JP2989915B2 - 光選択吸収膜付カラー陰極線管 - Google Patents
光選択吸収膜付カラー陰極線管Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はフェ−スプレ−ト部外
面に光選択吸収膜を形成した光選択吸収膜付カラ−陰極
線管に関するものである。
面に光選択吸収膜を形成した光選択吸収膜付カラ−陰極
線管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のカラ−陰極線管の大型化および輝
度性能やフォ−カス性能の改善に伴い陰極線管の蛍光面
に印加する電圧、すなわち電子ビ−ムの加速電圧が高く
なってきている。たとえば、21型クラスの従来のカラ
−陰極線管において、蛍光面に印加する高圧は25〜2
7kV程度であったのが、最近の30型以上のカラ−陰
極線管によれば、その蛍光面に30〜34kVもの高圧
が印加される。そのためとくにテレビセットの電源のO
N−OFF時にカラ−陰極線管のフェ−スプレ−ト部の
外表面がチャ−ジアップして、フェ−スプレ−ト部の外
表面に空気中の細かいゴミが付着して、汚れが目立ちや
すくなり、結果としてカラ−陰極線管の輝度性能を劣化
させる原因になっている。また、チャ−ジアップしたフ
ェ−スプレ−ト部の外表面に観視者が近づいた時に放電
現象がおこり、観視者に不快感を与える不都合もある。
図6は電源のONとOFFによる陰極線管のフェ−スプ
レ−ト部の表面電位の変化を示す特性図で、図中Lは電
源ONの時の表面電位の変化曲線であり、またL1は電
源OFFの時の表面電位の変化曲線であり、縦軸は表面
電位(KV)、横軸は経過時間(sec)である。
度性能やフォ−カス性能の改善に伴い陰極線管の蛍光面
に印加する電圧、すなわち電子ビ−ムの加速電圧が高く
なってきている。たとえば、21型クラスの従来のカラ
−陰極線管において、蛍光面に印加する高圧は25〜2
7kV程度であったのが、最近の30型以上のカラ−陰
極線管によれば、その蛍光面に30〜34kVもの高圧
が印加される。そのためとくにテレビセットの電源のO
N−OFF時にカラ−陰極線管のフェ−スプレ−ト部の
外表面がチャ−ジアップして、フェ−スプレ−ト部の外
表面に空気中の細かいゴミが付着して、汚れが目立ちや
すくなり、結果としてカラ−陰極線管の輝度性能を劣化
させる原因になっている。また、チャ−ジアップしたフ
ェ−スプレ−ト部の外表面に観視者が近づいた時に放電
現象がおこり、観視者に不快感を与える不都合もある。
図6は電源のONとOFFによる陰極線管のフェ−スプ
レ−ト部の表面電位の変化を示す特性図で、図中Lは電
源ONの時の表面電位の変化曲線であり、またL1は電
源OFFの時の表面電位の変化曲線であり、縦軸は表面
電位(KV)、横軸は経過時間(sec)である。
【0003】上記のような陰極線管のフェ−スプレ−ト
部の外表面のチャ−ジ・アップ現象をなくするために、
陰極線管のフェ−スプレ−ト部の外表面に平滑な透明導
電膜を形成してチャ−ジをア−スへ逃すようにした帯電
防止処理型陰極線管が近年使用されるようになってき
た。図5は従来の帯電防止処理陰極線管の帯電防止の原
理を説明する構成図であり、図において6はネック部
で、電子銃(図示を省略)を内蔵し、7は偏向ヨ−ク、
3はファンネル部、4はフェ−スプレ−ト部、5は高圧
ボタンで上記偏向ヨ−ク7はリ−ド線7aを介して偏向
電源に、かつ電子銃はリ−ド線6aを介して駆動電源
に、また高圧ボタン5はリ−ド線5aを介して高圧電源
にそれぞれ接続されている。
部の外表面のチャ−ジ・アップ現象をなくするために、
陰極線管のフェ−スプレ−ト部の外表面に平滑な透明導
電膜を形成してチャ−ジをア−スへ逃すようにした帯電
防止処理型陰極線管が近年使用されるようになってき
た。図5は従来の帯電防止処理陰極線管の帯電防止の原
理を説明する構成図であり、図において6はネック部
で、電子銃(図示を省略)を内蔵し、7は偏向ヨ−ク、
3はファンネル部、4はフェ−スプレ−ト部、5は高圧
ボタンで上記偏向ヨ−ク7はリ−ド線7aを介して偏向
電源に、かつ電子銃はリ−ド線6aを介して駆動電源
に、また高圧ボタン5はリ−ド線5aを介して高圧電源
にそれぞれ接続されている。
【0004】上記構成の陰極線管において、ネック部6
に内臓した電子銃から発した電子線を偏向ヨ−ク7によ
り陰極線管の外部から電磁的に偏向する一方、高圧ボタ
ン5を介してフェ−スプレ−ト部4の内面に設けられた
蛍光面に高圧を印加する。これにより、上記電子線を加
速してそのエネルギ−により蛍光面を励起発光して光出
力を取り出す。このフェ−スプレ−ト部4の内面の蛍光
面に印加する高圧の影響で上述したように、フェ−スプ
レ−ト部4の外表面の電位が変化して、ゴミの付着など
の弊害が生じる。そこで、このような弊害をなくする対
策として、図5で示すように、フェ−スプレ−ト部4の
外表面に平滑な透明導電膜1を形成し、この透明導電膜
1をア−スに落とすことにより、チャ−ジを常にア−ス
へ逃してチャ−ジアップを防いだのが帯電防止処理型陰
極線管である。ところで、この帯電防止処理型陰極線管
において、上記フェ−スプレ−ト部4の外表面に形成し
た透明導電膜1をア−スに落とすには、図5に示すよう
に、フェ−スプレ−ト4の側壁部に巻き付けた金属製防
爆バンド8と透明導電膜1との間を導電性テ−プ12に
より導通させる。これにより、上記金属製防爆バンド8
は取付け耳9に引っ掛けたア−ス線10によりア−ス1
0Aに接合されるので、透明導電膜1をア−スに落とす
ことは容易に可能となる。図6中の曲線MおよびM1
は、各々フェ−スプレ−ト部の外表面に平滑な透明導電
膜1を形成した帯電防止処理型陰極線管のフェ−スプレ
−ト部の電源ON時の外表面電位の変化曲線およびOF
