JP2585863B2 - 光選択吸収膜付カラ―陰極線管 - Google Patents

光選択吸収膜付カラ―陰極線管

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JP2585863B2
JP2585863B2 JP2404399A JP40439990A JP2585863B2 JP 2585863 B2 JP2585863 B2 JP 2585863B2 JP 2404399 A JP2404399 A JP 2404399A JP 40439990 A JP40439990 A JP 40439990A JP 2585863 B2 JP2585863 B2 JP 2585863B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフェース・プレート部に
光選択吸収膜を形成した光選択吸収膜付カラー陰極線管
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カラー陰極線管の大型化および輝
度性能やフオーカス性能の改善にともない、陰極線管の
蛍光面に印加する電圧、すなわち電子ビームの加速電圧
が高くなってきている。たとえば、21型クラスの従来の
カラー陰極線管では、蛍光面に印加する電圧は25〜27kV
程度であったが、最近の30型以上のカラー陰極線管では
その蛍光面に30〜34kVもの高電圧が印加される。そのた
め、とくにテレビセットの電源のON−OFF時にカラ
ー陰極線管のフェース・プレート部の外表面がチャージ
アップし、フェース・プレート部の外表面に空気中の細
かいゴミが付着して汚れが目立ちやすくなり、結果とし
てカラー陰極線管の輝度性能を劣化させる原因になって
いる。また、チャージアップしたフェース・プレート部
の外表面に観視者が近付いたときに放電現象が起こり、
観視者に不快感を与える不都合もある。
【0003】図4は陰極線管のフェース・プレート部の
表面電位の変化を示すグラフであり、図中、(L) は電源
ONのときの表面電位の変化曲線であり(L1)は電源OF
Fのときの表面電位の変化曲線である。
【0004】このような陰極線管のフェース・プレート
部の外表面のチャージアップ現象をなくすために、陰極
線管のフェース・プレート部の外表面に平滑な透明導電
膜を形成してチャージをアースへ逃がすようにした帯電
防止処理型陰極線管が近年使用されるようになってきて
いる。
【0005】図5は前記帯電防止処理型陰極線管(3) の
帯電防止原理の説明図であり、図中(6) は電子銃(図示
を省略)を内蔵したネック部、(7) は偏向ヨーク、(13)
はファンネル部、(4) はフェース・プレート部、(5) は
高圧ボタンであり、前記偏向ヨーク(7) はリード線(7a)
を介して偏向電源に接続されており、電子銃はリード線
(6a)を介して駆動電源に接続されており、また高圧ボタ
ン(5)はリード線(5a)を介して高圧電源に接続されてい
る。
【0006】前記構成の陰極線管においては、ネック部
(6) に内蔵されている電子銃から発せられた電子線は偏
向ヨーク(7) により陰極線管の外部から電磁的に偏向せ
しめられ、一方、高圧ボタン(5) を介してフェース・プ
レート部(4) の内面に設けられた蛍光面に高い電圧が印
加せしめられる。これにより、前記電子線が加速され、
そのエネルギーにより蛍光面が励起発光し、光出力が取
出される。通常はこのフェース・プレート部(4) の内面
の蛍光面に印加される高電圧の影響で、前述のようにフ
ェース・プレート部(4)の外表面の電位が変化して、ゴ
ミの付着などの弊害が生じるのであるが、図5の帯電防
止処理型陰極線管では、フェース・プレート部(4) の外
表面に平滑な透明導電膜(1) を形成し、この透明導電膜
(1)をアースに落すことにより、チャージを常にアース
へ逃がしてチャージアップを防ぐようにしている。
