JP2583605B2 - 車高制御装置 - Google Patents

車高制御装置

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JP2583605B2 JP1100822A JP10082289A JP2583605B2 JP 2583605 B2 JP2583605 B2 JP 2583605B2 JP 1100822 A JP1100822 A JP 1100822A JP 10082289 A JP10082289 A JP 10082289A JP 2583605 B2 JP2583605 B2 JP 2583605B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、車両の高さを制御する車高制御装置に関
する。
〔従来の技術〕
従来の車高制御装置としては、例えば、本出願人が先
に提案した特開昭61−263818号公報に記載されたものが
知られている。
この従来の装置は、車高制御開始判断用の第1の目標
車高領域と、この第1の車高領域の内側にある車高制御
終了判断用の第2の目標車高領域との2つの目標車高領
域を有し、車高が第1の目標車高領域から外れたときに
車高制御を開始し、車高が第2の目標車高領域に収まっ
たときに車高制御を終了する構成であり、これにより、
車高制御の制度を向上させると共に、ハンチング現象を
防止して車高制御の頻度を減少させている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、このような従来の車高制御装置では、
各流体圧アクチュエータでの作動流体圧の変化速度が、
車高が変化し難い状況(例えば、低速で走行している場
合等)であっても、車高が変化し易い状況(例えば、停
車して人が乗降している場合等)であっても一定である
ので、例えば、車高が変化し易い状況において良好な制
御特性が得られる(即ち、目標車高へ素早く収束する)
ように比較的大きな変化速度を選定した場合には、変化
し難い状況において小刻みな車高変動に流体圧アクチュ
エータが応動して車両の挙動が激しくなり車両乗心地が
損なわれてしまうし、また、逆に車高が変化し難い状況
に併せて選定した場合には、変化し易い状況での車高制
御が遅れてしまい良好な車高制御特性が得られないとい
う問題点がある。
さらに、通常の車両はエンジンの搭載位置等によって
前輪側と後輪側とに加わる荷重が異なるため、例えば、
エンジンを車体前側に積載するFR車やFF車では、前輪側
のバネ要素(コイルスプリング等)のバネ定数を後輪側
のそれに比べて大きくして、車体の静荷重を水平に支持
できるようにしている。
しかし、このような前輪側及び後輪側でバネ定数が異
なる車両において、各流体圧アクチュエータの作動流体
圧の変化速度がバネ定数の大小に関係なく一定である
と、例えば、バネ定数の大きな方に併せてその変化速度
が選定されていると、バネ定数の小さな方にとっては変
化速度が速すぎてしまい、車両挙動の原因となるし、逆
にバネ定数の小さな方に併せてその変化速度が選定され
ていると、バネ定数の大きな方の車高変化が遅くなり、
良好な車高制御特性が得られない。
そして、バネ定数の大小どちらに併せて選定しても、
必ずバネ定数の大きい側の車高変化が小さい側の車高変
化に比べて遅れてしまうという問題点があるため、上記
FR車やFF車のように前輪側のバネ定数が大きな車両にあ
っては、例えば、走行安定性が向上するように低中速走
行状態から高速走行状態に移行する際に車高を低めに変
化させる制御を行うと、先ず後輪側の車高が下降し、次
いで前輪側の車高が下降するようになるので、その車高
変化の途中で前輪側が後輪側に比べて浮いた状態とな
り、後輪側の荷重分担率が増加してオーバステア傾向と
なって走行安定性が損なわれてしまう。
そこで、この発明は、このような従来の技術が有する
種々の未解決の課題の着目してなされたものであり、流
体圧アクチュエータにおける作動流体圧の変化速度を適
