JP2579737B2 - 浮き緯糸の抜き上げ装置 - Google Patents

浮き緯糸の抜き上げ装置

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JP2579737B2
JP2579737B2 JP6106495A JP10649594A JP2579737B2 JP 2579737 B2 JP2579737 B2 JP 2579737B2 JP 6106495 A JP6106495 A JP 6106495A JP 10649594 A JP10649594 A JP 10649594A JP 2579737 B2 JP2579737 B2 JP 2579737B2
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秀昭 角谷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、パイル織物を得るた
めに、地組織に絡まない浮き緯糸を抜き上げてこれに絡
めたパイル糸を起毛させるための浮き緯糸の抜き上げ装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パイル抜き上げ用の浮き緯糸を有する経
緯二重組織にパイル経糸を織込み、上下の組織を中間部
で切断分離した上で、それぞれの生地において浮き緯糸
を抜き上げてパイル経糸の両端部を立ち上げるようにし
た両面パイルの製造法が特開昭63−75143号、特
開昭63−75144号及び特開昭63−28938号
において提供されている。
【0003】また、浮き緯糸の下に沈む浮き経糸を打ち
込んで、浮き経糸の抜き上げにより、浮き緯糸を抜き上
げるようにした両面パイル織物の製造法が特公平3−5
9180号で提供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記浮き緯
糸の抜き上げは手作業によらざるを得ず、抜き上げ作業
に手間取るほか、製品の仕上がり状態が作業者の注意
力、資質によって影響を受ける難点があった。
【0005】そこで、この発明の目的とするところは、
浮き緯糸の抜き上げを人力によらず、機械化することに
よって抜き上げ作業を迅速かつ適確に遂行する浮き緯糸
の抜き上げ装置を提供するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】浮き緯糸を連続的かつ自
動的に抜き上げて行くためには、搬送状態にある織物か
ら浮き緯糸の端部を拾い上げて抜き上げ力を加え、他端
部まで抜き上げるとともに抜き上げた浮き緯糸を自動的
に回収処理する工程を連続的に行う必要がある。浮き緯
糸の一端部を機械的捕捉手段で挟持してそのまま捕捉手
段を上下させることによっても浮き緯糸を抜き上げる方
法も可能であるが、搬送状態にある織物から浮き緯糸を
挟持して抜き上げ、自動的に回収処理する操作を連続的
に行わせる場合には種々の困難を伴う。
【0007】すなわち、織物の端部において浮き緯糸同
士が絡まっている場合が多く、これをそのまま捕捉手段
により1本づつ捕捉するのは困難である。複数本の浮き
緯糸を同時に捕捉した場合、ある程度の起毛は可能であ
るが、浮き緯糸同士が途中で絡まった状態で織物表面に
残ったりする。また、織物の搬送方向で後側の浮き緯糸
のみを先に捕捉した場合、前側の浮き緯糸が捕捉されず
に起毛できない部分が発生することがあり、上記いずれ
の場合においても、パイル織物の品質上問題となる。
【0008】また、1本づつ浮き緯糸を捕捉できたとし
ても、浮き緯糸を抜き上げるまで捕捉手段を上昇または
