JP2572749B2 - プロピレン系ランダム共重合体およびその製法 - Google Patents

プロピレン系ランダム共重合体およびその製法

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JP2572749B2 JP61085121A JP8512186A JP2572749B2 JP 2572749 B2 JP2572749 B2 JP 2572749B2 JP 61085121 A JP61085121 A JP 61085121A JP 8512186 A JP8512186 A JP 8512186A JP 2572749 B2 JP2572749 B2 JP 2572749B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、プロピレンに由来する繰り返し単位
(a)、エチレンに由来する繰り返し単位(b)および
炭素原子数が4〜20のα−オレフインに由来する繰り返
し単位(c)からなるプロピレン系ランダム共重合体お
よびその製法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、低分子量成分が少なく、
分子量分布が狭く、ブロツキング性が少なく取り扱いが
容易であつて、ホツトメルト接着剤およびヒートシール
性付与剤に適するプロピレンに由来する繰り返し単位
(a)、エチレンに由来する繰り返し単位(b)および
炭素原子数が4〜20のα−オレフインに由来する繰り返
し単位(c)からなるプロピレン系ランダム共重合体お
よびその製法に関する。
〔従来の技術〕
従来、ホツトメルト接着剤の分野においては天然ロジ
ン、炭化水素樹脂などの低分子量重合体あるいはエチレ
ン・酢酸ビニル共重合体などの重合体が多く利用されて
いる。これらの重合体は従来のホツトメルト接着剤の用
途には充分に利用できるものであつた。しかしながら、
最近の技術の高度化にともない、ホツトメルト接着が優
れていることの他に、透明性および色相に優れているこ
と、溶剤可溶分量が少ないことおよび衛生性に優れるこ
となどの高性能のホツトメルト接着剤が要望されてい
る。これらの最近の高度化技術に対応するホツトメルト
接着剤が多数提案されているが、充分な性能のホツトメ
ルト接着剤に適した重合体は見当たらない。
特公昭55−6643号公報にはTiCl3触媒を使用するプロ
ピレン・エチレン・1−ブテン系3元共重合体の製造が
記載されている。しかし得られる共重合体は可溶成分が
多く、表面粘着性、ブロツキング性が大きい。
特公昭60−42805号公報および特公昭60−24805号公報
に記載されているプロピレン・エチレン・1−ブテン系
3元共重合体の組成および融点は本発明の共重合体の組
成および融点と同じであるが、該公報に記載された共重
合体には低分子量成分(溶媒可溶分)が多く、ベタツ
キ、表面粘着性、ブロツキング性が大きく、ホツトメル
ト接着性が劣つており、高性能のホツトメルト接着剤と
しては使用できない。
特開昭51−79195号公報および特開昭53−26883号公報
はプロピレン・エチレン・α−オレフイン系三元共重合
体を記載している。しかしながら、これら共重合体の製
造に使用される触媒はTiCl3・有機Al系触媒であつて、
これらの公報に記載された共重合体は融点が高く、その
上溶媒可溶分が著しく多く、ベタツキ、表面粘着性、ブ
ロツキング性が大きく、ホツトメルト接着性が劣つてお
り、高性能のホツトメルト接着剤としては使用できな
い。また、本出願人は、特開昭59−47210号公報にプロ
ピレン・エチレン・1−ブテン系共重合体を提案してい
るが、該公報に記載した共重合はいずれも融点がかなり
高く、ヒートシール付与剤としての性能は著しく優れて
いるものであるが、ホツトメルト接着剤として性能は充
分であるとは言い難かつた。
〔当該発明が解決しようとする問題点〕
従つて、本発明は、プロピレンに由来する繰り返し単
位(a)、エチレンに由来する繰り返し単位(b)およ
び炭素原子数が4〜20のα−オレフインに由来する繰り
返し単位(c)からなるプロピレン系ランダム共重合体
であつて、低分子量成分が少なく、溶媒可溶分が少な
く、分子量分布が狭く、ブロツキング性が少なく、取り
扱いが容易でホツトメルト接着性およびヒートシール付
与性に優れた上記プロピレン系ランダム共重合体並びに
その製法を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記目的は、本発明に従い、 プロピレンに由来する繰り返し単位(a)、エチレン
に由来する繰り返し単位(b)および炭素原子数が4〜
20のα−オレフインに由来する繰り返し単位(c)から
なるプロピレン系ランダム共重合体であつて、 (A) プロピレンに由来する繰り返し単位(a)が40
ないし90モル%、エチレンに由来する繰り返し単位
(b)が2ないし40モル%および該α−オレフインに由
来する繰り返し単位(c)が10ないし40モル%の範囲に
あり、かつc/(b+c)のモル比が0.1ないし0.9の範囲
にあること、 (B) デカリン中で135℃で測定した極限粘度〔η〕
が0.1ないし7dl/gの範囲にあること、 (C) 示差走査型熱量計によって測定した融点〔Tm〕
が0ないし100℃未満の範囲にあること、 (D) X線回折法によって測定した結晶化度が5ない
し40%の範囲にあること、および (E) 10℃におけるアセトン・n−デカン混合溶媒
(容量比1/1)への可溶分量〔W1重量%〕が5.5×〔η〕
−1.0重量%以下にあること、 を特徴とするプロピレン系ランダム共重合体により達成
される。
また上記目的は、本発明に従い、 (i) マグネシウム化合物と電子供与体の液状混合物
から析出させて得られた、マグネシウム化合物・電子供
与体錯体を、反応条件下に液相をなすハロゲン化チタン
化合物と反応させるか、 (ii) 還元能を有しないマグネシウム化合物の液状物
と液状のチタン化合物を電子供与体の存在下で反応させ
て固体成分を析出させ、必要に応じて更に液状のチタン
化合物あるいはこれと電子供与体とを反応させてえられ
る、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体
を必須成分として含有する高立体規則性のチタン触媒成
分、 (B) 有機アルミニウム化合物触媒成分、および (C) 電子供与体触媒成分、 から形成される触媒の存在下に、プロピレン、エチレン
および炭素原子数が4ないし20のα−オレフインを共重
合させることにより、プロピレンに由来する繰り返し単
位(a)が40ないし90モル%、エチレンに由来する繰り
返し単位(b)が2ないし40モル%および該α−オレフ
インに由来する繰り返し単位(c)が10ないし40モル%
の範囲にあり、かつc/(b+c)のモル比が0.1ないし
0.9の範囲にあり、デカリン中で135℃で測定した極限粘
