JP2588412B2 - 薬物放出制御用装置 - Google Patents

薬物放出制御用装置

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JP2588412B2 JP30929687A JP30929687A JP2588412B2 JP 2588412 B2 JP2588412 B2 JP 2588412B2 JP 30929687 A JP30929687 A JP 30929687A JP 30929687 A JP30929687 A JP 30929687A JP 2588412 B2 JP2588412 B2 JP 2588412B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は薬物の放出を自由に制御でき、これにより各
薬物の特性に応じたパターンで薬物を放出することがで
きる薬物放出制御用装置に関するものである。
(従来の技術) 従来薬物は、治療を目的とする症状、薬理作用及び薬
動力学的性質に応じて、経口剤、外用剤、坐剤、注射、
吸入剤等の剤形で投与されている。しかし、経口剤には
消化管系への刺激や肝臓におけるいわゆる“初期通過効
果”によるバイオアベラビリティ(生物学的薬物利用
率)の低下等の問題があった。薬物を外用剤として用い
る場合には薬物の吸収が困難でさらに薬物投与量のコン
トロールも難しいという問題があった。一方、薬剤を坐
剤として用いると、直腸に残留する糞の量により薬物吸
収量が変更し、また注射では非常な苦痛を患者に与え、
長期の連用が困難であるなどの問題があった。
これに対して近年、DDSの開発がさかんになってお
り、DDSの中で実用化されているものとしては、狭心症
治療用のニトログリセリンや亜硝酸エステル系薬物、乗
物酔い止め用のスコポラミンなどの経皮吸収型外用剤が
あげられる。
しかし、これらは単に薬物の徐放化を図ったものがほ
とんどであり、薬物の放出量を症状の程度に応じて制御
するという本来のDDSに近いものではなかった。
最近、ジアルキルジメチルアンモニウムブロマイドを
高分子に担持させた膜は、温度変化に応じて物質の膜内
拡散係数が変化することが報告されている。例えば、ジ
ャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティ
(J.American.Chem.Soc.,)105、No.15、4855−4859(1
983)やケミストリー レターズ(Chemistry Letter
s,)645−648(1979)などに記載されている。
しかしこれらの膜は微少温度変化に応答し得るもので
はなく、またその時の拡散係数の変化も大きいとは言い
難いものであった。さらにまた温度により拡散を制御し
える対象がナトリウムイオンや塩素イオンといった小さ
なものに限られ、一般に薬理効果を有する大きな分子の
拡散制御を行うまでには至っていないのである。さらに
また、これらの高分子膜に担持させたジアルキルジメチ
ルアンモニウムブロマイドはイオン性を有するものであ
り、イオン性を有する多くの薬物分子の放出制御には適
していない。
(発明が解決しようとする問題点) 従って、本発明は微少温度変化に敏感に応答する事が
可能で、しかも薬物分子の拡散制御を充分に行う事がで
き、薬理効果を有する大きな分子の拡散をも制御し得る
とともにイオン性薬物にも悪影響を及ぼさない温度感応
性薬物放出制御用高分子と加熱用発熱システムを組合わ
せる事により、あらかじめコントロールされた加熱用発
熱システムの微少温度変化を通じて各薬物に対する人体
の生理的要求パターンに沿った薬物放出制御を行い得る
薬物投与システムを提供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明は液晶形成性化合物を特定の高分子膜に固定
し、これに加熱用部材を組合せると上記問題点を有効に
解決できるとの知見に基づいてなされたのである。
すなわち、本発明は疎水性高分子膜に非イオン性液晶
形成性化合物を固定してなる薬物放出制御用膜と、加熱
用部材とを有することを特徴とする薬物放出制御用装置
を提供する。
本発明の液晶形成性分子担持用高分子膜としては、表
面自由エネルギー又は臨界表面張力が45.0dyn/cm以下で
あるような、本質的に疎水性の高分子が用いられる。つ
まり親水性高分子を用いると、その高分子実質中に多数
存在するいわゆる“Water−Channel"を通じて薬物分子
