JP2578111B2 - 油圧エレベ−タ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） 本発明は、高性能化を図るとともに、利用者の乗り心
地をよくするようにした油圧エレベータ装置に関する。

（従来の技術） 一般に油圧エレベータに組込まれる油圧制御装置に
は、流量制御弁による方式、ポンプ制御方式、電流機回
転数制御方式等がある。

上記流量制御弁による方式は、エレベータ上昇運転時
は電動機を一定速度で回転させ、油圧ポンプからの定吐
出量の油をタンクへ戻しておき、起動指令が与えられた
ら、タンクへ戻す油量を流量制御弁で調整してかごの速
度を制御し、またエレベータ下降運転時は自重によりか
ごの降下を流量制御弁で調整してかごの速度を制御する
ものである。

しかし上記流量制御弁による方式では、エレベータ上
昇運転時に余分な油を循環させることおよびエレベータ
下降運転時には位置エネルギーを油の発熱で消費するた
め、エネルギーロスが大きく、油温上昇が著しい。

上記ポンプ制御方式および電動機回転数制御方式は、
上記流量制御弁による方式の難点を解消するものであ
り、ポンプの吐出量を制御し、これによりエレベータの
上昇運転時には、必要な油量のみを油圧ジャッキに送
り、エレベータの下降運転時には、電動機を回生制動す
るようにしている。

すなわち上記ポンプ制御方式は、可変容量形ポンプを
用いて、ポンプ自身の吐出量を制御装置で可変するもの
であり、また電動機回転数制御方式は、電圧および周波
数を変化させることにより誘導電動機の回転数を広範囲
に制御可能な可変電圧、可変周波数制御タイプの電動機
を用いて定吐出形ポンプの吐出量を可変制御するように
している。

（発明が解決しようとする問題点） しかし電動機回転数制御方式の油圧エレベータ装置で
は、エレベータの下降運転時に回生制動するために、油
温の上昇が少なく、夏期使用頻度の多い場合は問題が生
じないが、冬期の深夜では油温が−５℃〜＋５℃位にな
ることがあり、かかる場合には油の粘度があがり、油圧
タンクと油圧シリンダ間の配管抵抗が増加するととも
に、油圧ポンプの１回転当りの吐出量が増加し、そのた
め電動機の回転数を制御した場合にエレベータの速度が
速くなり、またモータ電流が異常に高くなってしまう。

本発明は上記した点を鑑みなされたもので、油圧シリ
ンダから油圧ポンプまたは油圧タンクへの作動油の還流
を絞りを介して行うことで油温の著しい低下を防ぎ、エ
レベータの速度、乗心地を安定せしめるようにした油圧
エレベータ装置を提供することを目的とする。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段） 本発明の油圧エレベータ装置は、かごを昇降する油圧
シリンダの油圧タンクからの作動油の給排を制御する油
圧ポンプと、この油圧ポンプを駆動する速度制御可能で
かつ回生制動可能な電流機と、油圧シリンダと油圧ポン
プの間または油圧ポンプと油圧タンクの間の管路に配置
された導通部と絞り部を有する電磁切換弁と、油圧タン
クに設けられた作動油の温度を検出するための油温セン
サと、かごの下降時において油温センサにより検出され
た油温が設定値以下の場合に電磁切換弁を導通部側から
絞り部側に切換える手段を有することを特徴とする。

（作 用） 本発明の油圧エレベータ装置においては、油温センサ
により検出される油温が設定値以下でかつかごが下降す
る時に、油圧シリンダの作動油を油圧回路の油圧シリン
ダと油圧ポンプの間または油圧ポンプと油圧タンクの間
の管路に配置された電磁切換弁を導通部側から絞り部側
に切換えて油圧タンクに還流させ、かごのもつ位置エネ
ルギーを作動油の温度上昇に用い、油温の低下を防ぐと
ともに、電源に回生されるエネルギーを減少できる。

（実施例） 以下本発明の一実施例を図面に付き説明する。

第１図において符号１はエレベータ昇降路であって、
この昇降路１内には昇降自在にかご２が配設されてい
る。このかご２は昇降路１のピット３に埋設された油圧
シリンダ４のブランジャ５に支持されている。かご２の
各階６の位置は、かごの側面に設けたカム７を昇降路１
の内面1aに上下方向に列設した減速指令スイッチ８に当
接することで、減速指令スイッチ８からでる信号を速度
制御装置９に送ることにより知ることができる。

