JP2592930B2 - 補助電源装置 - Google Patents

補助電源装置

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JP2592930B2 JP63245941A JP24594188A JP2592930B2 JP 2592930 B2 JP2592930 B2 JP 2592930B2 JP 63245941 A JP63245941 A JP 63245941A JP 24594188 A JP24594188 A JP 24594188A JP 2592930 B2 JP2592930 B2 JP 2592930B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は計算機用補助電源、医療用非常電源、あるい
は夜間電力の蓄積を兼ねた各種補助電源装置に関する。
(従来の技術) 第11図に従来の補助電源装置の構成図を示す。図中SU
Pは3相の交流電源、SWは開閉器、BATは蓄電池、INVは
インバータ装置、LSは交流リアクトル、LOADは負荷装置
である。
負荷装置LOADは例えば、計算機あるいは医療機器等で
通常は商用電源SUPから電力供給を受けている。
また、インバータINVは蓄電池BATを直流電圧源として
一定周波数の交流電圧を発生する。
交流リアクトルLSにはインバータINVからの出力電圧V
a(,Vb,Vc)と電源電圧VR(,VS,VT)との差電圧が印
加され、インバータINVから供給される電流はそのリア
クトルに印加される電圧によって決定される。
通常はVa=VRとするか、インバータの運転を停止して
インバータINVから供給する電流は零とし、交流電源SUP
に何らかの異常が発生した場合、例えば停電となった場
合、このインバータINVから負荷LOADに電力を供給す
る。
すなわち、負荷LOADは交流電源SUPに異常が発生した
場合でも連続して電力供給が受けられ、計算機や医療機
械の運転を停止させなくて済む。この結果、計算中の重
要なデータの消滅が防止でき、さらに人命を扱う医療機
械の信頼性を向上させることができる。
(発明が解決しようとする課題) 上記従来の補助電源装置は次のような問題点がある。
すなわち、従来の装置ではインバータを構成するため
に自己消弧素子(例えば、ゲートターンオフサイリスタ
や大電力トランジスタ等)を使用しなければならず、装
置が高価なものとなる。また、当該自己消弧素子は過負
荷耐量が小さく、大容量化が難しい欠点がある。さらに
インバータの出力電圧を正弦波に近づけるため、パルス
幅変調制御(PWM制御)を行っているが、波形歪みを小
さくするため、このPWM制御の搬送波周波数を高くする
必要がある。このため、上記自己消弧素子のスイッチン
グ周波数も高くなり、その分損失が増大し、運転効率が
悪くなる欠点があった。
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたもので、進相
コンデンサに印加される交流電圧を利用して自然転流す
る二重コンバータにより、補助電源を構成したもので、
自己消弧素子を用いることなく、直流電圧源から正弦波
交流電圧を作ることができ、大容量化が容易で、経済性
に優れ、かつ効率の良い補助電源装置を提供することを
目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 以上の目的を達成するために、本発明は、直流電源
と、該直流電源に直流リアクトルを介して出力側端子が
接続された循環電流式二重コンバータと、当該二重コン
バータの入力側端子に接続された進相コンデンサと、交
流電源と、該交流電源又は前記進相コンデンサのどちら
か一方あるいは両方から電力供給を受ける負荷装置とを
具備している。
(作用) 循環電流式二重コンバータは進相コンデンサに印加さ
れる電圧を利用して自然転流する。当該進相コンデンサ
に印加される電圧の波高値は、前記二重コンバータによ
り直流電源から供給される電流を調整することにより、
電圧指令値に一致するように制御される。また、当該二
重コンバータの点弧位相を制御する位相制御回路には、
交流電源電圧に同期した位相基準信号が与えられ、進相
コンデンサに印加される電圧の周波数と位相は、この位