の漏れが起こり、液晶形成性化合物の微少集合体部分の
放出の制御を行うことができないからである。本発明で
用いる高分子化合物として、具体的には、ポリヘキサフ
ルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ
トリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフ
ッ化ビニル、ポリエチレン、ポリトリフルオロクロロエ
チレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレ
ンテレフタレート、ナイロン、ポリジメチルシロキサ
ン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン
ビニルアセテート、ポリエチレンビニルアルコール、ポ
リメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)ア
クリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリヘ
キシル(メタ)アクリレート、ポリオクチル(メタ)ア
クリレート、ポリラウリル(メタ)アクリレート、ポリ
ステアリル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン、ポ
リブテン、ポリイソプレン、天然ゴムなどが例示され
る。これらのうち、表面自由エネルギー又は臨界表面張
力が40dyn/cm未満の高分子化合物が好ましく、さらに好
ましくは表面自由エネルギー又は臨界表面張力が35dyn/
cm未満の高分子である。
これらのうち、3μm以下の直径の細孔を有し、かつ
空孔率が10〜90%の高分子膜が好ましい。ここで、高分
子膜についての細孔の直径が3μm以下とは、3μmを
越える直径の細孔を30%以下の量で含むものを意味し、
平均直径が0.001〜3μm、より好ましくは0.01〜1μ
mのものを用いるのがよい。空孔率は、水銀ポロシメー
ターなどの方法により容易に測定することができ、20〜
80%のものを用いるのがよい。また、該高分子膜として
は厚さ1〜3000μm、好ましくは10〜500μmのものを
用いるのがよい。
本発明の液晶形成性化合物としては、ゲル液晶転移温
度が35〜45℃の範囲にある種々の液晶形成性化合物が使
用される。これらのうち、非イオン化合物、特にポリア
ルキレングリコールの末端水素の少なくとも1つが炭化
水素で封鎖された非イオン性化合物が好ましい。これら
のうち、下記一般式〔I〕又は〔II〕で表わされるもの
が好ましい。
(式中、R1、R2及びR3は水素又は炭素数1〜6のアルキ
ル基、R4、R5及びR6は、水素、炭素数6〜30のアルキル
基、又は−COR9、−COR10、−COR11で表わされる基(R9
〜R11は、それぞれ水素又は炭素数6〜30のアルキル基
である。)である。但し、R4〜R6の少なくとも1つは炭
素数6以上である。a、b、cは、0〜20、nは0又は
1である。R7は水素、炭素数1〜30のアルキル基又は−
COR12で表わされる基(R12は水素又は炭素数1〜30のア
ルキル基)、R8は水素、炭素数1〜30のアルキル基又は
−COR13で表わされる基(R13は水素又は炭素数1〜30の
アルキル基)であるが、式〔II〕の化合物の少なくとも
1つの末端は炭素数6以上のアルキルエーテル又はアル
キルエステルである。又は、dは1〜20である。) 上記式中、R1〜R3は水素又は炭素数2〜3のアルキル
基が好ましく、R4〜R6及びR9〜R11におけるアルキル基
としては炭素数12〜18のものが好ましい。a、b、cの
合計は0〜60、好ましくは1〜40、より好ましくは3〜
20である。又、R7、R8、R12、R13のアルキル基としては
炭素数12〜18のものが好ましく、dは、3〜12が好まし
い。
これらのうち、構造式〔I〕で表わされる化合物にお
いて、R4、R5、R6の1つ以上が炭素数6〜24のアルキル
基である液晶形成性化合物としては、ポリオキシエチレ
ングリセリールモノステアリルエーテル、ポリオキシエ
チレングリセリールジステアリルエーテル、ポリオキシ
エチレングリセリールトリステアリルエーテル、ポリオ
キシエチレングリセリールモノミリスチルエーテル、ポ
リオキシエチレングリセリールジミリスチルエーテル、
ポリオキシエチレングリセリールトリミリスチルエーテ
ル等が例示される。
