JP2593199Y2 - 漏液検知線付き断熱管 - Google Patents

漏液検知線付き断熱管

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JP2593199Y2 JP1993034976U JP3497693U JP2593199Y2 JP 2593199 Y2 JP2593199 Y2 JP 2593199Y2 JP 1993034976 U JP1993034976 U JP 1993034976U JP 3497693 U JP3497693 U JP 3497693U JP 2593199 Y2 JP2593199 Y2 JP 2593199Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、監視センターにおい
て、漏液位置をリアルタイムで居ながらにして的確に検
知可能にした断熱管であって、その配管作業を容易にし
たものに関する。
【0002】
【技術的背景】地域冷暖房あるいは高層建築物等の、給
湯配管、プラント配管、集中冷暖房配管等において、温
水や冷水の移送には断熱管が使用され、その多くは、地
下埋設、床下あるいは天井裏に配管(布設)されてい
る。その断熱管は一般に鋼管製のサービス管(内管とい
う。)外周に硬質ウレタンフォーム等の断熱層を設け、
必要に応じて更にその外周に保護ジャケットを設けたも
のである。
【0003】この断熱管において、布設後の長期使用に
より、内管にピンホールが生ずることがあり、このピン
ホールは、その位置を確認して、閉塞などの補修をしな
ければならない。
【0004】この従来の一般的な補修作業は、埋設した
断熱管を一定の間隔に区切って内圧を加え、その圧力低
下の状態を観察し、圧力低下した区間をピンホールが生
じた位置とし、その区間を掘り起こしてピンホールを補
修している。
【0005】しかしながら、この補修作業では、分割区
間毎に加圧試験を実施する必要があり、またピンホール
の存在を確認したとしても、分割区間内にあることが分
かるだけでピンホールの発生位置そのものが分かる訳で
はない。このため、ピンホール発生区間全域を掘削せね
ばならず、それには、多くの労力・時間および経費を必
要とする問題がある。
【0006】この問題を解決する従来技術として、特公
昭58−17422号公報において、「複層管の漏洩箇
所検知方法」が提案されている。この提案技術は、漏洩
箇所を的確につきとめてから掘削作業を開始することが
可能であり、掘削作業を大幅に軽減することができる。
【0007】しかしながら、内管内に検知体を挿入する
作業および内管と外管との間に検知体の変色体を変色さ
せるためのガスを送給する作業が必要であり、その作業
が煩雑である。また、この技術では、内管と外管との間
にエアースペースを有する複層管でないと実施できない
技術であるなどの問題を残している。
【0008】一方、特開昭53−72258号公報、特
開昭61−75600号公報等においては、断熱管に漏
液検知線を添設した技術が開示されている。しかしなが
ら、これらの技術は、漏液を検出するだけで、その漏液
位置を検知するものではない。なお、前者の公開公報に
は、内管の直上にシートを配し、このシートにより漏液
を検知線に円滑に導くようにした技術が開示されてい
る。
【0009】また、漏液位置を検知し得る漏液検知線と
しては、実公平4−22282号公報等にマーレールー
プ法によるものが示され、また、後述の抵抗線を使用し
たもの(実施例参照)等がある。
【0010】これらの漏液位置を検知可能な検知線にお
いて、検知精度が高く、かつ操作が容易なものは後者の
抵抗線を使用したものであり、この技術は3本の電極線
を必要とする。
【0011】ところで、断熱管は一定長さのものである
ため、布設に際しては、必ず接続作業が伴い、その際、
漏液検知線を添設すれば、その漏液検知線の接続も必要
である。このとき、漏液検知線が3本の電極線からなれ
ば、その接続は対応する電極線を間違えることなく確実
にせねばならず、間違えれば、検知ができないこととな
る。その接続部のやり直しは煩わしく、とくにその接続