宜調整することにより、上述した問題点を解決できる車
高制御装置を提供することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、請求項(1)記載の発明
では、第1図にその基本構成を示すように、車体及び各
車輪間に介装された流体圧アクチュエータとこの流体圧
アクチュエータと並列に前記車体及び各車輪間に介装さ
れたバネ要素と、前記流体圧アクチュエータの作動流体
圧を指令値に応じて制御する制御弁と、車高を検出する
車高検出手段と、この車高検出手段の車高検出値に応じ
て車高が適正な高さとなるように前記制御弁に指令値を
出力して前記流体圧アクチュエータの作動流体圧を変化
させる車高制御手段と、車高が変化し易い状況を検出す
る状況検出手段と、この状況検出手段の検出結果に応じ
て車高が変化し易い状況では変化し難くい状況に比べて
前記制御弁による前記流体圧アクチュエータの作動流体
圧の変化速度を速くする変化速度可変手段と、を備え、
前輪側及び後輪側のそれぞれの前記流体圧アクチュエー
タの作動流体圧の変化速度を、前記バネ要素のバネ定数
と流体圧アクチュエータの受圧面積とに基づいて個別に
設定した。
また、請求項(2)記載の発明では、上記請求項
(1)記載の発明において、車高の選択が可能な高車調
整スイッチを設け、前記状況検出手段は、前記車高調整
スイッチが操作された時に車高が変化し易い状況である
と判断するようにした。
〔作用〕
請求項(1)記載の発明では、車高検出手段が車高を
検出すると、車高制御手段が、検出された車高検出値に
応じて車高が適正な高さとなるように、制御弁に指令値
を出力して車体及び各車輪間に介装された流体圧アクチ
ュエータの作動流体圧を変化させるから、これら流体圧
アクチュエータが車体及び各車輪間に介装されたバネ要
素の付勢力に抗しつつ、車体及び各車輪間の距離を変化
させるので、車高は適正な高さとなる。
そして、状況検出手段が、車高が変化し易い状況(例
えば、車両が停止している時等)を検出し、その検出結
果に応じて、変化速度可変手段が、車高が変化し易い状
況では変化し難い状況に比べて制御弁による流体圧アク
チュエータの作動流体圧の変化速度を速くする。
このため、車高が変化し易い状況にあっては、流体圧
アクチュエータの作動流体圧の変化速度が速くなるの
で、適正車高への収束は素早くなるし、車高が変化し難
い状況にあっては、流体圧アクチュエータの作動流体圧
の変化速度は比較的遅くなるので、流体圧アクチュエー
タの作動速度は車高変動の内の低周波成分を追従するよ
うになり、車高制御による車体の挙動が減少する。
また、しかも、前輪側及び後輪側のそれぞれの流体圧
アクチュエータの作動流体圧の変化速度を、バネ要素の
バネ定数と流体圧アクチュエータの受圧面積とに基づい
て個別に設定したので、前輪側及び後輪側でバネ要素の
バネ定数や流体圧アクチュエータの受圧面積が異なって
いても、各流体圧アクチュエータの作動速度が一定とな
る。
ここで、高車調整スイッチを有する車両にあっては、
車高調整スイッチが操作されると選択された車高に一致
するように車高制御が行われるから、明らかに車高が変
化し易い状況である。そこで、請求項(2)記載の発明
のように、車高調整スイッチが操作された時には車高が
変化し易い状況であると判断すると、車高が変化し易い
状況を見逃し難くなる。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第2図乃至第6図は、この発明の一実施例を示したも
のである。
先ず、構成を説明する。第2図において、1FL,1FR,1R
L,1RRは、それぞれ車体側部材2と各車輪3FL,3FR,3RL,3
RRを個別に支持する車輪側部材4との間に介装された能
動型サスペンションであって、それぞれ流体圧アクチュ
エータとしての油圧シリンタセ5FL〜5RR、バネ要素とし
てのコイルスプリング6FL〜6RR、及び油圧シリンダ5FL
〜5RRに対する作動油圧を後述する制御装置30からの指
令値に応動して制御する圧力制御弁7FL〜7RRとを備えて
