JP2587281Y2 - ミシンの糸切断装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本考案はミシンの糸切断装置に関
するものである。 【０００２】 【従来の技術】従来よりミシンの糸切断装置は種々の形
成のものが提案されているが、垂直全回転釜の外周に沿
って往復揺動運動させられる切断刃を備えた糸切断装置
では太糸を切断する際に切断刃が切断の為に移動した
後、糸を切断し損なって固定刃との間に糸が挟まったり
して初期位置に復帰出来ない現象が発生し、その為ミシ
ンの運転を再開すると落下する針が切断刃に衝突してい
ずれかの部品が破損するなどの事故の起きる問題があっ
た。 【０００３】 【考案が解決しようとする課題】本考案は、ミシンの糸
切断装置において糸切時に駆動される切断刃を強制的に
初期位置に復帰させ、該切断刃の復帰により切断刃の未
復帰時に生じる針と切断刃との衝突事故を回避する構造
のものを提供することを目的とするものである。 【０００４】 【課題を解決するための手段】本考案は、ミシン機枠に
回転自在に支持される駆動軸に設けられる糸切り駆動体
と、前記駆動軸の回転に連動するカマ軸に設けられる全
回転釜と、前記ミシン機枠に回動自在に支持される二又
腕と、前記駆動軸上に回転自在に支持される移動刃揺動
リンク体と、該移動刃揺動リンク体に支持される係合軸
に係合する前記糸切り駆動体に形成の第１腕部と、前記
移動刃揺動リンク体に連結され、かつ前記カマ軸を中心
として回動自在に支持される移動刃と、該移動刃と協働
して糸を切断する固定刃と、前記二又腕を支持する二又
腕軸に装着され移動した移動刃を初期位置に復帰させる
復帰ばねとを備えたミシンの糸切断装置において、前記
係合軸の外周部に当接して常には前記係合軸の軸方向の
摺動を阻止し端部をソレノイドに連結して糸切時に回動
せしめられるトリガ板と、前記係合軸の外周部に植立さ
れ、前記トリガ板の側面のカム部に圧縮ばねの作用によ
り押圧せしめられるトリガピンと、前記糸切り駆動体に
形成された第２腕部の回転運動軌跡内に入り前記移動刃
が糸切り駆動されたあと前記第２腕部により駆動せしめ
られる前記二又腕に設けられた解除ピンとを設けたこと
を特徴とするミシンの糸切断装置により解決することが
できる。 【０００５】 【作用】本考案は、ミシン機枠に回転自在に支持される
駆動軸に設けられる糸切り駆動体と、前記駆動軸の回転
に連動するカマ軸に設けられる全回転釜と、前記ミシン
機枠に回動自在に支持される二又腕と、前記駆動軸上に
回転自在に支持される移動刃揺動リンク体と、該移動刃
揺動リンク体に支持される係合軸に係合する前記糸切り
駆動体に形成の第１腕部と、前記移動刃揺動リンク体に
連結され、かつ前記カマ軸を中心として回動自在に支持
される移動刃と、該移動刃と協働して糸を切断する固定
刃と、前記二又腕を支持する二又腕軸に装着され移動し
た移動刃を初期位置に復帰させる復帰ばねとを備えたミ
シンの糸切断装置において、前記係合軸の外周部に当接
して常には前記係合軸の軸方向の摺動を阻止し端部をソ
レノイドに連結して糸切時に回動せしめられるトリガ板
と、前記係合軸の外周部に植立され、前記トリガ板の側
面のカム部に圧縮ばねの作用により押圧せしめられるト
リガピンと、前記糸切り駆動体に形成された第２腕部の
回転運動軌跡内に入り前記移動刃が糸切り駆動されたあ
と前記第２腕部により駆動せしめられる前記二又腕に設
けられた解除ピンとを設け、移動刃が移動され固定刃と
の間に糸が挟まって復帰ばねのみでは初期位置に復帰不
可能の際に糸切り駆動体の第２腕部が二又腕と一体の解
除ピンを押圧することにより移動刃を固定刃の位置から
強制的に戻し復帰ばねの作用にて初期位置に戻らせるこ
とを特徴とする。 【０００６】 【実施例】本考案の実施例の構造を図面により述べる
と、駆動軸１はミシンのベッド機枠に回転可能に支持さ
れており、該駆動軸には調車２がネジ等にて固着されて