【0007】ところで、この帯電防止処理型陰極線管
(3) では、フェース・プレート部(4)の外表面に形成し
た透明導電膜(1) をアースに落すために、図5に示すよ
うに、フェース・プレート部(4) の側壁部に巻付けた金
属製防爆バンド(8) と透明導電膜(1) との間を導電性テ
ープ(12)により導通させる。金属製防爆バンド(8) は取
り付け耳(9) に引っかけたアース線(10)によりアース(1
0A) に接合されているので、透明導電膜(1)をアースに
落すことは容易に可能となる。
【0008】図4中の曲線(M) および(M1)は、フェース
・プレート部(4) の外表面に平滑な透明導電膜(1) を形
成した帯電防止処理型陰極線管(3)の電源 ON−OF
F 時のフェース・プレート部の外表面の電位変化を示
すものであり、従来よりも大幅にチャージアップが小さ
くなっていることがわかる。
【0009】前記フェース・プレート部(4) の表面に形
成される平滑な透明導電膜(1) は、ある程度の硬さと接
着性が要求されることから、一般にシリカ(SiO2
系の膜が形成されている。
【0010】従来、このシリカ系の平滑な透明導電膜
(1) を形成する方法の一つとして、官能基として−OH
基、−OR基(Rはアルキル基を示す)などを有するシ
リコンアルコキシドのアルコール溶液を陰極線管のフェ
ース・プレート部(4) の外表面にスピンコート法などで
均一かつ平滑に塗布したのち、比較的低温、たとえば10
0℃以下で焼付け処理を行なう方法が用いられている。
このような方法で形成される平滑な透明導電膜(1)は多
孔質であり、しかもシラノール基
【化1】 (≡Si−OH) を有しているので、空気中の水分を吸着して表面抵抗を
下げることができる。焼付け処理を比較的低温で行なう
のは、高温で行なうとシラノール基の−OHがなくなる
うえに、多孔質の膜中に取り込まれている水分もなくな
るので表面抵抗値があがってしまい、所定どおりの導電
性がえられなくなるからである。
【0011】しかしながら、前記焼付け処理を比較的低
温で行なうと膜の強度はあまり強くならない。また、陰
極線管を乾燥した環境下で長く使用すると、多孔質膜中
の水分が抜けてしまい、表面抵抗値も経時的に上昇す
る。この多孔質膜中の水分はいったん抜けると、つぎに
入り込むのは困難である。
【0012】以上のように、従来の平滑な透明導電膜
(1) は、膜強度および抵抗値の経時的な安定度の面で大
きな欠点を有している。また、このような欠点を改善す
るために、前記塗液中のアルコキシド構造にZr(ジルコ
ニウム)などの金属原子を結合させて導電性を付与する
ことも行なわれているが、大幅な改善を期待することは
できない。
【0013】これらを根本的に解決しうる別の方法とし
て、前記シリコンアルコキシドのアルコール溶液中に、
導電性フィラーとしてSnO2 (酸化スズ)やIn23
(酸化インジウム)の微粒子を混合分散させ、さらに半
導体的性質を付与するために微量のP(リン)またはS
b(アンチモン)を加えた塗液を用いて、陰極線管のフ
ェース・プレート部(4) の外表面に従来と同様にスピン
コート法などの方法によって均一かつ平滑に塗布して比
較的高い温度(たとえば、100 〜200 ℃)で焼付け処理
を行なうという方法がある。この方法を用いると膜強度
が強く、かつどのような環境下でも抵抗値が経時的に変
化しない平滑な透明導電膜(1) をうることができる。
【0014】従来からこのような方法によりカラー陰極
線管の帯電防止処理が行なわれているが、最近のカラー
テレビの高画質化への強い要求に対処するために、この
透明導電膜(1) を着色してカラー陰極線管のコントラス
トや発光色調の改善をも合わせて行なう方法が実用化さ
れ始めている。
【0015】すなわち、従来の透明導電膜(1) をうるた
めの塗液をベース塗料とし、その中に有機系または無機
系の染料を混合して着色して光選択吸収塗液を調製し、
従来と同様のスピン・コート法などの方法によりカラー
