JP2540285B2 - 熱可塑性樹脂共重合体 - Google Patents

熱可塑性樹脂共重合体

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JP2540285B2
JP2540285B2 JP25525093A JP25525093A JP2540285B2 JP 2540285 B2 JP2540285 B2 JP 2540285B2 JP 25525093 A JP25525093 A JP 25525093A JP 25525093 A JP25525093 A JP 25525093A JP 2540285 B2 JP2540285 B2 JP 2540285B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明性が良好で、表面
粘着性のない1‐ブテン・プロピレンランダム共重合体
に関する。
【0002】
【従来の技術及び本発明が解決しようとする課題】従
来、軟質あるいは半硬質樹脂の使用されている分野にお
いては、ポリ塩化ビニルが優位に立っていたが、廃棄物
焼却時における腐食性ガスの発生あるいは残留モノマー
や可塑剤に対する安全性への懸念などの問題から、ポリ
オレフィン系樹脂への転換が望まれるようになってき
た。かかる分野に使用されているポリオレフィン系樹脂
のほとんどは、エチレンを主体とする重合体であり、プ
ロピレンや1‐ブテンを主体とする重合体は、未だ硬質
のものしか提供されておらず、その軟質化に当っては、
ゴムやその他軟質化剤を配合することによらざるを得な
かった。ところが従来供給されているもののみでは、あ
らゆる用途に供することはできず、さらに種々の物性の
異なる軟質樹脂の提供が望まれていた。
【0003】1‐ブテンを主体とする軟質の重合体は、
従来提案されている。例えば1‐ブテンとプロピレンの
軟質のランダム共重合体に関しては、数多くの提案があ
る。その一つに、三塩化チタンや四塩化チタン系触媒を
用いて製造したランダム共重合体に関しては、米国特許
第3278504号、同3332921号、英国特許第
1018341号、同1084953号などの各明細書
に開示されている。ところがこれらのランダム共重合体
に共通していることは、組成分布や分子量分布が広く、
沸騰酢酸メチル可溶分が多く、共重合体表面に粘着性が
あるため、商品価値の高い成形品とすることができなか
った。そしてその多くのものはランダム性が低く、透明
性に劣っていた。
【0004】米国特許第3278504号明細書には、
1‐ブテン含有量30ないし70モル%のプロピレン・
1‐ブテン共重合体が示されている。該共重合体は、四
塩化チタンや三塩化チタンを用いて製造される旨が記載
されているが、このような触媒系で製造された共重合体
は、通常、沸騰酢酸メチル可溶分が20重量%を越え、
粘着性があり透明性の悪い樹脂である。
【0005】米国特許第3332921号明細書や英国
特許第1084953号明細書にも三塩化チタン触媒を
用いて製造した種々の1‐ブテン含量の異なる共重合体
が開示されているが、これらの中でブテン含有量60な
いし98モル%の共重合体については、上記米国特許第
3278504号明細書記載の共重合体と同様の性質を
有している。
【0006】また英国特許第1018341号明細書に
よれば、三塩化チタンのような遷移金属ハライドとリン
酸の誘導体とを併用して1‐ブテン含有量25ないし9
0モル%の共重合体を得ている。このうち1‐ブテン含
有量60ないし90モル%の共重合体に関して言えば、
アセトン可溶分が1.5重量%以上のものが開示されて
おり、したがって沸騰酢酸メチル可溶分はさらに多い。
【0007】一方、三塩化チタン系触媒を用い高温で重
合を行い、非晶質のランダム共重合体を得る方法が特開
昭50−38787号公報において知られている。この
方法では、酢酸メチル可溶分が20%より多く、引張強
度も100kg/cm2より小さく、樹脂的用途に使用
できない。
【0008】また、バナジウム系触媒を用いた非晶質ラ
ンダム共重合体の製造方法も知られているが、一般に融
点が観測されず、引張強度も小さい。
【0009】本出願人は先に、組成分布が狭く、沸騰酢
酸メチル可溶分が少なく、表面粘着性のない1‐ブテン
を主体とする1‐ブテン・プロピレンランダム共重合体
についての提案を行い、特開昭54−85293号公報
において提案した。しかし該公報で提供される1‐ブテ
ン・プロピレンランダム共重合体は低結晶性であり、こ
のため剛性が低く、剛さを要求される用途には不向きで
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は組成分
布が狭く、沸騰酢酸メチル可溶分が少なく、表面粘着性
がなく、かつ剛性のある1‐ブテン・プロピレンランダ
ム共重合体を得んものと検討を重ねた結果、下記の特性
で定義づけられるランダム共重合体が得られることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち本発明によれば、プロピレン含有
量1モル%を越え40モル%未満の1‐ブテン・プロピ
レンランダム共重合体であって、(A)沸騰酢酸メチル
可溶分が2重量%以下、(B)示差走査型熱量計(DS
C)熱分析に基づく融点Tmが50ないし130℃、
(C)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]
が0.5ないし6dl/g、(D)n-デカンおよびアセ
トンの混合溶媒(容積比1/1)への溶解量が4×
[η]-1.2重量%未満で定義づけられることを特徴とす
る熱可塑性樹脂共重合体を提供する。
【0012】また、1‐ブテンの単独重合体には3種類
の結晶型(I型、II型およびIII型)が存在し温度や時
間の変化につれて相互の結晶転移を起こすことが知られ
ており、特に常温下ではII型からI型への転移が遅いた
めに実際の使用に際しては、物性の経時変化等、種々の
困難を伴うが、本発明の共重合体の場合1‐ブテン中に
プロピレンがランダムに共重合されているために、II型
からI型への転移が速やかに進行し、従って物性の経時
変化の小さいことも利点の一つである。
【0013】本発明の1‐ブテンランダム共重合体の組
成は、1‐ブテン成分の含有率が60モル%を越えて9
9モル%未満、好ましくは65ないし96モル%の範囲
であり、プロピレン成分の含有率は1モル%を越えて4
