JP2590385Y2

JP2590385Y2 - リザーバ構造

Info

Publication number: JP2590385Y2
Application number: JP1992028752U
Authority: JP
Inventors: 剛渕田
Original assignee: 株式会社ユニシアジェックス
Priority date: 1992-04-30
Filing date: 1992-04-30
Publication date: 1999-02-10
Anticipated expiration: 2007-04-30
Also published as: JPH0586742U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、例えば車両のブレーキ
液圧を制御するアンチロックブレーキ装置などに用いら
れるリザーバ構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、車両の制動中の車輪のロック
を防止するために、車両のブレーキ液圧を制御するアン
チロックブレーキ装置（ＡＢＳ）が提供されている。こ
のアンチロックブレーキ装置は、例えば図２に示すよう
にブレーキペダル２の踏み込み量に応じてブレーキ液圧
を発生するマスターシリンダ１と、該マスターシリンダ
１と主通路３を介して連通する前後輪側のホィールシリ
ンダ４と、主通路３の途中に設けられた常開型のインレ
ットバルブ５と、ホィールシリンダ４とリザーバ６とを
連通するリターン通路７に設けられた常閉型のアウトレ
ットバルブ８とを備えている。

【０００３】そして、急制動時などにおいて、車輪がロ
ックする惧れがある場合には、インレットバルブ５が
閉、アウトレットバルブ８が開作動して、ホィールシリ
ンダ４内のブレーキ液がリターン通路７を介してリザー
バ６内に流入し、ホィールシリンダ４内を減圧制御して
車輪のロックを回避するようになっている。尚、図中９
はアンチロック制御中に、リザーバ６内のブレーキ液を
マスターシリンダ１に戻すポンプ機構である。

【０００４】前記リザーバ６は、図３に示すようにハウ
ジング１０の内部に有するシリンダ１１内にピストン１
２が摺動自在に設けられていると共に、シリンダ１１の
後端部に固定されたプラグ１３とピストン１２との間
に、該ピストン１２を左方向に付勢する圧縮コイルばね
１４が弾装されている。前記ピストン１２は、略有底円
筒状に形成され、後端側の外周面に形成された保持溝１
５内にピストン１２の円滑な摺動を確保するガイド部材
１６が保持されていると共に、前端側の外周面に形成さ
れた環状の嵌合溝１７内にＯリング１８とバックアップ
リング１９が嵌着されている。そして、このＯリング１
８とバックアップリング１９によってピストン１２とシ
リンダ１１の前端部に有する貯留室２０との間のシール
性を確保するようになっている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】然し乍ら、前記従来の
リザーバ構造にあっては、ピストン１２に対してＯリン
グ１８やバックアップリング１９を別個に形成して、事
後的に該Ｏリング１８やバックアップリング１９をピス
トン１２の嵌着溝１７内に位置決めしつつ適正に嵌着さ
せるようになっている。このため、各Ｏリング１８やバ
ックアップリング１９をピストン１２とは別個に製造す
る作業が煩雑になるばかりか、嵌着溝１７を比較的高精
度に加工しなければならない。したがって、リザーバ６
の製造作業能率が低下すると共に、製造コストの高騰が
余儀なくされる。

【０００６】しかも、前述のようにＯリング１８やバッ
クアップリング１９を嵌着溝１７に夫々嵌着しなければ
ならないので、その組立作業性も悪い。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、前記従来の実
情に鑑みて案出されたもので、請求項１記載の考案は、
ハウジング内に有するシリンダ内部に摺動自在に設けら
れたピストンと、該ピストンの外周に設けられて、該ピ
ストンとシリンダ端部の貯留室との間をシールするシー
ル部材とを備えたリザーバ構造において、前記ピストン
の貯留室側の外周面に小径部位を形成すると共に、該小
径部位の外周面と小径部位端縁の段差部の前端面に、前
記シール部材を加硫接着あるいは高周波加熱によって一
体に固着したことを特徴としている。請求項２記載の考
案は、前記ピストンを板金プレス加工によって成形した
ことを特徴としている。