一方油圧シリンダ４と油圧タンク10を結ぶ管路11に
は、逆止弁12を有する電磁切換弁13、可逆回転可能な油
圧ポンプ14、導通部15aおよび絞り部15bを有する電磁切
換弁16が、油圧シリンダ４側から順に配置されている。
通常運転時には可逆回転可能な油圧ポンプ14の一方のポ
ートは逆止弁12を介して油圧シリンダ４に、また他方の
ポートは電磁切換弁16の導通部15a側を介して油圧タン
ク10に連通している。

他方可逆回転可能な油圧ポンプ14に付設された三相誘
導電動機17には、速度発電機18が取付けられていて、三
相誘導電動機17の回転数の検出信号を速度制御装置９に
送るようにしている。三相誘導電動機17は、インバータ
18、コンデンサ19および清流回路20を介して三相交流電
源21に接続され、整流回路20で直流に変換されコンデン
サ19で平滑化されさらにインバータ18でバルス幅を制御
した可変電圧、可変周波数に変換された三相交流電流を
三相誘導電動機17に供給するようにしている。また三相
誘導電動機17の回生時にはインバータ18を通して得られ
る直流を回生用インバータ22を介して三相交流電源21を
回生する。

また上記油圧タンク10には油温センサ23が設けられて
いて、油圧タンク10内の作動油の温度を検出し、油温が
設定値以下に低下したら信号を出し、電磁切換弁16を導
通部15a側から絞り部15b側に切換えるようにしている。

第２図は電磁切換弁16の励磁コイル16aを制御する電
気回路を示し、この電気回路では、下降運転起動指令24
がでると、下降運転開始直前までリレー25に通電され、
このリレー25のａ接点25aがONの状態となる。また油圧
タンク10に設けた油温センサ23が設定値以下の油温を検
出すると、接点23aがONの状態となり、励磁コイル16aお
よび自己保持用リレー26に通電され、電磁切換弁16が絞
り部15b側に切換えられる。

ついで上昇運転起動指令27がでると、リレー28に通電
され、このリレー28のｂ接点28bがOFFの状態となり、励
磁コイル16aがOFFになって電磁切換弁16が絞り部15b側
から導通側15aに切換えられる。

次に作用を説明する。

下降運転起動指令24がでて、かご２が下降している場
合において、油圧タンク10内の作動油の温度が設定値以
下に低下したら、油温センサ23が設定値以下の油温を検
出し、接点23aがONの状態となり、励磁コイル16aおよび
自己保持用リレー26に通電され、電磁切換弁16が絞り部
15b側に切換えられ、油圧シリンダ４内の作動油は、管
路11を通り、電磁切換弁16の絞り部15bを介して油圧タ
ンク10に還流され、かごのもつ位置エネルギーが作動油
の温度上昇に利用されることになる。もちろんこの分電
源に回生されるエネルギーは減少する。

また上昇運転時および油温が設定値以上の場合には、
励磁コイル16aがOFFになって電磁切換弁16が絞り部15b
側から導通部15a側に切換えられるので、絞り部の影響
が生じない。

なお上記実施例で絞りを油圧ポンプと油圧タンクの間
に設けたが、これを油圧シリンダと逆止弁の間または逆
止弁と油圧ポンプの間に設けてもよく、また油温センサ
は管路や他の機器に設けてもよい。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明によれば、かごの上昇後の位
置エネルギーを油温により電源側に回生したり、油の熱
エネルギーに変換することにより油温が安定し、エレベ
ータの速度、乗心地を安定させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による油圧エレベータ装置の系統図、第
２図は同油圧エレベータ装置の制御回路図である。 １……昇降路、２……かご、４……油圧シリンダ、10…
…油圧タンク、11……管路、14……油圧ポンプ、15b…
…絞り部、16……電磁切換弁

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】かごを昇降する油圧シリンダの油圧タンク
   からの作動油の給排を制御する油圧ポンプと、この油圧
   ポンプを駆動する速度制御可能でかつ回生制動可能な電
   動機と、油圧シリンダと油圧ポンプの間または油圧ポン
   プと油圧タンクの間の管路に配置された導通部と絞り部
   を有する電磁切換弁と、油圧タンクに設けられた作動油
   の温度を検出するための油温センサと、かごの下降時に
   おいて油温センサにより検出された油温が設定値以下の
   場合に電磁切換弁を導通部側から絞り部側に切換える手
   段を有することを特徴とする油圧エレベータ装置。