0モル%未満、好ましくは4ないし35モル%の範囲で
ある。プロピレン成分の含有量が前記範囲より多くなる
と、低結晶性となり、剛性が低くなると共に、低分子量
成分含有量が多くなり、粘着性が悪化するようになる。
また、プロピレン含有量が前記範囲より小さくなると、
剛性の低いII型結晶から剛性の高いI型結晶への転移が
遅くなるため、成形品が成形後に変形するようになり、
また物性の経時変化が大きくなる。
【0014】沸騰酢酸メチル可溶分(A)は、組成分
布、分子量分布の広狭を示す一つの尺度であり、従来提
案の共重合体は沸騰酢酸メチル可溶分(A)が多く、表
面粘着性(べた付き)が高い原因となっている。本発明
においては、通常20重量%以下、好ましくは1.0重
量%以下、一層好ましくは0.5重量%以下である。沸
騰酢酸メチル可溶分(A)の定量は1mm×1mm×1
mm程度の細片試料を円筒ガラスフィルターに入れ、リ
フラックス頻度を1回/5分程度にしてソックスレー抽
出器で7時間抽出する。可溶分(A)は、抽出残分を真
空乾燥器(真空度10mmHg以下)で恒量になるまで
乾燥して求める。
【0015】DSCに基づく融点(B)が存在すること
は、従来提案の非晶質共重合体と区別しうる大きな点の
一つである。その結晶性を示す尺度として、DSC熱分
析による融解熱量がある。本発明の共重合体は完全溶融
状態の比熱曲線(130℃以上240℃以下で示される
比熱曲線)を低温側に直線外挿して得られる直線をベー
スラインとして計算される融解熱量が、例えば5ないし
100Joule/gであるのが普通である。
【0016】本発明の共重合体の融点Tm(℃)は50
ないし130℃、好適には70ないし125℃の範囲に
ある。融点および融解熱量の測定はDSCによって以下
の測定条件下で行う。
【0017】すなわち、共重合体試料を200℃で5分
間放置後、10℃/mmの速度で−40℃まで冷却し、
−40℃で5分間放置する。その後20℃/mmの昇温
速度で−40℃から200℃まで測定を行う。
【0018】本発明の1‐ブテンランダム共重合体にお
いて、前記DSC融点が存在しかつ、結晶性であること
は、X線回折により結晶の回折パターンが観測できるこ
とからも確認できる。
【0019】また、本発明の1‐ブテンランダム共重合
体において、135℃のデカリン中で測定した極限粘度
[η](C)は0.5ないし6dl/g、好ましくは1
ないし5dl/gの範囲にある。この特性値は本発明の
1‐ブテンランダム共重合体の分子量を示す尺度であ
り、他の特性値と結合することにより前述の優れた性質
の共重合体の提供に役立っている。
【0020】本発明の1‐ブテンランダム共重合体にお
いて、容量比が1:1のn‐デカンおよびアセトンの混
合溶媒中への溶解量(D)は4×[η]-1.2重量%未
満、好ましくは3.5×[η]-1.2重量%未満の範囲に
ある。ここで[η]は前記極限粘度(C)の数値(デイ
メンジョンを除く)を意味する。この特性値は本発明の
1‐ブテンランダム共重合体の低分子量成分が少なく、
組成分布が均一であることを示す尺度であって、他の特
性値と結合することにより、前述の優れた性質、とくに
表面粘着性が少なく良好な剛性を示す1‐ブテンランダ
ム共重合体の提供に役立っている。本発明において、該
混合溶媒中への共重合体の可溶分量(D)は次の方法に
よって測定決定される。すなわち、撹拌羽根付150m
lのフラスコに、1gの共重合体試料、0.05gの2,
6‐ジtert‐ブチル‐4‐メチルフェノール、50
mlのn‐デカンを入れ、120℃の油浴上で溶解させ
る。溶解後30分間室温下で自然放冷し、次いで50m
lのアセトンを30秒で添加し、10℃の水浴上で60
分間冷却する。析出した共重合体と低分子量成分の溶解
した溶液をグラスフィルターで濾過分離し、溶液を10
mmHg、150℃で恒量になるまで乾燥し、その重量
を測定し、前記混合溶媒中への共重合体の可溶分量
(D)を試料共重合体の重量に対する百分率として算出
決定する。なお、前記測定法において撹拌は溶解時から
濾過の直前まで連続して行う。
【0021】本発明の1‐ブテンランダム共重合体にお
いて、JIS K7113の方法によって測定した降伏
点応力(E)は50ないし300kg/cm2、好まし
くは100ないし250kg/cm2、とくに好ましく
は110ないし200kg/cm2の範囲にあり、JI
S K7113の方法により測定された破断点伸び
(F)は200ないし1000%、好ましくは300な
いし1000%、とくに好ましくは350ないし100
0%の範囲にあり、JIS K7113の方法により測
定した破断点応力(G)は150ないし800kg/c
2、好ましくは250ないし600kg/cm2、とく
に好ましくは300ないし500kg/cm2の範囲に
ある。これらの降伏点応力(E)、破断点伸び(F)お
よび破断点応力(G)の特性値は、前述の他の特性値と
結合することにより、前述の優れた諸性質を備えた共重
合体を提供するのに役立っている。なお、前記降伏点応
力(E)、破断点伸び(F)および破断点応力(G)の
特性値はJIS K7113の引張試験方法に従って測
定される。すなわち、試料はJIS K6758によっ
て成形した厚さ1mmのプレスシートから成形19時間
後に打ち抜いたJISK7113の2号形試料片を用
い、25℃の雰囲気下で引張速度50mm/minで上
記プレスシート成形20時間後に測定する。降伏点が明
瞭に現れない時は20%伸び応力を降伏点応力とした。
【0022】本発明の1‐ブテンランダム共重合体は以
上に述べた(A)ないし(G)の特性値によって表わさ
れる結合因子を満足し、さらに好ましい本発明1‐ブテ
ンランダム共重合体は以下の(H)ないし(J)の特性
値をも充足する。
【0023】本発明の1‐ブテンランダム共重合体のJ
IS K6745の方法によって測定したねじり剛性率
(H)は500ないし3000kg/cm2、好ましく
は1000ないし2000kg/cm2の範囲にある。
ねじり剛性率の測定方法としては、JIS K6758
によって成形した厚さ1mmのプレスシートから成形9
日後に打ち抜いた縦64mm、横6.35mmの短冊状
試験片を用い、プレスシート成形10日後、25℃の雰
囲気下、50ないし60度のねじり角で加重後5秒のち
の値を測定する。
【0024】また、本発明の1‐ブテンランダム共重合
体のJIS K7113の方法によって測定したヤング
率(I)は1000ないし6000kg/cm2、好ま
しくは1500ないし6000kg/cm2、さらに好
