JP2573112Y2

JP2573112Y2 - テープカセット

Info

Publication number: JP2573112Y2
Application number: JP1991097379U
Authority: JP
Inventors: 正信杉山
Original assignee: Sony Corp
Current assignee: Sony Corp
Priority date: 1991-10-30
Filing date: 1991-10-30
Publication date: 1998-05-28
Anticipated expiration: 2006-10-30
Also published as: JPH0543367U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ＤＡＴ（Digital Audi
o Taperecorder）等における使用に好適なテープカセッ
トに関し、特にスライダーロックスプリングを上ハーフ
のピンに軽圧入できるテープカセットに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ＤＡＴ等には、例えば、図４乃
至図６に示すような、テープカセット１１が使用されて
いる。このようなＤＡＴ用のテープカセット１１の場
合、磁気テープＴの表面に指等が触れて油脂成分や塵埃
等が付着して再生信号にドロップアウトが生じるのを防
止するため、上下ハーフ２、３のみならず、リッド７及
びスライダー８等によって磁気テープＴを保護してい
る。

【０００３】即ち、上ハーフ２と下ハーフ３とを螺子止
めしてカセット匣体４を構成し、このカセット匣体４内
に、磁気テープＴを巻回した一対のリールハブ５ａ、５
ｂを収納し、上ハーフ２には窓２ａを形成して、前述の
リールハブ５ａ、５ｂに巻回された磁気テープＴの残量
の確認ができるようにすると共に、テープカセット１１
の保存時にカセット匣体４のマウス部６から磁気テープ
Ｔが露出しないように、カセット匣体４の前方にリッド
７を図示しないスプリングを介して上方向に回動自在に
枢止している。

【０００４】また、下ハーフ３に、下ハーフ底部に沿っ
て前後方向に摺動し、マウス部を開閉するようにスライ
ダー８を設け、このスライダー８に下ハーフ３に穿設さ
れた一対のリール軸挿入孔３ｂ、３ｂとマウス部６の開
口位置で連通するリール軸挿入孔８ｂ、８ｂを穿設して
ある。このスライダー８は、スライダースプリングＳに
よって、下ハーフ３に対して前方向（マウス部６を閉塞
する方向）に常時偏倚されている。

【０００５】この構成よりなるテープカセット１１は、
保存時においては、図５Ａに示すように、リッド７がマ
ウス部６の前方を閉塞すると共に、スライダー８がマウ
ス部６の下方を閉塞してマウス部６内に架張される磁気
テープを外部から遮断している。この時、下ハーフ３の
リール軸挿入孔３ｂとスライダー８のリール軸挿入孔８
ｂとは対応位置になく、スライダー８で下ハーフ３のリ
ール軸挿入孔３ｂも閉塞されてカセット匣体４の内部へ
の塵埃等が侵入を防止するようにしている。

【０００６】そして、このテープカセット１１が、ＤＡ
Ｔ用の記録再生装置に装填されると、図５Ｂに示すよう
に、スライダー８がカセット匣体４の後方まで摺動され
て保持され、また、リッド７が上方向に回転されてマウ
ス部６の前方及び下面が開口される。この状態で、記録
再生装置側のテープローディング用のガイド部材（図示
せず）がマウス部６に挿入可能となると共に、スライダ
ー８のリール軸挿入孔８ｂ、８ｂが下ハーフ３のリール
軸挿入孔３ｂ、３ｂの位置と対応し、記録再生装置側の
リール軸（図示せず）がこのリール軸挿入孔３ｂ、８ｂ
に挿入可能となる。