おり、該調車には電動機(図示せず)により回転せしめら
れる他の駆動軸(図示せず)に固着された調車(図示せず)
との間にベルト３が懸装されている。 【０００７】前記駆動軸１には駆動歯車４及び糸切り駆
動体５が夫々固着されており、Ａ矢方向に回転せしめら
れる。前記駆動軸１上の駆動歯車４と糸切駆動体５の間
には移動刃揺動リンク体６が回転自在に嵌装されてい
る。 【０００８】前記駆動軸１に平行にベッド機枠に回転自
在に支持されるカマ軸７には前記歯車４に噛合のカマ軸
歯車８が固着されており、前記カマ軸７の端部には内部
に下糸を巻いたボビン(図示せず)を収容する全回転釜９
が固着されている。 【０００９】前記カマ軸７を回転自在に支持する為にベ
ッド機枠Ｋに固着された軸受メタル１０の同軸心上に一
体に形成された軸部１１にはリング状の移動刃台１２が
回転自在に嵌装されており、該移動刃台の外周部にＬ字
状に形成の取付部１３には移動刃１４がねじで固着され
ている。 【００１０】ベッド機枠には針板１５が固着され、該針
板に形成された針穴１６の付近には糸切断用の固定刃１
７が設けられ、前記移動刃１４と協働して前記針穴１６
を貫通して針板上に延びる糸を切断する。 【００１１】前記移動刃揺動リンク体６には前記駆動軸
１の軸心から適宜の半径方向の距離の位置に連結ピン１
８が設けられており、該連結ピンには連結桿１９の一端
が連結され、該連結桿の他端は前記移動刃台１２に一体
的に形成の腕部２０に連結している。 【００１２】又、前記移動刃揺動リンク体６の適宜の位
置には駆動軸１の軸心から放射状に延びる長穴２１が形
成されている。前記ベッド機枠には前記駆動軸１に平行
な状態に設けられた二又腕軸２２が固着されており、該
二又腕軸にはカラー２３及び二又腕２４が回動自在に並
設されている。 【００１３】該二又腕は前記二又腕軸２２の長さ方向に
適宜間隔をおいて平行な腕板２５、２５が一体的に設け
られていて、該腕板には夫々に貫通する軸穴２６、２６
及び２７、２７が設けられており、一方の腕板から解除
腕２８が延出している。 【００１４】前記二又腕２４の前記二又腕軸２２が嵌装
する軸穴２６、２６から適宜離れた軸穴２７、２７には
両腕板２５、２５の間に延出する前記移動刃揺動リンク
体６の長穴２１内を貫通し、軸方向にのみ摺動可能で回
転が阻止される係合軸２９が支持されている。 【００１５】該係合軸は前記腕板２５より外側に突出し
ている部分にはトリガーピン３０が軸方向に対し直角な
方向に植立されており、又平行な腕板２５、２５間の部
分には抜止メリング３１が装着されており、該抜止リン
グと前記腕板２５との間の外周部には圧縮ばね３２が装
着されていて該圧縮ばねの作用により前記係合軸２９が
Ｂ矢方向に付勢されており(図１参照)、且つ平行な腕板
２５、２５間においては前記移動刃揺動リンク体６に形
成された長穴２１に貫通されている。 【００１６】前記二又腕軸２２には復帰ばね３３が装着
され、該復帰ばねの一端３４は前記二又腕２４の解除腕
２８に係止し、該二又腕を常にＣ矢方向に回動するよう
付勢している(図２)。 【００１７】前記ベッド機枠には前記二又腕軸２２に平
行な状態に支持されるトリガー板軸３５が設けられてお
り、該トリガー板軸の外周にはトリガー板３６が回動自
在に装着されている。 【００１８】該トリガー板の一端には切欠部３７が設け
られ、該切欠部にトリガーばね３８の一端を係止し、該
ばねの作用により前記二又腕２４に支持された係合軸２
９の外周に押圧されており、又側面にカム部３９が形成
され、該カム部には前記係合軸２９に当接している状態
では係合軸２９に植立するトリガーピン３０が押圧され
ており、トリガー板の他端４０にはベッド機枠に支持さ
れた糸切りソレノイド４１のプランジャー４２に連結し
たロッド４３の端部が連結されている。 【００１９】前記トリガーばね３８は前記二又腕軸２２
に支持されたカラー２３の外周上に装着されている。 【００２０】前記駆動軸１の端部に固着された糸切り駆