ましくは1700ないし5000kg/cm2、とくに
好ましくは2000ないし5000kg/cm2の範囲
にある。ヤング率は前記(E)、(F)および(G)と
同様の引張試験方法によって測定した。
【0025】本発明の1‐ブテンランダム共重合体の1
‐ブテン含有率の標準偏差値σ(J)は15モル%以
下、好ましくは10モル%以下の範囲である。該標準偏
差値σは該1‐ブテンランダム共重合体のランダム性を
示す尺度であって、前記特性値(A)ないし(G)に加
えてさらに特性値(J)を満足する本発明の共重合体は
より優れた物性を示す。本発明の共重合体の標準偏差値
σは、該共重合体の組成分布に基づいて次式に従って算
出決定した。なお、該共重合体の組成分布は、p-キシ
レン溶媒で抽出温度を10ないし130℃まで5℃毎の
段階的に変化させる抽出型カラム分別法によって測定
し、この際一定温度での抽出には共重合体試料10gに
対してp‐キシレン2リットルを用い、4時間の抽出を
行った。
【0026】
【数1】 ここでXは共重合体の1‐ブテンの平均含有量(モル
%)、Xは1‐ブテン含有量(モル%)、f(X)は含
有量(モル%)を持つ成分の微分重量分率を示す。上述
の如く規定される本発明の共重合体のうち適当に軟か
く、常温での結晶転移速度が速いところから、とくに1
‐ブテン含有量70ないし95モル%の共重合体が好ま
しい。
【0027】以上のような諸性質を有する限り、本発明
の共重合体に、微量の他のα‐オレフィン、例えばエチ
レンが共重合されていてもよい。
【0028】前記のような諸性質を有するプロピレン含
有量1モル%を越え40モル%未満のプロピレン・1‐
ブテンランダム共重合体は、例えば (a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびジエステ
ルを必須成分とする高活性チタン触媒成分、(b)有機
アルミニウム化合物触媒成分および(c)Si−O−C
結合を有する有機ケイ素化合物触媒成分から形成される
触媒の存在下に、約20ないし約200℃の温度で、1
‐ブテンおよびプロピレンを共重合することによって得
ることができる。触媒成分、共重合条件、その他の共重
合体製造条件は以下に詳しく述べることから、本発明の
共重合体に前記特性(A)ないし(G)を目安として、
実験的に容易に選択設定することができる。従来の文献
未記載の特性値を有する本発明の1‐ブテンランダム共
重合体の存在ならびにその共重合体の優れた性質が明ら
かにされたのであるから、本発明の共重合体に特定され
た特性値(A)ないし(G)、さらに補助的な特性値
(H)ないし(J)を目安として、本発明の1‐ブテン
ランダム共重合体の製造条件を実験的に容易にかつ適宜
に選択設定することができる。
【0029】高活性チタン触媒成分(a)は、マグネシ
ウム、チタン、ハロゲンおよびジエステルを必須成分と
して含有する。このようなチタン触媒成分(a)として
は、マグネシウム/チタン(原子比)が好ましくは約2
ないし約100、一層好ましくは約4ないし約70、ハ
ロゲン/チタン(原子比)が好ましくは約4ないし約1
00、一層好ましくは約6ないし約40、ジエステル/
チタン(モル比)が好ましくは約0.2ないし約10、
一層好ましくは約0.4ないし約6の範囲にあるのが好
ましい。また、その比表面積は、好ましくは約3m2
g以上、一層好ましくは約40m2/g以上、さらに好
ましくは約100m2/gないし約800m2/gであ
る。
【0030】このようなチタン触媒成分(a)は、室温
におけるヘキサン洗浄のような簡単な手段によって実質
的にチタン化合物を脱離しないのが普通である。そのX
線スペクトルが触媒調製に用いた原料マグネシウム化合
物の如何にかかわらず、マグネシウム化合物に関して非
晶性を示すか、またはマグネシウムジハライドの通常の
市販品のそれに比べ、好ましくは非常に非晶化された状
態にある。
【0031】チタン触媒成分(a)は、前記必須成分以
外に、触媒性能を大きく悪化させない限度において、他
の元素、金属、官能基、電子供与体などを含有していて
もよい。さらに有機や無機の希釈剤で希釈されていても
よい。他の元素、金属、希釈剤などを含有する場合に
は、比表面積や非晶性に影響を及ぼすことがあり、その
場合には、そのような他成分を除去したときに前述した
ような比表面積の値を示しかつ非晶性を示すものである
ことが好ましい。
【0032】チタン触媒成分(a)を製造するには、マ
グネシウム化合物(またはマグネシウム金属)、チタン
化合物およびジエステルまたはジエステル形成性化合物
(ジエステルを形成する化合物)を、他の反応試剤を用
いまたは用いずして相互に接触させる方法を採用するの
がよい。その調製は、マグネシウム、チタン、ハロゲン
および電子供与体を必須成分とする従来公知の高活性チ
タン触媒成分の調製法と同様に行うことができる。例え
ば、特開昭50−108385号、同50−12659
0号、同51−20297号、同51−28189号、
同51−64586号、同51−92885号、同51
−136625号、同52−87489号、同52−1
00596号、同52−147688号、同52−10
4593号、同53−2580号、同53−40093
号、同53−43094号、同55−135102号、
同55−135103号、同56−811号、同56−
11908号、同56−18606号公報などに開示さ
れた方法に準じて製造することができる。
【0033】これらチタン触媒成分(a)の製造方法の
数例について、以下に簡単に述べる。
【0034】(1)マグネシウム化合物あるいはマグネ
シウム化合物と電子供与体の錯化合物を、電子供与体、
粉砕助剤等の存在下または不存在下に、粉砕しまたは粉
砕することなく、電子供与体および/または有機アルミ
ニウム化合物やハロゲン含有ケイ素化合物のような反応
助剤で予備処理し、または予備処理せずに得た固体と、
反応条件下に液相をなすチタン化合物とを反応させる。
但し、上記電子供与体を少なくとも一回は使用する。
【0035】(2)還元能を有しないマグネシウム化合
物の液状物と、液状チタン化合物を電子供与体の存在下
で反応させて固体状のチタン複合体を析出させる。
【0036】(3)(2)で得られるものに、チタン化
合物をさらに反応させる。
【0037】(4)(1)や(2)で得られるものに電
子供与体およびチタン化合物をさらに反応させる。
【0038】(5)マグネシウム化合物あるいはマグネ
