JP2588863B2 - 白熱電球の製造方法 - Google Patents

白熱電球の製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、スタジオ照明用や赤外線加熱炉用などに使
用される大出力の白熱電球の製造方法に関するものであ
る。
〔従来技術とその問題点〕
白熱電球は、封体管からリードを気密に突出させるた
めに、通常は、リードの一端が溶接されたモリブデン箔
を圧着封止部に埋設する箔シールが行われている。しか
し、この箔シールは、モリブデン箔が薄いために、最大
許容電流はせいぜい50Aまでであり、これ以上の大電流
が流れる大出力白球電球では、リードはモリブデンカッ
プシールにより気密封止される。このモリブデンカップ
シールを説明すると、封体管の下端面から一対の小管が
二股状に突出しており、この小管の先端開口には、有底
筒状のモリブデンカップが溶着されている。そして、モ
リブデンカップの中心孔にリードを挿入し、リードをモ
リブデンカップにろう付けして気密に封止している。し
かる後、封体管頂部のチップ管から排気するとともに、
ハロゲンガスを含んだ不活性ガスを注入してチップ管を
チップオフしている。
このように、封体管頂部にチップ管が取り付けられる
とともに、封体管下端面に一対の小管が設けられるの
で、マウントを封体管内に配置するために、封体管を上
封体管と下封体管の2分割型にし、マウントを内部に配
置した後に、上封体管と下封体管の開口同志を接合する
必要がある。ところで、上封体管と下封体管の開口同志
を接合する工程において、両者をそれぞれ同一軸線でチ
ャックし、センターを出す必要があり、このためには、
上封体管と下封体管をそれぞれセンターでチャックしな
ければならない。ここで、上封体管の頂部にはチップ管
が取り付けられているので、上封体管とチップ管の軸線
を一致させておけばよく、チップ管をチャックすれば上
封体管をセンターでチャックしたことになる。しかしな
がら、下封体管の方は、一対の小管が二股状に設けられ
ているので、この小管をチャックしてセンターを出すの
がなかなか困難である問題点がある。また、小管以外の
部分も、例えば口金取付用の凹部が設けられたりしてい
るので、同様にセンターを出すのが困難である。
次に、マウントを内部に配置した状態で上封体管と下
封体管の接合部分を高温に加熱するので、チップ管から
不活性ガスを流して高温に曝されるマウントを保護する
必要があるが、接合部が突き合わされると、チップ管が
閉空間である封体管の唯一つの入口となり、このチップ
から不活性ガスを流しても、内部を十分に流れず、マウ
ントの保護が不十分となる不具合がある。
〔発明の目的〕
そこで本発明は、チャックしたときに、上封体管と下
封体管をそれぞれ同一軸線でチャックしてセンターを出
しやすく、また、不活性ガスが多量に流れ、マウントの
保護も十分な白熱電球の製造方法を提供することを目的
とする。
〔発明の構成とその作用〕
本発明の構成は、ガラス製の上封体管と下封体管の開
口同志が接合されて封体管が形成され、上封体管の頂部
中心にチップ管が取り付けられ、下封体管の下面から一
対の小管が二股状に突設され、フィラメントから伸びる
リードがこの小管の先端開口に取り付けられたモリブデ
ンカップシールを貫通した白熱電球を製造する方法であ
って、前記下封体管に通気管を取り付けるとともに、こ
の通気管の先端部の軸線を下封体管の軸線と一致させ、
この通気管の先端部およびチップ管をそれぞれ同一軸線
でチャックし、マウントを内部に配置した状態で通気管
もしくはチップ管から不活性ガスを流し、上封体管と下
封体管の開口同志を突合わせ、加熱して接合する工程を
含むことを特徴とするものである。
すなわち、下封体管に付加された通気管の先端部の軸
線が下封体管の軸線と一致しているので、この通気管の
先端部と上封体管のチップ管をそれぞれチャックすれ
ば、上封体管と下封体管のセンターを容易に出すことが
できる。また、通気管およびチップ管のいずれか一方か
ら不活性ガスを流すと他方が出口となり、不活性ガスが
多量に流れるので、高温に曝されるマウントを十分に保
護することができる。
〔実施例〕
以下に図面に示す実施例に基いて本発明を具体的に説
明する。
石英ガラスからなる上封体管1は、第1図(A)に示
すように、一端に開口1aを有する略有底筒状であり、大
出力白熱電球の封体管の上半分を構成してその内部にマ
ウントの発光部であるフィラメントが配置されるが、そ
の頂部中央にチップ管11が取り付けられている。そし