度〔η〕が0.1ないし7dl/gの範囲にあり、示差走査型熱
量計によって測定した融点〔Tm〕が0ないし100℃未満
の範囲にあり、X線回折法によって測定した結晶化度が
5ないし40%の範囲にあり、10℃におけるアセトン・n
−デカン混合溶媒(容量比1/1)への可溶分量〔W1重量
%〕が5.5×〔η〕−1.0重量%以下の範囲にあるプロピ
レン系ランダム共重合体の製法により達成される。
以下本発明について詳しく説明する。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体において、該
共重合体の組成(A)は、プロピレン成分(プロピレン
に由来する繰り返し単位(a))が40ないし90モル%、
好ましくは50ないし80モル、より好ましくは50ないし70
モル%、エチレン成分(エチレンに由来する繰り返し単
位(b))が2ないし40モル%、好ましくは5ないし30
モル%、より好ましくは10ないし20モル%および炭素原
子数が4〜20のα−オレフイン成分(炭素原子数が4〜
20のα−オレフインに由来する繰り返し単位(c))が
10ないし40モル%、好ましくは15ないし35モル%、より
好ましくは20ないし30モル%の範囲にある。
該共重合体中のプロピレン成分が90モル%より大きく
なると融点が高く、ホツトメルト接着剤として性能は充
分でない。プロピレン成分が40モル%より小さくなると
融点、結晶化度が低く、ベタツキ、ブロツキング性が大
きくなる。また該共重合体中のエチレン成分が40モル%
より大きくなると重合体が不均一となり、ホツトメルト
接着剤として性能は充分でなくなる。エチレン成分が2
モル%より小さくなると融点、結晶化度が高く、ホツト
メルト接着剤として性能は充分でない。またさらに該重
合体中の上記α−オレフイン成分が40モル%より大きく
なると、融点、結晶化度が低く、ベタツキ、ブロツキン
グ性が大きくなる。該α−オレフイン成分が10モル%よ
り小さくなると、融点、結晶化度が高く、ホツトメルト
接着剤としての性能は充分でない。
上記エチレン成分(b)およびα−オレフイン成分
(c)についてのモル比c/(b+c)は0.1ないし0.9、
好ましくは0.3ないし0.8、より好ましくは0.5ないし0.7
の範囲にある。上記モル比が0.9より大きいと、融点、
結晶化度が高く、ホツトメルト接着として性能は充分で
ない。また、上記モル比が0.5より小さくても、融点、
結晶化度が高く、ホツトメルト接着として性能は充分で
ない。ここで共重合体の組成はプレスフイルムの赤外線
吸収スペクトルから求めた。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体において、13
5℃のデカリン中で測定した極限粘度〔η〕(B)は、
0.1ないし7、好ましくは0.2ないし5の範囲にある。こ
の特性値は本発明のプロピレン系ランダム共重合体の分
子量を示す尺度であり、他の特性値と結合することによ
り、前述の優れた性質のランダム共重合体の提供に役立
つている。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体の示差走査型
熱量計によつて測定した融点〔以下、DSC融点と略記す
ることがある〕(C)は、0ないし100℃、好ましくは1
0ないし90℃の範囲にある。該DSCによつて測定した融点
が低融点であることは、本発明のプロピレン系ランダム
共重合体が従来から知られている高結晶性であつて高融
点を有するプロピレン系ランダム共重合体および非晶性
であつて融点の認められないプロピレン系ランダム共重
合体とは明確に区別される低結晶性であつて低融点を有
するプロピレン系ランダム共重合体であることを示すも
のであつて、該融点は他の特性値と結合することによつ
て前述の優れた性質の共重合体の提供に役立つている。
ここで、DSC融点は成形後20時間経過後の厚さ0.1mmのプ
レスシートを10℃/minの昇温速度で0〜200℃まで測定
し、最大吸熱ピークをTmとした。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体のX線回折法
によつて測定した結晶化度(D)は、5ないし40%、好
ましくは10ないし30%の範囲にある。この特性値は、本
発明のプロピレン系ランダム共重合体が引張特性に優れ
ることを示す尺度であり、他の特性値と結合することに
より前述の優れた性質のランダム共重合体の提供に役立
つている。結晶化度は成形後20時間経過後の厚さ1.5mm
のプレスシートのX線回折測定により定めた。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体において、10
℃におけるアセトン・n−デカン混合溶媒(容量比1/
1)への可溶分量〔W1重量%〕(E)は、該共重合体の
重量に基づいて、6.5×〔η〕−1.0重量%以下、たとえ
ば0.1×〔η〕−1.0〜6.5×〔η〕−1.0重量%、好まし
くは0.2×〔η〕−1.0〜6.5×〔η〕−1.0重量%、とく
に好ましくは0.3×〔η〕−1.2〜5.5×〔η〕−1.0重量
%の範囲にある(ここで、〔η〕は該共重合体の極限粘
度の数値であつて、デイメンジヨを除いた値を示す)。
この特性値は、本発明のプロピレン系ランダム共重合体
における低分式量重合体成分の含有率を示しかつ該共重
合体の組成分布及び分子量分布の広狭を示す尺度であ
り、従来から知られているプロピレン系ランダム共重合
体は該アセトン・n−デカン混合溶媒可溶分が多く、表
面非粘着性に劣り、プロツキング性が大きい原因になつ
ている。本発明のプロピレン系ランダム共重合体におけ
るこの特性値は、他の特性値と結合することにより、前
述の優れた性質の共重合体の提供に役立つている。本発
明において、該混合溶媒中への共重合体の可溶分量は次
の方法によつて測定決定される。すなわち、撹拌羽根付
150mlのフラスコに、1gの共重合体試料、0.05gの2,6−
ジtert−ブチル−4−メチルフエノール、50mlのn−デ
カンを入れ、120℃の油浴上で溶解させる。溶解後30分
間室温下で自然放冷し、次いで50mlのアセトンを30秒で
添加し、10℃の水浴上で60分間冷却する。析出した共重
合体と低分子量重合体成分の溶解した溶液をグラスフイ
ルターで過分離し、溶液を10mmHgで150℃で恒量にな
るまで乾燥し、その重量を測定し、前記混合溶媒中への
共重合体の可溶分量を試料共重合体の重量に対する百分
率として算出決定した。なお、前記測定法において撹拌
は溶解時から過の直前まで連続して行つた。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、以上に述
べた(A)ないし(E)の特性値によつて表わされる結
合因子を満足し、さらに好ましい本発明のプロピレン系
ランダム共重合体は次の(F)ないし(M)の特性値を
