JP2571985B2 - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動部材、特に、相手部
材との摺動面を持つ表面層を備えた摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種摺動部材として、Al合金
製母材のスカート部外周面に、その耐摩耗性の向上を狙
って金属メッキ層よりなる表面層を設けた内燃機関用ピ
ストンが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、内燃機
関が高速、且つ高出力化の傾向にある現在の状況下で
は、従来の表面層は、その硬度が低いために耐摩耗性が
乏しく、また強度も低いという問題がある。
【0004】本発明は前記に鑑み、表面層の金属結晶構
造を特定することによって、その高硬度化を実現し、こ
れにより表面層の耐摩耗性および強度を向上させた前記
摺動部材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、相手部材との
摺動面を持つ表面層を備えた摺動部材において、前記表
面層は、前記摺動面を形成すべく、2次すべり面を摺動
面側に向けた体心立方構造を持つ金属結晶を有し、前記
摺動面における前記2次すべり面の面積率を50%以上
に設定したことを特徴とする。ここで、2次すべり面と
は、金属結晶のすべり方向を含んだ面であって、原子密
度が最密面の次に高い面をいう。
【0006】
【実施例】図1,図2において、摺動部材としての内燃
機関用ピストン1はAl合金製母材2を有し、その母材
2のスカート部3外周面に表面層4が設けられる。その
表面層4は、シリンダボア内壁(相手部材)5との摺動
面4aを持つ。
【0007】表面層4は電気メッキ処理により形成され
たもので、体心立方構造(以下、bcc構造という)を
持つ金属結晶の集合体より構成される。bcc構造を有
する金属結晶としては、Fe、Cr、Mo、W、Ta、
Zr、Nb、V等の結晶を挙げることができる。
【0008】図3に示すように、bcc構造Aにおける
主すべり面、したがって最密面a1は(110)面(ミ
ラー指数、以下同じ)であり、またすべり方向 2 は<
111>方向である。したがって2次すべり面a3
(211)面または(123)面となる。図示例では、
2次すべり面a3 として(211)面が示されている。
【0009】金属結晶のうち所定のものは、摺動面4a
を形成すべく、2次すべり面a3 を摺動面側に向けてお
り、その摺動面4aにおける2次すべり面a3 の面積率
は50%以上に設定される。
【0010】このように金属結晶に配向性を持たせる
と、表面層4の高硬度化を達成して、その耐摩耗性を向
上させることができる。
【0011】また表面層4におけるクラックの密度を低
くすると共に前記高硬度化を得てその表面層4の強度を
向上させることができる。金属結晶において、2次すべ
り面a3 である(211)面の配向度と、最密面a1
ある(110)面の配向度とは、一方の配向度が増加す
ると他方の配向度が低下する、といった関係を有する。
この場合、(110)面の配向度が増すと、表面層4に
おけるクラックの密度が高くなる傾向があるので、(2
11)面の配向度を増加させることは表面層4の強度を
向上させる上で極めて有益である。前記面積率が50%
未満では、表面層4におけるクラックの密度が高くなる
ため、その表面層4の強度が低下する。
【0012】摺動面4aに沿う仮想面に対する2次すべ
り面a3 の傾きは、表面層4の耐摩耗性に影響を与え
る。そこで、図4に示すように、bcc構造Aの2次す
べり面a3 が仮想面Bに対してなす傾き角θは、0°≦
θ≦30°に設定される。傾き角θがθ>30°になる
と、表面層4の耐摩耗性が低下する。
【0013】以下、具体例について説明する。
【0014】Al合金製母材2のスカート部3外周面に
電気メッキ処理を施してFe結晶の集合体よりなる表面
層4を形成した。
【0015】電気メッキ処理条件は次の通りである。メ
ッキ浴:硫酸第1鉄浴;メッキ浴pH:3以下(一
定);添加剤:尿素、ホウ酸、サッカリン、硫酸アンモ
ニウム;メッキ浴温度:60℃;陰極電流密度:8A/
dm2
【0016】図5は、表面層4におけるFe結晶のX線
回折図であり、ピークb1 が2次すべり面a3 である
(211)面に、またピークb2 が最密面a1 である
(110)面にそれぞれ該当する。本図より、表面層4
には、2次すべり面a3 が、摺動面4aに沿う仮想面B
に平行な平面内に位置するように配向したFe結晶が存
在することが判る。
【0017】この場合、ピークb1 の高さ、したがって
積分強度が高ければ高い程Fe結晶の前記配向度が増
し、その結果、摺動面4aにおける2次すべり面a3
面積率が高くなる。この配向度の調節は、電気メッキ処
理条件を変えることによって行われる。図5の場合、摺
動面4aにおける2次すべり面a3 の面積率は98%で
あり、その摺動面4aにおけるFeの結晶構造は、図6
の電子顕微鏡写真(5,000 倍)に示されている。また2
次すべり面a3 の傾き角θは、0°≦θ≦20°であっ
た。
【0018】図7(a)は、本発明表面層と比較例表面
層との硬さを比較したものであり、また同図(b)は、