【０００８】

【作用】前記請求項１記載の考案によれば、成形後のピ
ストンの小径部位及び段差部に対してシール部材を加硫
接着あるいは高周波加熱により一体に固着したため、従
来のようなＯリングやバックアップリングをピストンと
は別個に製造したり、高精度な嵌合溝の加工が不要にな
る。この結果、製造作業能率の大巾な向上が図れる。

【０００９】しかも、前述のように、ピストンの小径部
位及び段差部にシール部材を加硫接着などによって一体
に固着したため、該シール部材を事後的にな嵌着する作
業が不要になり、組立作業性も向上する。さらに、請求
項２記載の考案によれば、ピストンを板金プレスによっ
て成形したため、従来のように金型成形や円柱状の部材
を穴開け加工して成形する場合に比較して製造作業がさ
らに容易になる。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳述
する。

【００１１】図１は本考案に係るリザーバ構造を従来と
同様にアンチロックブレーキ装置に適用した一実施例を
示している。

【００１２】即ち、２１はリターン通路（図示せず）の
途中に設けられたハウジング、２２は該ハウジング２１
の内部に形成された段差円柱状のシリンダ、２３は該シ
リンダ２２の内部に軸方向へ摺動自在に設けられたピス
トンであって、前記シリンダ２２は、外部側の大径部２
２ａと内部側の小径部２２ｂが段差面２２ｃを介して連
続形成されていると共に、小径部２２ｂの底面とピスト
ン２３の前端面との間に貯留室２２ｄが形成されてい
る。

【００１３】前記ピストン２３は、板金プレス加工によ
って略有底円筒状に形成され、前記小径部２２ｂ内に臨
む先端側碗状小径部位２４と、該小径部位２４と段差状
に拡径された中径部位２５と、該中径部位２５とテーパ
部２６を介して連結されて大径部２２ａに臨む大径部位
２７とを備えている。前記小径部位２４は、その外径が
小径部２２ｂの内径よりも十分に小さく設定されてい
る。また、中径部位２５は、その外径が小径部２２ｂの
内径よりも若干小さく設定されて、小径部２２ｂ内に摺
動可能になっている。更に、前記大径部位２７は、その
外周面２７ａと大径部２２ａの内周面２２ｅとの間に一
定の環状隙間部が形成されていると共に、外端縁には大
径部内周面２２ｅ側に拡開状に折曲されたフランジ部２
８が一体に形成されている。このフランジ部２８は、ピ
ストン２３全体のプレス成形時に一緒に形成されたもの
であって、その外径は大径部２２ａの内径よりも小さく
設定されている。また、このピストン２３は、小径部位
２４と中径部位２５間の段差部２９に一端が弾持された
圧縮コイルスプリング３０のばね力で前方位置に付勢さ
れており、この圧縮スプリング３０の他端部は、シリン
ダ２２後端側の環状リテーナ３１を介してハウジング２
１に支持されたスプリングシート３２に弾持されてい
る。また、大径部位２７の外周面２７ａには、ストッパ
部材３３が圧入固定されており、このストッパ部材３３
とフランジ部２８との間に形成された保持溝内にガイド
部材３４が嵌着保持されている。

【００１４】前記ストッパ部材３３は、円環状を呈し、
この外径は大径部２２ａの内径よりも小さく設定されて
いる。また、前記ガイド部材３４は、低摩擦材で略円筒
状に形成され、内径が大径部位２７の外径と略同一に設
定されていると共に、外径が大径部２２ａの内径より若
干小さく設定されて、外周面３４ａが大径部２２ａの内
周面２２ｅに摺接するようになっている。

【００１５】そして、ピストン２３の小径部位２４の外
周面と段差部２９の前端面とには、シール部材３５が一
体に固着されている。このシール部材３５は、ゴム材で
円環状に形成され、外径寸法が小径部２２ｂの内径より
も若干大きく設定されて、該小径部２２ｂ内周面に密着
している。また、このシール部材３５は、予めプレス成
形されたピストン２３に加硫接着されるか、あるいは内
周側に接着剤を塗付してピストン２３に接着した後、高
周波加熱によって接着するようにしてある。尚、ピスト
ン２３の内部は、スプリングシート３２の中央に穿設さ
れた通孔３２ａを介して大気開放になっている。

