JP2593283Y2 - バッテリー・ターミナル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、自動車等に搭載される
バッテリーの電極(バッテリー・ポスト)に取り付けられ
るバッテリー・ターミナルに関し、特に、バッテリー・
ポストからバッテリー・ターミナルを取り外す際に、締
付用のボルトを緩めると、強制的にバッテリー・ターミ
ナルがバッテリー・ポストから外れる構成としているも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のバッテリー・ターミナル
では、バッテリーに突出したバッテリー・ポストに円環
状の電極嵌合部を外嵌し、該電極嵌合部の自由端に夫々
連続する基板部をボルトおよびナットを配置して、水平
方向からインパクトレンチ等の自動締付工具により締め
付けて固定している。

【０００３】近年、車両のエンジンルーム内は設置部品
が非常に多くなって密度が高まり、水平方向からの締め
付けでは、他の設置部品と干渉して締付作業が困難であ
る上に、＋側のポストの締め付けを行っている最中に−
側のポストにインパクトレンチが接触すると短絡が生
じ、最悪の場合には車両火災が生じてしまう等の種々の
問題があった。

【０００４】上記問題に対して、図５(Ａ)(Ｂ)に示すよ
うに、ターミナル本体３に基板部３ｂと締付板部３ｃと
を下方に向かって拡がるテーパを有するように対向させ
て形成する一方、上記基板部３ｂと締付板部３ｃに跨架
される両側が下広がりの加締板５を設け、上方よりボル
ト４を締め付けて加締板５により基板部３ｂと締付板部
３ｃを締め付け、よって、図５(Ｃ)に示すように、電極
嵌合部３ａをバッテリー１のポスト２に圧接固定するよ
うにしたバッテリー・ターミナルが提供されている。
(実公平４−９７３６号公報)

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、バッテ
リー・ターミナルは、バッテリー・ポスト２へ取り付け
る際に、ボルト４を締め付けて加締板５を介して基板部
３ｂと締付板部３ｃを変形させて圧接するため、経時変
化により基板部３ｂと締付板部３ｃのバネ性が劣化す
る。

【０００６】よって、バッテリー１を取り替える場合
に、図５(Ｄ)に示すようにボルト４を緩めても基板部３
ｂと締付板部３ｃとが元の位置に復帰せず、基板部３ｂ
と締付板部３ｃに連続させた電極嵌合部３ａが広がらず
にバッテリー・ターミナルをバッテリー・ポスト２から
取り外すことが困難となる。

【０００７】本考案は、上記問題に鑑みてなされたもの
で、バッテリー・ポストからバッテリー・ターミナルを
取り外す際に、バッテリー・ターミナルのボルトを緩め
るとバッテリー・ポストを圧接する電極嵌合部の自由端
を強制的に開放方向に移動させる構成とするバッテリー
・ターミナルを提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決するた
め、本考案では、ターミナル本体の円環状電極嵌合部の
一部開放の自由端に左右一対の締付板部を設けると共
に、下広がりのテーパ面を左右対向させて形成した切欠
部を有する締付具を設け、該締付具の各テーパ面をター
ミナル本体の上記左右締付板部の外端面に当接させて組
み付け、これら締付板部間の中央部に配置したナットに
対して上記締付具のボルト穴を通してボルトを締め付
け、上記テーパ面により左右締付板部を互いに近接する
水平方向へ移動させて、電極嵌合部の自由端を閉鎖させ
るバッテリー・ターミナルであって、上記ターミナル本
体の左右締付板部の各外端より下方傾斜して上記締付具
のテーパ面に当接する摺動部を突設する一方、上記締付
具には上記テーパ面と対向する解除片をテーパ面の下端
より突設し、該解除片とテーパ面との間に摺動部ガイド
用のスリットを形成し、該スリットに沿って摺動部を強
制的に左右近接方向および左右離反方向に移動させる構
成としているバッテリー・ターミナルを提供するもので
ある。

【０００９】上記ターミナル本体は基板を二つ折りして
形成して、上下一対の円環状電極嵌合部を有すると共
に、該電極嵌合部の自由端に夫々連続した上下一対で左
右一対の締付板部を備え、これら各締付板部の外端より
摺動部を突設する一方、上記締付具には上記摺動部が夫
々当接する上下２段のテーパ面を設け、上記解除片を下
段のテーパ面の上端より連続させて上段のテーパ面と摺
動部ガイド用スリットをあけて対向して突設している。

