JP2576744Y2 - サーマルプリントヘッドの取付け装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、紙面に対して印字を行
うためのサーマルプリントヘッドを、その支持部に対し
て、前記紙面と相対的に動き得るように取付けるための
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】サーマルプリントヘッドを、その支持部
に対して、紙面と相対的に動き得るように取付けるため
の従来の取付け装置は、図６〜図８に示すように構成し
ている。すなわち、サーマルプリントヘッド１の支持部
２に取付けたコ字状ブラケット３に、アーム部材４の基
端を、前記サーマルプリントヘッド１における細長状の
発熱部１ａと平行のＸ軸方向に延びる第１ピン軸５にて
回動自在に枢着し、このアーム部材４の先端に、前記サ
ーマルプリントヘッド１の上面に取付けた耳片６を、前
記第１ピン軸５に対して直角の方向、つまり、前記Ｘ軸
と直角のＹ軸方向に延びる第２ピン軸７を介して回動自
在に枢着することにより、図に矢印Ａで示すように前記
Ｘ軸の周りの回動と、図に矢印Ｂで示すように前記Ｙ軸
の周りの回動との二次元方向の回動にて、前記サーマル
プリントヘッド１における細長状発熱部１ａを、紙面８
に対して、当該発熱部１ａの全長にわたって確実に接触
するように構成している。なお、前記アーム部材４は、
当該アーム部材４とブラケット２との間に設けた図示し
ないばね手段により、下向き方向に付勢されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、この従来の取
付け装置は、サーマルプリントヘッド１を、その支持部
２に対して、Ｘ軸周りとＹ軸周りとの二次元方向に自在
に回動し得るような状態で取付けるに際して、前記のよ
うに、サーマルプリントヘッド１における細長状発熱部
１ａと平行のＸ軸方向に延びる第１ピン軸５と、この第
１ピン軸５に対して直角のＹ軸方向に延びる第２ピン軸
７との二本のピン軸を使用することに加えて、アーム部
材４をも使用するものであるから、 ．部品点数が多いことに加えて、組立てに要する手数
も多くなるから、製造コストが大幅にアップする。 ．取付け部のスペースが増大して、大型化すると共
に、重量が増大する。と言う問題があった。

【０００４】しかも、この従来の取付け装置は、サーマ
ルプリントヘッド１を、これが取付くアーム部材４とブ
ラケット２との間に設けた図示しないばね手段にて下向
き方向に付勢するように構成していることにより、この
ばね手段によるばね力が、サーマルプリントヘッドにお
ける長手方向の略中央の部分に対して集中するものであ
るから、サーマルプリントヘッドにおける発熱部１ａの
紙面８に対する接触圧が、サーマルプリントヘッドの長
手方向に不均一になり易くて、印字むらが発生すると言
う問題もあった。

【０００５】本考案は、サーマルプリントヘッドを、そ
の支持部に対して、二次元方向に自在に回動し得るよう
な状態で取付ける際して、前記の問題を招来することが
ないようにした取付け装置を提供することを技術的課題
とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この技術的課題を達成す
るため本考案は、「下面に細幅状の発熱部を備えたサマ
ールプリントヘッドの上面のうち、当該サーマルプリン
トヘッドにおける長さ方向の略中央の部位に、ピン孔を
備えた第１耳片を、この第１耳片を挟む左右両側の部位
に、各々ピン孔を備えた一対の第２耳片を各々設ける一
方、前記サーマルプリントヘッドを支持する支持部に
は、一本のピン軸を、当該ピン軸が前記サーマルプリン
トヘッドにおける細幅状発熱部と平行に延びるように軸
支して、このピン軸を、前記各耳片におけるピン孔に回
動自在に貫通して挿通し、更に、前記各耳片のうち両第
２耳片におけるピン孔を、前記サーマルプリントヘッド
の上面と略直角方向に延びる長溝状のピン孔に形成し、
加えて、前記支持部とサーマルプリントヘッドとの間
に、サマールプリントヘッドをその細幅状発熱部を支持
部から離れるように付勢するようにしたばねを、前記第
１耳片を挟む左右両側に設け、この両ばねを、前記ピン
軸に被嵌した捩じりばねに構成する。」と言う構成にし
た。

【０００７】

【作 用】この構成において、サーマルプリントヘッ
ドの上面に設けた各耳片におけるピン孔には、サーマル
プリントヘッドの支持部に軸支したピン軸が貫通して挿
通され、しかも、サマールプリントヘッドをその細幅状
発熱部を支持部から離れるように付勢するようにしたば
ねが、各耳片のうち中央の第１耳片を挟む左右両側に設
けられていることにより、サーマルプリントヘッドを、
当該サーマルプリントヘッドにおける細幅状発熱部が平
面視において前記ピン軸と常に平行となる姿勢に保持す
ることができる。

