JP2584948B2 - コンベヤ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一枚ずつ供給される金
属板，硬質合成樹脂板，木板等の平板材を搬送し、その
搬送途上の定位置で自動的に離脱させるコンベヤ装置に
関するものであり、例えば所要の加工部位より取り出さ
れる前記平板材をスタック台等に積層状態に集積する場
合等に好適に利用される。

【０００２】

【従来の技術】自動車用外板や冷蔵庫用壁板等に使用さ
れる板材は、プレス等で所定の寸法形状に切断加工した
り研摩や塗装等の表面加工を施したのち、加工部位より
順次一枚ずつべルトコンベヤで搬出して一か所に集積
し、多数枚をまとめた形で運搬や保管を行う。この集積
においては、べルトコンベヤより収容ケース等に直接に
落とし込むと乱雑に重なって変形や損傷を生じる恐れが
あるため、一般的には、搬送時の慣性を利用して板材を
べルトコンベヤより前方へ放出し、その前端をスタック
台のストッパー部に当てることにより、前端位置を突き
揃える形で順次上下に積み重ねる手段が採用されてい
た。しかるに、この手段では、べルトコンベヤより放出
された板材の前端が先に積層された板材の表面を擦過す
るため、擦り傷を生じ易いという難点があり、特に鏡面
板等のように表面傷によって商品価値が著しく損なわれ
る板材には適用困難であった。

【０００３】そこで、近年においては、図８及び図９に
示すように、加工部位より搬出べルトコンベヤＣ１上に
載って運ばれて来る平板材Ｐを、スタッキング用コンベ
ヤＣ２，Ｃ３のベルト下面側に吸着させて搬送し、その
搬送途上の定位置で吸着を解除することにより、下方に
配置している昇降式のスタック台Ｓ上に落下させて積み
重ねる手段が多用される傾向にある。

【０００４】しかして、図８のスタッキング用コンベヤ
Ｃ２では、搬送ベルトＢ２の下側の水平移動行程に沿っ
てベルト背面側に複数の電磁レールＭ…が一定ピッチで
配列しており、その磁力によって平板材Ｐを吸着して搬
送し、スタック台Ｓ上に来た際に電磁レールＭへの通電
を停止するように設定されている。一方、図９のスタッ
キング用コンベヤＣ３では、同じく搬送ベルトＢ３の下
側の水平移動行程に沿ってベルト背面側に複数の真空チ
ャンバーＶ…が配列しており、図１０の如く各真空チャ
ンバーＶの下面に設けた多数の吸引孔Ｈ１…と搬送ベル
トＢ３に設けた多数の透孔Ｈ２…とを介して平板材Ｐを
真空吸着して搬送し、、スタック台Ｓ上に来た際に真空
チャンバーＶの真空引きを停止するように設定されてい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
磁力吸着式スタッキング用コンベヤＣ２では、吸着し得
る平板材Ｐが磁性金属製のものに限られ、非磁性材料か
らなる板材には全く適用できないという致命的な難点が
あり、また真空吸着式スタッキング用コンベヤＣ３で
は、真空チャンバーＶ…の平板材Ｐと接していない表面
部の吸引孔Ｈ１…より空気が内部に流入するため、真空
吸引の効率が悪く、充分な吸着力を発揮する上で真空チ
ャンバーＶ…における吸引排気量を非常に大きく設定す
る必要があり、そのために真空ポンプ等の吸引機構が大
型化するという欠点があった。更に、これらスタッキン
グ用コンベヤＣ２，Ｃ３では、搬送ベルトＢ２，Ｂ３を
電磁レールＭ…の磁気吸着力や真空チャンバーＶ…の真
空吸着力に抗して強制的に周回走行させることから、そ
の駆動に要するトルクが極めて大きくなり、強力な駆動
装置を必要とし、設備コスト及びエネルギーコストが高
く付く上、搬送ベルトＢ２，Ｂ３が走行中に作用する強
い引張力によって伸び易く、そのために早期のベルト交
換を余儀なくされるという問題もあった。