相基準信号の周波数と位相に一致するように動作する。
上記位相基準信号の交流電源電圧に対する位相を変える
ことにより、上記進相コンデンサ電圧の交流電源電圧に
対する位相を調整することができる。
前記交流電源電圧に対する進相コンデンサ印加電圧の
波高値と位相を調整することにより、上記二重コンバー
タの出力側端子に接続された直流電源と上記交流電源と
の間で授受される電力量を制御することができ、夜間電
力を蓄電池等の直流電源に蓄えたり、また昼間、その蓄
積エネルギーを放出することもできる。
負荷を接続した場合、通常は交流電源からのみ電力を
供給するが停電時等には補助電源である進相コンデンサ
から電力を供給する。この場合、前記二重コンバータの
位相制御回路に与えられる基準信号は外部発振器によっ
て作られる。故に、進相コンデンサの印加電圧の周波数
と位相は上記外部発振器から与えられる基準信号の周波
数と位相に一致するようになり、補助電源から単独で負
荷に電力が供給されるようになる。
また、交流電源と補助電源の両方から負荷に電力を供
給することもでき、その負荷分担の割合を任意の値に調
整することができる。
以上のようにして本発明装置は自然転流だけで、必要
な電力を供給する補助電源を構成することができ、運転
効率がよく、経済的なシステムとなり、かつ大容量化も
容易に図ることが可能となる。
(実施例) 第1図は本発明の補助電源装置の一実施例を示す構成
図である。
図中、BATは蓄電池、Ldは直流リアクトル、CONVは循
環電流式二重コンバータ、CAPは進相コンデンサ、LS
交流リアクトル、SW1,SW2は開閉器、SUPは交流電源、LO
ADは負荷装置である。
二重コンバータCONVは正群コンバータSSPと負群コン
バータSSN及び直流リアクトルL01,L02で構成されてい
る。
また、制御回路として、電流検出器CTd、電圧検出器P
Tcap,PTs、整流回路D、基準信号発生器PTG、電圧波高
値制御回路AVR、直流電流制御回路ACR及び位相制御回路
PHCが用意されている。
負荷装置LOADは、例えば電子計算機あるいは医療機械
等で、通常は開閉器SW1を閉じ、SW2を開放して交流電源
SUPから電力供給を受けている。
循環電流式二重コンバータCONVは、進相コンデンサCA
Pに印加される電圧Va,Vb,Vcを利用して自然転流する。
当該進相コンデンサCAPに印加される電圧の波高値Vcap
は前記二重コンバータCONVにより、直流電源BATから供
給される電流Idを調整することにより、電圧波高値指令
V* capに一致するように制御される。
また、前記二重コンバータCONVの位相制御回路PHCに
は基準信号発生器PTGにより交流電源電圧に同期した位
相基準信号ea,eb,ecが与えられ、進相コンデンサCAPに
印加される電圧Va,Vb,Vcの周波数は当該基準信号の周波
数に一致するようになる。また、当該進相コンデンサCA
Pの印加電圧の交流電源電圧に対する位相は上記位相
基準信号ea,eb,ecの交流電源電圧に対する位相を変え
ることにより、任意の値に調整することができる。
次に、各制御動作を説明する。
まず、負群コンバータSSNを介して進相コンデンサCAP
に電圧を確立させる動作を説明する。
第2図は、直流電源Vdと負群コンバータSSNと進相コ
ンデンサCab,Cbc,Ccaと直流リアクトルLdの関係を示す
等価回路である。
第2図の回路で、サイリスタS2とS4に点弧パルスが入
った場合、充電電流Idは電源Vd +→リアクトルLd→サイ
リスタS4→コンデンサCab→サイリスタS2→電源Vd -の経
路と、電源Vd +→リアクトルLd→サイリスタS4→コンデ
ンサCca→コンデンサCbc→サイリスタS2→電源Vd -の経
路に流れる。この結果、コンデンサCabには電源電圧Vd
が充電され、コンデンサCbc,Ccaには−Vd/2の電圧が印
加される。
第3図(a)は、負群コンバータSSNのサイリスタS1
〜S6の点弧モードを示すもので、第1図の基準信号発生
器PTGからの3相基準信号ea,eb,ecに同期して点弧パル
スが与えられる。第2図のモードの後はサイリスタS3
点弧パルスが与えられる。すると、コンデンサCbcに充
電された電圧によって、サイリスタS2に逆バイアス電圧