【００１６】したがって、この実施例によればアンチロ
ック制御中にホィールシリンダから貯留室２２ｄに流入
したブレーキ液は、コイルスプリング３０のばね力に抗
してピストン２３左右方向に押圧移動させて容積の拡大
した貯留室２２ｄ内に貯留され、リザーバとしての通常
の作用を営むことは勿論のこと、ピストン２３とシール
部材３５とを一体的に固着させたことにより、従来のよ
うな嵌着溝やバックアップリングが不要になるばかり
か、Ｏリング等を事後的ピストン２３外周に嵌着させる
必要がなくなる。したがって、リザーバ６の製造作業能
率が向上すると共に、製造コストの低廉化が図れるばか
りか、リザーバ６の組み立て工数の削減により、該組み
立て作業能率の向上も図れる。

【００１７】しかも、ピストン２３を板金プレス加工に
よって一体に形成したため、金型成形や穴開け加工に比
較してその製造作業がさらに容易になる。

【００１８】また、ピストン２３と一緒にプレス加工さ
れたフランジ部２８と、大径部位２７に圧入固定された
ストッパ部材３３との間に有する保持溝内にガイド部材
３４を嵌着保持するようにしたため、保持溝を煩雑な切
削加工により形成する必要がない。したがって、この点
からも製造作業能率が向上すると共に、製造コストの低
廉化が図れる。

【００１９】また、前述のように保持溝を切削加工する
必要がないため、ピストン２３の周壁の肉厚を可及的に
薄肉化でき、この結果、ピストン２３の軽量化が図れ
る。

【００２０】本考案は、前記実施例の構成に限定される
ものではなく、板金プレス加工されたピストン２３の外
周面に一対のビード部を折曲形成し、この間に形成され
た嵌着溝の周面にシール部材を一体に固着することも可
能である。

【００２１】また、斯かるリザーバ構造は、アンチロッ
クブレーキ装置以外の機器類に適用することも可能であ
る。

【００２２】

【考案の効果】以上の説明で明らかなように、請求項１
記載の考案に係るリザーバ構造によれば、ピストンの小
径部位外周面及び段差部前端面にシール部材を加硫接着
あるいは高周波加熱により一体に固着したため、従来の
ようなＯリングやバックアップリングをピストンとは別
個に製造したり、高精度な加工が要求される嵌着溝や前
記バックアップリングが不要になる。したがって、リザ
ーバの各構成部品の製造作業能率が向上すると共に、製
造コストの低廉化が図れる。

【００２３】また、従来のようにＯリングやバックアッ
プリングを、事後的にピストンに嵌着させる必要がなく
なるため、リザーバの組み立て作業性も向上する。さら
に、請求項２記載の考案によれば、ピストンを板金プレ
ス加工によって一体に形成したため、金型成形や円柱状
のものを穴開け加工して成形する場合に比較して、製造
作業も容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るリザーバ構造の一実施例を示す縦
断面図。

【図２】本考案のリザーバ構造をアンチロックブレーキ
装置に適用した全体構成図。

【図３】従来のリザーバ構造を示す縦断面図。

【符号の説明】

２１…ハウジング、２２…シリンダ、２２ｄ…貯留室、
２３…ピストン、２４…小径部位、２９…段差部、３５
…シール部材。

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ハウジング内に有するシリンダ内部に摺
動自在に設けられたピストンと、該ピストンの外周に設
けられて、該ピストンとシリンダ端部の貯留室との間を
シールするシール部材とを備えたリザーバ構造におい
て、前記ピストンの貯留室側の外周面に小径部位を形成する
と共に、該小径部位の外周面と小径部位端縁の段差部の
前端面に、前記シール部材を加硫接着あるいは高周波加
熱によって一体に固着したことを特徴とするリザーバ構
造。
【請求項２】前記ピストンを板金プレス加工によって
成形したことを特徴とする請求項１記載のリザーバ構
造。