JP2590822B2 - インクジエツト記録装置 - Google Patents

インクジエツト記録装置

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JP2590822B2
JP2590822B2 JP61131493A JP13149386A JP2590822B2 JP 2590822 B2 JP2590822 B2 JP 2590822B2 JP 61131493 A JP61131493 A JP 61131493A JP 13149386 A JP13149386 A JP 13149386A JP 2590822 B2 JP2590822 B2 JP 2590822B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は記録インクの加熱乾燥手段を設けたインクジ
エツト記録装置に係り、特に市販上質紙等の汎用記録用
紙と、オーバーヘツドプロジエクタ用紙(以下OHP用紙
という)の両方共使用可能なインクジエツト記録装置に
関する。
〔従来の技術〕
記録されたインクの乾燥・定着を促進し、印字品質の
向上を計るための加熱方法の第1の従来例として特開昭
55-69464号、特開昭55-84670号が挙げられる。上記例の
場合、プラテン内に組み込んだヒータによつてプラテン
を加熱し接触伝熱によつて記録紙を加熱するようになつ
ており、記録されたインクの乾燥・定着を図る手段とし
て大変有効である。
また、加熱方法の第2,第3の従来例として熱風を利用
した特開昭54-156536号や発熱源ランプの輻射熱を利用
した特開昭56-26312号、特開昭57-120447号があり、第
1の従来例と同様に記録紙を加熱し、記録インクを乾燥
・定着させるものがある。
さらに、OHP用紙のような特殊な記録媒体に前記加熱
手段を付加してインクジエツト記録する例として特開昭
60-110457号がある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、代表的な汎用記録媒体である市販上質
紙はその製造過程において、原料パルプ、混入填料、抄
紙機のワイヤーバートやサイズプレス等の構成および加
工方法により性質が千差万別であるため、メーカー、製
造ロツトはもとより、同一紙の裏表でもインクジエツト
記録特性が全く異なる。即ち、記録インクの吸収性が異
なるために印字品質が紙質に大きく左右される。前記第
1,2,3の従来例は記録紙の加熱手段および構成だけに関
するもので、前述のインク乾燥効果を最大限に生かし
て、種々の汎用記録紙に紙質に関係なく高品質なインク
ジエツト記録を実現するには技術的に不足である。
本発明はこのような課題を解決するもので、その目的
とするところは、種々の記録紙に対し高品質の鮮明な記
録を行うことができるとともに非記録時には無駄な電力
消費を抑制できるインクジェット記録装置を提供するこ
とにある。
[課題を解決するための手段] 本発明のインクジェット記録装置は、インク吐出口よ
りインクを吐出させて該インク吐出口と対向する記録媒
体上に記録を行うインクジェット記録装置であって、前
記記録媒体を所定の温度で加熱する第1の加熱手段と、
前記記録媒体を前記第1の加熱手段より高い温度で加熱
する第2の加熱手段と、一定時間印字指令がない場合、
前記第1の加熱手段のみを作動させる手段と、を有する
ことを特徴とする。
記録インクの性質は、 表面張力……50dyn/cm以上 PH……6〜10程度 染料,水以外の混入溶剤および濃度……グリセリンを主
成分として8〜18% の水性インクであると良い。
また、記録インクの加熱乾燥定着のためには、記録媒
体をインクジエツト記録の前または後あるいは前後にわ
たつて例えば汎用上質紙なら100℃〜140℃に加熱すると
良い。この加熱手段としては、記録媒体を保持するプラ
テンの表面または裏面または内部に単一あるいは複数個
の発熱体を設けるか、あるいは前記プラテンと対向した
位置に反射板を備えた発熱源ランプを設けて該ランプか
らの出射熱線を前記記録媒体に集光させて輻射加熱して
も良く、前記発熱源ランプが発する対流熱・伝導熱を送
風によつて前記記録媒体に伝える手段を併用しても良
い。安定した一定のインク乾燥時間を得るには、記録媒
体または発熱体の温度を検知する温度センサーを設け