が印加され、S2はオフする。すなわち、起動時には進相
コンデンサCAPは転流コンデンサの役目をはたす。サイ
リスタS4とS3がオンすると、コンデンサCab,Cbc,Cca
印加される電圧も変化する。
第3図(b)は、(a)のモードで点弧されたときの
第2図のa,b端子間の電圧Va-bと相電圧Vaの波形を表
す。電圧Va-bはリアクトルLdを介して充電されるため、
破線の如く、徐々に立上る。その時間を2δとした場
合、Va-bの基本波成分はδだけ遅れる。相電圧Vaは、当
該線間電圧Va-bに対して(π/6)ラジアンだけ位相が遅
れる。
第3図の点弧モードと相電圧Vaを比較するとわかるよ
うに、起動時の位相制御角αNは、 αN=π−δ(ラジアン) …(1) となっている。δはあまり大きくないので、近似的には
αN≒180°で運転されていることになる。このときのコ
ンバータSSNの出力電圧VNは、第2図の矢印の方向を正
と考えると、 VN=−KV・Vcap・cosαN …(2) となっている。ただし、KVは比例定数、Vcapはコンデン
サの相電圧波高値とする。
当該出力電圧VNが直流電圧Vdとつり合っている。しか
し、このままでは、進相コンデンサCAPには、当該直流
電圧Vd以上の電圧は充電されない。そこで、点弧位相角
αNを90°の方向に少しずらしてやる。すると(2)式
で示される出力電圧VNが減少し、Vd>VNとなる。この結
果、充電電流Idが増大しコンデンサ電圧Vcapを増大さ
せ、Vd=VNとなって落ち着く。さらにVcapを増大させた
い場合には、αNをさらに90°の方向にずらし、出力電
圧VNを減少させることにより達成できる。
αN=90°ではVN=OVとなり、理論的には、直流電圧V
dがごくわずかな値でもコンデンサ電圧Vcapを大きな値
に充電することができる。しかし、実際には、回路損失
があるため、その分の電力供給は必要不可欠のものとな
る。
このようにして進相コンデンサCAPの電圧Vcapを任意
の値に充電することができる。
このようにして確立された進相コンデンサCAPの電圧V
a,Vb,Vcが、第1図の位相制御回路PHP,PHNに与えられる
3相基準電圧ea,eb,ecの周波数と位相に大略一致するこ
とを次に説明する。
二重コンバータCONVは直流電源BATから供給される入
力電流Idを制御するため、直流電圧Vdに応じて、その出
力電圧Vcdを変化させている。CONVの出力電圧Vcdは正群
コンバータSSPの出力電圧VPと負群コンバータSSNの出力
電圧VNの平均値で、次のように表わされる。
Vcd=(VP+VN)/2 …(3) また循環電流IOは、上記正群及び負群コンバータの出
力電圧の差VP−VNが直流リアクトルL01,L02に印加され
ることにより流れる。すなわち、VP>VNの場合、IOは増
加し、逆にVP<VNの場合、IOは減少する。
通常は、VP≒VNとなって循環電流IOの増減はない。こ
のとき点弧位相角は、 αN≒180°−αP …(4) の条件を満足している。
第4図はαP=45°,αN=135°の場合の位相制御基
準信号ea,eb,ecと正群及び負群コンバータの点弧パルス
信号を表わす。
基準信号ea,eb,ecは、第1図の基準電圧発生器PTGか
ら与えられるもので、次式のように表わせる。
ea=sin(ωS・t+) …(5) eb=sin(ωS・t+−2π/3) …(6) ec=sin(ωS・t++2π/I) …(7) ここでωS=2πSで、Sは交流電源SUPの周波数、
は当該交流電源SUPの電圧VR,VS,VTに対する進み位相
角である。
進相コンデンサCAPの相電圧Va,Vb,Vcが上記基準電圧e
a,eb,ecの周波数と位相に一致している場合、コンバー
タSSP,SSNの出力電圧は次のようになる。
VP=k・Vcap・cosαP …(8) VN=−k・Vcap・cosαN …(9) 故に、(4)式を満足している限り、VP≒VNとなって
循環電流IOの増減はない。
この状態から仮にコンデンサ電圧の周波数capが低
くなり、第4図の破線のようにV′a,V′b,V′cとなっ
た場合を考える。
コンバータSSPの点弧位相角は、αPからα′Pに、ま
た、SSNの点弧位相角はαNからα′Nに変化する。この
結果、VP>VNとなり、二重コンバータCONVの循環電流IO