又、R4、R5、R6の1つ以上が−COR(Rは炭素数6〜2
4のアルキル基)で表わされる液晶形成性化合物として
は、ポリオキシエチレングリセリールモノステアレー
ト、ポリオキシエチレングリセリールジステアレート、
ポリオキシエチレングリセリールトリステアレート、ポ
リオキシエチレントリメチロールプロパンモノステアレ
ート、ポリオキシエチレントリメチロールプロパンジス
テアレート、ポリオキシエチレントリメチロールプロパ
ントリステアレート等が例示される。
構造式〔II〕で表わされる化合物のうち、R7、R8のど
ちらか1つが水素である化合物としては、ポリオキシエ
チレン−2−ヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチ
レン2−ヘプチルウンデシルエーテル、ポリオキシエチ
レン2−デシルペンタデシルエーテル等が例示される。
又、R7、R8の両方とも水素でない化合物としては、ポ
リエチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチ
レンラウリルエーテルステアレート、ポリオキシエチレ
ンセチルエーテルステアレート、ポリオキシエチレンス
テアリルエーテルステアレート等が例示される。
これらのうち、ゲル液晶転移温度が35〜43℃の範囲で
ある液晶形成性分子が好ましく、さらに好ましくは37〜
42℃の範囲にゲル液晶転移温度を有する液晶形成性分子
である。つまり、液晶形成性分子の拡散制御性がゲル液
晶転移温度付近で発現するので、体温以上の温度にこの
ゲル液晶転移温度が存在するのが有利だからである。
上記液晶形成性化合物を疎水性高分子化合物に固定化
するには、種々の方法で行なうことができる。具体的に
は、吸着、分散又は共有結合による固定化方法があげら
れる。(i)これらのうち吸着による方法では、担持高
分子を溶解しないが液晶形成性化合物を溶解する有機溶
媒中に、液晶形成性化合物を溶解し、この溶液中に担持
高分子を浸漬し、その後これを取出し乾燥することによ
り固定化を行う。(ii)分散による方法では、担持高分
子中へ液晶形成性化合物を機械的に混練するか、又は、
担持高分子と液晶形成性化合物のいずれをも溶解できる
有機溶媒で担持高分子と液晶形成性化合物を溶解し、よ
く撹拌した後に乾燥させることによって固定化を行う。
(iii)共有結合による方法では、液晶形成性化合物中
に存在する水酸基と担持高分子中の官能基(水酸基、ア
ミノ基、又はカルボキシル基)とを2官能性の試薬、例
えばジイソシアネート、ジグリシジル化合物、ジカルボ
ン酸ジクロライド、エピクロルヒドリンなどを用いて結
合させることによって固定化を行う。
本発明において、担持用高分子に対する液晶形成性化
合物の固定化率に特に限定されないが、要求される温度
感応性の度合いと必要とされる高分子の強度から98/5〜
5/95(重量比)、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ま
しくは、70/30〜30/70とするのがよい。
本発明で用いる加熱用部材としては、通電等により加
熱できるものであればなんでもよく、例えばニクロム線
等を用いた公知の加熱部材があげられる。これらのう
ち、カーボンブラック混入塗料で塗工した布(商品名:
サンフィール(丸菱電工(株)製)を用いると少ない消
費電力で加熱できるので好ましい。
本発明の薬物制御装置は上記部材を用い任意の形態で
使用することができるが、外用薬として用いることがで
きる。例えば、生理活性物質保持層の上部に、生理活性
物質を溶解している有機溶媒および水の蒸散を防ぐため
の不透過性基材層を設け、その上部に加熱用発熱システ
ムを設ける。さらに、生理活性物質保持層の下部には本
発明の薬物放出制御用高分子膜を設けた形態とする。
又、薬物放出制御用高分子膜の下面の全面もしくは周囲
に、外用薬を皮膚に密着固定するための感圧接着剤層を
塗布する。このようにすると、生理活性物質保持層の下
部に設けた本発明の薬物放出制御用高分子膜が、事前に
セットされた加熱用発熱システムの加温パターンに応
じ、敏感に薬物の放出を制御するので、皮膚中への透過
量をコントロールできるのである。
具体的には、第1図に示す態様で用いるのがよい。第
1図は薬物制御用装置の縦断面図を示すものであり、塩
化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA、EVA