部の断熱を、樹脂組成物の注入固化により構成する場合
は(実施例参照)、非常に煩わしいものとなる。
【0012】
【考案が解決しようとする課題】この考案は、以上の実
情の下、抵抗線を含む電極線3本の漏液検知線を断熱管
に添設し、その漏液検知線でもって、漏液及びその位置
を円滑かつ確実に検出し得るようにするとともに、その
断熱管接続時の漏液検知線の接続を容易にすることを課
題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この考案にあっては、管体の外周に断熱層を形成
し、その全長に亘って漏液検知線を設けた従来周知の断
熱管において、上記管体の周囲全長に亘り、管体及び漏
液検知線に接する非透液性シートが、連続して縦添え、
巻回、又は一定間隔をもって巻回されており、上記漏液
検知線は、2本の低抵抗電極線と1本の高抵抗電極線と
から成り、前記低抵抗電極線の一本は非通液に絶縁被覆
され、他の一本と前記高抵抗電極線とは相互に通液可能
に絶縁されており、かつ、上記漏液検知線の両端は上記
管体の両端から導出され、その端にコネクタが設けられ
ている構成としたのである。
【0014】漏液検知線の管体への添設は、管体と断熱
層との界面、断熱層内、断熱層外面等の適宜な所に行え
ばよい。
【0015】
【作用】このように構成するこの考案に係る断熱管は、
その端部を接続しながら所要長さ布設する。このとき、
各断熱管の漏液検知線はコネクタを介して接続する。こ
のコネクタ接続は、通常、嵌め合い位置が決定されてい
るため、対応の接続電極線を誤ることはない。
【0016】布設した管路の最終端から、その漏液検知
線をリード線を介して監視センターに導き、センターで
は電極線の抵抗値測定によって、漏液及びその位置を検
出する(実施例参照)。このとき、漏液はシートを伝っ
て検知線に円滑に達し、その検出が速やかになされる。
【0017】
【実施例】図1に示すように、鋼製内管1の外周に硬質
ウレタンフォーム等の断熱層2を被覆成形等により設け
て断熱管Pとする。その断熱層2の成形時、内管1の全
長に亘る漏液検知線10を埋込み、この漏液検知線10
の両端は所要長さ突出させてコネクタ3を設ける。この
コネクタ3は気密性(水密性)とする。
【0018】また、図1乃至図3に示すように、内管1
の外周全長に亘り、ポリエチレン等の非透液性で金属を
腐食する成分のないシート7が漏液検知線10を包むよ
うにスパイラル状に巻回されている。内管1表面の漏液
はこのシート7表面を伝って漏液検知線10に円滑に移
行する。シート7は、スパイラル状に代えて輪切り状で
もよく、図示のごとく所要間隔に代えて、管体1全長に
亘り重ね巻き等をして、連続(全長全面の被覆)させて
もよい。また、巻回に代えて、全周に筒状となるように
縦添えしてもよい。
【0019】シート7の材質は、非透液性であれば、樹
脂、金属等のいずれでもよいが、樹脂の場合、塩化ビニ
ル(PVC)等の金属腐食を生じさせるものは好ましく
ない。内管1を腐食させる恐れがあるからである。ま
た、ブルーミングを生じるものも、その析出した物質が
編組内に入って漏液の進行を妨害する等により、漏液検
知精度の低下を招く恐れがあるから好ましくない。
【0020】漏液検知線10は、錫メッキ軟銅集合撚線
0.75sqmm(30/0.18mm)11aの上に、ポリ
エチレン糸200デニール(0.17mmφ)3本持ち1
6本打ち(編組ピッチ10mm)編組密度77%で編組絶
縁11bを設けた第1電極線10aと、錫メッキ軟銅集
合撚線0.5sqmm(20/0.18mm) 12a上に、
0.15mm厚さの塩化ビニル(PVC)絶縁被覆12b
を設けた第2電極線10bと、0.4mmφのニクロム線
の第3電極線10cとから成る。その各電極線10a、
10b、10cは図3に示すように互いに並行に配置さ
れ、この上に、ナイロン単糸0.33mmφ12本打ち
(編組ピッチ30mm)編組密度19%の保護編組13を
設けてある。
【0021】第1電極線10aの絶縁編組11bのピッ
チは77%としているが、60〜85%の範囲であれば
所望の検出感度を得ることができる。また、保護編組1
