JP2585641Y2 - ミシンの上送り装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ミシンベッド内部の本
来の送り歯（下送り歯）に同期した送り動作をなす送り
歯（上送り歯）をミシンベッドの上部に配し、両送り歯
により縫製生地の上下に送り力を加えて針落ち位置に送
り込むようになしたミシンの上送り装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ミシンによる縫製は、ミシンベッド上に
供給される縫製生地をミシンアームから垂下された押え
金により針落ち位置の前後に亘って挾持し、一般的に
は、ミシンベッドに内蔵された送り歯により、前記縫製
生地に送りを加えて行われる。前記送り歯は、ミシンア
ーム内部の主軸に公知の送り機構を介して連結され、ミ
シン各部の動作に連動した所定の送り動作、具体的に
は、送り方向に沿う略鉛直な面内での長円運動を行い、
この運動軌跡の上部においてミシンベッド上に突出し、
この突出時に前記押え金の下面との間に縫製生地を挾圧
して送り力を付与する構成となっている。

【０００３】ところが以上の如き縫製に際しては、前記
送り歯による送り力の付与が縫製生地の下側から行われ
るため、例えば、滑り易い素材からなる縫製生地を複数
枚重ねて縫製する場合等、送り力が加わる下側の生地と
押え金に沿って滑動する上側の生地との間にずれが生じ
易く、縫いずれのない良好な縫製品を得るためには、針
落ち位置の前側において作業者の手加減による微妙な送
り調節を要する不都合があり、生産性の向上を阻害する
一因となっている。

【０００４】そこで各種の工業用ミシンにおいては、ミ
シンベッド内部の本来の送り歯（下送り歯）に加えて、
該下送り歯と同期した送り動作をなす上送り歯を針落ち
位置近傍のミシンベッド上に配し、ミシンベッド上に供
給される縫製生地を上下の送り歯間に挾持して、縫製生
地の上下両側に送り力を付与する構成とした上送り装置
が装備されることがある。

【０００５】図４及び図５は、従来の上送り装置を備え
たミシンの針落ち位置近傍の側断面図である。図中Ａは
ミシンアーム、Ｂはミシンベッドであり、ミシンアーム
Ａの下方に対向するミシンベッドＢ上には針板Ｃが架設
されている。このミシンでの縫製は、図４中に白抜矢符
にて示す向きに針板Ｃの上面に沿って送られる縫製生地
Ｗ₁ ，Ｗ₂ に対して行われ、図４は、縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ
₂ への送り力の付与状態を示し、図５は、同じく非付与
状態を示している。

【０００６】ミシンアームＡは、縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の
送り方向前後に並び、共に針板Ｃに向けて鉛直下方に垂
下された針棒10、押え棒20、及び上送り軸30を備えてい
る。送り方向前側の針棒10は、ミシンアームＡに嵌着固
定したブッシュ11に上下方向への摺動自在に支持され、
ミシンアームＡ内部の図示しない主軸からの伝動に応じ
て上下動するようになしてある。針棒10の垂下端には、
針止め12を介して針１が固定してあり、針棒10の上下動
に伴って針１は、針板Ｃの上下に亘る所定ストローク間
での上昇，下降を繰り返す。

【０００７】針棒10の後側に位置する押え棒20は、ミシ
ンアームＡに嵌着固定されたブッシュ21に上下方向への
摺動自在に支持されており、エアシリンダ等の図示しな
いアクチュエータの動作に応じて上下動するようになし
てある。押え棒20の垂下端には、押えホルダ22及び押え
アーム23を介して押え金２が取付けられており、該押え
金２は、前記押え棒20の上下動に伴って昇降し、図示の
如く、下降時に針板Ｃ上の縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ に弾接し
て、針板Ｃとの間に縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ を挾持する作用
をなす。

【０００８】押え棒20の後側には、ミシンベッドＢを臨
むミシンアームＡの先端下部に、縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の
送り方向と直交する略水平な軸回りに回動自在に円柱形
の保持筒31が枢支されており、前記上送り軸30は、該保
持筒31にその軸心を直交させて嵌着保持されたブッシュ
32に、軸長方向への摺動自在に嵌挿されている。上送り
軸30の上端は、ミシンアームＡ内部の図示しない主軸に
公知の伝動機構を介して連繋させてあり、主軸の回転に
応じて上送り軸30は、縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の送り方向に
沿う略鉛直な面内にて、保持筒31を枢軸としてブッシュ
32と共に揺動し、またブッシュ32に対して軸長方向に摺
動するようになしてある。