本発明表面層と比較例表面層との摩耗量を比較したもの
である。本発明表面層は、摺動面における2次すべり面
3 の面積率が98%のものであり、比較例表面層は結
晶面がランダムに配向したものである。摩耗量の測定
は、チップオンディスク試験機を用いて行われ、試験条
件は、チップに対する荷重:10kgf;ディスクの材
質:炭素鋼(S48C材)の窒化処理材;ディスクの回
転速度:0.5m/sec ;摺動距離:1000m;であ
る。
【0019】図7(a),(b)から明らかなように、
本発明表面層は比較例表面層に比べて高硬度であり、そ
の結果、優れた耐摩耗性を示す。
【0020】図8(a)は、本発明表面層、比較例表面
層および参考例表面層におけるクラックの密度を比較し
たものであり、また同図(b)は、本発明表面層と比較
例表面層との強度を比較したものである。本発明表面層
および比較例表面層は図7の場合と同じである。参考例
表面層は、摺動面における最密面a1 、したがって(1
10)面の面積率が70%であり、また2次すべり面a
3 の面積率が30%のものである。
【0021】強度の測定値は、次のような条件下で引張
テストを行うことによって求められた。図9はテストピ
ース6を示し、そのテストピース6の寸法は、全長L1
=50mm、両端部の幅W1 =10.5mm、肩部間の長さ
2 =32mm、平行部の長さL3 18mm、平行部の幅
2 =6mm、厚さ20μmである。このような箔状テス
トピース6は、それと同一寸法のステンレス板に電気メ
ッキ処理を施すことによって、前記表面層4と同一構成
のテストピースを形成し、次いでテストピース6をステ
ンレス板から剥離する、といった方法により製作され
た。テスト条件は、室温下、引張速度20mm/min であ
る。
【0022】図8(a),(b)から明らかなように、
クラックの密度において、本発明表面層は比較例表面層
と同等の極めて低い値を示すが、強度においては本発明
表面層は比較例表面層よりも優れている。これは、クラ
ックの密度が低いだけでなく、高硬度であることに起因
する。
【0023】なお、図8(a)より、参考例表面層にお
いては、(110)面の配向度が増加しているためにク
ラックの密度が極めて高くなることが判る。
【0024】図10は、表面層4の他例におけるFe結
晶のX線回折図であり、ピークb1が2次すべり面a3
である(211)面に、またピークb2 が最密面a1
ある(110)面にそれぞれ該当する。この場合、摺動
面4aにおける2次すべり面a3 の面積率は53%であ
り、その摺動面4aにおけるFeの結晶構造は、図11
の電子顕微鏡写真(5,000 倍)に示されている。また2
次すべり面a3 の傾き角θは0°≦θ≦20°であっ
た。
【0025】なお、本発明は前記ピストンに限らず、ス
テム部に表面層を設けた内燃機関用吸、排気バルブ、被
支持部に表面層を設けた内燃機関用ロッカ軸、ジャーナ
ル部に表面層を設けた内燃機関用カム軸等の摺動部材に
適用される。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、表面層の金属結晶構造
を前記のように特定することによって、その表面層の高
硬度化を達成して耐摩耗性および強度を向上させた摺動
部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピストンの側面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】体心立方構造の2次すべり面等を示す斜視図で
ある。
【図4】体心立方構造における2次すべり面の傾きを示
す説明図である。
【図5】表面層におけるFe結晶のX線回折図である。
【図6】摺動面におけるFeの結晶構造を示す顕微鏡写
真である。
【図7】(a)は、本発明表面層および比較例表面層の
硬さを示すグラフであり、(b)は、本発明表面層およ
び比較例表面層の摩耗量を示すグラフである。
【図8】(a)は、本発明表面層、比較例表面層および
参考例表面層におけるクラックの密度を示すグラフであ
り、(b)は、本発明表面層および比較例表面層の強度
を示すグラフである。
【図9】テストピースの平面図である。
【図10】表面層の他例におけるFe結晶のX線回折図
である。
【図11】摺動面の他例におけるFeの結晶構造を示す
顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 ピストン(摺動部材) 4 表面層 4a 摺動面 5 シリンダボア内壁(相手部材) A 体心立方構造 a3 2次すべり面

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相手部材(5)との摺動面(4a)を持
    つ表面層(4)を備えた摺動部材において、前記表面層
    (4)は、前記摺動面(4a)を形成すべく、2次すべ
    り面(a3 )を摺動面側に向けた体心立方構造(A)を
    持つ金属結晶を有し、前記摺動面(4a)における前記
    2次すべり面(a3 )の面積率を50%以上に設定した
    ことを特徴とする摺動部材。
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