も充足する。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体において、沸
騰酢酸メチルの可溶分量〔W2重量%〕(F)は、該共重
合体の重量に基づいて10重量%以下、たとえば0.01〜10
重量%、好ましくは0.01〜9重量%の範囲にある。この
特性値は本発明のプロピレン系ランダム共重合体におけ
る低分子量重合体成分の含有率を示しかつ該共重合体の
組成分布及び分子量分布の広狭を示す尺度であり、従来
から提案されているプロピレン系ランダム共重合体は該
沸騰酢酸メチル可溶分量が多く、表面非粘着性に劣り、
ブロツキング性が大きい原因になつている。本発明にお
いて、該沸騰酢酸メチル可溶分量は次の方法で測定し
た。すなわち、1mm×1mm×1mm程度の細片試料を円筒ガ
ラスフイルターに入れ、リフラツクス頻度を1回/5分程
度にしてソツクスレー抽出器で7時間抽出し、抽出残分
を真空乾燥器(真空度10mmHg以下)で恒量になるまで乾
燥してその重量を求め、原試料との重量差から沸騰酢酸
メチル可溶分重量を求めた。沸騰酢酸メチル可溶分量
〔W1〕は該沸騰酢酸メチル可溶分重量の原試料重量に対
する百分率として求めた。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体のゲルパーミ
エイシヨンクロマトグラフイー(GPC)によつて測定し
た分子量分布(w/n)(G)はたとえば10以下、好
ましくは3ないし10、とくに好ましくは4ないし8の範
囲である。なお、GPCの測定方法は、以下のとうりであ
る。Weters社製(150C−ALC/GPC)を用い、東洋ソーダ
製(GMHタイプ)カラムを使用して、140℃で、o−ジク
ロルベンゼンを溶媒として測定した。
また、本発明のプロピレン系ランダム共重合体のスプ
リング硬度(H)はたとえば30ないし95、好ましくは40
ないし95の範囲にある。該スプリング硬度は成形後20時
間経過後の厚さ1mmのプレスシートを12枚重ね、A型ス
プリング式硬さ試験機を用いJIS K6301の方法により測
定した。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体においてJIS
K7113の方法によつて測定した降伏点応力(I)は1な
いし200kg/cm2、好ましくは2ないし180kg/cm2の範囲に
あり、JIS K7113の方法によつて測定した破断点応力
(J)は3ないし1000kg/cm2、好ましくは5ないし800k
g/cm2の範囲にあり、JIS K7113の方法によつて測定した
破断点伸び(K)は300%以上、好ましくは350ないし10
00%の範囲にある。本発明のプロピレン系ランダム共重
合体の降伏点応力(I)、破断点応力(J)及び破断点
伸び(K)の特性値は、前述の他の特性値と結合するこ
とにより、前述の優れた諸性質を備えた共重合体を提供
するのに役立つている。なお、本発明において、前記降
伏点応力(I)、破断点応力(J)及び破断点伸び
(K)の特性値はJIS K7113の引張試験の方法に従つて
測定した。すなわち、試料はJIS K6758によつて成形し
た厚さ1mmのプレスシートから成形19時間後に打ち抜い
たJIS K7113の2号形試験片を用い、25℃の雰囲気下で
引張速度50mm/minで上記プレスシート成形20時間後に測
定する。降伏点が明瞭に現われない場合には、20%の伸
び応力を降伏点応力とした。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体のJIS K6745
の方法によつて測定したねじり剛性率(L)はたとえば
5ないし3000kg/cm2、好ましくは10ないし2000kg/cm2
範囲にある。ねじり剛性率の測定方法としては、JIS K6
758によつて成形した厚さ1mmのプレスシートから成形9
日後に打ち抜いた縦6.4mm、横63.5mmの短冊状試験片を
用い、プレスシート成形10日後、25℃の雰囲気下、50な
いし60度のねじり角で加重後5秒ののちの値を測定し
た。
また、本発明のプロピレン系ランダム共重合体のJIS
K7113の方法によつて測定したヤング率(M)はたとえ
ば10ないし5000kg/cm2、好ましくは20ないし4000kg/cm2
の範囲にある。
触媒成分、共重合条件、その他の共重合体製造条件は
以下に詳しく述べるように、本発明の共重合体に前記特
性(A)ないし(E)を目安として、実験的に容易に選
択設定することができる。本発明において、従来の文献
未記載の特性値を有する本発明のプロピレン系ランダム
共重合体の存在ならびにその共重合体の優れた性質が明
らかにされたのであるから、本発明の共重合体に特性さ
れた特性値(A)ないし(E)、さらに補助的な特性値
(E)ないし(M)を目安にして、本発明のプロピレン
系ランダム共重合体の製造条件を実験的に容易にかつ適
宜に選択設定することができる。
本発明で用いられる高活性、高立体規則性固体状チタ
ン触媒成分(A)は、マグネシウム、チタン、ハロゲン
及び電子供与体を必須成分として含有するもので、マグ
ネシウム/チタン(原料比)が1より大きく好ましくは
3ないし50、とくに好ましくは6ないし30、ハロゲン/
チタン(原料比)が好ましくは4ないし100、とくに好
ましくは6ないし40、電子供与体/チタン(モル比)が
好ましくは0.1ないし10、とくに好ましくは0.2ないし6
の範囲にある。この比表面積は、好ましくは3m2/g以
上、一層好ましくは約40m2/g以上、さらに好ましくは10
0m2/gないし800m2/gである。通常、常温におけるヘキサ
ン洗浄のような簡単な手段ではチタン化合物を脱離しな
い。そしてそのX線スペクトルが、触媒調製に用いた原
料マグネシウム化合物の如何にかかわらず、マグネシウ
ム化合物に関して微結晶化された状態を示すか、又はマ
グネシウムジハライドの通常の市販品のそれに比べ、望
ましくは非常に微結晶化された状態にある。そして前記
必須成分以外に他の元素、金属、官能基などを含んでい
てもよい。さらに有機又は無機の希釈剤で希釈されてい
てもよい。固体状チタン触媒成分(A)は、平均粒径が
たとえば1ないし200μ、好ましくは3ないし100μ、と
くに好ましくは6ないし50μであつて粒度分布の幾何標
準偏差がたとえば2.1未満、好ましくは1.9以下、更に好
ましくは1.7以下である。ここにチタン触媒成分粒子の
粒度分布の測定は光透過法により行いうる。具体的には
デカリン等の不活性溶媒中に0.01〜0.5%前後の濃度に
触媒成分を希釈し、測定用セルに入れ、セルに細光をあ
て、粒子のある沈降状態での液体を通過する光の強さを
連続的に測定して粒度分布を測定する。この粒度分布を
基にして標準偏差σgは対数正規分布関数から求められ
る。なお触媒の平均粒子径は重量平均径で示してあり、
