JP2577073Y2 - 配管支持具固定部の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、建築物の天井等のア
ンカーボルトに直接取り付け固定できる配管支持具固定
部の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、ビル建築物の天井等に打ち込まれ
たアンカーボルトに空調用配管等を支持するに際して、
配管支持具に垂直部および該垂直部に対向配置された一
対の係止片とからなる固定部を設けて、該固定部の係止
片に形成した挿通孔にアンカーボルトを遊貫状態で挿入
し、アンカーボルト下端よりナットを所定位置まで螺入
して固定するものが知られている。

【０００３】しかし、前記固定部の構造にあっては、ナ
ットの螺入移動等が煩雑で、非能率であり、取付時間も
長く、コスト的にも不経済であった。

【０００４】これに対して、最近では、略Ｕ字形に屈曲
した板バネを、該板バネの自由端が前記アンカーボルト
と垂直部間に位置するように前記垂直部に設け、前記板
バネ自由端の反発力により係止片の挿通孔内周縁をアン
カーボルトのネジ部側に押圧して係着する構造が提案さ
れている（実開平２−１１３０８０号公報参照）。

【０００５】しかるに、この固定部の構造においては、
係止片の挿通孔にアンカーボルトを容易に挿入できるよ
うにするためと、挿入後に配管支持具の位置（高さ等）
を調整できるようにするために、該挿通孔がアンカーボ
ルトの径より大にされる。その結果、配管支持具をアン
カーボルトに取付固定した後も、該配管支持具がアンカ
ーボルト挿通孔の大きさを限度としてアンカーボルトの
軸線方向にガタツキ易いきらいがある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】そこでこの考案は、こ
のような状況に鑑み、極めて簡単かつ容易にワンタッチ
でしかもガタツキなく確実にアンカーボルトに固定で
き、作業能率の向上、作業時間の短縮、およびコストダ
ウンを図ることのできる新規な配管支持具固定部の構造
を提案するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この考案は、アンカーボ
ルトのための挿通孔を有する一対の対向する係止片と略
Ｕ字形に屈曲した板バネとを垂直部の一側に有してなる
配管支持具の固定部の構造において、前記板バネが、前
記垂直部と前記アンカーボルト間に挿入されてその反発
力によって該アンカーボルトを押圧する主バネ片と、前
記垂直部と前記アンカーボルト間に挿入されることなく
前記主バネ片の前記アンカーボルトの軸線方向の両側に
設けられて各先端部がそのバネ弾性によって該アンカー
ボルトの軸線方向の側面に当接し係着する補助バネ片と
からなることを特徴とする配管支持具固定部の構造に係
る。

【０００８】

【実施例】以下添付の図面に従ってこの考案を詳細に説
明する。図１はこの考案の一実施例を示す斜視図、図２
はこの考案の他の実施例について図１の２−２線と同位
置で切断した断面図である。

【０００９】まず図１に示した実施例について説明す
る。図において、１０はこの考案の一実施例に係る固定
部を有する配管支持具、２０は固定部、３０は配管支持
部、Ａはアンカーボルト、Ｐは配管を示す。

【００１０】固定部２０は、一対の相対向する係止片２
２，２２と垂直部２６とが略コ字状に形成されており、
前記垂直部２６には板バネ２４が取り付けられてなる。
係止片２２，２２は、平行かつ同一方向に垂直部２６か
ら突出している。その係止片２２、２２にはアンカーボ
ルトＡのための挿通孔２３，２３がそれぞれ形成されて
いる。なお、図のように、係止片２２，２２に切込み部
２１，２１を設けて前記挿通孔２３，２３を開口するこ
とは、アンカーボルトＡへの装着を容易にし望ましい態
様である。

【００１１】また、係止片２２，２２のアンカーボルト
挿通孔２３，２３の内縁部、この実施例では外側に位置
する内縁部には、前記アンカーボルトＡのネジ部（谷
部）に係着する薄肉係合部２３ａ，２３ａが形成されて
いる。この薄肉係合部２３ａ，２３ａは、挿通孔２３，
２３の内縁部を押しつぶしまたは切削することによって
容易に形成することができる。

【００１２】板バネ２４は、前記垂直部２６の係止片２
２，２２と同一側の表面に略Ｕ字形に形成されており、
主バネ片２５とその両側の補助バネ片２７，２７とから
なる。

【００１３】主バネ片２５は、垂直部２６とアンカーボ
ルトＡ間に挿入されてその反発力によって前記係止片２
２，２２のアンカーボルト挿通孔２３，２３の薄肉係合
部２３ａ，２３ａをアンカーボルトＡのネジ部に押圧す
るものである。