F時の外表面電位の変化曲線を示すものであり、従来よ
りも大幅にチャ−ジアップが小さくなっていることがわ
かる。
に内臓した電子銃から発した電子線を偏向ヨ−ク7によ
り陰極線管の外部から電磁的に偏向する一方、高圧ボタ
ン5を介してフェ−スプレ−ト部4の内面に設けられた
蛍光面に高圧を印加する。これにより、上記電子線を加
速してそのエネルギ−により蛍光面を励起発光して光出
力を取り出す。このフェ−スプレ−ト部4の内面の蛍光
面に印加する高圧の影響で上述したように、フェ−スプ
レ−ト部4の外表面の電位が変化して、ゴミの付着など
の弊害が生じる。そこで、このような弊害をなくする対
策として、図5で示すように、フェ−スプレ−ト部4の
外表面に平滑な透明導電膜1を形成し、この透明導電膜
1をア−スに落とすことにより、チャ−ジを常にア−ス
へ逃してチャ−ジアップを防いだのが帯電防止処理型陰
極線管である。ところで、この帯電防止処理型陰極線管
において、上記フェ−スプレ−ト部4の外表面に形成し
た透明導電膜1をア−スに落とすには、図5に示すよう
に、フェ−スプレ−ト4の側壁部に巻き付けた金属製防
爆バンド8と透明導電膜1との間を導電性テ−プ12に
より導通させる。これにより、上記金属製防爆バンド8
は取付け耳9に引っ掛けたア−ス線10によりア−ス1
0Aに接合されるので、透明導電膜1をア−スに落とす
ことは容易に可能となる。図6中の曲線MおよびM1
は、各々フェ−スプレ−ト部の外表面に平滑な透明導電
膜1を形成した帯電防止処理型陰極線管のフェ−スプレ
−ト部の電源ON時の外表面電位の変化曲線およびOF
F時の外表面電位の変化曲線を示すものであり、従来よ
りも大幅にチャ−ジアップが小さくなっていることがわ
かる。
【0005】上記フェ−スプレ−ト4の表面に形成する
平滑な透明導電膜1としては、ある程度の硬さと接着性
を要求されるので一般にシリカSiO2 系の膜を形成す
る。従来、このシリカ系の平滑な透明導電膜1を形成す
る方法の一つとしては、官能基として−OH基、−OR
基などを有するSi(シリコン)アルコキシドのアルコ
−ル溶液を陰極線管のフェ−スプレ−ト部4の外表面に
スピンコ−ト法などで均一かつ平滑に塗布したのち、比
較的低温、たとえば100℃以下で焼き付け処理をおこ
なう方法がとられていた。上記のような方法で形成され
た平滑な透明導電膜1は多孔質であるとともに、シラノ
−ル基≡Si−OHを有しているので、空気中の水分を
吸着して表面抵抗を下げることができる。しかしなが
ら、このような従来の平滑な透明導電膜1は高温で焼き
付け処理を行うと、シラノ−ル基の−OHが無くなる上
に、多孔質中に取り込んでいる水分も無くなるので、表
面抵抗値があがってしまい、所定どおりの導電性が得ら
れなくなる。このため、低温焼き付けが必須であり、膜
の強度はあまり強くない。また、乾燥した環境下で長く
使用すると、多孔膜中の水分がぬけてしまい表面抵抗値
も経時的に上昇する。この多孔質中からいったん水分が
ぬけると、つぎに入り込むのが困難である。以上のよう
に、従来の平滑な透明導電膜1は、膜強度および抵抗値
の経時的な安定度の面で大きな欠点を有していた。ま
た、このような欠点を改善するうえに、上記塗液中のア
ルコキシド構造にZrジルコニウムなどの金属原子を結
合させて導電性を付与することもおこなわれていたが、
大幅な改善を期待することができない。これらを根本的
に解決できるもう一つの方法として、例えば特開平2ー
46403号公報に示された様に、上記Si(シリコ
ン)アルコキシドのアルコ−ル溶液中に二電性フィラ−
としてSnO2 (酸化スズ)やIn2 O3 (酸化インジ
ウム)の微粒子を混合分散させるとともに、半導体的性
質を付与するために微量のP(リン)またはSb(アン
チモン)を加えた塗液を用いて陰極線管のフェ−スプレ
−ト部4の外表面に従来と同様に、スピンコ−ト法など
で均一かつ平滑に塗布して比較的高い温度たとえば、1
00℃〜200℃で焼き付け処理をおこなう方法があ
る。この方法では膜強度を強くし、かつ、どのような環
境下でも抵抗値が経時的に変化しない平滑な透明導電膜
1を得ることができる。
平滑な透明導電膜1としては、ある程度の硬さと接着性
を要求されるので一般にシリカSiO2 系の膜を形成す
る。従来、このシリカ系の平滑な透明導電膜1を形成す
る方法の一つとしては、官能基として−OH基、−OR
基などを有するSi(シリコン)アルコキシドのアルコ
−ル溶液を陰極線管のフェ−スプレ−ト部4の外表面に
スピンコ−ト法などで均一かつ平滑に塗布したのち、比
較的低温、たとえば100℃以下で焼き付け処理をおこ
なう方法がとられていた。上記のような方法で形成され
た平滑な透明導電膜1は多孔質であるとともに、シラノ
−ル基≡Si−OHを有しているので、空気中の水分を
吸着して表面抵抗を下げることができる。しかしなが
ら、このような従来の平滑な透明導電膜1は高温で焼き
付け処理を行うと、シラノ−ル基の−OHが無くなる上
に、多孔質中に取り込んでいる水分も無くなるので、表
面抵抗値があがってしまい、所定どおりの導電性が得ら
れなくなる。このため、低温焼き付けが必須であり、膜
の強度はあまり強くない。また、乾燥した環境下で長く
使用すると、多孔膜中の水分がぬけてしまい表面抵抗値
も経時的に上昇する。この多孔質中からいったん水分が
ぬけると、つぎに入り込むのが困難である。以上のよう
に、従来の平滑な透明導電膜1は、膜強度および抵抗値
の経時的な安定度の面で大きな欠点を有していた。ま
た、このような欠点を改善するうえに、上記塗液中のア
ルコキシド構造にZrジルコニウムなどの金属原子を結
合させて導電性を付与することもおこなわれていたが、
大幅な改善を期待することができない。これらを根本的