いる。
ここで、油圧シリンダ5FL〜5RRのそれぞれは、そのシ
リンダチューブ5aが車輪側部材4に取付けられ、ピスト
ンロッド5bが車体側部材2に取付けられ、ピストン5cに
よって閉塞された圧力室19内の作動油圧が圧力制御弁7F
L〜7RRによって制御される。また、コイルスプリング6F
L〜6RRのそれぞれは、車体側部材2と車輪側部材4との
間に油圧シリンダ5FL〜5RRと並列に装着されて車体の静
荷重を支持している。なお、コイルスプリング6FL〜6RR
は、車体の静荷重を支えるのみの低バネ定数のものでよ
い。
圧力制御弁7FL〜7RRは、車高を適正な高さに保つよう
な指令値を出力する制御装置30からの指令値が供給さ
れ、この指令値に応じた制御圧力をそれぞれ出力し、こ
れらが各車輪と車体との間に介挿された能動型サスペン
ションを構成する油圧シリンダ5FL〜5RRに個別に供給さ
れる。
圧力制御弁7の具体的構成は、第3図に示すように、
円筒状の弁ハウジング11と、これに一体的に設けられた
比例ソレノイド12とを有している。弁ハウジング11の中
央部には、所定径の弁座11aを有する隔壁11Aにより画成
された第3図における上側の挿通孔11Uと、同図におけ
る下側の挿通孔11Lとが同軸上に形成されている。ま
た、挿通孔11Lの上部であって隔壁11Aに所定距離隔てた
下方位置には、固定絞り13が設けられ、これによって固
定絞り13と隔壁11Aとの間にパイロット室Cが形成され
ている。また、挿通孔11Lにおける固定絞り13の下側に
は、メインスプール14がその軸方向に摺動可能に配設さ
れ、このメインスプール14の上方及び下方にはフィード
バック室FU及びFLが夫々形成されると共に、メインスプ
ール14の上下端はフィールドバック室FU,FLに各々配設
されたオフセットスプリング15A,15Bにより規制され
る。
そして、挿通孔11Lに入力ポート11i,制御ポート11n及
びドレンポート11oがこの順に連通形成され、入力ポー
ト11iは油圧配管25を介して油圧源24の作動油供給側に
接続され、ドレンポート11oは油圧配管26を介して油圧
源24のドレン側に接続され、さらに制御ポート11nが油
圧配管27を介して油圧シリンダ7FL〜7RRの圧力室19に接
続されている。
メインスプール14は、入力ポート11iに対向するラン
ド14aと、ドレンポート11oに対向するランド14bと、こ
れら両ランド14a,14b間に形成された環状溝でなる圧力
室14cと、この圧力室14c及び下側のフィードバック室FL
を連通するパイロット通路14dとを備えている。
また、上側の挿通孔11Uには、ポペット16が弁部を弁
座11aに対向させて軸方向に摺動自在に配設されてお
り、このポペット16により挿通孔11Uをその軸方向の2
室に画成すると共に、前記弁座11aを流通する作動油の
流量、即ちパイロット室Cの圧力を調整できるようにな
っている。
さらに、前記入力ポート11iはパイロット通路11sを介
してパイロット室Cに連通され、前記ドレンポート11o
はドレン通路11tを介して前記挿通孔11Uに連通されてい
る。
一方、前記比例ソレノイド12は、軸方向に摺動自在な
プランジャ17と、このプランジャ17のポペット16側に固
設された作動子17Aと、プラナジャ17をその軸方向に駆
動させる励磁コイル18とを有しており、この励磁コイル
18は制御装置30からの直流電流でなる指令値Iによって
適宜励磁される。これによって、プランジャ17の移動が
作動子17Aを介して前記ポペット16の位置を制御して、
弁座11aを通過する流量を制御する。そして、比例ソレ
ノイド12による押圧力がポペット16に加えられている状
態で、フィードバックFL,FUの両者の圧力が釣り合って
いると、スプール14は中立位置にあって制御ポート11n
と入力ポート11i及びドレンポート11oとの間が遮断され
ている。
ここで、指令値Iと制御ポート11nから出力される制
御油圧PCとの関係は、第4図に示すように、指令値Iが
零近傍であるときにPMINを出力し、この状態から指令値