織物の幅方向へ移動させなければならず、さらに、浮き
緯糸を抜き上げた状態で捕捉手段を開放する操作が必要
となる。従って、捕捉手段の開閉動作及び織物の幅方向
での往復操作を要することになる。
【0009】また、静止状態に置いた織物から浮き緯糸
の端部を機械的に捕捉する方法も考えられるが、捕捉手
段の開閉動作及び往復操作を必要とする点では上記搬送
状態の織物から浮き緯糸を捕捉する場合と同様の難点が
あるばかりか、織物の間欠送りも必要とするため、数本
の浮き緯糸を抜き上げるだけでも手作業に比べてむしろ
時間が掛るといえる。また、捕捉手段の持ち上げ空間を
必要とするため好ましくない。
【0010】さらに、捕捉手段を織物の幅方向へ移動さ
せる方法を採用すれば、浮き緯糸の他端部において、浮
き緯糸が織物の耳部で地組織の一部と絡みあっていて
も、捕捉手段による浮き緯糸の挟持力が大きいため、パ
イル経糸が起毛する前に織物の幅方向へ抜け出してしま
い、品質の面でも好ましくない。
【0011】このような考察に基づき、浮き緯糸の捕捉
に開閉動作を必要とせず、抜き上げ並びに回収廃棄まで
の操作を機械的往復運動を用いることなく、また、織物
の搬送状態に影響を与えずにこの発明の目的を達成する
手段について鋭意検討を加えた結果、開閉動作を伴わな
い捕捉手段と定位置で互いに摺擦状態で駆動されるロー
ルの利用とに着眼し得たものである。
【0012】すなわち、機械的往復運動を伴わない浮き
緯糸の抜き上げ手段として、定位置で互いに摺擦状態で
駆動される一対のロール間に案内することによりロール
の摺擦力で他端部まで抜き上げるようになし、抜き上げ
た浮き緯糸を廃棄回収位置に集める方式とすれば、機械
的往復運動を必要とせず、また織物の搬送状態に影響を
及ぼさないとの知見を得たものである。
【0013】そこで、上記方式を達成するために開発さ
れたものが、本発明に係る浮き緯糸の抜き上げ装置であ
る。すなわち、この浮き緯糸の抜き上げ装置は、パイル
織物を得るため、地組織に絡まない浮き緯糸を抜き上げ
てこれを絡めたパイル糸を起毛させるためのものであ
り、強制的に搬送される織物の幅方向に横断して互いに
摺擦状態で強制駆動される一対の抜き上げロールを織物
面に近接して設け、浮き緯糸の一端部を地組織の端縁か
ら抜き上げロールに案内する浮き緯糸捕捉手段を設け、
捕捉手段で一端部を捕捉した浮き緯糸を抜き上げロール
の摺擦力で他端部まで抜き上げて行くようにし、抜き上
げた浮き緯糸を回収する回収装置を設けたものである。
【0014】捕捉手段は、上記のごとく、織物の幅方向
に往復運動する必要がなく、織物面から抜き上げロール
へ浮き緯糸を案内すればよいので、浮き緯糸の端部を挟
持する構成も採用可能であるが、その開閉動作が必要と
なる。また、真空吸引力を利用して浮き緯糸の端部を抜
き上げロールに案内する構成も採用できるが、浮き緯糸
の端部は浮き緯糸同士の絡みを防止するため、織物の地
組織の一部に絡んでいる織物が提供される場合が多く、
この場合、真空吸引力だけでは浮き緯糸を地組織から外
してロールに案内することができず、また、1本づつ順
次案内する場合の吸引力も調整する必要がある。
【0015】従って、捕捉手段としては、むしろ機械的
に浮き緯糸を掛け揚げるピン構成の方が挟持開閉動作を
必要とせず、かつ1本づつ確実に捕捉できる点で簡単な
方式である。ただ、ピン等の突出長さは、地組織を損傷
せず、かつ浮き緯糸の端部を確実に捕捉する長さに設定
しなければならない一方、浮き緯糸の端部は必ずしも地
組織から浮いた状態で搬送されてくるとは限らない。そ
のため、浮き緯糸の端部を地組織から強制的に浮かす補