動体５には、一方に前記二又腕２４に支持される係合軸
２９が摺動されたとき該係合軸に係合する第１腕部４４
が設けられており、他方に前記二又腕２４が復帰ばね３
３の作用に抗して回動されたとき二又腕２４の解除腕２
８に突設の解除ピン４５に当接する第２腕部４６が設け
られている。 【００２１】本考案は以上の如き構造をしているので、
前記駆動軸１が駆動歯車４をＡ方向に回転させると、駆
動歯車４とカマ軸歯車８との噛合回転を介してカマ軸７
が回転し全回転釜９が回転せしめられる。 【００２２】該全回転釜の回転に同調して、他の駆動軸
により針棒及び針(図示せず)が往復運動せしめられ、該
針と全回転釜との協働により縫目が形成せしめられる。
縫成の終了時又は中断して糸を切断したい場合にミシン
を運転停止すると上下死点定位置停止装置により、針が
上死点か下死点のいずれかの位置で停止せしめられる。 【００２３】次に糸切りスイッチを操作すると、既に停
止している針の位置が上死点であればミシンは低速度で
半回転し下死点の位置で前記ソレノイド４１が駆動し、
又針の停止位置が下死点であればミシンが低速度で回転
するのと平行して前記ソレノイド４１が駆動する。 【００２４】該ソレノイドが駆動すると連結ロッド４３
がＤ矢方向に牽引されるので(図１参照)前記トリガー板
３６がトリガーばね３８の作用に抗して回動され係合軸
２９の外周から離反せしめられる。 【００２５】係合軸２９は、トリガー板３６が係合軸２
９から離反することによりトリガー板３６の側面に当接
するトリガーピン３０の押圧で停められていた係合軸２
９の軸方向（図１のＢ矢方向）の動きが解放されてＢ矢
方向へ摺動する。従って、係合軸２９は該係合軸に装着
された抜止リング３１が前記駆動軸１に支持された移動
刃揺動リンク体６の側面に当接して停められる。具体的
には、係合軸２９に装着の抜止リング３１が図４におけ
る実線の位置から２点鎖線の位置に移動する。 【００２６】前記係合軸２９は、Ｂ矢方向（図１参照）
の摺動により該係合軸の端部が前記駆動軸１に固着され
る糸切り駆動体５の回転運動軌跡内に、図４の２点鎖線
に示す如く侵入するので、糸切り駆動体５に設けられた
腕部４４の回転力を受けて押圧される。従って、係合軸
２９は二又腕軸２２を中心として回動され、さらに、係
合軸２９が貫通している長穴２１内の側面を介して移動
刃揺動リンク体６を回動する。従って、該移動刃揺動リ
ンク体は連結する連結桿１９を介して移動刃１４を固定
している移動刃台１２を回動せしめる。この係合軸２９
が軸方向に対して直角の方向に回動される時点では前記
ソレノイド４１の励磁が自動的に切れるようにされてい
るので、トリガー板３６はばね３８の作用により再び係
合軸２９の外周に当接しようとするが、既に軸方向に移
動した係合軸２９のトリガーピン３０により回動が阻止
される。（トリガーピンは図５の３０ｂの位置に移動さ
れている） 【００２７】前記糸切り駆動体５の回動動作に平行して
ミシン針も駆動され下死点位置から上死点位置に低速で
運転され停止せしめられる。 【００２８】前記移動刃１４は回動される時ミシン機枠
に固定される固定刃１７との協働により釜内から針板１
５の針穴１６を通して引き出された状態の下糸と釜に捕
捉された上糸とを適宜な位相にて切断する。 【００２９】糸が切断されたあとも糸切り駆動体５の回
転が続くから前記係合軸２９が糸切り駆動体５の腕部４
４から外れる為、前記係合軸２９を支持している二又腕
２４は解除腕２８に係止する復帰ばね３３の作用により
駆動する前の位置に戻らされる。この時、係合軸２９の
トリガーピン３０は図５の３０cの位置に移っているの
でトリガー板３６は係合軸２９の外周に押圧されてい
る。 【００３０】二又腕２４が初期位置に戻るのに連動し
て、係合軸２９、移動刃揺動リンク体６、連結桿１９、
移動刃１４も夫々初期位置に戻らされる。更に前記係合
軸２９は初期位置に戻らされる際、トリガー板３６の側