【０００７】このように、テープカセット１１の保存時
には、スライダー８が前方位置でマウス部６を閉塞する
状態で保持され、記録再生装置に装填すると、スライダ
ー８は後方に移動してマウス部６を開口する位置で保持
されるように構成されているが、その各位置でスライダ
ー８を保持するため、スライダー８には前後に二対の係
合孔８ｃ、８ｃ及び８ｄ、８ｄを設け、これと係合可能
なピン状のスライダーロック部３ｃ、３ｃが下ハーフ３
に一対形成されている。そして、下ハーフ３の素材の劣
化による変形（いわゆるへたり）によって、スライダー
ロック部３ｃ、３ｃの復帰力が低下するのを防止すると
同時に、このスライダーロック機能をさらに向上させる
ため、スライダーロック部３ｃ、３ｃの係合爪３ｄ、３
ｄと上ハーフ３との間に、圧縮スプリング（スライダー
ロックスプリング）９、９を設ける構造を採用してい
る。図６に示すこのスライダーロックスプリング９は、
本願考案者が先に提案したもので、下方から上方にかけ
て内径が次第に大きくなるようにコイル状に巻かれた本
体部９ａと、この本体部９ａの上端縁を直線状に延伸さ
れてなる延伸部９ｂから構成され、本体部９ａの上下端
部のみが二重の密着巻となっている。このような構成の
スライダーロックスプリング９、９はその本体部９ａ
が、図４及び図６に示すように、上ハーフ２の内側面
に、スライダーロック部３ｃ、３ｃの係合爪３ｄ、３ｄ
の先端内面側に対応して突設された一対のピン２ｂ、２
ｂに巻装され、延伸部９ｂが上ハーフ２の固定部２ｃの
切込２ｄに溶着（かしめ止め）されている。これによ
り、スライダーロックスプリング９、９は上ハーフ２か
ら脱落することなく、スライダーロック部３ｃ、３ｃの
係合爪３ｄ、３ｄの内端面に当接して係合爪３ｄ、３ｄ
を下方向に押圧して、スライダーロック部３ｃ、３ｃの
偏倚力を補強している。この構成により、スライダー８
がマウス部６を閉鎖した状態にあるときは、スライダー
８の一対の係合孔８ｃ、８ｃと下ハーフ３の係合爪３
ｄ、３ｄとが係合し、スライダー８を閉塞位置で保持す
る。また、スライダー８がマウス部６を開口した状態に
あるときは、下ハーフ３の係合爪３ｄがスライダー８の
前方に穿設された一対の係合孔８ｄ、８ｄに係合し、ス
ライダー８を開口位置で保持するようになっている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成の従来のテープカセットにおいては、次のよう
な不具合がある。まず、スライダーロックスプリングを
上ハーフに溶着する（かしめる）点については、機械等
による組込みを考慮した場合に、その適合性に難があ
る。また、スライダーロックスプリングが密着巻になっ
ている場合、スライダーロックスプリングの内径と上ハ
ーフのピンの外径寸法差を少なくしてスライダーロック
スプリングをピンに軽圧入するのは、スライダーロック
スプリングの密着巻部分での変形が生じにくいため不適
切である。本考案は、このような問題点を解決し、スラ
イダーロックスプリングを上ハーフのピンに容易に軽圧
入でき、自動組立装置による上ハーフへの自動組込も可
能となるテープカセットを提供することを目的としてい
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本考案のテープカセットは、例えば図１に示す如
く、下ハーフに装着されて摺動するスライダーの位置ロ
ックを行うために、前述の下ハーフに設けられたスライ
ダーロック部と上ハーフとの間にスライダーロックスプ
リングが前述の上ハーフから突設されたピンに挿入され
て介在され、前述のスライダーロック部をスライダーの
係合孔に嵌入させる方向に偏倚するようにしたテープカ
セットにおいて、前述のスライダーロックスプリングの
上下に密着巻き部を形成し、少なくとも一端部をコイル
巻き部分の内側に略直線状に折曲してピン支持部を形成
して構成する。

【００１０】

【作用】本考案のテープカセットは、前述の手段の如く
構成したため、次のように作用する。まず、スライダー
ロックスプリングを上ハーフへ組み込む過程において、
上ハーフのピンにスプリングの密着巻き部端部に内側に
略直線状に折曲形成されたピン支持部を徐々に軽圧入せ
しめ、スライダーロックスプリングのピン支持部自身の
偏倚力によってスプリングを上ハーフのピンに支持させ
る。この状態で、上ハーフと下ハーフとを合体せしめ、
スライダーロックスプリングの弾性力によって、スライ
ダーロック押圧部が下ハーフのスライダーロック部を一
定の偏倚力をもって下方に押圧する。