に解決できるもう一つの方法として、例えば特開平2ー
46403号公報に示された様に、上記Si(シリコ
ン)アルコキシドのアルコ−ル溶液中に二電性フィラ−
としてSnO2 (酸化スズ)やIn2 O3 (酸化インジ
ウム)の微粒子を混合分散させるとともに、半導体的性
質を付与するために微量のP(リン)またはSb(アン
チモン)を加えた塗液を用いて陰極線管のフェ−スプレ
−ト部4の外表面に従来と同様に、スピンコ−ト法など
で均一かつ平滑に塗布して比較的高い温度たとえば、1
00℃〜200℃で焼き付け処理をおこなう方法があ
る。この方法では膜強度を強くし、かつ、どのような環
境下でも抵抗値が経時的に変化しない平滑な透明導電膜
1を得ることができる。
【0006】従来この様な方法によりカラ−陰極線管の
帯電防止処理が行われていたが、最近のカラ−テレビの
高画質化への強い要求とともにこの透明導電膜1を着色
してカラ−陰極線管のコントラストや発光色調の改善を
合わせて行う方法が実用化され始めた。即ち従来の透明
導電膜1を得るための塗膜をベ−ス塗料としてこの中に
有機系又は無機系の染料を混合して着色し光選択吸収塗
液を作り従来と同様のスピンコ−ト法等によりカラ−陰
極線管のフェ−スプレ−ト外面に塗布し成膜して帯電防
止機能を持った光選択吸収膜付カラ−陰極線管が出来上
がる。図7は帯電防止処理型光選択吸収膜2を有する帯
電防止処理型光選択吸収膜付カラ−陰極線管11の構成
図であり、帯電防止処理型光選択吸収膜2以外は図5で
示した従来の帯電防止処理型陰極線管と同じである。図
4は帯電防止処理型光選択吸収膜2の光学特性を説明す
る為のスペクトル図であり、横軸は波長(nm)縦軸は
相対発光強度および透過率(%)である。図中Bはカラ
−陰極線管の蛍光面の青色発光の硫化物系蛍光体例えば
ZnS:Ag銀付着硫化亜鉛蛍光体の相対発光強度のス
ペクトル分布を示し約450nmに主スペクトル波長を
有する。又Gは緑色発光の硫化物系蛍光体例えばZn
S:Au,Cu,Al(金、銅、アルミニウム付着硫化
亜鉛)蛍光体の相対発行強度のスペクトル分布をしめし
約535nmに主スペクトル波長を有する。同様にRは
赤色発光の希土類系蛍光体例えばY2 O2 S:Eu(ユ
−ロピウム付活硫化イットリウム)蛍光体の相対発光強
度のスペクトル分布を示し約626nmに主スペクトル
波長を有する。又ロ及びハはカラ−陰極線管のフェ−ス
プレ−ト4の分光透過率分布を示すもので、ロは可視光
領域の分光透過率が約85%のクリア−・タイプ、ハは
50%のティント・タイプのフェ−スプレ−ト4の分光
透過率分布を示す。フェ−スプレ−ト4の分光透過率は
低いほどカラ−陰極線管の輝度性能として不利になるこ
とはB、GおよびRの蛍光面の相対発光強度のスペクト
ル分布との関係より明らかであるが、カラ−陰極線管の
蛍光面に入射する外光が有効に除去出来るのでコントラ
スト機能上は有利となり、最近のカラ−・テレビの画質
重視の傾向とともに現在はタイント・タイプのフェ−ス
プレ−トが多く使用されている。図中イは更にコントラ
スト性能をあげる為に前述したごとくフェ−スプレ−ト
4の外面に形成された従来の帯電防止型光選択吸収膜2
の分光透過率分布の一例を示す。G、Rの相対発光強度
のスペクトル分布のスペクトル波長間535nmないし
626nmの内、このスペクトル波長に近い部分にこの
帯電防止型光選択吸収膜2の吸収ピ−クAがあるとカラ
−陰極線管の蛍光面の輝度性能上不利となる為この吸収
帯の半値幅等を考慮して、通常570nmないし610
nmの範囲に吸収帯のピ−クAを持たせるようにする。
この範囲の波長の光は人間の目の視感度の比較的高い領
域と一致するので、外光(白色光)の成分の内この領域
の光が吸収除去されるとコントラスト性能上好ましい。
即ち従来の帯電防止処理型光選択吸収膜付カラ−陰極線
管11の帯電防止処理型光選択吸収膜2の光学特性とし
ては人間の目の視感度として割合高く、又蛍光面からの
発光に出来るだけ影響の少ない570nmないし610
nmの範囲に吸収帯の吸収ピ−クAを置いて蛍光面の輝
度性能を維持しつつ外光を有効に吸収してコントラスト
性能の向上をはかる様にしたものであった。この様な光
学特性を持った有機系又は無機系の染料の選定が非常に
重要であり曲線イの場合、以下に示す染料を混合して5
80nmに吸収帯のピ−クAを持たせた例を示す。塗液
の染料としてC.I.Acid Red52(商品名:中央合成化学社
製)、C.I.Acid Violet48 {商品名:日本化薬(株)
製}、C.I.Basic Yellow21(商品名:バイエル製)およ
びC.I.52015 {商品名:和光純薬(株)製}を混合した
ものまたはC.I.Acid Red52(商品名:中央合成化学社
製)、C.I.Acid Violet48 {商品名:日本化薬(株)
製}、C.I.Acid Green28{商品名:日本化薬(株)製}
およびC.I.Acid Blue 7 {商品名:日本化薬(株)製}
の混合したものを用いた。このような帯電防止処理型光
選択吸収膜付カラ−陰極線管11ではベ−ス塗料に混合
する有機系や無機系の染料の光学的な光吸収特性が比較
的ブロ−ドである為に、蛍光面の発光の内例えば緑色発
光の場合主スペクトル波長の長波長側のチ−ル部、赤色
発光の場合主スペクトル波長の短波長側のサブピ−クの
部がこの光選択吸収膜により吸収されて発光色調の改善
も同時に行う事が可能である。
帯電防止処理が行われていたが、最近のカラ−テレビの
高画質化への強い要求とともにこの透明導電膜1を着色
してカラ−陰極線管のコントラストや発光色調の改善を
合わせて行う方法が実用化され始めた。即ち従来の透明
導電膜1を得るための塗膜をベ−ス塗料としてこの中に
有機系又は無機系の染料を混合して着色し光選択吸収塗
液を作り従来と同様のスピンコ−ト法等によりカラ−陰
