JP2586660Y2 - 印刷装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は印刷装置に関し、特に長
尺のプラスチック押出成形品等、移送されている被印刷
物の表面に連続的に印刷を施すのに好適な印刷装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】合成樹脂管、雨樋、床材等、プラスチッ
ク押出成形品のような、移送されている長尺体（被印刷
物）の表面に、規格、サイズ、商品名、製造者名、ロッ
ト番号等の重要な事項を印刷することが行われている。
特にＪＩＳ等の公的規格を取得した製品の場合には、上
記のような表示が明瞭になされていることが義務づけら
れている。

【０００３】このような印刷は、通常、インク壺からイ
ンクロールで掬ったインクを、タイプホイールの面に固
定された、マークや印字等が刻設された金属製の版に塗
着し、次いで版に塗着されたインクをゴム等の弾性材よ
りなる印刷ロールの表面に転写し、更に印刷ロールをそ
の周速と同じ線速度で移動する長尺体の表面に圧接して
インクを転写し印刷する方法、あるいは、所定のマーク
や印字等が刻設された金属製の版をタイプホイールの表
面に固定しておいて電熱等で加熱し、長尺体とタイプホ
イールの表面の間に挟まれて移動する印刷用リボンに押
し当てて、インクを熱溶融して印刷する方法等によって
行われている。

【０００４】このような長尺体の印刷においては、イン
クの品質不良、インクの付き不良、印刷リボンの供給不
良、版の欠陥、その他の原因によって、印刷の不鮮明、
印刷の汚れ、その他のトラブルが発生することがある。
しかるに、従来は、生産開始時あるいは日付けやロット
番号を変更した場合等には印刷状態をチェックし、印刷
の不良が発見されれば必要な処置が取られているもの
の、平常運転中は印刷状態を監視することはほとんどな
く、製品の検査時に印刷の不良が発見されることが多か
った。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかし、印刷表示の良
否は製品々質の良否をあらわすという認識が浸透してき
た今日、また特に表示を義務づけられているような印刷
の場合においては、所定通りの印刷が明瞭になされてい
ることが要求される。従って、製品の検査時に印刷表示
の不良が発見されるのでは遅すぎ、印刷の不良は、これ
を一刻も早く発見して対策を講じることが肝要であっ
て、そのためには印刷状態を常時監視できるようにして
おかなければならない。

【０００６】ところで、一方、今日では無人運転に近い
状態まで生産の自動化が進んでいることが多く、このた
め作業者が生産ラインを巡回しながら肉眼で印刷状態の
点検を綿密に行うことはほとんどない。また、印刷がな
される位置はスペースも狭いために、肉眼での監視が困
難である。

【０００７】他方、印刷状態を明瞭に監視し判定しよう
とすると、目の位置を常に最も見やすい一定の位置（特
に印刷面から監視位置までの高さ）に固定して監視する
ことが肝要であって、そのためには、生産される（従っ
て印刷を施される）製品の形状やサイズが変わる場合、
それに伴って監視する位置を上下しなければならず、殊
に狭い印刷装置の周辺では困難を伴う。

【０００８】本考案は、上記のような従来技術及び現状
での問題点に鑑みてなされたものであって、このような
問題点を解決し、印刷された表示を常に一定の位置から
監視でき、しかも製品の形状やサイズの変更にも容易に
対応できるような印刷装置を提供することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本考案の印刷装置は、移送されている被印刷物の
表面に印刷ロールを押し当てて印刷を施す印刷装置であ
って、印刷ロールを搭載する印刷機架台と被印刷物を支
持する支持ロールの高さが支柱上で別々に調節可能とな
されており、前記印刷機架台には、印刷ロールの後方に
近接して、印刷状態の監視装置が固定されて、被印刷物
の表面と監視装置の間隔が一定に保たれていることを要
旨とする。

【００１０】本考案に使用される監視装置は、純光学的
に像を捉えるものあるいは光学的に捉えた像を電気信号
・電子信号に変換するもの、人の知覚で判断するものあ
るいはコンピュータ等によって判断するもの等、特に制
限されないが、狭いスペースに設置可能で、且つ高い解
像度を有するものが好ましい。なお、監視装置とは、像
を捉える「センサー」部のみであってもよい。

【作用】本考案の印刷装置は、印刷を行うための印刷ロ
ールが搭載されている印刷機架台に、印刷ロールの後方
に近接して印刷の監視装置が固定されて、被印刷物の表
面と監視装置の間隔が一定に保たれているので、印刷が
施された結果をその直後に監視することができ、印刷の
不良が見出だされると直ちに必要な対策を講じることが
できる。

【００１１】また、印刷機架台と被印刷物を支持する支
持ロールは支柱上で別々に高さを調節することができる
ので、例えば、高さ調節装置のハンドルを回転させて上
下させる等の簡単な操作を行うことによって、被印刷物
の形状やサイズに適した高さに支持ロール及び印刷機架
台を調節して支持することができるとともに、印刷機架
台上での監視装置の位置を調節する必要なしに、被印刷
物の表面と監視装置の間隔を常に一定に保つことができ
る。

【００１２】

【実施例】以下、本考案の印刷装置の実施例について、
図面を参照して説明する。図１は本考案実施例の印刷装
置の構成を示す概略説明図であって、合成樹脂管の押出
成形ラインでの使用状態を示す。

