JP2572285Y2 - パネルシャッターのパネル吊持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、複数枚のパネルを上下
方向に連結吊持してなるシャッターにより、建物開口部
を開閉するパネルシャッターに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、パネルシャッター装置は、複数
枚のパネルの両端側に各々軸支した支持軸をローラチェ
ンで一連に連結吊持してシャッターを構成すると共に、
該シャッターを、案内レールに沿った昇降移動から前後
方向の収納レールに沿った横移動に継送すべく、ローラ
チェンに噛み合う誘導スプロケットを案内レール上端部
の上方に枢設し、上記誘導スプロケットの正逆転により
シャッターを吊上げ吊り下げするように構成されてお
り、シャッターの吊り下げ時においては、各パネルの支
持軸先端部に枢支した走行ローラが開口部に立設された
案内レールに案内されて、各パネルを垂直平面状に配列
して開口部を閉鎖し、また、シャッターの吊上げ時にお
いては、各パネルは開口部上部の前後方向に設けられた
収納レールに順次送り込まれて開口部を開放し、かつ前
記走行ローラの回転により収納レール上で各パネルは垂
下並列状に収納される。

【０００３】ところが、上記構成のものでは、各パネル
をローラチェンに連結する場合に、取付精度のばらつき
および移動時におけるパネルの姿勢変化を考慮してパネ
ルの水平方向への遊びを必要とすることから、図１１に
示す如く、一端部に走行ローラａを枢支した支持軸ｂの
他端部に切欠部ｃを形成し、パネルｄの上框ｅから止め
ねじｆを上記切欠部ｃに臨ませて突出させ、該切欠部ｃ
の切欠幅の遊びを形成するように構成されているため、
ローラチェンｇに吊持されるパネルｄの左右方向への移
動で切欠部ｃが止めねじｆに当接してしまい、切欠部ｃ
の側壁に欠損断面が生じ易く、繰返しの当接により支持
軸ｂの強度が低下する危惧を有し、最悪の場合にはパネ
ルが脱落してしまう許りでなく、切欠部ｃを刻設した特
殊な支持軸ｂを用意しなければならず、更には案内レー
ルと収納レールとの間でのパネル継送時に、上記欠損断
面に止めねじｆが当接することにより、パネルの垂下姿
勢にばらつきが発生し、水平あるいは垂直方向への変換
移動に支障を来たし、円滑のシャッターの開閉作動を行
うことができない、という欠点を有するものであった。

【０００４】

【本考案が解決しようとする課題】本考案は、上記の如
き実状に鑑み、従来の欠点を解消すべく創案されたもの
であって、その目的とするところは、パネルを枢支する
支持軸の欠損を一掃し、吊上げ吊り下げ作動時の信頼性
を向上させると共に、水平および垂直方向への変換移動
を円滑に行うことができるパネルシャッターのパネル吊
持構造を提供しょうとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本考案が採用した技術手段は、建物開口部の両側に
吊り下げしたローラチェンに、支持軸を介して複数のパ
ネルを上下方向に連結し、案内レールに沿った昇降移動
から前後方向の収納レールに沿った横移動に上記各パネ
ルを継送すべく、ローラチェンを懸回する誘導スプロケ
ットを案内レール上端部の上方に枢設してなるパネルシ
ャッター装置において、上記支持軸の軸首側には走行ロ
ーラを枢支し、かつ支持軸の軸体側中間部位に大径部を
同軸状に形成すると共に、各パネルの両端側上部に設け
た案内孔には該支持軸を挿通させるストッパーリングを
設け、上記案内孔から所定間隔を存してパネル内方に配
設した中骨に、支持軸の軸体側を支持する補助案内孔を
穿設し、該ストッパーリングと該補助案内孔間で支持軸
の大径部を水平方向摺動自在に軸支し、該ストッパーリ
ングの外周にはパネルの板厚よりも径の大きい回転リン
グを回転自在に装着したことを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】したがって、本考案によれば、支持軸による水
平方向への遊びを確保しつつ、支持軸の強度を確保する
ことができ、走行ローラとパネルとの姿勢関係を円滑か
つ確実に保持することができる。また、ストッパーリン
グの外周にパネル板厚よりも大きい径の回転リングを回
転自在に設けたので、各パネルが立姿状態において、隣
接するパネル同士の衝接が良好に規制される。