極線管のフェ−スプレ−ト外面に塗布し成膜して帯電防
止機能を持った光選択吸収膜付カラ−陰極線管が出来上
がる。図7は帯電防止処理型光選択吸収膜2を有する帯
電防止処理型光選択吸収膜付カラ−陰極線管11の構成
図であり、帯電防止処理型光選択吸収膜2以外は図5で
示した従来の帯電防止処理型陰極線管と同じである。図
4は帯電防止処理型光選択吸収膜2の光学特性を説明す
る為のスペクトル図であり、横軸は波長(nm)縦軸は
相対発光強度および透過率(%)である。図中Bはカラ
−陰極線管の蛍光面の青色発光の硫化物系蛍光体例えば
ZnS:Ag銀付着硫化亜鉛蛍光体の相対発光強度のス
ペクトル分布を示し約450nmに主スペクトル波長を
有する。又Gは緑色発光の硫化物系蛍光体例えばZn
S:Au,Cu,Al(金、銅、アルミニウム付着硫化
亜鉛)蛍光体の相対発行強度のスペクトル分布をしめし
約535nmに主スペクトル波長を有する。同様にRは
赤色発光の希土類系蛍光体例えばY2 O2 S:Eu(ユ
−ロピウム付活硫化イットリウム)蛍光体の相対発光強
度のスペクトル分布を示し約626nmに主スペクトル
波長を有する。又ロ及びハはカラ−陰極線管のフェ−ス
プレ−ト4の分光透過率分布を示すもので、ロは可視光
領域の分光透過率が約85%のクリア−・タイプ、ハは
50%のティント・タイプのフェ−スプレ−ト4の分光
透過率分布を示す。フェ−スプレ−ト4の分光透過率は
低いほどカラ−陰極線管の輝度性能として不利になるこ
とはB、GおよびRの蛍光面の相対発光強度のスペクト
ル分布との関係より明らかであるが、カラ−陰極線管の
蛍光面に入射する外光が有効に除去出来るのでコントラ
スト機能上は有利となり、最近のカラ−・テレビの画質
重視の傾向とともに現在はタイント・タイプのフェ−ス
プレ−トが多く使用されている。図中イは更にコントラ
スト性能をあげる為に前述したごとくフェ−スプレ−ト
4の外面に形成された従来の帯電防止型光選択吸収膜2
の分光透過率分布の一例を示す。G、Rの相対発光強度
のスペクトル分布のスペクトル波長間535nmないし
626nmの内、このスペクトル波長に近い部分にこの
帯電防止型光選択吸収膜2の吸収ピ−クAがあるとカラ
−陰極線管の蛍光面の輝度性能上不利となる為この吸収
帯の半値幅等を考慮して、通常570nmないし610
nmの範囲に吸収帯のピ−クAを持たせるようにする。
この範囲の波長の光は人間の目の視感度の比較的高い領
域と一致するので、外光(白色光)の成分の内この領域
の光が吸収除去されるとコントラスト性能上好ましい。
即ち従来の帯電防止処理型光選択吸収膜付カラ−陰極線
管11の帯電防止処理型光選択吸収膜2の光学特性とし
ては人間の目の視感度として割合高く、又蛍光面からの
発光に出来るだけ影響の少ない570nmないし610
nmの範囲に吸収帯の吸収ピ−クAを置いて蛍光面の輝
度性能を維持しつつ外光を有効に吸収してコントラスト
性能の向上をはかる様にしたものであった。この様な光
学特性を持った有機系又は無機系の染料の選定が非常に
重要であり曲線イの場合、以下に示す染料を混合して5
80nmに吸収帯のピ−クAを持たせた例を示す。塗液
の染料としてC.I.Acid Red52(商品名:中央合成化学社
製)、C.I.Acid Violet48 {商品名:日本化薬(株)
製}、C.I.Basic Yellow21(商品名:バイエル製)およ
びC.I.52015 {商品名:和光純薬(株)製}を混合した
ものまたはC.I.Acid Red52(商品名:中央合成化学社
製)、C.I.Acid Violet48 {商品名:日本化薬(株)
製}、C.I.Acid Green28{商品名:日本化薬(株)製}
およびC.I.Acid Blue 7 {商品名:日本化薬(株)製}
の混合したものを用いた。このような帯電防止処理型光
選択吸収膜付カラ−陰極線管11ではベ−ス塗料に混合
する有機系や無機系の染料の光学的な光吸収特性が比較
的ブロ−ドである為に、蛍光面の発光の内例えば緑色発
光の場合主スペクトル波長の長波長側のチ−ル部、赤色
発光の場合主スペクトル波長の短波長側のサブピ−クの
部がこの光選択吸収膜により吸収されて発光色調の改善
も同時に行う事が可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図8は、従来のカラー
陰極線管の帯電防止処理型光選択吸収膜2が形成された
フェ−スプレ−ト4の断面図である。この帯電防止処理
型光選択吸収膜2はベース塗料のアルキルシリケートを
塗布し成膜して得られる多孔質のシリカ(SiO2 )系
の膜14中に染料13が分散した様な形で形成されてい
る。この染料13に関しては耐光性について大きな問題
を有する。特に有機系の染料の場合は紫外線による退色
が非常に大きい。これは本来、染料は布地等の繊維を構
成するタンパク質やセルロ−スと化学結合して安定化す
るのに対して多孔質のシリカ(SiO2 )系の膜14中
に分散させた様な場合は化学結合する相手がなく、粒子
または分子として単独で存在する為に不安定な上、この
染料が分散している多孔質のシリカ(SiO2 )系のベ
ース塗料14が強い酸性状態であるために紫外線のエネ
ルギ−により分解・変質が生じ退色し易くなる。この多
孔質のシリカ(SiO2 )系の膜14が強い酸性を示す
のは安定した成膜を行うために、光選択吸収塗液そのも
のが塩酸(HCl)等により強い酸性(pH約2.3)
に調整されてるためである。即ち光選択吸収塗液のベ−
ス塗料であるシリコン(Si)アルコキシドのアルコ−
ル溶液は成膜の課程で化1の化学反応式の一例で示す如
く、例えばエチルシリケ−トを出発点として加水分解反
応によりシラノールに、さらに加熱による脱水反応を行
いながら多孔質のシリカ(SiO2 )系の膜14へと変
化していくが、これらの各反応を促進するための触媒と
して塩酸(HCl)が添加されるので塗液及びそれによ
り成膜された塗膜は強い酸性を示すわけである。
陰極線管の帯電防止処理型光選択吸収膜2が形成された
フェ−スプレ−ト4の断面図である。この帯電防止処理
型光選択吸収膜2はベース塗料のアルキルシリケートを
塗布し成膜して得られる多孔質のシリカ(SiO2 )系
の膜14中に染料13が分散した様な形で形成されてい
る。この染料13に関しては耐光性について大きな問題
を有する。特に有機系の染料の場合は紫外線による退色
が非常に大きい。これは本来、染料は布地等の繊維を構
成するタンパク質やセルロ−スと化学結合して安定化す
るのに対して多孔質のシリカ(SiO2 )系の膜14中
に分散させた様な場合は化学結合する相手がなく、粒子
または分子として単独で存在する為に不安定な上、この
染料が分散している多孔質のシリカ(SiO2 )系のベ
ース塗料14が強い酸性状態であるために紫外線のエネ
ルギ−により分解・変質が生じ退色し易くなる。この多
孔質のシリカ(SiO2 )系の膜14が強い酸性を示す
のは安定した成膜を行うために、光選択吸収塗液そのも
のが塩酸(HCl)等により強い酸性(pH約2.3)
に調整されてるためである。即ち光選択吸収塗液のベ−
ス塗料であるシリコン(Si)アルコキシドのアルコ−
ル溶液は成膜の課程で化1の化学反応式の一例で示す如
く、例えばエチルシリケ−トを出発点として加水分解反
応によりシラノールに、さらに加熱による脱水反応を行
いながら多孔質のシリカ(SiO2 )系の膜14へと変
化していくが、これらの各反応を促進するための触媒と
して塩酸(HCl)が添加されるので塗液及びそれによ
り成膜された塗膜は強い酸性を示すわけである。
【0008】
【化1】
【0009】一般の家庭でカラ−テレビを観る時は、ほ
とんどの場合が室内で使用されるので、周囲から受ける
紫外線の強さはあまり強くはないが、窓の近くに長期間
カラ−テレビが設置された場合等には帯電防止処理型光
選択吸収膜2の染料が太陽光中の紫外線により退色現象
を生じることがある。図3はこの様な帯電防止処理型光
選択吸収膜2の紫外線に対する耐光性の評価方法を示す
構成図である。退色試験用水銀ランプ15の前方30c
mの位置にフェ−スプレ−ト4上に帯電防止処理型光選
択吸収膜2を形成した試料をおいて一定時間退色試験用
水銀ランプ15からの強い紫外線を試料にあてて強制的
に退色を起こさせる。この紫外線暴露試験前後でのこの
帯電防止処理型光選択吸収膜2の分光透過率分布の変化
を図4中のイおよびニに示す。図4のAに吸収ピークを
示す塗液を調整し、これを使用した帯電防止処理型光選
択吸収膜2の場合当初580nmの吸収帯の吸収ピ−ク
Aでの透過率は70.0%であるが、約3.5mW/c
m2 の強度の紫外線に図3の様な試験方法で試料を約1
3時間暴露すると染料の退色により吸収ピ−クの位置は
A1即ち80.0%にまで変化する。図中イは紫外線暴
露試験以前、ニは前試験条件での紫外線暴露試験後の各
々の帯電防止処理型光選択吸収膜の分光分布を示す。こ
の時図4中ΔTおよびΔT1(%)を吸収深さとすると
前記の暴露試験の前後では吸収深さは25%(ΔT)か
ら15%(ΔT1)へと変化したことになる。図2は吸
収深さ(%)の暴露時間(時間)による変化を示す特性
図であり、ホはこの様な条件により上記混合染料を使用
した従来の帯電防止処理型光選択吸収膜を紫外線暴露試
験(3.5mw/cm2 )を行った場合の吸収深さ(Δ
T%)が暴露時間とともにどの様に変化するかを示すも
のであり、50時間で24%と言う様な大幅な変化即ち
退色現象を示す。即ち、従来の光選択吸収膜付カラ−陰
極線管では、光選択吸収膜中に分散している染料が外光
中の紫外線等により徐々に退色してしまい光選択吸収特
性が劣化してコントラスト性能や発光色調の改善度合い
が低下してしまうという課題があった。
とんどの場合が室内で使用されるので、周囲から受ける
紫外線の強さはあまり強くはないが、窓の近くに長期間
カラ−テレビが設置された場合等には帯電防止処理型光
選択吸収膜2の染料が太陽光中の紫外線により退色現象
を生じることがある。図3はこの様な帯電防止処理型光
選択吸収膜2の紫外線に対する耐光性の評価方法を示す
構成図である。退色試験用水銀ランプ15の前方30c
mの位置にフェ−スプレ−ト4上に帯電防止処理型光選
択吸収膜2を形成した試料をおいて一定時間退色試験用
水銀ランプ15からの強い紫外線を試料にあてて強制的
に退色を起こさせる。この紫外線暴露試験前後でのこの
帯電防止処理型光選択吸収膜2の分光透過率分布の変化
を図4中のイおよびニに示す。図4のAに吸収ピークを
示す塗液を調整し、これを使用した帯電防止処理型光選
択吸収膜2の場合当初580nmの吸収帯の吸収ピ−ク
Aでの透過率は70.0%であるが、約3.5mW/c
m2 の強度の紫外線に図3の様な試験方法で試料を約1
3時間暴露すると染料の退色により吸収ピ−クの位置は
A1即ち80.0%にまで変化する。図中イは紫外線暴
露試験以前、ニは前試験条件での紫外線暴露試験後の各
々の帯電防止処理型光選択吸収膜の分光分布を示す。こ
の時図4中ΔTおよびΔT1(%)を吸収深さとすると
前記の暴露試験の前後では吸収深さは25%(ΔT)か
ら15%(ΔT1)へと変化したことになる。図2は吸
収深さ(%)の暴露時間(時間)による変化を示す特性
図であり、ホはこの様な条件により上記混合染料を使用
した従来の帯電防止処理型光選択吸収膜を紫外線暴露試
験(3.5mw/cm2 )を行った場合の吸収深さ(Δ
T%)が暴露時間とともにどの様に変化するかを示すも
のであり、50時間で24%と言う様な大幅な変化即ち
退色現象を示す。即ち、従来の光選択吸収膜付カラ−陰