て、該温度センサーの信号により前記発熱体の温度制御
をするか、あるいは、前記発熱体自身またはその一部が
自己温度制御することが望ましい。
一方、市販上質紙に代表される汎用記録用紙と熱に弱
いOHP用紙とを混用するために、記録媒体が透明である
か否かを検出する手段と、該検出手段によつて得られた
情報により前記発熱体に供給する電力を制御する手段と
を備えることが望ましく、それぞれ加熱温度の異なる少
なくとも二種類の発熱体を設け、前記記録媒体の性質に
応じて選択された前記発熱体によつて前記記録媒体を加
熱すると共に、前記発熱体のうち加熱温度の高い発熱体
の動作に一定時間印字指令がない場合、加熱温度の低い
発熱体が動作するように切り換えて待機状態としても良
い。さらに電源投入時に前記二種類の発熱体を両方共動
作させ、ウオームアツプすると効果的である。これらの
発熱体の熱をプラテン部以外にのがさないために、プラ
テン支持部に断熱構造または断熱材料を用いた断熱手段
を設ける必要がある。
さらに、前記加熱手段によつて記録ヘツドに熱影響が
与えられて生ずるインク吐出不良を防止するために、イ
ンクジエツト記録していない待機状態が一定時間以上続
いた場合または停止状態において記録ヘツド部インク吐
出口をキヤツプ等にて封止し、停止状態または待機状態
の記録ヘツドが加熱領域外に位置するように制御した
り、記録ヘツド部インク吐出口前面をゴムブレード等で
拭いたり、インクジエツト記録していない待機状態が一
定時間以上続いた場合にインク吐出口よりインクを数滴
吐出させる機能が必要である。
また、前記記録媒体の予熱・加熱によつて生じる該記
録媒体のカールを該記録媒体搬送部に設けたローラーま
たは記録紙ガイドにて除去する機能や、操作者に対して
前記記録媒体の予熱・加熱をする発熱体が高温状態であ
ることを熱可逆性を持つた感温表示材料にて表示する機
能を有することが望ましい。
なお、前記市販上質紙としては、 日本工業規格 印刷用紙A 日本工業規格 筆記図面用紙(書類用紙・画用紙・ケン
ト紙など) 日本工業規格 塗工紙(コート紙など) 等があり、中質紙以下の記録紙にも本発明は適用できる
ものである。
また、インクジエツト記録用染料としては、直接染料
にとして、 C.I.ダイレクトブラツク19 C.I.ダイレクトブラツク22 C.I.ダイレクトブラツク154 C.I.ダイレクトイエロー12 C.I.ダイレクトイエロー26 C.I.ダイレクトレツド13 C.I.ダイレクトレツド17 C.I.ダイレクトブルー78 C.I.ダイレクトブルー90 等があり、 酸性染料として、 C.I.アシドブラツク52 C.I.アシドイエロー17 C.I.アシドイエロー25 C.I.アシドレツド37 C.I.アシドレツド52 C.I.アシドブルー22 等がある。
〔実施例〕
本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
まず、本発明のインクジエツト記録装置に使用するイ
ンクに関して説明する。
汎用上質紙に代表される記録紙へのインク吸収を阻害
する方法として純水のような高い表面張力を有するイン
クを用いる方法がある。即ち、水に染料を溶解させただ
けのインクが理想的である。しかしながら、このままで
はインク吐出口部で水分が蒸発し、染料が析出して目詰
りを起こすので湿潤剤として表面張力を低下させない溶
剤を混入する必要がある。一方、このようなインクをイ
ンクジエツト記録した場合にはインク滴が記録紙表面で
保持されるため乾燥性が極めて悪くなる。そこで記録紙
をインクジエツト記録の前後にわたり予熱・加熱するこ
とで記録インクの乾燥を得るものである。この記録紙予
熱・加熱温度は水の沸点以上であり、かつ、記録紙繊維
が完全脱水状態となり脆性をもつ温度以下であることが
望ましく、およそ100〜140℃が適当である。
以上のような仮定をもとに第1表に示すような数種の
インクを作成した。
第1表のインクを約130℃に予熱・加熱した下記の汎
用記録紙にインクジエツト記録紙、その印字状態を調べ
た結果を第2表に示す。
王子製紙製 適量70Kg上質紙 紀州製紙製 フアインPPC 富士ゼロツクス P 米国ゼロツクス 10シリーズスムース 3R54(10 Serie
se Smooth 3R54) 米国ゼロツクス 4024 3R721 など 第2表が示す如く、インクaが最も鮮明な優れた印字
