JP2588215B2 - セラミックス焼結体 - Google Patents

セラミックス焼結体

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JP2588215B2 JP62247538A JP24753887A JP2588215B2 JP 2588215 B2 JP2588215 B2 JP 2588215B2 JP 62247538 A JP62247538 A JP 62247538A JP 24753887 A JP24753887 A JP 24753887A JP 2588215 B2 JP2588215 B2 JP 2588215B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、表面近傍部と内部との均質性に優れた窒化
ケイ素を主成分とするセラミックス焼結体に関する。
(従来の技術) 近年、窒化ケイ素を主成分とするセラミックス焼結体
は、高温強度や熱衝撃性等に優れているため、ガスター
ビン翼、エンジン用部材、各種温度センサの保護容器等
の耐熱エンジニアリング材料として注目を集めているほ
か、耐摩耗性にも優れていることからベアリング用転動
体等の摺動部材として、また溶融金属に対する耐食性が
優れていることから耐溶湯材料等、幅広い分野における
用途への応用が期待されている。
ところで、窒化ケイ素自身は焼結性が極めて悪く、こ
の窒化ケイ素を主成分とするセラミックス焼結体の製造
方法としては、現在のところ添加物による緻密化焼結、
窒化反応を利用する反応焼結に大別できる。これらの焼
結方法のうち、前者の添加物による緻密化焼結は、各種
の焼結方法と組合せての使用が可能であり、例えば窒化
ケイ素粉末に焼結助剤を添加した混合粉末を用いて、ス
リップキャスティング法、射出成形法、プレス法等の各
種の方法により形成したセラミックス成形体を常圧下や
雰囲気加圧下で焼結したり、ホットプレス法により成形
と焼結とを一工程で行う等、形状や用途に応じて各種方
法が利用されている。この緻密化焼結に使用される添加
物としては、Mg、Al、Y、Sc、La、Ce等の酸化物や窒化
物等が知られており、単独またはこれらの組合せにより
使用されている。これらの焼結助剤のうちでも、酸化イ
ットリウム−酸化アルミニウム系が焼結促進効果が高い
ことからよく用いられている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、上述した焼結助剤を使用した窒化ケイ
素の焼結法において、ホットプレス法を適用した場合、
モールド等として使用するカーボン治具からの有害雰囲
気による影響や離型剤として使用する窒化ホウ素と反応
して、得られる焼結体の表面に反応層が形成されるとい
う問題があった。これは、焼結時に微量生成する酸化ケ
イ素が表面より揮散し、窒化ホウ素や遊離カーボンと反
応するためと考えられる。この表面の反応層は灰白色〜
灰色を呈し、焼結体内部の黒色とは明らかに組成を異に
することがわかっている。そして、この表面反応層の存
在により、表面近傍部における機械的強度が低下した
り、さらには耐熱衝撃性が低下する等、各種の問題が生
じている。
このようにホットプレス法で得られる窒化ケイ素の焼
結体は表面に反応層が形成されてしまうため、均質なも
のとするためには表面近傍部をかなりの範囲にわたって
研削しなければならなかった。
また、常圧下や雰囲気加圧下における焼結法において
も、焼成時において使用するさや等によってホットプレ
ス法よりは反応量が少ないながらも表面に灰白色の反応
層が形成され、同様な問題が生じている。また、これら
の焼結方法は大型や複雑形状のものも焼成することが可
能であるという特徴を有していることから、焼結体の形
状によっては表面の研削が不可能な場合もあり、この表
面反応層の影響によって温度差が大きくその変化の時間
が短い激しい熱衝撃に対する耐久性が低下してしまうと
いう問題があった。
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたも
ので、表面に反応層が形成されることを極力防止し、表
面近傍部と内部との均質性が良好な窒化ケイ素を主成分
とするセラミックス焼結体を提供することを目的とす
る。
[発明の構成] (問題点を解決するための手段) 本発明のセラミックス焼結体は、焼結助剤として希土
類酸化物を1〜10重量%、酸化アルミニウム1〜10重量
%および酸化チタン0.1〜1重量%を含み、残部が実質
的に窒化ケイ素からなるセラミックス混合物を成形、焼
成してなることを特徴としている。
本発明に使用する希土類酸化物としては、酸化イット
リウム、酸化セリウム、酸化ネオジウム、酸化ランタン
等が例示され、これらの単体または混合物として用いら
れる。なお、これらの希土類酸化物は、加熱により酸化
物となる希土類化合物も適用できる。これらのうち特に
酸化イットリウムは得られる焼結体の結晶粒を長柱状に
し、高靭性化や高強度化に寄与するため好ましい。
これらの希土類酸化物および酸化アルミニウムは共に
液相を生じさせ焼結促進剤として寄与するものであり、
その添加量はそれぞれ全セラミックス混合物中の1〜10
重量%の範囲であり、この範囲において特に得られる焼
結体の機械的強度および耐熱衝撃性が優れたものとな
る。
また、本発明に使用する酸化チタンは、焼成時に生じ
る酸化ケイ素の揮散を防止し、反応層の形成を極力少な
くするとともに、焼成後は粒界にTi−N化合物等の形態
で析出し、焼結体の緻密化を促進して耐熱衝撃性の向上
に寄与するものである。この酸化チタンの添加量は全セ
ラミックス混合物中の0.1〜1重量%の範囲であり、こ
の添加量が0.1重量%未満では上述の効果が充分に得ら
れず、1重量%を超えて用いてもそれ以上の効果向上に
はつながらない。
これらの焼結助剤として添加する成分は、その合計量
で全セラミックス混合物中の20重量%以下の範囲である