【００１３】図１に示すように、印刷装置１の支柱２に
は、上方側に印刷機架台３、下方側に支持ロール９が支
持されている。そして、印刷機架台３と支持ロール９
は、支柱２とピニオンとラック、ウオームとウオームホ
イール等の駆動機構によって連結されていて、それぞれ
ハンドル１０あるいは１１を左右方向に回転させること
によって上下方向に移動し、高さが調節可能となされて
いる。

【００１４】印刷機架台３には、インクロール４、タイ
プホイール５、印刷ロール（転写ロール）６、インク壺
７、ドクターナイフ８等、印刷を行うための本体部分が
搭載されている。

【００１５】また、印刷機架台３には、印刷ロール６の
すぐ後方、即ち印刷位置のすぐ後方に、印刷状態を監視
する監視装置のセンサー１２が固定されて、被印刷物の
表面とセンサー１２の間隔が一定に保たれている。な
お、上記実施例における最適検出距離（センサー１２と
印刷部の最適間隔）は、７０ｍｍである。

【００１６】次に、上記のように構成された印刷装置１
の作動について説明する。図示しない押出機で押出さ
れ、図示しない引取機によって矢印Ａのように左側から
右方へ移送される合成樹脂管Ｐの外面に、引取機の後方
（但し前方でもよい）に設置された印刷装置１によって
必要な印刷を施す。

【００１７】押出状態が正常に落ち着いた状態で、ハン
ドル１１を操作して支持ロール９を上下方向に調節し、
合成樹脂管Ｐを正しく押出成形ラインの高さに支持させ
る。次いでハンドル１０を操作して印刷機架台３を上下
方向に調節し、印刷ロール６を合成樹脂管Ｐの外面の中
心線上に接触させると、印刷ロール６は移送される合成
樹脂管Ｐによって駆動され、印刷ロール６と接触してい
るタイプホイール５、タイプホイール５と接触している
インクロール４が同時に駆動される。

【００１８】その結果、インク壺７内のインクはインク
ロール４に付着して掬い上げられ、ドクターナイフ８に
よって適切な塗布厚に掻き取られ、タイプホイール５の
表面に固定されている版に移され、更に印刷ロール６の
外周に設けられたゴム製のブランケット面に転写され、
ブランケット面から合成樹脂管Ｐの外面の真上に転写さ
れ、印刷が施される。

【００１９】合成樹脂管Ｐの外面に施されたマークや印
字等の印刷は、合成樹脂管Ｐの移動によって、印刷ロー
ル６のすぐ後方に設置されているセンサー１２によって
直ち受像され、判断されて、必要な処置が取られる。

【００２０】製品の種類、あるいはサイズが変更される
と、通常、印刷ロール６（従って印刷機架台３）の高
さ、及び支持ロール９の高さを変更するが、センサー１
２は印刷機架台３に固定されていて、印刷ロール６と同
時に同じ距離平行移動するだけであるから、印刷位置に
対するセンサー１２の相対的位置（特に監視装置１２の
印刷面からの高さｈ）は変わらず、従って印刷機架台３
上で監視装置１２の位置を調節する煩わしさがない。

【００２１】なお、センサー１２で検出した結果は、ケ
ーブル、光ファイバー等の伝送手段１３によって判断部
１４に伝送し、調整部１５から判断部１４に与えられて
いた設定値、例えば正常状態での一連の印刷時間のパタ
ーン（印刷のかすれ、印刷欠落の場合には時間パターン
が相違する）、文字パターン、色の濃淡等と比較し、マ
イクロコンピュータ等の演算部１６で演算して、異常が
あれば警報装置１８の警報を鳴らす、監視室のモニター
装置１９に表示する等によって異常を知ることができ
る。また、より簡単な方法としては、モニター装置１９
に印刷状態の映像を写し出し、作業者が一括監視、判断
してもよい。

【００２２】

【考案の効果】以上の説明から明らかなように、本考案
の印刷装置は、印刷ロールが搭載されている印刷機架台
に、印刷ロールの後方に近接して印刷の監視装置が固定
されて、被印刷物の表面と監視装置の間隔が一定に保た
れているので、印刷された結果を直ちに監視することが
できる。

【００２３】また、印刷機架台と被印刷物を支持する支
持ロールが支柱上で別々に高さを調節することが容易で
あり、被印刷物の形状やサイズに適した高さに支持ロー
ルを調節して支持することができ、且つ、煩雑な調節を
要することなく被印刷物の表面と印刷の監視装置の間隔
を常に一定に保つことができるので、印刷結果を常に鮮
明に捉えることが容易であり、印刷の品質向上を効果的
に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例の構成及び使用態様を示す説明
図。

【符号の説明】

１ 印刷装置 ２ 支柱 ３ 印刷機架台 ６ 印刷ロール ９ 支持ロール 12 監視装置（センサー）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B41F 17/10 B41F 33/14 H01B 13/00 529

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 移送されている被印刷物の表面に印刷ロ
   ールを押し当てて印刷を施す印刷装置であって、印刷ロ
   ールを搭載する印刷機架台と被印刷物を支持する支持ロ
   ールの高さが支柱上で別々に調節可能となされており、
   前記印刷機架台には、印刷ロールの後方に近接して、印
   刷状態の監視装置が固定されて、被印刷物の表面と監視
   装置の間隔が一定に保たれていることを特徴とする印刷
   装置。