品質が得られた。
インクdは若干劣るが、容認できる範囲にはある。イ
ンクb,d,eではインクaに比べてかなり劣るが文字の判
読は充分に可能である。
さらに、グリセリンの適性混合量を決定するため、イ
ンクaのグリセリン混合量を変えて第2表と同様にイン
クジエツト記録した結果を第3表に示す。
第3表が示すように、グリセリンの混入量を増加させ
ても、にじみに対して影響はほとんどない。
インク吐出口部目詰りは8%では長期間放置すると吐
出不良をおこすが一応使用可能であり、10%以上グリセ
リンが混入されていれば発生せず、インクの即乾性を得
るには18%以下がよい。従つて、混入溶剤はグリセリン
を主成分とし、混入量は8〜18%が最も好ましいと判明
した。
また、インクの流路への充填性と吐出性改善のため、
インクPH度を変えて第2表と同様にインクジエツト記録
した結果を第4表に示す。
第4表においてPH6では吐出したインクが霧状に飛散
してしまい、良好なインクジエツト記録ができない。PH
11〜PH13は文字の判読は可能である。また、PH13以上で
は例えば米国ゼロツクス10シリーズスムース3R54に印字
した場合、強アルカリであるためにインクが記録紙繊維
を浸食して紙面に吸収されるため紙繊維方向ににじみを
生じて、文字の判読が不能になる場合がある。以上の結
果からPH6〜10程度が好ましいことが判明した。
次に、前述の記録インクを用いたインクジエツト記録
装置の構成に関して説明する。
第1図は本発明のインクジエツト記録装置の実施例を
示す略全体構成図である。第1図において記録ヘツド5
はインクタンク15からインク供給パイプ16を通じて前記
記録インクの供給を受けながらキヤリツジガイド6にガ
イドされて矢印Iの方向に移動し、紙送りローラー2お
よびガイドローラー4によつて記録ヘツド5と同期した
間欠改行送りされる記録媒体らにインクジエツト記録を
おこなう。
第2図において記録ヘツド5には複数のインク吐出口
13が設けられ、圧電素子制御、電界制御、荷電制御、熱
エネルギーを利用した膜沸騰現象などのインク吐出手段
によつてドツト像を記録紙3上に形成するものである。
本例の記録ヘツド5は、間隔90dpi縦1列12個のインク
吐出口を2列千鳥状に配置し、圧電素子制御により約90
μm径のインク液滴を吐出させている。
プラテン1はアルミ合金または熱導伝性プラスチツク
材等の熱拡散が良い材質が適当であり、本例では平均板
厚1mmで約250mm×30mmの大きさのアルミ合金板を使用し
ている。プラテン1の記録ヘツド5と対向しない裏面に
は第2図のように発熱体12を有する。発熱体12には例え
ば定格電圧30V常温平均抵抗値22Ωのヒーター用PTCサー
ミスタ(村田製作所製ポジスタ)5個を均等に配置する
か、100V250W程度のシースヒーター等が適当である。
さらに第2図において、給紙ガイド21の幅方向のほぼ
中央には記録媒体検出スイツチ20が、また該記録媒体検
出スイツチの近傍で記録媒体3の挿入方向に発光素子18
が設けられており、該発光素子と対向して紙送りローラ
2の幅方向のほぼ中央には受光素子19が設けられてい
る。本実施例においては、記録媒体検出スイツチ20とし
て記録媒体3が挿入されると作動するように配置したマ
イクロスイツチを、発光素子18として発光ダイオード
を、受光素子19としてフオトトランジスタを用いてい
る。
第2図および第3図において、記録媒体3が矢印A方
向から紙送りローラ2と給紙ガイド21との間に挿入さ
れ、記録媒体検出スイッチ20が作動し検出信号が中央処
理装置22に送られると、該中央処理装置はバツフアa23
を通して発光素子18に駆動信号を送り発光素子18が作動
するようになつている。もし記録媒体3が透明であると
発光素子18から放射された光は受光素子19によつて受光
され中央処理装置22に受光信号が送られる。ところが記
録媒体3が透明でない場合は、該記録媒体によつて光が
遮られ受光素子19が動作しないため中央処理装置22に受
光信号が送られない。このようにして記録媒体3が透明
であるか否か判別された受光信号に応じて、中央処理装
置22は電力制御回路24に制御信号を送り発熱体12に供給
される電力を制御することによつて、加熱される記録媒
体3の温度を制御している。本実施例においては、電力
制御回路24として双方向サイリスタ25を使用したオンオ