シウム化合物と電子供与体の錯化合物を、電子供与体、
粉砕助剤等の存在下または不存在下に、およびチタン化
合物の存在下に粉砕し、電子供与体および/または有機
アルミニウム化合物やハロゲン含有ケイ素化合物のよう
な反応助剤で予備処理し、または予備処理せずに得た固
体を、ハロゲンまたはハロゲン化合物または芳香族炭化
水素で処理する。但し、上記電子供与体を少なくとも一
回は使用する。
【0039】これらの調製法の中では、触媒調製におい
て、液状のハロゲン化チタンを使用したものあるいはチ
タン化合物使用後、あるいは使用の際にハロゲン化炭化
水素を使用したのが好ましい。
【0040】上記調製において用いられる電子供与体
は、ジエステルまたはジエステル形成性化合物のみであ
る必要はなく、アルコール、フエノール、アルデヒド、
ケトン、エーテル、カルボン酸、カルボン酸無水物、炭
酸エステル、モノエステル、アミンなどジエステル以外
の電子供与体も使用することができる。
【0041】高活性チタン触媒成分(a)中の必須成分
であるジエステルとしては、1個の炭素原子に2個のカ
ルボキシル基が結合しているジカルボン酸のエステルも
しくは相隣る2個の炭素原子にそれぞれカルボキシル基
が結合しているジカルボン酸のエステルであることが好
ましい。このようなジカルボン酸のエステルにおけるジ
カルボン酸の例としては、マロン酸、置換マロン酸、コ
ハク酸、置換コハク酸、マレイン酸、置換マレイン酸、
フマル酸、置換フマル酸、脂環を形成する1個の炭素原
子に2個のカルボキシル基が結合した脂環ジカルボン
酸、脂環を形成する相隣る2個の炭素原子にそれぞれカ
ルボキシル基が結合した脂環ジカルボン酸、オルソ位に
カルボキシル基を有する芳香族ジカルボン酸、複素環を
形成する相隣る2個の炭素原子にカルボキシル基を有す
る複素環ジカルボン酸などのジカルボン酸のエステルを
挙げることができる。
【0042】上記ジカルボン酸のより具体的な例として
は、マロン酸;メチルマロン酸、エチルマロン酸、イソ
プロピルマロン酸、アリル(allyl)マロン酸、フ
ェニルマロン酸、などの置換マロン酸;コハク酸;メチ
ルコハク酸、ジメチルコハク酸、エチルコハク酸、メチ
ルエチルコハク酸、イタコン酸などの置換コハク酸;マ
レイン酸;シトラコン酸、ジメチルマレイン酸などの置
換マレイン酸;シクロペンタン‐1,1‐ジカルボン
酸、シクロペンタン‐1,2‐ジカルボン酸、シクロヘ
キサン‐1,2‐ジカルボン酸、シクロヘキセン‐1,6
‐ジカルボン酸、シクロヘキセン‐3,4‐ジカルボン
酸、シクロヘキセン‐4,5‐ジカルボン酸、ナジック
酸、メチルナジック酸、1‐アリルシクロヘキサン‐
3,4‐ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;フタ
ル酸、ナフタリン‐1,2‐ジカルボン酸、ナフタリン
‐2,3‐ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;フ
ラン‐3,4‐ジカルボン酸、4,5‐ジヒドロフラン‐
2,3‐ジカルボン酸、ベンゾピラン‐3,4‐ジカルボ
ン酸、ピロール‐2,3‐ジカルボン酸、ピリジン‐2,
3‐ジカルボン酸、チオフェン‐3,4‐ジカルボン
酸、インドール‐2,3‐ジカルボン酸などの複素環ジ
カルボン酸;の如きジカルボン酸を例示することができ
る。
【0043】上記ジカルボン酸のエステルのアルコール
成分のうち少なくとも一方が炭素数2以上、とくには炭
素数3以上のものが好ましく、とりわけ両アルコール成
分ともに炭素数2以上、とくには炭素数3以上のものが
好ましい。例えば上記ジカルボン酸のジエチルエステ
ル、ジイソプロピルエステル、ジn‐プロピルエステ
ル、ジn‐ブチルエステル、ジイソブチルエステル、ジ
‐tert‐ブチルエステル、ジイソアミルエステル、
ジn‐ヘキシルエステル、ジ‐2‐エチルヘキシルエス
テル、ジn‐オクチルエステル、ジイソデシルエステ
ル、エチルn‐ブチルエステルなどを例示することがで
きる。
【0044】前記(a)高活性チタン触媒成分の調製に
用いられるマグネシウム化合物は還元能を有するまたは
有しないマグネシウム化合物である。前者の例としては
マグネシウム・炭素結合やマグネシウム・水素結合を有
するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウ
ム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、
ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキ
シルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化
マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化
マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化
マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブ
チルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドな
どがあげられる。これらマグネシウム化合物は、例えば
有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いる事もで
き、また、液状状態であっても固体状態であってもよ
い。一方、還元能を有しないマグネシウム化合物として
は、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マグネ
シウム、弗化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシ
ウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネ
シウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩
化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムのような
アルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグ
ネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムのような
アリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウ
ム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウ
ム、n‐オクトキシマグネシマグネシウム、2‐エチル
ヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグネシウ
ム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグ
ネシウムのようなアリロキシマグネシウム;ラウリン酸
マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなマグ
ネシウムのカルボン酸塩などを例示することができる。
また、これら還元能を有しないマグネシウム化合物は、
上述した還元能を有するマグネシウム化合物から誘導し
たものあるいは、触媒成分の調製時に誘導したものであ
ってもよい。また、該マグネシウム化合物は他の金属と
の錯化合物、複化合物あるいは他の金属化合物との混合
物であってもよい。さらにこれらの化合物の2種以上の
混合物であってもよい。これらの中で好ましいマグネシ
ウム化合物は還元能を有しない化合物であり、特に好ま
しくはハロゲン含有マグネシウム化合物、とりわけ塩化
マグネシウム、アルコキシ塩化マグネシウム、アリロキ
シ塩化マグネシウムである。
【0045】チタン触媒成分(a)の調製に用いられる
チタン化合物としては種々あるが、例えばTi(OR)g
4-g(Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4)
で示される4価のチタン化合物が好適である。より具体
的には、TiCl4、TiBr4、TiI4などのテトラ
ハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC2
5)Cl3、Ti(On−C49)Cl3、Ti(OC25)B
3、Ti(Oi8049)Br3などのトリハロゲン化ア
ルコキシチタン;Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC
25)2Cl2、Ti(On−C49)2Cl2、Ti(OC2
5)2Br2などのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti
(OCH3)3Cl、Ti(OC25)3Cl、Ti(On−C
49)3Cl、Ti(OC25)3Brなどのモノハロゲン
化トリアルコキシチタン;Ti(OCH3)4、Ti(OC2
5)4、Ti(On−C49)4などのテトラアルコキシチ
タンなどを例示することができる。これらの中で好まし
いものはハロゲン含有チタン化合物、とくにはテトラハ
ロゲン化チタンであり、とくに好ましいのは四塩化チタ
ンである。これらチタン化合物は単味で用いてよいし、
混合物の形で用いてもよい。あるいは炭化水素やハロゲ
ン炭化水素などに希釈して用いてもよい。
【0046】チタン触媒成分(a)の調製において、チ
タン化合物、マグネシウム化合物および担持すべき電子
供与体、さらに必要に応じて使用されることのある他の
電子供与体、例えばアルコール、フェノール、モノカル
ボン酸エステルなど、ケイ素化合物、アルミニウム化合
物などの使用量は、調製方法によって異なり一概に規定
できないが、例えば、マグネシウム化合物1モル当り、
担持すべき電子供与体約0.1ないし約10モル、チタ
ン化合物約0.05ないし約1000モル程度の割合と
することができる。
【0047】以上のようして得られる高活性チタン触媒
成分(a)と、有機アルミニウム化合物触媒成分(b)
およびSi−O−C結合を有する有機ケイ素化合物触媒
成分(c)の組合せ触媒を用いる。
【0048】上記(b)成分としては、(i)少なくと
も分子内に1個のAl−炭素結合を有する有機アルミニ
ウム化合物、例えば一般式
【0049】
【化1】R1mAl(OR2)nHpXq (ここでR1およびR2は炭素原子、通常1ないし15
個、好ましくは1ないし4個を含む炭化水素基で互いに
同一でも異なっていてもよい。Xはハロゲン、mは0<
m≦3、0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3
の数であって、しかもm+n+p+q=3である)で表
わされる有機アルミニウム化合物、(ii)一般式
【0050】
【化2】M1AlR1 4 (ここでM1はLi、Na、Kであり、R1は前記と同
じ)で表わされる第1族金属とアルミニウムとの錯アル
キル化物などを挙げることができる。
【0051】前記の(i)に属する有機アルミニウム化
合物としては、次のものを例示できる。一般式
【0052】
【化3】R1mAl(OR2)3-m (ここでR1は前記と同じ。Xはハロゲン、mは好まし
くは0<m<3である。)、一般式
【0053】
【化4】R1mAlH3-m (ここでR1は前記と同じ。mは好ましくは2≦m<3
である。)、一般式
【0054】
【化5】R1mAl(OR2)nXq (ここでR1およびR2は前記と同じ。Xはハロゲン、0
<m≦3、0≦n<3、0≦q<3で、m+n+q=3
である)で表わされるものなどを例示できる。
【0055】(i)に属するアルミニウム化合物の例と
しては、以下の如き化合物を例示できる。トリエチルア
ルミニウム、トリブチルアルミニウムなどをトリアルキ
ルアルミニウム;トリイソプレニルアルミニウムのよう
なトリアルケニルアルミニウム;ジエチルアルミニウム
エトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどの如
きジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミ
ニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブ
トキシなどの如きアルキルアルミニウムセスキ る部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウム
クロリド、ジエチルアルミニウムブロミドのようなジア
ルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセス
キクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチ
ルアルミニウムセスキブロミドのようなアルキルアルミ
ニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリ
ド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニ
ウムジブロミドなどのようなアルキルアルミニウムジハ
ライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミ
ニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアル
ミニウムヒドリドなどの如きジアルキルアルミニウムヒ
ドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアル
ミニウムジヒドリドなどの如きアルキルアルミニウムジ
ヒドリドなど、その他の部分的に水素化されたアルキル
アルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、
ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニ
ウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およ
びハロゲン化されたアルキルアルミニウム。
【0056】前記(ii)に属する化合物としては、Li
Al(C25)4、LiAl(C715)4などを例示でき
る。
【0057】また(i)に類似する化合物として酸素原
子や窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結合した
有機アルミニウム化合物であってもよい。このような化
合物として、例えば(C25)2AlOAl(C25)2
(C49)2AlOAl(C49)2
【0058】
【化6】 などを例示できる。
【0059】これらの中では、とくにトリアルキルアル
ミニウムや上記した2以上のアルミニウムが結合したア
ルキルアルミニウムの使用が好ましい。
【0060】Si−O−C結合を有する有機ケイ素化合
物触媒成分(c)は例えばアルコキシシラン、アリーロ
キシシラン(aryloxysilane)などであ
る。このような化合物の例として、式RnSi(OR1)
4-n[式中、0≦n≦3、Rは炭化水素基、例えばアル
キル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル
基、ハロアルキル基、アミノアルキル基など、またはハ
ロゲン;R1は炭化水素基、例えばアルキル基、シクロ
アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシア
ルキル基など;但し、n個のR、(4−n)個のOR1
基は同一でも異なっていてもよい]で表わされるケイ素
化合物を挙げることができる。また、他の例としては、
OR1基を有するシロキサン類、カルボン酸のシリルエ
ステルなどを挙げることができる。また、さらに他の例
として2個以上のケイ素原子が、酸素または窒素原子を
介して互いに結合されているような化合物を挙げること
ができる。以上の有機ケイ素化合物はSi−O−C結合
を有しない化合物とO−C結合を有する化合物を予め反
応させておき、あるいは重合の場で反応させ、Si−O
−C結合を有する化合物に変換させて用いてもよい。こ
のような例として、例えばSi−O−C結合を有しない
ハロゲン含有シラン化合物またはシリコンハイドライド
と、アルコキシ基含有アルミニウム化合物、アルコキシ
基含有マグネシウム化合物、その他金属アルコラート、
アルコール、ギ酸エステル、エチレンオキシド等との併
用を例示することができる。有機ケイ素化合物はまた他
の金属(例えばアルミニウム、スズなど)を含有するも
のであってもよい。
【0061】より具体的には、トリメチルメトキシシラ
ン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキ
シシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニ
ルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリメトキシシラン、γ‐クロルプロピルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリ
エトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ブチルト
リエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ‐
アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキ
シシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルト
リブトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリ
メチルフエノキシシラン、メチルトリアリロキシ(al
lyloxy)シラン、ビニルトリス(β‐メトキシエ
トキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジエチ
ルテトラエトキシジシロキサン、フェニルジエトキシジ
エチルアミノシランなどを例示することができる。これ
らの中でとくに好ましいのは、メチルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリブ
トキシシラン、ケイ酸エチル、ジフェニルジメトキシシ
ラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルメ
トキシシラン等の前記式RnSi(OR1)4-nで示される
ものであり、中でもこの式においてnが0または1のも
のである。
【0062】1‐ブテンとプロピレンの共重合は、液
相、気相の何れの相においても行うことができるが、と
くに液相において共重合体が溶解する条件で行うのが好
ましい。液相で共重合を行う場合は、ヘキサン、ヘプタ
ン、灯油のような不活性溶媒を反応媒体としてもよい
が、オレフィンそれ自身を反応媒体とすることもでき
る。触媒の使用量は、反応容積1リットル当り、(a)
成分をチタン原子に換算して約0.0001ないし約1.