Iが正方向に増加すると、これに所定の比例ゲインK1
もって制御出力PCが増加し、油圧源24のライン圧PMAX
飽和する。
なお、第2図において、28Hは圧力制御弁7FL〜7RRと
油圧源24との間の油圧配管25の途中に接続した高圧側ア
キュムレータ、28Lは圧力制御弁7FL〜7RRと油圧シリン
ダ5FL〜5RRとの間の油圧配管27に絞り弁28Vを介して連
通した低圧側アキュムレータである。
そして、各圧力制御弁7FL〜7RRに指令値を出力する制
御装置30には、車速センサ31,ドアスイッチ32,車高調整
スイッチ34及び車高センサ33FL〜33RRの各検出値が供給
される。
車速センサ31は、例えば変速機(図示せず)の出力側
回転数に応じたパルス信号でなる車速検出信号DVを出力
する。ドアスイッチ32は、ドアが開かれている時には電
源電圧信号を出力し、閉じられている時はアース電圧信
号を出力する。車高調整スイツチ34は、通常車高とそれ
よりも高い高車高とを選択するものであり、選択されて
いる状態の電圧信号を出力する。 また、車高検出手段
としての車高センサ33FL〜33RRは、車体側部材2と車輪
側部材4との間に介装された例えば公知のポテンショメ
ータで構成され、それぞれの配設位置における車体側部
材2と車輪側部材4との間の相対変位を検出し、その検
出結果をアナログ電圧値でなる車高検出信号SFL〜SRRと
して出力する。
制御装置30は、第5図に示すように、マイクロコンピ
ュータ35を有し、このマイクロコンピュータ35は、イン
タフェース回路36,演算処理装置37及び記憶装置38を少
なくとも備えていて、インタフェース回路36には、車速
センサ31の車速検出信号DV及びドアスイッチ32,車高調
整スイッチ34からの信号が直接供給され、車高センサ33
FL〜33RRの車高検出信号SFL〜SRRがA/D変換器40a〜40d
を介して供給される。
演算処理装置37は、後に詳細に説明するように、車高
センサ33FL〜33RRから供給される車高検出信号SFL〜SRR
が適正な領域に収まっているか否かを判定し、収まって
いる場合には何もしないが、外れている場合には、実車
高が適正な領域に収まるように、各圧力制御弁7FL〜7RR
に油圧シリンダ5FL〜5RRの圧力室19内の圧力を増加若し
くは減少させる指令値を求めて、インタフェース回路36
から出力する。
また、演算処理装置37は、車速センサ31から供給され
る検出信号DV及びドアスイッチ32,車高調整スイッチ34
からの信号に基づいて車高が変化し易い状況であるか否
かを判定し、変化し難い状況であると判定された場合に
は、上記車高調整時の油圧シリンダ5FL〜5RRの圧力室19
の圧力変化を通常の速度とする一方、変化し易い状況で
あると判定された場合には通常よりも速くするような上
記指令値を設定する。
さらに、演算処理装置37は、輪荷重の異なる前輪側車
体及び後輪側車体が等速で上下動して、車体が水平状態
のまま車高が調整されるように、コイルスプリング6FL
〜6RRのバネ定数と、油圧シリンダ5FL〜5RRの受圧面積
とに基づいて、前輪側の油圧シリンダ5FL,5FR及び後輪
側の油圧シリンダ5RL,5RRのそれぞれの圧力室19内の圧
力変化速度を適宜設定する。
例えば、前輪3FL及び3FRに加わる荷重が後輪3RL及び3
RRのそれよりも重い場合には、車体の静荷重を水平に支
持できるように、前輪側のコイルスプリング6FL及び6FR
のバネ定数を、後輪側のそれよりも大きくするのが一般
的である。すると、バネ定数が大きい分、前輪側の車高
調整を行うには、後輪側の車高調整よりも大きな力を必
要とするから、車体を水平に上下動するためには、前輪
側の油圧シリンダ5FL,5FRの圧力室19内の圧力変化速度
を、後輪側のそれよりも速くする方向に補正すればよ
い。
また、記憶装置38は、ROMやRAM等から構成され、後述
する処理に必要なプログラム等を予め記憶しており、演
算処理装置37の演算結果を逐次記憶するようになってい
る。
そして、制御装置30は、インタフェース回路36から各