フ制御回路を用いており、以下その動作を簡単に説明す
る。
アナログスイツチ26は中央処理装置22からの制御信号
によつて切り換わり、それぞれ抵抗値の異なるR5,R6の
いずれか一方とR4とが接続されるようになつており、R
5,R6いずれか一方とR4からなる基準電圧と、温度センサ
17の出力に応じた電圧とがコンパレータ27の比較入力信
号になつている。該比較入力信号の大小に応じてコンパ
レータ27から出力された信号は、バツフアb28を介して
双方向サイリスタ25を駆動するトリガ信号となつてお
り、双方向サイリスタ25が駆動されると発熱体12に電力
が供給されるようになつている。従つて、R5,R6の値を
適当に選ぶことにより発熱体12に供給される電力をそれ
ぞれ別に制御できるので、記録媒体3に対してそれぞれ
異なつた加熱温度を設定することができる。本実施例に
おいては、記録媒体が透明でない汎用記録用紙の場合、
記録媒体の記録面の表面温度が印字時で約100〜140℃と
なるように、また記録媒体がOHP用紙の場合約60〜80℃
となるようにR5,R6を設定している。
種々の記録媒体3を異なる温度で加熱する手段とし
て、第4図のように前記発熱体を発熱温度の異なる少な
くとも二種類の発熱体で構成し、前述の記録媒体選別手
段によつて選択的に発熱させてもよい。
第4図において発熱体12a,bは自己温度制御作用を有
するヒーター用PTCサーミスタで、定格電圧100V、平均
抵抗値200Ωのものを7個ほぼ均等に配置している。こ
のうち、発熱体12aとしてキユリー点が約140℃のもの
を、発熱体12bとしてキユリー点が約80℃のものを用い
ている。また、発熱体12a,bはそれぞれ第5図に示すよ
うに並列に接続されている。
第6図は発熱体12の制御手段を示す回路ブロツク図で
あり、第3図と同様な手段で市販上質紙の汎用記録紙と
OHP用紙のどちらかを選択するようになつており、前者
が選択された場合は発熱体12aが動作するように、後者
が選択された場合は発熱体12bが動作するように中央処
理装置22によつて制御されている。またリレー駆動回路
47a,bは同一もので、トランジスタのスイツチングを利
用した一般的な制御回路であり、中央処理装置22からの
駆動信号によつて作動し、発熱体12a,bに電力が供給さ
れるようになつている。
まず電源が投入され公知のリセツト回路48からリセツ
ト信号が中央処理装置22に送られると、該中央処理装置
はリレー駆動回路49a,bに駆動信号を送り、発熱体12aお
よび12bの双方向に電力を供給するようになつている。
そして、受光素子19により予め選択された記録媒体の加
熱温度に到達すると、上述のようにそれぞれの記録媒体
の加熱温度に応じた発熱体が動作するように中央処理装
置22からリレー駆動回路47aまたは47bに駆動信号が送ら
れるようになつている。
定常時は前述のように発熱体12aまたは12bが動作して
おり、ホストコンピユータ22からの印字指令信号に基づ
いて印字動作が行なわれるが、発熱体12aの動作時に約1
0秒以上印字指令が送られてこないと中央処理装置22は
リレー駆動回路47aへの駆動信号の送出を中止し発熱体1
2bが動作するようにリレー駆動回路47bへ駆動信号を送
るようになつており、再び印字指令信号が送られてくる
までこの状態を保持している。そして印字指令信号が送
られてくると原状に復し発熱体12aが動作するようにな
つている。このようにすることにより、印字指令が一定
時間送られてこない待機状態での発熱体の消費電力の低
減を図つている。なおこの待機状態の場合、発熱体12a,
bの双方との動作させないようにすることにより消費電
力の大幅な削減を図ることも可能であるが、再び印字指
令信号が送られてきた時、設定された温度まで加熱する
時間がかかるため得策ではない。また、印字指令が送ら
れてこない待機状態で発熱体の動作を切り換えることに
より、この動作を行わなかつた場合と比較して発熱体の
電力を約20%低減できた。さらに電源投入時のウオーム
アツプ時間は60〜70℃程度の加熱で約20秒、120〜130℃
程度の加熱で約50秒であり、発熱体12a,bのどちらか一
方のみで加熱した場合と比較して60〜70℃程度の加熱の
場合半分以下に、120〜130℃程度の加熱の場合概ね20%
程度短縮できた。
第2図にもどつて、記録媒体3は前記発熱体12によつ