【０００６】本発明は、上述の状況に鑑み、一枚ずつ供
給される平板材を搬送ベルト部の下面側に吸着して搬送
し、搬送途上の定位置で自動的に離脱させるコンベヤ装
置として、適用する平板材の材質に制約がなく、しかも
吸着効率が高く、吸着力の発生機構部を小型化できる
上、搬送ベルト部の駆動トルクが非常に小さくて済み、
強力な駆動装置を必要とせず、且つ搬送ベルト部の耐久
性に優れるものを提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項１に係るコンベヤ装置１０は、エン
ドレス走行する一対のチェーン１，１間に、内部を真空
吸引室２ａとする多数本の中空バー２…が架設されて搬
送ベルト部１１を構成し、各中空バー２がコンベヤ周回
の外側に臨む複数の吸引孔３…を備えると共に、各吸引
孔３内には弁座５とばね力により開弁方向に付勢されて
該弁座５の外側に配置した弁体６とを有し、更に中空バ
ー２の長手方向両端面の一方に排気口４を、他方に給気
口１３をそれぞれ有し、各中空バー２が吸引孔３…を下
向きとして水平移動する往動行程１１ａの両側に、各中
空バー２の両端面とそれぞれ気密状態で摺接する固定枠
部７ａ，７ｂを備え、このうち中空バー２の排気口４側
に摺接する固定枠部７ａに、真空吸引路８に連通した複
数の通気孔９ａ…が当該摺接部に沿って所定間隔置きに
開設され、また中空バー２…の給気口１３側と摺接する
固定枠部７ｂに、圧縮空気導入路１４に連通した複数の
通気孔９ｂ…が当該摺接部に沿って所定間隔置きに開設
されてなる構成を採用したものである。

【０００８】請求項２は、上記請求項１のコンベヤ装置
１０において、固定枠部７ａにおける通気孔９ａ…の配
設ピッチとチェーン１，１における中空バー２…の架設
ピッチとが同一であり、各中空バー２の排気口４の移送
方向幅ｗが隣接する通気孔９ａ，９ａの口縁最短距離ｄ
よりも大きく設定されてなる構成を採用したものであ
る。

【０００９】請求項３は、上記請求項１のコンベヤ装置
１０において、中空バー２の吸引孔３…を有する表面部
が弾性層１２にて構成されてなるものである。

【００１０】請求項４は、上記請求項１のコンベヤ装置
１０において、圧縮空気導入路８に外的操作にて開閉動
作する開閉弁２５が介挿されると共に、真空吸引路８に
圧縮空気導入路１４より中空バー２内に圧縮空気を導入
した際の空気圧によって当該真空吸引路８を遮断する開
閉弁１５が介挿されてなる構成を採用したものである。

【００１１】請求項５は、上記請求項１のコンベヤ装置
１０において、固定枠部７ａ，７ｂがチェーン１，１の
ガイドレールを構成するものである。

【００１２】

【作用】請求項１のコンベヤ装置１０では、真空吸引路
８から吸引排気を行うことにより、搬送ベルト部１１を
構成する各中空バー２の内部が固定枠部７ａの通気孔９
ａを介して排気されて真空吸引室２ａを構成する。この
とき、各吸引孔３は、その外側が平板材Ｐによって覆わ
れていない状態では、内外の圧力差によって弁体６がば
ね力に抗して退入作動して弁座５に当接するため、閉塞
して外部の空気が真空吸引室２ａへ流入するのを防止し
ている。しかるに、平板材Ｐによって覆われた際、この
平板材Ｐによって外部空間と遮断された各吸引孔３…で
は弁部を挟む内外の圧力差がなくなることから、弁体６
がばね力によって進出作動して開弁し、真空吸引室２ａ
内の減圧に基づく吸引力が板体Ｐに作用する。なお、各
吸引孔３の弁座５と弁体６は閉弁時に完全密閉せず僅か
に洩れを生じ得る状態であればよく、これによって外側
を覆う平板材Ｐと弁部との間の空間内の空気が弁部の隙
間を通して排気されるため、上記のように弁部を挟む内
外の圧力差がなくなることになる。