圧力制御弁7FL〜7RRに対して出力される指令値をアナロ
グ値に変換するD/A変換器41a〜41dと、このアナログ値
に変換された各指令値を適度に増幅して各圧力制御弁7F
L〜7RRに供給する駆動回路42a〜42dと、を有している。
次に、上記実施例の動作を説明する。
第6図は、制御装置30のマイクロコンピュータ35で実
行される処理の概要を示したフローチャートであり、図
示しないイグニッションスイッチがオン状態となると、
制御装置30及び各センサに電源が供給されて処理が開始
される。
即ち、先ずステップにおいて、車高センサ33FL〜33
RRから供給される車高検出信号SFL〜SRRを読み込んで車
高検出値として記憶装置38に記憶し、ステップに移行
する。
なお、ステップ以降の処理は、実際には各車高検出
値SFL〜SRR毎に個別に実行されるが、説明が重複するの
で、車高検出値Sをもって全体の説明とする。
ステップでは、ステップで読み込んだ車高検出値
Sが、適正車高HCを囲む適正範囲HL〜HU内に収まってい
るか否かを判定し、収まっている場合には車高制御が必
要ないと判断し、ステップ以降の処理を実行せずに終
了するが、外れている場合には車高制御を行う必要があ
るので、ステップに移行する。
ステップでは、車速センサ31から供給される車速検
出信号DV及びドアスイッチ32,車高調整スイッチ34の状
態を読み込み、それぞれ記憶する。
次いで、ステップに移行し、車速検出値Vに基づ
き、車両が停車している(V=O)か否かを判定する。
このステップの判定で車両が停止中であると判定さ
れた場合はに、ステップに移行し、ドアが開かれてい
るか否かを判定する。
そして、ステップの判定「NO」である場合には、車
両は走行しているから、車高が変化し難い状況であると
判断できる。
一方、車両が停車し、且つドアが開かれている状態で
は、人の乗降や荷物の積み降ろし等のように、車両の積
載状態を変化させる動作が行われる可能性が高いので、
車高が変化し易い状況であると判断できる。
更に、ステップ,で車高調整スイッチ34が操作さ
れたか否かを判別し、操作された時は、車高が変化し易
い状況であると判断できる。
そこで、ステップ,,及びの判定で車高が変
化し易い状況であると判断された場合には、ステップ
に移行し、前輪側の油圧シリンダ5FL及び5FRの圧力室19
内の圧力の変化速度ΔPFをP1とし、後輪側の油圧シリン
ダ5RL及び5RRの圧力室19内の圧力の変化速度ΔPRをP2
する。
一方、車高が変化し難い状況であると判断された場合
には、ステップに移行し、前輪側の変化速度ΔPFを上
記P1よりも小さいP3とし、後輪側の変化速度ΔPRを上記
P2よりも小さいP4とする。
ここで、上記ステップ又はステップで設定した前
輪側の変化速度ΔPF及び後輪側の変化速度ΔPRの関係に
ついて説明する。
今、前輪側のコイルスプリング6FL,6FRのバネ定数をK
F、前輪側の油圧シリンダ5FL,5FRの受圧面積をAFとする
と、油圧シリンダ5FL,5FRの圧力室19内の圧力変化によ
る車高の変化速度はΔHFは、下記の(1)式のようにな
る。
同様に、後輪側のコイルスプリング6RL,6RRのバネ定
数をKR、前輪側の油圧シリンダ5RL,5RRの受圧面積をAR
とすると、油圧シリンダ5RL,5RRの圧力室19内の圧力変
化による車高の変化速度ΔHRは、下記の(2)式のよう
になる。
そして、車体を水平状態で上下動させるためには、前
輪側及び後輪側の車高変化速度ΔHF及びΔHRが等しくな
ればよい。
従って、前輪側及び後輪側の油圧シリンダにおける圧
力の変化速度ΔPF及びΔPRが、下記の(3)式のような
関係を満足するように、上記P1〜P4を選定すればよい。
ステップ又はステップで変化速度ΔPF及びΔPR
設定が行われたら、ステップに移行し、車高検出値S
が、適正車高HCよりも小さいか否かを判定し、小さい場
合にはステップに移行して車高を上昇させる処理を実
行し、大きい場合にはステップに移行して車高を下降
させる処理を実行する。