て加熱された固定プラテン1に摺接し、接触熱伝達でイ
ンクジエツト記録の前後にわたつて前記温度に予熱・加
熱され、インクジエツト記録された記録インクを記録面
付着直後から急速に乾燥させて不要なドツトのにじみや
紙しわ、未定着インクによる汚れを防止して良好な印字
状態を得る。紙押え7は記録媒体3の浮きを防ぐと共に
固定プラテン1に記録媒体3を密着させて熱伝導効果を
高めている。
記録媒体3を予熱・加熱することにより記録媒体3に
はプラテン1の形状に沿つたカールが生じる。このカー
ルを除去するために、インクジエツト記録後に記録媒体
3はカール取りローラー14に巻きつけられ、前記カール
方向とは逆向きに癖付けすることによりカールが除去さ
れて平面状態で記録媒体3を取り出すことができる。ま
た、他の方法として第7図のように円弧状または、これ
に類似した形状に曲げられた排紙ガイド29を設け、イン
クジエツト記録後に記録媒体3が排紙ガイド29の内面に
摺接して排出するように構成し、前記カール方向とは逆
向きに癖付けしてカール取りをすることでも同様の効果
が得られる。さらに、第8図のようにカール取りローラ
ー14の外周に補助ローラー30を設け、補助ローラー30を
矢印Bのように移動させることにより記録媒体3のカー
ル取りローラー14への巻き付け量を任意に変えて、記録
媒体3の紙質および加熱設定温度等のちがいで生じる前
記カール量のちがいに応じて前記カール取り癖付け量を
変えることが可能である。以上のカール取り操作は記録
媒体3に前記記録インク乾燥時の余熱があるうちにおこ
なうか、前記カール取りローラーまたは前記排紙ガイド
を加熱しておこなう方が効果的である。
記録媒体を加熱する他の手段として、次のような手段
があげられる。
まず、第9図のようにプラテン1と対向した位置に発
熱源ランプ32を設けて輻射熱により加熱する方法があ
る。発熱源ランプ32からの光放射は例えば放物面、楕円
面、双曲面などの曲面をもつた反射板33によつて記録媒
体3の表面の記録部分の印字の前後にわたる加熱範囲36
に集光照射され輻射熱伝達によつて加熱する方法があ
る。遮光カバー34は記録ヘツド5に直接に光放射が当る
のを防止し、記録ヘツド5が不必要に輻射加熱されるの
を防いでいる。透明保護ガラス35は発熱源ランプ32と反
射板33へのほこりの付着を防いでいる。
発熱源ランプ32はハロゲンランプに代表される白熱ラ
ンプやキセノンランプまたは赤外ランプであり、本例で
は200W、全長250mmの棒状ハロゲンランプを使用してい
る。記録媒体3の記録幅は220mmであり、少なくともこ
れ以上の長さの有効発光部を有するランプが必要であ
る。発熱源ランプ32はプラテン1から60mmの距離にセツ
トされ、前述のように加熱範囲36を輻射加熱する。記録
媒体3の加熱状態は第10図aのように記録媒体3の表側
に設けた温度センサー17または、第10図bのようにプラ
テン1の側に設けられた温度センサ17の少なくとも一方
によつて検知され、光量制御回路37に内蔵された比較回
路で記録媒体の性質に応じて選択された設定温度と比較
し、光量フイードバツクして記録媒体3の温度がほぼ設
定値となるように保たれる。
また、前記発熱源ランプの対流熱及び伝導熱を第11図
のように送風によつて利用し、輻射加熱と併用すればさ
らに有効に記録媒体の加熱ができる。送風装置38から送
られる空気流は空気搬入路39を矢印II,IIIのように通
り、前記反射板33、反射側板41及び透明保護ガラス35で
構成されるランプハウス部に送られ、発熱源ランプ32及
び前記ランプハウス部を風冷する。冷却後の温められた
空気流は空気排出器40をIV,Vのように通り、空気吐出口
42から記録媒体3の記録面に向けて排出され、発熱源ラ
ンプ32の発する対流熱及び伝導熱を記録紙面へ送風熱伝
達する。
送風装置38は風量3m3/min程度の送風フアンである。
空気吐出口42からの吐出空気流は記録インクの吐出方向
に影響しないように流出方向を配慮している。
一方、第1図のように固定したプラテンではなく、記
録媒体を伴なつて回転するプラテンによつて加熱するこ
とも可能である。この場合、プラテン全体を加熱したの
では記録媒体と接することがなく、記録媒体と接するこ
とがない部分まで加熱することになり、必要以上の熱量
を要するとともに装置のウオームアツプに時間がかか
る。そこで、第12図および第14図のように発熱体12をプ
