JP2578170Y2 - 移動式クレーンのジブにおけるテンション部材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】本考案は、移動式クレーンの
ジブに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の移動式クレーンのジブとして図
３に図示する如くの移動式クレーンＡに備えたジブＢを
例に以下に説明する。移動式クレーンＡは車両１上に旋
回自在に旋回台２を設け、この旋回台２に基端部を枢支
され起伏自在に伸縮ブーム３（実用新案登録請求の範囲
記載のブームに該当する。）を配置している。旋回台２
と伸縮ブーム３間には起伏用油圧シリンダ４を配置し伸
縮ブーム３を起伏駆動可能に構成している。伸縮ブーム
３は、基ブーム５に複数の中間ブーム６、７と先端ブー
ム８を順次伸縮自在に嵌挿している。そして各ブーム間
には油圧シリンダ等の伸縮駆動手段を配置して、基ブー
ム５より中間ブーム６、７および先端ブーム８を適宜伸
縮できるように構成してある。

【０００３】この伸縮ブーム３の側面にはジブＢを、ジ
ブＢの基端を伸縮ブーム３の先端に向け伸縮ブーム３の
側面に沿って格納させている。このジブＢは、図４に図
示する如く基端部の両側を傾斜させ、ジブＢの基端に槍
状のフォーク部９を備えている。そしてジブＢの基端部
と基ブーム５の先端部間に配置した係止装置１０と、ジ
ブＢの先端部と基ブーム５の基端部間に配置した係止装
置１１とでもってジブＢを基ブーム５の側面に沿って着
脱自在に係止させている。

【０００４】また、基ブーム５とジブＢ間には支持装置
１２を備えており、この支持装置１２は、前記係止装置
１０、１１の係合を解いた状態でジブＢを基ブーム５に
支持させるとともに、ジブＢを基ブーム５の側面に沿っ
た格納状態（図４の状態）から基ブーム５の下面に沿っ
て斜めに支持された状態（図５の状態で以下の説明では
下抱斜め状態と言う）または逆の状態に略９０°捻転さ
せる装置である。従って、ジブＢを格納状態（図４の状
態）から下抱斜め状態（図５の状態）にするには、次の
ようにして行う。まず伸縮ブーム３を伸長させた後、ジ
ブＢを支持装置１２を介して基ブーム５に支持させるよ
うジブＢを支持装置１２に連結する。次に前記係止装置
１０、１１の係合を解き、支持装置１２によって略９０
°ジブＢを捻転させる。なお、上記係止装置１０、１１
並びに支持装置１２は、周知技術（例えば実開平２−１
２７６９３号参照）であってここでは本考案とは直接関
係しないので詳細な説明は省略する。

【０００５】先端ブーム８の先端にはブームヘッド１３
が設けられており、このブームヘッド１３の両側板１３
ａ、１３ｂに橋架したシーブ１４の軸１５を両側板１３
ａ、１３ｂより突出させ、この軸１５に回転自在に嵌挿
させた軸１６ａ、１６ｂをそれぞれ設けている。軸１６
ａ、１６ｂには前記ジブＢの基端に設けた槍状のフォー
ク部９を嵌挿、連結するフォーク穴１７ａ、１７ｂを設
けている。このフォーク穴１７ａ、１７ｂは、ジブＢを
下抱斜め状態にした時にフォーク部９を嵌挿できるよう
フォーク部９に対して緩やかな嵌合となるように構成し
ている。従って、支持装置１２によってジブＢを下抱斜
め状態にした後伸縮ブーム３を縮小することで、フォー
ク穴１７ａ、１７ｂにそれぞれフォーク部９を嵌挿でき
る。フォーク穴１７ａ、１７ｂに嵌挿されたフォーク部
９は、フォーク部９に設けたピン穴９ａ、９ｂ、９ｂ’
にピン１８ａ、１８ｂをそれぞれ挿入する事で抜けない
ようにして連結できるようになっている。

【０００６】フォーク穴１７ａ、１７ｂにフォーク部９
を嵌挿、連結したジブＢは、次のようにして図７に図示
する如く伸縮ブーム３の先端に吊下される。すなわち、
図６の如く、旋回台２上に配置したウインチ１９から繰
り出されるワイヤロープ２０を、ブームヘッド１３の上
部に配置したシーブ２１と、ブームヘッド１３の前面に
配置した先端シーブ２２、およびジブＢの先端に配置し
たシーブ２３を経過させ、基ブーム５の基端部上方に配
置した係止具２４に掛け回し、ジブＢの先端に設けたブ
ラケット２５に先端を止着させる。その後基ブーム５と
ジブＢを支持させていた支持装置１２を解いて、ウイン
チ１９からワイヤロープ２０を繰り出す。するとジブＢ
は、軸１６ａ、１６ｂを中心に回転し、図７に鎖線図示
する如く伸縮ブーム３の先端に吊下される。