助手段を捕捉ピンに設けるのが望ましい。
【0016】そこで、この発明の捕捉手段として、浮き
緯糸の端部を一本づつ掛け揚げ可能な捕捉ピンと、この
捕捉ピンによる掛け揚げ可能な範囲に浮き緯糸を浮き上
げさせる浮き上げ棒とを備えた構成を採用し、地組織か
ら確実に浮かせ、かつ1本1本確実に捕捉しロールに案
内できるようにした。
【0017】ここで、ピン等を掛け揚げる駆動力は、抜
き上げロールの駆動力を利用する方式や別個の駆動源か
ら取り出す方式であってもよいが、別個の駆動源から動
力を取り出すと、抜き上げロールと同期させなければな
らず、その制御が必要になる。そのため、抜き上げロー
ルの駆動力を利用する方が、ロールの回転に連動させ
て、ピンなどの連動制御を必要としない点で望ましい。
また、ピン等を往復運動させることによっても浮き緯糸
を捕捉できるが、むしろ回転運動により連続的に捕捉す
る構成の方が迅速な処理が可能となる。
【0018】ピン等をロールの回転に連動させて回転さ
せるにはロールの軸部に直接取り付ける方式やロールの
軸部に歯車機構を介して動力が伝達される軸部に取り付
ける方式を採用するのが最も簡単である。ただ、ピン等
の突出長さは、織物の送り速度、浮き緯糸の間隔、及び
ロールの軸部と織物面との距離等によって適宜その長さ
を調整しなければならない。従って、捕捉ピンは、その
長さを調整自在とするため、ロールの軸部等にネジ込む
構成を採用するのが望ましい。
【0019】なお、捕捉手段としてピン構成の代わりに
フック構成を採用すれば、浮き緯糸の掛け揚げが確実に
行えるが、フックの長さを調整するために、フックの基
端部をネジ込む構成を採用したときに、フックが浮き緯
糸の捕捉方向と逆方向に向く可能性がある。そのため、
ネジ込み方式で軸部に長さ調整自在にする場合には、い
ずれの向きにおいても浮き緯糸を捕捉できるピン構成の
方が望ましいといえる。好ましくは、捕捉ピンの全体を
ネジにより構成し、そのネジ溝部で浮き緯糸を掛け揚げ
る構成を採用すれば、上記フック構成と同様な機能が付
加されたことになり、浮き緯糸を確実に捕捉することが
できる。
【0020】また、浮き上げ棒は、織物の端部において
その搬送方向に沿って配置し、単に浮き緯糸を浮かせる
だけでなく、好ましくは後述の回転ブラシにより整列さ
せた浮き緯糸の整列状態を維持するように、浮き緯糸に
ある程度の張力を持たせる径に設定するのが望ましい。
さらに、浮き緯糸は単に浮き上がらせただけでは、浮き
緯糸同士が絡まっていることがあり、上述のように、複
数本の浮き緯糸を捕捉する可能性があるため好ましくな
く、できれば浮き緯糸が整列された状態で捕捉位置まで
搬送されるのが望ましい。
【0021】そこで、この発明の好ましい実施態様とし
て、浮き緯糸を捕捉する前に、絡み合った浮き緯糸をほ
ぐして整列させ、織物の搬送方向で前側の浮き緯糸から
1本1本確実に順次捕捉し得るように、浮き緯糸の端部
をほぐすブラシを設ける構成を採用し、浮き緯糸が地組
織から外れている場合でも確実に整列され、1本1本捕
捉ピンで順次捕捉させることができるようにした。
【0022】なお、捕捉した浮き緯糸の端部を抜き上げ
ロールに確実に案内させるために、一対のロール間の中
心部には、織物の裏側からエアーを吹き出させ、また、
上記吸込みパイプのスリットを捕捉位置まで延長させて
真空吸引力により浮き緯糸を上方の抜き上げロールまで
到達させる補助的手段を付設するのが望ましい。
【0023】また、回収装置は、抜き上げた浮き緯糸の
端部を捕捉して回収位置まで移動指せる構成や、エアー
を利用して回収位置に吹き飛ばすあるいは吸引する等の