を増大させる。
当該循環電流IOは、進相コンデンサCAP側から見た場
合、二重コンバータCONVの入力側の遅れ無効電力とな
る。
第5図は、二重コンバータCONVの入力側の1相分の等
価回路を表わしたもので、コンバータCONVは、遅れ電流
をとる可変インダクタンスLCOに置き換えられる。この
回路の共振周波数capは、次式のようになる。
循環電流が増大することは、等価インダクタンスLCO
が減少することに等しく、上記周波数capは増大し、V
a′,Vb′,Vc′の周波数capは基準電圧ea,eb,ecの周
波数cに近ずく。
同様にcapcとなった場合には、循環電流IOが減
少し、LCOが大きくなって、やはり、capcとなっ
て落ち着く。
進相コンデンサCAPの電圧の位相が基準電圧の位相よ
り遅れた場合には、上記capcとなったときと同様
に循環電流が増加し、進相コンデンサCAPの電圧位相を
進める。逆に進相コンデンサCAPの電圧位相が基準電圧
より進んだ場合には、上記capcとなったときと同
様に、循環電流が減少し、進相コンデンサCAPの電圧位
相を遅らせる。このようにして、進相コンデンサCAPの
電圧Va,Vb,Vcは、基準電圧ea,eb,ecと同一周波数、同位
相となるように循環電流の大きさが自動的に調整される
ものである。
基準電圧ea,eb,ecの進み位相角を変えてやることに
り、進相コンデンサCAPの電圧Va,Vb,Vcの交流電源電圧V
R,VS,VTに対する位相を任意の値に調整できる。
次に第1図にもどって、進相コンデンサCAPに印加さ
れる電圧の波高値Vcapの制御動作を説明する。
3相電圧検出器PTcapにより進相コンデンサCAPに印加
される電圧Va,Vb,Vcの瞬時値を検出する。それを整流回
路Dを介して整流し、波高値Vcapを求める。
当該波高値検出値Vcapは電圧制御回路AVRに入力さ
れ、波高値指令V* capと比較され、その偏差εV=V* cap
−Vcapは比例増幅あるいは積分される。AVRの出力信号
は、直流電流指令値Id *となる。
一方、電流検出器CTdによって直流電流Idが検出さ
れ、電流制御回路ACRに入力される。ACRでは上記直流電
流指令値Id *と検出値Idを比較し、その偏差εI=Id *−I
dを反転増幅して、二重コンバータCONの位相制御回路PH
Cに次式で示されるで電圧Vαを入力する。
α=−KI・εI …(11) 二重コンバータCONVの出力電圧Vcdは、この入力信号
αに比例した値となる。
Id *>Idとなった場合、偏差εIは正の値となり、位相
制御回路PHCの入力信号Vαは負の値となる。故に、二
重コンバータCONVの出力電圧Vcdは第1図の矢印と反対
方向に発生し、直流電流Idを増加させる。
逆に、Id *<Idとなった場合、偏差εIは負の値とな
り、Vαは正の値となって増加する。故に、Vcdは図の
矢印の方向に増大し、Vcd>Vdとなって直流電流Idを減
少させる。
このようにして直流電流Idはその指令値Id *に一致す
るように制御される。
ここで、次にV* cap>Vcapとなった場合を考える。こ
のとき偏差εVは正の値となり直流電流指令値Id *を増加
させる。実電流Idは上記のように当該指令値Id *に一致
するように制御され、Id *に従ってIdも増加する。すな
わち、より多くの有効電力Pd=Vd・Idが直流電源BATから
進相コンデンサCAPに供給され、その蓄積エネルギー(1
/2)CcapV2 cap=Pd・tが増加する。故にVcapが増加
し、Vcap=V* capとなるように制御される。
また、逆にV* cap<Vcapとなった場合偏差εVは負の値
となりId *を減少させる。故に直流電源BATから供給され
る有効電力Pdも減少し、その結果、進相コンデンサCAP
の蓄積エネルギーが減少し、Vcapが低くなり、やはりV
cap=V* capとなるように制御される。
次に進相コンデンサCAPに印加される電圧Va,Vb,Vc
交流電源電圧VR,VS,VTに対する位相を調整する動作を
説明する。
第6図は基準電圧発生器PTGの具体的実施例を示す構
成図である。
図中、TF1は3相/2相変換器、TF2は2相/3相変換器、
CAL1,CAL2は演算器を示す。