【０００９】ミシンベッドＢに向けて垂下された前記上
送り軸30の下端には、送り歯ホルダ33がねじ止め固定さ
れ、この送り歯ホルダ33から前方に延びる送りアーム34
の先端には、鋸歯状をなす上送り歯35が、針１の前方の
押え金２の上面に臨ませて固設してあり、上送り軸30の
前述した動作を送り歯ホルダ33及び送りアーム34を介し
て上送り歯35に伝達し、該上送り歯35に送り動作を行わ
せる上送り装置３を構成している。

【００１０】また、針板Ｃ下側のミシンベッドＢの内部
には、前後一対の下送り歯5a，5bが配してあり、前方の
下送り歯5aは、針板Ｃの対応位置に形成された送り溝6
a、及び押え金２の前部に形成された送り溝7aを介して
前記上送り歯35に対向させてあり、後方の下送り歯5b
は、針板Ｃの対応位置に形成された送り溝6bを介して、
押え金２の後部下面に対向させてある。これらの下送り
歯5a，5bは共に、ミシンベッドＢ内部の公知の伝動機構
を介してミシンアームＡの主軸に連繋され、前記縫製生
地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の送り方向に沿う略鉛直な面内にて長円形
の軌跡を描く送り動作を、針１の上昇及び下降に同期し
て行うようになしてある。

【００１１】即ち下送り歯5a，5bは、針１の先端が針板
Ｃの上部にある間には、図４に示す如く針板Ｃの上側に
突出し、押え金２を押し上げつつ夫々の送り溝6a，6bに
沿って後方向に移動して、前記押え金２との間に挾持さ
れた縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ に送り力を付与する一方、針１
の先端が針板Ｃの下部にあり、縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の縫
い合わせが行われている間には、図５に示す如く、針板
Ｃの下側に退入し、次なる送りに備えて前方向へ移動す
る。

【００１２】一方この間、下送り歯5aの上部に対向する
上送り歯35は、上送り軸30の前述した動作に応じて、下
送り歯5aと同一面内にて長円形の軌跡を描く送り動作を
なすが、この送り動作は、下送り歯5aと逆回りに上下逆
の位相にて行われるようになしてある。即ち上送り歯35
は、針１の先端が針板Ｃの上部にある間には、図４に示
す如く、押え金２前部の送り溝7aを経て縫製生地Ｗ₁ ，
Ｗ₂ に上側から押し付けられつつ後方向に移動し、該縫
製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ に送り力を付与し、針１の先端が針板
Ｃの下部にあり、縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の縫い合わせが行
われている間には、図５に示す如く、針板Ｃの上方に離
隔して、次なる送りに備えて前方向に移動する。

【００１３】以上の如き上送り装置３を備えたミシンに
おいては、縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の送り方向に沿う略鉛直
な面内にて生じる上送り軸30の動作により、上送り歯35
がミシンベッドＢに内蔵された下送り歯5a，5bと同期し
た長円運動をなし、前記縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ は、上下の
送り歯5a，35間に挾持され、上下両側から送り力を付与
されつつ針落ち位置に送り込まれることになり、上下の
縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ 間に縫いずれがない良質な縫製品が
高い生産性にて得られる上、上送り歯35の送り量を意識
的に増すことにより、作業者の手作業に頼ることなく安
定したいせ込み縫いが行えるようになる。

【００１４】

【考案が解決しようとする課題】さて、以上の如き従来
の上送り装置３において、上送り歯35の動作は、ミシン
アームＡに枢支された保持筒31を枢軸とする上送り軸30
の揺動と、保持筒31にその中途部を嵌着保持されたブッ
シュ32に対する上送り軸30の摺動とにより生じ、前記保
持筒31は、上送り軸30と共にブッシュ32を保持するため
に太径とならざるを得ないことから、図４及び図５に示
す如く、押え棒20の後側においてミシンアームＡの一部
を厚肉化し、保持筒31の枢支部を確保している。