種々の構成を採用することができるが、機械的に移動さ
せる場合は往復操作を必要とし、またエアーにより吹き
飛ばす場合は回収位置に確実に回収される保障がなく、
確実かつ円滑に回収する真空吸引力を利用した方が得策
である。
【0024】そこで、この発明の実施態様として、回収
装置が、抜き上げロールの織物面と反対側に織物の幅方
向に亘ってスリットを開口した吸込みパイプと、この吸
込みパイプに連結した真空吸引装置とを備えた構成を採
用し、抜き上げた浮き緯糸の回収を確実かつ円滑に行い
得るようにした。
【0025】次に、浮き緯糸の他端部において、パイル
経糸を確実に起毛させる手段について説明する。抜き上
げロールにより浮き緯糸を抜き上げていくと、浮き緯糸
の他端部が織物の耳部で地組織の一部と絡みあっていて
も、ロールによる浮き緯糸の挟持力が大きいため、パイ
ル経糸が起毛する前に織物の幅方向へ抜け出してしまう
可能性がある。また、浮き緯糸をすべて抜き去ると、織
物の耳部の剛性が下がり、織物の後処理上好ましいもの
とはいえない。
【0026】従って、抜き上げロールの他端部側で浮き
緯糸の他端部を押さえ、かつ抜き上げロールにより抜き
上げられる浮き緯糸の他端部を切断する方が、浮き緯糸
の他端部を確実に押さえ、ロールによる抜き上げ力が強
くても織物の他端部側のパイル経糸も確実に起毛させる
ことができる。その上、浮き緯糸の端部が地組織の残る
ので、織物の端部の剛性も高い状態で維持できることに
なる。
【0027】ただ、カッターにより浮き緯糸を切断する
構成だけであると、ロールにより抜き上げられた浮き緯
糸は、カッターの内端部まで抜き上げられるが、それ以
上はカッターによって外端部側へ移動しない。そのた
め、カッターの尖端切断部の切れ味がよい使用当初はよ
いが、徐々に切れ味が落ちてきたときに、垂直状態で止
まった浮き緯糸を切断部で切断することは至難の技であ
る。そのため、切断されない浮き緯糸がロールに挟まっ
た状態で溜まることになり、装置の駆動を停止して浮き
緯糸を取り出さなければならず、パイル起毛の迅速処理
の障害になるおそれがある。従って、カッターによる切
断を確実に行うため、浮き緯糸をカッターよりも外端部
側へ強制的に移動させ、浮き緯糸をカッターの尖端切断
部に鋭角的に当てることが望ましい。
【0028】そこで、この発明のさらに好ましい実施態
様として、織物面上で浮き緯糸の他端部を押さえかつ抜
き上げロールにより抜き上げられる浮き緯糸を切断する
カッターを設け、浮き緯糸をロールの軸方向でカッター
の尖端切断部よりも他端部外側へ強制的に移動させる糸
切り補助棒を設けた構成を採用し、切れ味の落ちた尖端
切断部であっても浮き緯糸を確実に切断させるようにし
た。
【0029】なお、一本の糸切り補助棒を用いて糸切り
補助を行うと、補助棒を往復運動させなければならず、
これでは織物の搬送速度を低下させなければならない。
そこで、この発明の実施態様として糸切り補助棒を抜き
上げロールの軸方向で一対のプーリに掛巻されたベルト
の外表面に複数本配列し、プーリの駆動により糸切り補
助棒がロールの軸方向へ連続的に移動するような構成を
採用し、織物の搬送速度が大となってもいずれかの糸切
り補助棒により、浮き緯糸をカッターよりも外側に強制
的に移動させるようにした。
【0030】
【作用】上記のように構成した装置によれば、順次搬送
されてくる織物の浮き緯糸端部をブラシでほぐして整列
させるとともに、浮き上げ棒により浮き緯糸を捕捉ピン
に捕捉できる範囲まで浮き上らせ、ロールの回転に連動
して回転する捕捉ピンにより浮き緯糸を織物の端部から
