JP2584199Y2 - 内接型オイルポンプのポンプ組立体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、内接型オイルポンプの
ポンプ組立体に関し、特にポンプハウジングおよびイン
ナロータに対して駆動軸が貫通するようにエンジンに取
り付けられてその潤滑のために使用される内接型オイル
ポンプのポンプ組立体に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の内接型オイルポンプとし
ては、例えば、特開昭６３−２４６４０６号公報に開示
されているものなどが知られている。かかる内接型オイ
ルポンプは、ポンプ室に互いに噛合しつつ同方向に回転
するインナロータとアウタロータとが偏心した状態で収
納されているもので、エンジンの例えばクランクシャフ
トに軸着されるインナロータによりアウタロータがポン
プ室の壁に沿って連動回転され、互いに接触を保つ歯形
同士によって形成される容積空間内にオイルを閉じ込め
て吸入側から吐出側にオイルの送給を行うように構成さ
れている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の内接型オイルポンプでは、アウタロータの外
周面が、これを回転自在に収納保持するポンプ室の内壁
面と周方向の広い領域で摺接するように構成されている
ために、摺動摩擦抵抗が大きく、消費馬力の増大を招く
という問題があった。

【０００４】本考案の目的は、上述した従来の問題に着
目し、その解決を図るべく、アウタロータの外周部に摺
接し、これを回転自在に支承するアウタロータ保持部を
必要最小限に限定することができ、以て、摺動摩擦抵抗
を減らし、消費馬力の低減を図ることのできる内接型オ
イルポンプのポンプ組立体を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成し得る
本考案による内接型オイルポンプのポンプ組立体は、エ
ンジンによって回転駆動される駆動軸が貫通するポンプ
ハウジングと、このポンプハウジングに一方の端面が摺
接するように前記駆動軸が貫通して当該駆動軸と一体回
転するインナロータと、このインナロータを偏心状態で
囲んで当該インナロータと噛み合うように前記ポンプハ
ウジングに一方の端面が摺接するアウタロータと、前記
ポンプハウジングに相隔てて形成されて前記アウタロー
タおよび前記インナロータの前記一方の側面にそれぞれ
臨む吸入室および吐出室とを具え、前記ポンプハウジン
グおよび前記インナロータに対して前記駆動軸が貫通す
るように前記エンジンに取り付けられて前記吸入室内の
オイルを前記吐出室に圧送する内接型オイルポンプのポ
ンプ組立体であって、前記アウタロータの他方の側面に
一体的に形成されて前記インナロータの他方の側面と摺
接し、前記インナロータを前記ポンプハウジングとで挟
む環状の側板部と、前記ポンプハウジングに固設されて
前記アウタロータの外周部を軸方向および径方向に保持
するロータ保持部材とをさらに具えたことを特徴とする
ものである。

【０００６】

【作用】本考案によると、アウタロータの一方の側面が
インナロータの一方の側面と共に吸入室および吐出室と
摺接するように、吸入室および吐出室がポンプハウジン
グに形成されており、ポンプカバーを設けることなく、
アウタロータの他方の側面に形成した環状の側板部がイ
ンナロータの他方の側面に摺接し、ポンプハウジングに
対してフリーなアウタロータの外周面が最少のロータ保
持部材で保持されており、ロータまわりの摩擦抵抗が最
小限に抑制される。

【０００７】

【実施例】以下に、図面に基づいて本考案の実施例を詳
細かつ具体的に説明する。

【０００８】従来のこの種の内接型オイルポンプのポン
プ組立体では、ポンプハウジングとポンプカバーとで形
成されるポンプ室にインナロータと共にアウタロータが
回転自在に収納されるように構成されているために、ア
ウタロータの摺接による摩擦抵抗を減らそうとしても、
アウタロータの片面がポンプカバーと摺接することによ
る摩擦の低減は図れなかった。本例はかかる点に着目
し、さらにアウタロータの摺接による摩擦抵抗の低減を
図ったものである。

【０００９】図１および図２は、本考案による内接型オ
イルポンプのポンプ組立体の一実施例を示す。これらの
図において、１はポンプ駆動軸としての例えばエンジン
のクランクシャフト２が嵌合されるインナロータ、１３
はインナロータ１の外歯１Ａとその内歯１３Ａの一部が
噛合しつつインナロータ１によって回転させられるアウ
タロータを示す。４はポンプハウジング、５はオイルの
吸入室、６はオイルの吐出室である。

【００１０】アウタロータ１３にはその片面に孔付き円
板状の側板部２３が形成されていて、この側板部２３が
図４に示すようにインナロータ１の対応する側面と、常
に摺接するように構成されている。吸入室５および吐出
室６は、図２に示すようにポンプハウジング４に形成さ
れるもので、さらにこれらの吸入室５と吐出室６とはポ
ンプハウジング４側に形成されているかみ合い壁部１８
ととじ込み壁部１９とによって仕切られている。