陰極線管のフェース・プレート部外面に塗布・成膜し
て、帯電防止機能を有する光選択吸収膜付カラー陰極線
管を製造することが行なわれている。図6は帯電防止型
光選択吸収膜(2)を有する帯電防止処理型光選択吸収膜
付カラー陰極線管(11)の原理の説明図であり、帯電防
止型光選択吸収膜(2) 以外は図5で示した帯電防止処理
型陰極線管(3) と全く同じである。
【0016】図3はこのような従来の帯電防止処理型光
選択吸収膜(2) の光学特性を示すグラフである。図中、
(B) はカラー陰極線管の蛍光面の青色発光の硫化物系蛍
光体(たとえばZnS:Ag(銀付活硫化亜鉛)蛍光
体)の相対発光強度のスペクトル分布を示し、約450nm
に主スペクトル波長を有する。(G) は緑色発光の硫化物
系蛍光体(たとえばZnS:Au,Cu,Al(金、
、アルミニウム共付活硫化亜鉛)蛍光体)の相対発光
強度のスペクトル分布を示し、約535nm に主スペクトル
波長を有する。(R)は赤色発光の希土類系蛍光体(たと
えばY22 S:Eu(ユーロピウム付活酸硫化イット
リウム)蛍光体)の相対発光強度のスペクトル分布を示
し、約 626nmに主スペクトル波長を有する。
【0017】また、(II)および (III)はカラー陰極線管
の蛍光面が形成されているフェース・プレートの分光透
過率分布を示すものであり、(II)は可視光領域の分光透
過率が約85%のクリアー・タイプ、(III) は50%のテイ
ント・タイプのフェース・プレート の分光透過率分布
を示す。
【0018】フェース・プレートの分光透過率が低いほ
ど、カラー陰極線管の蛍光面の輝度性能としては不利に
なることは(B)(G)(R)の蛍光体の相対発光強度のスペク
トル分布との関係より明らかであるが、カラー陰極線管
の蛍光面に入射する外光を有効に除去しうるのでコント
ラス性能上は有利となり、最近のカラー・テレビの画質
重視の傾向とともに現在はテイント・タイプのフェース
・プレートが多く使用されている。
【0019】図3の(I) はさらにコントラスト性能をあ
げるために、前述したごとくフェース・プレートの外面
に形成された従来の帯電防止処理型光選択吸収膜(2) の
分光透過率分布の一例を示す。(G)(R)の相対発光強度の
スペクトル分布の主スペクトル波長間 535〜626nm のう
ちこの主スペクトル波長に近い部分にこの帯電防止処理
型光選択吸収膜(2) の吸収ピーク(A1)があるとカラー陰
極線管の蛍光面の輝度性能上に不利となるので、この吸
収帯の半値巾なども考慮して、通常 570〜610nmの範囲
に吸収帯の吸収ピーク(A1)が置かれている。この範囲の
波長の光は人間の目の視感度の比較的高い領域と一致す
るので、外光(白色光)成分のうち、この領域の光が吸
収、除去されるのはコントラスト性能上好ましい。
【0020】このように、従来の帯電防止処理型光選択
吸収膜付カラー陰極線管(11)の帯電防止処理型光選択吸
収膜(2) の光学特性としては、人間の目の視感度として
比較的高く、また蛍光面からの発光にできるだけ影響の
少ない 570〜610nm の範囲に吸収帯の吸収ピーク(A1)を
置いて蛍光面の輝度性能を維持しつつ外光を有効に吸収
してコントラスト性能の向上をはかるようにしたもので
ある。このような光学特性を有する有機系または無機系
の染料の選定は非常に重要であり、曲線(I) は580nm に
吸収帯の吸収ピーク(A1)を有する例である。このような
帯電防止処理型光選択吸収膜付カラー陰極線管(11)では
ベース塗料に混合する有機系や無機系の染料の光学的な
光吸収特性が比較的ブロードであるため、蛍光面の発光
のうち、たとえば緑色発光のばあい、主スペクトル波長
の長波長側のテール部、赤色発光のばあい、主スペクト
ル波長の短波長側のサブピーク部がこの光選択吸収膜に
より吸収されるので、発光色調の改善も同時に行なうこ
とができる。
【0021】図7はこのようにしてフェース・プレート