【００１０】

【作用】本考案の上記バッテリー・ターミナルでは、タ
ーミナル本体の締付板部の外端より突設した摺動部が摺
動部のテーパ面と解除片の間でガイドされて摺動するた
め、ボルトを緩めて締付具を連動させて上昇させると、
上記解除片が摺動部を外方に押圧するため、左右締付板
部を強制的に離反する方向へ移動され、各締付板部と連
続した電極嵌合部の自由端を開放方向に移動させること
が出来る。

【００１１】よって、左右締付板部がバネ力を損なって
移動しない状態になっても、ボルトを緩めるだけで確実
にバッテリー・ポストからバッテリー・ターミナルを取
り外すことが出来る。

【００１２】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。本考案のバッテリー・ターミナル１０は、
図１に示すように、ターミナル本体１１、締付具１２、
ボルト１３、ナット１４およびリング１５から構成して
いる。

【００１３】上記ターミナル本体１１は、スッタトタイ
プであり、一枚の金属板を図示のように二つ折りに屈曲
加工して形成し、一端の電線接続部１７にスッタトボル
ト１８を突設し、電線を圧着した端子(図示なし)をナッ
ト(図示なし)で締め付けて接続するようにしている。

【００１４】ターミナル本体１１は、概略的には同一形
状とした上側部１１ａと下側部１１ｂとを一端側の湾曲
部１１ｃで折り曲げて上下対向配置し、電線接続部１
７、電極嵌合部２０、締付板部２１を形成している。詳
しくは、上側部１１ａおよび下側部１１ｂとも、一端に
略矩形状の電線接続部１７Ａ,１７Ｂを備え、該電線接
続部１７Ａ,１７Ｂより円環形状とした電極嵌合部２０
Ａ,２０Ｂを連設している。これら電極嵌合部２０Ａ,２
０Ｂには内周縁に沿って筒状部２０Ａ−１,２０Ｂ−１
を立設している。

【００１５】上記電極嵌合部２０Ａ,２０Ｂの先端は図
示のように開放状態となっており、各自由端に夫々連続
した締付板部２１Ａ,２１Ａ',２１Ｂ,２１Ｂ'を設けて
いる。上記右側締付板部２１Ａと２１Ｂ、左側締付板部
２１Ａ'と２１Ｂ'の先端は曲折部２１Ｃ,２１Ｃ'で連結
し、かつ、これら左右締付板部２１Ａと２１Ａ'、２１
Ｂと２１Ｂ'の間には空隙Ｓを設けている。

【００１６】上記上側締付板部２１Ａ,２１Ａ'の外側端
には、下向きに傾斜させた摺動部２１Ａ−１,２１Ａ'−
１と突設し、かつ、下側締付板部２１Ｂ,２１Ｂ'に外側
端には、上向き内部方向に傾斜させた摺動部２１Ｂ−
１,２１Ｂ'−１(２１Ｂ'−１は図２に示す)を突設して
いる。

【００１７】上記締付具１２は上面部１２ａと両側部１
２ｂ,１２ｃとを備えた略倒コ字形状で、上面部１２ａ
の中心にボルト穴２４を穿設している。また、上面部１
２ａの両端より垂直方向に突設した両側部１２ｂ,１２
ｃには、図示のように、中央部に下端開口の切欠部２
６,２７を設け、これら切欠部２６,２７の左右両側端面
に水平方向に対向する上下２段の下方向に向けて拡がっ
たテーパ面２６ａ,２６ｂ,２６ａ',２６ｂ',２７ａ,２
７ｂ,２７ａ',２７ｂ'を形成し、これらテーパ面２６ａ
〜２７ｂ'の連続部分は突出面２６ｃ,２６ｃ',２７ｃ,
２７ｃ'としている。

【００１８】上記突出面２６ｃ〜２７ｃ'の内側端より
解除片２６ｄ,２６ｄ',２７ｄ,２７ｄ'を内側斜め上方
に向けて突設し、下段のテーパ面２６ｂ〜２７ｂ'より
延在するようにしている。

【００１９】上記解除片２６ｄ〜２７ｄ'は、上段のテ
ーパ面２６ａ〜２７ａ'との間の隙間を設けて対向させ
ており、この隙間を上記ターミナル本体１１の上側摺動
部２１Ａ−１,２１Ａ'−１が摺動自在に挿入できるよう
に設定している。このように、上段のテーパ面２６ａ〜
２７ａ'と解除片２６ｄ〜２７ｄ'との間に摺動部ガイド
用のスリット２６ｅ,２６ｅ',２７ｅ,２７ｅ'を形成し
ている。