粒度分布の測定は、重量平均粒子径の10〜20%の範囲で
ふるい分けを行つて計算する。
固体状チタン触媒成分(A)は、高立体規則性重合体
を高い触媒効率で製造しうる性能を有しており、例えば
同一条件下でプロピレンの独立重合を行つた場合、アイ
ソタクテイシテイ(沸騰n−ヘプタン不溶分)がたとえ
ば92%以上、とくに96%以上のポリプロピレンをTi1ミ
リモル当りたとえば3,000g以上、とくに5,000g以上更に
好ましくは10,000g以上製造する能力を有している。そ
して好ましくは、真球状、楕円球状、顆粒状の如き球状
を呈している。
このような諸要件を満足するチタン触媒成分を用いる
ことにより、高いエチレン含有率の共重合体を操作性良
く、しかも高収率で製造することができる。
このような条件を全て満足するようなチタン触媒成分
(A)は、例えば平均粒子径及び粒度分布、さらに好ま
しくは形状が前述のような範囲にあるようなマグネシウ
ム化合物を形成した後、触媒調製を行う方法、或いは液
状のマグネシウム化合物と液状のチタン化合物を接触さ
せて、前記のような粒子性状となるように固体状触媒を
形成させる方法などによつて得ることができる。かかる
方法は例えば特開昭55−135102号、同55−135103号、同
56−811号、同56−67311号、特願昭56−181019号などに
開示されている。
これらの方法の数例を簡単に述べる。
(1) 平均粒子径がたとえば1ないし200μ、粒度
分布の幾何標準偏差σgが2.1未満のマグネシウム化合
物・電子供与体錯体を、電子供与体及び/又は有機アル
ミニウム化合物やハロゲン含有ケイ素化合物のような反
応助剤で予備処理し、又は予備処理せずに反応条件下に
液相をなすハロゲン化チタン化合物、好ましくは四塩化
チタンと反応させる。
(2) 還元能を有しないマグネシウム化合物の液状
物と液状のチタン化合物を電子供与体の存在下で反応さ
せて、平均粒子径がたとえば1ないし200μ、粒度分布
の幾何標準偏差σgがたとえば2.1未満の固体成分を析
出させる。必要に応じさらに液状のチタン化合物好まし
くは四塩化チタンあるいはこれと電子供与体と反応させ
る。
とくに本発明においては、(1)の方法においてマグ
ネシウム化合物・電子供与体錯体がその液状物から球状
固体として析出させたものを用いる場合、あるいは
(2)の方法での固体成分の析出を、球状の固体が析出
するような条件で行つたものを用いる場合に良好な結果
が得られる。
チタン触媒成分の調製に用いられるマグネシウム化合
物としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、
ハイドロタルサイト、マグネシウムのカルボン酸塩、ア
ルコキシマグネシウム、アリロキシマグネシウム、アル
コキシマグネシウムハライド、アリロキシマグネシウム
ハライド、マグネシウムジハライド、有機マグネシウム
化合物、有機マグネシウム化合物と電子供与体、ハロシ
ラン、アルコキシシラン、シラノール、アルミニウム化
合物などとの反応物などを例示することができる。上記
チタン触媒成分の調製に用いられることのある有機アル
ミニウム化合物としては、後記オレフイン重合に用いる
ことのできる有機アルミニウム化合物の中から選ぶこと
ができる。さらに、チタン触媒成分調製に用いられるこ
とのあるハロゲン含有ケイ素化合物としては、テトラハ
ロゲン化ケイ素、アルコキシハロゲン化ケイ素、アルキ
ルハロゲン化ケイ素、ハロポリシロキサンなどが例示で
きる。
チタン触媒成分調製に用いられるチタン化合物の例と
しては、テトラハロゲン化チタン、アルコキシチタンハ
ライド、アリロキシチタンハライド、アルコキシチタ
ン、アリロキシチタンなどが例示でき、とくにテトラハ
ロゲン化チタン、中でも四塩化チタンが好ましい。
チタン触媒成分の調製に用いることのできる電子供与
体としては、アルコール、フェノール類、ケトン、アル
デヒド、カルボン酸、有機酸又は無機酸のエステル、エ
ーテル、酸アミド、酸無水物のアルコキシシランの如き
含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イ
ソシアネートの如き含窒素電子供与体などを用いること
ができる。より具体的には、メタノール、エタノール、
プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノ
ール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、ペンジ
ルアルコール、フエニルエチルアルコール、クミルアル
コール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素数
1ないし18のアルコール類;フエノール、クレゾール、
キシレノール、エチルフエノール、プロピルフエノー
ル、ノニルフエノール、クミルフエノール、ナフトール
などの低級アルキル基を有してよい炭素数6ないし20の
フエノール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、アセトフエノン、ベンゾフエノンな
どの炭素数3ないし15のケトン類;アセトアルデヒド、
プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズア
ルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭
素数2ないし15のアルデヒド類;ギ酸メチル、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オク
チル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪散
メチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢
酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シ
クロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息
香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息
香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フエ
ニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル
酸エチル、トリイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、
アニス酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エ
チル、マロン酸ジブチル、isoプロピルマロン酸ジエチ
ル、n−ブチルマロン酸ジエチル、フエニルマロン酸ジ