【０００８】そして、前記サーマルプリントヘッドは、
前記姿勢に保持された状態で、前記ピン軸を中心にし
て、このピン軸の周り、つまり、Ｘ軸の周りに自在に回
動することができる。一方、前記各耳片におけるピン孔
のうち両第２耳片におけるピン孔を、前記サーマルプリ
ントヘッドの上面と略直角方向に延びる長溝状のピン孔
に形成したことにより、前記サーマルプリントヘッド
は、前記各耳片のうち中央の第１耳片を中心として、当
該サーマルプリントヘッドにおける長さ方向の左右両端
部が上下動する方向、つまり、前記Ｘ軸に対して直角の
Ｙ軸の周りに自在に回動することができる。

【０００９】これに加えて、前記サーマルプリントヘッ
ドは、前記各耳片のうち中央の第１耳片を挟む左右両側
に設けたばねにて、その細幅状発熱部がサーマルプリン
トヘッドに対する支持部から離れるように付勢されてい
ることにより、前記ばねによるばね力を、左右両側に分
散できるから、前記サーマルプリントヘッドにおける細
幅状発熱部の印字用紙面に対する押圧力を、サーマルプ
リントヘッドの長手方向について平均化することができ
る。

【００１０】

【考案の効果】従って、本考案によると、 ．サマールプリントヘッドを、その支持部に対して、
互いに直交するＸ軸の周り及びＹ軸の周りに自在に回動
し得る状態で取付けることを、一本のピン軸で達成する
ことができるから、前記従来のものに比べて構造が遙か
に簡単で、部品点数及び組立てに要する手数が少なくな
って、製造コストを大幅に低減できると共に、取付けに
要するスペースが小さくなって、小型・軽量化できる。 ．サーマルプリントヘッドにおける細幅状発熱部の印
字用紙面に対する押圧力を、サーマルプリントヘッドの
長手方向について平均化することができるから、紙面に
対する印字に、サーマルプリントヘッドの長手方向につ
いてむらが発生することを確実に低減できる。 ．両ばねを、ピン軸に被嵌した捩じりばねに構成した
ことにより、前記ピン軸を前記両ばねを落下不能に取付
けるための部品に兼用することができて、この両ばねを
落下不能に取付けるための別の部品を省略できるから、
前記両ばねを部品点数を少なくできると共に、更に小型
・軽量化できる。と言う効果を有する。

【００１１】特に、請求項２に記載したように、前記支
持部に、前記サマールプリントヘッドのうちピン軸を挟
んで細幅状発熱部と反対側の部分が接当するストッパー
を設けると言う構成にした場合には、両ばねを、ピン軸
に被嵌した捩じりばねに構成したものでありながら、印
字用紙面に対するサマールプリントヘッドの接触角度
を、常に、印字に最適の状態に保持することができるか
ら、印字性能を更に向上できる効果を有する。

【００１２】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面（図１〜図５）
について説明する。図において符号１０は、下面の先端
部に細長状の発熱部１０ａを形成したサーマルプリント
ヘッドを、符号１１は、該サーマルプリントヘッド１０
に対する支持部を各々示し、前記支持部１１の下面に
は、両端部に耳片１３，１４を形成するように下向きコ
字状に構成したブラケット１２が取付けられ、このブラ
ケット１２における両耳片１３，１４には、各々ピン孔
１３ａ，１４ａが穿設されている。

【００１３】一方、前記サーマルプリントヘッド１０の
上面には、その長さ方向の略中央部に第１耳片１５を、
左右両端部に第２耳片１６，１７を各々上向きに突出す
るように設けて、これら各耳片１５，１６，１７の各々
にピン孔１５ａ，１６ａ，１７ａを穿設する。そして、
前記サーマルプリントヘッド１０における各耳片１５，
１６，１７を、前記支持部１１に取付くブラケット１２
における両耳片１３，１４の間に位置したのち、一方の
ピン軸１８を、前記各耳片１３，１４，１５，１６，１
７におけるピン孔１３ａ，１４ａ，１５ａ，１６ａ，１
７ａ内に貫通して挿入する一方、前記サーマルプリント
ヘッド１０における各耳片１５，１６，１７のうち左右
両第２耳片１６，１７におけるピン孔１６ａ，１７ａ
を、前記サーマルプリントヘッド１０の上面に対して略
直角方向に延びる長溝状のピン孔に構成する。