L、シリコンラバーなどのプラスチックシートからなる
裏打ち基材1(バッキングフィルム)の内側に加熱部材
2である発熱シートを上に乗せた薬物貯蔵槽3が入れら
れている。ここで薬物貯蔵槽3は塩化ビニル、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、EVA、EVAL又はシリコンラバー
などのフィルム4と、薬物放出制御膜5との間に薬物6
が封入された袋状物であり、薬物放出制御用膜5が人体
の皮膚の方を向くように設置されている。また、皮膚に
とめやすくするように、裏打ち基材1には感圧性接着剤
7が施されている。ここでフィルム1及び4としては厚
さ5〜500μm、好ましくは20〜200μmのもが用いら
れ、薬物6としては、後述の薬用成分が例えばゲル状
(ゲル基材としてはエタノール40%、プロピレングリコ
ール21%、カーボポール940 1%、トリエタノールア
ミン0.1%、EDTA0.0002%及び水バランスからなる組
成)又は液状(例えばエタノール40%、EDTA0.0002%及
び水バランスからなる組成)の形態のものが、薬物貯蔵
槽3に入れられている。尚、加熱部材としては任意の厚
さのものを用いることができるが、10〜1000μm、好ま
しくは20〜500μmを用いるのが好ましく、第1図に示
すように、外部電源への接続線が設けられている。ここ
で、加熱部材2に温度制御部材を組合せると、一層効果
的に薬物の放出を制御することができる。
上記のように、本発明の薬物放出制御用高分子と加熱
部材を組み合わせた場合、発熱シートで、固定化された
液晶形成性分子のゲル−液晶転移温度以上に加熱するこ
とにより、液晶形成分子のアルキル鎖がゆらぎ、高分子
中の薬物拡散性が変化することにより、薬物の放出性が
制御される。すなわち、加熱部材の加熱および放冷を制
御することにより、薬物の放出性が任意にコントロール
される。
本発明を薬物投与システムに応用した場合に用いる薬
物としては特に限定はないが、連続経皮投与による副作
用および薬効の低下が指摘される狭心症用貼付薬に本発
明を応用した場合、制御加熱することにより、狭心症薬
の放出コントロールを達成できる。この点から薬物とし
てはニトログリセリン、硝酸イソソルビドなどが特に有
効である。
さらにまた、抗血圧剤であるクロニジンの貼付薬で
は、その血中濃度が有効濃度に達するのに3日もかかる
ことにより、初期の経皮吸収性を向上させることが望ま
れており、本発明の薬物投与システムを応用することに
より、初期に加熱し放出性を向上させ、経皮吸収性をア
ップさせることも可能となる。
本発明の薬物投与システムにおける薬物成分は0.1〜8
0重量%(以下%と略称する)、好ましくは0.2〜50%、
及び任意成分が0〜90%、好ましくは0.1〜80%となる
ように用いる。
上記任意成分としては、種々の重合度の高分子類、例
えばポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリ(メタ)アクリル
酸(塩)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸(塩)、
カラゲナン等、有機溶媒としてメチルアルコール、エチ
ルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピ
ルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルア
ルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコ
ール、メチルエチルケトン、アセトン、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、グリセロール、酢酸エチ
ル、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、5
−メチル−2−ピロリドン、1,5−ジメチル−2−ピロ
リドン、1−エチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン
−5−カルボン酸等、経皮吸収促進剤として、ジメチル
スルホキシド、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−
オン(商品名Azone )、ジメチルラウリルアミド、イ
ソソルビトール、ジメチルホルムアミド、ドデシルピロ
リドン、メチオニルスルホキサイド、メチオニルスルホ