【００１３】このコンベヤ装置１０によれば、中空バー
２…より構成される搬送ベルト部１１に板体Ｐが当接し
た際、この板体Ｐに覆われた表面領域にある吸引孔３…
のみが開放し、他の吸引孔３…は全て閉塞状態を維持し
て真空吸引室２ａへの空気の流入を防止するため、この
空気の流入による真空吸引力の低下が殆どなく、真空ポ
ンプ等による吸引排気量が小さい状態でも板体Ｐを強く
確実に吸着できることになる。しかして、平板材Ｐは、
各中空バー２が吸引孔３…を下向きとして水平移動する
往動行程１１ａにおいて搬送ベルト部１１の下面側に吸
着され、該搬送ベルト部１１の走行と共に前方へ搬送さ
れるが、この搬送途上で中空バー２…内の真空吸引を停
止することにより、該搬送ベルト部１１から離れて下方
へ落下するから、例えばプレス切断、研摩、塗装等の加
工部位より一枚ずつ搬出べルトコンベヤＣ１上に載って
運ばれて来る平板材Ｐを前部で受け取って搬送途上の所
定位置まで運び、下方に設置したスタック台Ｓ等へ落下
させて積層状態に集積させたり、他のコンベヤ装置上に
移載させることができる。また、この場合の真空吸引力
は搬送ベルト部１１の走行に対して殆ど抵抗とならな
い。

【００１４】またこのコンベア装置によれば、搬送途上
の所定位置で平板材Ｐを離脱させる際に、圧縮空気導入
路１４から通気孔９ｂを通して中空バー２内に圧縮空気
を導入することにより、真空吸引室２ａ内が真空破壊さ
れるから、平板材Ｐを吸着していた各吸引孔３の真空吸
引力が急速に失われ、平板材Ｐが搬送ベルト部１１から
迅速に離脱することになる。

【００１５】請求項２の構成によれば、搬送中におい
て、往動行程１１ａにある各中空バー２の排気口４が常
に固定枠部７ａの何れかの通気孔９ａ…に連通する状態
に保たれるため、排気口４の遮断による一時的な吸着力
低下が回避される。

【００１６】請求項３の構成によれば、中空バー２の吸
引孔３…を有する表面部が弾性層１２からなるため、そ
の表面と平板材Ｐの表面との密着性が向上し、該平板材
Ｐに対して真空吸引力がより効率よく作用することにな
る。

【００１７】請求項４の構成によれば、上記の平板材Ｐ
の離脱において、離脱領域にある圧縮空気導入路１４…
内を開閉弁２５の閉止状態で予め高圧にしておき、平板
材Ｐが離脱位置に来たときに開閉弁２５を開放すること
により、中空バー２内に圧縮空気が一気に導入され、こ
れと同時に真空吸引路８…側の開閉弁１５が導入空気圧
によって閉弁するから、真空吸引管８…からの吸引を続
行したままで該真空吸引室２ａからの排気が停止し、真
空吸引室２ａ内の圧力が瞬間的に高まり、各吸引孔３に
よる真空吸引力が瞬時に失われることになり、もって平
板材Ｐの搬送ベルト部１１からの離脱速度がより速ま
る。

【００１８】請求項５の構成によれば、往動行程１１ａ
の中空バー２…と摺接する固定枠部７ａ，７ｂがチェー
ン１，１のガイドレールと兼用するから、装置構成がよ
り簡略化されることになる。

【００１９】

【実施例】図１〜図７は本発明の一実施例に係るコンベ
ヤ装置１０を示す。このコンベヤ装置１０は、前後のス
プロケット１６，１６を介してエンドレス走行する左右
一対のチェーン１，１間に、左右方向に沿う多数本の中
空バー２…が、各両端部の背面側（コンベヤ周回の内
側）で図５に示すようにそれぞれボルト１７ａ及びナッ
ト１７ｂを介してＬ字形のチェーンリンク１ａに取り付
けることにより、密に架設されて搬送ベルト部１１を構
成すると共に、この搬送ベルト部１１が下方側を水平移
動する往動行程１１ａの左右両側に縦帯板状の固定枠部
７ａ，７ｂが平行に配置しており、両固定枠部７ａ，７
ｂの頂部上を往動行程１１ａ側のガイドレールとしてチ
ェーン１，１がチェーンローラ１ｂ…を転接しつつ走行
するようになっている。