【００１１】従って、このような側板部２３とポンプハ
ウジング４とにより、インナロータ１の外歯１Ａとアウ
タロータ１３の内歯１３Ａとによって形成される容積空
間１０および吸入室５, 吐出室６を閉成された空間とし
て形成することができる。１４は適切な間隔を置いてア
ウタロータ１３の外周面１３Ｂに沿い配設されたロータ
保持部材であり、本例の場合、３個のロータ保持部材１
４がそれぞれ、固定ボルト１５によりポンプハウジング
４に固定され、保持部材１４の保持部１４Ａでアウタロ
ータ１３を保持している。なお、１８はアウタロータ１
３とインナロータ１とが噛合するかみ合い部に形成され
たかみ合い壁部、１９はとじ込み壁部、２１は吸入口、
２２は吐出口である。さらに２４は、アウタロータ１３
とポンプハウジング４とによって画成されるオイル送給
領域をクランクシャフト２回りで封止するためのオイル
シールである。

【００１２】アウタロータ３はインナロータ１と共に図
１で反時計回りの矢印方向に回転するが、かみ合い壁部
１８の位置では常にロータ１の外歯１Ａとロータ３の内
歯３Ａとが噛合すると共に、このかみ合い位置でインナ
ロータ１およびアウタロータ３と吸入室５および吐出室
６との間は封止状態に保つ必要がある。そこで、このか
み合い位置でアウタロータ３およびインナロータ１の双
方の側面にポンプハウジング４を沿わせるようにするた
めに、ポンプハウジング４側に形成したかみ合い壁部１
８の噛合部側面に沿ったアウタロータ周方向の幅を少な
くともその歯底間の１ピッチ分にわたって形成する。

【００１３】さらにまた、とじ込み位置では壁部１９が
吸入室５側で歯形間の容積空間１０に導かれたオイルを
そのまま閉じ込めて吐出室６側に送給する役目をするも
のであり、このため、とじ込め壁部１９は容積空間１０
の側面位置で少なくとも１つの容積空間１０を覆蓋可能
なだけの周方向の幅を有する。

【００１４】このように構成した内接型オイルポンプの
ポンプ組立体においては、インナロータ１がクランクシ
ャフト２によって矢印方向に回転し、それに連れてアウ
タロータ３が同方向に連動回転する。そして、かみ合い
位置より吸入室５側で容積空間１０に導かれたオイルは
閉じ込み位置でそのまま容積空間１０に閉じ込まれて吐
出室６側で送出される。この場合、ロータとして摺接す
る部分が、アウタロータ１３およびインナロータ１のポ
ンプハウジング４と接する側面とアウタロータ１３のロ
ータ保持部材１４と摺接する外周面１３Ｂとに限られ
る。なお、インナロータ１とアウタロータ１３との側面
同士の摺接摩擦抵抗は双方間の回転速度の速度差が低い
こともあって大きくないことから、全体的に摺接摩擦抵
抗を大きく低減させることができる。

【００１５】なお、上述した実施例では、エンジンのク
ランクシャフト２によって駆動される内接型オイルポン
プの場合について述べてきたが、クランクシャフト直結
型でなく、カムシャフト等によってエンジンにより間接
駆動される形態のものも本考案を適用できることはいう
までもない。

【００１６】

【考案の効果】本考案の内接型オイルポンプのポンプ組
立体によると、アウタロータの一方の側面をインナロー
タの一方の側面と共に吸入室および吐出室と摺接させ、
アウタロータの他方の側面にインナロータの他方の側面
と摺接する環状の側板部を形成し、ポンプハウジングに
ロータ保持部材を固設し、これらポンプハウジングとロ
ータ保持部材とでアウタロータの外周部を軸方向およひ
径方向に保持したので、ポンプカバーを設ける必要がな
くなり、摺接摩擦抵抗が主に発生するアウタロータ外周
面の保持部を最小限にとどめることができ、消費馬力の
抑制に貢献することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の内接型オイルポンプのポンプ組立体に
よる一実施例の構成を示す断面図である。

【図２】図１中のＹ−Ｙ線断面図である。

【符号の説明】

１ インナロータ ２ クランクシャフト ４ ポンプハウジング ５ 吸入室 ６ 吐出室 １３ アウタロータ １４ ロータ保持部材 １５ 固定ボルト ２３ 側板部

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F04C 2/10

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンによって回転駆動される駆動軸
   が貫通するポンプハウジングと、 このポンプハウジングに一方の端面が摺接するように前
   記駆動軸が貫通して当該駆動軸と一体回転するインナロ
   ータと、 このインナロータを偏心状態で囲んで当該インナロータ
   と噛み合うように前記ポンプハウジングに一方の端面が
   摺接するアウタロータと、 前記ポンプハウジングに相隔てて形成されて前記アウタ
   ロータおよび前記インナロータの前記一方の側面にそれ
   ぞれ臨む吸入室および吐出室とを具え、前記ポンプハウ
   ジングおよび前記インナロータに対して前記駆動軸が貫
   通するように前記エンジンに取り付けられて前記吸入室
   内のオイルを前記吐出室に圧送する内接型オイルポンプ
   のポンプ組立体であって、 前記アウタロータの他方の側面に一体的に形成されて前
   記インナロータの他方の側面と摺接し、前記インナロー
   タを前記ポンプハウジングとで挟む環状の側板部と、 前記ポンプハウジングに固設されて前記アウタロータの
   外周部を軸方向および径方向に保持するロータ保持部材
   とをさらに具えたことを特徴とする内接型オイルポンプ
   のポンプ組立体。