0ミリモル、(b)成分を(a)成分中のチタン原子1
モルに対し、(b)成分中の金属原子が約1ないし約2
000モル、好ましくは約5ないし約500モルとなる
ように、また(c)成分を、(b)成分中の金属原子1
モル当り、(c)成分中のSi原子が約0.001ない
し約10モル、好ましくは約0.01ないし約2モル、
とくに好ましくは約0.05ないし約1モルとなるよう
にするのが好ましい。
【0063】これらの各触媒成分(a)(b)(c)は
共重合時に三者を接触させても良いし、また共重合前に
接触させても良い。この共重合前の接触に当っては、任
意の二者のみを自由に選択して接触させても良いし、ま
た各成分の一部を二者ないし三者接触させてもよい。ま
たさらに共重合前の各成分の接触は、不活性ガス雰囲気
下であっても良いし、オレフィン雰囲気下であっても良
い。
【0064】共重合温度は適宜に選択することができ、
好ましくは約20ないし約200℃、一層好ましくは約
50ないし約180℃程度、圧力も適宜に選択でき、大
気圧ないし約100kg/cm2、好ましくは約2ない
し約50kg/cm2程度の加圧条件下で行うのが好ま
しい。
【0065】プロピレン含有量1モル%を越え40モル
%以下の共重合体を製造するための1‐ブテンとプロピ
レンの供給割合は、重合圧力などによって適宜に選択で
きる。例えば、1‐ブテン/プロピレン(モル比)が1
ないし1000程度である。分子量の調節は、重合温
度、触媒成分の使用割合などの重合条件を変えることに
よってある程度調節できるが、重合系中に水素を添加す
るのが最も効果的である。
【0066】本発明の1‐ブテンランダム共重合体は、
べた付きがなく、既述の如く他に種々の特性を備えてい
る点において従来提案のものとは異なっている。この1
‐ブテンランダム共重合体は、押出成形、中空成形、射
出成形、プレス成形、真空成形など既存の成形方法によ
り、パイプ、フィルム、シート、中空容器、その他各種
製品に成形でき、各種用途に供することができる。とく
に耐ブロッキング性、ヒートシール性が良好であるとこ
ろから、包装用フィルムとして好適である。前記性質に
より、金属等の保護フィルムとしても好適に使用され
る。また、降伏点応力が大きいため、温水用パイプとし
ても好適である。
【0067】成形に際し、各種安定剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、顔料、無機ま
たは有機の充填剤を配合することができる。これらの例
として、2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐p‐クレゾー
ル、テトラキス[メチレン‐3‐(3,5‐ジ‐ter
t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン、4,4′‐ブチリデンビス(6‐tert
‐ブチル‐m‐クレゾール)、トコフェロール類、アス
コルビン酸、ジラウリルチオジプロピオネート、リン酸
系安定剤、脂肪酸モノグリセライド、N,N‐(ビス‐
2‐ヒドロキシエチル)アルキルアミン、2‐(2′‐
ヒドロキシ‐3′,5′‐ジ-tert‐ブチルフェニ
ル)‐5‐クロルベンゾトリアゾール、ステアリン酸カ
ルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ア
ルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、ハイドロタルサ
イト、タルク、クレイ、石こう、ガラス繊維、チタニ
ア、炭酸カルシウム、カーボンブラック、石油樹脂、ポ
リブテン、ワックス、合成または天然ゴムなどであって
もよい。
【0068】本発明の共重合体は、また、他の熱可塑性
樹脂と混合して用いることもできる。これらの例として
高密度、中密度または低密度のポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ‐1‐ブテン、ポリ‐4‐メチル‐1‐ペ
ンテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、サーリンA、
エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、
これらの無水マレイン酸グラフト物などを例示すること
ができる。
【0069】
【実施例】次に、本発明の1‐ブテンランダム共重合体
を実施例によって具体的に説明する。
【0070】実施例1 チタン触媒成分(a)の調製 無水塩化マグネシウム4.76g(50mmol)、デ
カン25mlおよび2‐エチルヘキシルアルコール2
3.4ml(150mmol)を130℃で2時間加熱
反応を行い均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル
酸1.11g(7.5mmol)を添加し、130℃にて
更に1時間撹拌混合を行い、無水フタル酸を該均一溶液
に溶解させる。この様にして得られた均一溶液を室温に
冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタン200
m.l(1.8mmol)中に1時間に渡って全量滴下装
入する。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて
110℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブ
チルフタレート2.68ml(12.5mmol)を添加
し、これにより2時間同温度にて撹拌下保持する。2時
間の反応終了後濾過にて固体部を採取し、この固体部を
200mlのTiCl4にて再懸濁させた後、再び11
0℃で2時間、加熱反応を行う。反応終了後、再び熱濾
過にて固体部を採取し、110℃デカン及びヘキサンに
て、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなる迄
充分に洗浄する。以上の製造方法にて合成されたチタン
触媒成分(a)はヘキサンスラリーとして保存するが、
このうち一部を触媒組成を調べる目的で乾燥する。この
様にして得られたチタン触媒成分(a)の組成はチタン
3.1重量%、塩素56.0重量%、マグネシウム17.