第1図の3相電圧検出器PTSによって交流電源SUPの電
圧VR,VS,VTに同期した単位正弦波eR,eS,eTが検出され
る。
eR=sin(ωS・t) …(12) eS=sin(ωS・t−2π/3) …(13) eT=sin(ωS・t+2π/3) …(14) ωS=2πSSは電源周波数 この3相単位正弦波eR,eS,eTを3相/2相変換器に入力
し、次式のように2相単位正弦波eα,eβに変換する。
α=eR=sin(ωS・t) …(15) 一方、電源電圧に対する進相コンデンサ電圧の進み位
相角の設定値に基づき、演算器CAL1によってその正弦
値sinと余弦値cosを求め、次の演算器CAL2に入力す
る。
演算器CAL2では、信号eα,eβとsin,cosを用い
て新しい信号eα′,eβ′を計算する。
α′=eα・cos+eβ・sin =sin(ωS・t)・cos+cos(ωS・t)・sin
=sin(ωS・t+) …(17) eβ′=eβ・cos−eα・sin =cos(ωS・t)・cos−sin(ωS・t)・sin
=cos(ωS・t−) …(18) この2相信号eα′,eβ′をさらに2相/3相変換器TF
2を介して位相制御基準信号ea,eb,ecを求める。
ea=eα′ =sin(ωS・t+) …(19) 進相コンデンサCAPに印加される電圧Va,Vb,Vcは上記
位相基準信号ea,eb,ecと同位相になることは前に述べ
た。
交流電源SUPが停電した場合、信号eR,eS,eTは得られ
ないので、ここでは図示しなかったが、外部発振器を用
意し、当該発振器から電源周波数(50Hz又は60Hz)と同
一周波数の3相単位正弦波eR′,eS′,eT′を与える。
さらに、電源が復帰した場合には、PLL(phase locke
d loop)回路等の公知の手法により、電源電圧eR,eS,eT
と外部発振器からの出力信号eR′,eS′,eT′の同期を
とり、位相を一致させてから、信号を切換えるようにす
れば、突入電流が流れることなく、スムーズに制御を移
行させることができる。
さて、もう一度、第1図にもどって負荷装置LOADへの
電力供給動作を説明する。
通常、負荷装置LOADは交流電源SUPから電力供給を受
けている。
ここで、上記交流電源SUPが停電した場合、補助電源
である進相コンデンサCAPから電力供給を行う。このと
き、開閉器SW1はオフされ、SW2がオンされる。
停電しているので、交流電源SUPからの基準信号は入
ってこない。故に、前述のように外部発振器から3相基
準信号eR′,eS′,eT′をもらい、その信号に基づいて
位相制御回路PHCの基準信号ea,eb,ecを作る。ここで、
位相差は意味を持たないので=0にする。
蓄電池BATに蓄えられた電気エネルギーがコンバータC
ONVを介して交流電力に変換され、当該電力が負荷装置L
OADに供給される。このとき進相コンデンサCAPに印加さ
れる電圧の波高値Vcapはほぼ一定に制御される。
交流電源SUPが復電した場合、電源から基準信号eR,
eS,eTと前記外部発振器からの出力信号eR′,eS′,
eT′とで同期をとり、位相を完全に一致させ、かつ進相
コンデンサCAPの電圧波高値Vcapと電源電圧の波高値Vsm
とを合わせて開閉器SW1を投入する。その後、補助電源
の開閉器SW2を開放し、再び通常の運転を継続する。
次に、交流電源SUPと補助電源の両方から負荷装置LOA
Dに電力を供給する動作を説明する。
第7図は交流電源VRと補助電源Vaと交流リアクトルLS
及び負荷LOADの1相分の等価回路を示すものである。
負荷電流ILは電源電流ISと補助電源電流Iaの和とな
る。
補助電源電流Iaは交流リアクトルLSに印加される電圧
Va−Vsによって決定される。Vsは一定と考えれば、Va
変えることにより電流Iaを調整することができる。
第8図は第7図の回路における電圧電流のベクトル図
を示す。
第8図(a)は負荷電流ILを全て補助電源側から供給
した場合のベクトル図である。
Ia=ILを流すために交流リアクトルLSにはVLS=jωS
LSIaの電圧を印加させる必要がある。そのために、補助
電源である進相コンデンサCAPのa相の電圧Vaas+jωsLsIa …(22) となるように制御すればよい。電圧ベクトルaを大き