ラテンの円周方向に分割して設ける方法が考えられる。
発熱体としては、前述のようにニクロム線ヒータ、セ
ラミツクヒータ、PTCサーミスタ等が考えられるが、第1
2図においては、大きさ150mm×200mmで12Wのシート状の
ニクロム線ヒータを用い、全体を12分割して構成してい
る。そしてプラテン1の両端には電極43が形成されてお
り、ブラシ支持部44によつて固定されたブラシ45を通し
て発熱体12に通電されるようになつている。
記録装置に記録媒体3がセツトされた後、第13図aに
示した、12分割された発熱体12のうちB側の部分に通電
され記録媒体3が予熱・加熱される。そして、記録ヘツ
ド5による印字動作が進みプラテン1が回転しても、図
示しない発熱体制御回路によつて常にB側の発熱体が動
作するように制御されており、本実施例の場合プラテン
が1/12回転する毎に発熱体12の動作状態が切り換えられ
ている。
記録媒体3の加熱状態は第10図aのように記録媒体3
の表側に設けた温度センサ17、または、第13図bのよう
にプラテン1の側に設けられた温度センサ17の少なくと
も一方によつて検知され、図示しない温度制御回路によ
つて記録媒体3の温度が記録媒体の性質に応じて選択さ
れた設定値になるように制御されている。本例によれば
発熱体12を12分割した場合、分割しない場合に比べて約
30%消費電力を低減することができる。
さらに、第12図の各発熱体の端部に第14図のように自
己温度制御素子46を直列に設けることにより、第13図の
温度センサーや温度制御回路を不要にすることもでき
る。自己温度制御素子46としては、大きさ10mm×10mmで
1WのPTCサーミスタ等が適当である。
以上述べたような、様々な記録媒体の加熱手段があ
り、これを組合せて併用しても同様な効果が得られるこ
とは明白である。
さて、本発明のように記録インクの加熱乾燥手段を備
えることにより、熱的障害によつてインク吐出不良や装
置各部の機械的・電気的な動作不良の発生が予想され
る。これらの障害を防止し、装置を安定して動作させる
ためには次のような補助手段を備える必要がある。
まず、インク吐出不良の防止手段について述べる。第
一の方法としては、第1図において装置の停止状態また
は待機状態に記録ヘツド5をプラテン1と対向しない装
置の左端または右端に位置させ、加熱によるインク吐出
口部の乾燥が極少になるように制御する方法があげられ
る。具体的には第1図および第3図において、中央処理
装置22が記録ヘツド5が停止または待機状態であること
を判定した時に、キヤリツジモーター11を動作させて記
録ヘツド5を発熱体12と対向しない位置に移動させるも
のである。また、何らかの原因で第3図に示す主電源57
が切られた時には補助電源58によつて前述の記録ヘツド
5の移動動作をさせるものである。
第二の方法としては第1図において装置の待機状態が
一定時間続いた場合または停止状態において、記録ヘツ
ド5のインク吐出部をキヤツプ52にて封止する方法があ
げられる。具体的には、第1図および第3図において一
定時間以上インクジエツト記録されない待機状態が継続
したことを第3図に示す中央処理装置22が検知すると、
中央処理装置22は、キヤリツジモーター11を作動し、記
録ヘツド5を紙送りモーター9側に移動させインク吐出
口をキヤツプ52と対向させる。さらに、キヤツプ52は第
15図aからbのようにソレノイド51(第1図には図示せ
ず)により作動して前記インク吐出口を封止する。待機
状態継断中はこの封止状態が継続され、前記インク吐出
口を前記記録インクの加熱乾燥手段の影響による乾燥か
ら保護するものである。前記一定時間の長さはプラテン
加熱温度、プラテンギヤツプ、記録インク材質等によつ
て変わるもので、0sec〜60sec程度である。
一方、インクジエツト記録を終了し停止状態となると
きも前述のインク吐出口の封止動作をして、前記記録イ
ンクの加熱乾燥手段の余熱による乾燥からインク吐出口
を同様に保護する。また、主電源57が何らかの原因で切
られた場合でも補助電源58によつて前記封止動作が実施
されるものである。
さらに第三の方法としては、第二の方法と同様に待機
状態が一定時間以上続いた場合に、インク吐出口よりイ
ンクを数滴吐出させ、熱によつて性質が変化したインク
吐出口部のインクを廃出する方法がある。この方法は第