外して掛け揚げ抜け上げロールに案内させることができ
る。
【0031】捕捉ピンにより案内された浮き緯糸は、同
時に抜き上げロールの摺擦力によって他端部まで抜き上
げられ、浮き緯糸の中間部は、ロールの軸方向に沿って
移動するが、ロールの上側にある吸込みパイプにスリッ
トが形成されているため、その移動が阻止されることな
く、また吸込みパイプの真空吸引力によってロールに絡
むことなく、スムーズに移動しながら抜き上げられてい
く。
【0032】浮き緯糸の他端部においては、カッターが
浮き緯糸を押さえているので、パイル経糸を確実に起毛
させ、また、糸切り補助棒が浮き緯糸を捕捉し、浮き緯
糸をカッターの尖端切断部よりも外側に強制的に移動さ
せるため、浮き緯糸がカッターによって確実に切断さ
れ、浮き緯糸は真空吸引力によって最終的には廃棄回収
部に収容される。織物の搬送により、逐次捕捉ピンの位
置に到達した浮き緯糸は同様にして連続的に抜き上げら
れて行くことになる。
【0033】
【実施例】以下、添附図面に示した実施例について説明
する。図1はこの発明に係る浮き緯糸の抜き上げ装置の
一実施例を示す全体斜視図、図2はその側面図、図3は
その浮き緯糸一端部側の正面図、図4はその浮き緯糸他
端部側の正面図である。
【0034】図1のごとく、この実施例の抜き上げ装置
1は、パイル織物Aを得るため、地組織に絡まない浮き
緯糸を抜き上げてこれを絡めたパイル糸を起毛させるた
めのものである。この抜き上げ装置に搬送されるパイル
織物Aは、地組織Bに絡まない浮き緯糸Cを織込んだ織
物であり、浮き緯糸Cの一端部は地組織Bから浮き上が
った状態で、その端縁が2〜3本の地組織Bの経糸B1
に織込まれて浮き緯糸同士が絡むのを防止している。ま
た、織物Aの他端部においては、浮き緯糸Cが地組織B
に織込まれており、これらにより、織物の耳部Dが形成
されている。図1において、矢印Eは織物Aの搬送方向
を示し、抜き上げ装置1よりも搬送方向前側では地組織
に織込まれたパイル経糸Fが起毛した状態を示し、搬送
方向後側ではパイル経糸Fが地組織に織込まれた状態を
示す。
【0035】抜き上げ装置1は、浮き緯糸Cの一端部を
捕捉する捕捉手段2と、捕捉した浮き緯糸Cを抜き上げ
る一対の抜き上げロール3、4と、抜き上げた浮き緯糸
Cを吸込む吸込みパイプ5と、このパイプ5から吸込ん
だ浮き緯糸Cを回収廃棄する真空吸引装置6と、浮き緯
糸Cの他端部に配されたカッター7及び糸切り補助棒8
とを備えている。
【0036】図1ないし図3のごとく、捕捉手段2は、
抜き上げロール3、4のうちの一方の軸部9に固定し整
列された浮き緯糸Cの端部を一本づつ掛け揚げ可能な一
対の捕捉ピン11と、浮き緯糸の端部を地組織から離し
捕捉ピン11による掛け揚げ可能な範囲に浮き緯糸Cを
浮き上がらせる浮き上げ棒12と、織物の下側に配置さ
れ浮き緯糸の浮き上りを補助するエア吹出しノズル13
とを備えている。
【0037】図2のごとく、捕捉ピン11は、ロール3
の軸部9に一対設けられ、その突出長さを調整可能にそ
の全長に亘ってネジが形成されており、そのネジ溝部で
浮き緯糸Cの捕捉を確実に行えるように設定されてい
る。浮き上げ棒12は、ロール3、4よりも搬送方向で
前側から織物Aの地組織Bと浮き緯糸Cの端部との間に
差し込まれており、その先端は図2の2点鎖線で示すよ
うにテーパー状に形成されている。
【0038】抜き上げロール3、4よりも搬送方向で後
側で、浮き上げ棒12の先端部付近には、図1のごと
く、浮き緯糸Cをほぐして整列させるための回転ブラシ
15が配置され、連続的に浮き緯糸を整列可能とされて
いる。
【0039】図2のごとく、抜き上げロール3、4は、
