコッカス・ミュータンスが検出でき、更に、培養法により得られたストレプトコッカス・ミュータンスの濃度と相関するスポット発色強度が得られた。これらのことから、ここで調製した抗体は、ミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌との交差反応性が十分に低く抑えられていることが分かる。
【0078】
実施例2
[複数のウサギを用いて免疫し、各種カオトロピックイオンを用いて精製して得たポリクローナル抗体の特異性評価]
(1)[ポリクローナル抗体の製造]
実施例1の方法に従って、10羽のウサギを用いて、菌体懸濁液を免疫することで抗体混合物を調製した。実施例1(B)c)におけるプロテアーゼ処理菌体でのアフィニティー精製の際に、2M チオシアン酸ナトリウム、または2M ヨウ化ナトリウム、または2M 過塩素酸ナトリウムで溶出し、次いで、プロテインA−セファロースで精製した。このようにして各溶出法につき10種類のポリクローナル抗体を調製した。
【0079】
(2)[免疫クロマト法ストリップの製造]
実施例1(C)−I.記載の方法に従って、上記(1)で調製した30種類のポリクローナル抗体を使用した免疫クロマト法ストリップを製造した。
【0080】
(3)[特異性評価試験]
実施例1(C)−II.と同様の方法により唾液より被検体液を調製し、上記(2)で作製した免疫クロマト法ストリップにより分析した。チオシアン酸ナトリウムにより溶出した抗体の結果を表2に、
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
ヨウ化ナトリウムにより溶出した抗体の結果を表3に、
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】
過塩素酸ナトリウムにより溶出した抗体の結果を表4に示す。
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
表2〜4に示したように、チオシアン酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウムで溶出した場合、10種類のすべての抗体で、105/mlのストレプトコッカス・ミュータンスが検出でき、更に、培養法により得られたストレプトコッカス・ミュータンスの濃度と相関するスポット発色強度が得られた。ウサギ個体に関係なく、ミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌との交差反応性が十分に低く抑えられた抗体が安定に得られた。
【0090】
比較例1
[複数のウサギを用い、酸溶出法により精製して得たポリクローナル抗体の特異性評価]
(1)[ポリクローナル抗体の製造]
実施例2(1)で得られた各抗体混合物を用いて、酸溶出法によるアフィニティー精製を行った。
【0091】
実施例1(A)の方法に従ってプロテアーゼ処理菌体を調製した。該プロテアーゼ処理菌体をPBSで3回洗浄し、次いで0.1M グリシン塩酸緩衝液(pH2.0)で3回洗浄し、更にPBSで3回洗浄し、プロテアーゼ処理菌体懸濁液(A600=12.5)を調製した。
【0092】
次いで、実施例1(B)c)と同様の方法により抗体混合物とプロテアーゼ処理菌体懸濁液とを混合し、PBSで3回洗浄した後、0.5mlの0.1M グリシン塩酸緩衝液(pH2.0)に菌体を懸濁して、吸着していた抗体を溶出し、遠心分離により上清を回収し、1Mトリス−塩酸(pH9.0)を添加しpH7.4に調整した。同様の溶出操作を4回行い、各画分のタンパク質量を280nmの吸光度により測定した。
【0093】
次いで、あらかじめPBSで平衡化した1mlのプロテインA−セファロース(アマシャムファルマシアバイオテク社)を充填したカラムに上記溶出液を添加し、実施例1(B)と同様の方法により抗体を溶出し、10種類のポリクローナル抗体を調製した。
【0094】
(2)[免疫クロマト法ストリップの製造]
実施例1(C)−I.記載の方法に従って、上記(1)で調製したポリクローナル抗体を使用した免疫クロマト法ストリップを製造した。
【0095】
(3)[特異性評価試験]
実施例3(3)で調製した抗原抽出液を、上記(2)で作製した免疫クロマト法ストリップにより分析した。結果を表5に示す。
【0096】
【表8】
【0097】
【表9】
【0098】
表5に示したように、酸溶出法によるアフィニティー精製でポリクローナル抗体を製造すると、ウサギによっては非特異的反応が検出される場合があることが明らかとなった。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、ミュータンスレンサ球菌以外の口腔内レンサ球菌との交差反応性を十分に低く抑えたストレプトコッカス・ミュータンスに特異的なポリクローナル抗体を、免疫動物個体差に影響されることなく安定して製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は、本発明の免疫クロマト法で使用するストリップの各部材の概略図である。
【図2】本図は、本発明の免疫クロマト法で使用するストリップの側面図である。
【符号の説明】
1・・・ストリップ
2・・・サンプルパッド
3・・・コンジュゲートパッド
4・・・展開メンブレン
5・・・吸収パッド
6・・・検出ライン
7・・・コントロール判定ライン
Claims (2)
- 免疫動物に、ストレプトコッカス・ミュータンスの全菌体、そのプロテアーゼ処理菌体、及びこれらの菌体の抗原抽出物から選ばれる少なくとも1種の免疫原を免疫して抗体混合物を得、その後、上記各免疫原から選ばれる少なくとも1種を抗原として用いたアフィニティー精製法によって当該抗体混合物を精製するポリクローナル抗体の製造方法であって、前記免疫動物への免疫原及びアフィニティー精製に用いる抗原の少なくとも一方として、前記プロテアーゼ処理菌体、または当該菌体の抗原抽出物を使用し、且つアフィニティー精製における担体からの溶出の際に、カオトロピックイオンを使用することを特徴とするストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の製造方法。
- カオトロピックイオンが、ヨウ素イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオンであることを特徴とする請求項1に記載のストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003094283A JP4217516B2 (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | ストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003094283A JP4217516B2 (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | ストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の製造方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004300060A true JP2004300060A (ja) | 2004-10-28 |