【００１５】ところが、上送り装置３は縫製の実現のた
めに必須の装置ではないことから、他の部分が同一仕様
である機種において、上送り装置３なしの一般的な機種
と、上送り装置３付きの機種とを提供する場合が多く、
この場合、前者において保持筒31を枢支するための厚肉
部は不要であることから、前記２機種の夫々に対し別個
に型取りされたミシンアームＡを必要とし、特に、生産
台数の少ない機種において、製品コストの上昇を招く難
点があった。

【００１６】更に、上送り装置３なしの機種を上送り装
置３付きの機種にグレードアップする場合、ミシンアー
ムＡ自体の交換が必要となり、使用者に多大の費用負担
を強いるという問題があった。

【００１７】本考案は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、上送り軸の支持のためのミシンアームの厚肉化
を不要とし、一般的な機種と共通のミシンアームの使用
を可能とするミシンの上送り装置を提供することを目的
とする。

【００１８】

【課題を解決するための手段】本考案に係るミシンの上
送り装置は、ミシンベッド上の縫製生地の送り経路を臨
むミシンアームの先端部に支持され、この支持部を枢軸
とする揺動と軸長方向の摺動とを、前記送り経路に沿う
略鉛直な面内にて行う上送り軸を備え、該上送り軸の下
端に取り付けた上送り歯とミシンベッドに内蔵された下
送り歯とにより、前記縫製生地の上下に送り力を加えて
針落ち位置に送り込むようにしたミシンの上送り装置に
おいて、前記ミシンアームの先端部に外付け固定され、
前記上送り軸の支持部を内蔵する支持ブロックを具備す
ることを特徴とする。

【００１９】

【作用】本考案においては、ミシンベッド上の縫製生地
の送り経路を臨むミシンアームの先端部に、該ミシンア
ームと別個に構成された支持ブロックを外付け固定し、
この支持ブロックの内部に上送り装置の駆動軸となる上
送り軸の支持部を構成して、この支持のためのミシンア
ームの厚肉化を不要とし、一般的な機種と共通のミシン
アームの使用を可能とする。

【００２０】

【実施例】以下本考案をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図１及び図２は、本考案に係る上送り装置
を備えたミシンの針落ち位置近傍の側断面図である。こ
れらの図は、図４及び図５と同様、ミシンベッドＢ上に
架設された針板Ｃの上面にに沿って白抜矢符にて示す向
きに送られる縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の縫製状態を示してお
り、図１は、縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ への送り力の付与状態
を、図２は、同じく非付与状態を夫々示している。

【００２１】針板Ｃの上部には、ミシン各部の駆動源と
なる図示しない主軸、及び該主軸に連繋された伝動機構
を内蔵するミシンアームＡの先端部が臨ませてあり、こ
の先端部には、共に針板Ｃに向けて鉛直下方に垂下され
た針棒10、押え棒20、及び上送り軸30が、縫製生地
Ｗ₁ ，Ｗ₂ の送り方向前後に並設されている。なお、送
り方向前側に位置し、針１の昇降に関わる送り方向前側
の針棒10と、これの後側に位置し、針板Ｃとの間に縫製
生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ を挾圧する押え金２を保持する押え棒20
とは、従来のそれらと同様のものであり、図４及び図５
と同一の参照符号を付して、構成及び動作の説明を省略
する。

【００２２】本考案の特徴は、押え棒20の後側に構成さ
れた上送り装置３にあり、更に詳しくは、上送り装置３
の駆動軸となる前記上送り軸30の支持構造に特徴を有す
る。上送り軸30は、従来と同様、ミシンアームＡの先端
部に支持されており、この支持部を枢軸とする揺動と軸
長方向の摺動とを、縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の送り経路に沿
う略鉛直な面内にて行うが、本考案に係る上送り装置３
においては、上送り軸30の支持部が、ミシンアームＡの
先端部下側に外付け固定された支持ブロック４に内蔵さ
れている。

【００２３】図３は、支持ブロック４の内部構造を示す
図２の III−III 線による拡大断面図である。本図に示
す如く支持ブロック４は、矩形箱形をなすブロックであ
り、相隣する２面に夫々の開口を有し、互いに直交する
方向に貫通形成された保持孔40と挿通孔41とを備えてい
る。上送り軸30の保持体となる保持筒31は、前記保持孔
40に外側から嵌挿され、該保持孔40の開口面に夫々固着
された蓋板42，42により軸長方向の移動を拘束して取り
付けてある。