【００２０】各中空バー２は、内部を真空吸引室２ａと
するアルミニウム押出型材等よりなる角パイプ１８の表
面側（コンベヤ周回の外側）にゴムや半硬質合成樹脂か
らなる弾性層１２が貼着され、この弾性層１２側の表面
に真空吸引室２ａと連通する複数の円形の吸引孔３…が
長手方向に沿って所定間隔置きに設けられ、また角パイ
プ１８の両端開口部にポリエチレン系，シリコーン系，
フッ素系等の滑性合成樹脂からなる矩形環状の口縁部材
１９，１９が嵌着されており、これら口縁部材１９，１
９を介して両側の固定枠部７ａ，７ｂの側面に対して気
密に摺接するように設定されている。しかして、各中空
バー２の固定枠部７ａと摺接する端面には矩形の排気口
４が開口すると共に、固定枠部７ｂと摺接する端面にも
矩形の給気口１３が開口している。

【００２１】中空バー２の角パイプ１８には、各吸引孔
３ごとに、図６に示すように周壁部に軸方向に長い複数
の切欠部２０ａ…を設けた略有底筒状の弁保持部材２０
が、その開口縁部を当該角パイプ１８の開口縁部１８ａ
に固着して内側に突出する形で設けられると共に、開口
縁部１８ａの外側に金属や硬質合成樹脂等の硬質材料か
らなる環状の弁座５が固着されている。しかして、各吸
引孔３内には上記同様の硬質材料からなる円板状の弁体
６が弁座５の外側に配置し、この弁体６に一体形成され
た弁杆６ａが弁保持部材２０の底壁を摺動自在に貫通す
ると共に、弁保持部材２０の内底部と弁体６との間に圧
縮コイルスプリング２１が装填されて弁体６を外側つま
り開弁方向に付勢している。なお、弁座５の外面側と弁
体６の内面側は相互に接合し得るテーパ面をなしている
が、接合状態で完全密閉はせず僅かな空気流通を許容す
る。また弁杆６ａの先端部には抜け止めリング６ｂが嵌
着されている。

【００２２】一方、図５に示すように両側の固定枠部７
ａ，７ｂには、それぞれ中空バー２…の端面との摺接部
に沿って多数の円形の通気孔９ａ…，９ｂ…が一定間隔
置きに設けてあり、通気孔９ａは固定枠部７ａの外側面
に接続した真空吸引管８に連通し、通気孔９ｂは固定枠
部７ｂの外側面に接続した圧縮空気導入管１４に連通し
ている。これら通気孔９ａ…，９ｂ…の配設ピッチはチ
ェーン１，１における中空バー２…の架設ピッチと同一
であり、図４に示すように、各中空バー２の排気口４の
移送方向幅ｗが隣接する通気孔９ａ，９ａの口縁最短距
離ｄよりも大となるように設定されている。なお、図示
を省略しているが、固定枠部７ｂ側の通気孔９ｂ…の配
置ピッチと各中空バー２の吸気口１３に対する寸法関係
も、固定枠部７ａ側の通気孔９ａと同様である。

【００２３】また図５に示すように、各真空吸引管８内
には、当該真空吸引管８の連結フランジ部８ａ，８ａ間
に前端フランジ部２２ａを挟んでボルト・ナット２３ａ
にて締め付け固定した略有底筒状の弁保持筒２２が装填
されており、この弁保持筒２２の前端内周縁に形成した
環状テーパ面からなる弁座１５ａと、その前方つまり固
定枠部７ａ側に配置して当該弁座１５ａに対向する外周
縁部を環状テーパ面とした円板状の弁体１５ｂと、該弁
体１５ｂを開弁方向に付勢する圧縮コイルスプリング１
５ｃとで開閉弁１５を構成している。この開閉弁１５は
前記した中空バー２の吸気孔１３内の弁部と同様の構造
であり、弁保持筒２２の弁座１５ａより後方の周壁部に
は軸方向に長い複数の切欠部２２ｂ…を有すると共に、
弁体１５ｂの後部側に一体形成した弁杆１５ｄが弁保持
筒２２の底壁部を摺動自在に貫通し、且つ該弁杆１５ｄ
の先端部に抜け止めリング１５ｅが嵌着されている。

【００２４】一方、圧縮空気導入管１４内には、外周縁
部を当該圧縮空気導入管１４の連結フランジ部１４ａ，
１４ａ間に挟んでボルト・ナット２３ｂにて締め付け固
定したリング状の弁座部材２４が配置しており、その内
周面に設けた凹円弧面状の弁座２５ａと、該弁座部材２
４を径方向に貫通する回転操作軸２５ｂに固着された凸
円弧面状の周面を有する円板状の弁体２５ｃとで、図５
の実線で示す閉弁姿勢と同仮想線で示す開弁姿勢とに転
換する開閉弁２５が構成されている。