0wt%およびジイソブチルフタレート20.9重量%
であった。
【0071】重 合 撹拌翼を備えた20リットルのSUS製重合器を用いて
連続的に1‐ブテンとプロピレンの共重合反応を行っ
た。すなわち重合器上部から1‐ブテンを毎時5kg、
プロピレンを毎時100gの速度で連続的に供給する。
一方重合器下部から重合中の重合液が常に10リットル
になるように連続的に重合液を抜き出す。触媒としてチ
タン触媒成分(a)を毎時0.03mmol、トリエチ
ルアルミニウムを毎時10mmol、ビニルトリエトキ
シシランを毎時0.5mmol連続的に供給した。水素
は重合器上部の気相中の水素分圧が1.0kg/cm2
なるように連続的に供給した。
【0072】共重合反応は重合器外部にとりつけられた
ジャケットに冷却水を供給することにより、重合器内を
60℃に保った。
【0073】重合器下部から抜き出した重合液から未反
応の1‐ブテンとプロピレンを大気圧下で除去し、得ら
れた重合体はさらに100℃で一昼夜減圧乾燥した。
【0074】以上の操作で1‐ブテン・プロピレン共重
合体が毎時580gの速度で得られた。重合結果を表A
に示す。
【0075】実施例2〜4 プロピレン供給量を表Aに記載した量に変更する以外は
実施例1と同様に重合を行った。その結果も表Aに示
す。
【0076】比較例1 プロピレン供給量を表Aに記載した量に変更する以外は
実施例1と同様に重合を行った。その結果も表Aに示
す。
【0077】比較例2 プロピレン供給を無くす以外は実施例1と同様に重合を
行った。その結果も表Aに示す。
【0078】比較例3、4 触媒として三塩化チタン(東邦チタニウム社製TAC‐
141)を毎時10mmol、ジエチルアルミニウムク
ロリドを毎時20mmol供給し、表Aに記載された量
のプロピレンを供給した。その他は実施例1と同様に行
った。その結果も表Aに示す。
【0079】比較例5 チタン触媒成分の調製 無水塩化マグネシウム20g、安息香酸エチル5.0m
lおよびメチルポリシロキサン(粘度100cs)3.
0mlを窒素雰囲気中直径15mmのステンレス鋼製ボ
ール2.8kgを収容した内容積800ml、内直径1
00mmのステンレス鋼製ボールミル容器に装入し、衝
撃の加速度7Gで24時間接触させる。得られた共粉砕
物20gを四塩化チタン200ml中に懸濁させ、80
℃で2時間撹拌下に接触した後、固体部を熱いうちにグ
ラスフィルターで濾過し、洗液中に遊離の四塩化チタン
が検出されなくなるまで精製ヘキサンで充分洗浄後、減
圧下で乾燥し、チタン複合体を得る。
【0080】該成分は原子換算でチタン1.9重量%、
塩素65重量%、マグネシウム23重量%、安息香酸エ
チル7.7重量%を含む。
【0081】重 合 チタン触媒成分を毎時0.2mmol、トリエチルアル
ミニウムを毎時10mmol、P‐トルイル酸メチルを
毎時3.3mmol供給し、表Aに記載された量のプロ
ピレンを供給した。その他は実施例1と同様に行った。
その結果も表Aに示す。
【0082】実施例5 実施例1に、エチレンを毎時10g追加供給して重合を
行った。その結果も表Aに示す。
【0083】実施例6 水素分圧を2.0kg/cm2に変更する以外は実施例3
と同様に重合を行った。その重合結果を表Aに示す。
【0084】比較例6 水素分圧を2.5kg/cm2に変更し、プロピレン供給
量を0.35kg/hrに変更する以外は比較例5と同
様に重合を行った。その重合結果を表Aに示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】応用例1〜6、比較応用例1〜6 前記各実施例および各比較例の1‐ブテン・プロピレン
共重合体とポリプロピレン樹脂([η]2.0、エチレ
ン含量2.0モル%)とを1:3の割合で溶融混合した
後、30mmφの押出機を用いて成形温度200〜25
0℃で厚み30μのT-die filmを作成した。
このフィルムについてブロッキング性を評価した。結果
を表Bに示した。
【0088】
【表3】
【0089】[ブロッキング性の評価法]ASTM D
1893に準じて評価した。巾10cm、長さ15cm
のフィルム同志を重ね合わせ、2枚のガラス板ではさみ
10kgの荷物を乗せ、50℃エアー・オーブン中に放
置する。1日後および7日後にサンプルを取出し、ハク
リ強度を万能試験機で測定し、1cm当りのハクリ強度
をブロッキング値とした。
【0090】
【発明の効果】本発明に従えば、透明性が良好で、表面
粘着性のない1-ブテンランダム共重合体が提供され
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン含有量1モル%を越え40モ
    ル%未満の1‐ブテン・プロピレンランダム共重合体で
    あって、 (A)沸騰酢酸メチル可溶分が2重量%以下、 (B)示差走査型熱量計(DSC)熱分析に基づく融点
    Tmが50ないし130℃、 (C)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]
    が0.5ないし6dl/g、 (D)n-デカンおよびアセトンの混合溶媒(容積比1
    /1)への溶解量が4×[η]-1.2重量%未満で定義づ
    けられることを特徴とする熱可塑性樹脂共重合体。
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