JP2583753B2 - 抗腫瘍活性物質およびその製造法 - Google Patents

抗腫瘍活性物質およびその製造法

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JP2583753B2 JP60284699A JP28469985A JP2583753B2 JP 2583753 B2 JP2583753 B2 JP 2583753B2 JP 60284699 A JP60284699 A JP 60284699A JP 28469985 A JP28469985 A JP 28469985A JP 2583753 B2 JP2583753 B2 JP 2583753B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、抗腫瘍活性物質、詳しくは腫瘍細胞に対し
て特異的にその増殖を抑制する作用を有する物質、その
製造法、該物質を含む抗腫瘍剤及び該物質をコードする
遺伝子に関する。
従来の技術 従来より、生体内には腫瘍細胞に直接働いて、その増
殖を選択的に抑制し、該腫瘍細胞を生体系より消去する
作用を有する物質の存在することが知られている。之等
の抗腫瘍活性物質としては、例えばインターフエロン
(IFN)、リンフオトキシン(LT)、ガン壊死因子(TN
F:Tumor Necrotizing Factor)等が報告されている〔Ev
ans C.H.,Cancer Immunol. Immunother,12,181(198
2)〕。之等の抗腫瘍活性物質は、腫瘍細胞の増殖を抑
制する作用を有するところから、抗腫瘍剤として利用で
きると考えられ、またそれらに対応するとされる遺伝子
構造が明らかにされつつあり、遺伝子工学的手法による
それらの生産も種々研究されつつある〔Nature,Vol.31
2,20/27,p721(1984);同Vol,312,20/27,p724(1984)
等〕。
発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、上記報告された各種の抗腫瘍活性物
質とは、その性状、特性等を異にする新しい抗腫瘍活性
物質を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記新規な抗腫瘍活性物質を、
哺乳動物由来の免疫担当細胞から製造する技術を提供す
ることにある。
本発明の他の目的は、上記抗腫瘍活性物質を、遺伝子
工学的手法により製造する技術を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記抗腫瘍活性物質を含有する
抗腫瘍剤を提供することにある。
更に本発明の他の目的は、上記抗腫瘍活性物質を遺伝
子工学的手法により製造するための遺伝子、これを挿入
した発現ベクター及び該ベクターを組込んだ組換え微生
物を提供することにある。
上記目的及びその他の本発明の特徴を、以下に詳述す
る。
問題点を解決するための手段 本発明の抗腫瘍剤に有効成分として含まれる抗腫瘍活
性物質(以下「GIF」という)は、後記する実施例に記
載した方法により測定される腫瘍細胞増殖抑制活性(以
下「GIF活性」という)を有し、下記一般式(1)で表
わされる一次構造のポリペプチドAをその構成蛋白とし
て含む点において特徴付けられる。
〔ポリペプチドA〕(一般式(1)) 〔式中、XはCys又はSerを示す。ZはHを示すか又は下
記アミノ酸配列 で示されるペプチド又はそのN末端側からこの配列に従
い1もしくはそれ以上のアミノ酸を欠失するペプチド又
はアミノ酸を表わす。〕 本明細書においてペプチドにおけるアミノ酸の表示
は、IUPACにより採択されているアミノ酸命名法におけ
る略号乃至当該分野で慣用されている略号によるアミノ
酸残基の表示法に従うものとし、塩基配列における核酸
の表示も同様とする。
本発明GIFは、その蛋白の一次構造が153個のアミノ酸
配列からなる下記ポリペプチドI(上記式中XがCys及
びZがHのもの)をその基本とするものであるが、該蛋
白の一次構造は、上記ポリペプチドIのN末端に上記Z
で表わされるように1〜85個のアミノ酸配列から選択さ
れる任意のペプチド鎖又はアミノ酸(Asp−)を有する
ものであってもよい。上記蛋白の代表的具体例として
は、下記ポリペプチドI、II、III及びIVを例示でき
る。
〔ポリペプチドI〕
〔ポリペプチドII〕 〔ポリペプチドIII〕 〔ポリペプチドIV〕 本発明のGIFは、後記するように哺乳動物の免疫担当
細胞から単離することができ、この天然型GIFの遺伝子
解析により、その前駆体の存在が明らかにされており、
上記式(1)で表わされるポリペプチドA及びポリペプ
チドI〜IVのアミノ酸配列は、この解析結果から誘導さ
れたものである。
更に本発明GIFは、GIF活性を有するかぎりにおいて、
上記一般式(1)で表わされるポリペプチドA及びポリ
ペプチドI〜IVで表わされるアミノ酸配列のN末端又は
C末端に1個若しくはそれ以上のアミノ酸を付加したも
の又は上記アミノ酸配列から1個若しくはそれ以上のア
ミノ酸を欠失乃至置換した蛋白の一次構造を有するもの
も包含される。
以下、本発明GIFにつき、これをその製造法より詳述
する。
本発明GIFは、例えば哺乳動物由来の免疫担当細胞の
培養により誘導生産される。ここで起源細胞として用い
られる免疫担当細胞としては、哺乳動物に由来する限り
特に制限はなく、哺乳動物種としても限定されず、例え
ばヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、マウス等
のいずれでもよい。代表的な免疫担当細胞としては、例
えばT−細胞、B−細胞、ヌル細胞、ナチュラル、キラ
ー細胞等のリンパ球細胞、単核細胞、マクロフアージ等
の単核球細胞等及びそれらの細胞系統(cell line)を
例示できる。上記リンパ球細胞の例としては、例えば上
記各哺乳動物の脾臓、扁桃腺、肺、血液、リンパ節等の
組織より分離されるリンパ球細胞を例示することができ
る。之等免疫担当細胞の分離は、常法に従い例えば目的
とする細胞を含む組織を粉砕し、粗雑物を別し、遠心
分離する方法等によることができる。
本発明者らの研究によれば、上記起源細胞とする免疫
担当細胞の種類やこれを提供する哺乳動物の種類にかか
わらず、得られるGIFの有するGIF活性は種特異性を有し
ないことが確認されている。従って本発明GIFはその製
造に際して起源細胞に制約を受けず、この点からも医療
分野での利用に好適である。
上記各種免疫担当細胞の培養は、この種細胞培養に通
常使用される培地を用いて、好ましくは抗腫瘍物質誘導
剤の存在下に実施され、これにより本発明物質がその培
養上清中に産生される。上記培地としては、例えばCEM
培地、CMRL−1066培地、DM−160培地、イーグルの最小
必須培地(Eagle s MEM)、オートクレーブ可能MEM、フ
イツシヤーの培地(Fisher s Medium)、F−10、F−1
2培地、L−15培地、NCTC−109%、RPMI−1640培地等を
単独で用いるか又は必要に応じて之等培地に牛胎児血清
(FCS)等の血清やアルブミン等の血清成分を添加した
培地等を例示できる。免疫担当細胞の上記培地に対する
使用量は、通常1×104〜1×107個/ml程度とするのが
好ましい。
この細胞浮遊液に添加存在させることができる抗腫瘍
物質誘導剤としては、通常のもの、例えば12−O−テト
ラデカノイルフオルボール−13−アセテート(TPA)、
フイトヘモアグルチニン(PHA)、コンカナバリンA(C
onA)、細菌リポポリサツカライド(LPS)、ポツクウイ
ードマイトージエン(PWM)、プロテインA(ProA)等
を例示できる。その使用量は、通常0.0001〜0.1%(W/V
%、以下同じ)、好ましくは0.001%前後の濃度とする
のがよい。培養は、通常の方法、例えば炭酸ガス培養法
により実施でき、30〜40℃程度、好ましくは37℃程度
で、1〜5日間を要して行なわれる。培養終了後、培養
上清は、常法に従い遠心分離等の分離手段により分離さ
れる。
上記方法により得られる培養上清からの本発明GIFの
分離は、基本的には、この種バイオロジカル物質からの
蛋白様物質の分離に利用される通常の方法と同様にし
て、例えば目的とするGIFの物理的、化学的性質等を利
用した各種の処理操作に従い実施できる。〔例えば「生
化学データーブツクII」pp1175〜1259、第1版第1刷、
1980年6月23日、株式会社東京化学同人発行参照〕。該
方法としては、具体的には例えば通常の蛋白沈澱剤によ
る処理、限外過、分子ふるいクロマトグラフイー(ゲ
ル過)、液体クロマトグラフイー、遠心分離、電気泳
動、アフイニテイークロマトグラフイー、透析法、之等
の組合せ等を採用できる。
特に好ましい分離方法においては、まず培養上清より
予め目的とするGIFを部分精製するこの部分精製は、例
えば、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ジメチルホルムアミド(DMF)等の有機溶媒や酢
酸、過塩素酸(PCA)、トリクロロ酢酸(TCA)等の酸を
蛋白沈澱剤として用いる処理、硫酸アンモニウム、硫酸
ナトリウム、リン酸ナトリウム等の塩析剤を用いる処理
及び/又は透析膜、平板膜、中空繊維膜等を用いる限外
過処理等により行なわれる。之等の各処理の操作及び
条件は、通常のこの種方法のそれらと同様のものとすれ
ばよい。
次いで上記で得られた粗精製物を、ゲル過に付すこ
とにより目的物質の活性が認められる画分を収得する。
ここで用いられるゲル過剤としては、特に限定はな
く、例えばデキストランゲル、ポリアクリルアミドゲ
ル、アガロースゲル、ポリアクリルアミド−アガロース
ゲル、セルロース等を素材とするものをいずれも利用で
きる。之等の具体例としては、セフアデツクスGタイ
プ、同LHタイプ、セフアロースタイプ、セフアクリルタ
イプ(以上、フアルマシア社)、セルロフアイン(チツ
ソ(株))、バイオゲルPタイプ、同Aタイプ(バイオ
ーラド(Bio−Rad Laboratories)社)、TSK−Gタイプ
(東洋曹達(株))等の市販品を例示できる。
上記ゲル過によれば、分子量1万〜2万5千の画分
に本発明物質の活性が認められる。
本発明物質は、上記ゲル過により得られる画分を、
例えばハイドロキシアパタイトカラムを用いたアフイニ
テイークロマトグラフイー、DEAE法等のイオン交換カラ
ムクロマトグラフイー、クロマトフオーカシング法、逆
相高速液体クロマトグラフイー等に付すことにより、又
は之等各操作の組合せにより更に精製することができ、
均質な物質として単離することができる。
上記クロマトフオーカシング法は、公知の各種方法に
より実施できる。カラムとしては、例えばPBE94(フア
ルマシア社製)等を、開始緩衝液としては、例えばイミ
ダゾール−塩酸等を、また溶出液としては、例えばポリ
バツフアー74(フアルマシア社製)−塩酸(pH4.0)等
を使用できる。
また、上記逆相高速液体クロマトグラフイーは、例え
ばC4ハイポアー逆相HPLCカラム(バイオーラド社(Bio
−Rad Laboratories))等を用いて、移動剤としてアセ
トニトリル、トリフルオロ酢酸(TFA)、水等及び之等
の混合溶媒を用いて実施できる。
かくして得られるGIFは、前記ポリペフチドIをその
構成蛋白とする天然型GIF(即ち成熟GIF)である。
また、本発明GIFは遺伝子工学的手法によって、即ちG
IFをコードする遺伝子を利用し、これを微生物のベクタ
ーに組込んで該微生物細胞内で複製、転写、翻訳させる
ことによって、製造することができる。この方法は、特
に大量生産が可能である点より遊離である。
上記遺伝子工学的手法によるGIFの製造において、用
いられる遺伝子は、GIFをコードすることにより特徴付
けられる。本発明は、かかる新規な遺伝子をも提供する
ものである。
上記遺伝子の代表例は、前記ポリペプチドA、殊にポ
リペプチドIをコードするものであるが、特にこれに限
定されず、本発明のGIFをコードしており且つその利用
によりGIFが発現、製造される限りいかなるものでもよ
く、また各種公知の遺伝暗号(genetic code)が採用さ
れていてもよい。
上記遺伝子は、例えばそのDNA鎖中に制限酵素MspI、H
ind III及びPvuIIで切断される個所をこの順序で配置さ
れた部分を含むことで特徴付けられるヒトリンパ球由来
細胞より分離されるメツセンジヤーRNA(以下「mRNA」
という)より調製されたものが含まれる。これはより具
体的には、前記ポリペプチドI〜IVに対応する以下の塩
基配列I、II、III及びIVとして特定される塩基配列を
有する遺伝子である。
〔塩基配列I〕
〔塩基配列II〕 〔塩基配列III〕 〔塩基配列IV〕 本発明方法において用いられる上記遺伝子の製造方法
は、特に制限はなく、以下に示す各種の方法に従うこと
ができる。即ち、該方法としては例えばGIF生産能を有
するリンパ球由来細胞より得られるmRNAより調製された