【０００７】ジブＢを吊下状態にしてから更にウインチ
１９からワイヤロープ２０を繰り出し、ワイヤロープ２
０を緩めて係止具２４に掛け回したワイヤロープ２０を
外す。そしてウインチ１９によりワイヤロープ２０を巻
き上げると、ワイヤロープ２０の先端はブラケット２５
に止着してあるから吊下状態のジブＢを引き上げること
ができる。引き上げられたジブＢは、伸縮ブーム３の先
端から前方に張り出され、伸縮ブーム３の軸線上にジブ
Ｂを位置させる。次に、伸縮ブーム３を倒伏してフォー
ク部９に設けたピン穴９ｂに挿入させていたピン１８ｂ
を抜き、フォーク部９に設けたピン穴９ｂ’にピン１８
ｂを挿入し、ジブＢが左右に揺動しないように固定す
る。

【０００８】伸縮ブーム３の先端から前方に張り出され
たジブＢは、ジブＢと先端ブーム８間にテンション部材
２６を介装してジブＢを先端ブーム８の前方に取り付け
るようになっている。テンション部材２６は、油圧シリ
ンダ２７と左右一対のテンションロッド２８で構成して
いる。油圧シリンダ２７は、シリンダ側端部をジブＢの
先端部に連結しており、ロッド側端部を左右一対のテン
ションロッド２８の一端に連結している。テンションロ
ッド２８の他端は、ブームヘッド１３の両側板１３ａ、
１３ｂの上端に係脱自在に連結できるようになってい
る。

【０００９】このように構成されたテンション部材２６
は、油圧シリンダ２７を伸長した後、テンションロッド
２８の他端をブームヘッド１３の両側板１３ａ、１３ｂ
の上端に連結し、その後ウインチ１９を巻き下げる。す
るとジブＢは、ワイヤロープ２０で支持されていた状態
からテンション部材２６で支持されるようになる。ジブ
Ｂをテンション部材２６で支持させた後、ワイヤロープ
２０の先端をブラケット２５から外し、ワイヤロープ２
０の先端にフック２９を連結する。そして伸縮ブーム３
を起仰させ図７に図示する如くのジブＢを使用する作業
状態にする。この時油圧シリンダ２７を適宜伸縮させる
ことで、ジブＢを起伏させることができる。

【００１０】以上のようにしてジブＢは、伸縮ブーム３
の側方に格納した状態から、伸縮ブーム３の前方に張り
出され、上記と逆に操作すれば逆に張出状態から格納す
ることができる。

【００１１】

【考案が解決しようとする課題】ところがこのように構
成した移動式クレーンＡに格納されるジブＢは次のよう
な問題点を有していた。すなわち、テンション部材２６
のテンションロッド２８は、一本物として構成され重量
が重いものであり、テンション部材２６の接続および取
外し作業はこの一端を持上げて行うため、力のいる作業
であった。また、テンション部材２６の接続および取外
し作業は、ブーム先端部の上部で行うものである。そこ
で、テンション部材２６の接続および取外し作業は、は
しごあるいはジブ上の高所で、重量が重いものを扱うと
いう取扱いのしにくい作業であった。本考案は、上記問
題点を鑑みてテンション部材２６の接続および取外し作
業を、より軽い部材の取り扱いで済むようにした移動式
クレーンのジブにおけるテンション部材を提供すること
を目的とするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本考案の移動式クレーンのジブにおけるテンション
部材は、テンションロッドを分割式にし、テンション部
材の接続および取外し作業時に、分割式にしたテンショ
ンロッドの一分割部を持上げて行うようにしたので、高
所での作業は避けられないものの、力をあまり必要とし
ない可及的に取扱いのし易い作業を提供できる考案であ
る。

【００１３】

【考案の実施の形態】本考案の移動式クレーンのジブに
おけるテンション部材は、その基端をブーム先端側に向
けブームの側面に沿わせた格納状態からブームの下面に
移し替えた後、あるいはその基端をブーム先端側に向け
ブームの下面に沿わせた格納状態から、ブームの先端に
設けたブームヘッドの両側板からそれぞれ突出した軸に
その基端に設けたフォーク部を着脱自在に嵌合させると
ともに前記軸回りにブームの前方に向かって回動させブ
ームの先端から張り出すよう構成した移動式クレーンの
ジブにおける作業時にジブ先端側とブーム先端側間にそ
の両端を接続されるテンション部材であって、テンショ
ン部材は、テンションロッドを少なくとも二分割し各テ
ンションロッド間を連結すると共に、連結の少なくとも
一か所を枢支連結してあるのである。

【００１４】

【実施例】以下本考案の実施例について図１〜図２に基
いて以下に説明する。なお、符号１〜符号２５、符号２
７、及び符号２９は、従来の技術で説明したものと同じ
ものであるので詳細な説明を略し以下の説明でも同符号
を使用する。