【００２０】上記ボルト１３は、その軸部１３ａを締付
具１２のボルト穴２４に貫通して、ナット１４に螺着す
るようにしている。また、ボルト１３の軸部１３ａの上
方にはリング取付溝１３ｂを設け、ボルト穴２４にボル
ト１３を貫通後、該リング取付溝１３ｂにリング１５を
取り付け、ボルト１３を緩めて上昇させた時に、締付具
１２を連動して上昇させるようにしている。

【００２１】上記ナット１４は、上側の締付板部２１
Ａ,２１Ａ'と下側の締付板部２１Ｂ,２１Ｂ'の間で、か
つ、ネジ穴１４ａを右側の締付板部２１Ａ,２１Ｂと左
側の締付板部２１Ａ',２１Ｂ'の間の空隙Ｓに位置する
ように介在させている。

【００２２】次に、上記構成のバッテリー・ターミナル
１０のバッテリー・ポスト２への組付工程を説明する。
バッテリー・ターミナル１０は、バッテリー・ポスト２
への取付前に、締付具１２をターミナル本体１１の締付
板部２１Ａ〜２１Ｂ'に外嵌し、かつ、これら締付板部
２１Ａ〜２１Ｂ'の間に介在させたナット１４に対して
ボルト１３を締付具１２を通して図２に示すように仮止
めしている。

【００２３】上記仮止め状態で、締付具１２の解除片２
６ｄ〜２７ｄ'と上段のテーパ面２６ａ〜２７ａ'の間の
スリット２６ｅ〜２７ｅ'にターミナル本体１１の上側
の摺動部２１Ａ−１,２１Ａ'−１を挿入している。

【００２４】また、下側の締付板部２１Ｂ,２１Ｂ'の摺
動部２１Ｂ−１,２１Ｂ'−１は、締付具１２の下段のテ
ーパ面２６ｂ〜２７ｂ'と当接している。尚、切欠部２
６と２７は同様であるため、以下、切欠部２７側の詳細
な説明を省略する。

【００２５】上記のようにターミナル本体１１に締付具
１２を仮止めした状態で電極嵌合部２０をバッテリー・
ポスト２へ上方より外嵌する。この時、ターミナル本体
１１の両側の締付板部２１Ａと２１Ａ'、２１Ｂと２１
Ｂ'との間には空隙Ｓがあり、これら締付板部２１Ａ〜
２１Ｂ'と連続した電極嵌合部２０Ａと２０Ｂの自由端
側は広い開口状態となっている。よって、上記仮止め状
態のバッテリー・ターミナル１０をバッテリー・ポスト
２へ外嵌する作業を容易に行うことが出来る。

【００２６】次に、バッテリー・ターミナル１０のボル
ト１３を垂直上方より下向きに締め付けていく。この締
付動作で上記締付具１２が下向きに移動して、スリット
２６ｅ,２６ｅ'内の上側締付板部２１Ａ,２１Ａ'の摺動
部２１Ａ−１,２１Ａ'−１は上段のテーパ面２６ａ,２
６ａ'により、内側方向に押圧され、互いに近接する方
向に移動する。また、下側締付板部２１Ｂ,２１Ｂ'の摺
動部２１Ｂ−１,２１Ｂ'−１も下段のテーパ面２６ｂ,
２６ｂ'により内側に押圧される。

【００２７】このように、ボルト１３による垂直方向の
締付力は、締付具１２のテーパ面２６ａ〜２７ｂ'を介
して水平方向内側向きの力に変換され、左右両側の締付
板部２１Ａと２１Ａ'、２１Ｂと２１Ｂ'とが互いに近接
する方向に移動し、連続した電極嵌合２０Ａ,２０Ｂの
自由端を閉鎖方向に締め付ける。よって、電極嵌合部２
０Ａと２０Ｂはバッテリー・ポスト２の外周面に圧接さ
れ、バッテリー・ターミナル１０がバッテリー・ポスト
２に接続固定される。

【００２８】上記バッテリー・ターミナル１０をバッテ
リー・ポスト２へ接続固定した状態では、図３に示すよ
うに、上側の摺動部２１Ａ−１,２１Ａ'−１は、スリッ
ト２６ｅ,２６ｅ'の上端部に位置し、解除片２６ｄ,２
６ｄ'の上端が上側の摺動部２１Ａ−１,２１Ａ'−１の
下端と当接している。

【００２９】一方、図３に示す固定状態より、バッテリ
ー・ターミナル１０をバッテリー・ポスト２から取り外
す際には、ボルト１３を緩める。ボルト１３を緩める方
向に回転させると、ボルト１３と共にリング１５を介し
て締付具１２が上昇する。