【０００７】

【実施例】本考案の構成を、図面に示した一実施例につ
いて詳細に説明する。図において、１は建物の開口部に
設置されたパネルシャッター、２は該パネルシャッター
１のシャッターカーテン、３、３は開口部の左右両側に
立設された案内レール、４は開口部上方の室内側に設け
られたシャッター収納ケースであって、シャッターカー
テン２は、複数のパネル５、５…の各両端側に走行ロー
ラ６、６…を枢支してなる支持軸７、７…を設け、この
支持軸７、７…に上下所定間隔を存して左右各一連のロ
ーラチェン８、８に連結して形成されている。また、上
記ローラチェン８、８の余長部は、案内レール３、３上
端部の上方に設けられた誘導スプロケット９、９に噛合
され、その端部はシャッター収納ケース４の後方に止着
されている。

【０００８】上記シャッター収納ケース４内の両側壁に
は、断面Ｌ字状の収納レール１０、１０が設けられてお
り、案内レール３、３から垂直方向に送られてきたパネ
ル５、５…は、上記誘導スプロケット９、９を介して収
納レール１０、１０に継送された時点で平行状に垂下し
た状態に保持され、支持軸７、７…に枢支した走行ロー
ラ６、６…により順次シャッター収納ケース４の後方に
送られるようになっている。

【０００９】上記支持軸７、７…は、パネル５、５…を
構成する両側部の塞ぎ板１１、１１に穿設した案内孔１
２、１２と、中骨１３、１３に穿設した補助案内孔１
４、１４に挿入されて、回動自在にパネル５、５に枢着
されていると共に、上記支持軸７、７の軸体側には、案
内孔１２、１２から補助案内孔１４、１４に至る間で、
該支持軸７、７の水平摺動を規制する大径部１５が設け
られている。また、上記支持軸７、７の軸首側には、走
行ローラ６、６を枢支する第１軸部１６と、ローラチェ
ン８、８の連結リング１７、１７…を挿通する第２軸部
１８が同軸状に形成されており、上記連結リング１７、
１７…と走行ローラ６、６との間にはカラーリング１
９、１９が嵌装されている。

【００１０】一方、上記パネル５、５…の塞ぎ板１１、
１１には、フランジ部２０ａ、２０ａおよび規制リング
部２０ｂ、２０ｂからなるストッパーリング２０、２０
が、支持軸７、７…の大径部１５に対向して該支持軸
７、７…と同軸状に嵌装されており、上記ストッパーリ
ング２０、２０を嵌装した案内孔１２、１２と補助案内
孔１４、１４との間で、前記支持軸７、７…の大径部１
５の水平方向の摺動を規制するように構成されている。
なお、２１は第２軸部１８から大径部１５に至る間に形
成されたテーパ部、２２はストッパーリング２０、２０
のフランジ部２０ａ、２０ａに穿設された固定用ねじ
孔、２３は走行ローラ６、６の抜け止めピンである。

【００１１】叙上の如き構成において、収納ケース４内
に納められた図示しないシャッター開閉機により誘導ス
プロケット９、９を吊上げ方向に回転駆動すると、垂直
平面状に配列されて開口部を閉鎖していたシャッターカ
ーテン２は、ローラチェン８、８を介して上位のパネル
５から、垂直の案内レール３、３から水平方向のパネル
収納レールに順次受け渡され、平面状に配列していたパ
ネル５、５…は並列状態を保持してシャッター収納ケー
ス４の後方に送り込まれ、開口部が開放される。

【００１２】また、開口部の閉鎖作動は、誘導スプロケ
ット９、９を吊下げ方向に回転駆動することにより、並
列状に収納されていたパネル５、５…は順次シャッター
収納ケース４の後方から前方の誘導スプロケット９、９
側へ引き出され、該誘導スプロケット９、９を通過する
毎に垂直平面状に配列されて案内レール３、３に沿いな
がら降下し、開口部が閉鎖されることになる。

【００１３】このようなシャッター１の開閉作動で、各
パネル５、５…は誘導スプロケット９、９での方向変換
時あるいは垂直、水平移動時に、パネル同志の衝接やロ
ーラチェンとの噛合、離脱の衝撃で、パネル５、５が水
平方向へ摺動したり、支持軸７、７を回動中心として前
後方向に揺動するが、支持軸７、７は、補助案内孔１
４、１４とストッパーリング２０、２０の規制リング２
０ｂ、２０ｂとの間で大径部１５の水平方向の摺動が規
制され、かつ支持軸７、７自体が各案内孔１２および補
助案内孔１４内で回動するため、パネル５、５の左右方
向および前後方向の動きが円滑に行われ、従来のような
欠損断面が皆無となり、各パネル５、５の移動を確実か
つ速やかに行うことができる。