ン、オチグリコール酸カルシウム、ヒドロキシオクチル
スルホキサイド、シクロヘキシルメタノール、リジン、
アルギニン、オルニチン、ヒスチジン、尿素、サリチル
酸及びその誘導体、ニコチン酸ベンジル、メトキシポリ
エチレングリコールアクリレート、(ポリ)エチレング
リコールグリシジルエーテル、炭素数8以上の脂肪酸ジ
グリセライド、アジピン酸エステル、セバシン酸エステ
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、脂肪
酸エタノールアミド等、界面活性剤として、ラウリル硫
酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビ
タン脂肪酸エステル等のうちから選ばれる1種又は2種
を用いることができる。
本発明の薬物放出制御用高分子が温度により敏感に薬
物の放出速度を変化させる作用機構は以下のように考え
られる。つまり、液晶形成性化合物が水又は水を含む溶
液組成中に暴されると、極性である水分子が液晶形成性
化合物中の疎水性アルキル鎖部分と水素結合することが
できず、その結果疎水性アルキル鎖の周囲の水は互いの
水素結合を強めて、いわゆる“アイスライク”な水クラ
スターを形成する。そしてこのクラスターを形成によ
り、疎水性アルキル鎖の周囲の水のエントロピーが減少
し、自由エネルギー的に不安定となる。そこで、このよ
うな疎水性アルキル鎖どうしが互いに接することによ
り、その表面にある構造水が一部自由水となって系の自
由エネルギーが安定化されるために、このような疎水性
アルキル鎖部分は互いに密着するように配列して、ゲル
構造をとるようになる。ところでこのゲル構造は、温度
が上昇してある温度(ゲル液晶転移温度)に達すると相
転移を起こし、疎水性アルキル鎖にゆらぎが生じて、い
わゆる液晶状態へ移行する。そしてこのゲル液晶転移温
度前後での液晶形成性化合物の疎水性アルキル鎖のゆら
ぎの出現及び消失により、本発明の薬物放出制御用高分
子が薬物分子の透過拡散を制御するので薬物の放出を温
度に応じて制御できるのである。このとき、液晶形成性
分子を担持する高分子が親水性であると、その内部に自
由水で充たされた多くの“Water−Channl"が存在するこ
とになり、高分子内部に散在する液晶形成性分子の微小
集合体が拡散制御する傍らで、他の薬物分子が漏出する
ことになる。これに反して疎水性高分子中には自由水の
充たされた“Water−Channl"はほとんど存在せず、従っ
てふたつの主たる拡散機構のうちの細孔拡散機構は利用
されず、もう一方の分配拡散機構のみが主として用いら
れることになる。この分配拡散機構の拡散係数は非常に
小さく拡散全体に対する寄与も少ないため、この疎水性
高分子中に液晶形成性化合物が存在する場合には、主と
してこの液晶形成性化合物が律速性を示すようになり、
従って、温度感応性も向上するのである。尚、この液晶
形成性化合物は、放出制御しようとする薬物分子との間
に相互作用が生じるのを避けるために非解離型のもので
あることが必要で、且つ、そのゲル液晶転移温度が体温
以上にあることが必要である。
(発明の効果) 本発明によれば、初期に設定された加温パターに応じ
たシステムの微小温度変化に応じて薬物の放出を明確に
制御することができ、各薬物に対する人体の生理的要求
パターンに沿った薬物投与を可能にする。たとえば、狭
心症薬の一時的wash−outや抗高血圧薬の初期吸収性を
向上させることが可能となる。
たとえば、抗高血圧薬であるクロニジンの貼付薬では
その血中濃度が有効領域に達するまでに3日もかかる
(American Hart Journal,217−222,July,1984)ことが
報告されているが、本発明の投与システムをクロニジン
貼付薬に応用することにより、初期薬物吸収性を向上さ
せることができる。
次に実施例により本発明の内容を具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
〔実施例〕
実施例 1 ポリプロピレン膜(ポリプラスチック、ジュラガード
2400;細孔径0.02μm、空孔率38%、臨界表面張力35dyn
/cm)2枚の間に、溶融させたポリオキシエチレン(3
モル)トリメチロールプロパントリステアレート(日本
エマルジョン、TPS−303;ゲル液晶転移温度39.2℃)を
はさみ込むことにより、ポリプロピレン膜に対して直接
液晶形成性化合物を浸透させて固定化を行った後、膜全
体にプレス(25t/cm2、10分間)を行うことにより、温
度感応性薬物放出制御用高分子膜を調製した。得られた
高分子膜の液晶形成性化合物の固定化率は、重量比で3
8.1%であった。
次にこの温度感応性薬物放出制御用高分子膜をガラス
製バーチカルタイプ拡散セル10に取り付け、その上部に
5mlの2.5%の硝酸イソソルビド溶液13(基剤溶液は水/
エチルアルコール60/40%w/w)を入れ、下部リセプター
側には、上記基材溶液16を13mlを入れた。さらに上部薬
物溶液の上を加熱用発熱シート12でカバーした。
ここで用いた装置の概略断面図を第2図に示すが、円
柱状部材11の上方に発熱シート12が設置され、その下に
硝酸イソソルビド溶液13が入り、下に薬物放出制御用高
分子膜14が設けられ、リセプター側にはスタラー17があ
り、基材溶液を撹拌し、また取出口18から一定期間ごと
に基材溶液を抜き出して、硝酸イソソルビドの量を定量
した。尚、第2図には、もう1つの膜15が設けられてい
るが、実施例1では該膜15を設けない形で実験を行っ
た。
ここで、加熱用発熱シート12は素子寸法6cm2、素子抵
抗105Ω、定格電圧3.0V(丸菱電工社製、サンフィール
)ものを用い、1.5Vの乾電池2個を電源として、2時
間ごとに加熱・放冷を断続的に繰返した。そのときの拡
散セルのレセプター側の累積薬物透過量を表示したのが
第3図である。第3図からわかるように、加熱用発熱シ
ステムの温度制御を通じて薬物放出パターンを自由に制
御する事ができる。
実施例 2 WBN/Kobヘアレスラット(埼玉実験動物)の腹部皮膚
を麻酔下(ペントバルビタールナトリウム60mg/kg、i.
P)摘出し、その角質層側に実施例−1の試料膜を貼付
し、第2図に示すガラス製バーチカルタイプ拡散セルに
取り付け、(但し、該皮膚を15として取りつけた)その
上のセルに5mlの2.5%の硝酸イソソルビド溶液(基剤溶
液は水/エチルアルコール60/40%w/w)を入れ、さらに
実施例−1で用いたと同様の発熱シートでカバーし、6
時間ごとに38℃への加熱、放冷を断続的に繰り返した。
その時の拡散セルのレセプター側の累積薬物皮膚透過量
を表示したのが第4図である。
第4図からわかるように、加熱用発熱システムの温度
制御に応答して薬物の皮膚透過パターンを自由にコント
ロールすることができる。
実施例 3 実施例1と同様な薬物放出制御膜と不透過性基材とし
てポリエチレン膜をヒートシールすることにより薬物保
持層用の袋を調製し(4cm2)、その中に、エチルアルコ
ール40%、水58.4%、ポリカルボン酸(カーボポール94
0 、グッドリッチケミカル社製)1.5%、トリエタノー
ルアミン0.1%を配合してなる軟膏基剤100重量部に対し
て約2.4%の硝酸イソソルビドを配合した軟膏3gを入れ
薬物保持層とした。
体重2.0〜2.5kgの家兎の膜部を電気バリカンで除毛後
さらに皮膚をキズつけないように注意深く電気カミソリ
で除毛し、その上に上記薬物保持層を薬物放出制御膜を
皮膚側に適用した。さらにその上に実施例1と同様の加
熱用発熱シートで覆い、第1図に示すようにその上から
粘着テープで固定した。
加熱は、0時間から10時間目、20時間目から30時間目
まで行い38℃以上に保ち、一定時間ごとに血液サンプル
を家兎の耳静脈から採取し、液体クロマトグラフィーに
より血中薬物濃度を追跡した。結果を表−1に示す。表
−1からわかるように、10時間の加熱を加えた後(10時
間目及び30時間目)の血中硝酸イソソルビド濃度は高
く、放冷した後(20時間目及び40時間目)はおさえられ
ていることから、システムに応答して血中薬物濃度をコ
ントロールできることがわかる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明の薬物放出制御用装置の概略
断面図を示し、第3図及び第4図は本発明の装置により
薬物の放出が制御されることを示す図である。 図中 5,14は薬物放出制御用膜、2,12は加熱部材、6,13
は薬物を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】疎水性高分子膜に非イオン性液晶形成性化
    合物を固定してなる薬物放出制御用膜と、加熱用部材と
    を有することを特徴とする薬物放出制御用装置。
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