JP2526598B2 - 窒化ケイ素セラミックスの製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素セラミックスの製造方法

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一昭 清水
智彦 松田
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Description

【発明の詳細な説明】
発明の目的
【産業上の利用分野】
本発明は、窒化ケイ素セラミックスの製造方法の改良
に関する。
【従来の技術】
窒化ケイ素セラミックスすなわちSi3N4を主成分とす
る焼結体は、1900℃の高温に耐えるというすぐれた耐熱
性に加えて、熱膨脹係数が低く耐熱衝撃性が高いという
利点をもつ。従って、ディーゼルエンジンやガスタービ
ンのような、高温で高強度が必要なものの構造部品や、
耐食、耐摩耗部品への利用が試みられている。 焼結により窒化ケイ素セラミックスを製造する場合、
Si3N4は単独で焼結しにくいため、焼結助剤として稀土
類元素の酸化物や酸化マグネシウムなどを加えて成形
し、焼結することが行なわれている。必要に応じ、ホッ
トプレスやHIP(熱間静水圧プレス)も利用される。 しかし、これまでに得られた窒化ケイ素セラミックス
製品は、部品の部分により強度が異なり、均質とはいえ
ない。構造材料にとっては、常温や高温における強度も
さることながら、高度の均質性が重要であることはいう
までもない。
【発明が解決しようとする問題点】
本発明の目的は、窒化ケイ素セラミックスのもつ高い
耐熱性、耐熱衝撃性、常温および高温における高い強度
を生かし、構造部品として広汎な用途に適用できるよう
にするため、高度に均質な焼結体を与える窒化ケイ素セ
ラミックスの製造方法を提供することにある。 発明の構成
【問題点を解決するための手段】
上記の意図を達成する本発明の窒化ケイ素セラミック
スの製造方法は、Si3N4に添加物を加えて焼結すること
からなる窒化ケイ素セラミックスの製造方法において、
添加物として、Y2O3およびR2O3(RはLa系の稀土類元
素)の1種または2種以上、MgOとAl2O3とのスピネル型
の化合物MgAl2O4、Cr2O3、ならびにSiO2を使用すること
を特徴とする。 Si3N4は、α型結晶化率がなるべく高いもの、とく
に、90%以上のものが好ましい。 添加物の使用量は、重量で、Si3N4100部に対して、そ
れぞれつぎの範囲からえらぶのが好ましい。 Y2O3および(または)R2O3:3.0〜15.0部 MgAl2O4:3.0〜10.0部 Cr2O3:0.1〜1.0部 SiO2:0.1〜1.1部 Si3N4も、上記添加成分も、なるべく微粉末、とくに
平均粒径1μm以下のものを使用すると好結果が得られ
る。 粉末混合物の調製やグリーンの成形は、窒化ケイ素セ
ラミックスの製造において知られている技術に従えばよ
い。たとえば、各原料粉末をボールミルを用いて湿式で
混合し、乾燥後破砕して、30〜120μm程度の粒度分布
をもつように乾燥粉末を調整したものを、金型でプレス
する、といった手法である。焼結は、N2雰囲気中で、16
00〜1800℃の温度に30分間〜数時間加熱して行なう。代
表的には、常圧のN2気流中で1650℃内外に2時間ほど加
熱すればよい。
【作 用】
高強度の窒化ケイ素セラミックスを製造するひとつの
方法として、α−Si3N4にY2O3(またはCe2O3)、Al2O3
およびMgOからなる助剤を加えて焼結することが知られ
ている。しかし、この方法で製造したものは、強度は一
般にすぐれているが、製品により、また製品の部分によ
り強度にバラツキがあって均質性に欠けることが多い。 発明者らは、この改善を意図してバラツキの原因を追
求したところ、上記の焼結体内では結晶粒が柱状に成長
して強度を向上させているものの、粒径にバラツキが大
きいという事実を見出した。さらに検討の結果、焼結体
の内部と表面で添加物の存在量が異なること、すなわ