【００１１】

【実施例】以下、本考案を適用したテープカセットの一
実施例を図１乃至図３を参照して説明するが、上述した
従来のテープカセット１１と対応する同一構成部材に
は、同一符号を付して説明及び図面を簡略することとす
る。本実施例のテープカセット１は、従来例のテープカ
セット１１と同様に、上ハーフ２と下ハーフ３を合体さ
せてカセット匣体４を構成し、このカセット匣体４内に
磁気テープＴを巻回した一対のリールハブ５ａ、５ｂを
収納している。また、上ハーフ２には、磁気テープＴの
残量確認用の窓２ａ及び後述するスライダーロックスプ
リング１０を取付けるためのピン２ｂが設けられ、マウ
ス部６を閉塞するためのリッド７及びスライダー８も取
り付けられている。そして、このマウス部６を開口した
状態と閉塞した状態でスライダー８を夫々保持するため
の係合孔８ｃ、８ｄが一対ずつスライダー８に穿設さ
れ、この係合孔８ｃ、８ｄと係合するスライダーロック
部３ｃを下ハーフ３に設けている。

【００１２】これらの構成に加えて本実施例では、前述
のスライダーロック部３ｃと上ハーフ２のピン２ｂとの
間にコイル状のスライダーロックスプリング１０を介在
させたことを特徴としている。このスライダーロックス
プリング１０は、中央の本体部１０ａの上下に密着巻部
１０ｂ、１０ｃを設け、この密着巻部１０ｂ、１０ｃの
上下端部を夫々スプリング１０の内側に、図２に示すよ
うにスプリング内径より小寸法かつ、ピン２ｂの上ハー
フ２側元部の外径より小寸法として直線状に折曲げ形成
してピン支持部１０ｂ1 及びスライダーロック押圧部１
０ｃ1 を構成している。このスライダーロックスプリン
グ１０のピン支持部１０ｂ1 は、上ハーフ２に未装着の
状態では、図２Ａ中、二点鎖線に示すようにスライダー
ロックスプリング１０の内方に位置し、スライダーロッ
クスプリング１０の径口をピン外径より小さくしてい
る。なお、スライダーロック押圧部１０ｃ1 もスライダ
ーロックスプリング１０の重心を中心として前述のピン
支持部１０ｂ1 と対称的に形成されている。従って、ピ
ン支持部１０ｂ1 はスライダーロック押圧部１０ｃ1 と
しても機能し、スライダーロック押圧部１０ｃ1 はピン
支持部１０ｂ1 としても機能する。

【００１３】この構成によって、本実施例は、スライダ
ーロックスプリング１０を上ハーフ２に組み込む際に次
のように作用する。スライダーロックスプリング１０
は、ピン支持部１０ｂ1 をピン２ｂのテーパー状の下端
縁２ｂ1 から上方に深く挿入するにつれ、ピン支持部１
０ｂ1 が外方向に徐々に押し広げられて偏倚力が生じ、
ピン支持部１０ｂ1 の内側で上ハーフ２のピン２ｂに一
定の偏倚力でほぼ点接状態で圧接支持される。これによ
り、スライダーロックスプリング１０は、上ハーフ２の
ピン２ｂに軽圧入された状態となるがその際に、溶着等
を要することなくスライダーロックスプリング１０のピ
ン支持部１０ｂ1 で軽圧入時の負荷を受けるため、従来
のスプリング９よりも圧入し易くなり、この状態で上ハ
ーフ２側に安定して取付け保持される。そして、上ハー
フ２と下ハーフ３とを合体させる時に、スライダーロッ
クスプリング１０が上ハーフ２から脱落することがな
く、また組込後においては、スライダーロック押圧部１
０ｃ1 で下ハーフ３のスライダーロック部３ｃを下方向
に常時押圧し、スライダーロック部３ｃ、３ｃの下方向
への偏倚力を補強する。

【００１４】また、本実施例のテープカセット１は、Ｄ
ＡＴ用の記録再生装置（図示せず）に装填する前後で次
のように作用する。記録再生装置への装填前において
は、スライダー８が下ハーフ３の前方に位置し、下ハー
フ３のスライダーロック部３ｃ先端の係合爪３ｄがスラ
イダーロック部３ｃ自身の偏倚力とスライダーロックス
プリング１０の偏倚力とによって、係合孔８ｃと係合し
ている。