cDNAを、エシエリヒア・コリー(Esherichia coli)の
プラスミド ベクター等の適当なベクターに接続して、
微生物細胞内で増幅させ、GIFを発現し得るクローンを
単離し、この単離されたクローンが有するプラスミド中
に挿入されているDNAを分離する方法、本明細書に開示
したGIF及びその遺伝情報に基づいて、例えばホスファ
イト トリエステル法〔ネイチヤー(Nature),310,10
5(1984)〕等の常法に従つて、核酸の化学合成を行な
う方法、或いは上記各方法を併用する方法等を例示でき
る。
尚、上記において遺伝暗号の選択は任意でよく、例え
ば利用する宿主のコドン使用頻度等を考慮した常法に従
えばよい。またそれら遺伝子がコードするGIFの一部の
アミノ酸の置換や配列の改変等には、例えばサイト−ス
ペシフイツク ミユータジエネシス(Site−Specific M
utagenesis)〔Proc.Natl.Acad.Sci.,81,5662−5666(1
984)〕等の方法を採用するのが簡便である。
特許請求の範囲に記載される1もしくは数個のアミノ
酸を置換・欠失・付加してなるアミノ酸配列とは、上記
サイト−スペシフィック ミュータジェネシスなどの周
知の改変手段を用いて得られる、GIF活性を損なわない
程度に改変されたものをいう。
本発明に利用する遺伝子の製造法において、上記mRNA
を経る方法につき、より詳細に説明すれば次の通りであ
る。
上記遺伝子の入手のための起源細胞としては、GIF生
産能を有する哺乳動物由来の免疫担当細胞(GIF産生細
胞)を好適に利用できる。該GIF産生細胞の具体例は、
前記した通りである。
GIFをコードするmRNAを含むRNAは、上記GIF産生細胞
から常法に従い抽出される。該抽出に先だつて、GIF産
生細胞は、一般にGIF産生条件下におかれる。これは、
該細胞をこの種細胞培養に通常使用される培地を用い
て、好ましくは抗腫瘍物質誘導剤の存在下に、培養する
ことにより行なわれる。上記培地、GIF産生細胞の上記
培地に対する使用量、抗腫瘍物質誘導剤、その使用量、
培養方法等は前記したそれらと同様とすることができ
る。RNAの抽出は、GIF活性が培養上清中に出現する頃の
細胞について行なうのがよい。
上記RNAの抽出は、適当な界面活性剤、例えばSDS、NP
−40、トリトン×100、デオキシコール酸等を用いて、
或いはホモジナイザーを用いる方法や凍結融解等の物理
的方法によつて、細胞を部分的又は完全に破壊、可溶化
した後、染色体DNAを、ポリトロン(Polytoron model C
H−6010、キネマテイカ(Kinematica),スイス社製〕
等のミキサーもしくは注射筒を用い、ある程度せん断
し、その後、タンパク質と核酸分画とを分別する操作に
より行なわれる。この操作には特にフエノール・クロロ
ホルム抽出もしくは超遠心を用いるCsCl重層法〔グリシ
ンら(Glisin,et al),バイオケミストリー(Biochemi
stry),13,2633(1974)及びチルグウインら(Chirgwi
n,J.M.,et al.),バイオケミストリー(Biochemistr
y),18,5294(1979)〕等が一般に用いられる。
また上記各方法においては、RNaseによるRNAの分解を
防ぐために、RNaseインヒビター、例えばヘパリン、ポ
リビニル硫酸、ジエチルピロカーボネート、バナジルリ
ボヌクレオシド複合体、ベントナイト、マカロイド等を
添加しておくのがよい。
上記抽出操作に従い得られるRNAからのmRNAの分離精
製は、抽出物を例えばオリゴdT−セルロース(Collabor
ative Research Inc.)、ポリU−セフアロース(Pharm
acia社)、セフアロース2B(フアルマシア社)等の吸着
カラムを用いる方法により又はバツチ法により実施でき
る。
かくして得られるmRNAからの、GIFに対応する目的のm
RNAの精製濃縮及び同定は、次の如くして行ない得る。
即ち、例えばGIFに対する抗体を用いてポリゾームからm
RNAを沈澱させる方法により実施できる。また、蔗糖密
度勾配遠心等によつて分画し、その分画につき、蛋白質
の翻訳系、例えばアフリカツメガエルの卵母細胞への注
入やウサギ網状赤血球ライゼート又は小麦胚芽等の無細
胞系で蛋白質に翻訳させ、その蛋白質のGIF活性を調べ
ることにより、目的とするmRNAの存在を確認する方法に
よつても行なうことができる。更に目的mRNAの確認は、
上記GIF活性測定に代えて、GIFに対する抗体を用いる免
疫法によつても行ない得る。
上記により得られる精製mRNAは、通常不安定であり、
安定な相補DNA(cDNA)の型に代えられ、目的遺伝子の
増幅を可能とするために微生物由来のレプリコンに接続
される。インビトロでの、上記mRNAのcDNAへの変換、即
ちcDNAの合成は、一般に次のようにして行なうことがで
きる。
即ち、まずオリゴdTをプライマーとして(このプライ
マーは遊離のオリゴdTもしくは既にベクタープライマー
に付加されたオリゴdTのいずれでよい)、mRNAを鋳型と
しdNTP(dATP、dGTP、dCTP又はdTTP)の存在下で、逆転
写酵素を用いてmRNAに相補的な一本鎖cDNAを合成する。
次のステツプは、上記において遊離のオリゴdTを用いた
か、ベクタープライマに付加されたオリゴdTを用いたか
により、各々以下の如く異なる。
前者の場合、鋳型としたmRNAをアルカリ処理等により
分解して除去し、その後一本鎖DNAを鋳型として逆転写
酵素又はDNAポリメラーゼを用いて二本鎖DNAを作製す
る。次に得られる二本鎖DNAの両端をエイソヌクレアー
ゼで処理し、そのそれぞれに適当なリンカーDNA又はア
ニーリング可能な組合せの塩基を複数付加し、これを適
当なベクター、例えばEK系プラスミドベクター(ストリ
ンジエンド型若しくはリラツクス型のいずれでもよい)
やλgt系フアージベクターに組込む。
また、後者の場合、鋳型としたmRNAを残存させたま
ま、上記と同様のリンカーを付与した開環状プラスミド
と、リンカーDNA(しばしば動物細胞で自立複製できる
領域とmRNAの転写プロモーター領域を含むDNA断片が用
い得る)とを、アニーリングさせて閉環状とした後、dN
TP存在下で、RNaseとDNAポリメラーゼとを共存させて、
mRNAをDNA鎖に置換し、完全なプラスミドDNAを作成でき
る。
上記のごとくして得られるDNAは、ベクターの宿主微
生物に導入され、該微生物を形質転換できる。
宿主微生物としては、エシエリヒア コリーが代表的
であるが、特にこれに限定されず、その他にバチルス・
ズブチルス(Bacillus subtilis)、サツカロミセス・
セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)等も使用す
ることができる。
DNAの宿主微生物への導入及びこれによる形質転換の
方法としては、一般に用いられている方法、例えば主と
して対数増殖期における細胞を集め、CaCl2処理して自
然にDNAを取り込みやすい状態にして、プラスミドを取
り込ませる方法等を採用できる。上記方法においては、
通常知られているように形質転換の効率を一層向上させ
るためにMgCl2やRbClを更に共存させることもできる。
また、微生物細胞をスフエロプラスト又はプロトプラス
ト化してから形質転換させる方法も採用することができ
る。
上記により得られる形質転換株から、目的のGIFのcDN
Aを有する株を選出する方法としては、例えば以下に示
す各種方法を採用できる。
(1)合成オリゴヌクレオチドプローブを用いるスクリ
ーニング法 目的蛋白質のアミノ酸配列の全部又は一部が解明され
ている(該配列は、複数個連続した特異的配列であれ
ば、目的蛋白のどの領域のものでもよい)場合、該アミ
ノ酸に対応するオリゴヌクレオチドを合成し(この場
合、コドン使用頻度を用いて導いた塩基配列又は考えら
れる塩基配列の組合せの複数個のどちらでもよく、また
後者の場合、イノシンを含ませてその種類を減らすこと
もできる)、これをプローブ(32P又は35Sでラベルす
る)そして、形質転換株のDNAを変性固定したニトロセ
ルロースフイルターとハイブリダイゼーシヨンし、得ら
れたポジテイブ株を検索して、これを選出する。
(2)動物細胞でGIFを産生させてスクリーニングする
方法 形質転換株を培養し、遺伝子を増幅させ、その遺伝子
を動物細胞にトランスフエクトし(この場合、自己複製
可能でmRNA転写プロモーター領域を含むプラスミド若し
くは動物細胞染色体にインテグレートするようなプラス
ミドのいずれでもよい)、遺伝子にコードされた蛋白質
を産生させ、その培養上清若しくは細胞抽出物のGIF活
性を測定するか、又はGIFに対する抗体を用いてGIFを検
出するかにより、元の形質転換株より目的のGIFをコー
ドするcDNAを有する株を選出する。
(3)インダクシヨン特異的な形質転換株を選出する方
法 GIFは、前記したようにLPSやTPA等の抗腫瘍物質誘導
剤によつて、特異的にその産生が誘発される。
インダクシヨン特異的な株を選出するには、コロニー
ハイブリダイゼーシヨンのプローブとして、GIFを誘
導していない産生株(インダクシヨンマイナス)からの
mRNAと、上記薬剤を用いてGIFを誘導させ(インダクシ
ヨンプラス)且つ該GIFをコードするmRNAが増幅してい
るmRNA(該mRNAから合成したcDNAでもよい)との両者を
用い、これらをハイブリダイゼーシヨンさせ、その強弱
により、インダクシヨン特異的な転換株を選出する(プ
ラス・マイナス法)。
また、インダクシヨンマイナスのmRNA(又はそれから
作成されるcDNA)とインダクシヨンプラスのmRNAから作
成されたcDNA(又はmRNAそのもの)とのハイブリダイゼ
ーシヨンを行なつて後、ハイブリダイゼーシヨンしなか
つたmRNA(又はcDNA)をプローブとし、コロニー ハイ
ブリダイゼーシヨンを行なつて、インダクシヨン特異的
な株を選出する(セレクテイブ・ハイブリダイゼーシヨ
ン法)。
目的株の選出は、cDNA若しくはmRNAの検索により行な
い得る。
(4)GIFに対する抗体を用いて選出する方法予め、cDN
Aを形質転換株内で蛋白質を発現し得るベクターに組込
み、形質転換株内で蛋白質を産生させ、GIFに対する抗
体及び該抗体に対する第二抗体を用いて、GIF産生株を
検出し、目的株を得る。
(5)セレクテイブ・ハイブリダイゼーシヨン・トラン
スレーシヨンの系を用いる方法 形質転換株から得られるcDNAを、ニトロセルロースフ
イルター等にブロツトし、GIF産生細胞からのmRNAをハ
イブリダイゼーシヨンさせた後、cDNAに対応するmRNAを
回収する。回収されたmRNAを蛋白翻訳系、例えばアフリ
カツメガエルの卵母細胞への注入や、ウサギ網状赤血球
ライゼートや小麦胚芽等の無細胞系で蛋白質に翻訳さ
せ、その蛋白質のGIF活性を調べるか、又はGIFに対する
抗体を用いて検出して、目的の株を得る。
得られた目的の形質転換株よりGIFをコードするDNAを
採取する方法は、公知の方法、例えば細胞よりプラスミ
ドDNAに相当する画分を分離し、該プラスミドDNAよりcD
NA領域を切り出すことにより行ない得る。
上記各方法に従い得られるGIFのcDNAの構造及び塩基
配列は、例えばマキサム−ギルバート(Maxam−Gilber
t)の化学的修飾法〔Meth. Enzym.65,499−560(198
9)〕及びM13フアージを用いるジデオキシヌクレオチド
鎖終結法〔Messing J.and Vieira.J.,Gene,19,269−276
(1982)〕にて決定できる。
尚、上記の如くして得られる形質転換株の一例とし
て、後記実施例で得られるGIF遺伝子を含むプラスミドp
GIF−αを、エシエリヒア コリ−χ1776にトランスフ
オームさせた形質転換体を、「Escherichia coliχ1776
/pGIF−α」なる名称で工業技術院微生物工業技術研究
所に「微工研条寄第948号(FERM BP−948)として寄託
している。従って上記GIF遺伝子の調製に当っては、こ
の形質転換体を利用するのがより簡便であり好ましい。
GIFをコードする遺伝子の利用によれば、遺伝子組換
え技術に従い、GIFを大量に収得することができる。上
記技術においては該遺伝子が宿主細胞中で発現でき得る
ような組換えDNAを作成する。該組換えDNAの作成は、当
該技術分野における通常の方法に従うことができ、本明
細書に開示のGIFの遺伝子情報に基づいて容易に実施で
きる。個々の具体的操作については一部既に詳述した
が、以下により具体的に詳述する。
宿主細胞としては、真核生物及び原核生物のいずれを
も用いることができる。該真核生物の細胞には、脊椎動
物、酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物細胞としては、例
えばサルの細胞であるCos細胞〔Y.Gluzman,Cell,23,175
−182(1981)〕やチヤイニーズ・ハムスター卵巣細胞
のジヒドロ葉酸レダクターゼ欠損株〔G.Urlaub and L.
