JP2580023B2 - ガス絶縁変圧器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、ガス絶縁変圧器に係り、特に、分解輸送形
のガス絶縁変圧器のタンクの輸送方法に改良を施したガ
ス絶縁変圧器に関するものである。

（従来の技術） 近年、不燃化を主眼とした防災型変圧器として、ガス
絶縁変圧器が多用されるようになっている。この様なガ
ス絶縁変圧器においては、単器容量、電圧共に上昇し、
200MVA〜300MVA、275KV〜500KV級の大容量、高電圧器の
要請が増加している。また、ガス絶縁変圧器としては、
耐電圧、冷却性能の面から、ガス圧を高くして使用する
ことが多い。その一例として、比較的小容量のガス絶縁
変圧器の輸送時の断面図を第７図に、また、側面図を第
９図に示した。即ち、第７図において、小容量の中身7a
を内部に配設したまま、本体タンク１が輸送台車３の上
に搭載されている。これは、本体タンク１は従来の油入
変圧器と異なり、分解、分割するのに限界があるためで
あり、単相毎に分割し、単相器のタンクを第７図に示す
輸送限界内に納めるようにして輸送していた。この様に
中身とタンクとを一体化して輸送するため、変圧器の容
量、電圧共に制限を受けることになっていた。

一方、大容量、高電圧器のガス絶縁変圧器において
は、中身寸法、重量共に大形化し、本体タンク１は第８
図に示した様に、輸送限界内に納まらなくなる。そこ
で、中身をさらに分割、分解して輸送限界内に納まる単
位まで縮小する必要がある。

（発明が解決しようとする課題） ところで、本来、変圧器は製作メーカーで一度全体を
組立て、ユーザーの立合い試験を経て、分解、出荷さ
れ、ふたたび変電所において組立て、ユーザーに引き渡
すシステムで製作され、その信頼性を確保している。従
って、工場内で組立試験を実施したままの形態で輸送す
ることが望ましく、分解あるいは分割して輸送する場
合、その分割個数を極力減らすことが望ましい。

第７図においては、変圧器の中身7aに対して、円筒形
タンク１の水平方向に余裕ｌがあることがわかる。ま
た、輸送限界は高さ方向と幅方向とでは、高さ方向に大
きくなっている。これは、一般道路において、高さの制
限は約4300mm、幅は約3500mmとされているためである。

そこで、大容量、高電圧器のガス絶縁変圧器において
は、第８図に示した様に、大容量、高電圧化によって大
きくなった中身を、本体タンクと切り離して輸送するこ
とが考えられている。即ち、大容量の中身7bを従来の様
に本体タンク１内に収納した状態で輸送しようとする
と、そのフランジ径φＤは輸送限界から外部に突出す
る。そのため、大容量中身7bを中身輸送用タンク８に収
納し、輸送用ガーター９を介してトレーラと連結して輸
送するように構成されている。この中身輸送用タンク８
は、輸送時の強度のみ確保されていれば良く、本体タン
ク１と異なり、中身7bとの絶縁寸法、３〜4Kg/cm²Gとい
ったガス圧に耐える必要もないため、矩形断面で輸送限
界いっぱいに配置することができる。そのため、本体タ
ンク１をいかに輸送するかが問題となっている。

本発明は以上の欠点を解消するために提案されたもの
で、その目的は、変圧器の分解、分割部を減らし、大口
径の円筒タンクを輸送できるようにしたガス絶縁変圧器
を提供することにある。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 本発明は、円筒形タンクと中身とを分離して輸送する
ガス絶縁変圧器において、円筒形タンクを、２つの端部
タンクと１つあるいはそれ以上の本体タンクに分割し、
前記本体タンクの両端にフランジを形成し、輸送時に前
記フランジに輸送用の蓋を取付け、前記タンクの軸線が
輸送方向に対して直交するようにして輸送することを特
徴とするものである。

（作用） 本発明のガス絶縁変圧器によれば、輸送限界の幅寸法
いっぱいに、分割する本体タンクの長さを決め、また、
円筒形のタンク径を輸送限界の高さ寸法いっぱいに設定
することができる。さらに、タンクと中身とを分離して
輸送するので、輸送台車の構成も簡略化できる。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を第１図乃至第４図に基づい
て具体的に説明する。

本実施例においては、第１図に示した様に、変圧器の
タンク10が本体タンク10aと端部タンク10bとに分割でき
るように構成され、本体タンク10aの両端部にはフラン
ジ11が形成され、輸送時には前記フランジ11に輸送用の
蓋12を取付け、両側の開口部を閉じることができるよう
に構成されている。なお、分割する本体タンク10aの軸
方向の長さＬは、輸送限界の幅寸法に収納できる最大限
の長さに設定することが望ましい。