さVcapと位相(電源電圧Vsに対する位相)に分ける
と、次のように表わせる。
ただし、θは電流Iaの電源電圧Vsに対する位相角、V
smは電源電圧波高値、VLSmはVLSの波高値とする。
=tan-1{VLSm・cosθ/(Vsm+VLSm・sinθ)} …
(24) 進相コンデンサCAPの電圧の波高値Vcap及び位相が
(23),(24)式のようになるように第1図の装置のV*
cap及びを調整することにより、第8図(a)のベク
トルを満足する電流Iaを供給することができる。
第8図(b)は負荷電流ILのうち、有効電流の一部IR
を交流電源SUPから供給し、その他を補助電源からa
LRの電流を供給するようにしたときのベクトル図
を示す。
同様に負荷電流ILのうち、有効電流成分全部を交流電
源SUPから供給し、ILの無効電流成分だけを補助電源に
負担させることもできる。この場合、蓄電池BATは補助
電源の損失分の有効電力を負担するだけで済むことにな
る。さらにこの損失分も交流電源SUPから供給すること
により、蓄電池BATの蓄積エネルギーの増減はなくな
り、蓄電池BATの代りに直流平滑コンデンサに置き換え
ることも可能である。すなわち、この補助電源は交流電
源SUPに対して無効電力補償装置の役目をはたすことも
できる。
第8図(c)は、負荷がない場合(IL=0)のベクト
ル図を示すもので、交流電源SUPから補助電源に有効電
流IRを供給しているときのベクトル図を表わす。
Ia=−IRとなり、進相コンデンサ電圧Vaは電源電圧VR
より位相が遅れる。
このケースは夜間電力を蓄電池BATに蓄える場合に考
えられる。すなわち、夜間、電力需要の少ないとき、余
った電力をコンバータを介して蓄電池BATに蓄え、昼
間、そのエネルギーを第8図(a)又は(b)等のベク
トル図のように放出するものである。
第1図の直流電源BATとして太陽電池を用いるシステ
ムも考えられる。その場合、開閉器SW1とSW2は常にオン
しておき、太陽電池で発生した電力は負荷LOADか、交流
電源SUPに供給することになる。負荷LOADがない場合は
太陽電池で発生したエネルギー(電力)は全て交流電源
SUPに回生され、当該電源に接続された他の負荷に電力
が供給される。
第9図は第1図の装置で、補助電源と交流電源SUPが
接続されている場合、補助電源から供給する有効電力及
び無効電力の制御回路を示すものである。
図中、PQCは有効,無効電力の演算回路、C1,C2は比較
器HP(S),HQ(S)は制御補償回路、PTGは基準電圧
発生器、AVRは電圧波高値制御回路である。
まず、交流電源SUPの電圧VR,VS,VT及び補助電源から
供給される電流Ia,Ib,Icを検出し、有効,無効電力の演
算回路PQCに入力する。PQCでは、補助電源から供給され
る有効電力Pと無効電力Qを演算し、各々を比較器C1,C
2に入力する。
比較器C1では、上記有効電力検出値Pとその指令値P*
を比較し、その偏差εP=P*−Pを次の有効電力制御補
償回路HP(S)に入力する。HP(S)では上記偏差εP
を増幅あるいは積分し、その出力を第1図の基準電圧
発生器PTGに入力する。
また、比較器C2によって上記無効電力検出値Qとその
指令値Q*を比較し、その偏差εQ=Q*−Qを次の無効電
力制御補償回路HQ(S)に入力する。HQ(S)では上記
偏差εPを増幅あるいは積分し、その出力V* capを第1図
の電圧波高値制御回路AVRに与える。
P*>Pとなった場合、偏差εPは正の値となり、例え
ば第8図(a)のベクトル図の位相角を増加させる。
その結果、交流リアクトルLSに印加される電圧VLSの電
源電圧VRに対する直角方向成分が増加し、Iaの有効分を
増加させ、P=P*となるように制御される。
逆にP*<Pとなった場合は、位相を減少させ、Ia
有効分を減少させて、やはりP=P*となるように制御さ
れる。
また、Q*>Qとなった場合、偏差εQは正の値とな
り、波高値Vcapを増加させる。その結果、交流リアクト
ルLSに印加される電圧VLSのVR方向の成分が増加し、Ia
の無効分を増加させ、Q=Q*となるように制御される。
この場合、VLSのVRと直角方向の成分も同時に増加し、
P>P*となるが、P制御ループによってが減少し、P
=P*となるように制御される。