A.Chasin,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,77,4216−4220(19
80)〕等がよく用いられているが、之等に限定される訳
ではない。脊椎動物細胞の発現ベクターとしては、通常
発現しようとする遺伝子の上流に位置するプロモータ
ー、RNAのスプライス部位、ポリアデニル化部位及び転
写終了配列等を保有するものを使用でき、これは更に必
要により複製起源を保有していてもよい。該発現ベクタ
ーの例としては、SV40の初期プロモーターを保有するpS
V2dhfr〔S.Sabramani,R.Mulligan and P.Berg,Mol.Cel
l.Biol.,,854−764〕等を例示できるが、これに限定
されない。
また真核微生物としては酵母が一般によく用いられて
おり、その中でもサツカロミセス属酵母が有利に利用で
きる。該酵母等の真核微生物の発現ベクターとしては、
例えば酸性ホスフアターゼ遺伝子に対するプロモーター
を持つpAM82〔A.Miyanohara et al,Proc.Natl.Acad.Sc
i.,USA,80,1−5(1983)〕等を好ましく利用できる。
原核生物の宿主としては、大腸菌や枯草菌が一般によ
く知られている。本発明では例えば該宿主菌中で複製可
能なプラスミドベクターを用い、このベクター中にGIF
の遺伝子が発現できるようにGIF遺伝子の上流にプロモ
ーター及びSD(シヤイン・アンド・ダルガーノ)塩基配
列、更に蛋白合成開始に必要なATGを付与した発現プラ
スミドが使用できる。上記宿主微菌としての大腸菌とし
ては、エシエリヒア・コリー(E.coli)K12株等がよく
用いられ、ベクターとしては一般にpBR322がよく用いら
れるが、これに限定されず、公知の各種の菌株及びベク
ターがいずれも利用できる。プロモーターとしては、例
えばトリプトフアン・プロモーター、PLプロモーター、
lacプロモーター、lppプロモーター等を使用することが
でき、いずれの場合にもGIF遺伝子を発現させることが
できる。
トリプトフアン・プロモーターを用いる場合を例にと
り詳述すれば、発現ベクターとしてトリプトフアン・プ
ロモーター及びSD配列を持つベクターpTM1〔今本文男、
代謝、Vol.22,289(1985)〕を使用し、SD配列の下流に
存在する制限酵素ClaI部位に、必要に応じてATGを付与
したGIFをコードする遺伝子を連結させればよい。この
方法により例えば前記ポリペプチドIを製造する場合、
より具体的には、まずGIFのcDNAを持つ例えば後記実施
例に示すプラスミドpGIF−αを、制限酵素AccI及びMspI
で切断してポリペプチドIをコードする遺伝子の大部分
と3′非翻訳領域の一部を含むDNAフラグメントを単離
する。このDNAフラグメントではポリペプチドIのアミ
ノ末端側の10アミノ酸残基をコードする遺伝子領域が不
足している。従つて、上記方法では次いでトリプトフア
ン・プロモーターを持つ発現ベクターpTM1の制限酵素Cl
aI部位に連結することができ、且つ翻訳開始コドンATG
を持ち、更にポリペプチドIのアミノ末端側から10アミ
ノ酸残基をコードし得る合成DNAリンカーを作成し、こ
のリンカーを用いて、トリプトフアン・プロモーターの
下流にポリペプチドI遺伝子を挿入して発現プラスミド
を調製する。該プラスミドをCaCl2処理によりDNAを取り
込みやすい状態とした大腸菌へ形質転換させ、目的の形
質転換株を常方に従い培養することにより、ポリペプチ
ドIを取得できる。上記形質転換株の培養は、一般には
トリプトフアン・プロモーターが働くようにするために
カザミノ酸を添加したM9最小培地を用いて行なわれ、該
培地中には培養中の適当な時期にインドールアクリル酸
等のトリプトフアン・プロモーターの働きを強めるため
の薬剤を添加することもできる。かくして培養された大
腸菌内には、ポリペプチドIが大量に産生、蓄積され
る。
上記に具体的に例示した以外のすべての本発明GIFの
製造方法も、上記方法と略々同様にして行なうことがで
きる。
上記により、目的の組換え微生物の細胞内又は細胞外
に産生されるGIFは、常法に従い分離され、GIFの物理
的、化学的性質等を利用した各種の処理操作に従い単
離、精製することができる。該処理操作の具体例は、前
記した通りである。
本発明方法に従い得られるGIFは、その有するGIF活性
及び種々の腫瘍細胞に対して特異的にその増殖を抑制す
る作用により、単独でヒト及びその他の動物の抗腫瘍剤
として有用であり、またガンの化学療法剤として、特に
各種抗悪性腫瘍剤との併用による寛解強化療法、寛解維
持療法に有利に用いられる。更に該GIFは、毒性が極め
て低く、この低毒性の面でも上記用途に有利である。
GIFを抗腫瘍剤として用いるに当り、該抗腫瘍剤はGIF
の有効量を、薬理的に許容される通常の無毒性担体と共
に含有する各種の薬理組成物の形態に調製され、該形態
に応じた各種投与経路により投与される。その製剤形態
としては、通常液状形態、即ち溶液、懸濁液、乳濁液等
を例示でき、之等は一般に経口、静脈、皮下又は筋肉内
投与される。之等はまた使用前に適当な通常の担体の添
加によつて液状となし得る乾燥品として提供することも
できる。該抗腫瘍剤の投与量は、患者の年齢、性別や疾
患の程度等により異なるが、通常蛋白量として約0.1〜1
00mg/kg/日を1〜数回に分けて投与するのが好ましい。
実施例 以下、本発明を更に詳細に説明するため実施例を挙げ
る。
尚、GIF活性は次の方法により測定した。
GIF活性の測定 96ウエルマイクロプレート(コーニング社)に種々の
濃度に希釈した供試液0.1mlを入れ、次に各ウエルにヒ
トメラノーマ細胞A375を2×104個/mlの濃度で含有する
10%FCSを含むイーグルスMEM浮遊液0.1mlを加え、炭酸
ガス培養器(ナフコ社製)内で四日間培養する。培養終
了後、0.05%ニユウトラルレツド(和光純薬社製)0.05
mlを各ウエルに加え、37℃で2時間培養する。上澄液を
除去した後、リン酸緩衝生理食塩水0.3mlを各ウエルに
静かに加えてウエルを洗浄する。洗浄液を除去した後、
各ウエルにリン酸1ナトリウム−エタノール等量混合液
0.1mlを加え、マイクロミキサーで数分間振盪し、細胞
内に取込まれた色素量を、96ウエル−マイクロタイトレ
ーシヨンプレート用光度計(タイターチエツクマルチス
キヤン、フロウラボラトリーズ社製)を用いて、吸光度
540mμにて測定し、増殖抑制活性を求める。対照群(コ
ントロール群)の細胞増殖の50%抑制を示す試験群、即
ち対称群の吸光度測定値の1/2の吸光度測定値を示す試
験群、の希釈倍数の逆数をとり、これをGIF活性単位と
する。従って例えばこのGIF活性が10単位の場合、この
供試液は10倍希釈してもなお細胞増殖を50%抑制する活
性を有する。
実施例1 (I)天然型GIFの製造 ヒト抹消血リンパ球を、2%牛胎児血清(FCS)加RPM
I−1640培地に懸濁させ、1×106個/mlの濃度の細胞浮
遊液に調製した。
この液に抗腫瘍物質誘導剤であるPHA−P(インゲン
マメレクチン、デイフコ(Difco)社製)を0.2%の濃度
となるように加え、37℃で3日間炭酸ガス培養器(NAPC
O5300、ナフコ社製)内で培養し、培養液を遠心分離(2
000g×10分)として培養上清を得た。得られた培養上清
を以下原料液とする。
原料液を、硫酸アンモニウム沈澱法(日本生化学会
編、生化学実験講座第1巻、東京化学同人)により分画
した。硫酸アンモニウム濃度50〜80%の画分にGIF活性
を有する沈澱が認められた。
この沈澱物をAcA54(LKB社)ゲルクロマトグラフイー
〔80cm×4.4cm直径、移動相0.02%ポリエチレングリコ
ール(分子量6000)を含むリン酸塩緩衝液(phosphateb
uffer saline)、流速30ml/hr〕.に付し、分子量1万
〜2.5万の画分にGIF活性を認めた。この画分にはTNF、I
FN、CSFの活性は認められなかった。
上記ゲルクロマトグラフイーの結果を第1図に示す。
図において横軸はフラクシヨンNo.を示し、縦軸は下記
各測定法に従つて求められた各種生理活性及びOD290
の吸光度をそれぞれ示す。また図には参考のため各フラ
クシヨンに相当する分子量を矢印を付して示した。図中
(1)はCSF活性を、(2)はIFN活性を、(3)はIL−
2活性を、(4)は本発明GIF活性を、(5)はBCDF活
性を、及び(6)はTNF活性をそれぞれ示す曲線であ
り、(7)は吸光度曲線である。
活性測定 各生理活性の測定は、次の方法によつた。
GIF(上記方法に従う)。
TNF(L929細胞株を使用し、A.Khanらの方法〔Human L
ymphokines,Academic press,p23〜32(1982)〕に従い
活性測定)。
IFN(ヒト羊膜由来FL細胞とシンドビスウイルス(Sin
dbis virus)を使用した系においてインターフエロン活
性測定(須藤哲夫、大久保礼子、飯塚雅彦、小林茂保、
第42回ウイルス抑制因子研究会、1982年〕にて活性測
定)。
CSF(colony stimulating factor;フアラ(J.J.Farra
r)らの方法(J.Immunol.,127,1983(1981)〕に従いBA
LB/c系マウス骨髄細胞を使用して活性測定)。
LAF(Lymphocyte activation factor、オツペンハイ
ム(J.J.Oppenheim)らの方法〔J.Immunol.,116,1466
(1976)〕に従い、C3H/He J系マウスの胸線細胞を利用
して活性測定)。
IL−2(インターロイキン−2、ギリス(S.Gillis)
とスミス(K.A.Smith)の方法〔J.Immunol.,120,2027
(1978)〕に従い、IL−2依存性マウスT細胞(CTLL
2)を使用して活性測定)。
BCDF(B細胞分化因子、B−cell differentiation f
actor、岸本らの方法〔J.Immunol.,127,412(1981)〕
に従い、CESS細胞株を使用して活性測定)。
次いで上記画分につき、PBE94(フアルマシア社製)
ゲルを使用してクロマトフオーカシングを行なった。即
ち、開始緩衝液として0.025Mイミダゾール塩酸(pH7.