3の編組密度は19%にしているが、15〜50%の範
囲で選択実施することができる。それらの編組密度を大
きくすると、水分の通過が遅くなり検出感度が低下し、
一方、小さくなりすぎると誤動作の原因となる。
【0022】また、漏液検知線10は、図4に示すよう
に、各電極線10a、10b、10cを撚り合わせた上
に保護編組13を設けてもよく、要するに、第1電極線
10aと第3電極線10cとが通液可能に空気絶縁され
ており、第2電極線10bは電極線10a、10cとの
間で通液しない電気絶縁状態になっていれば、本考案の
目的は達成することができる。従って、上記目的を達成
することの出来るものであれば、その構造は特に限定さ
れるものではない。
【0023】ここで、編組密度は次式(1)で表され
る。
【0024】
【数1】
【0025】つぎに、本考案の漏液検知線10付き断熱
管Pを用いたビルディング内の温・冷水供給管の布設に
ついて図5乃至図8に基づき説明する。
【0026】図5、図6に示すように、布設溝あるいは
ブラケットに断熱管Pを投入し、内管1の接続は公知の
手段で行い、次いで漏液検知線10はコネクタ3によっ
て接続する。このとき、図5のものでは、コネクタ3、
3は雄、雌である必要があって、断熱管Pを埋設溝に投
入するとき、対向するコネクタ3、3が雄、雌になるよ
う注意をする必要がある。しかし、図6に示すように、
補助漏液検知線10’を用意し、コネクタ3は雄又は雌
に統一し、補助漏液検知線10’のコネクタ3’を雌又
は雄とすれば、そのような心遣いは必要がなく、補助漏
液検知線10’をコネクタ3、3間に挿入すれば容易に
工事を進行することができる。
【0027】コネクタ接続が終了すると、その部分に断
熱層2のない部分(コネクタ接続部S)が形成されるの
で、図7に示すようにこの部分に別途用意された軸方向
に二つ割りした継手用保温材2’、2’を被せる。この
際、前記コネクタ3、3’が納まるように、一方の保温
材2’内面には凹窪部2a’が形成してある(同図
b)。二つ割り保温材2’をコネクタ接続部Sに被せた
ら、その上に粘着ビニルテープ4aを巻回してこれを固
定する(同図c)。保温材2’、2’の接合縁及び両端
縁はテーピング4b又は熱収縮カバー(後述の熱収縮パ
イプ4と同様なもの)によって防水する。
【0028】前記コネクター接続部S上の他の断熱層形
成手段としては、図8に示す如く、まず、一方の断熱管
Pに予め熱収縮パイプ4を引き通しておき(同図a)、
接続終了後、その熱収縮パイプ4を接続部S上に戻し両
端を加熱収縮させ、両側の断熱層2、2にわたって注入
型を形成する。この注入型の注入孔hから反応発泡硬化
型のウレタン樹脂組成物aを注入して断熱層2を形成す
る(同図b)。
【0029】この場合、該樹脂組成物aの発泡過程でコ
ネクタ3、3’およびその接続部に可なり大きい圧力・
張力が働き、電極線10a、10b、10cとコネクタ
3、3’との接続部が外れる恐れがあるので、コネクタ
3、3’はその内に発泡樹脂組成物aが侵入しない構造
のものを採用する必要がある。固化後、同図cのように
蓋5をしたのち、パイプ4の端を熱収縮カバー又はテー
ピング4bによって防水する(同図d)。
【0030】上記布設工事はビルディング内のものであ
ったから、断熱層2の外側には遮水を兼る保護ジャケッ
トのない漏液検知線付き断熱管Pを用いたが、ビルディ
ングの中でも断熱管Pが浸水する可能性のあるところで
は、従来と同様に、外部保護ジャケットを有するものを
用いる必要がある。勿論、地域給湯のための地中配管で
は同様の外部保護ジャケットのあるものを用いることは
言うまでもない。
【0031】上記実施例では、内管1と断熱層2との界
面に漏液検知線10を添設したが、断熱層2の中、断熱
層2の外周表面に添設してもよい。このとき、シート7
は、内管1の直上外周をできるだけ広く被ったのち、漏
液検知線10に至らす。また、断熱層2の外周に外部保
護ジャケットを設ける場合、内管1と断熱層2との間あ
るいは断熱層2と外部保護ジャケットとの間にエアース
ペースを設けることもできる。
【0032】以上のようにして漏液検知線10付き断熱
管Pを順次布設し、最終端の断熱管Pの漏液検知線10
