JP2582926Y2 - カード繰り出し装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、カード管理機などにお
いて、積層状態で収納されたカードを１枚ずつ繰り出す
カード繰り出し装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の積層状態で収納されたカ
ードを１枚ずつ繰り出すカード繰り出し装置としては、
フリクションローラによって繰り出す形式と、往復運動
するピッカーナイフによって繰り出す形式が採られてい
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のカード繰り出し装置では、高速かつ連続的にカード
を繰り出すことができなかった。

【０００４】特に、上記フリクションローラによって繰
り出す形式のカード繰り出し装置では、高速かつ連続的
にカードを繰り出すためにフリクションローラを高速回
転させると、最前位カードとフリクションローラとの間
に滑りが生じて確実な繰り出しが行なえない問題があ
る。また、最前位カードが順に高速繰り出しされれば、
次位のカードがフリクションローラに寄り切らずにフリ
クションローラが空回りしてしまうこともあり、最前位
カードとフリクションローラとの摩擦力を高めるために
押圧力を増加させると、カード同士の摩擦力も高まるの
で、高速に繰り出すことはできない問題がある。

【０００５】また、上記往復運動するピッカーナイフに
よって繰り出す形式のカード繰り出し装置では、往復運
動であるため高速化は困難である問題がある。

【０００６】本考案は上記問題点に鑑みなされたもの
で、高速かつ連続的にカードを繰り出すことができるカ
ード繰り出し装置を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案のカード繰り出し
装置は、積層状態で収納されたカードを１枚ずつ繰り出
すカード繰り出し装置において、積層された最前位のカ
ードの前面の繰り出し方向の後端寄りの位置に対向して
設けられるとともに、周面の複数箇所に最前位のカード
の繰り出し方向後端に係合する段差部を有する繰り出し
回転体と、前記繰り出し回転体の繰り出し方向位置に設
けられ、繰り出されるカードに搬送力を与える搬送手段
と、積層状態で収納されたカードの後端縁に当接する当
接部を有し、振動可能に取り付けられた振動部材と、前
記繰り出し回転体と前記振動部材を接続し、前記繰り出
し回転体の回転に伴って前記振動部材を振動させる接続
手段とを備えたものである。

【０００８】

【作用】本考案のカード繰り出し装置は、繰り出し回転
体が回転することにより、積層状態に収納されたカード
のうち最前位のカードの後端縁を繰り出し回転体の段差
部が係合してカードを押し出す。この押し出されたカー
ドは続けて搬送手段によって搬送され繰り出される。繰
り出し回転体には段差が周面に複数個設けられているの
で、繰り出し回転体が１回転すれば複数枚のカードが繰
り出され、繰り出し回転体の回転に伴って振動部材が振
動し、積層状態で収納されたカードに当接部を介して振
動が与えられ、カードと繰り出し回転体との接触状態も
安定し、確実な繰り出しが行なわれる。

【０００９】

【実施例】次に、本考案の一実施例の構成をカード繰り
出し装置を、カード管理機におけるカード収納・繰り出
し装置について説明する。

【００１０】このカード管理機のカード収納・繰り出し
装置は、カードを横方向に集積収納し、最前位のカード
から順に繰り出すとともに、搬送されてくるカードを取
り込み集積収納する装置である。

【００１１】図１および図２において、１はカード２を
横方向に集積収納する収納部で、この収納部１の一端側
にはカード入出口３が開口され、この収納部１にはカー
ド入出口３に向けて収納されたカード２を押圧する図示
しないばね手段にて付勢された押圧板が設けられてい
る。

【００１２】前記収納部１の入出口３の外側上方位置に
は、周面の４ケ所に段差部５が形成された回転円板６が
配設されている。この段差部５はカード２の厚みより小
さく設定されており、この回転円板６の回転により前記
収納部１の入出口３に臨ませられた最前位のカード１枚
の上端縁に段差部５が係合して押し出すようになってい
る。この回転円板６の回転軸７には、この回転円板６の
回転に伴って回転するカム板８が取り付けられている。

【００１３】また、前記回転円板６を囲む略コ字形状に
形成された振動部材10が軸11にて揺動可能に軸支され、
この振動部材10は中間部に形成した係合部12が前記カム
板８に押し付け当設されるように引っ張りばね14によっ
て付勢されている。また、この振動部材10の先端部には
収納部１の入出口３に臨ませられているカード２の上端
部に当接する当接部13が形成されている。そして、前記
カム板８の回転に伴って振動部材10が振動するとともに
カム板８の回転に伴ってカード２の後端に振動を伝達す
るようになっている。

【００１４】さらに、前記回転円板６の下方には、搬送
手段15が配設されている。この搬送手段15は上側の押圧
プーリ16と下側の繰り出しプーリ17とこの両プーリ16，
17に巻回した送出しベルト19とにて形成され、この送出
しベルト19の一面が収納部１のカード入出口３に臨ませ
られているカード２に対向されるようになっている。

【００１５】そして、前記押圧プーリ16はブラケット20
に軸21にて取り付けられ、繰り出しプーリ17は図示しな
い電動機により回転される回転軸22にて回転自在に支持
され、このブラケット20はこの回転軸22を中心として揺
動可能に支持されている。また、このブラケット20の下
端にはソレノイド23の吸引杆24が枢着接続されており、
このソレノイド23の非励磁状態、すなわち待機時には、
前記押圧プーリ16が収納部２のカード入出口３から退避
した位置に保持され、ソレノイド23の励磁時には、押圧
プーリ16が収納部１のカード入出口３から内方に突出さ
れる。

【００１６】また、前記収納部１の下面に固定厚み規制
部材25が取り付けられ、この固定厚み規制部材25に対向
した位置に揺動可能に可動厚み規制部材26が配設され、
この可動厚み規制部材26の上端は、前記ブラケット20に
接続される接続手段27の接続板28が取り付けられてい
る。