逆にQ*<Qとなった場合、Vcapが減少し、Iaの無効分
を減少させてやはりQ=Q*となって落ち着く。
第9図の制御回路では、P制御とQ制御が相互に干渉
しながら、最終的にP=P*,Q=Q*となるように制御され
る。
第10図は、上記相互干渉が生じないようにした有効,
無効電力制御回路の実施例を示す構成図である。
図中、AD1,AD2は加算器、SQ1,SQ2は2乗演算回路、SQ
Rは平方根演算回路、DIVは割算器、ATNは逆正接演算回
路で、他の記号は第9図に準ずる。
有効電力制御補償回路HP(S)の出力VLQは、電源電
圧VRに対して直角方向の成分電圧、無効電力制御補償回
路HQ(S)の出力VLPは電源電圧VRと同方向の成分電圧
となる。
進相コンデンサの電圧波高値指令V* capは次式の演算
を行うことにより求めている。
この式は(23)式に対応するものである。
また、位相角は次の演算を行うことにより求めてい
る。
=tan-1{VLQ/(Vsm+VLP)} …(26) この式は(24)式に対応するものである。
すなわち、P*>Pとなった場合、(25),(26)式の
VLQが同時に増加し、V* cap及びを増加させる。この結
果、交流リアクトルLSに印加される電圧VLSの電源電圧V
Rに対する直角方向の成分VLQだけが増加し、有効電力P
だけを増加させる。故にQ=一定のまま、P=P*となる
ように制御される。P*<Pの場合も同様である。
またQ*>Qとなった場合、(25),(26)式のVLP
同時に増加し、V* capをふやし、を減少させる。この
結果、交流リアクトルLSに印加される電圧VLSのVR方向
の成分VLPだけが増加し、無効電力Qだけを増加させ
る。故にP=一定のままQ=Q*となるように制御され
る。Q*<Qの場合も同様に、P制御に影響することなく
Q=Q*となるように制御される。
〔発明の効果〕
以上のように本発明の補助電源装置は、自然転流だけ
で動作し、大容量化がきわめて容易である。また装置を
構成する素子は普通のサイリスタでよく、安価で、信頼
性の高いシステムとなる。さらに、直流電源として蓄電
池を使用することにより、夜間電力を蓄積して需要の多
い昼間にそのエネルギーを放出できる等省エネルギーシ
ステムを達成できる。また、直流電池として太陽電池等
を用いれば、その電力を交流電源に回生することもで
き、太陽エネルギーの有効活用ができる。さらに、また
大形計算機や医療機械の補助電源として、経済的で信頼
性の高いシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の補助電源装置の実施例を示す構成図、
第2図及び第3図は第1図の装置の起動動作を説明する
ための等価回路図とタイムチャート図、第4図及び第5
図は第1図の装置の動作を説明するためのタイムチャー
ト図と等価回路図、第6図は、第1図の装置の制御回路
の一部の具体的実施例を示す構成図、第7図及び第8図
は第1図の装置の動作を説明するための等価回路図とベ
クトル図、第9図及び第10図は第1図の装置の補助電源
から供給される有効電力及び無効電力の制御動作を説明
するための制御回路図、第11図は従来の補助電源装置の
構成図である。 BAT…直流電源、Ld…直流リアクトル、CONV…循環電流
式二重コンバータ、CAP…進相コンデンサ、SUP…交流電
源、SW1,SW2…開閉器、LOAD…負荷装置、SSP,SSN…正
群,負群コンバータ、L01,L02…直流リアクトル、LS
交流リアクトル、CTd…電流検出器、PTcap,PTS…電圧検
出器、D…整流回路、AVR…電圧制御回路、ACR…電流制
御回路、PHC…位相制御回路、PTG…基準電圧発生器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直流電源と、該直流電源に直流リアクトル
    を介して出力側端子が接続された循環電流式二重コンバ
    ータと、当該二重コンバータの入力側端子に接続された
    進相コンデンサと、交流電源と、該交流電源又は前記進
    相コンデンサのどちらか一方あるいは両方から電力供給
    を受ける負荷装置とからなる補助電源装置。
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