4)を用い、また溶出液としてポリバッフアー74−塩酸
(pH4)を用いて上記画分を分画し、得られる。各フラ
クシヨンのGIF活性を測定した。その結果、等電点(P
I)6.4〜6.6の領域にGIF活性が存在した。この領域には
BCDF活性は認められなかった。
このクロマトフオーカシング分析結果を第2図に示
す。図において横軸はフラクシヨンNo.を、縦軸はOD280
の吸光度(曲線(1)で示される)、BCDF活性(曲線
(2)で示される)、本発明GIF活性(曲線(3)で示
される)及びpH(曲線(4)で示される)をそれぞれ示
す。
更に上記GIF活性画分を、逆相高速液体クロマトグラ
フイー(C4ハイポアー逆相カラム(RP304)、バイオー
ラド社製、直径4.6×250mm、移動相;A液=0.1%TFA、B
液=0.1%TFA+70%アセトニトリル、濃度勾配;A液100
%から80分間でB液100%とする、流速1ml/分)に付
し、アセトニトリルが44±3%の画分を得た。この画分
にはIL−2の活性は認められなかつた。またGIF活性とL
AF活性とは一致しなかった。
上記により、本発明の天然型GIFを単離した。
上記逆相高速液体クロマトグラフイーの分析結果を第
3図に示す。図において横軸は保持時間(分)を、縦軸
は曲線(1)で示されるアセトニトリルの濃度、曲線
(2)で示される280nmにおける蛋白の吸光度(OD28
0)、曲線(3)で示される本発明GIF活性、曲線(4)
で示されるLAF活性及び曲線(5)で示されるIL−2活
性をそれぞれ示す。
(II)天然型GIFの製造 ヒト抹消血リンパ球を、1%牛胎児血清(FCS)、0.1
μg/mlインドメタシン、20mM N−2−ヒドロキシエチル
ピペラジン−N′−2−エタンスルホン酸(HEPES)及
び10μg/mlLPS(デイフコ社製)を加えたRPMI−1640培
地にて、1×106個/mlの濃度の細胞浮遊液に調製した。
この液を、37℃で20〜24時間炭酸ガス培養器(ナフコ
社製、NAPCO5300)内で培養し、培養液を遠心分離(100
00rpm×30分)して培養上清24300mlを得、次いでこれを
ペリコン膜(分子量カツトオフ,10000;ミリポアー(Mil
lipore)社製)を用いて10倍に濃縮した。得られた培養
上清濃縮液を以下原料液という。
原料液を、上記(I)と同様に硫酸アンモニウム沈澱
法により氷冷下に分画した。硫酸アンモニウム濃度50〜
80%の画分にGIF活性を有する沈澱が認められた。これ
を生理食塩水に溶解し、生理食塩水で透析した。
上記硫酸アンモニウム分画物を4回に分けて各々4℃
でウルトロゲルAcA54(LKB社)を用いたゲルクロマトグ
ラフイーに付した。その条件は次の通りである。
カラム:88cm×4.4cm直径 溶離液:0.02%ポリエチレングリコール(分子量6000)
及び0.02%NaN3を含むリン酸塩緩衝生理食塩液(PBS) 流 速:30ml/時間 フラクシヨン容積:15ml/30分/チユーブ 各回とも分子量約1万〜2.5万の画分(フラクシヨンN
o.57〜65)にGIF活性を認め、これを集めた。
この活性画分を、次いで氷冷下、YM−5膜(アミコン
社製)を用いて濃縮し、溶媒を50mM酢酸ナトリウム(pH
5.5)とした。濃縮後、マイレツクスGV(0.22μm;ミリ
ポア社製)で過した。
上記で得られた活性画分濃縮処理試料を、2回に分け
てジルソン ハイパホーマンス リキツド クロマトグ
ラフイー システム(ジルソン(Gilson)社製)による
イオン交換クロマトグラフイー(CM−HPLC)にかけた。
その条件は次のとおりである。
カラム:IEX−535KM(6.0×150mm、東洋曹達社製) 溶離液A:50mM−酢酸ナトリウム(pH5.5) 溶離液B:0.5M−NaCl含有50mM−酢酸ナトリウム(pH5.
5) 流速:0.5ml/分 フラクシヨン容積: リテンシヨンタイム 0〜60 分…2ml/4分/チユーブ 60〜120分…0.5ml/分/チユーブ 120〜180分…2ml/4分/チユーブ 濃度勾配: 時間(分) %B 0 0 40 0 120 20 140 100 165 100 170 0 上記CM−HPLCの結果、GIF活性画分は、リテンシヨン
タイム90〜91分に認められた。
上記によるGIF活性画分(フラクシヨンNo.45)を、次
いで逆相高速液体クロマトグラフイーに付した。その条
件は、次のとおりである。
カラム:C4ハイポアー逆相カラム(RP304、バイオーラ
ド社、直径4.6×250mm) 溶離液:A液=0.1%TFA B液=アセトニトリル:1%TFA(9:1) 流速:1ml/分 チヤートスピード: リテンシヨンタイム 0〜50分…5分/cm 50〜80分…2分/cm 濃度勾配: 時間(分) %B 0 0 5 0 15 20 75 45 80 100 85 100 90 0 フラクシヨン容積:2ml/2分/チユーブ 上記クロマトグラフイーの結果を第4図に示す。図に
おいて、横軸はリテンシヨンタイム(分)を縦軸はGIF
活性(曲線1)、280nmにおける蛋白の吸光度(A280
曲線2)及び溶離液の濃度勾配(%B、曲線3)をそれ
ぞれ示す。
リテンシヨンタイム63.9〜65.3分にGIF活性に一致す
る単一の蛋白の吸光度ピークを示すGIFが得られた。
その比活性は2.1×107単位/mg蛋白であった。
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS−PAGE) Laemmli,U.K.の方法〔Nature,277,680(1970)〕に従
い、上記(II)で得たGIFのSDS−PAGEを行なった。その
条件は次の通りである。
試料:上記GIF活性画分10μlを乾固した後、ラエメリ
ーのサンプル バツフアー(1/20体積の2−メルカプト
エタノールを含む)に溶解し、100℃で4分間処理し
た。
ゲル:厚さ0.75mmの15%ポリアクリルアミドゲルを使用
した。
電気泳動装置:バイオーラド社製プロテアンを用いた。
泳動条件:20mAの定電流で2時間泳動させた。
泳動後のゲルをバイオーラド社製シルバースタインキ
ツト(Silver stain kit)を用いて染色した。その結果
を第5図に示す。
第5図においてレーンは以下の分子量マーカーの結
果であり、レーンは上記GFI試料の結果であり、レー
ンは0.1%TFA10μlを、GIF活性画分に代えて用いて
上記レーンに用いた試料と同じ処理をしたものの結果
を示す。
〈レーンにおける分子量マーカー〉 94K:フオスフオリラーゼb 67K:アルブミン 43K:オバルブミン 30K:カルボニツク アンハイドラーゼ 20.1K:トリプシン インヒビター 14.4K:α−ラクトアルブミン 上記第5図より、GIFは、分子量約18Kに単一のバンド
として泳動されることが判る。
等電点電気泳動法(IEF) 上記(II)で得たGIFの等電点電気泳動を、pH範囲3.5
〜9.5のアンフオラインPAGプレート(LKB社製)及びモ
デル1415(バイオーラド社製)を用いて行なった。
その条件は次の通りである。
試料:上記GIF活性画分10μlを、25mMのナトリウムフ
オスフエートバツフアー(pH7.4)で5倍希釈して用い
た。
電極液:陽極液=1M H3PO4 陰極液=1M NaOH 泳動条件=定電力1W/cmゲル幅で90分間冷却下(10℃)
に泳動させた。
染色:染色は、シルバー スタイン キツトで行なっ
た。
上記泳動の結果を第6図に示す。該図においてレーン
及びは、分子量マーカー20μlの結果であり、レー
ンは上記GIF試料50μlの結果であり、レーンは、
0.1%TFA10μlをレーンの試料と同様にして希釈した
もの(バツフアー)50μlの結果を示す。
また上記泳動後、ゲルを5mm又は2mm間隔でスライス
し、10%FCS加RPMI1640培地1mlにて振盪抽出(2日)
し、GIF活性の測定に供した。等電点は、泳動後のpHの
測定結果から算出した。
上記結果を第7図に示す。第7図において横軸はスラ
イスしたゲルNo.を、縦軸はpH勾配(破線で示される)
及びGIF活性(実線のグラフ)を示す。
第6図及び第7図よりGIFの等電点(pI)は、7.02〜
6.88であり、この位置に単一のバンドとして現れること
が判る。
アミノ酸組成比 上記(II)で得たGIFを、加水分解(4N−メタンスル
ホン酸、24時間)後、オルトフタルアルデヒド(OPA)
法により、アミノ酸アナライザー(日立製作所製)を用
いて分析した。
その結果GIFは、Pheを基準として、以下のモル比で各
アミノ酸を含有するものと認められた。
尚、上記分折条件下においては、Pro及びCysは測定で
きない。またSer及びThrは同条件で一般に約5〜10%程
度分解することが知られている。アミノ酸 モル比 Asp及び/又はAsn 17.6 Ser 12.1 Thr 5.7 Glu及び2又はGln 23.1 Gly 8.1 Ala 5.2 Val 11.8 Met 5.6 Ile 4.8 Leu 15.4 Tyr 3.9 Phe (9) Lys 15.3 His 1.1 Trp 0.8 Arg 3.0 アミノ酸配列 上記(II)で得たGIFのN端アミノ酸配列を、気相シ
ークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製)によ
り決定した。
その結果GIFのN端20個のアミノ酸配列は、以下のも
のであると認められた。
Ala−Pro−Val−Arg−Ser−Leu−Asn− Cys−Thr−Leu−Arg−Asp−Ser−Gln− Gln−Lys−Ser−Leu−Val−Met 尚、N末端より8番目のアミノ酸はPTHアミノ酸とし
て検出されなかったことからCysと推定した。
生理活性 上記(II)で得たGIFを、前記各種生理活性の測定試
験に供した結果、TNF、INF、CSF、IL−2及びBCDFのい
ずれの活性も認められず、之等生理活性物質とは明確に
区別される異なる物質であることが判ると共に、極めて
均質であることが確認された。
各種レクチンカラムに対する親和性試験 上記(I)及び(II)で得たGIFの糖結合特異性を調
べるために、以下に示される各レクチンを用いてアフイ
ニテイ−クロマトグラフイー〔供試試料3624単位/0.06m
g/0.5ml、ゲル容積1ml、洗浄液:PBS-−0.005%PEG(但
しSJAについては0.05Mトリス−0.15MNaCl、pH8.7を使
用)、溶出液:各洗浄液に下記第1表に示す糖を添加し
た溶液〕により之等レクチンカラムに対するGIFの結合
性を調べた。
結果を下記第1表に示す。尚各レクチンはいずれもイ
ー.ワイ.ラボラトリー(E.Y.Laboratories)社より入
手した。
上記(I)で得たGIFについての結果を、また第8図
に示す。図において縦軸は供試試料中に存在するGIF活
性量を100%として、各レクチンカラムに吸着せず、通
過した画分(W)及びカラムに吸着し、溶出液により溶
出された画分(E)に含まれる活性量の割合を示し、横
軸は各レクチンカラムにおける各画分(W及びE)を示
す。
第8図よりGIFは、上記各レクチンのいずれにも親和
性を示さず、従つてこれらの一般的糖鎖は結合していな
いことが認識された。
また上記(II)で得たGIFについての結果も上記第8
図と同様であった。
安定性 GIFの安定性試験を以下の通り行なった。尚、GIFとし
ては上記(I)で得たもの及び(II)で得たものをそれ
ぞれ用いたがいずれの場合も同様の結果を与えた。
a.温度安定性 GIFを第2表に示す各条件下で処理し、その温度安定
性を調べた。即ち上記ゲル過画分3503単位/mlを各温
度でインキユベーシヨンし、処理後の活性量を対照群に
対する残存活性%として求めた。結果を下記第2表に示
す。
第2表処理条件 対照群に対する残存活性% 37℃、1時間 97% 56℃、30分間 0% 70℃、30分間 0% 80℃、30分間 0% 4℃、1時間 100%(対照群) b.pH安定性 上記aと同様にしてGIFを第3表に示す各条件(温度