ことが好ましい。この添加量が20重量%を超えると窒化
ケイ素本来の特性を損ねる可能性がある。
なお、これら焼結助剤としての成分の添加量は、その
焼結方法によって適宜選択されるものであり、例えばホ
ットプレス法による場合には、常圧下や雰囲気加圧下で
の焼結に比べて少量の添加で高密度でかつ高強度な焼結
体が得られ、酸化チタンの添加量も全セラミックス混合
物中の0.1〜1重量%程度の低添加量でその効果を充分
に発揮する。
本発明のセラミックス焼結体は、上記各組成分を所定
範囲内の組成比で含む混合物をまず所要の形状に成形
し、この成形体を不活性ガス雰囲気中による常圧下や加
圧下で1600℃〜1900℃程度の温度で焼成したり、あるい
は300〜500kg/cm2程度の圧力で、1600〜1900℃程度の温
度におけるホットプレス法によって得られる。また、熱
間静水圧焼結法(HIP)の併用等も有効である。
(作 用) 本発明の窒化ケイ素を主成分とするセラミックス焼結
体においては、焼結助剤として希土類酸化物および酸化
アルミニウムと併用して酸化チタンを使用しているの
で、例えば常圧下や雰囲気加圧下における焼結法によれ
ば、この酸化チタンが焼成時に生じる酸化ケイ素の揮散
を阻止し、反応層の形成を防止して表面近傍部と内部と
の均質性を向上させ、耐熱衝撃性に優れた表面も黒色の
セラミックス焼結体となる。また、ホットプレス法によ
る場合のように反応層が形成しやすい場合においても、
その形成厚さを極力少なくし、極僅かな研削量で均質な
ものが得られる。
(実施例) 以下、本発明を実施例によって説明する。
実施例1 平均粒径0.8μmの窒化ケイ素粉末92.75重量%、平均
粒径0.9μmの酸化イットリウム粉末5重量%、平均粒
径0.5μmの酸化アルミニウム粉末2重量%および平均
粒径0.2μmの酸化チタン粉末0.25重量%をボールミル
により約24時間混合して原料粉末を調整した。次いで、
この原料粉末100重量部に対してバインダ5重量部を添
加配合し、これを圧力400kg/cm2、温度1700℃の条件で
ホットプレスして62mm×36mm×5mmのセラミックス焼結
体を作製した。
このようにして得たセラミックス焼結体を用いて各種
特性を測定したところ、表面反応層の厚さ約100μm、
焼結体密度、3.246g/cm3、常温における抗折強度123kg/
mm2、1200℃における抗折強度60kg/mm2と各々良好な結
果が得られた。なお、表面反応層の厚さEPMAによる元素
分析により測定し、抗折強度は3点曲げ強度試験による
もので、試料サイズ3mm×4mm×40mm、試験条件はクロス
ヘッドスピード0.5mm/分、スパン30mm、各温度における
測定は、4回行いその平均値で示した。
実施例2、3 実施例1で使用した窒化ケイ素粉末、酸化イットリウ
ム粉末、酸化アルミニウム粉末および酸化チタン粉末を
それぞれ第1表に示す組成比で混合して原料粉末を調整
し、実施例1と同一条件でセラミックス焼結体を作製し
た。
このようにして得たセラミックス焼結体を用いて、実
施例1と同一条件で各種特性の測定を行った。その結果
も合せて第1表に示す。
なお、表中の比較例1は本発明との比較のために掲げ
たものであり、実施例1で使用した窒化ケイ素粉末、酸
化イットリウム粉末、酸化アルミニウム粉末を各々93重
量%、5重量%、2重量%で含有する原料粉末を用い
て、実施例1と同一条件で作製したセラミックス焼結体
である。
第1表の結果からも明らかなように、本発明のセラミ
ックス焼結体は機械的強度の低下もほとんどなく表面反
応層の形成量が極めて少なくなり、これにより極僅かな
研削量で強度に優れ均質なセラミックス焼結体が得られ
る。
これら実施例の結果から明らかのように、均質性の要
求されるベアリング用転動体やブロックゲージ等として
本発明のセラミックス焼結体を用いることにより、高品
質のものを低コストで得られる。
温度差が大きくその変化時間の短い激しい熱衝撃の加
わるような部材、例えば各種温度センサ用保護容器とし
て本発明のセラミックス焼結体を用いることにより、信
頼性に優れたものが得られる。
[発明の効果] 以上説明したように本発明のセラミックス焼結体によ
れば、焼結助剤として希土類酸化物および酸化アルミニ
ウムと併用して酸化チタンを用いているので、離型材と
して使用する窒化ホウ素や焼成雰囲気中の遊離カーボン
等との反応が極力防止され、反応層の形成が防止される
か、あるいは反応層が形成されても極めて少なくなり、
極僅かな研削量で表面近傍部と内部との均質性に優れ、
かつ耐熱衝撃性に優れた部材が得られる。
フロントページの続き (72)発明者 千葉 信行 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8 株式 会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 大田 博康 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8 株式 会社東芝横浜事業所内 (56)参考文献 特開 昭61−72684(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼結助剤として希土類酸化物を1〜10重量
    %、酸化アルミニウム1〜10重量%および酸化チタン0.
    1〜1重量%を含み、残部が実質的に窒化ケイ素からな
    るセラミックス混合物を成形、焼成してなることを特徴
    とするセラミックス焼結体。
  2. 【請求項2】焼成がホットプレス法による特許請求の範
    囲第1項記載のセラミックス焼結体。
JP62247538A 1987-09-30 1987-09-30 セラミックス焼結体 Expired - Lifetime JP2588215B2 (ja)

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