吸込みパイプ5と織物との間に配置され、互いに摺擦状
態で逆方向へ強制回転駆動され、捕捉手段2で案内され
た浮き緯糸を抜き上げ可能とされている。この一対のロ
ール3、4は、浮き緯糸Cに使用する糸の種類、番手に
応じた抜き上げ力、耐久性等の点から、表面形状、材質
等を考慮して選択使用する必要がある。この実施例で
は、一方を硬質ゴムロールとし、他方を鋼鉄ロールとす
る組み合わせを採用している。硬質ゴムロールを使用す
るのは、柔らかいゴムロール間の摺擦状態よりも比較的
硬いロールの方が抜き上げ力、耐久性等で良好であり、
さらに、この硬質ロールよりも硬い鋼鉄ロールとの組み
合わせの方がさらに良好な結果が得られたからである。
なお、浮き緯糸Cの種類によってゴムロールよりも歯車
状のスプラインロールが適当な場合も考えられる。
【0040】吸込みパイプ5は、抜き上げられた浮き緯
糸Cを真空吸引装置6に回収するためのものであり、そ
の下面には一端部から他端部にかけてスリット17が形
成され、抜き上げロール3、4の中央位置においてロー
ル3、4に近接して配置されている。なお、上記捕捉手
段2による浮き緯糸Cの捕捉とロール3、4への案内を
確実に行うため、図3のごとく、吸込みパイプ5及びス
リット17はロール3、4の軸部9、10の端部側まで
延設されている。さらに、図1のごとく、吸込みパイプ
5は真空吸引装置6と蛇腹パイプ22で連結されてい
る。従って、この吸込みパイプ5、真空吸引装置6及び
蛇腹パイプ22により回収装置24が構成されている。
【0041】図1及び図4のごとく、カッター7は、抜
き上げロール3、4の他端部側で浮き緯糸Cの他端部を
押さえかつ抜き上げロール3、4により抜き上げられる
浮き緯糸Cの他端部を切断するものであるが、織物Aの
搬送の支障にならない程度の押圧力に設定されている。
【0042】また、浮き緯糸Cをロール3、4の軸方向
でカッター7の尖端切断部7aよりも他端部外側へ強制
的に移動させる糸切り補助棒8は、抜き上げロール3、
4の軸方向で一対のプーリ18、19に掛巻されたベル
ト20の外表面に複数本配列され、プーリ18、19の
駆動により糸切り補助棒8がロール3、4の軸方向へ連
続的に移動するように構成されている。
【0043】カッター7及びプーリ18、19は支持台
21に支持され、支持台21が織物Aの搬送の邪魔にな
らないように、ある程度織物Aから浮いた状態で、装置
本体に固定されている。従って、織物Aを所望の押圧力
で押さえるカッター7の先端は支持台21より僅かに下
側に向くように設定されている。なお、図1において、
符号23は浮き緯糸の抜き上げ時に織物が浮きあがるの
を防止するための押え棒である。
【0044】上記構成において、順次搬送されてくる織
物Aの浮き緯糸端部は回転ブラシ15によりほぐされ整
列しながら織物Aの搬送により捕捉ピン11側に移動
し、浮き上げ棒12により捕捉ピン11に捕捉される範
囲まで浮き上がらせる。そして、織物Aの搬送により、
浮き緯糸Cが捕捉位置に到達すると、ロール3、4の回
転に連動して回転する捕捉ピン11により、織物の端部
から外され掛け揚げられて、抜き上げロール3、4に案
内される。
【0045】捕捉ピン11により掛け揚げられ案内され
た浮き緯糸Cは抜き上げロール3、4の摺擦力によって
他端部まで抜き上げられ、その中間部がロール3、4の
軸方向に沿って移動するが、ロール3、4の上側にある
吸込みパイプ5にスリット17が形成されているため、
その移動が阻止されることなく、また吸込みパイプ5の
真空吸引力によってロール3、4に絡むことなく、スム
ーズに移動しながら抜き上げられていく。