て、上封体管1の軸線とチップ管11の軸線は一致してい
る。一方、下封体管2は、上端の開口2aが上封体管1の
開口1aと接合されて封体管の下半分を構成するが、第1
図(B)に示すように、その下面から一対の小管21が二
股状に突設されている。そして、小管21の先端開口に
は、底面に中心孔を有する有底筒状のモリブデンカップ
3がそれぞれ溶着されている。また、下封体管2の下面
の端部には通気管22が取り付けられているが、第2図に
示すように、この通気管22は屈曲されており、その先端
部22aの軸線CLが下封体管2の軸線CLと一致している。
上封体管1と下封体管2を接合するのに先だって、マ
ウント4が下封体管2に固定される。マウント4は、第
3図に示すように、平面状のフィラメント41が上下に配
置されたカラスブリッジ42から伸びるアンカー43によっ
て張設されており、フィラメント41の両端と電気的に接
続された一対のリード44が下方に伸びている。このリー
ド44が小管21に挿入され、モリブデンカップ3の中心孔
に挿通された部分がろう付けされている。
しかして、上封体管1のチップ管11および下封体管2
から伸びる通気管22の先端部22aをそれぞれチャック5
にてチャックするが、先端部22aの軸線と下封体管2の
軸線が一致し、チップ管11の軸線と上封体管1の軸線が
一致しているので、チャック5,5を接近させて上封体管
1と下封体管2の開口1a,2a同志を付き合わせたとき
に、両者は完全に一致する。そして、チップ管11または
通気管22のいずれか一方から不活性ガスを流しながら開
口1a,2aの突合わせ部を加熱して接合するが、このと
き、不活性ガスがチップ管11もしくは通気管22の他方か
ら流出するので、多量の不活性ガスを流すことができ、
高温に曝されるマウント4の昇温が抑制され、封体管内
が完全な不活性雰囲気になるので、マウント4は酸化さ
れず、確実に保護することができる。
上封体管1と下封体管2の接合が完了すると、通気管
22はその基端部で溶断して封鎖され、第4図に示すよう
に、通気管残部22bが形成される。そして、チップ管11
から排気するとともに、ハロゲンガスを含んだ不活性ガ
スを注入し、チップ管11溶断して封止すれば大出力白熱
電球が完成する。
このように、下封体管2に取り付けた通気管22の先端
部22aをチャックするので、上封体管1と下封体管2の
センターを容易に出すことができ、また、多量の不活性
ガスを流すことが可能となるので、接合時に高温に曝さ
れるマウントを確実に保護することができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明は、軸線が下封体管の軸
線と一致した通気管の先端部をチャックするとともに、
この通気管を不活性ガスの通路として利用するので、上
封体管と下封体管を接合するときのセンターを容易に出
すことができ、また、不活性ガスが多量に流れるので、
マウントの保護も十分な白熱電球の製造方法とすること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)および(B)は上封体管と下封体管の正面
図、第2図は下封体管の側面図、第3図は工程説明図、
第4図は通気管残部の説明図である。 1……上封体管、1a……開口、11……チップ管 2……下封体管、2a……開口、21……小管 22……通気管、22a……先端部、22b……通気管残部 3……モリブデンカップ、4……マウント 41……フィラメント、44……リード、5……チャック

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス製の上封体管と下封体管の開口同志
    が接合されて封体管が形成され、該上封体管の頂部中心
    にチップ管が取り付けられ、該下封体管の下面から一対
    の小管が二股状に突設され、フィラメントから伸びるリ
    ードが該小管の先端に取り付けられたモリブデンカップ
    シールを貫通した白熱電球を製造する方法であって、 前記下封体管に通気管を取り付けるとともに、この通気
    管の先端部の軸線を下封体管の軸線と一致させ、この通
    気管の先端部および該チップ管をそれぞれ同一軸線でチ
    ャックし、マウントを内部に配置した状態で通気管もし
    くはチップ管から不活性ガスを流し、上封体管と下封体
    管の開口同志を突合わせ、加熱して接合する工程を含む
    ことを特徴とする白熱電球の製造方法。
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