【００２４】前記保持筒31は、これの中央部を軸心に直
交する向きに貫通する貫通孔を備えており、この貫通孔
には、円筒状をなすブッシュ32が嵌挿され、その略中央
部において保持筒31の一端面側から止めねじ43により固
定してある。前記上送り軸30は、このように保持筒31に
嵌着保持されたブッシュ32に軸長方向への摺動自在に内
嵌されている。

【００２５】なお、以上の如き保持筒31及びブッシュ32
の組み付けは、支持ブロック４の保持孔40への嵌挿後に
保持筒31を回転させ、支持ブロック４に形成された挿通
孔41にブッシュ32固定用の貫通孔を整合せしめ、該貫通
孔に前記挿通孔41の外側からブッシュ32を挿入し、前記
止めねじ43による所定位置での固定の後に支持ブロック
４の両側に蓋板42，42を固定して、保持孔40の開口端を
閉塞する手順により実現される。

【００２６】このように組み上げられた支持ブロック４
は、ブッシュ32に嵌挿された上送り軸30と共に、ミシン
アームＡの先端部下面に固定されている。この固定の
後、上送り軸30の上端は、ミシンアームＡ内部の図示し
ない主軸に公知の伝動機構を介して連繋され、主軸の回
転に応じて上送り軸30は、保持筒31を枢軸とする前記挿
通孔41の内側範囲内での揺動と、保持筒31と直交するブ
ッシュ32に対する軸長方向の摺動とを同時に行うように
なしてある。支持ブロック４の固定は、図１及び図２に
示す如く、上送り軸30の揺動軸となる保持筒31の軸心が
略水平な面内にて縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の送り方向に直交
するように位置決めして行われており、主軸の回転に応
じた上送り軸30の前述した動作は、縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂
の送り方向に沿う略鉛直な面内にて生じる。

【００２７】本考案に係る上送り装置３は、以上の如く
支持された上送り軸30の下端部に送り歯ホルダ33をねじ
止め固定し、該送り歯ホルダ33から前方に延びる送りア
ーム34の先端に鋸歯状をなす上送り歯35を固設して、針
１の前方の押え金２の上面に臨ませてなる。この上送り
歯35は、前述した如き上送り軸30の動作により、縫製生
地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の送り方向に沿う略鉛直な面内において、
図１，図２に矢符にて示す長円形の軌跡に沿う送り動作
を、主軸の回転に同期して繰り返す。

【００２８】一方、針板Ｃ下側のミシンベッドＢの内部
には、前後一対の下送り歯5a，5bが配してある。前方の
下送り歯5aは、針板Ｃの対応位置に形成された送り溝6
a、及び押え金２の前部に形成された送り溝7aを介して
前記上送り歯35に対向させてあり、後方の下送り歯5b
は、針板Ｃの対応位置に形成された送り溝6bを介して、
押え金２の後部下面に対向させてある。これらの下送り
歯5a，5bは共に、ミシンベッドＢ内部の公知の伝動機構
を介してミシンアームＡの主軸に連繋されており、該主
軸からの伝動に応じて、前記上送り歯35と同様、縫製生
地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の送り方向に沿う略鉛直な面内において、
図中に矢符にて示す長円形の軌跡に沿う送り動作を繰り
返すようになしてある。

【００２９】下送り歯5a，5bの送り動作は、主軸の回転
に応じた針１の昇降動作に同期して行われる。即ち、針
１の先端が針板Ｃの上部にある間には、前記軌跡の上半
部の動作が行われ、下送り歯5a，5bは、図１に示す如く
針板Ｃの上側に突出し、押え金２を押し上げつつ夫々の
送り溝6a，6bに沿って後方向に移動して、前記押え金２
との間に挾圧保持した縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ に送り力を付
与し、逆に、針１の先端が針板Ｃの下部にあり、縫製生
地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の縫い合わせが行われている間には、前記
軌跡の下半部の動作が行われ、下送り歯5a，5bは、図２
に示す如く、針板Ｃの下側に退入して、次なる送りに備
えて前方向へ移動する。