極線管では、光選択吸収膜中に分散している染料が外光
中の紫外線等により徐々に退色してしまい光選択吸収特
性が劣化してコントラスト性能や発光色調の改善度合い
が低下してしまうという課題があった。
【0010】この発明は上記の様な課題を解消するため
になされたものであり、太陽光等の外光中に含まれる紫
外線による退色の防止された安定した外光吸収特性を持
ち、品質および耐久性に優れた光選択吸収膜付カラ−陰
極線管を提供することを目的としており、さらに容易に
得られる光選択吸収膜付カラ−陰極線管を提供すること
を目的する。
になされたものであり、太陽光等の外光中に含まれる紫
外線による退色の防止された安定した外光吸収特性を持
ち、品質および耐久性に優れた光選択吸収膜付カラ−陰
極線管を提供することを目的としており、さらに容易に
得られる光選択吸収膜付カラ−陰極線管を提供すること
を目的する。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の光選択吸収膜
付カラ−陰極線管は、カラ−陰極線管のフェ−スプレ−
ト部外面に、光選択吸収塗液を塗布し成膜した光選択吸
収膜を設けたものにおいて、上記光選択吸収塗液はベ−
ス塗料であるアルキルシリケートまたはシリコーン樹脂
に染料並びにこの染料と化学的に結合し染料を化学的に
安定化する安定化物質の核酸塩基類似体、シクロデキス
トリン、フラボンおよびデオキシコ−ル酸の内の少なく
とも一種を含有するものである。
付カラ−陰極線管は、カラ−陰極線管のフェ−スプレ−
ト部外面に、光選択吸収塗液を塗布し成膜した光選択吸
収膜を設けたものにおいて、上記光選択吸収塗液はベ−
ス塗料であるアルキルシリケートまたはシリコーン樹脂
に染料並びにこの染料と化学的に結合し染料を化学的に
安定化する安定化物質の核酸塩基類似体、シクロデキス
トリン、フラボンおよびデオキシコ−ル酸の内の少なく
とも一種を含有するものである。
【0012】
【作用】この発明において、光選択吸収膜付カラ−陰極
線管の光選択吸収膜を形成するための光選択吸収塗液に
おいて、ベース塗料としてアルキルシリケートまたはシ
リコーン樹脂を用いた場合、上記安定化物質を用いるこ
とにより塗布し成膜した光選択吸収膜中の染料は非常に
安定になっており、光選択吸収膜が透明性を有するとと
もに、太陽光などの外光に含まれている紫外線や、陰極
線管からの可視光および紫外線が光選択吸収膜に入射し
ても膜中の染料に生じる退色が起こりにくくなる。
線管の光選択吸収膜を形成するための光選択吸収塗液に
おいて、ベース塗料としてアルキルシリケートまたはシ
リコーン樹脂を用いた場合、上記安定化物質を用いるこ
とにより塗布し成膜した光選択吸収膜中の染料は非常に
安定になっており、光選択吸収膜が透明性を有するとと
もに、太陽光などの外光に含まれている紫外線や、陰極
線管からの可視光および紫外線が光選択吸収膜に入射し
ても膜中の染料に生じる退色が起こりにくくなる。
【0013】
【実施例】以下この発明の実施例を図について説明す
る。図1はこの発明の実施例に係わるフェ−スプレ−ト
部の部分拡大断面図であり、フェ−スプレ−ト4上に形
成されたこの発明の一実施例に係わる帯電防止処理型光
選択吸収膜20を模式的に示す。この場合帯電防止処理
型光選択吸収膜20を形成するための光選択吸収塗液の
中に塗液中の染料が化学的に結合して安定化する安定化
物質16が添加混合されているので、帯電防止処理型光
選択吸収膜20を形成するベース塗料から得られた多孔
質のシリカ(SiO2 )系の膜14中の染料13は従来
の帯電防止処理型光選択吸収膜2の様に単独で存在する
のではなく安定化物質16と化学的に結合しており、非
常に安定な物質となっている。なお、上記帯電防止処理
型光選択吸収膜はベース塗料にアルキルシリケートを用
いているが、ベース塗料としてシリコーン樹脂を用いる
ことができ、その場合も上記安定化物質の安定化作用は
変わらない。 さらに、この発明の実施例に係わる染料が
化学的に結合して安定化する安定化物質としては、カフ
ェイン、キサンチン、ヒポキサンチン、テオフィリン、
テオブロミンなどの核酸塩基類似体およびβ−シクロデ
キストリン、トリメチル−β−シクロデキストリン、ジ
メチル−β−シクロデキストリン、ハイドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン
誘導体、デオキシコ−ル酸およびフラボンなどが挙げら
れる。
る。図1はこの発明の実施例に係わるフェ−スプレ−ト
部の部分拡大断面図であり、フェ−スプレ−ト4上に形
成されたこの発明の一実施例に係わる帯電防止処理型光
選択吸収膜20を模式的に示す。この場合帯電防止処理
型光選択吸収膜20を形成するための光選択吸収塗液の
中に塗液中の染料が化学的に結合して安定化する安定化
物質16が添加混合されているので、帯電防止処理型光
選択吸収膜20を形成するベース塗料から得られた多孔
質のシリカ(SiO2 )系の膜14中の染料13は従来
の帯電防止処理型光選択吸収膜2の様に単独で存在する
のではなく安定化物質16と化学的に結合しており、非
常に安定な物質となっている。なお、上記帯電防止処理
型光選択吸収膜はベース塗料にアルキルシリケートを用
いているが、ベース塗料としてシリコーン樹脂を用いる
ことができ、その場合も上記安定化物質の安定化作用は
変わらない。 さらに、この発明の実施例に係わる染料が
化学的に結合して安定化する安定化物質としては、カフ
ェイン、キサンチン、ヒポキサンチン、テオフィリン、
テオブロミンなどの核酸塩基類似体およびβ−シクロデ
キストリン、トリメチル−β−シクロデキストリン、ジ
メチル−β−シクロデキストリン、ハイドロキシプロピ
ル−β−シクロデキストリンなどのシクロデキストリン