1図において、一定時間以上インクジエツト記録されな
い待機状態が継続したことを第3図の中央処理装置22が
検知すると、中央処理装置22はキヤリツジモーター11を
作動し、記録ヘツド5を紙送りモーター9側に移動させ
インク吐出口をキヤツプ52の前面に対向させ、前記イン
ク吐出手段により一定時間以上インク吐出口に停滞した
インクを廃インクとして数滴吐出する。
廃インク吐出後に記録ヘツド5は吐出前の位置には戻
らずにプラテンと対向しない、たとえば前記廃インク吐
出位置で待機状態を継続することが望ましい。キヤツプ
52排出されたインクは廃インクタンク53に蓄えられる。
再び待機状態が一定時間継続すると、この一連のイン
ク排出動作が繰りかえすものである。
また、第四の方法としてはインクジエツト記録開始時
及び連続したインクジエツト記録が一定時間以上継続し
た場合に記録ヘツド5のインク吐出部を第1図のクリー
ナーベルト54で拭く動作をするものである。この方法
は、第1図において第3図の中央処理装置22により、イ
ンクジエツト記録開始時に記録ヘツド5はクリーナーベ
ルト54全面に位置する。次に、第16図aの状態からbの
ようにインク吐出口前面にクリーナーベルト54が位置
し、第1図のクリーナーモーター56が作動してクリーナ
ーベルト54が矢印cの方向に回転し、インク吐出口前面
を数回拭く。この後クリーナーベルト54は再び第16図a
の状態となり、一連のクリーニング動作を終了し、記録
ヘツド5はインクジエツト記録を開始する。
前記クリーニング動作は連続したインクジエツト記録
が一定時間以上継続した場合にも記録を中断して実施さ
れる。この一定時間の長さはプラテン加熱温度、プラテ
ンギヤツプ、記録インク材質等によつて変わり、おおむ
ね10sec〜60sec程度で繰り返し実施される。
これにより、インク吐出口部前面の濡れ性が均一に保
たれ、インク吐出が円滑におこなわれる。
以上述べたインク吐出不良防止手段を併用しても良い
ことは自明である。
次に、前記加熱手段の熱影響によつて生ずる装置の機
械的・電気的障害の防止手段について述べる。最も簡便
で有効な手段としてはプラテン支持部に断熱構造または
断熱材料を用いる方法がある。
第1図の実施例におけるプラテン1の支持部構造を第
17図に示す。プラテン1の背後全面には断熱部材60があ
り、紙送りローラー2への伝熱を防ぐと供にプラテン1
の自然放冷を防止する。同時にプラテン1は断熱性を有
するプラテン支持部材59で支持され、装置フレームへの
熱伝導が防がれる。プラテン支持部材59、断熱部材60に
は例えば耐熱セラミツクや耐熱性プラスチツク等の熱伝
導性が悪い部材が適当である。第12図および第14図の実
施例におけるプラテン1の支持部構造を第18図に示す。
プラテン1は側面に設けられたプラテン側板61によつて
支持され、プラテン軸62を中心に回転する。プラテン側
板62には第17図のプラテン支持部と同様な断熱性材料が
適当であり、プラテン側板の外周部から中心部への熱伝
導系路を狭めることにより断面性をさらに高めている。
前述のプラテン支持部断熱手段により、装置各部の機
械的・電気的機構が動作障害を防止することができると
供に、発熱体消費電力を5〜15%削減することができ
た。
最後に前記加熱手段を備えることに対しての使用者の
安全確保手段について述べる。本装置を用いてインクジ
エツト記録を行なう際に何らかの原因により記録紙の紙
詰り等のトラブルが発生して使用者が保守を行なう際
に、記録紙を予熱・加熱する発熱体が見かけ上では常温
と変わらないので、高温であることを知らずに触れてし
まい、火傷を負う危険性がある。
そこで、前記発熱体が高温状態であることを熱可逆性
を持つた感温表示材料にて表示し、使用者に前記発熱体
の温度状態を視覚的に知らせるものである。具体的な実
施例を第1図および第19図で説明する。第19図は第1図
の装置に囲うケース64、カバー65を付加した側面図であ
る。
インクジエツト記録に際して何らかの原因により記録
紙の紙詰り等のトラブルが発生して使用者が保守を行う
場合、第19図において安全上の配慮から、使用者がカバ
ー65をはずしたことをマイクロスイツチ66で検知し、イ
ンクジエツト記録を中止するとともに発熱体12への電力
供給を停止するインターロツク機能を備える。しかしな
がら、該インターロツク機能のみでは装置が機械的・電
