JP2592381B2 - ダンパー付き柱の施工用型枠 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ダンパー付き柱の施工
用型枠に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】先にダンパー付き柱について説明する。
これは、図５、図６に示すように、コンクリート柱１の
途中に切断個所２を設け、この切断個所２となる端面に
フランジ３ａとウエブ３ｂからなる断面Ｔ形の鋼製プレ
ート３を配設する。

【０００３】このプレート３は、フランジ３ａがアンカ
ーとなり、ウエブ３ｂ端同士が小間隔で対向するように
配設するものである。そして、このウエブ３ｂの両側面
に相互のウエブ３ｂに跨がるように鋼製プレート４を当
て、この鋼製プレート４と各ウエブ３ｂとはハイテンシ
ョンボルト５で締付け固定する。

【０００４】なお、前記鋼製プレート４は中央部に六角
形の穴４ａを並列させて形成したスリット状の特殊形状
のものであり、この穴４ａ間の細い部分がウエブ３ｂ同
士を連結することになる。

【０００５】このようにして、プレート３とプレート４
とでダンパー６が構成され、このダンパー６の部分が変
形可能な脆弱部分となって地震等における建物全体の歪
みを吸収する。

【０００６】ところで、かかるダンパー付き柱を施工す
るには、従来、コンクリート柱１の途中の切断個所２を
境に、上下別々に型枠を組んでおこなっていた。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、これでは上下
別々に型枠の組立て作業を行わなければならず、コンク
リートの打設も含めて、非常に手間がかかり面倒であ
る。さらに、型枠に配置するプレート３は、ウエブ３ｂ
同士の位置関係で±１m/m 以内の精度の確保が必要とな
り、この精度を出すのが極めて難しい。

【０００８】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、型枠組作業も簡単で、かつ、コンクリートの打設も
１回ですみ、しかも、精度良くダンパーを容易に形成で
きるダンパー付き柱の施工用型枠を提供することにあ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、コンクリート柱の途中に切断個所を設け、そ
の端面にフランジとウエブからなる断面Ｔ形のプレート
を該ウエブ端同士が対向するように配設し、このウエブ
同士の面に跨がるようにプレートを当て、ボルト締めし
てダンパーを構成するダンパー付き柱において、該柱の
施工用型枠は前記断面Ｔ形のプレートを内設する個所を
囲む連続部分を有する上下一体的なものであり、この断
面Ｔ形のプレートのフランジが型枠内を水平方向に仕切
る仕切板となるとともに、前記断面Ｔ形のプレートを内
設する個所を上下に貫通するコンクリート通流ダクトを
型枠内に設けたこと、および、施工用型枠の断面Ｔ形の
プレートを内設する個所を囲む連続部分には、型枠欠如
部による開口を設けることを要旨とするものである。

【００１０】

【作用】請求項１記載の本発明によれば、施工用型枠は
ダンパー用断面Ｔ形のプレート内設する個所を囲む連続
部分を有する上下一体的なものとして上下に連続して組
むことができる。また、型枠内に打設するコンクリート
はコンクリート通流ダクトを介して上下に行き渡るの
で、１回の打設ですむ。さらに、ダンパー用断面Ｔ形の
プレートもこのように上下に連続する型枠内に配設する
ので精度良く配設でき、コンクリート打設後の仕上がり
精度も高いものとなる。

【００１１】請求項２記載の本発明によれば、前記作用
に加えて、開口から型枠内部を観察でき、コンクリート
が回込まない切断個所が確実に形成できることを目で確
認できる。

【００１２】

【実施例】以下、図面について本発明の実施例を詳細に
説明する。図１は本発明のダンパー付き柱の施工用型枠
の１実施例を示す正面図、図２は同上側面図、図３は図
１のＡ−Ａ線断面図、図４は平面図で、この型枠７は前
記図５、図６で示したダンパー付き柱を施工するための
ものである。

【００１３】該型枠７は、本実施例ではメタルフォーム
であり、周知のごとく、Ｕクリップ８で接合フンラジを
有する板体である各ピース毎を結合し、図示は省略する
がクランプ等で周囲からタガ状に締め付け固定する。

【００１４】この型枠７は、前記コンクリート柱１の途
中に形成する切断個所２の形成部分においても、その周
囲を囲むような連結ピース９を設け、この連結ピース９
による連続部分を有する上下一体的なものとした。図中
14は吊り下げ用のフックとなるアイボルト、15は下端固
定用のレベル調整ボルトである。

【００１５】前記連結ピース９は図示のごとく、型枠７
の左右側部に配置するものであり、前後ではこの連結ピ
ース９が欠如した型枠欠如部による開口10を形成する。

【００１６】ところで、前記切断個所２となる部分では
その端面にフランジ３ａとウエブ３ｂとからなる断面Ｔ
形のプレート３を該ウエブ３端同士が対向するように配
設するが、その際、該プレート３のフランジ３ａが型枠
７内を水平方向に仕切る仕切板となるようにする。

【００１７】また、前記フランジ３ａは図３に示すよう
に角部のうち、対角のものを四角形に欠如し、この欠如
部11を介して上下に貫通する角筒状のコンクリート通流
ダクト12を型枠７内に組込むようにした。

【００１８】なお、前記ウエブ３同士はダミーのプレー
ト13を当て、これをボルト止めして仮連結しておく。

【００１９】内部に配筋した状態でこのような型枠７を
セットし、上方からコンクリートを打設すれば、該コン
クリートはコンクリート通流ダクト12を通って上部から
下部にも流れ、断面Ｔ形のプレート３がある部分の周囲
を除いて該型枠７内を全て充填する。

【００２０】コンクリート養生後、型枠７を撤去すれ
ば、図５、図６に示すような断面Ｔ形のプレート３が切
断個所２に配置されたコンクリート柱１が形成できる。
その際、コンクリート通流ダクト12のあった部分にはコ
ンクリートによる小さな柱ができるが、これは無筋のも
のであり、簡単に斫り取ることができる。さらに、コン
クリートが十分固まる前にこのコンクリート通流ダクト
12ごと内部のコンクリートを撤去することも可能であ
る。

【００２１】最後に、ダミーのプレート13を外し、図
５、図６に示すような特殊形状のプレート４に代えてこ
れをボルト締めしてダンパー６を構成する。

【００２２】

【発明の効果】以上述べたように本発明のダンパー付き
柱の施工用型枠は、一体的なものとして上下に連続して
組むことができ、型枠組作業も簡単で、かつ、コンクリ
ートの打設も１回ですみ、施工の合理化を図ることがで
きるものである。また、精度良くダンパーを容易に形成
できるものでもある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のダンパー付き柱の施工用型枠の１実施
例を示す正面図である。

【図２】本発明のダンパー付き柱の施工用型枠の１実施
例を示す側面図である。

【図３】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】本発明のダンパー付き柱の施工用型枠の１実施
例を示す平面図である。

【図５】本発明のダンパー付き柱の正面図である。

【図６】本発明のダンパー付き柱の側面図である。

【符号の説明】

１…コンクリート柱 ２…切断個所 ３…プレート ３ａ…フランジ ３ｂ…ウエブ ４…プレート ４ａ…穴 ５…ハイテンション
ボルト ６…ダンパー ７…型枠 ８…Ｕクリップ ９…連結ピース 10…開口 11…欠如部 12…コンクリート通流ダクト 13…ダミーのプレー
ト 14…アイボルト 15…止めボルト

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリート柱の途中に切断個所を設
   け、その端面にフランジとウエブからなる断面Ｔ形のプ
   レートを該ウエブ端同士が対向するように配設し、この
   ウエブ同士の面に跨がるようにプレートを当て、ボルト
   締めしてダンパーを構成するダンパー付き柱において、
   該柱の施工用型枠は前記断面Ｔ形のプレートを内設する
   個所を囲む連続部分を有する上下一体的なものであり、
   この断面Ｔ形のプレートのフランジが型枠内を水平方向
   に仕切る仕切板となるとともに、前記断面Ｔ形のプレー
   トを内設する個所を上下に貫通するコンクリート通流ダ
   クトを型枠内に設けたことを特徴とするダンパー付き柱
   の施工用型枠。
2. 【請求項２】 施工用型枠の断面Ｔ形のプレートを内設
   する個所を囲む連続部分には、型枠欠如部による開口を
   設ける請求項１記載のダンパー付き柱の施工用型枠。