【００２５】なお、図２に示すように、真空吸引管８…
は、その３本づつが真空ポンプ（図示省略）に接続する
一本の吸引本管２６から分岐する形で配置している。ま
た図示を省略したが、圧縮空気導入管１４…も真空吸引
管８…に対応して同様に３本づつがエアコンプレッサー
に接続した一本の導入本管から分岐している。

【００２６】上記構成のコンベヤ装置１０では、各圧縮
空気導入管１４の開閉弁２５を閉止した状態において、
吸引本管２６を介して各真空吸引管８より真空排気した
際、各中空バー２の真空吸引室２ａ内が固定枠部７ａの
通気孔９ａを介して排気されて減圧し、これに伴う内外
の圧力差により、各吸引孔３の弁体６が圧縮コイルスプ
リング２１の付勢に抗して退入作動して弁座５に嵌合
し、もって各吸気孔１３は閉塞して外部の空気が真空吸
引室２ａへ流入するのを防止する。ただし、弁座５と弁
体６の嵌合部は完全密閉はせず、僅かな空気流入があ
る。しかして、図６に示すように、平板材Ｐが中空バー
２の弾性層１２の表面に当接すると、吸気孔１３の開口
部が密閉されて平板材Ｐと弁部との間の空間内の空気が
該弁部の隙間から排気され、該弁部を挟む内外の圧力差
がなくなることから、弁体６が圧縮コイルスプリング２
１の蓄力によって進出作動して開弁し、真空吸引室２ａ
内の減圧に基づく吸引力が板体Ｐに作用する。

【００２７】従って、このコンベヤ装置１０によれば、
例えば図１に示すように、切断，研摩，塗装等の加工を
経た平板材Ｐを一枚ずつ上に載せて運んで来る搬出コン
ベヤＣ１の後部上に、搬送ベルト部１１の往動行程１１
ａの前部を当該平板材Ｐの厚みにほぼ相当する間隙を置
くように配置させることにより、該搬出コンベヤＣ上に
載って運ばれて来た平板材Ｐを搬送ベルト部１１で吸着
して搬送できるが、この板体Ｐに覆われていない表面領
域にある吸引孔３…は全て閉塞状態を維持し、且つ平板
材Ｐが各中空バー２の弾性層１２の表面に密着するた
め、外部からの真空吸引室２ａ内への空気の流入による
真空吸引力の低下が殆どなく、真空ポンプの吸引排気能
力が小さくとも板体Ｐを強く確実に吸着できる。また、
この搬送中においては、往動行程１１ａにある各中空バ
ー２の排気口４が常に固定枠部７ａの何れかの通気孔９
ａ…に連通する状態に保たれ、排気口４の遮断による一
時的な吸着力低下がないから、不用意に板体Ｐが落下す
る恐れはなく、且つ板体Ｐを吸着するための真空吸引力
が搬送ベルト部１１の走行に対して殆ど抵抗とならない
ことから、小さい駆動トルクで安定した搬送状態を確保
できる。

【００２８】しかして、この搬送途上の所定位置で中空
バー２…内の真空吸引を停止することにより、該平板材
Ｐは搬送ベルト部１１ａから離れて下方へ落下するか
ら、例えば下方に設置したスタック台Ｓ（図８及び図９
参照）等へ落下させて積層状態に集積したり、他のコン
ベヤ装置（図示省略）上に移載することができる。この
場合、単に真空ポンプを停止したり吸引本管２６に別途
に介在させた開閉弁（図示省略）を閉止してもよいが、
本実施例構成のコンベヤ装置１０においては、圧縮空気
導入管１４…を利用して真空吸引室２ａ内を急激に昇圧
させることにより、真空吸引管８…からの真空排気を続
行したままで、搬送ベルト部１１から板体Ｐを迅速に離
脱させることが可能である。

