JP2580600Y2 - 車両用シートのばね構造 - Google Patents

車両用シートのばね構造

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JP2580600Y2
JP2580600Y2 JP5347592U JP5347592U JP2580600Y2 JP 2580600 Y2 JP2580600 Y2 JP 2580600Y2 JP 5347592 U JP5347592 U JP 5347592U JP 5347592 U JP5347592 U JP 5347592U JP 2580600 Y2 JP2580600 Y2 JP 2580600Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、車両用シートのばね構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両用シートのシートクッション
あるいはシートバックには、例えば図8及び図9に示す
ようなばね構造が用いられており、パネル10が複数の
引張ばね11〜11を介してフレーム12に連結されて
シート面に平行に配置されるとともに、フレーム面垂直
方向に弾性変位可能に構成されている。そして、シート
荷重Fが加わったパネル10は各引張ばね11〜11を
ほぼ均等に伸ばしてたわむことになる。このときの荷重
Fとパネル10のたわみ量Sとは図10に曲線K3 ,K
4 等で示すような関係にあり、使用されるばねの硬さ
(ばね定数)に対応して曲線の立ち上がり具合が異なっ
ている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】上記のばね構造におい
て、シートの着座感を柔らかなものとするために引張ば
ね11〜11のばね定数を小さく設定するとたわみ量S
が大きくなるため、そのたわみスペースを確保する必要
からばね構造、すなわちシートの厚み寸法が大きくな
り、かつ、着座者の姿勢が安定し難くなるという不都合
がある。
【0004】そこで本考案は、車両用シートのばね構造
において、柔らかい初期特性を小さなたわみスペースで
得ることを解決すべき技術的課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このために、以下のよう
な車両用シートのばね構造を創出した。すなわち、略方
形に形成されたシートフレームに複数の引張りばねによ
りそのシートフレームと平行状にパネルを保持する車両
用シートのばね構造であって、前記パネルはシートフレ
ームの一方の対向する枠辺にその対応する側縁が複数の
第1引張りばねにより取付けられるとともに、前記シー
トフレームの他方の対をなす枠辺の一方に単数あるいは
複数の第2引張りばねを取付けて該第2引張りばねの付
勢力により前記第1引張りばねをほぼ自由長状態で第2
引張りばねを取付けた枠辺に指向して前記第2引張りば
ねとほぼ平行状に位置して前記パネルを前記シートフレ
ームと平行状に保持する第1保持位置と、前記パネルへ
の外力で、前記第2引張りばねが伸張変位し、かつ第1
引張りばねがほぼ自由長状態で下方へ回動変位し、さら
に該第1引張りばねが伸張変位して前記パネルを前記シ
ートフレームと平行状に保持する第2保持位置との2位
置に変位可能に構成したことを特徴としている。
【0006】
【作用】上記のように構成された車両用シートのばね構
造では、第1保持位置にシートフレームと平行状に保持
されているパネルに外力としてのシート荷重が加わると
第2引張りばねが伸張変位し、かつ第1引張りばねがほ
ぼ自由長状態で下方へ回動変位し、さらに第1引張りば
ねが伸張変位することによりそのパネルが第2保持位置
まで変位してシートフレームと平行状に支持される。す
なわち、パネルへ加わる外力が比較的小さな範囲では第
2引張りばねが主に伸び、第1引張りばねはほぼ自由長
状態のまま下方へ回動変位するだけであり、さらに荷重
が大きくなると第1引張りばねが伸張変位することにな
る。従って、荷重に応じてばね特性が段階的に変化する
ことから、柔らかい初期特性を有し、かつ最大たわみ量
を抑えることが可能となる。
【0007】
【実施例】次に、本考案の車両用シートのばね構造をシ
ートバックに適用した一実施例を図面に沿って説明す
る。図1及び図2に示すように、シートフレーム1はパ
イプ等で略方形枠状に形成されていて、矢印U方向がシ
ート上方となるように配置される。このシートフレーム
1の内側には、着座者の荷重を受けるための平板状のパ
ネル2が前端面1aで囲まれたフレーム面に沿って配置
され、シートフレーム1とパネル2とは、次述するよう
に、つるまきばね状の4本の第1引張りばね3〜3と、
1本の第2引張りばね4とを介して連結されている。こ
のフレーム面に沿ってパネル2が保持される位置が本考
案でいう第1保持位置である。なお、フレーム面垂直方
向に荷重Fが作用し、パネル2が第2保持位置に変位し
た状態を想像線で示してある。
【0008】次に、前記両引張りばね3,4の取付け状
態を説明する。図3及び図4は、シートフレーム1の左
右両枠辺に取付けられた4本の第1引張りばね3〜3の
みでシートフレーム1とパネル2とが連結されている状
態を示している。このとき第1引張りばね3〜3は自由
長状態になっていて、両端に形成されているフックがシ
ートフレーム1の左右両枠辺の前端面1aに設けられた
取付け穴1b〜1bと、その取付け穴1b〜1bに対応
するパネル2の側縁部に設けられた取付け穴2a〜2a
とにそれぞれ回動自在な状態で挿通されている。従っ
て、パネル2は無荷重状態で、シートフレーム1の前端