は4℃一定とした)下で処理し、そのpH安定性を同様に
し求めた。結果を下記第3表に示す。
第3表処理条件 対照群に対する残存活性% pH7.4、5時間 100%(対照群) pH2.0、5時間 60% pH4.0、5時間 80% pH6.0、5時間 90% pH8.0、5時間 95% pH9.5、5時間 75% c.蛋白分解酵素に対する安定性 上記aと同様にしてGIFの各種蛋白分解酵素に対する
安定性を下記第4表に示す条件下に調べた。結果を同表
に示す。尚、トリプシンとしてはシグマ社製トリプシン
タイプIII、12700BAEE単位/mg蛋白)を1mg/mlの濃度
で用いた。またプロナーゼとしては科研化学社製プロナ
ーゼ(45000p.u.k/g蛋白)を1mg/mlの濃度で利用した。
第4表処理条件 残存活性% リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)処理(37℃、2時間) 100% (対照群) トリプシン処理(37℃、2時間) 0%プロナーゼ処理(37℃、2時間) 0% 上記第4表より、GIFはトリプシン処理及びプロナー
ゼ処理により失活することが判る。
GIF活性の用量作用曲線 (a)上記(I)で得たGIF試料144.6単位/ml(蛋白濃
度723ng/ml)を用いて、各種希釈倍率におけるGIF活性
の用量作用曲線を求めた。結果を第9図に示す。図にお
いて横軸は試料の希釈倍率を、縦軸はGIF活性(腫瘍細
胞増殖抑制率)を示す。
第9図より、GIFは数十ng/mlの用量で50%程度腫瘍細
胞の増殖を抑制することが判る (b)前記(II)で得た天然型GIFの各種癌細胞に対す
る抗腫瘍活性を、以下のコロニー抑制試験及び増殖抑制
試験により試験した。
コロニー抑制試験 12ウエル組織培養プレート(コースター(Coster)社
製)を用い、該プレートの各ウエルに各種供試癌細胞を
10%FCS含有RPMI1640培地に2×102〜5×102細胞/ウ
エル(500μl/ウエル)となる濃度で懸濁させた液を分
注する。
上記各ウエルに、GIF試料を最終濃度が1.6〜1000単位
/mlとなる所定量で加える。またGIF試料無添加の対照を
作成する。
上記各ウエルを37℃で5%炭酸ガス存在下に、1週間
培養する。その後、培地をアスピレーターで除去し、Ca
Cl2含有PBS(PBS+)で2回洗浄し、100%メタノールで
生成したコロニーを固定し、次にコロニーをギムザ染色
して計数する。
コロニー抑制率(%)は、次式により算出される。
供試癌細胞として、A−549(ヒト肺癌組織、human l
ung cancer cell、ATCC CCL185)を用いた結果を第10図
に示す。図において横軸はGIF濃度(単位/ml)を、縦軸
はコロニー抑制率(%)を示す。
増殖抑制試験 96ウエル組織培養プレート(コーニング(Corning)
社製)を用い、該プレートの各ウエルに各種供試癌細胞
を10%FCS含有RPMI1640培地に2×103〜5×103細胞/
ウエル(100μl/ウエル)となる濃度で懸濁させた液を
分注する。
上記各ウエルに、GIF試料を最終濃度が1〜1000単位/
ml培地となるように各々100μlづつ分注する。またGIF
試料無添加の対照を作成する。
上記各ウエル内細胞を37℃で5%炭酸ガス存在下に4
〜5時間培養後、ウエルに更に0.05%ニユートラルレツ
ドを50μlづつ加え、37℃で5%炭酸ガス存在下に、1
週間インキユベートし、その後、各ウエルをCaCl2不含P
BS(PBS-)で洗浄し、色素抽出緩衝液100μlづつを加
え、各ウエルの540nmにおける吸光度(O.D.)を測定す
る。
増殖抑制率(%)は、次式により算出される。
試料のOD 供試癌細胞として、ACHN(ヒト腎臓アデノカルシノー
マ、human renal adenocarcinoma、ATCC CRL1611)を用
いた結果を第11図に、またSK−BR−3(ヒトブレストア
デノカルシノーマ、human breast adenocarcinoma、ATC
C HTB30)を用いた結果を第12図にそれぞれ示す。各図
において横軸はGIF濃度(単位/ml)を、縦軸は増殖抑制
率(%)を示す。
GIF蛋白の一次構造の決定 (1)ヒト末梢血を採血し、フイコール・ハイパークの
密度勾配遠心法〔Eur.J.Immunol.,808(1974)〕によ
り末梢血リンパ球1.9×1010個を得た。
このリンパ球を4×108/mlの細胞濃度で、ヒト血清5
%を含むRPMI1640培地に懸濁させ、直径9cmのシヤーレ
に分注後、5%炭酸ガス中、37℃で1時間培養した。そ
の後、シヤーレ底部に付着していない細胞を除去し、ウ
シ胎児血清10%、TPA(シグマ(Sigma)社製)0.5ng/ml
及びLPS(デイフコ(Difco)社製)10μg/mlを含むRPMI
1640培地にて細胞を刺激した。5%炭酸ガス中、37℃で
4時間培養した後、PBS及び0.02%EDTAにて付着性リン
パ球9×108個を得た。
上記においてシヤーレ底部に付着した細胞を同様の培
養条件でLPS10μg/mlで刺激した後、経時的に培養上清
中のGIF活性を測定した。
結果を第13図に示した。図において横軸は培養時間
(時間)であり、縦軸はGIF活性(単位/ml)である。
第13図より、LPS刺激4時間後より、GIF活性が培養上
清に出現し、従つてGIF蛋白質を産生するmRNAは、LPS刺
激4時間後のヒト付着性細胞より調製すればよいことが
判る。
(2)上記(1)に従い、TPA0.5ng/ml及びLPS10μg/ml
で4時間誘導したヒト付着性リンパ球9×108細胞を、6
M−グアニジンチオシアネート溶液(6M−グアニジンイ
ソチオシアネート、5mMクエン酸ナトリウム(pH7.0)、
0.1M2−メルカプトエタノール、0.5%ザルコシル(Sark
osyl)30mlにて溶解後、G18G注射針をつけた50ml注射筒
を用いてDNAをせん断した。この溶液に塩化セシウム(C
sCl)12gを添加し、完全に溶解させた後、その6.4mlず
つを5.7M CsCl(5.7MCs Cl−0.1MEDTA)4mlに重層し、
ベツクマンローター(Beckman SW−40Tirotor)にて25
℃で31500rpmで20時間遠心した。沈澱したRNAのペレツ
トを70%エタノールで洗浄後、TE溶液(10mMトリス・HC
l,pH7.5,1mMEDTA)に溶解し、1/9容の3M酢酸ナトリウム
(pH5.2)及び2.2容のエタノールを加えて、−70℃で1
時間放置した。4℃にて15000rpmで20分間遠心し、RNA
を回収し、TE溶液に溶解させた。
かくして付着性リンパ球9×108細胞から、全RNA250
μgを得た。
次に、上記で得たRNAからmRNAを取得するために、オ
リゴ(dT)−セルロース(Collaborative Research In
c.)を用いてカラムクロマトグラフイーを行なつた。吸
着は、10mMトリス・HCl(pH7.5),0.5MNaCl,1mMEDTAに
て行ない、カラムを同溶液にて洗浄後、10mMトリス・HC
l(pH7.5)及び1mMEDTAにてRNAを溶出させた。
この結果、溶出されたmRNA量は、17.5μgであつた。
(3)上記(2)で得たmRNAから、次いでcDNAを、イン
ビトロで合成し、オカヤマ−ベルグのプラスミドベクタ
ー〔Okayama,H.and Berg,P.,Mol.Cell.Biol.,,161(1
982)〕を用いて組換え体DNAを作成し、これをエシエリ
ヒア コリーにトランスホームして、cDNAライブラリー
を作製した。各手法は次の通りである。
(3−1)ベクター・プライマーとリンカーDNAの調製 pBR322−SV40(0.71〜0.86)DNA400μgを、KpnI(NE
B)700単位で、37℃で5時間消化し、0.25M EDTA(pH8.
0)40μlと10%SDS20μlとの混液で反応を停止させた
後、等容のフエノール−クロロホルム(1:1)で抽出
し、エタノールにてDNAを沈澱させ、遠心後、70%エタ
ノールで洗浄し、DNAを回収した。得られたDNAを140mM
カコジル酸ナトリウム,30mMトリス・HCl(pH6.8),1mMC
oCl2,0.1mM DTT及び0.25mM dTTP(α−32P−dTTP0.5μC
iを含む)200μlに溶解させ、ターミナルトランスフエ
ラーゼ(TTase,PL)400単位にて30分間dT鎖の伸長を行
なわせ、0.25M EDTA20μlと10%SDS10μlとを加えて
反応を停止させ、フエノール−クロロホルム抽出を4回
繰返した後、エタノール沈澱にてDNAを回収した。この
結果、dt鎖は約70塩基伸長された。
次に、上記で得たDNAを、HpaI(NEB)17単位を用い
て、37℃で6時間消化し、アガロース(低融点アガロー
ス,BRL,1%)電気泳動にて約2.7kbのDNA断片の回収を行
なつた。
電気泳動後、エチジウムブロマイド0.5μg/mlにてDNA
を染色し、UV照射下で約2.7:kbの断片を含むアガロース
を切り出し、5倍容の20mMトリス・HCl(pH8.0)−1mME
DTAを加え、65℃で5分間でアガロースを溶解後、フエ
ノール抽出、フエノール−クロロホルム(1:1)抽出及
びクロロホルム抽出を順次行ない、エタノール沈澱にて
DNAを回収した。
次にオリゴ(dA)セルロースカラムクロマトグラフイ
ーでベクタープライマーDNAでの精製を行なつた。上記D
NAを10mMトリス・HCl(pH7.3)−1mMEDTA−1MNaCl緩衝
液1mlに溶かし、氷冷した後、同緩衝液で平衡化したカ
ラムに載せ、同緩衝液1mlで洗浄後、室温に戻して、10m
Mトリス・HCl(pH7.3)−1mM EDTAで、DNAを溶出した。
溶出のピーク画分を集め、エタノール沈澱にてDNAを回
収後、10mMトリス・HCl(pH7.3)−1mM EDTA100μlに
溶かし、4℃で保存した。
リンカーDNAを次の通り調製した。即ち、pBR322−SV4
0(0.19〜0.32)DNA100μgを、PstI(NEB)120単位
で、37℃下、1.5時間消化後、反応を停止させ、フエノ
ールクロロホルム抽出、エタノール沈澱を行なつた。DN
Aを回収し、140mMカコジル酸ナトリウム、30mMトリス・
HCl(pH6.8)、1mMCoCl2、0.1mMDTT、0.25mMdGTP(1
μCiのα−32P−dGTPを含む)50μlに溶解し、TTase6
0単位を20分間作用させた。この結果、18残基のdG鎖が
付加された。反応停止後、DNAを回収し、HindIII(宝酒
造)50単位で消化し、前記したようにアガロース(1.8
%)電気泳動で約0.28kbのDNA断片を回収し、2.3μgの
リンカーDNAを得た。
(3−2)cDNAの合成とcDNAライブラリーの作製 RNA5μgが減圧乾燥した後、5mMトリス・HCl(pH8.
3)10μlに溶解し、65℃で5分間加熱した。直ちに37
℃に移し、反応混合液20μl(50mMトリス・HCl(pH8.
3)、8mM MgCl2、30mMKCl、0.3mMDTT、2mMdNTP、10μCi
α−32P−dCTP)を加え、5分間37℃にて保温した。
RTase(リバーストランクスクリプターゼ、生化学工
業社製)10単位を加え、37℃で15分間反応させた後、再
度RTase10単位を加え、更に15分間保温した。0.25mMEDT
A(pH8.0)2μlと10%SDS1μlとを加えて反応を停止
させた後、フエノール−クロロホルム抽出を行ない、4M
酢酸アンモニウム20μlとエタノール80μlとを加え、
15分間−70℃で凍らせた後、室温で融解し、15000rpm、
4℃で10分間遠心し、沈澱させた。沈澱を10mMトリス・
HCl(pH7.3)20μlに溶かし、4M酢酸アンモニウム19μ
lとエタノール80μlとを加え、再沈澱させた。
沈澱を回収し、70%エタノールで洗つた後、15μlの
140mMカコジル酸ナトリウム、30mMトリス・HCl(pH6.