【００１４】更に、前記サーマルプリントヘッド１０
と、その支持部１１との間のうち、前記第１耳片１５を
挟む左右両側に部分には、サーマルプリントヘッド１０
における発熱部１０ａを、支持部１１から離れる方向に
補正することにより、印字紙面１９に対して押圧するよ
うにした左右一対の捩じりばね２０，２１を、前記ピン
軸１８に被嵌して設ける。

【００１５】加えて、前記支持部１１に取付くブラケッ
ト１２には、前記サーマルプリントヘッド１０の未端部
の上面に対して接当することによって、当該サーマルプ
リントヘッド１０の回動角度を規制するためのストッパ
ー２２を設けることにより、前記サーマルプリントヘッ
ド１０の印字紙面１９に対する接触角度θを、印字に最
適の角度に略一定に保持するように構成する。

【００１６】この構成において、サーマルプリントヘッ
ド１０の上面に設けた各耳片１５，１６，１７における
ピン孔１５ａ，１６ａ，１７ａには、サーマルプリント
ヘッド１０の支持部１１に取付くブラケット１２におけ
る両耳片１３，１４に軸支したピン軸１８が貫通して挿
通され、しかも、サマールプリントヘッド１０をその細
幅状発熱部１０ａを支持部から離れるように付勢するよ
うにした捩じりばね２０，２１が、各耳片のうち中央の
第１耳片１５を挟む左右両側に設けられていることによ
り、サーマルプリントヘッド１０を、当該サーマルプリ
ントヘッド１０における細幅状発熱部１０ａが平面視に
おいて前記ピン軸１８と常に平行となる姿勢に保持する
ことができる。

【００１７】そして、前記サーマルプリントヘッド１０
は、前記姿勢に保持された状態で、前記ピン軸１８を中
心にして、このピン軸１８の周りに、図に矢印Ａで示す
ように、自在に回動することができる。一方、前記各耳
片１５，１６，１７のうち左右両第２耳片１６，１７に
おけるピン孔１６ａ，１７ａを、前記サーマルプリント
ヘッド１０の上面と略直角方向に延びる長溝状のピン孔
に形成したことにより、前記サーマルプリントヘッド１
０は、前記各耳片１５，１６，１７のうち中央の第１耳
片１５を中心として、図に矢印Ｂで示すように、当該サ
ーマルプリントヘッド１０における長さ方向の左右両端
部が上下動する方向に自在に回動することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す縦断正面図である。

【図２】図１のII−II視断面図である。

【図３】図１のIII −III 視断面図である。

【図４】図２のIV−IV視断面図である。

【図５】分解した状態の斜視図である。

【図６】従来における取付け装置の正面図である。

【図７】図６の平面図である。

【図８】従来における取付け装置の斜視図である。

【符号の説明】

１０ サーマルプリントヘッド １０ａ 発熱部 １１ 支持部 １２ ブラケット １３，１４ 耳片 １５ 第１耳片 １５ａ 第１耳片のピン孔 １６，１７ 第２耳片 １６ａ，１７ａ 第２耳片のピン孔 １８ ピン軸 １９ 紙面 ２０，２１ ばね ２２ ストッパー

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】下面に細幅状の発熱部を備えたサマールプ
   リントヘッドの上面のうち、当該サーマルプリントヘッ
   ドにおける長さ方向の略中央の部位に、ピン孔を備えた
   第１耳片を、この第１耳片を挟む左右両側の部位に、各
   々ピン孔を備えた一対の第２耳片を各々設ける一方、前
   記サーマルプリントヘッドを支持する支持部には、一本
   のピン軸を、当該ピン軸が前記サーマルプリントヘッド
   における細幅状発熱部と平行に延びるように軸支して、
   このピン軸を、前記各耳片におけるピン孔に回動自在に
   貫通して挿通し、更に、前記各耳片のうち両第２耳片に
   おけるピン孔を、前記サーマルプリントヘッドの上面と
   略直角方向に延びる長溝状のピン孔に形成し、加えて、
   前記支持部とサーマルプリントヘッドとの間に、サマー
   ルプリントヘッドをその細幅状発熱部を支持部から離れ
   るように付勢するようにしたばねを、前記第１耳片を挟
   む左右両側に設け、この両ばねを、前記ピン軸に被嵌し
   た捩じりばねに構成したことを特徴とするサーマルプリ
   ントヘッドの取付け装置。
2. 【請求項２】 前記請求項１において、前記支持部に、前
   記サマールプリントヘッドのうちピン軸を挟んで細幅状
   発熱部と反対側の部分が接当するストッパーを設けたこ
   とを特徴とするサーマルプリントヘッドの取付け装置。