即ち、ステップでは、適正車高に収まっていない車
高検出値Sを検出した車高センサ33FL〜33RRに対応する
油圧シリンダ5FL〜5RRの圧力室19の圧力が、前輪側の場
合にはΔPF、後輪側の場合にはΔPRだけ昇圧する指令値
を求めてインタフェース回路36から出力する。
また、ステップでは、ステップと同様に、適正車
高に収まっていない車高検出値Sを検出した車高センサ
33FL〜33RRに対応する油圧シリンダ5FL〜5RRの圧力室19
の圧力が、前輪側の場合にはΔPF、後輪側の場合にはΔ
PRだけ降圧する指令値を求めてインタフェース回路36か
ら出力する。
インタフェース回路36から出力された指令値は、D/A
変換器41a〜41d及び駆動回路42a〜42dを介して圧力制御
弁7FL〜7RRに供給されるから、圧力制御弁7FL〜7RRは、
供給された指令値に応動して油圧シリンダ5FL〜5RRの作
動圧を昇圧若しくは降圧し、車高を上昇又は下降させ
る。
そして、実車高が適正範囲内に収まり、上記ステップ
の判定が「YES」となるまでステップ若しくはステ
ップの処理が実行される。
このように、上記実施例にあっては、車速検出値V及
び舵角検出値θに基づいて車高が変化し易い状況である
か否かを判定し、変化し易い状況であれば大きめの変化
速度P1,P2とし、変化し難い状況であれば小さめの変化
速度P3,P4とするので、変化し易い状況であれば、車高
変化の応答性が向上するから適正車高への収束が素早く
なるし、変化し難い状況であれば、小刻みな車高の変動
には車高制御が応動しなくなるから、車高制御による車
体の挙動が減少し、良好な車両乗心地を得ることができ
る。
また、前輪側及び後輪側の変化速度ΔPF及びΔPRを、
上記(3)式に示すような関係に設定したため、前輪側
及び後輪側でバネ定数が異なっている場合であっても、
前輪側及び後輪側のそれぞれに対して良好な制御特性を
得ることができるし、車体を水平状態で上下動させるこ
ともできる。
なお、路面から車輪3FL〜3RRを介して入力される比較
的低周波数の振動入力と、路面の細かな凹凸によるバネ
下共振周波数に対応する比較的高周波数の振動入力とに
対しては、前者は、圧力制御弁7FL〜7RRのフィールドバ
ック室FL及びFUの圧力変動によるスプール14の移動のよ
って吸収され、後者は、絞り弁28V及びアキュムレータ2
8Lによって吸収される。
さらに、本実施例では、ステップ及びの処理を実
行することにより、車高調整スイッチ34が操作された時
には車高が変化し易い状況であると判断するようにして
いるが、車高調整スイッチ34を有する車両にあっては、
車高調整スイッチ34が操作されると選択された車高に一
致するように車高制御が行われるから、明らかに車高が
変化し易い状況である。このため、ステップ及びの
判定処理を行うことにより、車高が変化し易い状況をよ
り確実に検出できるようになっている。
ここで、車速センサ31,ドアスイッチ32,車高調整スイ
ッチ34及びステップ,,,,の処理が状況検
出手段を構成し、ステップ及びステップ乃至ステッ
プの処理が車高制御手段を構成し、ステップ及びス
テップの処理が変化速度可変手段を構成する。
なお、上記実施例では、車速,ドアスイッチ及び車高
調整スイッチに基づいて車高が変化し易い状況であるか
否かを検出しているが、これに限定されるものではな
く、例えば、サイドブレーキの状態、車体に生じる上下
加速度や前後加速度を検出する加速度センサの検出結果
等の種々の要因に基づいて車高が変化し易い状況を検出
してもよい。
また、上述した車高制御と共に、車体に生ずる横加速
度や前後加速度を検出する加速度センサを設け、この検
出された加速度に基づいて、ローリングやピッチング等
の姿勢変化を抑制するように各油圧シリンダ5FL〜5RRの
作動圧を適宜調圧する制御を行えば、車両姿勢はさらに
安定するから、より良好は車両乗心地を得ることができ
る。
さらに、油圧シリンダ5FL〜5RRの作動圧の変化速度
は、上記実施例のような2段階に限定されるものではな