【0046】浮き緯糸の他端部においては、カッター7
が浮き緯糸Cを押さえているので、パイル経糸Fを確実
に起毛させ、また、糸切り補助棒8が浮き緯糸Cを捕捉
し、カッター7の尖端切断部7aよりも外側に強制的に
移動させるため、浮き緯糸Cがカッター7によって確実
に切断され、真空吸引力によって最終的には廃棄回収部
に収容される。織物Aの搬送により、逐次捕捉ピン11
の位置に到達した浮き緯糸Cは同様にして連続的に抜き
上げられて行くことになる。
【0047】図5は捕捉手段の他の実施例を示す正面
図、図6はその側面図である。この捕捉手段2において
は、抜き上げロール3、4の軸部9とは別の軸部25の
ロール部26に捕捉ピン11を取り付けており、その駆
動力として抜き上げロール3、4の動力を利用してい
る。すなわち、抜き上げロール3の軸部9の下側に軸部
25を並設し、この軸部9、25にそれぞれ取り付けら
れた歯車27、28同士を噛合し、上記軸部25のロー
ル部26に捕捉ピン11を取り付けている。
【0048】従って、抜き上げロール3の軸部9よりも
さらに下側に配置された軸部26に取り付けられること
になるので、捕捉ピン11はより浮き緯糸側に接近させ
ることができ、浮き緯糸を1本づつさらに確実に捕捉す
ることができる。しかも、ロール部26は、図6に示す
ように、一対のロール3、4の中間部に配置することが
できるので、浮き緯糸の捕捉位置がよりロール3、4間
の抜き上げ位置付近となり、捕捉から抜き上げまでの動
作がより円滑に行うことができる。なお、図5、6にお
いて図示していないが、浮き上げ棒12及びエア吹出し
ノズル13等を備えていることは勿論である。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したところから明らかな通り、
請求項1に係る抜き上げ装置によると、定位置で互いに
摺擦状態で駆動される一対の抜き上げロールにより、捕
捉手段の往復運動を伴うことなく、確実に抜き上げるこ
とができるので、迅速かつ適確にパイル経糸の起毛が可
能となる。
【0050】請求項2に係る抜き上げ装置によると、浮
き緯糸端部の捕捉手段が、抜き上げロールの軸部に取り
付けた捕捉ピンと、浮き上げ棒とを備えているので、捕
捉制御も不要であり、かつ1本1本確実に浮き緯糸を捕
捉してロールに案内することができる。
【0051】請求項3に係る抜き上げ装置によると、浮
き緯糸を捕捉する前にブラシでほぐして整列させるか
ら、1本1本確実に浮き緯糸を捕捉でき、製品のむらを
なくし、品質面でも優れたパイル織物を提供できる。
【0052】請求項4に係る抜き上げ装置によると、回
収装置が、吸込みパイプとこれに連結した真空吸引装置
とを備えているので、真空吸引力を利用して迅速かつ確
実に抜き上げた浮き緯糸を回収することができる。
【0053】また、請求項5に係る抜き上げ装置による
と、浮き緯糸の他端部を押さえかつ切断するカッターを
設けたから、浮き緯糸の他端部を確実に押さえ、織物の
他端部側のパイル経糸を確実に起毛させることができ、
また、浮き緯糸の端部が地組織の残り、織物の端部の剛
性も高い状態で維持できる。さらに、浮き緯糸をカッタ
ーの尖端切断部よりも他端部側へ強制的に移動させる糸
切り補助棒を設けたから、カッターの切れ味が落ちても
浮き緯糸を確実に切断できる。
【0054】請求項6の抜き上げ装置によると、複数本
の糸切り補助棒により、織物の搬送速度が大となっても
いずれかの糸切り補助棒により、浮き緯糸を確実に切断
することができ、迅速なパイル経糸の起毛処理が可能と