エチル、2−アリルマロン酸ジエチル、ジisoブチルマ
ロン酸ジエチル、ジnブチルマロン酸ジエチル、コハク
酸ジnブチル、メチルコハク酸ジエチル、エチルコハク
酸ジブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチ
ル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、
ブチルマレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジエチ
ル、フマル酸ジisoオクチル、イタコン酸ジエチル、イ
タコン酸ジnブチル、シトラコン酸ジメチル、1,2−シ
クロヘキサンジカルボン酸ジエチル、1,2−シクロヘキ
サンジカルボン酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジメ
チル、フタル酸モノisoブチル、フタル酸ジエチル、フ
タル酸エチルnブチル、フタル酸ジnプロピル、フタル
酸n−ブチル、フタル酸isoブチル、フタル酸ジnヘプ
チル、フタル酸ジ2エチルヘキシル、フタル酸ジn−オ
クチル、フタル酸ジネオペンチル、フタル酸ベンジルブ
チル、フタル酸ジフエニル、ナフタレンジカルボン酸ジ
iso−ブチル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、γ−
ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、クマリン、フタ
リド、炭酸エチレンなどの炭素数2ないし30の有機酸エ
ステル類;アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、ト
ルイル酸クロリド、アニス酸クロリドなどの炭素数2な
いし15の酸ハライド類;メチルエーテル、エチルエーテ
ル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、イソアミ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフエ
ニルエーテルなどの炭素数2ないし20のエーテル類;酢
酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸アミドなどの酸
アミド類:メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリブチルアミン、ピペリジン、トリベンジルアミ
ン、アニリン、ピリジン、ピコリン、テトラメチルメチ
レンジアミン、テトラメチルエチレンジアミンなどのア
ミン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリ
ルなどのニトリル類;亜リン酸トリメチル、亜リン酸ト
リエチルなどのP−O−C結合を有する有機リン化合
物;ケイ酸エチル、ジフエニルジメトキシシランなどの
アルコキシシラン類;などを挙げることができる。これ
ら電子供与体は、2種以上用いることができる。
チタン触媒成分(A)に含有されることが望ましい電
子供与体は、有機酸又は無機酸のエステル、アルコキシ
(アリーロキシ)シラン化合物、エーテル、ケトン、第
三アミン、酸ハライド、酸無水物のような活性水素を有
しないものであり、とくに有機酸エステルやアルコキシ
(アリーロキシ)シラン化合物が好ましく、中でも芳香
族モノカルボン酸と炭素数1ないし8のアルコールとの
エステル、マロン酸、置換マロン酸、置換コハク酸、マ
レイン酸、置換マレイン酸、1,2−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、フタル酸などのジカルボン酸と炭素数2以上
のアルコールとのエステルなどがとくに好ましい。勿論
これらの電子供与体は、必ずしもチタン触媒調製時に原
料として用いる必要はなく、他のこれら電子供与体に変
化しうる化合物として使用し、触媒調製過程でこれら電
子供与体に変換させてよい。
前記例示の如き諸方法で得られるチタン触媒成分は、
反応終了後、液状の不活性炭化水素で充分に洗浄するこ
とによつて精製できる。この目的に使用される不活性液
体炭化水素としては、n−ペンタン、イソペンタン、n
−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタ
ン、イソオクタン、n−デカン、n−ドデカン、灯油、
流動パラフインのような脂肪族炭化水素:シクロペンタ
ン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシ
クロヘキサンのような脂環炭化水素;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、サイメンのような芳香族炭化水素:クロ
ルベンゼン、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水
素あるいはこれらの混合物などを例示できる。
本発明に用いられる(B)有機金属化合物触媒成分の
好適なものは有機アルミニウム化合物であつて、少なく
とも分子内に1個のAl−炭素結合を有する化合物が利用
でき、例えば、(i)一般式▼R1 m▲Al(OR2nHpX
q(ここでR1およびR2は炭素原子通常1ないし15個、好
ましくは1ないし4個を含む炭素水素基で互いに同一で
も異なつてもよい。Xはハロゲン、mは0<m≦3、n
は0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数で
あつて、しかもm+n+p+q=3である)で表わされ
る有機アルミニウム化合物、(ii)一般式▲M1AlR1 1
(ここでM1はLi、Na、Kであり、R1は前記と同じ)で表
わされる第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物
などを挙げることができる。
前記の(i)に属する有機アルミニウム化合物として
は、次のものを例示できる。一般式▲R1 m▼Al(OR2
3-m(ここでR1およびR2は前記と同じ。mは好ましくは
1.5≦m≦3の数である)。一般式▲R1 m▼AlX3-m(こ
こでR1は前記と同じ。Xはハロゲン、mは好ましくは0
<m<3である)、一般式▲R1 m▼AlH3-m(ここでR1
前記と同じ。mは好ましくは2≦m<3である)、一般
式▲R1 m▼Al(OR2nXq(ここでR1およびR2は前と同
じ。Xはハロゲン、0<m≦3、0≦m<3、0≦q<
3で、m+n+q=3である)で表わされるものなどを
例示できる。
(i)に属するアルミニウム化合物において、より具
体的にはトリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニ
ウムなどのトリアルキルアルミニウム、トリイソプレニ
ルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウ
ムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシ
ド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアル
ミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウム
セスキアルコキドのほかに、▲R1 2.5▼Al(OR20.5
どで表わされる平均組成を有する部分的にアルコキシ化
されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムク
ロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアル
ミニウムブロミドのようなジアルキルアルミニウムハラ
イド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアル
ミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブ
ロミドのようなアルキルアルミニウムセスキハライド、
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウム
ジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのよう
なアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロ
ゲン化されたアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニ
ウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジ
アルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジ
ヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアル
キルアルミニウムヒドリドなどの部分的に水素化された
アルキルアルミニウム、エチルアルミニウムエトキシク
ロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチル
アルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキ
シ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムであ
る。また(i)に類似する化合物として、酸素原子や窒
素原子を介して2以上のアルミニウムが結合した有機ア
ルミニウム化合物であつてもよい。このような化合物と
して例えば(C2H52AlOAl(C2H5、(C4H92AlOAl
(C4H9などを例示できる。前記(ii)に属する化合物として
は、LiAl(C2H5、LiAl(C7H15などを例示でき
る。これらの中では、とくにトリアルキルアルミニウム
又はトリアルキルアルミニウムとアルキルアルミニウム
ハライド又はアルミニウムハライドとの混合物を用いる
のが好ましい。
触媒成分(c)として使用される電子供与体の例は、
アミン類、アミド類、エーテル類、ケトン類、ニトリル
類、ホスフイン類、スチビン類、アルシン類、ホスホル
アミド類、エステル類、チオエーテル類、チオエステル
類、酸無水物類、酸ハライド類、アルデヒド類、アルコ
レート類、アルコキシ(アリーロキシ)シラン類、有機
酸類および周期律表の第1族ないし第4族に属する金属
のアミド類および塩類などである。塩類は、有機酸と触
媒成分(B)として用いられる有機金属化合物との反応
によつてその場で形成させることもできる。
これらの具体例としては、例えばチタン触媒成分
(A)に含有させる電子供与体として先に例示したもの
から選ぶことができる。良好な結果は、有機酸エステ
ル、アルコキシ(アリーロキシ)シラン化合物、エーテ
ル、ケトン、酸無水物、アミンなどを用いた場合に得ら
れる。とくにチタン触媒成分(A)中の電子供与体がモ
ノカルボン酸エステルである場合には、成分(C)とし
ての電子供与体は、芳香族カルボン酸のアルキルエステ
ルであることが望ましい。
またチタン触媒成分(A)中の電子供与体が、先に好
ましいものとして例示したジカルボン酸と炭素数2以上
のアルコールとのエステルである場合には、一般式RnSi
(OR14-n(式中、R、R1は炭化水素基、0≦n<4)
で表わされるアルコキシ(アリーロキシ)シラン化合物
や立体障害の大きいアミンを成分(c)として用いるこ
とが好ましい。上記アルコキシ(アリーロキシ)シラン
化合物の具体例としては、トリメチルメトキシシラン、
トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、ジメチルジエトキシシラン、ジフエニルジメトキシ
シラン、メチルフエニルジメトキシシラン、ジフエニル
ジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フエ
ニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメト
キシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ブチルトリ
エトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシ
シラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ
ブトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメ
チルフエノキシシラン、メチルトリアリロキシ(allylo
xy)シラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラ
ン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエ
トキシジシロキサンなどであり、とりわけメチルトリメ
トキシシラン、フエニルトリメトキシシラン、メチロト
リエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリブトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラ
ン、メチルフエニルジメトキシシラン、ジフエニルジエ
トキシシラン、ケイ酸エチルなどが好ましい。
また前記立体障害の大きいアミンとしては、2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン、2,2,5,5−テトラメチルピ