8)、1mM CoCl2、0.1mM DTT、0.2μgポリA及び66μM
〔α−32P〕dCTP(10μCI)に溶解した。TTase(P.L.)
18単位を加え、37℃で5分間反応させた後、0℃に急冷
し、0.25M EDTA1.3μlと10%SDS 0.65μlとで反応を
停止させ、フエノール−クロロホルム抽出及びエタノー
ル沈澱を行なつた。
沈澱を遠心して回収後、Hind III(宝酒造)4単位で
37℃で2時間消化し、反応停止後、フエノール−クロロ
ホルム抽出し、エタノール沈澱を行なつた。沈澱を回収
後、10mMトリス・HCl(pH7.3)及び1mMEDTAの10μlに
溶かし、エタノール3μlを加え、−20℃で保存した。
上記で得た試料1μlをリンカーDNA5ngと共に、10mM
トリス・HCl(pH7.5)−1mMEDTA−0.1MNaCl10μl中
で、65℃で2分間、次いで42℃で30分間保温した後、0
℃に冷却した。これに20mMトリス・HCl(pH7.5)、4mM
MgCl2、10mM(NH4)2SO4、0.1M KCl、0.1mM β−NAD、50
μg/mlBSA及び6μg/mlエシエリヒア コリーDNAリガー
ゼの混合溶液を90μl加え、全液量を100μlとし、12
℃で一夜保存した。
次いで、10mM dNTP 0.5μl、10mM NAD 0.56μl、E.
コリーDNAポリメラーゼI(ベーリンガーマンハイム社
製)0.5μl及びRNase H(PL)0.2μlを加え、12℃及
び25℃で順次1時間ずつ保温した後、−20℃で凍結保存
した。
エシエリヒア コリーHB101株を、LB培地(バクト−
トリプトン10g、バクト−イースト抽出物5g及びNaCl10g
/l)にて、OD550=0.45まで培養し、5分間氷冷後、4
℃で8000rpmで5分間遠心して菌体を回収した。菌体の
ペレツトを氷冷した30mM酢酸カリウム10mM RbCl、10mM
CaCl2、50mM MnCl、15%グリセリンに懸濁させ、0℃で
5分間保ち、4℃、8000rpm、5分間遠心し、得られた
菌体を、10mM MOPS(モルホリノプロパンスルホニツク
アシツド)、75mM CaCl2、10mM RbCl、15%グリセリン
に再度懸濁させ、0℃にて15分間保温して、コンピテン
ト細胞を作製した。かくして得られたコンピテント細胞
は、その後−70℃で保存した。
凍結菌液を室温で融解し、400μlの菌液に対して上
記DNA試料20μlを加え、30分間0℃に放置した後、42
℃で90秒間熱シヨツクを与え、再び0℃で1〜2分間静
置した。これにLB培地2mlを加え、37℃で30分間保温
し、50容のLB培地に植菌し、37℃で6時間培養した後、
50μl/mlになるようにアンピシリンを加え、更に一夜培
養し、cDNAライブラリーを作製した。このcDNAライブラ
リーは、50%グリセリン中で−20℃にて保存した。
(3−3)合成プローブの作製 前記で決定された天然型GIFのアミノ酸配列(N末端
より20残基)より、下記核酸配列を導いた。
上記塩基配列は、ヒトコドン使用頻度〔ヌクレイツク
アシツド リサーチ(Nucleic Acid Research,,r43
−74(1981)より決定した。
上記式に示した塩基配列に対する相補的な塩基配列
(最下段に示す)を、GIFをコードするcDNAを有する形
質転換株の選出のためのプローブとして利用するため、
以下の方法により合成した。即ち、N,N−ジアルキルメ
チルホスホロアミダイト誘導体を縮合ユニツトとして用
いた、固相ホスフアイト トリエステル法(Nature,31
0,105(1984)〕にて、自動合成機(380A DNA Synthesi
zer,Applied Biosystems Inc.,Foster City,California
94404,USA)を用いて、目的とする完全保護DNAを合成し
た。続いて該完全保護DNAを28%アンモニア水で55℃で1
0時間処理することにより、5′末端のOH基に結合して
いる保護基としてのDMTr(ジメトキシトリチル)基以外
の保護基(A、G、Cのアミノ基のアシル基をさす)を
脱保護させ、部分保護DNA(DMTr体)を得た。次いでこ
のDMTr体をC18を担体とする逆相HPLCにより精製した
後、80%酢酸で室温で10分間処理して上記DMTr基を脱離
させ、続いて得られた粗DNA7M尿素を含む10%ポリアク
リルアミドゲル電気泳動及びバイオ−ゲルP−30(バイ
オ−ラド社)により精製して、目的のDNA(60mer)を得
た。
上記で得たDNA6μgを、50μlの反応容液(50mMトリ
ス・HCl(pH7.6)、10mM MgCl2、10mM 2−メルカプトエ
タノール、0.2mg/ml子牛胸線DNA、50μCi〔α−32P〕−
ATP)中で、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造)12
単位と、37℃にて1時間反応させ、DNAの5′末端をラ
ベルした。ラベルされたDNAと未反応の32Pを分別するた
めに、バイオゲルP−30(バイオ−ラド社)によるカラ
ムクロマトグラフイーを行なつた。ラベルされたDNA画
分を1/9容の3M酢酸ナトリウムと2.5容のエタノールにて
沈澱させ、遠心して、回収後、10mMトリス・HCl(pH8.
0)−1mM EDTA400μlに溶解し、−20℃で保存した。
得られたプローブの比活性は107cpm/μgDNA以上であ
つた。
(3−4)cDNAライブラリーのスクリーニング アンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地上に径80mmの
ニトロセルロースフイルター(ミリポアHAIF08250)を
置き、この上にフイルター当り5000コロニーになるよう
に希釈した前記cDNAライブラリー菌液を播き、37℃にて
一夜培養した。フイルターは、合計24枚を作製した。
コロニーの出現したフイルターに新しいニトロセルロ
ースフイルターを載せることによつて、レプリカフイル
ターを作製した。
元のフイルター(マスターフイルター)を、4℃にて
保存し、レプリカフイルターを、上記した寒天培地上で
37℃で6時間培養後、クロラムフエニコール200μg/ml
を含むLB寒天培地上に移し替え、37℃で一夜培養した。
フイルターを、0.5N NaOH、1Mトリス・HCl(pH8.0)
及び1Mトリス・HCl(pH8.0)−1.5M NaClの順で処理
し、風乾後、80℃真空下で2時間ベーキングを行なつ
た。
以下、ベーキング済フィルターの処理には、SSC緩衝
液[5M NaCl及び0.5Mクエン酸3ナトリウム]及び(又
は)デンハルツ(Denhardt′s)液[10mg/mlフィコー
ル(Ficoll)、10mg/mlポリビニルピロリジン及び10mg/
mlBSA]を適宜希釈して用いる。
ベーキング済のフィルターを、20%の4×SSC緩衝
液、20%の50×デンハルツ液、0.1%SDS及び0.1mg/mlサ
ルモン スペラム(Salmon Sperm)DNAの20ml中で軽く
振盪しながら、68℃にて一夜保温した。溶液を20%の4
×SSC緩衝液、20%の50×デンハルツ液、0.1%SDS及び1
06cpm/mlプローブに替え、42℃で一昼夜軽く振盪し、ハ
イブリダイゼーシヨンを行なつた。
ハイブリダイゼーシヨンの終わつたフイルターを取り
出し、20%の4×SSC緩衝液、0.1%SDSにて室温で3回
洗浄し、その後、60℃で同溶液にてフイルターのバツク
グラウンドのカウントがGMサーベイメーターで200cpmに
なるまで洗浄した。
フイルターを風乾後、増感紙を用いてX線フイルム
(フジRX)に−70℃にて2日間オートラジオグラムを行
なつた。
フイルムを現像後、シグナル領域に存在するコロニー
をマスターフイルターよりかき取り、上記の方法を繰返
してポジテイブシグナルを有するコロニーの単離を行な
つた。
その結果、強いシグナルを有するクローンI−2を単
離した。
(3−5)クローンの解析 クローンI−2の有するプラスミドpGIF−αのcDNAの
制限酵素地図を作製した。
その結果を第14図に示す。
第14図よりcDNA中にはNco I(日本ジーン)、Hind II
I(日本ジーン)、Pvu II(日本ジーン)及びAcc II
(日本ジーン)により切断される個所がそれぞれ1個所
ずつ存在し、5′末端よりその順序で之等制限酵素によ
る切断個所が存在していることが確認された。また、cD
NAの長さは、約1.5kbであり、分子量約18kのGIFを充分
にコードできる長さであることが確認された。
次に、pGIF−αのcDNA塩基配列を、マキサム−ギルバ
ートの化学修飾法(Meth.Enzym.65,499−560,1989)及
びM13フアージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結
法〔Messing,J.and Vieira,J.,Gene,19,269−276(198
2)〕にて決定した。その結果を下記式に示す。
上記図より、合成プローブと相補的な領域が5′末端
より312番目〜371番目に存在(図に下線を付して示す)
し、ヒトコドン使用頻度から導いた塩基配列に75%の相
同性を示した。
また、pGIF−αのcDNA中の最長のリーデイングフレー
ム(reading frame)を検索したところ、5′末端より5
7番目から771番目の領域であり、そのコドンのフレーム
による312番目〜371番目の塩基配列に対応するアミノ酸
配列は、天然型GIFのN端20−アミノ酸と完全に同一で
あった。このことは、pGIF−αのcDNAがGIF前駆蛋白質
をコードするcDNAであることを示している。
上記塩基配列より、天然型GIFは312番〜771番の塩基
配列にコードされており、153アミノ酸より構成されて
いると同定される。
この結果は、前述した天然型GIFの物性(分子量、N
末端アミノ酸配列及び構成アミノ酸組成比)の結果に一
致した。
以上の結果より、決定された天然型GIFの蛋白一次構
造を下記に示す。
実施例2 (I)組換えGIF(r−GIF)の製造 上記実施例1(II)の(3−5)で得たクローンI−
2の有するプラスミドpGIF−αを、制限酵素HgiA I(NE
B)及びAcc I(日本ジーン)で切断したポリペプチドI
をコードする遺伝子581ベースペアーズ(bp)を切り出
し、その5′末端及び3′末端をヌクレエース マング
ビーン(Nuclease,Mung Bean,Pharmacia P−L Biochemi
cals)で削つた。このフラグメントをM13フアージRFmp1
0のSma Iサイトにクローニングし、エシエリヒア コリ
ーJM 105に感染させて培養し、シングルストランド(S
S)−DNAを得た。
次に得られたSS−DNAにM13ユニバーサルプライマー及
びデオキシNTPs(宝酒造)の存在下で、DNAポリメラー
ゼI(クレノ−フラグメント)(DNA polymerase I、Kl
enow Fragment,宝酒造)を働かせてダブルストランド
(ds)−DNAを合成し、続いて制限酵素EcoR I及びBamH
I(日本ジーン)で切断して目的の制限酵素サイトをも
つDNAフラグメントを得た。
このフラグメントをエクスプレツシヨンベクターpINI
IIA−3〔バイオ テクノロジー(Bio Technology),Vo
l.2,81−85(1984)〕のEcoR I及びBamH Iサイトに挿入
して、所望のプラスミドpINIIIf−GIF−αを得た。
以上の概略を第15図に示す。
上記で得たベクタープラスミドを、エシエリヒア コ
リーHB 101にトランスフオームさせて、所望の形質転換
体を得た。
上記形質転換体をL−ブロス培地(アンピシリン50μ
g/mlを含む)で、37℃で振盪培養し、増殖がOD650nmで
0.2となつた時、培地にイソプロピル−β−D−チオガ
ラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度2mM加え、その添
加の2時間、5時間及び6.5時間後に、培養液各1mlをサ
ンプリングし、遠心分離(10000rpm,5分)し、菌体を集
め、EDTA−リゾチーム−トリトンX100(最終濃度1%,T
riton×100)1mlで溶菌後、超音波処理し、サンプルと
し、その有するGIF活性を検討した。