なるといった利点も有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る浮き緯糸の抜き上げ装置の一実
施例を示す全体斜視図
【図2】その側面図
【図3】その浮き緯糸一端部側の正面図
【図4】その浮き緯糸他端部側の正面図
【図5】捕捉手段の他の実施例を示す正面図
【図6】その側面図
【符号の説明】
A 織物 B 地組織 C 浮き緯糸 F パイル経糸 1 抜き上げ装置 2 捕捉手段 3、4 抜き上げロール 5 吸込みパイプ 6 真空吸引装置 7 カッター 8 糸切り補助棒 9、10 軸部 11 捕捉ピン 12 浮き上げ棒 13 エア吹出しノズル 15 回転ブラシ 17 スリット 24 回収装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角谷 秀昭 和歌山市小倉60番地 和歌山県工業技術 センター内 (72)発明者 野上 茂男 和歌山県伊都郡高野口町大字名倉791番 地 野上織物株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−308249(JP,A) 特開 平4−308268(JP,A) 実開 平4−118494(JP,U)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パイル織物を得るため、地組織に絡まな
    い浮き緯糸を抜き上げてこれに絡めたパイル糸を起毛さ
    せるための浮き緯糸の抜き上げ装置において、強制的に
    搬送される織物の幅方向に横断して互いに摺擦状態で強
    制駆動される一対の抜き上げロールを織物面に近接して
    設け、浮き緯糸の一端部を地組織の端縁から抜き上げロ
    ールに案内する浮き緯糸捕捉手段を設け、捕捉手段で一
    端部を捕捉した浮き緯糸を抜き上げロールの摺擦力で他
    端部まで抜き上げて行くようにし、抜き上げた浮き緯糸
    を回収する回収装置を設けたことを特徴とする浮き緯糸
    の抜き上げ装置。
  2. 【請求項2】 前記捕捉手段が、浮き緯糸の端部を一本
    づつ掛け揚げ可能な捕捉ピンと、この捕捉ピンによる掛
    け揚げ可能な範囲に浮き緯糸を浮き上げさせる浮き上げ
    棒とを備えた請求項1記載の浮き緯糸の抜き上げ装置。
  3. 【請求項3】 織物の搬送方向で前記捕捉手段よりも後
    側に浮き緯糸の端部を整列させるためのブラシを設けた
    請求項1又は2記載の浮き緯糸の抜き上げ装置。
  4. 【請求項4】 前記回収装置が、抜き上げロールの織物
    面と反対側に織物の幅方向に亘ってスリットを開口した
    吸込みパイプと、この吸込みパイプに連結した真空吸引
    装置とを備えた請求項1、2または3記載の浮き緯糸の
    抜き上げ装置。
  5. 【請求項5】 織物面上で浮き緯糸の他端部を押さえか
    つ抜き上げロールにより抜き上げられる浮き緯糸を切断
    するカッターを設け、浮き緯糸をロールの軸方向でカッ
    ターの尖端切断部よりも他端部外側へ強制的に移動させ
    る糸切り補助棒を設けた請求項1、2、3又は4記載の
    浮き緯糸の抜き上げ装置。
  6. 【請求項6】 前記糸切り補助棒が抜き上げロールの軸
    方向で一対のプーリに掛巻されたベルトに複数本配列さ
    れ、プーリの駆動により糸切り補助棒がロールの軸方向
    へ連続的に移動するように構成した請求項5記載の浮き
    緯糸の抜き上げ装置。
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