ち、内部から表面に向ってY2O3(またはCe2O3)およびM
gOが減少しており、それに伴ってSi3N4の結晶粒度がバ
ラつくことがわかった。また、Al2O3の結晶粒度も、内
部より表面またはそれに近い部分で粗大化していること
に気づいた。 添加物の粉末の粒子径や混合条件などを変えてみた
が、結果は同じであったことから、焼結時の高温により
Y2O3(またはCe2O3)およびMgOが揮発して、成形体の表
面およびそれに近い部分ほど失なわれることが、上記の
結晶粒度のバラツキ、ひいては不均質性をもたらすもの
と発明者らは結論した。 これを防ぐ対策を鋭意研究した結果、Y2O3(またはCe
2O3などのR2O3)に対して、MgOとAl2O3とをスピネル化
合物であるMgAl2O4の形で加え、さらにCr2O3およびSiO2
を添加して焼結すれば効果的であることを見出し、本発
明として提案したわけである。 各添加物は、それぞれの前記した下限値以上の量を添
加することによって、結晶粒度を微細かつ均一に保つ効
果が得られる。多量に加えても効果が飽和するし、セラ
ミックスの特性を損うに至るから、前記の上限値以内の
添加に止めるべきである。
【実 施 例】
表に示す原料を配合し(重量%)、ボールミルで湿式
混合して乾燥後、粉砕した。粒度を30〜120μmに調整
してから、金型プレスして圧粉成形体をつくった。これ
をN2気流中、1650℃で120分間加熱して焼結体とした。 得られた焼結体を、厚さ3mm×幅4mm×長さ40mmの寸法
に切り出し、三点曲げ試験を行ない、0.8cmワイブル係
数を算出した。それらの値を、あわせて表に示す。 結晶組織を顕微鏡観察したところ、本発明に従ったN
o.2〜4のサンプルは、従来技術によるNo.1のものにく
らべて、高度に均質であった。 発明の効果 本発明の製造方法によれば、高い耐熱性および強度に
加えて、高度に均質な窒化ケイ素焼結体が得られる。こ
のセラミックスは、ディーゼルエンジンやガスタービン
の構造材料、あるいは高速回転部に使用するボールベア
リングの材料として、とくに有用である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si3N4に添加物を加えて焼結することから
    なる窒化ケイ素セラミックスの製造方法において、添加
    物として、Y2O3およびR2O3(RはLa系の稀土類元素)の
    1種または2種以上、NgOとAl2O3とのスピネル型の化合
    物MgAl2O4、Cr2O3、ならびにSiO2を使用することを特徴
    とする製造方法。
  2. 【請求項2】α型結晶化率90%以上で平均粒径1μm以
    下のSi3N4粉末を使用する特許請求の範囲第1項記載の
    方法。
  3. 【請求項3】添加物の使用量を、重量で、Si3N4100部に
    対して、Y2O3および(または)R2O3:3.0〜15.0部、MgAl
    2O4:3.0〜10.0部、Cr2O3:0.1〜1.0部、SiO2:0.1〜1.0部
    の範囲からえらぶ特許請求の範囲第1項の製造方法。
  4. 【請求項4】焼結を、常圧のN2ガス雰囲気中で、1600〜
    1800℃の温度において行なう特許請求の範囲第1項の製
    造方法。
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JP3549239B2 (ja) * 1993-11-02 2004-08-04 光洋精工株式会社 転がり軸受
CN115677357B (zh) * 2022-11-10 2023-07-11 中国科学院上海硅酸盐研究所 一种高耐磨氮化硅陶瓷及其制备方法
WO2024195609A1 (ja) * 2023-03-22 2024-09-26 デンカ株式会社 窒化ケイ素粉末及びその製造方法、並びに、窒化ケイ素焼結体及びその製造方法

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