からは通常の電気絶縁されたリード線を用いて延線し監
視センターに導入する。監視センターでは、図9に示す
検出回路を構成して、内管1のピンホールの有無及び位
置を検出する。
【0033】例えば、図9に示すように、電極線10
a、10cのb、c点(b、cは同じ位置の点)でピン
ホールが発生し、漏液が生じれば、電極線10a、10
cのbc間が短絡し、a、b、c、dの径路で電流iが
流れて電流計A及び電圧計Vの測定値が大きく変化し
て、その漏液を検出し得る。
【0034】また、このとき、電流計Aの値をI、電圧
計Vの値をEとすると、cd間の抵抗値Rs1 は次式
(2)で求まる。なお、bc間の抵抗値Rw、電極線1
0a、10bの抵抗は、電極線10cに比べはるかに小
さいため無視する。 Rs1 =E/I …… (2) 一方、電極線10cの単位長さ当りの抵抗値をRsとす
ると、漏液位置L(d、c間)は次式(3)で求まる。 L=Rs1 /Rs …… (3)
【0035】
【考案の効果】以上説明した如く、本考案によれば、断
熱管の布設に際し、順次漏液検知線をコネクタによって
接続し、該接続部の断熱処理を繰り返すことにより、温
・冷水の供給管路等の布設と同時に漏液検知回路が形成
され、この回路を監視センターに導入することにより、
監視センターに居ながらにしてリアルタイムに漏液位置
を的確かつ円滑に探知することが出来るとともに、管路
および漏液検知回路の形成に要する労力・時間・経費が
大幅に軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の中間部除去切断正面図
【図2】同実施例の切断側面図
【図3】同実施例の要部切欠斜視図
【図4】漏液検知線の一部除去部分図
【図5】同実施例の布設説明図
【図6】同実施例の布設説明図
【図7】同実施例の布設説明図
【図8】同実施例の布設説明図
【図9】漏液位置検出回路図
【符号の説明】
1 管体(内管) 2 断熱層 2’ 継手用保温材 3、3’ コネクタ 4a 粘着ビニルテープ 4 熱収縮パイプ 5 蓋 6 熱収縮カバー 7 非透液性シート 10 漏液検知線 10a、10b 低抵抗電極線(第1、第2電極線) 10c 高抵抗電極線(第3電極線) a 樹脂組成物 P 断熱管 A 電流計 V 電圧計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 三島 啓邦 東京都中央区日本橋室町3丁目1番3号 株式会社クボタ東京本社内 (72)考案者 小菅 唯光 東京都中央区日本橋室町3丁目1番3号 株式会社クボタ東京本社内 (72)考案者 大西 邦彦 東京都港区浜松町1丁目12番4号 日本 リックウィル株式会社内 (72)考案者 小島 健司 東京都墨田区両国2丁目10番5号 三井 金属エンジニアリング株式会社内 (72)考案者 小堀 保 東大阪市岩田町2丁目3番1号 タツタ 電線株式会社内 (56)参考文献 実開 昭47−8900(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16L 59/14 F16L 59/147

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管体1の外周に断熱層2を形成し、その
    全長に亘って漏液検知線10を設けた断熱管Pであっ
    て、 上記管体1の周囲全長に亘り、管体1及び漏液検知線1
    0に接する非透液性シート7が、連続して縦添え、巻
    回、又は一定間隔をもって巻回されており、 上記漏液検知線10は、2本の低抵抗電極線10a、1
    0bと1本の高抵抗電極線10cとから成り、前記低抵
    抗電極線の一本10bは非通液に絶縁被覆され、他の一
    本10aと前記高抵抗電極線10cとは相互に通液可能
    に絶縁されており、 かつ、上記漏液検知線10の両端は上記管体1の両端か
    ら導出され、その端にコネクタ3が設けられていること
    を特徴とする漏液検知線付き断熱管。
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