対照としてベクタープラスミドp INIIIA−3を用いて
同様の方法で試験を行ない、GIF活性を調べた。
結果を下記第5表に示す。
第5表より、プラスミドp INIIIf−GIF−αでトラン
スフオームさせた形質転換微生物の培養により目的とす
るGIFの製造を行ない得ることが判る。
(II)r−GIFの製造 下記オリゴデオキシヌクレオチド(I)及び(II)を
以下のようにして合成した。
5′ CGATAATGGCTCCTGTAC GTTCTCTGAACTGCACTC TC 3′ (I) 5′ CGGAGAGTGCAGTTCAGA GAACGTACAGGAGCCATT AT 3′ (II) 即ち、マクロポーラスシリカに結合した5′−O−ジ
メトキシトリチル及びN−保護デオキシヌクレオシド
(アプライド バイオシステムズ社製)を出発原料と
し、3′側より5′側へ5′−O−ジメトキシトリチル
及びN−保護デオキシモノヌクレオシド−3′−ホスホ
アミダイトを縮合単位として、自動合成機(アプライド
バイオシステムズ社製、380A DNAシンセサイザー)を
用いて順次、ヌクレオチド鎖を延長させた。続いてチオ
フエノールを用いた処理による脱メチル化及び28%アン
モニアを用いた室温での処理により、シリカよりヌクレ
オチドを脱離させ、完全保護オリゴヌクレオチドを得
た。以上の操作はすべて自動合成機を用いて行なつた
〔Hunkapiller等、Nature,310,105(1984)〕。
次いで、得られた完全保護オリゴヌクレオチドを28%
アンモニア水2mlで55℃で10時間処理してN−保護基を
脱離させ、5′−O−ジメトキシトリチルオリゴヌクレ
オチドを得た。この1/5量を用いて、ODS(山村化学研究
所社製)を担体とする逆相高速液体クロマトグラフイー
により精製後、80%酢酸150μlで室温で20分間処理し
て粗オリゴヌクレオチドを得た。これをODSを担体とす
る逆相高速液体クロマトグラフイーにより更に精製し
て、目的とするオリゴヌクレオチドを得た。
前記実施例1の(II)の(3−5)で得たプラスミド
pGIF−αを、制限酵素Acc I及びCla Iにより切断後、約
1.2キロベースペアー(kbp)のDNA断片をアガロースゲ
ル電気泳動により単離精製した。このDNA断片をDNAポリ
メラーゼI(クレノ−断片)を用いて、制限酵素Acc I
及びCla I切断部分を平滑末端とした 一方BamH Iリンカー(5′CGGATCCG 3′)の5′末端
をT4ポリヌクレオチドキナーゼによりリン酸化し、これ
を先の平滑末端としたDNA断片に、T4DNAリガーゼを用い
て連結した後、制限酵素BamH Iで切断し、更に制限酵素
Msp Iで切断し、得られた反応物をアガロースゲル電気
泳動に付して、約540ベースペア(bp 9kMsp I−BamH I
DNA断片を単離精製した。
次に上記で合成した合成オリゴデオキシヌクレオチド
(I)及び(II)の各5′末端を、T4ポリヌクレオチド
キナーゼによりリン酸化し、上記で得たMsp I−BamH I
DNA断片に、T4 DNAリガーゼを用いて連結後、制限酵素B
amH I及びCla Iで切断し、得られた反応物をアガロース
ゲル電気泳動に付して、約580bpのCla I−BamH I DNA断
片を単離精製した。
他方、プラスミドp TMI〔今本文男,代謝,Vol.22,289
(1985)〕を、制限酵素BamH I及びCla Iで切断後、ア
ガロースゲル電気泳動によりtrpプロモーター領域を含
む約4.4kbpのDNA断片を単離精製した。このDNA断片と、
先に調製した約580bpのCla I−BamH I DNA断片とを、T4
DNAリガーゼで連結して所望のプラスミドptrpGIF−αを
得た。
該プラスミドをエシエリヒア・コリーHB101にトラン
スフオームさせ、目的のトランスフオーマントを、ボイ
リング法(boiling method)により得られるプラスミド
DNAの制限酵素分析により選択した〔T.Maniatis,E.F.Fr
itsch and J.Sambrook,Molecular Cloning,pp366,Cold
Spring Harfor Laboratory,(1982)〕。
以上の概略を第16図に示す。
また上記トランスフオーマントに組込まれたプラスミ
ドptrpGIF−αは、これをエシエリヒア・コリーχ1776
にトランスフオームさせ、該形質転換体をEscherichia
coliχ1776/ptrpGIF−αなる名称で1985年12月12日に工
業技術院微生物工業研究所に微工研条寄第949号(FERM
BP−949)として寄託されている。
上記形質転換体(エシエリヒア・コリーHB101/ptrpGI
F−α)を、アンピシリン50μg/ml及びL−トリプトフ
アン20μg/mlを含むLB培地(1%トリプトン、0.5%酵
母エキス及び0.5%NaCl)10ml中で、37℃で一晩振盪培
養し、この1mlをアンピシリン50μg/ml及び1%カザミ
ノ酸を含むM9最小培地(0.6%Na2HOP4、0.3% KH2PO4、0.05%NaCl、0.1% NH4Cl、2mM MgSO4、0.2%グルコース及び0.1mMMCaCl2
50mlに植菌し、37℃で振盪培養し、550mμでの吸光度
(O.D.)が1.0となつた時点で菌体を集め15%シユーク
ロース−50mMトリス・HCl(pH8.0)−50mM EDTA(pH8.
0)の溶液5mlに懸濁させ、10mg/mlリゾチーム(10mMト
リス・HCl(pH8.0)で溶解した溶液)500μlを加え、
更に0.3%トリトン×100−187.5mMEDTA(pH8.0)−150m
Mトリス・HCl(pH8.0)の溶液5mlを加え、室温で15分間
放置後、更によく懸濁させ、遠心分離によつて菌体抽出
物上清を得た。
この菌体抽出物上清につきGIF活性の測定を行なつた
結果は第6表に示す通りであり、培養物1ml当り2×106
単位の活性が認められた。
イオン交換クロマトグラフイー (CM−HPLC) 上記で得た菌体抽出物上清を50mM酢酸ナトリウム緩衝
液(pH5.5)で透析後、ジルソンハイパホーマンス リ
キツド クロマトグラフイー システム(ジルソン(Gi
lson)社製)によるイオン交換クロマトグラフイー(CM
−HPLC)にかけた。その条件は次の通りである。
カラム:IEX−535KM(6.0×150mm、東洋曹達社製) 溶離液A:50mM−酢酸ナトリウム(pH5.5) 溶離液B:0.5M−NaCl含有50mM−酢酸ナトリウム(pH5.
5) 流速:0.5ml/分 フラクシヨン容積: リテンシヨンタイム 0〜60 分…2ml/4分/チユーブ 60〜120分…0.5ml/分/チユーブ 120〜180分…2ml/4分/チユーブ 濃度勾配: 時間(分) %B 0 0 40 0 120 20 140 100 165 100 170 0 逆相高速液体クロマトグラフイー 上記CM−HPLCで得たGIF活性画分(リテンシヨンタイ
ム90〜91分)を、次いで逆相高速液体クロマトグラフイ
ーに付した。その条件は、次の通りである。
カラム:C4ハイポアー逆相カラム (RP304)バイオ−ラド社、直径4.6×250mm 溶離液:A液=0.1%TFA、 B液=アセトニトリル:1%TFA(9:1) 流速:1ml/分 チヤートスピード: リテンシヨンタイム 0〜50分…5分/cm 50〜80分…2分/cm 濃度勾配: 時間(分) %B 0 0 5 0 15 20 75 45 80 100 85 100 90 0 フラクシヨン容積:2ml/2分/チユーブ リテンシヨンタイムが63.9〜65.3分に、GIF活性に一
致する単一の蛋白の吸光度ピークを示すr−GIFが得ら
れた。
その比活性は2.7×107単位/mg蛋白であつた。
尚、前記実施例1の(I)に示した天然型GIFの逆相
高速液体クロマトグラフイーの分析結果(第3図)によ
れば、該天然型GIF活性はLAF活性とは一致しないもの
の、LAF活性は極めてブロードに観察されGIF活性画分に
も認められることから、上記で得たr−GIFについて再
度これがLAF活性を有するか否かを試験したところ、該
r−GIFはLAF活性を有することが確認された。
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS−PAGE) Laemmli,U.K.の方法〔Nature,277,680(1970)〕に従
い、上記(II)で得たr−GIFのSDS−PAGEを行なつた。
その条件は次のとおりである。
試料:上記逆相高速液体クロマトグラフイーにおけるGI
F活性画分を乾固した後、ラエメリーのサンプル バツ
フアー〔1/20体積の2−メルカプトエタノールを含む
(2ME+)又は含まない(2ME-)〕に溶解し、100℃で
4分間処理した。
ゲル:厚さ1.5mmの15%ポリアクリルアミドゲルを使用
した。
電気泳動装置:バイオ−ラド(Bio−Rad)社製プロテア
ンを用いた。
泳動条件:40mAの定電流で2時間泳動させた。
泳動後のゲルをバイオ−ラド社製シルバースタインキ
ツト(Silver stain kit)を用いて染色した。その結果
を第17図(2ME+の場合)及び第18図(2MF-の場合)に
示す。
各図において、レーンは以下の分子量マーカーの結
果であり、レーン〜はいずれも上記GIF試料の結果
であり、またレーンは天然型GIFの結果である。但し
レーンでは試料11.7ngを、レーンでは試料23.3ng
を、レーンでは試料46.6ngを、レーンでは試料70ng
を、またレーンでは試料117ngを各々用いた。
〈レーンにおける分子量マーカー〉 94K:フオスフオリラーゼb 67K:アルブミン 43K:オバルブミン 30K:カルボニツク アンハイドラーゼ 20.1K:トリプシン インヒビター 14.4K:α、ラクトアルブミン 上記結果より、r−GIFは2ME+下においては約17Kの
位置に、また2ME-下においては約17.5Kの位置にそれぞ
れ単一のバンドとして泳動されることが判る。
等電点電気泳動法(IEF) r−GIFの等電点電気泳動を、pH範囲3.5〜9.5のアン
フオラインPAGプレート(LKB社製)及びモデル1415(バ
イオ−ラド社製)を用いて行なつた。その条件は次の通
りである。
試料:前記r−GIFの製造(II)で得た形質転換体の浸
透圧シヨツクで壊した後の上清(10mMトリス・HCl、pH
8.0)を、蒸留水で100倍希釈したもの10μl利用した。
電極液:陽極液=1M H3PO4 陰極液=1M NaOH 泳動条件=定電力1W/cmゲル幅で90分間冷却下(10℃)
に泳動させた。
染色:染色は、シルバー スタイン キツトで行なつ
た。
上記泳動後、ゲルを5mm又は2.5mm間隔でスライスし、
10%FCS加RPMI1640培地1mlにて振盪抽出(2日)し、GI
F活性の測定に供した。等電点は、泳動後のpHの測定結
果から算出した。
r−GIFの等電点(pI)は約6.5〜6.9であり、この位
置に単一のバンドとして泳動された。
r−GIFのアミノ酸組成比 上記(II)の逆相高速液体クロマトグラフイーにより
得られたr−GIFの30μlを、12mm×120mmのパイレツク
ス製肉厚硬質試験管の底部に注意深く入れ、水酸化ナト
リウム粒を入れたデシケーターにて減圧乾燥した。乾燥
試料の入つた試験管に4N−メタンスルホン酸〔0.2%の
3−(2−アミノエチル)インドール含有、ピース(Pi
erce)社製〕50μlを加え、0.1〜0.2mmHgで1分間脱気
後、減圧封管した。加水分解は118℃のヒーター中で24
時間を要して行なつた。開管後、4N−水酸化ナトリウム
46μlで中和し、希釈用クエン酸緩衝液で450μlとし
た。
アミノ酸分析は、アミノ酸アナライザー(日立製作所
製、日立835形分析計)を用い、上記試料溶液250μlを
注入して行なつた。分離されたアミノ酸は、オルトフタ
ルアルデヒド方で検出した。また定量は、試料の前後に
分析した標準アミノ酸で作成した検量線によつて行なつ
た。
その結果を、Pheを基準(9モル)として、各アミノ
酸の含有モル比で下記第7表に示す。尚、上記分析条件
下においては、Pro及びCysは測定できない。またSer、T
hr及びMetについては、上記分析条件下での回収率
を()内に示した。