部(4) の上に形成された帯電防止処理型光選択吸収膜
(2) の概念を示す断面図である。この帯電防止処理型光
選択吸収膜(2) は、多孔質のシリカ(SiO2 )系の膜
(14)中に染料の粒子または分子(13)が分散したような形
で形成されている。この染料の粒子または分子(13)は、
耐候性に大きな問題を有し、とくに有機系の染料のばあ
いは紫外線による退色が非常に大きい。これは元来、染
料は布地などの繊維を構成するタンパク質やセルロース
と化学結合して安定化するのであるが、多孔質のシリカ
(SiO2 )系の膜(14)中に分散させるようなばあいに
は化学結合する相手がなく、粒子または分子として単独
で存在するために不安定なためである。さらにそのう
え、この染料が分散している多孔質のシリカ(SiO
2 )系の膜(14)が強い酸性状態であるために紫外線のエ
ネルギーによって分解・変質が起こり、退色が起こりや
すくなる。この多孔質のシリカ(SiO2 )系の膜(14)
が強い酸性を示すのは、安定した成膜を行なうために光
選択吸収塗液そのものが塩酸(HCl)などにより強い
酸性(pH約2.3)に調整されているためである。すなわ
ち、光選択吸収塗液のベース塗料であるシリコンアルコ
キシドのアルコール溶液は、成膜の過程で、反応の一例
を示す下記式(1) のように、たとえばエチルシリケート
のばあい加水分解反応および加熱による脱水反応を行な
いながら多孔質のシリカ(SiO2 )系の膜(14)へと変
化して行くが、これらの各反応を促進するための触媒と
して塩酸(HCl)が添加されているので塗液およびそ
れにより成膜される膜は強い酸性を示すわけである。
【0022】
【化2】 一般の家庭でカラーテレビを観るときは、ほとんどのば
あいが室内で使用されるので、周囲から受ける紫外線は
あまり強くないが、窓の近くに長期間カラーテレビが設
置されると、帯電防止処理型光選択吸収膜(2) の染料が
太陽光中の紫外線により退色することがある。
【0023】このような帯電防止処理型光選択吸収膜
(2) の耐紫外線性を図2に示す方法により評価した。結
果を図3の(I)、(IV)に示す。(I)は紫外線曝露試験前、
(IV)は後述の条件での紫外線曝露試験後の各々の帯電防
止処理型光選択吸収膜の分光透過率分布である。
【0024】この試験では、退色試験用水銀ランプ(15)
の前方30cmの位置にフェース・プレート部(4) 上に帯電
防止処理型光選択吸収膜(2) を形成した試料を置いて一
定時間退色試験用水銀ランプ(15)からの強い紫外線を試
料にあてて強制的に退色を起こさせる。ある特定の染料
を使用した帯電防止処理型光選択吸収膜のばあい、当初
580nmの吸収帯の吸収ピーク(図3の(A1))での透過率は
70.0%であるが、約3.5mW/cm2の強度の紫外線に図2に
示したような試験方法で試料を約13時間曝露すると染色
の退色により吸収ピーク(図3(A2))のでの透過率は80.0
%にまで変化する。ΔT(%)を吸収深さと称すると、
前記曝露試験の前後では吸収深さ(ΔT)は25%(ΔT
1)から15%(ΔT2)へ変化したことになる。図1はこ
のような条件により、ある特定の染料を使用したpHの異
なる光選択吸収塗液からえられた帯電防止処理型光選択
吸収膜を用いて紫外線曝露試験を行なったときの吸収深
さ(ΔT(%) )が曝露時間とともにどのように変化する
かを示すグラフであり、光選択吸収塗液がpH 2.3のばあ
い、50時間で24%というような大幅な変化、すなわち退
色現象を示すことがわかる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
光選択吸収膜付カラー陰極線管では、光選択吸収膜中に
分散している染料が、外光中の紫外線などにより徐々に
退色してしまい、光選択吸収特性が劣化して、コントラ
スト性能や発光色調の改善度合いが低下してしまうとい
う問題がある。
【0026】本発明は前記のような問題点を解消するた