【００３０】上記締付具１２がターミナル本体１１に対
して上昇すると、図４に示すように、締付具１２の解除
片２６ｄ,２６ｄ'が、ターミナル本体１１の上側摺動部
２１Ａ−１,２１Ａ'−１の内面に沿って摺動しながら上
昇する。

【００３１】よって、締付具１２の解除片２６ｄ,２６
ｄ'が摺動部２１Ａ−１〜２１Ｂ'−１を外側方向に押圧
して強制的に移動させる。下側締付板部２１Ｂ,２１Ｂ'
の摺動部２１Ｂ−１,２１Ｂ'−１も下段のテーパ面２６
ｂ,２６ｂ'が上昇することにより、左右近接方向の押圧
が解かれて互いに離反する方向へ移動する。

【００３２】よって、左右締付板部２１Ａ〜２１Ｂ'を
介して連通する電極嵌合部２０の自由端は互いに離反す
る方向に移動され、バッテリー・ポスト２への圧接状態
を解除する。

【００３３】

【考案の効果】以上の説明から明らかなように、本考案
のバッテリー・ターミナルでは、バッテリー・ポストか
ら取り外す時にボルトを緩めると、ボルトと共に締付具
が上昇し、該締付具に設けた解除片により締付板部の摺
動部を強制的に外方に押圧するため、締付板部と連続し
た電極嵌合部の自由端は開放されバッテリー・ポストか
ら確実に取り外すことが出来る。

【００３４】一方、締付時においても、締付板部の摺動
がスリットに沿って移動されるため、確実な締め付けが
保たれる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案のバッテリー・ターミナルの組立前の
状態を示す斜視図である。

【図２】 バッテリー・ターミナルの仮係止状態を示す
平面図である。

【図３】 バッテリー・ターミナルの圧接状態を示す平
面図である。

【図４】 ボルトと締付具の上昇状態を示す平面図であ
る。

【図５】 (Ａ)(Ｂ)(Ｃ)(Ｄ)は従来のバッテリー・ター
ミナルを示し、(Ａ)はバッテリー・ポストへの組付状態
を示す斜視図、(Ｂ)はボルトの締付前を示す平面図、
(Ｃ)はボルトの締付後を示す平面図、(Ｄ)は問題点を示
す平面図である。

【符号の説明】

２ バッテリー・ポスト １０ バッテリー・ターミナル １１ バッテリー本体 １２ 締付具 １３ ボルト １４ ナット １７ 電線接続部 ２０ 電極嵌合部 ２１ 締付板部 ２４ ボルト穴 ２６,２７ 切欠部 ２６ａ,２６ａ',２６ｂ,２６ｂ',２７ａ,２７ａ',２７
ｂ,２７ｂ' テーパ面 ２６ｄ,２６ｄ',２７ｄ,２７ｄ' 解除片

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ターミナル本体の円環状電極嵌合部の一
   部開放の自由端に左右一対の締付板部を設けると共に、
   下広がりのテーパ面を左右対向させて形成した切欠部を
   有する締付具を設け、該締付具の各テーパ面をターミナ
   ル本体の上記左右締付板部の外端面に当接させて組み付
   け、これら締付板部間の中央部に配置したナットに対し
   て上記締付具のボルト穴を通してボルトを締め付け、上
   記テーパ面により左右締付板部を互いに近接する水平方
   向へ移動させて、上記電極嵌合部の自由端を閉鎖させる
   バッテリー・ターミナルであって、 上記ターミナル本体の左右締付板部の各外端より下方傾
   斜して上記締付具のテーパ面に当接する摺動部を突設す
   る一方、上記締付具には上記テーパ面と対向する解除片
   をテーパ面の下端より突設し、該解除片とテーパ面との
   間に摺動部ガイド用のスリットを形成し、該スリットに
   沿って上記摺動部を強制的に左右近接方向および左右離
   反方向に移動させる構成としているバッテリー・ターミ
   ナル。
2. 【請求項２】 上記ターミナル本体は基板を二つ折りし
   て形成して、上下一対の上記円環状電極嵌合部を有する
   と共に、該電極嵌合部の自由端に夫々連続した上下一対
   で左右一対の締付板部を備え、これら各締付板部の外端
   より摺動部を突設する一方、上記締付具には上記摺動部
   が夫々当接する上下２段のテーパ面を設け、上記解除片
   を下段のテーパ面の上端より連続させて上段のテーパ面
   と摺動部ガイド用スリットをあけて対向して突設してい
   ることを特徴とする請求項１記載のバッテリー・ターミ
   ナル。