JP2004300060A5 JP2004300060A5 (ja) | 2005-11-04 |
JP4217516B2 JP4217516B2 (ja) | 2009-02-04 |
Family
ID=33406875
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003094283A Expired - Fee Related JP4217516B2 (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | ストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4217516B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN117660152A (zh) * | 2023-12-12 | 2024-03-08 | 海南华研胶原科技股份有限公司 | 一种用于特异性蛋白酶的提纯装置及提纯方法 |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003094283A patent/JP4217516B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN117660152A (zh) * | 2023-12-12 | 2024-03-08 | 海南华研胶原科技股份有限公司 | 一种用于特异性蛋白酶的提纯装置及提纯方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4217516B2 (ja) | 2009-02-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3202772B2 (ja) | ヘリコバクターピロリ検出用の抗原調製物 | |
US5139933A (en) | Assay method for detecting listeria | |
EP1107773B1 (en) | Method for detection of legionella bacteria employing purified antigen-specific antibodies | |
JP4268358B2 (ja) | 抗体および免疫学的測定方法 | |
KR101678428B1 (ko) | 폐렴구군 검출방법 | |
JP2003215126A (ja) | 微生物抗原の抽出方法 | |
JP3773633B2 (ja) | 大腸菌o157の分析方法及び分析用試薬 | |
JP4217516B2 (ja) | ストレプトコッカス・ミュータンスに対するポリクローナル抗体の製造方法 | |
US20030092086A1 (en) | Method for detecting streptococcus sobrinus and antibody therefor | |
JP5250812B2 (ja) | ヘリコバクター・ピロリ菌由来の新規抗原、抗原組成物およびピロリ菌抗体の検出方法。 | |
EP2737316B1 (en) | A diagnostic kit for the detection of early acute leptospirosis | |
CN101086498A (zh) | 瓜类细菌性果实腐斑病免疫磁珠及制备方法 | |
JPH04355339A (ja) | 微量検体採取用具 | |
JP4578401B2 (ja) | 固定化抗体の製造方法 | |
JP2000088854A (ja) | 微生物(細菌,眞菌,ウイルス,産生物質)の高感度な免疫 学的検出測定法および定量方法 | |
JP2008026161A (ja) | 固定化抗体の製造方法 | |
JP2012239438A (ja) | バルトネラ・ヘンセラエ抗原の調製方法、および該方法により得られるバルトネラ・ヘンセラエ調製抗原 | |
CN115902217B (zh) | 一种牛副结核病间接elisa检测试剂盒及其应用 | |
CN111948388B (zh) | 一种检测腐败梭菌的胶体金试纸条及其制备方法和应用 | |
JP2001302697A (ja) | ポリクローナル抗体及びその製造方法 | |
KR20130135590A (ko) | 로소니아 인트라셀룰라리스에 특이적인 단일클론항체 및 이를 생산하는 하이브리도마 세포 | |
JP2009195195A (ja) | 口腔内レンサ球菌の測定方法 | |
EP0463222A2 (en) | Assay method for detecting viable listeria | |
JPH08319297A (ja) | 免疫学的手法によるメガスフェラ属微生物の検出法 | |
JPH08233819A (ja) | 感作標識担体、抗原又は抗体の検出方法及び検出用検査セット |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050915 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050915 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080516 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080710 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080804 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080930 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20081027 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081110 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4217516 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111114 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111114 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141114 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |