JP2591158B2 - 放熱性のすぐれた半導体装置用基板 - Google Patents

放熱性のすぐれた半導体装置用基板

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JP2591158B2 JP12828589A JP12828589A JP2591158B2 JP 2591158 B2 JP2591158 B2 JP 2591158B2 JP 12828589 A JP12828589 A JP 12828589A JP 12828589 A JP12828589 A JP 12828589A JP 2591158 B2 JP2591158 B2 JP 2591158B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、一段と放熱性にすぐれ、かつ窒化アルミ
ニウム(以下AlNで示す)基焼結基体表面に対する厚膜
回路形成用表面被覆薄層の密着性にすぐれた半導体装置
用基板素材に関するものである。
〔従来の技術〕
先に同一出願人は、特願平1−25336号として、酸化
イットリウム(以下Y2O3で示す)および酸化カルシウム
(以下CaOで示す)のうちの1種または2種:0.1〜10
%、 を含有し、残りがAlNと不可避不純物からなる組成(以
上重量%、以下%は重量%を示す)、並びに平均層厚:
0.2〜20μmの表面酸化層を有するAlN基焼結基体の表面
に、 実質的に酸化けい素(以下SiO2で示す)で構成された
平均層厚:0.01〜10μmの回路形成用表面被覆層を形成
してなる放熱性のすぐれた半導体装置用基板素材を出願
した。
〔発明が解決しようとする課題〕
一方、電子機器の高性能化並びに軽薄短小化に対する
要求は依然として強く、これに伴ってハイブリッドモジ
ュールの集積度が増し、この結果発熱も増大するように
なることから、基板にも放熱性が要求され、このため上
記先願発明の半導体装置用基板素材においても、特に熱
伝導度がAlNの0.617cal・cm/sec・cm2・℃に比して0.00
4cal・cm/sec・cm2・℃と相対的に著しく低い回路形成
用表面被覆層としてのSiO2層の層厚をできるだけ薄くし
て、すぐれた放熱性を確保する傾向にあるが、SiO2層の
層厚を0.05〜1μmと極端に薄くすると、このSiO2層表
面には、例えば導体ペーストや抵抗ペーストなどを用い
て集積度に応じた回路を印刷焼成形成することになる
が、上記のように集積度が高い厚膜回路の場合、回路の
焼成形成回数がそれに応じて増加するようになり、この
結果回路形成成分が薄いSiO2層およびAlN基焼結基体の
表面酸化層を通して拡散し(前記表面酸化層は0.05〜15
%の気孔率をもつので層厚の割合には拡散は速い)、Al
N基焼結基体のAlNと反応して気泡(N2)が発生し、これ
が基板素材の表面部に残留するようになることから、Si
O2層の密着性を低下させるばかりでなく、熱伝導性も低
下させ、放熱性低下の原因となるなどの問題が生じるよ
うになり、したがってSiO2層の薄層化は、特に高集積回
路の基板素材では困難であるのが現状である。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者は、上述のような観点から、上記の
先願発明の半導体装置用基板素材に着目し、これを構成
するSiO2表面被覆層の薄層化を可能にすべく研究を行な
った結果、回路形成用表面被覆層としてのSiO2層の平均
層厚を0.05〜1μmと薄層化した上で、これとAlN基焼
結基体の表面部に形成した表面酸化層との間に、実質的
に酸化ジルコニウム(以下ZrO2で示す)で構成された薄
層、あるいは酸化アルミニウム(以下Al2O3で示す):0.
5〜40%を含有し、残りがZrO2と不可避不純物からなるZ
rO2−Al2O3複合酸化物固溶体で構成された薄層を、同じ
く0.05〜1μmの平均層厚で介在させると、このZrO2
あるいはZrO2−Al2O3複合酸化物固溶体からなる薄層に
は、拡散してきた回路形成成分を固溶捕獲して、これが
前記表面酸化層へ拡散移動するのを阻止する作用がある
ので、AlN基焼成基体のAlNと反応することがなく、した
がって気泡の発生もないことから、気泡残留による密着
性および熱伝導性の低下が防止されるようになり、さら
にZrO2層およびZrO2−Al2O3複合酸化物固溶体層が前記S
iO2層および表面酸化層に対してすぐれた密着性を示す
ことと合まって、すぐれた放熱性を確保することができ
るようになるという知見を得たのである。
この発明は、上記知見にもとづいてなされたものであ
って、 平均層厚:0.2〜15μmの表面酸化層を有するAlN基焼
結基体の表面に、 実質的にZrO2、あるいはAl2O3:0.5〜40%を含有し、
残りがZrO2の不可避不純物からなる組成を有するZrO2
Al2O3複合酸化物固溶体で構成された平均層厚:0.05〜1
μmの拡散防止用下地薄層を介して、 実質的にSiO2からなる平均層厚:0.05〜1μmの厚膜
回路形成用表面被覆薄層を形成してなる放熱性のすぐれ
た半導体装置用基板素材に特徴を有するものである。
なお、この発明の半導体装置用基板素材におけるAlN
基焼結基体としては、Y2O3およびCaOのうちの1種また
は2種:0.1〜10%を含有し、残りがAlNと不可避不純物
からなる組成を有するものが望ましく、これは、Y2O3
よびCaO成分には、表面酸化層形成時に、きわめて強力
な酸化促進作用を発揮し、比較的短時間で、所定厚さの
Al2O3を主体とした表面酸化層を形成する作用があるほ
か、焼結基体の焼結時に焼結性を向上させて、高強度の
焼結基体を形成する作用があるという理由によるもので
あり、したがってその含有量が0.1%未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方10%を越えると、焼結基
体自体の熱伝導性が低下するようになることから、その
含有量を0.10〜10%とするのがよい。
また、AlN基焼結基体の表面部の表面酸化層は、 酸素分圧:10-2〜1気圧、 水蒸気分圧:10-3気圧低下、 の雰囲気中で、 温度:1100〜1500℃、 に加熱保持の条件で酸化処理を施すことによって形成さ
れる。
さらに、この発明の基板素材において、表面酸化層の
平均層厚を0.2〜15μmと定めたのは、その厚さが0.2μ
m未満では拡散防止用下地薄層との間に強固な密着性を
確保することができないばかりではなく、拡散防止用下
地薄層中に固溶含有する回路形成成分とAlN基焼結基体
のAlNとの反応を完全に阻止することができず、一方そ
の厚さが15μmを越えると熱伝導性の低下が見られるよ
うになるという理由によるものであり、また拡散防止用
下地薄層の平均層厚を0.05〜1μmと定めたのは、その
厚さが0.05μm未満では、SiO2薄層を通して拡散してき
た回路形成成分の表面酸化層への拡散移動を完全に阻止
することができず、一方その厚さが1μmを越えても、
拡散防止効果が飽和し、むしろ熱伝導性低下の原因とも
なるという理由によるものであり、この場合、ZrO2にAl
2O3を固溶含有させてZnO2−Al2O3複合酸化物固溶体とす
ると、表面酸化層およびSiO2薄層に当する密着性が一段
と向上するようになるので、必要に応じてAl2O3を含有
させるとよいが、その含有量が0.5%未満では所望の密
着性向上効果が得られず、一方その含有量が40%を越え
ると拡散防止効果が低下するようになるので、その含有
量を0.5〜40%としなければならない。さらに、また厚
膜回路形成用表面被覆薄層としてのSiO2薄層の平均層厚
を0.05〜1μmと定めたのは、その厚さが0.05μm未満
では、例えば回路印刷に用いられるペーストの焼成層の
基板素材に対する密着性が不十分であり、一方その厚さ
が1μmを越えると、特に高集積度の場合、十分な放熱
性を発揮することができなくなるという理由によるもの
である。
また、この発明の基板素材は、単層基板の製造に用い
ても、さらにこれに、それぞれ印刷回路を形成した後、
例えば硼珪酸ガラスなどのガラス粉末を有機バインダー
と混合してペースト状とし、これを基板表面に印刷添着
した状態で、2枚以上積み重ね、この基板の積み重ね体
を、前記ガラス粉末の軟化点以上の温度に加熱して焼成
し、相互接合することにより形成される多層基板として
用いてもよい。
〔実 施 例〕
つぎに、この発明の基板素材を実施例により具体的に
説明する。
まず、原料粉末としては、いずれも1〜3μmの平均
粒径を有するAlN粉末、Y2O3粉末、およ びCaO粉末を用意し、これら原料粉末をそれぞれ第1表
に示される配合組成に配合し、ボールミルにて72時間湿
式混合し、乾燥した後、さらにこれに有機バインダーを
添加して混合し、ドクターブレード法によりグリーンシ
ートに成形し、ついで常圧の窒素雰囲気中、温度:1800
℃に2時間保持の条件で焼結して、実質的に配合組成と
同一の成分組成を有し、かつ平面:25.4mm×25.4mm、厚
さ:0.625mmの寸法をもったAlN基焼結基体を製造し、つ
いでこれらの基体に、同じく第1表に示される条件で酸
化処理を施して表面酸化層を形成した後、 (a) ターゲット材質:純度99%のZrO2焼結体、また
はZrO2−1%Al2O3の複合酸化物固溶体焼結材、 ターゲット寸法:直径3mm×高さ10mm、 電力:70W、 基体回転数:10r.p.m.、 スパッタ時間:所定時間、 の条件での高周波スパッタ法、 (b) イソプロピルアルコール:1500gとジルコニウム
テトラブトキシド:600gの割合の混合液、またはイソプ
ロピルアルコール:1500gとジルコニウムテトラブトキシ
ド:350gとアルミニウムジイソプロピレートモノブチレ
ート:150gの割合の混合液中に、基体を浸漬して引上
げ、乾燥を所定厚さになるまで繰り返し行なった後、大
気中に、温度:1000℃に1時間保持して焼成の条件での
ゾルゲル法、 以上(a)または(b)の方法で第1表に示される組
成および平均層厚の拡散防止用下地薄層を形成し、さら
に、 (i)ターゲット材質:純度:99.9%の高純度石英ガラ
ス、 ターゲット寸法:直径3mm×高さ10mm、 電力:100W、 基体回転数:10r.p.m.、 スパッタ時間:所定時間、 の条件での高周波スパッタ法、 (ii) エチルアルコール:500gとエチルシリケート:25
0gの割合の混合液中に、基体を浸漬して引上げ、乾燥を
所定厚さになるまで繰り返し行なった後、大気中に、温
度:1000℃に1時間保持して焼成の条件でのゾルゲル
法、 以上(i)または(ii)の方法で、第1表に示される
平均層厚を有する厚膜回路形成用表面被覆薄層としての
SiO2薄層を形成することにより本発明基板素材1〜12お
よび比較基板素材1〜6をそれぞれ製造した。
なお、比較基板1〜6は、拡散防止薄層が存在しない
か、あるいは存在してもその厚さがきわめて厚いもので
ある。
ついで、この結果得られた各種の基板素材に対して、
高集積度の厚膜回路形成に相当する繰り返し焼成加熱、
すなわち、Ag−20%Pd合金粉末の導体ペーストを用いて
スクリーン印刷し、温度:125℃に10分間保持して乾燥し
た後、温度:850℃に10分間保持して焼成の工程を10回繰
り返し行なう繰り返し焼成加熱を施した状態で、レーザ
ーフラッシュ法にて熱伝導度を測定すると共に、ピーリ
ング試験を行ない、ピーリング強度を測定し、密着性を
評価した。
なお、ピーリング試験は、基板素材の焼成層上に直
径:0.9mmのL字上に曲げた無酸素銅ワイヤーをSn−Pb共
晶合金はんだを用い、温度:215℃でろう付けし、このろ
う付けワイヤーを基板素材の表面と直角方向に引張り、
この時のピーリング高度(引きはがし強度)を測定する
ことにより行なった。これらの測定結果を第1表に示し
た。
〔発明の効果〕
第1表に示される結果から、本発明基板素材1〜12
は、いずれも高い熱伝導度とピーリング強度を示すのに
対して、比較基板素材1〜3は、拡散防止用下地薄層の
形成がないので、回路形成成分がSiO2薄層および表面酸
化層を通して拡散し、基板素材のAlNと反応して気泡を
形成するため、熱伝導度およびピーリング強度とも低
く、また比較基板素材4〜6は、拡散防止用下地層の厚
さが厚いので、熱伝導度の低下が避けられないことが明
らかである。
上記のように、この発明の基板素材は、厚膜回路形成
用表面被覆薄層としてのSiO2薄層と基体表面部に形成し
た表面酸化層との間に介在させたZrO2またはZrO2−Al2O
3複合酸化物固溶体からなる拡散防止用下地薄層によっ
て、SiO2薄層の厚さを薄くし、かつ高集積度の繰り返し
回路形成に適用しても、回路形成成分が基体のAlNと反
応して気泡を形成することがないので、すぐれた熱伝導
性と密着性が確保され、すぐれた放熱性を発揮するなど
工業上有用な特性を有するのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 忠治 埼玉県大宮市北袋町1―297 三菱金属 株式会社中央研究所内 (72)発明者 神田 義雄 埼玉県大宮市北袋町1―297 三菱金属 株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭53−102310(JP,A) 特開 昭62−46986(JP,A) 特開 昭62−182182(JP,A) 特開 平2−205345(JP,A) 特開 平2−207554(JP,A) 特開 平2−207555(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均層厚:0.2〜15μmの表面酸化層を有す
    る窒化アルミニウム基焼結基体の表面に、 実質的に酸化ジルコニウムで構成された平均層厚:0.05
    〜1μmの拡散防止用下地薄層を介して、 実質的に酸化けい素で構成された平均層厚:0.05〜1μ
    mの厚膜回路形成用表面被覆薄層を形成してなる放熱姓
    のすぐれた半導体装置用基板素材。
  2. 【請求項2】平均層厚:0.2〜15μmの表面酸化層を有す
    る窒化アルミニウム基焼結基体の表面に、 酸化アルミニウム:0.5〜40重量%を含有し、残りが酸化
    ジルコニウムと不可避不純物からなる組成を有する複合
    酸化物固溶体で構成された平均層厚:0.05〜1μmの拡
    散防止用下地薄層を介して、 実質的に酸化けい素で構成された平均層厚:0.05〜1μ
    mの厚膜回路形成用表面被覆薄層を形成してなる放熱性
    のすぐれた半導体装置用基板素材。
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FR3028050B1 (fr) * 2014-10-29 2016-12-30 Commissariat Energie Atomique Substrat pre-structure pour la realisation de composants photoniques, circuit photonique et procede de fabrication associes

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