面1aから距離Lを隔てた所定位置でフレーム面に対し
て平行な姿勢をとることができ、しかも、矢印Mの方向
へは第1引張りばね3〜3を伸ばすことなく平行移動可
能となっている。
【0009】また、図5及び図6は、第1引張りばね3
〜3が取付けられたパネル2にさらに第2引張りばね4
が取付けられた状態を示している。この第2引張りばね
4は、シートバックの上方側となるシートフレーム1の
上枠辺に取付けられており、両端に形成されているフッ
クがパネル2の一側縁中央に設けられた取付け穴2b
と、シートフレーム1の上枠辺の前端面1aに設けられ
ている取付け穴1cとにそれぞれ挿通され、常にパネル
2を取付け穴1c方向(シートバック上方)へ付勢する
ように構成されている。従って、第1引張りばね3〜3
はパネル2を介して第2引張りばね4の引張力を受けて
回動して取付け穴1c方向へ指向するため、パネル2は
前記第1引張りばね3〜3により既定される設定位置か
らシートフレーム1のフレーム面に沿った第1保持位置
まで突出することになる。なお、第2引張りばね4のば
ね定数は第1引張りばね3〜3の合成ばね定数より小さ
く設定されており、上記の取付状態では、第1引張りば
ね3〜3は両端のフックの取付部回りにそれぞれ回転変
位してフレーム面と平行な姿勢となっているが、その伸
びは僅かである。
【0010】上記のように構成された車両用シートのば
ね構造では、パネル2が荷重Fを受けたとき、図2及び
図7で示すように、そのたわみが前記設定距離Lにほぼ
対応するたわみ量S1 に達するまでは、ばね定数のより
小さな第2引張りばね4が主に伸び、各引張りばね3,
4により支持されているパネル2がフレーム面との平行
状態を保ちつつ荷重Fに対して斜め下方に変位するた
め、比較的柔らかなばね特性K1 となる。そして、荷重
Fが大きくなってパネル2が設定距離Lを越え、たわみ
量がS2 になると、第1引張りばね3が伸ばされること
から、硬いばね特性K2 となる。すなわち、たわみ量に
応じてばね特性が柔らかなものから硬いものへと切り替
わるのである。また上記のばね特性は、従来のばね構造
に対して、基本的には、シートフレーム1の上枠辺方向
にパネル2を付勢する第2引張りばね4を1本追加する
だけという極めて簡素な構成で実現されている。なお、
シートフレーム1の姿勢は垂直から水平まで任意の方向
に設定することができる。
【0011】以上説明した実施例では、車両用シートの
ばね構造をシートバックに適用した場合を説明したが、
シートクッションにも同様に適用することができる。こ
の場合においては、図1に示す矢印U方向がシートクッ
ションの後方となるようにシートフレーム1を配置し、
着座者の臀部荷重が第2引張りばね4に作用し易くする
ことが望ましい。なお、上記実施例においては、第1引
張りばね3を4本とし、第2引張りばね4を1本として
構成したが、本考案はそれぞれの引張ばねの本数に制約
されるものではない。
【0012】
【考案の効果】このように本考案による車両用シートの
ばね構造によれば、荷重に応じてばね特性が段階的に変
化することから最大たわみ量が抑えられ、柔らかい初期
特性を小さなたわみスペースで得ることができるため、
シートを厚くすることなく座り心地を良くすることがで
き、かつ着座姿勢を安定させることができるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例に係る車両用シートのばね構造
の斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本考案の実施例に係る引っ張りばねの取付け状
態の説明図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】本考案の実施例に係る引っ張りばねの取付け状
態の説明図である。
【図6】図5のC−C断面図である。
【図7】本考案の実施例に係る車両用シートのばね構造
のばね特性の説明図である。
【図8】従来例に係る車両用シートのばね構造の斜視図
である。
【図9】図8のD−D断面図である。
【図10】従来例に係る車両用シートのばね構造のばね
特性の説明図である。
【符号の説明】
1 シートフレーム 1a 前端面 2 パネル 3 第1引張りばね 4 第2引張りばね F 荷重

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略方形に形成されたシートフレームに複
    数の引張りばねによりそのシートフレームと平行状にパ
    ネルを保持する車両用シートのばね構造であって、前記
    パネルはシートフレームの一方の対向する枠辺にその対
    応する側縁が複数の第1引張りばねにより取付けられる
    とともに、前記シートフレームの他方の対をなす枠辺の
    一方に単数あるいは複数の第2引張りばねを取付けて該
    第2引張りばねの付勢力により前記第1引張りばねをほ
    ぼ自由長状態で第2引張りばねを取付けた枠辺に指向し
    て前記第2引張りばねとほぼ平行状に位置して前記パネ
    ルを前記シートフレームと平行状に保持する第1保持位
    置と、前記パネルへの外力で、前記第2引張りばねが伸
    張変位し、かつ第1引張りばねがほぼ自由長状態で下方
    へ回動変位し、さらに該第1引張りばねが伸張変位して
    前記パネルを前記シートフレームと平行状に保持する第
    2保持位置との2位置に変位可能に構成した車両用シー
    トのばね構造。
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