【００１５】Ｃは、本考案に係るジブであって、従来の
技術で説明したジブＢとは次の点で相違している。すな
わち、図１に図示する如くジブＣは、テンション部材の
テンションロッドを２つ折れに構成している。３１は、
テンション部材であって、油圧シリンダ２７と左右一対
配置したテンションロッド３２、テンションロッド３３
で構成している。テンションロッド３２とテンションロ
ッド３３は、それぞれの一端を枢支連結し、テンション
ロッド３２の他端は油圧シリンダ２７のロッド端部に連
結し、テンションロッド３３の他端はブームヘッド１３
の側板１３ａ、１３ｂの上端部にそれぞれ係脱自在に連
結されるようにするとともに、テンションロッド３２に
比較してテンションロッド３３をその長さを短く構成し
ている。

【００１６】このように構成した本考案の移動式クレー
ンのジブＣに備えたテンション部材３１は、テンション
ロッドをテンションロッド３２とテンションロッド３３
の２つのロッドで構成し両者間を枢支連結してあるもの
であるから、図２に図示する如くテンションロッド３３
の他端をブームヘッド１３の側板１３ａ、１３ｂの上端
部にそれぞれ連結させる際、テンションロッド３３の一
方を持ち上げればよく、従来のように一本のテンション
ロッドで構成した場合に比較して軽く持ち上げることが
出来る。従ってそれだけテンションロッド３３の他端を
ブームヘッド１３の側板１３ａ、１３ｂの上端部にそれ
ぞれ連結させる際の作業を容易にすることができる。

【００１７】

【００１８】また、ジブＣの格納状態で前記テンション
ロッド３３の他端がフオーク部９の側方までに位置する
場合にあっては、前記フォーク部９をブーム寄りに偏寄
して設け且つジブ基端側部のブームに沿った面に対向す
る面側を傾斜させて形成していることから、テンション
ロッド３３を傾斜させたジブ基端側部に近接させて配置
することができる。よってテンションロッド３３の他端
で走行旋回半径が決定される場合には、テンションロッ
ドを二つ折れにし一方のテンションロッドを傾斜させた
ジブ基端側部に近接させることで走行旋回半径を小さく
することもできる。

【００１９】なお、上記実施例では、フォーク部９を槍
状構造のもので説明したが、二股状構造のフォーク部と
してもよい。この場合二股の中に前記軸１６ａ、１６ｂ
を嵌合させ抜け止めピンを配置し着脱自在とした構造と
すればよい。また二股状構造のフォーク部が外に抜けで
ないよう前記軸１６ａ、１６ｂには、軸１６ａ、１６ｂ
の外面側に鍔を設けておくとよい。

【００２０】

【考案の効果】以上の如く構成し作用する本考案の移動
式クレーンのジブは、図２に図示する如くテンションロ
ッド３３の他端をブームヘッド１３の側板１３ａ、１３
ｂの上端部にそれぞれ連結させる際、テンションロッド
３３の基端側の一部を持ち上げればよく、従来のように
一本のテンションロッドで構成した場合に比較して軽く
持ち上げることが出来る。従ってそれだけテンションロ
ッド３３の他端をブームヘッド１３の側板１３ａ、１３
ｂの上端部にそれぞれ連結させる際の作業を容易にする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の移動式クレーンのジブを説明する説明
図であって、ジブを格納した状態を示す平面図である。

【図２】本考案の移動式クレーンのジブを説明する説明
図であって、ジブを張出している状態を示す側面図であ
る。

【図３】移動式クレーンを説明する説明図である。

【図４】従来の移動式クレーンのジブを説明する説明図
であって、ジブを格納した状態を示す平面図である。

【図５】従来の移動式クレーンのジブを説明する説明図
であって、ジブの下抱斜め状態を示す下面図である。

【図６】従来の移動式クレーンのジブを説明する説明図
であって、ジブ下抱でフォーク部を接続した状態を示す
側面図である。

【図７】従来の移動式クレーンのジブを説明する説明図
であって、ジブをブームの前方に張り出した状態を示す
側面図である。

【図８】従来の移動式クレーンのジブ基端に配置したフ
ォーク部を軸に嵌合させた状態を説明する説明図であ
る。

【符号の説明】

３ ブーム Ｃ ジブ ９ フォーク部 １３ ブームヘッド １３ａ 側板 １３ｂ 側板 １６ａ 軸 １６ｂ 軸

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 その基端をブーム先端側に向けブームの
   側面に沿わせた格納状態からブームの下面に移し替えた
   後、ブームの先端に設けたブームヘッドの両側板からそ
   れぞれ突出した軸にその基端に設けたフォーク部を着脱
   自在に嵌合させるとともに前記軸回りにブームの前方に
   向かって回動させブームの先端から張り出すよう構成し
   た移動式クレーンのジブに用いられ、作業時にジブ先端
   側の油圧シリンダとブームヘッド側板上部にその両端を
   接続されるテンション部材であって、 前記テンション部材は、テンションロッドの中間より基
   端側で折り曲げ可能に分割し、当該テンションロッドを
   ブームヘッド側板上部に接続する際、基端側テンション
   ロッドのみ持ち上げて接続できるよう構成したことを特
   徴とする移動式クレーンのジブにおけるテンション部
   材。