めになされたものであり、太陽光などの外光中に含まれ
る紫外線による染料の退色などの問題が起こりにくい、
安定した外光吸収特性を有する光選択吸収膜付カラー陰
極線管を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、官能基として
−OH基および−OR基(Rはアルキル基を示す)を有
するシリコンアルコキシドのアルコール溶液からなるベ
ース塗料に、有機系または無機系の染料を混合した光選
択吸収塗液を、カラー陰極線管のフエース・プレート部
に塗布・成膜した光選択吸収膜付カラー陰極線管であっ
て、該光選択吸収塗液の水素イオン指数(pH)が 2.7〜
4.5 の範囲である光選択吸収膜付カラー陰極線管に関す
る。
【0028】
【作用】本発明では、光選択吸収膜付カラー陰極線管の
光選択吸収膜を成膜するために用いられる光選択吸収塗
液の水素イオン指数(pH)が一定の範囲に調整されてい
るので、成膜後の多孔質のシリカ(SiO2 )系の膜の
酸性状態も中性に近づけられており、太陽光などの外光
中に含まれている紫外線が光選択吸収膜に入射しても膜
中の染料の退色が起こりにくい。
【0029】
【実施例】本発明では官能基として−OH 基および−
OR 基(R はアルキル基を示す)を有するシリコン
アルコキシドのアルコール溶液からなるベース塗料に、
有機系または無機系の染料を混合した光選択吸収塗液が
用いられる。
【0030】前記シリコンアルコキシドの具体例として
は、たとえばエチルシリケート(Si(OC254
などがあげられる。前記アルコールの具体例としては、
たとえばエチルアルコール(C25OH)などがあげら
れる。前記アルコール溶液中のシリコンアルコキシドの
濃度は、1.5〜5.0%(重量%、以下同様)が好ましい。
【0031】前記ベース塗料には、導電性フィラーとし
て、たとえばSnO2 、In 23などの導電性微粒子
を配合してもよい。前記導電性微粒子の粒子径は数100
Åであるのが好ましく、ベース塗料中の導電性微粒子の
割合は、塗液の安定性などの点から0.5〜3%が好まし
い。
【0032】さらに、前記ベース塗料には、乾燥スピー
ドをコントロールするための高沸点有機物質などが配合
されていてもよい。
【0033】前記ベース塗料に配合される有機系または
無機系の染料としては、光学特性が所望の特性を示すと
ともに、より安定性が優れたものが用いられる。このよ
うな染料の具体例としては、たとえばアンソラキノン系
染料やメチン系染料などがあげられる。
【0034】本発明では、前記ベース塗料に染料を混合
した光選択吸収塗液の水素イオン指数(pH)が2.7 〜4.
5に調整されている。pHが2.7 未満では、光選択吸収膜
の紫外線による劣化が激しく、4.5 をこえると塗液の経
時的、熱的安定性が低下し、塗液がゲル化しやすくな
る。
【0035】光選択吸収塗液の水素イオン指数(pH)の
調製法にとくに限定はなく、たとえば添加する塩酸の量
により調整するか、または塗布・製膜前に水酸化アンモ
ニウム(アンモニア水)で調整するなどすればよい。
【0036】本発明のカラー陰極線管は、前記光選択吸
収塗液を常法によりフェース・プレート部に塗布・成膜
して形成した光選択吸収塗膜を有するカラー陰極線管で
ある。
【0037】前記塗布・成膜は、たとえばスピンコート
法などにより塗布して乾燥したのち、100〜 200℃程度
の温度で 0.3〜0.5時間程度保持して焼付け処理を行な
うなどすればよい。
【0038】形成される光選択吸収膜は、平滑、均一
で、厚さ0.1 〜0.5μmであるのが好ましい。
【0039】以下、本発明を実施例に基づいてさらに具
体的に説明する。 実施例1〜3、比較例1〜2
【0040】酸化スズ1.2%、ケイ素分(SiO2
算)1.8%、エチルアルコール75%、水10.8%、塩酸微
量、イソプロピルアルコール9.5%、メチルエチルケト
ン1.5%、染料0.2%で調合した比較例1用塗膜液(pH2.