【００１４】なお、図５に示す如く、支持軸７、７…の
ローラチェン８、８連結部位と走行ローラ６、６との間
に嵌装されたカラーリング１９、１９とは別に、支持軸
７、７…のテーパ部２１に、該テーパ部２１の傾斜形状
に対応する挿通孔２３を形成した補強リング２４を嵌装
固定すれば、支持軸７、７…にかかるローラチェン８、
８による水平方向の押出し力、引張り力が増大し、パネ
ル５、５…が重量パネルで構成されている場合でも、パ
ネル５、５…の横移動を容易に行うことができる。ま
た、図８に示す如く、ストッパーリング２０、２０の規
制リング部２０ｂ、２０ｂおよび補助案内孔１４の内面
に、オイルレスメタル、耐摩耗性樹脂等からなる摺動部
材２５、２５を装着するように構成すれば、より円滑な
支持軸７、７…の摺動作動を確保することができる。

【００１５】更に、図９および図１０に示す如く、スト
ッパーリング２０、２０のフランジ部２０ａ、２０ａの
外周にベアリング２６、２６…を嵌込み、その外側にパ
ネル５、５…の板厚ｔより径の大きい耐摩耗性樹脂から
なる回転リング２７、２７を回転自在に装着すれば、隣
接するパネル５同志の衝接が未然に防止され、円滑なパ
ネル５、５…の移動を行うことができる。

【００１６】

【考案の効果】これを要するに、本考案は、建物開口部
の両側に吊り下げしたローラチェンに、支持軸を介して
複数のパネルを上下方向に連結し、案内レールに沿った
昇降移動から前後方向の収納レールに沿った横移動に上
記各パネルを継送すべく、ローラチェンを懸回する誘導
スプロケットを案内レール上端部の上方に枢設してなる
パネルシャッター装置において、上記支持軸の軸首側に
は走行ローラを枢支し、かつ支持軸の軸体側中間部位に
大径部を同軸状に形成すると共に、各パネルの両端側上
部に設けた案内孔には該支持軸を挿通させるストッパー
リングを設け、上記案内孔から所定間隔を存してパネル
内方に配設した中骨に、支持軸の軸体側を支持する補助
案内孔を穿設し、該ストッパーリングと該補助案内孔間
で支持軸の大径部を水平方向摺動自在に軸支し、該スト
ッパーリングの外周にはパネルの板厚よりも径の大きい
回転リングを回転自在に装着したから、従来のような止
めねじによる支持軸の欠損を一掃することができ、吊上
げ吊り下げ作動時の信頼性を向上させると共に、水平お
よび垂直方向へのパネルの変換移動を円滑に行うことが
でき、支持軸による水平方向への遊びを確保しつつ、支
持軸の強度を確保し得て、パネルシャッターの開閉作動
を円滑かつ確実に行うことができる。また、ストッパー
リングの外周にパネル板厚よりも大きい径の回転リング
を回転自在に設けたので、各パネルが立姿状態におい
て、隣接するパネル同士の衝接が良好に規制され、収納
ケース内におけるパネルの移動を円滑に行うことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】屋外側から見た全体斜視図である。

【図２】同上要部正面図である。

【図３】支持軸、ローラチェンおよびパネルの連結状態
を示す要部作用説明図である。

【図４】同上要部正面図である。

【図５】同上要部側面図である。

【図６】ストッパーリングの縦断面図である。

【図７】支持軸の全体側面図である。

【図８】他の実施例を示す作用説明図である。

【図９】回転リングを装着した他の実施例を示す正面図
である。

【図１０】同上側面図である。

【図１１】従来例を示す作用説明図である。

【符号の説明】

１ パネルシャッター ３ 案内レール ５ パネル ７ 支持軸 ８ ローラチェン ９ 誘導スプロケット １０ 収納レール １２ 案内孔 １３ 中骨 １４ 補助案内孔 １５ 大径部 ２０ ストッパーリング

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】建物開口部の両側に吊り下げしたローラチ
   ェンに、支持軸を介して複数のパネルを上下方向に連結
   し、案内レールに沿った昇降移動から前後方向の収納レ
   ールに沿った横移動に上記各パネルを継送すべく、ロー
   ラチェンを懸回する誘導スプロケットを案内レール上端
   部の上方に枢設してなるパネルシャッター装置におい
   て、上記支持軸の軸首側には走行ローラを枢支し、かつ
   支持軸の軸体側中間部位に大径部を同軸状に形成すると
   共に、各パネルの両端側上部に設けた案内孔には該支持
   軸を挿通させるストッパーリングを設け、上記案内孔か
   ら所定間隔を存してパネル内方に配設した中骨に、支持
   軸の軸体側を支持する補助案内孔を穿設し、該ストッパ
   ーリングと該補助案内孔間で支持軸の大径部を水平方向
   摺動自在に軸支し、該ストッパーリングの外周にはパネ
   ルの板厚よりも径の大きい回転リングを回転自在に装着
   したことを特徴とするパネルシャッターのパネル吊持構
   造。