一方、前記タンクを搭載して輸送する輸送台車13は、
その中央部にタンク搭載部である凹部13aが形成され、
また、その前後にトレーラに接続されるトレーラ連結部
13bが形成されている。そして、第２図に示した様に、
前記本体タンク10aのタンク軸線が輸送方向に対して直
交するように、本体タンク10aを輸送台車13の凹部13aに
搭載して輸送する。

また、端部タンク10bの開口部にも同様にフランジ11
が形成され、第３図に示した様に、両側の端部タンク10
bを互い対向させて、輸送台車13の凹部13aに搭載して輸
送する。

なお、第２図及び第３図において、図中のｈ寸法は、
道路走行上必要とされる道路上からの最小寸法を示して
いる。

この様な構成を有する本実施例のガス絶縁変圧器にお
いては、本体タンク10aのタンク軸線を輸送方向と直交
するように輸送台車に搭載するので、円筒形のタンク径
（フランジ部も含む）Ｈを輸送限界の高さ寸法内に収納
できる最大限の長さに設定することができる。その結
果、タンク径を従来のタンク径に比べて約1.2倍（約700
〜800mm増）にすることが可能となる。

また、本実施例においては、変圧器の中身とタンクと
を別個に輸送しているので、タンク部分の重量は軽くな
り、輸送台車も簡便なもので良い。

さらに、第４図に示した様に、分割して輸送した本体
タンク10aと端部タンク10bとを現地にて組立て、所望の
大きさの変圧器タンクを形成することができる。

この様に本実施例によれば、変圧器のタンクを大口径
とすることができ、また、単純な形状のまま輸送できる
ので、輸送台車なども簡便なものとすることができる。
さらに、タンクを大形化することができるため、中身の
設計に自由度を与えることができ、絶縁、冷却、損失な
どの改善や適性な裕度を確保することができる。

なお、本発明は上述した実施例に限定されるものでは
なく、第５図に示した様に、本体タンク10aの開口部に
配設する輸送用の蓋20にヒンジ20aを形成し、その両先
端部にトレーラ連結部20bを形成しても良い。また、第
６図に示した様に、本体タンク30に輸送用のはり31を着
脱自在に貫通させ、その両端にトレーラ連結部32を形成
しても良い。いずれの場合も、輸送台車を別個に設ける
必要がなくなり、輸送限界いっぱいまでタンク径を大き
くすることができ、より大口径のタンクが得られる。

［発明の効果］ 以上述べた様に、本発明によれば、円筒形タンクを、
２つの端部タンクと１つあるいはそれ以上の本体タンク
に分割し、前記本体タンクの両端にフランジを形成し、
輸送時に前記フランジに輸送用の蓋を取付け、前記タン
クの軸線が輸送方向に対して直交するようにして輸送す
るという簡単な手段によって、変圧器の分解、分割部を
減らし、大口径の円筒タンクを輸送できるようにしたガ
ス絶縁変圧器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のガス絶縁変圧器のタンクの輸送時の一
実施例を示す斜視図、第２図はその輸送限界との関係を
示す断面図、第３図は端部タンクを輸送する場合の輸送
限界との関係を示す断面図、第４図はガス絶縁変圧器の
タンクを組立てた状態を示す斜視図、第５図及び第６図
は本発明の他の実施例を示す斜視図、第７図は従来の小
容量のガス絶縁変圧器の輸送時における輸送限界との関
係を示す断面図、第８図は従来の小容量のガス絶縁変圧
器の中身を輸送する場合における輸送限界との関係を示
す断面図、第９図は第７図の側面図である。 １……タンク本体、３……輸送台車、４……トレーラ連
結部、６……トレーラ、7a……小容量中身、7b……大容
量中身、８……中身輸送用タンク、９……輸送用ガータ
ー、10……タンク、10a……本体タンク、10b……端部タ
ンク、11……フランジ、12……輸送用の蓋、13……輸送
台車、13a……凹部、13b……トレーラ連結部、20……輸
送用の蓋、20a……ヒンジ、20b……トレーラ連結部、30
……本体タンク、31……輸送用のはり、32……トレーラ
連結部。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒形タンクと中身とを分離して輸送する
   ガス絶縁変圧器において、 前記円筒形タンクを、２つの端部タンクと１つあるいは
   それ以上の本体タンクに分割し、前記本体タンクの両端
   にフランジを形成し、輸送時に前記フランジに輸送用の
   蓋を取付け、前記タンクの軸線が輸送方向に対して直交
   するようにして輸送することを特徴とするガス絶縁変圧
   器。