3)を、アンモニア水で調整して実施例1〜3用および比
較例2用塗液(それぞれpH2.7、pH4.5、pH5.0)とした。
【0041】えられた光選択吸収塗液を、それぞれ従来
と同様のスピンコート法によりフェース・プレート上に
塗布、成膜して乾燥し、175℃×30分間保持で焼成し、
厚さ約0.1μmの光選択吸収膜を形成したフェース・プ
レートを製造した。
【0042】えられたフェース・プレートに図2に示す
方法により約3.5mW/cm2の強度の紫外線に曝露し、580nm
の吸収帯の吸収ピークにおけるΔTを調べた。結果を図
1に示す。
【0043】図1よりつぎのことがわかる。pHが2.3 の
ばあい(比較例1)では50時間で吸収残存率が4%(1
/25×100 =4)というような大巾な変化、すなわち退
色現象を示す。pH2.7 の塗液を用いたばあい(実施例
1)では50時間での吸収残存率は50%(12.5/25×100
=50)であり、前記従来のもの(比較例1)に比べて大
巾に改善されている。しかも、前記のようにこの試験は
きびしい条件での強制試験であり、実使用条件換算では
ほぼ満足できるレベルといえる。同様にpH3.5 の塗液を
用いたばあい(実施例2)では吸収残存率は72%(18/
25×100 =72)、pH4.5 の塗液を用いたばあい(実施例
3)では吸収残存率は88%(22/25×100=88)、pH5.0
の塗液を用いたばあい(比較例2)では吸収残存率は94
%(23.5/25 ×100 =94)であった。
【0044】このことから光選択吸収塗液の水素イオン
指数(pH)を中性に近付けるほど塗膜の紫外線による劣
化の問題は少なくなることがわかる。しかしながら、塗
膜の水素イオン指数(pH)を高くするほど、塗液の経時
的、熱的安定性が低下して塗液がゲル化しやすくなっ
た。この塗液の安定性は液の保存状態(液温など)や塗
液中の酸化スズ(SnO2 )や酸化インジウム(In 2
3 )の導電材の含有率にもよるが、水素イオン指数
(pH)で4.5 が限界と考えられる。
【0045】したがって光選択吸収塗液の水素イオン指
数(pH)の限界としては、紫外線劣化の点より下限を
2.7に、また塗液のゲル化に対する安定性により上限を
4.5 に設定してこの範囲内で使用するのが好ましいとい
える。
【0046】以上のように、前記実施例では有機系また
は無機系の染料を混合して光選択吸収特性を持たせたば
あいの帯電防止処理型光選択吸収膜の紫外線に対する耐
候性の安定化について述べたが、本発明はこれに限られ
るものではなく、帯電防止機能を持たない光選択吸収機
能のみの光選択吸収膜付カラー陰極線管にも同様に適用
しうる。
【0047】
【発明の効果】本発明では、光選択吸収膜付カラー陰極
線管の光選択吸収膜を形成するための塗液の水素イオン
指数(pH)が2.7〜4.5の範囲に調製されているので、紫
外線が光選択吸収膜に入射しても、膜中の染料は安定に
存在し、退色が起こりにくく、カラー陰極線管の品質お
よび耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】光選択吸収膜の吸収深さ(ΔT)の経時変化を
示すグラフである。
【図2】紫外線曝露試験における紫外線曝露方法の説明
図である。
【図3】帯電防止処理型光選択吸収膜の光学特性を示す
グラフである。
【図4】陰極線管のフェース・プレート部の表面電位の
経時変化を示すグラフである。
【図5】帯電防止処理型カラー陰極線管の帯電防止原理
の説明図である。
【図6】帯電防止型光選択吸収膜付カラー陰極線管の原
理の説明図である。
【図7】帯電防止処理型光選択吸収膜が形成されたフェ
ース・プレート部の概念を示す断面図である。
【符号の説明】
1 透明導電膜 2 帯電防止型光選択吸収膜 3 帯電防止処理型陰極線管 4 フェース・プレート部 5 高圧ボタン 6 ネック部 6a リード線 7 偏向ヨーク 7a リード線 8 金属製防爆バンド 9 取り付け耳 10 アース線 10Aアース 11 帯電防止処理型光選択吸収膜付カラー陰極線管 12 導電性テープ 13 染料粒子または分子 14 多孔質のシリカ系の膜 15 退色試験用水銀ランプ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 官能基として−OH 基および−OR 基
    (Rはアルキル基を示す)を有するシリコンアルコキシ
    ドのアルコール溶液からなるベース塗料に、有機系また
    は無機系の染料を混合した光選択吸収塗液を、カラー陰
    極線管のフェース・プレート部に塗布・成膜した光選択
    吸収膜付カラー陰極線管であって、該光選択吸収塗液の
    水素イオン指数(pH)が 2.7〜4.5の範囲である光選択
    吸収膜付カラー陰極線管。
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