【００１５】そして、記録再生装置にテープカセット１
を装填すると、係合爪３ｄがスライダー８の上面に押し
上げられ、スライダー８はカセット匣体４の後方に次第
に移動する。そして、スライダーロック部３ｃの係合爪
３ｄがスライダー８前方の係合孔８ｄに合致すると、ス
プリング１０の偏倚力によって係合爪３ｄが係合孔８ｄ
内に確実に係合する。

【００１６】こうして、マウス部６の下方は開口され、
またスライダー８のリール軸挿入孔８ｂと、下ハーフ３
のリール軸挿入孔３ｂとが一致した状態でスライダー８
が保持され、記録再生装置側のリール軸がカセット匣体
４内に挿入可能となる。また前述の作動に引き続いて、
マウス部６の前方を閉塞しているリッド７も上方向に回
転してマウス部６の前方が開口され、このマウス部６内
に記録再生装置側のテープローディング用のガイド部材
が挿入されて、テープの記録再生が行われる。

【００１７】以上説明したように、本実施例のテープカ
セット１によれば、上ハーフ２及び下ハーフ３の諸構成
を変えることなく、上述のスライダーロックスプリング
１０を適用するだけで、このスライダーロックスプリン
グ１０を簡易且つ確実に上ハーフ２のピン２ｂに装着し
て下ハーフ３のスライダーロック部３ｃを補強すること
ができる。特に、このスライダーロックスプリング１０
は、ピン支持部１０ｂ1 とスライダーロック押圧部１０
ｃ1 とが対称形状をなしているため、スプリングの上下
方向を特定する必要がなく取扱が容易となり、上述した
ようにピン支持部１０ｂ1によって上ハーフ２のピン２
ｂに軽く圧入できるため、機械等による自動組み込みに
も容易に対処できるという効果を奏する。

【００１８】なお、本考案は、その趣旨を逸脱しない範
囲で種々変更できるものであり、例えば、スライダーロ
ックスプリング１０の平面形状を真円形状に替えて、多
角形状に形成してもよく、ピン支持部１０ｂ1 とスライ
ダーロック押圧部１０ｃ1 の形状も直線状に限られず、
軽圧入に適合すれば曲線状に近い略直線状に形成しても
よい。

【００１９】

【考案の効果】以上説明したように本考案のテープカセ
ットによると、上ハーフのピンに嵌挿されるスライダー
ロックスプリングは、上下に密着巻き部を設け、少なく
とも一端部をコイル巻き部分の内側に略直線状に折曲し
てピン支持部を形成したことにより、このピン支持部が
上ハーフのピンに対して自身の偏倚力により、ほぼ点接
状態で軽圧入されるので上ハーフ側に安定して取付け保
持され、上ハーフに溶着する（かしめる）必要がなくな
り、上ハーフへの組み込みが容易となる。そのため、自
動組立装置に対応させて、スライダーロックスプリング
を上ハーフに一層簡易且つ確実に組み込むことも可能と
なるという効果を奏する。また、上ハーフのピンがスラ
イダーロックスプリングにより不要に擦られて擦過粉が
発生するおそれもなく、内蔵テープを確実に保護できる
等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のテープカセットの一実施例の一部拡大
縦断面側面図

【図２】同、スライダーロックスプリングの拡大平面図
及び拡大底面図

【図３】同、テープカセットの全体を示す斜視図

【図４】従来のテープカセットの分解斜視図

【図５】同、作動状態の説明図

【図６】同、一部拡大縦断面側面図

【符号の説明】

１テープカセット２上ハーフ２ｂピン３下ハーフ３ｃスライダーロック部８スライダー８ｃ、８ｄ係合孔１０スライダーロックスプリング１０ｂ1 ピン支持部１０ｃ1 スライダーロック押圧部

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】下ハーフに装着されて摺動し、開口部を
開閉するスライダーの位置ロックを行うために、前記下
ハーフに設けられたスライダーロック部と上ハーフとの
間にスライダーロックスプリングが前記上ハーフから突
設されたピンに挿入されて介在され、前記スライダーロ
ック部を前記スライダーの係合孔に嵌入させる方向に偏
倚するようにしたテープカセットにおいて、前記スライダーロックスプリングの上下に密着巻き部を
形成し、少なくとも一端部をコイル巻き部分の内側に略
直線状に折曲して、ピン支持部を形成したことを特徴と
するテープカセット。