誘導体、デオキシコ−ル酸およびフラボンなどが挙げら
れる。
【0014】実施例1.図2中の曲線ホは前述したごと
く、安定化物質16を添加混合していない従来の帯電防
止処理型光選択吸収膜2の紫外線暴露試験の結果を示す
ものであり50時間で吸収残存率4%というような大幅
な変化すなわち退色現象を示すのに対して、曲線ヘはこ
の従来の帯電防止処理型光選択吸収膜20を形成するた
めの上記光選択吸収塗液中にこの塗液中に含まれる染料
と重量比で1:10の割合で安定化物質として核酸塩基
の一種であるカフェインを添加混合した塗液により10
μm厚に塗布し成膜したこの発明に係わる帯電防止処理
型光選択吸収膜20の紫外線暴露試験(3.5mw/c
m2 )の結果を示すものである。この場合50時間後の
吸収残存率は64%であり従来に比べて大幅な改善がな
されている。
く、安定化物質16を添加混合していない従来の帯電防
止処理型光選択吸収膜2の紫外線暴露試験の結果を示す
ものであり50時間で吸収残存率4%というような大幅
な変化すなわち退色現象を示すのに対して、曲線ヘはこ
の従来の帯電防止処理型光選択吸収膜20を形成するた
めの上記光選択吸収塗液中にこの塗液中に含まれる染料
と重量比で1:10の割合で安定化物質として核酸塩基
の一種であるカフェインを添加混合した塗液により10
μm厚に塗布し成膜したこの発明に係わる帯電防止処理
型光選択吸収膜20の紫外線暴露試験(3.5mw/c
m2 )の結果を示すものである。この場合50時間後の
吸収残存率は64%であり従来に比べて大幅な改善がな
されている。
【0015】実施例2.実施例1において、カフェイン
の替りにジメチル−β−シクロデキストリンを染料と
1:5の割合で混合する他は実施例1と同様にして、帯
電防止処理型光選択吸収膜得、その紫外線暴露試験の結
果は50時間後の吸収残存率は52%であった。
の替りにジメチル−β−シクロデキストリンを染料と
1:5の割合で混合する他は実施例1と同様にして、帯
電防止処理型光選択吸収膜得、その紫外線暴露試験の結
果は50時間後の吸収残存率は52%であった。
【0016】
【0017】実施例3.シリコーン樹脂(オルガノポリ
シロキサン系樹脂)100重量部、ベンゾフェノン系増
感剤3重量部に対し、0.1重量部のジアゾ系染料{商
品名:RGB−R(大日精化製)}を混練したインキに
カフェイン、ジメチルーβを各々0.02重量部づつア
セトンーキシレン混合溶剤とともに混入させる。この混
合物を陰極線管に約8μmになるように塗布し、1KW
のメタルハライドランプを20秒照射し硬化させる。さ
らにこのものを1KWの高圧水銀ランプに400hrさ
らした。このものの染料残存率は70%であった。な
お、この時の色の変化を色差計で測定したところ△E=
0.72であった。
シロキサン系樹脂)100重量部、ベンゾフェノン系増
感剤3重量部に対し、0.1重量部のジアゾ系染料{商
品名:RGB−R(大日精化製)}を混練したインキに
カフェイン、ジメチルーβを各々0.02重量部づつア
セトンーキシレン混合溶剤とともに混入させる。この混
合物を陰極線管に約8μmになるように塗布し、1KW
のメタルハライドランプを20秒照射し硬化させる。さ
らにこのものを1KWの高圧水銀ランプに400hrさ
らした。このものの染料残存率は70%であった。な
お、この時の色の変化を色差計で測定したところ△E=
0.72であった。
【0018】これらの実施例では安定化物質としてカフ
ェイン、シクロデキストリなどを使用したがこれに限ら
れるものではなく前述した様な種々の安定化物質でも効
果の程度は材料および添加量により若干ことなるが同様
の効果を得ることが出来る。また上記実施例に示したよ
うに、帯電防止処理型光選択吸収膜20を形成するため
の光選択吸収塗液中に安定化物質16を添加混合した
り、あらかじめ染料を安定化物質16と化学的に結合さ
せて安定化しておいてからベ−ス塗液に混合して光選択
吸収塗液としても同様の効果をえることができる。以上
は主として、従来の帯電防止処理型カラ−陰極線管の透
明導電膜に染料を混合して光選択吸収特性を持たせた場
合の帯電防止処理型光選択吸収膜の紫外線に対する耐光
性の安定化について述べたがこの発明はこれに限られる
ものではなく帯電防止機能を持たない光選択吸収機能の
みの光選択吸収膜付カラ−陰極線管にも同様に適用でき
る。
ェイン、シクロデキストリなどを使用したがこれに限ら
れるものではなく前述した様な種々の安定化物質でも効
果の程度は材料および添加量により若干ことなるが同様
の効果を得ることが出来る。また上記実施例に示したよ
うに、帯電防止処理型光選択吸収膜20を形成するため
の光選択吸収塗液中に安定化物質16を添加混合した
り、あらかじめ染料を安定化物質16と化学的に結合さ
せて安定化しておいてからベ−ス塗液に混合して光選択
吸収塗液としても同様の効果をえることができる。以上
は主として、従来の帯電防止処理型カラ−陰極線管の透
明導電膜に染料を混合して光選択吸収特性を持たせた場
合の帯電防止処理型光選択吸収膜の紫外線に対する耐光
性の安定化について述べたがこの発明はこれに限られる
ものではなく帯電防止機能を持たない光選択吸収機能の
みの光選択吸収膜付カラ−陰極線管にも同様に適用でき
る。
【0019】
【発明の効果】以上説明した通り、この発明はカラ−陰
極線管のフェ−スプレ−ト部外面に、光選択吸収塗液を
塗布し成膜した光選択吸収膜を設けたものにおいて、上
記光選択吸収塗液はベ−ス塗料であるアルキルシリケー
トまたはシリコーン樹脂に染料並びにこの染料と化学的
に結合し染料を化学的に安定化する核酸塩基類似体、シ
クロデキストリン、フラボン及びデオキシコ−ル酸の内
の少なくとも一種を含有することを特徴とするものを用
いることにより、光選択吸収膜が透明性を有するととも