面カム３９に当接せしめられる為、図５の３０dを経て
圧縮ばね３２の作用に抗して軸方向の初期位置３０aに
戻らされる。 【００３１】尚、糸切断の際、太糸切断時に起き勝ちな
両切断刃間に糸が挟まって復帰ばねの作用力では初期位
置に戻らぬ状態では駆動軸１に固着して駆動されている
糸切り駆動体５に設けられた第２腕部４６が前記二又腕
２４と一体に形成の解除腕２８に設けられた解除ピン４
５に図３のＤ矢方向に当接して解除ピン４５をＥ矢方向
に回動させる為、二又腕２４等を介して移動刃１４が初
期位置の方向に回動されるので固定刃との間に挟まって
いた障害物が取り除かれることにより復帰ばね３３の作
用を受け二又腕２４等の連結している全機構が初期位置
に戻らされることになる。 【００３２】 【効果】本考案は、以上の如き構造及び作用をなすもの
であるから、糸切操作部の操作により係合軸２９の軸方
向の摺動を停止しているトリガー板３６を回動せしめ、
引き続いて自動的に行われる駆動軸１の回転に連動する
糸切り駆動体５の回転運動軌跡内に前記係合軸２９の一
端を侵入せしめることにより係合軸２９を支持する二又
腕２４及び移動刃揺動リンク６等の回動を介して移動刃
１４を回動して糸の切断を行い、糸の切断後復帰ばねの
作用、又は復帰ばねの作用が不十分の場合には糸切り駆
動体５の第２腕部４６の駆動により前記二又腕２４を初
期位置へ戻すようにしたものであり、殊に切断刃に糸詰
まり等により負荷がかかった際、初期位置へ戻す装置と
して糸切り駆動体の腕部により二又腕の解除腕の解除ピ
ンを回動させる構造は極めて簡単であり、実用上効果大
なるものである。

【図面の簡単な説明】 図面は本考案の実施例を示すものにして、図１は本考案
装置の分解斜視図、図２は本考案装置の要部の糸切断前
の側面図、図３は本考案装置の要部の糸切断後の側面
図、図４は本考案装置の底面図、図５は本考案装置の要
部の底面図、図６は本考案装置の移動メスの位相を示す
図である。 １…駆動軸 ５…糸切り駆動体 ６…移動刃揺動リンク体 ７…カマ軸 ９…全回転釜 １４…移動刃 １７…固定刃 ２２…二又腕軸 ２４…二又腕 ２９…係合軸 ３０…トリガーピン ３３…復帰ばね ３６…トリガー板 ４１…ソレノイド ４４…第１腕部 ４５…解除ピン ４６…第２腕部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) D05B 65/02

Claims (1)

1. (57)【実用新案登録請求の範囲】 ミシン機枠に回転自在に支持される駆動軸１に設けられ
   る糸切り駆動体５と、前記駆動軸１の回転に連動するカ
   マ軸７に設けられる全回転釜９と、前記ミシン機枠に回
   動自在に支持される二又腕２４と、前記駆動軸１上に回
   転自在に支持される移動刃揺動リンク体６と、該移動刃
   揺動リンク体に支持される係合軸２９に係合する前記糸
   切り駆動体５に形成の第１腕部４４と、前記移動刃揺動
   リンク体６に連結され、かつ前記カマ軸７を中心として
   回動自在に支持される移動刃１４と、該移動刃と協働し
   て糸を切断する固定刃１７と、前記二又腕２４を支持す
   る二又腕軸２２に装着され移動した移動刃１４を初期位
   置に復帰させる復帰ばね３３とを備えたミシンの糸切断
   装置において、前記係合軸２９の外周部に当接して常に
   は前記係合軸２９の軸方向の摺動を阻止し端部をソレノ
   イド４１に連結して糸切時に回動せしめられるトリガ板
   ３６と、前記係合軸２９の外周部に植立され、前記トリ
   ガ板３６の側面のカム部３９に圧縮ばね３６の作用によ
   り押圧せしめられるトリガピン３０と、前記糸切り駆動
   体５に形成された第２腕部４６の回転運動軌跡内に入り
   前記移動刃１４が糸切り駆動されたあと前記第２腕部４
   ６により駆動せしめられる前記二又腕２４に設けられた
   解除ピン４５とを設けることを特徴とするミシンの糸切
   断装置。