第7表 アミノ酸 モル比 Asp及び/又はAsn 17.1 Ser 10.9(80%) Thr 5.4(90%) Glu及び/又はGln 23.8 Gly 8.3 Ala 5.0 Val 10.8 Met 5.5(90%) Ile 4.9 Leu 15.1 Tyr 3.9 Phe (9) Lys 14.9 His 0.9 Trp 0.8 Arg 3.0 r−GIFのアミノ酸配列 上記(II)の逆相高速液体クロマトグラフイーで得た
r−GIFの150μlを、アプライドバイオシステムズ社製
プロテインシークエンサーにて分析した。生じたPTH−
アミノ酸を、33%アセトニトリル水溶液100〜50μlに
て適宜希釈し、その5μlをウオーターズ710Bオートサ
ンプラーにて注入した。クロマトグラフイーのシステム
は、ベツクマン112型ポンプ2台を、421型コントローラ
ーで作動させた。カラムはウルトラスフエアーODS−5
μmの充填された2mm×250mmを用い、カラムヒーターに
て55℃に保つた。流速は0.3ml/分とし20mM酢酸ナトリウ
ムとアセトニトリルとの混合液を用い、グラジエント溶
出法で分離し、269nmでモニターした。分析は45分とし
た。
20サイクルの分析の結果、前記(II)で得たr−GIF
のN端20個のアミノ酸配列は、以下のものであると認め
られた。
Ala−Pro−Val−Arg−Ser−Leu−Asn− Cys−Thr−Leu−Arg−Asp−Ser−Gln− Gln−Lys−Ser−Leu−Val−Met− 尚、ArgはHPLC系を若干変更して別途確認した。Serは
副生物の一つで確認し、更に322nmでの確認も行なつ
た。サイクル8では有意のピークが認められず、Cysで
あると推定された。
上記結果から前記(II)で得たr−GIFは、ポリペプ
チドIに一致するものと認められる。
抗腫瘍活性試験(インビボ) 上記実施例2の(II)で得たr−GIFのインビボにお
ける抗腫瘍活性試験を以下の通り行なつた。
(1)腫瘍細胞A375の1000000細胞を、BALB/cヌードマ
ウスの皮下に接種(s.c.)した(第0日目)。次いで、
第10日目〜第15日目に、r−GIFの10万単位/体重を1
日1回各々実験動物の腫瘍細胞内に投与した。実験動物
各6匹を1試験群とした。対照(コントロール)群には
PBSのみを同様に投与した。
試験結果を第19図に示す。該図において横軸は腫瘍細
胞接種後日数(日)を、縦軸は腫瘍重量(g)を示し、
曲線(1)は対照群を、曲線(2)はr−GIF投与群を
それぞれ示す。また腫瘍重量は、SD±平均(mean)で示
されており、曲線(1)における*はスチユデンツT−
テストにおけるP<0.05を、**は同テストにおけるP
<0.01を示す。
(2)腫瘍細胞MethAの200000細胞を、BALB/cに皮内接
種(i.d.)した(第0日目)。次いで、第7日目と第8
日目に、r−GIFの10万単位/体を各1回実験動物の腫
瘍細胞内に投与した。実験動物各7匹を1試験群とし
た。対照(コントロール)群にはPBSのみを同様に投与
した。
試験結果を第20図に示す。該図において横軸は腫瘍細
胞接種後日数(日)を、縦軸は腫瘍重量(g)を示し、
曲線(1)は対照群を、曲線(2)はr−GIF投与群を
それぞれ示す。また腫瘍重量は、SD±平均(mean)で示
されており、曲線(1)における**はスチユデンツT
−テストにおけるP<0.01を示す。
上記試験においては、r−GIF投与群実験動物の5匹
において腫瘍の退行が認められた。
実施例3 実施例2で得られたプラスミドpGIF−αを利用して、
該実施例2と同様の操作を行なうことにより所望のr−
GIF、例えばポリペプチドII、III及びIVを製造できる。
例えばポリペプチドIVは、以下の方法により製造でき
る。即ち、先ずプラスミドpGIF−αから、HgiA I−Nco
I DNAフラグメント(約0.1kbp)及びNco I−Stu I DNA
バックDNAフラグメント(約0.8kbp)の2つのフラグメ
ントを単離する。次いでポリペプチドIVのアミノ末端領
域の4アミノ酸コドンを有し、且つプラスミドp TMIのt
rpプロモーターの下流に結合できるように構築した合成
オリゴヌクレオチドを、上記HgiA I−Nco I DNAフラグ
メントと連結される。更にかくして得られたDNAフラグ
メントと上記Nco I−Stu I DNAフラグメントとを、順
次、プラスミドベクターのtrpプロモーターの下流に結
合させる。
かくして、エシエリヒア・コリー内で、trpプロモー
ターの制御下に、ポリペプチドIVを発現する所望のプラ
スミドを構築する。
該プラスミドを、プラスミドptrpGIF−αの代りに利
用して、実施例2と同一操作を繰返すことにより、目的
のポリペプチドIVを収得できる。
実施例4 ptrpGIF−αを用いて、サイト−スペシフイツク ミ
ユータジエネシス(Site−Specific Mutagenesis)〔Pr
oc.Nat.Acad.Sci.,81,5662−5666(1984)〕の方法に従
い、ポリペプチドIのアミノ末端から71番目のCysをSer
に変更したGIF(71Ser−r−GIF−α)を以下の通り製
造した。
即ち、M13mp11フアージベクターを、一本鎖(ss)DNA
鋳型とした。プラスミドptrpGIF−αより、EcoR I/BamH
I DNAフラグメントを切り出し、M13mp11フアージのEco
R IとBamH Iの制限酵素サイトにクローニングし、これ
から一本鎖(ss)DNA(M13−GIF−α)を得、これをミ
ユータジエネシスの鋳型として用いた。
合成オリゴヌクレオチド〔GTGTCCTCAGTGTTG(プライ
マー)〕を、T4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化
し、これをssM13−GIF−α DNAとハイブリダイズし、ア
ニーリング後、DNAポリメラーゼI、クレノ−フラグメ
ント及びT4DNAリガーゼで各々処理し、15℃で18時間イ
ンキユベートした。
得られたDNAをJM105コンピテント細胞にトランスフオ
ームし、生じたフアージプラークを、寒天プレート上に
50コロニー植菌し、37℃で18時間培養した。成育したコ
ロニーを含むフイルターを通常の方法によりアルカリ変
性し、乾燥後、80℃で2時間ベークした。上記DNAをプ
レハイブリダイズした後、このものと、上記プライマー
32P−r−ATPでラベルした32P−プローベとを、室温
でハイブリダイズさせた。ハイブリダイズさせたフイル
ターを、6×SSC緩衝液で、室温で10分間、次いで37℃
で10分間各々洗浄し、乾燥後、−70℃で1時8時間オー
トラジオグラフイーを行なつた。
変異した5クローンの内から代表としてM13−GIF−α
−71sを選びこれをJM105に感染させて培養し、ssDNA及
びRF DNAを調製した。
上記で得たssDNAのM13デオキシヌクレオチド シーク
エンシングにより目的の遺伝子の変異の確認を行なっ
た。
また上記RF DNAにおいて、新しくできた制限酵素Dde
Iサイトも確認できた。
JM105で増殖させたRF DNAより、EcoR I/BamH Iフラグ
メントを調製し、これを前記実施例2の(II)と同様に
して発現プラスミドに組込み、所望の71Ser−r−GIF−
α−71S〔ptrpGIF−α−71S〕を得た。
このプラスミドを用いて、前記実施例2の(II)と同
様にして、菌体抽出物上清を得、該上清のGIF活性を測
定した。
結果を下記第8表に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1の(I)に示す天然型GIFのゲルクロ
マトグラフイー分析結果を示す。第2図は同例のGIFの
クロマトフオーカシング分析結果を示す。第3図は同例
のGIFの逆相高速液体クロマトグラフイー分析結果を示
す。 第4図は実施例1の(II)に示す天然型GIFのゲルクロ
マトグラフイー分析結果を示す。第5図は同例のGIFのS
DS−PAGEゲル電気泳動の結果を示す。第6図は同例のGI
Fの等電点電気泳動の結果を示す。第7図は上記等電点
電気泳動によるGIF活性とpHとの関係を示すグラフであ
る。第8図は同例のGIFの各種レクチンカラムに対する
親和性を調べたグラフである。第9図は同例のGIFの各
種希釈倍率におけるGIF活性を求めたグラフである。第1
0図は同例のGIFの癌細胞に対するコロニー抑制試験の結
果を示すグラフである。第11図及び第12図は同例のGIF
の各種癌細胞に対する増殖抑制試験の結果を示すグラフ
である。第13図は同例に示すLPS刺激ヒト付着性リンパ
球よりのGIF産生の経時変化を示すグラフである。 第14図は実施例2に用いるクローンI−2の有するプラ
スミドpGIF−αの制限酵素地図を示す。第15図は実施例
2の(I)に従い上記pGIF−αをベクタープラスミドpI
NIIIA−3に組込んでプラスミドpINIIIf−GIF−αを構
築する概略図を示す。 第16図は実施例2の(II)に従いpGIF−αとプラスミド
pTMIとからプラスミドptrpGFI−αを構築する概略図を
示す。第17図及び第18図は実施例2の(II)で得られた
組換えGIFのSDS−PAGEゲル電気泳動の結果を示す。第19
図及び第20図は、実施例2の(II)で得られた組換えGI
Fのインビボにおける抗腫瘍活性を調べたグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 微生物の受託番号 FERM BP−948 微生物の受託番号 FERM BP−949 (72)発明者 河合 一吉 鳴門市撫養町南浜字蛭子前東20―2 新 星ビル301号 (72)発明者 嶽肩 世津子 徳島市川内町加賀須野1090―18 (72)発明者 石井 清士 徳島県板野郡藍住町住吉字逆藤39―46 (72)発明者 柳原 康夫 徳島市川内町大松891―6 (72)発明者 平井 嘉勝 徳島県板野郡北島町新喜来字江古川5― 49 (56)参考文献 特開 昭59−93093(JP,A) Nature 315(20,JUNE 1985)P,641−647 Proc,Natl,Acad,Sc i,USA,84,P,4572−4576 (1987) Nature 309(May,1984) P56−59 Federation Procee dings,42(9)P2639−2645 (1983) J,Immunol,122,P,2112 −2118(1978)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】その構成蛋白質が、下記アミノ酸配列或い
    はその1もしくは数個のアミノ酸を置換・欠失・付加し
    てなるアミノ酸配列であって、腫瘍細胞増殖抑制活性を
    有する抗腫瘍活性物質GIF,を有効成分として含有するこ
    とを特徴とする抗腫瘍剤。 [式中、XはCys又はSerを示す。ZはHを示す。]
  2. 【請求項2】GIFが、下記のアミノ酸配列をその構成蛋
    白質として含むものである特許請求の範囲第1項記載の
    抗腫瘍剤。
  3. 【請求項3】GIFが、下記のアミノ酸配列をその構成蛋
    白質として含むものである特許請求の範囲第1項記載の
    抗腫瘍剤。
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IL90047A (en) * 1982-10-19 1992-12-01 Cetus Oncology Corp Cysteine-depleted biologically active muteins other than interferon - '
JPS617296A (ja) * 1984-06-19 1986-01-13 イミユネツクス、コ−ポレ−シヨン インタ−ロイキン1の遺伝子の精製、クロ−ニング及び特性づけ

Non-Patent Citations (5)

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J,Immunol,122,P,2112−2118(1978)
Nature 309(May,1984)P56−59
Nature 315(20,JUNE 1985)P,641−647
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