【００１４】補助バネ片２７，２７は、これに対して、
垂直部２６とアンカーボルトＡ間に挿入されることな
く、前記主バネ片２５の両係止片２２，２２側に設けら
れて、その各先端部２７ａがそのバネ弾性によってアン
カーボルトＡの軸線方向の側面に当接し係着するように
なっている。なお、この実施例では主バネ片２５と補助
バネ片２７，２７とは基部で一体になった一つの板バネ
で形成されているが、完全に分離した別個の板バネで構
成されていてもよい。

【００１５】配管支持部３０は、断面円弧状に形成され
て前記固定部２０に開閉自在に取り付けられている。こ
の配管支持部３０の前記断面円弧状部分に、空調用等の
配管Ｐが収納支持される。

【００１６】図２に示す他の実施例の固定部４０は、補
助バネ片４７の先端４７ａを鉤状に曲げて、補助バネ片
の先端４７ａがより確実にアンカーボルトＡ側面に当接
し係着するようにしたものである。また、補助バネ片先
端４７ａの曲げ形状は、前記鉤形状に限らず、アンカー
ボルトＡの側面に沿う曲面形状（図示せず）のものでも
よい。なお図中、４２は係止片、４３はアンカーボルト
挿通孔、４３ａは薄肉係合部、４４は板バネ、４５は主
バネ片、４６は垂直部、５０は配管支持部である。

【００１７】上記したこの考案の配管支持具固定部の構
造にあっては、天井等に打ち込まれたアンカーボルトＡ
に係止片２２，４２の挿通孔２３，４３を挿通して、主
バネ片２５，４５によってアンカーボルトＡに押圧固定
するとともに、補助バネ片の先端部２７ａ，２７ａ，４
７ａをアンカーボルトＡ側面にバネ弾性により当接し係
着させることにより、固定部２０，３０をアンカーボル
トＡにしっかりと固定することができる。

【００１８】このとき、主バネ片２５，４５は、垂直部
２６，４６とアンカーボルトＡとの間に挿入されその反
発力でアンカーボルト挿通孔２３，２３，４３の薄肉係
合部２３ａ，２３ａ，４３ａをアンカーボルトＡのネジ
部側に押圧して、固定部２０，４０をアンカーボルトＡ
の円周側に係着する。と同時に、補助バネ片２７，４７
は、垂直部２６，４６とアンカーボルトＡとの間に挿入
されることなく、先端部２７ａ，４７ａがそのバネ弾性
でアンカーボルトＡの軸線方向の側面に当接して係着す
る。これによって、固定部２０，４０は、主バネ片２
５，４５と補助バネ片２７，４７の両者の係着によっ
て、アンカーボルトＡの円周方向および軸線方向の両側
から固定されることになり、その固定はガタツキのない
確実なものになる。

【００１９】

【考案の効果】以上図示し説明したように、この考案の
配管支持具固定部の構造によれば、板バネを、アンカー
ボルトの円周方向に係着する主バネ片と、アンカーボル
トの軸線方向に係着する補助バネ片とによって構成した
ものであるから、極めて簡単かつ容易にワンタッチで固
定部をガタツキなくしっかりと確実にアンカーボルトに
固定することができる。

【００２０】またこの考案の固定部の構造においては、
複雑な部品を必要としないために、固定部の製作が容易
でしかも低コストで経済的である等、実用的な効果を有
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示す斜視図である。

【図２】この考案の他の実施例について、図１の２−２
線と同位置で切断した断面図である。

【符号の説明】

１０ 配管支持具 ２０ 固定部 ２２ 係止片 ２３ アンカーボルト挿通孔 ２４ 板バネ ２５ 主バネ片 ２６ 垂直部 ２７ 補助バネ片 ２７ａ 補助バネ片の先端 ３０ 配管支持部 Ａ アンカーボルト Ｐ 配管

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内縁部に薄肉係合部が形成されたアンカ
   ーボルト挿通孔を有する一対の対向する係止片と略Ｕ字
   形に屈曲した板バネとを垂直部の一側に有してなる配管
   支持具の固定部の構造において、 前記板バネが、前記垂直部と前記アンカーボルト間に挿
   入されてその反発力によって前記係止片のアンカーボル
   ト挿通孔の薄肉係合部をアンカーボルトのネジ部に押圧
   する主バネ片と、前記垂直部とアンカーボルト間に挿入
   されることなく前記主バネ片の両係止片側に設けられて
   各先端部がそのバネ弾性によってアンカーボルトの軸線
   方向の側面に当接し係着する補助バネ片とからなること
   を特徴とする配管支持具固定部の構造。