【００１７】さらに、前記可動厚み規制部材26は中間部
付近が圧縮ばね29によって前記収納部１のカード入出口
３方向に向って付勢され、この可動厚み規制部材26は固
定厚み規制部材25との間の間隙を狭める方向に付勢され
ている。そして、前記ソレノイド23の非励磁状態、すな
わち待機時には、前記可動厚み規制部材26は固定厚み規
制部材25に近接し、両厚み規制部材間25，26の間の間隔
はカード１枚分の厚みより広く２枚分の厚みより狭い間
隔に保持され、前記ソレノイド23が励磁されれば、可動
厚み規制部材26の下端が圧縮ばね29に抗して微量移動
し、両厚み規制部材25，26間の間隔が拡げられる。

【００１８】また、前記搬送手段15の繰り出しプーリ17
に対向する圧接ローラ30が回転自在に軸支され、この繰
り出しプーリ17と圧接ローラ30との下方に一対の案内ロ
ーラ31，32の下方に搬送ベルト33などからなりカード２
を管理収納部などに搬送する搬送路34が配設されてい
る。

【００１９】次にこの実施例の作用について説明する。

【００２０】収納部１に収納されているカードの繰り出
し時には、ソレノイド23を非励磁状態とし、この収納部
１の入出口に臨ませられている最前位のカード２は、回
転円板６と送出しベルト19および可動厚み規制部材26に
当接している。この状態で、回転円板６、送出しベルト
19および搬送ベルト33を図２矢指方向に回動させると、
回転円板６の段差部５が最前位カードの後端を下方に押
し出しながら、送出しベルト19によって繰り出す。この
送出しベルト19により繰り出される最前位のカード２と
の摩擦によりこの最前位のカード２の移動につられて次
位のカード２が送り出されようとしても、可動厚み規制
部材26と固定厚み規制部材25の間には２枚のカードが通
れない間隙に保持されているため、次位のカード２の通
過は阻止され，１枚に規制されて収納部１から送り出さ
れたカード２は搬送路34によって搬送される。

【００２１】そして、回転円板６が高速で回転される
と、回転軸７に取り付けられているカム板８も回転し、
このカム板８に係合部12が当設している振動部材10が往
復揺動して振動される。このとき、振動部材10は先端の
当接部13が収納部１のカード入出口３に臨ませられてい
る複数のカードの上端縁に当接しているので、カード２
は振動され、カード２は振動を受けながら、押圧板によ
って回転円板６に押圧されているため、カード２が回転
円板６の段差部５への接触が確実となり、カード２の安
定した繰り出しができる。

【００２２】次に、搬送路34によって搬送されてきたカ
ード２を収納部１内に集積収納するときには、ソレノイ
ド23を励磁させてブラケット20が回動させ、このブラケ
ット20の回動により、上側の押圧プーリ16が収納部１内
にカード入出口３から突出させ、収納部１内に収納され
ているカード２の下方を内方に向けて押圧する。このブ
ラケット20の回動に伴い、接続板28も回動し、可動厚み
規制部材26の先端が移動して固定厚み規制部材25との間
隔も拡げる。

【００２３】そして、回転円板６と送出しベルト19とを
図３矢指方向に回転させると、搬送路34から送り込まれ
るカード２が間隔が拡げられている両厚み規制部材25，
26の間を通過する。また、収納部１に収納されているカ
ード２の下方が押圧プーリ16によりカード入出口３から
内方に寄せられているので、送り込まれたカード２の先
端が収納されている最前位のカード２に衝突することも
なく、送り込まれたカード２は送出しベルト19と回転円
板６によって上方へ送られ、カード２の上端縁が振動部
材10の当接部13に到達すれば、カード２は最前位のカー
ド２に重合されて収納動作が終了する。

【００２４】なお、このカード収納・繰り出し装置は、
カード処理機の収納部１に取り付ける装置に限られるも
のではなく、カードの入出口などにも適用することも可
能である。

【００２５】

【考案の効果】本考案によれば、繰り出し回転体の回転
で積層状態に収納されたカードのうち最前位のカードの
後端縁を繰り出し回転体の段差が係合してカードを押し
出し、押し出されたカードを搬送手段によって繰り出す
ことができ、回転体の回転に伴って振動部材が振動し、
積層状態で収納されたカードに振動が与えられ、カード
と回転体との接触状態も安定し、確実な繰り出しが行な
われ、高速かつ連続的にカードを繰り出すことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すのカード繰り出し装置
の要部の斜視図である。

【図２】同上装置のカード繰り出し時の状態を示す側面
図である。

【図３】同上装置のカード収納時の状態を示す側面図で
ある。

【符号の説明】

１ 収納部 ２ カード ５ 段差部 ６ 回転体８ 接続手段としてのカム板 10 振動部材12 接続手段としての係合部 13 当接部 15 搬送手段

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 積層状態で収納されたカードを１枚ずつ
   繰り出すカード繰り出し装置において、 積層された最前位のカードの前面の繰り出し方向の後端
   寄りの位置に対向して設けられるとともに、周面の複数
   箇所に最前位のカードの繰り出し方向後端に係合する段
   差部を有する繰り出し回転体と、 前記繰り出し回転体の繰り出し方向位置に設けられ、繰
   り出されるカードに搬送力を与える搬送手段と、 積層状態で収納されたカードの後端縁に当接する当接部
   を有し、振動可能に取り付けられた振動部材と、 前記繰り出し回転体と前記振動部材を接続し、前記繰り
   出し回転体の回転に伴って前記振動部材を振動させる接
   続手段とを備えたことを特徴とするカード繰り出し装
   置。