【００２９】すなわち、離脱領域にある圧縮空気導入管
１４…内を開閉弁２５の閉止状態で予め高圧にしてお
き、搬送中の板体Ｐが離脱させるべき所定位置に達した
時、前記離脱領域の圧縮空気導入管１４…の各開閉弁２
５を開放することにより、圧縮空気が固定枠部７ｂの通
気孔９ｂ…を通して各中空バー２の真空吸引室２ａ内に
一気に流入し、この流入圧によって真空吸引管８…の各
開閉弁１５は弁体１５ｂが圧縮コイルスプリング１５ｃ
の付勢に抗して退入作動して自動的に閉弁するから、該
真空吸引室２ａからの排気が停止し、真空吸引室２ａ内
の圧力が瞬間的に高まり、各吸引孔３による真空吸引力
が瞬時に失われる。従って、平板材Ｐを搬送ベルト部１
１から迅速に離脱させることができ、その落下位置を高
精度に設定できる。

【００３０】なお、上記離脱操作には既存の自動制御機
構を利用し、板体Ｐが所定位置に達した際、これを適当
なセンサーや近接スイッチ等で検出し、この検出信号に
基づいて開閉弁２５が自動的に開放作動するように設定
すればよい。しかして、板体Ｐを離脱させるべき定位置
より搬送下流側にある各真空吸引管８については真空排
気は停止しておけばよく、離脱領域以外の圧縮空気導入
管１４に対する圧縮空気の供給も行う必要はない。また
板体Ｐの搬送ベルト部１１からの離脱位置を変更する必
要がない場合、その位置より搬送下流側の真空吸引管８
ならびに離脱領域以外の圧縮空気導入管１４は言うまで
もなく省略できる。更に中空バー２の吸引孔３内に配置
する弁部５と弁体６を閉弁状態で完全密閉しないものと
するには、積極的に両者５，６の接合面に僅かな間隙を
生じるように寸法形状を設計してもよいが、通常では両
者５，６の製作時に生じる寸法誤差によって自ずと完全
密閉しない形になる。これは、両者５，６の製作時の加
工精度を厳密に設定する必要がないことを意味し、それ
だけ製作が容易になるという利点につながる。

【００３１】本発明のコンベヤ装置１０においては、中
空バー２における吸引孔３…の配置密度及び分布状態、
各吸引孔３内の弁部の構造、排気口４及び吸気口１３の
形状、固定枠部７ａ，７ｂの構造とそれらの通気孔９
ａ，９ｂの形状、真空吸引管８及び圧縮空気導入管１４
の管路構成とその内部の開閉弁１５，２５の構造、真空
吸引管８の管路構成等、細部構成については実施例以外
に種々設計変更可能である。

【００３２】

【発明の効果】請求項１の発明によれば、一枚ずつ供給
される平板材を搬送ベルト部の下面側に吸着して搬送
し、搬送途上の定位置で自動的に離脱させるコンベヤ装
置として、真空吸引によって吸着するために適用する平
板材の材質に制約がなく、しかも搬送ベルト部表面に吸
着のための多数の吸引孔を有するにも関わらず、板状材
料が当接した表面領域以外の吸引孔が全て閉止した状態
を保つことから、真空吸引効率が極めて高く、平板材を
強く吸着して確実に搬送できると共に、真空ポンプ等の
真空吸引機構部の著しい小型化が可能となる上、搬送ベ
ルト部の駆動トルクが非常に小さくて済み、強力な駆動
装置を必要とせず、もって設備コスト及び運転コストが
安く付き、且つ搬送ベルト部の耐久性に優れるものが提
供される。

【００３３】また請求項１の発明によれば、上記コンベ
ヤ装置として、搬送途上の所定位置で平板材を搬送ベル
ト部から離脱させる際に、中空バーの真空吸引室内に圧
縮空気を導入して真空破壊できるため、平板材を吸着し
ていた各吸引孔の真空吸引力を急速に低下させ、もって
該平板材を搬送ベルト部から迅速に離脱させて確実に定
位置に落下させ得るものが提供される。

【００３４】請求項２の発明によれば、上記コンベヤ装
置として、搬送ベルト部を構成する多数の中空バーのう
ち、平板材の搬送に関与している中空バー内の真空吸引
室が常に固定側の真空吸引路に連通する状態に保たれて
一時的な吸着力低下を生じず、もって搬送中の平板材が
不用意に落下する恐れがなく、安定した搬送状態が得ら
れるものが提供される。

【００３５】請求項３の発明によれば、上記コンベヤ装
置として、搬送ベルト部を構成する中空バーの表面と搬
送する平板材の表面とが密着状態となり、両者の接合界
面からの中空バー内部への空気の流入が確実に防止さ
れ、もって平板材に対してより強い吸着力を発揮できる
ものが提供される。