ロリジン、あるいはこれらの誘導体、テトラメチルメチ
レンジアミンなどがとくに好適である。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体の製造は、上
記チタン触媒成分(A)、上記有機金属化合物触媒成分
(B)および上記電子供与体触媒成分(C)から形成さ
れる触媒の存在下に不活性炭化水素溶媒中で又は溶媒を
用いないでプロピレン、エチレンおよび炭素原子数が4
ないし20のα−オレフインを共重合させることにより行
なう。不活性炭化水素溶媒中で生成する共重合体が溶解
する条件下で共重合反応を行う方法を採用するのがとく
に好ましい。
共重合させるプロピレン、エチレンおよび炭素原子数
が4ないし20のα−オレフインの割合はモル比でプロピ
レン40ないし90モル%、好ましくは40ないし80モル%、
より好ましくは50ないし70モル%、エチレンが0.1ない
し10モル%、好ましくは1ないし8モル%、より好まし
くは3ないし6モル%であり、炭素原子数が4ないし20
のα−オレフインが10ないし50モル%、好ましくは20な
いし50モル%、より好ましくは30ないし45モル%の範囲
である。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体の製造におい
ては前記触媒のチタン触媒成分(A)1グラム当り100
ないし100,000g、好ましくは150ないし20,000g、より好
ましくは200ないし10,000gのプロピレン、エチレンおよ
び炭素原子数が4ないし20のα−オレフインを共重合さ
せる。
共重合において不活性溶媒を使用するときは、不活性
溶媒1当り、チタン触媒成分(A)をチタン原子に換
算して0.001ないし500ミリモル、とくに0.005ないし200
ミリモルとするのが好ましく、また有機アルミニウム化
合物(B)をAl/Ti(原子比)が0.1ないし1000、とくに
0.5ないし500となるような割合で用いるのが好ましい。
また触媒成分(C)は、(A)成分に担持されていても
よく、(B)成分の一部と付加させて用いてもよく、ま
た遊離の状態で重合系に添加してもよい。いずれにして
も触媒成分(C)は、チタン原子1モル当り0.1ないし2
00モル、とくに0.2ないし50モル程度存在させればよ
い。
共重合に使用する炭素原子数が4ないし20のα−オレ
フインとしては、1ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペン
テン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−
デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−オクタ
デセンなど炭素数18以下のものが好適であり、とくに炭
素数4ないし10のものが好適である。
共重合に用いられる不活性炭化水素溶媒としては、プ
ロパン、ブタン、n−ペンタン、イソ−ペンタン、n−
ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタ
ン、イソオクタン、n−デカン、n−ドデカン、灯油な
どの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペ
ンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンのよう
な脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンのよ
うな芳香族炭化水素、メチレンクロリド、エチルクロリ
ド、エチレンクロリド、クロルベンゼンのようなハロゲ
ン化炭化水素などを例示することができ、中でも脂肪族
炭化水素、とくに炭素数4ないし10脂肪族炭化水素が好
ましい。
共重合温度は適宜に選択でき、好ましくは約20ないし
約200℃、一層好ましくは約50ないし約180℃程度、圧力
も適宜に選択でき、大気圧ないし約100kg/cm2、好まし
くは大気圧ないし約50kg/cm2程度の加圧条件下で行うの
が好ましい。
分子量の調節は、重合温度、触媒成分の使用割合など
の重合条件を変えることによつてある程度調節できる
が、重合系中に水素を添加するのが最も効果的である。
本発明において前記の如き重合条件を採用して、プロ
ピレンに由来する繰り返し単位(a)が40ないし90モル
%、好ましくは50ないし80モル%、より好ましくは55な
いし70モル%、エチレンに由来する繰り返し単位(b)
が2ないし40モル%、好ましくは5ないし30モル%、よ
り好ましくは10ないし20モル%および該α−オレフイン
に由来する繰り返し単位(c)が10ないし40モル%、好
ましくは15ないし35モル%、より好ましくは20ないし30
モル%の範囲にあり、エチレンに由来する繰り返し単位
(b)と該α−オレフインに由来する繰り返し単位
(c)についてモル比c/(b+c)が0.1ないし0.9、好
ましくは0.2ないし0.8、より好ましくは0.3ないし0.7の
範囲にあるプロピレン系ランダム共重合体であつて、前
記(B)ないし(E)の性質をもつたプロピレン系ラン
ダム共重合体を得ることができる。
本発明によつて得られる共重合体は低分子量重合体成
分の含有率が低く、溶媒可溶分の割合が小さく、分子量
分布が狭く、ブロツキング性が少なく取り扱いが容易で
あり、ホツトメルト接着性およびヒートシール付与性に
優れているという特長を有している。
したがつて、本発明によつて得られる共重合体は、ホ
ツトメルト接着剤、たとえば吸水性不織布(綿)とポリ
エチレンフイルムとの接着に用いるオムツ用ホツトメル
ト接着剤、光デイスク板用接着剤として好適である。
また、本発明によつて得られる共重合体は、他のα−
オレフイン系重合体および共重合体、たとえばエチレン
系重合体および共重合体、プロピレン系重合体および共
重合体に対するヒートシール性付与剤として好適であ
る。
実施例1 <チタン触媒成分(A)の調製> 無水塩化マグネシウム4.76g(50mmol)、デカン25ml
および2−エチルヘキシルアルコール23.4ml(150mmo
l)を130℃で2時間加熱反応を行い均一溶液とした後、
この溶液中に無水フタル酸1.11g(7.5mmol)を添加し、
130℃にて更に1時間撹拌混合を行い、無水フタル酸を
該均一溶液に溶解させる。この様にして得られた均一溶
液を室温に冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタ
ン200ml(1.8mol)中に1時間に亘つて全量滴下装入す
る。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110
℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタ
レート2.68ml(12.5mmol)を添加しこれより2時間同温
度にて撹拌下保持する。2時間の反応終了後熱過にて
固体部を採取し、この固体部を200mlのTiCl4にて再懸濁
させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行う。反応
終了後、再び熱過にて固体部を採取し、110℃デカン
及びヘキサンにて、洗液中に遊離のチタン化合物が検出
されなくなる迄充分洗浄する。以上の製造方法にて剛性
されたチタン触媒成分(a)はヘキサンスラリーとして
保存するが、このうち一部を触媒組成を調べる目的で乾
燥する。この様にして得られたチタン触媒成分(A)の
組成はチタン3.1重量%、塩素56.0重量%、マグネシウ
ム17.0重量%およびジイソブチルフタレート20.9重量%
であつた。
<重合> 500mlのフラスコに250mlのn・デカン、1.25mmolのト
リイソブチルアルミニウム、0.15mmolのジフエニルジメ
トキシシラン、チタン原子に換算して0.025mmolのチタ
ン触媒成分(A)を入れる。温度を70℃に昇温し、10
/hのエチレン、120/hのプロピレン、80/hの1−ブ
テン、10/hの水素を常圧下で溶媒中に連続的に導入
し、70℃で30分間重合を行つた。重合は溶液状態で進行
した。イソブチルアルコールを加えて重合を停止し、大
量のメタノール中にポリマーを全量析出させ、120℃で
一晩真空乾燥し、15gの共重合体を得た。共重合体の分
析ならびに物性測定結果を表1に示した。
実施例2〜5 重合時に導入するモノマーならびに水素の量を表1に
示すように変えた以外は実施例1と同様に行つた。重合
結果、共重合体の分析結果ならびに物性測定結果を表1
に示した。
比較例1 <チタン触媒成分の調製> 無水塩化マグネシウム10gおよび1,2−ジクロロエタン
0.5mlを、1/2インチ直径を有するステンレス製スチール
ボールが25個入つた内容積400mlのステンレス製ポツト
に入れ、窒素雰囲気下、室温で16時間ボールミリングを
行なつた後、さらに四塩化チタン1.8gを添加して窒素雰
囲気下、室温で16時間ボールミリングを行なつた。ボー
ルミリング後、得られた固体粉末1gには36mgのチタンが
含まれていた。
<重合> 500mlのフラスコに250mlのn・デカン、1.25mmolのト
リエチルアルミニウム、0.025mmolのチタン触媒成分
(A′)を入れる。以下、実施例1と全く同一条件で重
合を行つた。重合結果、共重合体の分析結果ならびに物
性測定結果を表1に示した。
比較例2〜3 重合時に導入するモノマーならびに水素量を表1に示
すように変えた以外は比較例1と同様に重合を行つた。
重合結果、共重合体の分析結果ならびに物性測定結果を
表1に示した。
比較例4、5 重合時に導入するモノマーを、プロピレン、エチレン
のみ、あるいはプロピレン、α−オレフインのみとした
以外は実施例1と同様に重合を行つた。重合結果、共重
合体の分析結果ならびに物性測定結果を表1に示した。
〔発明の効果〕 本発明により、プロピレンに由来する繰り返し単位
(a)、エチレンに由来する繰り返し単位(b)および
炭素原子数が4〜20のα−オレフインに由来する繰り返
し単位(c)からなるプロピレン系ランダム共重合体で
あつて、低分子量成分が少なく、溶媒可溶分が少なく、
分子量分布が狭く、ブロツキング性が少なく、取り扱い
が容易でホツトメルト接着性およびヒートシール付与性
に優れた上記プロピレン系ランダム共重合体並びにその
製法が得られる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロピレンに由来する繰り返し単位
    (a)、エチレンに由来する繰り返し単位(b)および
    炭素原子数が4〜20のα−オレフインに由来する繰り返
    し単位(c)からなるプロピレン系ランダム共重合体で
    あって、 (A) プロピレンに由来する繰り返し単位(a)が40
    ないし90モル%、エチレンに由来する繰り返し単位
    (b)が2ないし40モル%および該α−オレフインに由
    来する繰り返し単位(c)が10ないし40モル%の範囲に
    あり、かつc/(b+c)のモル比が0.1ないし0.9の範囲にあ
    ること、 (B) デカリン中で135℃で測定した極限粘度[η]
    が0.1ないし7dl/gの範囲にあること、 (C) 示差走査型熱量計によって測定した融点[Tm]
    が0ないし100℃未満の範囲にあること、 (D) X線回折法によって測定した結晶化度が5ない
    し40%の範囲にあること、および (E) 10℃におけるアセトン・n−デカン混合溶媒
    (容量比1/1)への可溶分量[W1重量%]が5.5×[η]
    −1.0重量%以下にあること、 を特徴とするプロピレン系ランダム共重合体。
  2. 【請求項2】(A)(i) マグネシウム化合物と電子
    供与体の液状混合物から析出させて得られた、マグネシ
    ウム化合物・電子供与体錯体を、反応条件下に液相をな
    すハロゲン化チタン化合物と反応させるか、 (ii) 還元能を有しないマグネシウム化合物の液状物
    と液状のチタン化合物を電子供与体の存在下で反応させ
    て固体成分を析出させ、必要に応じて更に液状のチタン
    化合物あるいはこれと電子供与体とを反応させてえられ
    る、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体
    を必須成分として含有する高立体規則性のチタン触媒成
    分、 (B) 有機アルミニウム化合物触媒成分、および (C) 電子供与体触媒成分、 から形成される触媒の存在下に、プロピレン、エチレン
    および炭素原子数が4ないし20のα−オレフインを共重
    合させることによる、プロピレンに由来する繰り返し単
    位(a)が40ないし90モル%、エチレンに由来する繰り
    返し単位(b)が2ないし40モル%および該α−オレフ
    インに由来する繰り返し単位(c)が10ないし40モル%
    の範囲にあり、かつc/(b+c)のモル比が0.1ないし0.9の
    範囲にあり、デカリン中で135℃で測定した極限粘度
    [η]が0.1ないし7dl/gの範囲にあり、示差走査型熱量
    計によって測定した融点[Tm]が0ないし100℃未満の
    範囲にあり、X線回折法によって測定した結晶化度が5
    ないし40%の範囲にあり、10℃におけるアセトン・n−
    デカン混合溶媒(容量比1/1)への可溶分量[W1重量
    %]が5.5×[η]−1.0重量%以下の範囲にあるプロピ
    レン系ランダム共重合体の製法。
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