【００３０】一方この間、下送り歯5aの上部に対向する
上送り歯35もまた、針１の昇降に同期した送り動作をな
すが、この送り動作は、下送り歯5aと逆回りに上下逆の
位相にて行われる。即ち上送り歯35は、針１の先端が針
板Ｃの上部にある間には、前記軌跡の下半部の動作を行
い、図１に示す如く、押え金２前部の送り溝7aを経て縫
製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の上部に押し付けられ、送り溝7aに沿
って後方向に移動して前記縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ に送り力
を付与し、逆に、針１の先端が針板Ｃの下部にあり、縫
製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の縫い合わせが行われている間には、
前記軌跡の上半部の動作を行い、図２に示す如く、針板
Ｃの上部に離隔し、次なる送りに備えて前方向へ移動す
る。

【００３１】この結果、針板Ｃ上の縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂
は、上下の送り歯5a，35間に挾持され、上下両側から送
り力を付与されつつ針落ち位置に送り込まれることにな
り、上下の縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ 間に縫いずれがない良質
な縫製品が高い生産性にて得られ、また上送り歯35の送
り量を意識的に増すことにより、作業者の手作業に頼る
ことなく安定したいせ込み縫いが行えるようになる。

【００３２】そして本考案に係る上送り装置３において
は、縫製生地Ｗ₁ ，Ｗ₂ の送り方向に沿う略鉛直な面内
での揺動と、この揺動軸に直交する向きの摺動とによ
り、上送り歯35に前述した送り動作を行わしめる上送り
軸30の支持部が、ミシンアームＡに外付け固定された支
持ブロック４内に構成されており、前述した動作可能に
上送り軸30を支持する太径の保持筒31の枢支のためにミ
シンアームＡ自体を厚肉化する必要がない。これによ
り、共通のミシンアームＡを使用して、上送り装置３付
きの機種と上送り装置３なしの機種とに対応できるよう
になり、製品コストの低廉化を図ることができ、また、
上送り装置３付きの機種へのグレードアップに際し、ミ
シンアームＡ交換のための費用負担を使用者に強いるこ
とがない。

【００３３】

【考案の効果】以上詳述した如く本考案に係るミシンの
上送り装置においては、上送り歯に送り動作を行わしめ
るべく複雑な動作をなす上送り軸の支持部を、ミシンア
ームに外付け固定された支持ブロックに内蔵したから、
上送り軸の支持部を確保するためにミシンアームの一部
を厚肉化する必要がなく、一般的な機種と共通のミシン
アームの使用により上送り装置付きの機種が実現できる
ようになり、製品コストの低廉化が図れる等、本考案は
優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る上送り装置を備えたミシンにおけ
る縫製生地への送り力の付与状態を示す針落ち位置近傍
の側断面図である。

【図２】本考案に係る上送り装置を備えたミシンにおけ
る縫製生地への送り力の非付与状態を示す針落ち位置近
傍の側断面図である。

【図３】上送り軸の支持構造を示す図２の III−III 線
による拡大断面図である。

【図４】従来の上送り装置を備えたミシンにおける縫製
生地への送り力の付与状態を示す針落ち位置近傍の側断
面図である。

【図５】従来の上送り装置を備えたミシンにおける縫製
生地への送り力の非付与状態を示す針落ち位置近傍の側
断面図である。

【符号の説明】

１ 針 ２ 押え金 ３ 上送り装置 ４ 支持ブロック 5a 下送り歯 5b 下送り歯 10 針棒 20 押え棒 30 上送り軸 31 保持筒 32 ブッシュ 35 上送り歯 Ａ ミシンアーム Ｂ ミシンベッド Ｃ 針板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) D05B 27/04 D05B 27/06 D05B 73/02

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ミシンベッド上の縫製生地の送り経路を
   臨むミシンアームの先端部に支持され、この支持部を枢
   軸とする揺動と軸長方向の摺動とを、前記送り経路に沿
   う略鉛直な面内にて行う上送り軸を備え、該上送り軸の
   下端に取り付けた上送り歯とミシンベッドに内蔵された
   下送り歯とにより、前記縫製生地の上下に送り力を加え
   て針落ち位置に送り込むようにしたミシンの上送り装置
   において、前記ミシンアームの先端部に外付け固定さ
   れ、前記上送り軸の支持部を内蔵する支持ブロックを具
   備することを特徴とするミシンの上送り装置。