【００３６】請求項４の発明によれば、上記のように平
板材の離脱時に圧縮空気を利用できるコンベヤ装置とし
て、搬送途上の所定位置で平板材を搬送ベルト部から離
脱させる際に、真空吸引路からの吸引を続行したままで
該真空吸引室内の圧力を瞬間的に高めることができ、も
って各吸引孔による真空吸引力を瞬時に喪失させて、平
板材の搬送ベルト部からの離脱速度をより速め、該平板
材の落下位置を高精度に設定できるものが提供される。

【００３７】請求項５の発明によれば、上記コンベヤ装
置として、搬送ベルト部の往動行程の中空バーに摺接す
る固定枠部がチェーンのガイドレールを兼用するため、
構造的に非常に簡素で設備コストをより低減できるもの
が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例に係るコンベヤ装置を模式
的に示す側面図。

【図２】 同コンベヤ装置の往動行程側要部の平面図。

【図３】 図３のIII −III 線の断面図。

【図４】 図３のＩＶ−ＩＶ線の断面矢視図。

【図５】 同コンベヤ装置の往動行程側の縦断正面図。

【図６】 同コンベヤ装置の中空バーの縦断側面図。

【図７】 図６のＶII−ＶII線の断面矢視図。

【図８】 従来の磁力吸着式スタッキング用コンベヤの
模式側面図。

【図９】 従来の真空吸着式スタッキング用コンベヤの
模式側面図。

【図１０】 図９のスタッキングコンベヤ装置要部の拡
大縦断側面図。

【符号の説明】

１ チェーン ２ 中空バー ２ａ 真空吸引室 ３ 吸引孔 ４ 排気口 ５ 弁座 ６ 弁体 ７ａ 固定枠部 ７ｂ 固定枠部 ８ 真空吸引管（真空吸引路） ９ａ 通気孔 ９ｂ 通気孔 １０ コンベヤ装置 １１ 搬送ベルト部 １２ 弾性層 １３ 吸気口 １４ 圧縮空気導入管（圧縮空気導入路） １５ 開閉弁 ２１ 圧縮コイルスプリング ２５ 開閉弁 Ｐ 平板材 ｄ 隣接する通気孔の口縁最短距離 ｗ 排気口の移送方向幅

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンドレス走行する一対のチェーン間
   に、内部を真空吸引室とする多数本の中空バーが架設さ
   れて搬送ベルト部を構成し、各中空バーがコンベヤ周回
   の外側に臨む複数の吸引孔を備えると共に、各吸引孔内
   には弁座とばね力により開弁方向に付勢されて該弁座の
   外側に配置した弁体とを有し、更に中空バーの長手方向
   両端面の一方に排気口を、他方に給気口をそれぞれ有
   し、各中空バーが吸引孔を下向きとして水平移動する往
   動行程の両側に、各中空バーの両端面とそれぞれ気密状
   態で摺接する固定枠部を備え、このうち中空バーの排気
   口側に摺接する固定枠部に、真空吸引路に連通した複数
   の通気孔が当該摺接部に沿って所定間隔置きに開設さ
   れ、また中空バーの給気口側と摺接する固定枠部に、圧
   縮空気導入路に連通した複数の通気孔が当該摺接部に沿
   って所定間隔置きに開設されてなるコンベヤ装置。
2. 【請求項２】 固定枠部における通気孔の配設ピッチと
   チェーンにおける中空バーの架設ピッチとが同一であ
   り、各中空バーの排気口の移送方向幅が隣接する通気孔
   の口縁最短距離よりも大きく設定されてなる請求項１記
   載のコンベヤ装置。
3. 【請求項３】 中空バーの吸引孔を有する表面部が弾性
   層にて構成されてなる請求項１に記載のコンベヤ装置。
4. 【請求項４】 圧縮空気導入路に外的操作にて開閉動作
   する開閉弁が介挿されると共に、真空吸引路に圧縮空気
   導入路より中空バー内に圧縮空気を導入した際の空気圧
   によって当該真空吸引路を遮断する開閉弁が介挿されて
   なる請求項１記載のコンベヤ装置。
5. 【請求項５】 固定枠部がチェーンのガイドレールを構
   成する請求項１記載のコンベヤ装置。