気的に停止するものの、使用者が固定プラテン1が余熱
で高温であることを容易に認識できずに触れてしまい火
傷を負うおそれがある。
そこで、第1図のようにプラテン1の記録紙3で隠れ
ない部分に感温表示材料63を塗布するものである。感温
表示材料63は高温時と常温時で異なる色を程し、かつ、
熱可逆性を有するので温度変化に伴う表示色変化は繰り
返して起こる。この表示色変化により、使用者はプラテ
ン1の温度状態を容易に認識することができる。本例に
おいては常温で黄色、50℃でだいだい色を程する可逆サ
ーモペイント(日油技研製)を使用している。また、他
の温度検知手段として水銀またはアルコール等の熱膨脹
を利用した温度計を用いても同様に温度状態を認識する
ことが可能である。
一方、サーミスタまたは熱電対等によつて同様に温度
状態を電気的に認識し、電気的に表示することも可能で
あるが、前記メンテナンスを使用者が実施する時に使用
者が電源を停止したために電気的に表示ができない場合
がある上、本例に比較して表示回路が必要となり構成が
複雑となるので好ましくない。
以上の実施例がカラーインクジエツトにも適用できる
ことは言うまでもない。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明によれば、記録媒体を加熱
することによりにじみを抑制して鮮明な記録を可能にす
るとともに、一定時間印字指令がない場合、記録媒体を
第2の加熱手段より低い温度で加熱する第1の加熱手段
のみを作動させるため、これを行わない場合と比較して
加熱にかかる消費電力を約20%低減させることができ
る。また、印字指令のない時に加熱手段の熱により吐出
口が過度に乾燥するのを防止することも可能になる。
更に、電源投入時は第1及び第2の加熱手段の双方を
作動させることにより、ウオーミングアップ時間を大幅
に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のインクジエツト記録装置の一実施例を
示す斜視図。第2図は第1図の側面図。第3図は第1図
のインクジエツト記録装置の制御回路を示すブロツク
図。第4図は発熱体の構成例を示す斜視図。第5図は第
4図の発熱体接続方法を示す回路図。第6図は第4図の
発熱体制御方法を説明するブロツク図。第7図および第
8図は本発明のインクジエツト記録装置の排紙部分の構
造を示す側面図。第9図は本発明のインクジエツト記録
装置の第二の実施例を示す斜視図。第10図は第9図の実
施例の側面図。第11図は本発明のインクジエツト記録装
置の第三の実施例を示す斜視図。第12図は本発明のイン
クジエツト記録装置の第四の実施例を示す斜視図。第13
図は第12図の実施例の側面図。第14図は本発明の第5の
実施例を示す斜視図。第15図および第16図は本発明のイ
ンクジエツト記録装置のインク吐出不良防止手段を説明
する部分側面図。第17図および第18図は本発明のインク
ジエツト記録装置のプラテン部支持手段を説明する部分
斜視図。第19図は第1図の実施例にケースおよびカバー
を追加した側面図。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インク吐出口よりインクを吐出させて該イ
    ンク吐出口と対向する記録媒体上に記録を行うインクジ
    ェット記録装置であって、 前記記録媒体を所定の温度で加熱する第1の加熱手段
    と、 前記記録媒体を前記第1の加熱手段より高い温度で加熱
    する第2の加熱手段と、 一定時間印字指令がない場合、前記第1の加熱手段のみ
    を作動させる手段と、 を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】印字指令が送られてきたときは前記第2の
    加熱手段を作動させることを特徴とする特許請求の範囲
    第1項記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】電源投入時には前記第1及び第2の加熱手
    段を作動させることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載のインクジェット記録装置。
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