に、太陽光等の外光中に含まれる紫外線や、陰極線管か
らの可視光および紫外線による退色の防止され安定した
外光吸収特性を持ち、退色の現象を減じることができ、
品質および耐久性に優れた光選択吸収膜付カラ−陰極線
管を提供することができる。
極線管のフェ−スプレ−ト部外面に、光選択吸収塗液を
塗布し成膜した光選択吸収膜を設けたものにおいて、上
記光選択吸収塗液はベ−ス塗料であるアルキルシリケー
トまたはシリコーン樹脂に染料並びにこの染料と化学的
に結合し染料を化学的に安定化する核酸塩基類似体、シ
クロデキストリン、フラボン及びデオキシコ−ル酸の内
の少なくとも一種を含有することを特徴とするものを用
いることにより、光選択吸収膜が透明性を有するととも
に、太陽光等の外光中に含まれる紫外線や、陰極線管か
らの可視光および紫外線による退色の防止され安定した
外光吸収特性を持ち、退色の現象を減じることができ、
品質および耐久性に優れた光選択吸収膜付カラ−陰極線
管を提供することができる。
【図1】この発明の実施例に係わるフェ−スプレ−ト部
の部分拡大断面図である。
の部分拡大断面図である。
【図2】光選択吸収膜の吸収深さ(%)の暴露時間(時
間)による変化を示す特性図である。
間)による変化を示す特性図である。
【図3】光選択吸収膜の紫外線に対する耐光性の評価方
法を示す構成図である。
法を示す構成図である。
【図4】光選択吸収膜の光学特性を説明する為のスペク
トル図である。
トル図である。
【図5】従来の帯電防止処理陰極線管の帯電防止の原理
を説明する構成図である。
を説明する構成図である。
【図6】電源のONとOFFによるフェ−スプレ−ト部
の表面電位変化を示す特性図である。
の表面電位変化を示す特性図である。
【図7】従来の帯電防止処理型光選択吸収膜付カラ−陰
極線管の構成図である。
極線管の構成図である。
【図8】従来のフェ−スプレ−ト部の部分拡大断面図で
ある。
ある。
4 フェ−スプレ−ト 13 染料 14 ベース塗料 16 安定化物質 20 光選択吸収膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥田 博志 長岡京市馬場図所1番地 三菱電機株式 会社 京都製作所内 (72)発明者 滝沢 智紀 長岡京市馬場図所1番地 三菱電機株式 会社 京都製作所内 (72)発明者 高橋 健造 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 材料研究所内 (72)発明者 上坂 和夫 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電 機株式会社 材料研究所内 (56)参考文献 特開 平3−11532(JP,A) 特開 平2−46403(JP,A) 特開 昭62−100558(JP,A) 特開 昭61−285403(JP,A) 特開 昭62−10602(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 29/88
Claims (1)
- 【請求項1】 カラ−陰極線管のフェ−スプレ−ト部外
面に、光選択吸収塗液を塗布し成膜した光選択吸収膜を
設けたものにおいて、上記光選択吸収塗液はベ−ス塗料
であるアルキルシリケートまたはシリコーン樹脂に染料
並びにこの染料と化学的に結合し染料を化学的に安定化
する安定化物質である、核酸塩基類似体、シクロデキス
トリン、フラボン及びデオキシコ−ル酸の内の少なくと
も一種を含有することを特徴とする光選択吸収膜付カラ
−陰極線管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3054916A JP2989915B2 (ja) | 1991-03-19 | 1991-03-19 | 光選択吸収膜付カラー陰極線管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3054916A JP2989915B2 (ja) | 1991-03-19 | 1991-03-19 | 光選択吸収膜付カラー陰極線管 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04315739A JPH04315739A (ja) | 1992-11-06 |
JP2989915B2 true JP2989915B2 (ja) | 1999-12-13 |
Family
ID=12983935
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3054916A Expired - Fee Related JP2989915B2 (ja) | 1991-03-19 | 1991-03-19 | 光選択吸収膜付カラー陰極線管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2989915B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3463867B2 (ja) * | 1999-09-24 | 2003-11-05 | 富士電機株式会社 | 蛍光色変換膜、それを用いた蛍光色変換フィルターおよび該蛍光色変換フィルターを具備した有機発光素子 |
-
1991
- 1991-03-19 JP JP3054916A patent/JP2989915B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04315739A (ja) | 1992-11-06 |
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