く、車高が変化し易い状況を細分化、その細分化された
各状況に併せて細かく設定してもよい。
また、上記実施例では、作動流体圧として油圧を用い
た場合について説明したが、これに限定されるものでは
なく、空気等の他の流体圧を用いることも可能である
し、さらには、上記コイルスプリング6FL〜6RRに代えて
空気バネ等の他のバネ要素を用いることもできる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、請求項(1)記載の発明によれ
ば、車高が変化し易い状況か否かを検出し、変化し易い
状況では、制御弁による流体圧アクチュエータの作動流
体圧の変化速度を速くするようにしたため、車体が変化
し易い状況にあっては、車高制御の応答性が向上して適
正車高への収束は素早くなるし、車体が変化し難い状況
にあっては、流体圧アクチュエータは、小刻みな車高変
動には応動しなくなり、車高制御による車体の挙動が減
少するという効果が得られるから、常に良好な制御特性
が発揮され、しかも、前輪側及び後輪側のそれぞれの流
体圧アクチュエータの作動流体圧の変化速度を、バネ要
素のバネ定数と流体圧アクチュエータの受圧面積とに基
づいて個別に設定したので、前輪側及び後輪側でバネ要
素のバネ定数や流体圧アクチュエータの受圧面積が異な
っていても、前輪側及び後輪側の両方に対して良好な制
御特性が発揮できるし、流体圧アクチュエータの作動速
度、即ち、車高制御による車高の変化速度を前輪側及び
後輪側で等しくすることが可能となる。
また、請求項(2)記載の発明によれば、車高が変化
し易い状況をより確実に検出できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本構成を示すブロック図、第2図は
本発明の一実施例を示す構成図、第3図は制御弁の一例
である圧力制御弁の断面図、第4図は第3図の圧力制御
弁の特性を示すグラフ、第5図は本実施例の制御装置の
構成を示すブロック図、第6図はマイクロコンピュータ
で実行される処理の概要を示したフローチャートであ
る。 1FL〜1RR……能動型サスペンション、2……車体側部
材、3FL〜3RR……車輪、5FL〜5RR……油圧シリンダ(流
体圧アクチュエータ)、6FL〜6RR……コイルスプリング
(バネ要素)、7FL〜7RR……圧力制御弁、30……制御装
置、31……車速センサ、32……舵角センサ、33FL〜33RR
……車高センサ。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体及び各車輪間に介装された流体圧アク
    チュエータと、この流体圧アクチュエータと並列に前記
    車体及び各車輪間に介装されたバネ要素と、前記流体圧
    アクチュエータの作動流体圧を指令値に応じて制御する
    制御弁と、車高を検出する車高検出手段と、この車高検
    出手段の車高検出値に応じて車高が適正な高さとなるよ
    うに前記制御弁に指令値を出力して前記流体圧アクチュ
    エータの作動流体圧を変化させる車高制御手段と、車高
    が変化し易い状況を検出する状況検出手段と、この状況
    検出手段の検出結果に応じて車高が変化し易い状況では
    変化し難くい状況に比べて前記制御弁による前記流体圧
    アクチュエータの作動流体圧の変化速度を速くする変化
    速度可変手段と、を備え、前輪側及び後輪側のそれぞれ
    の前記流体圧アクチュエータの作動流体圧の変化速度
    を、前記バネ要素のバネ定数と前記流体圧アクチュエー
    タの受圧面積とに基づいて個別に設定したことを特徴と
    する高車制御装置。
  2. 【請求項2】車高の選択が可能な高車調整スイッチを設
    け、前記状況検出手段は、前記車高調整スイッチが操作
    された時に車高が変化し易い状況であると判断するよう
    になっている請求項(1)記載の高車制御装置。
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