JP2571088Y2 - ガスバーナの火移り炎口 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、グリル用プレスバー
ナ等のガスバーナの火移り炎口に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種のガスバーナにおける火移
り炎口は、たとえば、図８及び図９に示されているよう
に、複数の炎口部８′をスポット部４′で相互に連通し
て並設した火移り炎口部において、特に、スポット部
４′における固着部１４′と炎口端面３ａ′とが至近距
離にあり、炎口端面３ａ′はその炎口幅ｔ′がオリフィ
ス幅ｔと同一で狭い開口に形成され、炎口３の長さｌ″
も短い。

【０００３】したがって、たとえば、バーナの能力を最
小に絞ったときとか、ガス供給圧が低下したとき等に、
スポット部４′のガス量が固着部１４′に遮られて不足
し、その火移り炎がスポット部４′で途切れてしまい、
一方のバーナ本体から他方のバーナ本体への火移りが正
常に行われないという問題点があった。

【０００４】そこで、たとえば、図１０に示されている
ように、炎口３′の下部を前方へ延長して炎口前面に樋
状のガス停滞部１′を設け、該ガス停滞部１′でスポッ
ト部４′からの混合ガスを滞溜させることにより炎口部
８′の混合ガスと合流して一連の火移り炎ａ′が形成さ
れるようにしたものはすでに実施されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかし、前記従来の技
術では、炎口前面に樋状のガス停滞部１を設けているの
で、ガス流の停滞により途切れることのない一連の火移
り炎ａ′は形成されるものの、たとえば、上方排気式の
グリルの場合、上方の排気口から侵入する煮こぼれ汁、
塵埃等がガス停滞部１に受止められて溜まり、早期に炎
口詰りを惹起するという問題点があった。

【０００６】この考案は、従来の技術の有する斯かる問
題点に鑑み、供給ガス量に相応した一連の火移り炎が途
切れることなく形成されるは勿論、ドラフトによる外乱
を防止するとともに、煮こぼれ汁、塵埃等の侵入による
炎口詰り等にも対処できるガスバーナの火移り炎口の提
供を目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この考案のガスバーナの火移り炎口は、たとえば、
実施例に対応する図１〜図７に示されているように、相
対向するバーナ本体Ａ、Ａと、該バーナ本体Ａ、Ａの一
方から他方への火移り炎口部Ｂとを有するＵ字状バーナ
において、該火移り炎口部Ｂの先端上部にガスを均圧に
減速して停滞させる一連の庇１を拡開して設けるととも
に、その下部先端にはドラフトによる外乱を防止する一
連の舌片２を下方へ折曲げて設けたことを主要な特徴と
している。

【０００８】また、舌片２の基端折曲げ部分を炎口３と
したことをも特徴としている。

【０００９】

【作用】この考案のガスバーナの火移り炎口は、上記の
ように構成したから、特に、スポット部４において、混
合ガスがそのオリフィス４ａから庇１による拡開炎口部
４ｂに至ると、均圧に減速されて停滞し横方向にも拡が
って炎口部８からの混合ガスと合流し各々の先端炎口３
から均等に、しかも、ゆるやかに噴出して燃焼し、常時
途切れることのない一連の火移り炎ａを形成する。

【００１０】また、庇１の下部先端に下方へ折曲げた一
連の舌片２を設け、かつ、該舌片２の基端折曲げ部分を
炎口３としたから、庇１と舌片２の先端面より引込んだ
位置の炎口３に形成される火移り炎ａは、舌片２による
外乱防止と相まってリフトせず安定燃焼する。

【００１１】さらに、炎口３は庇１の端面より引込んだ
位置にあるから、煮こぼれ汁、塵埃等による炎口詰りが
生ずることはない。

【００１２】

【実施例】以下この考案のガスバーナの火移り炎口の一
実施例について図面を参照して説明する。

【００１３】図示した実施例は、グリル用プレスバーナ
の火移り炎口にこの考案を適用したものであって、Ａ、
Ａは相対向するバーナ本体で、混合室５、５の内側に多
数の主炎口６、６を一定の間隔を存して並設した構成と
なっている。

【００１４】Ｂは前記バーナ本体Ａ、Ａの一方から他方
へ火移しをするための火移り炎口部で、バーナ本体Ａ、
Ａの基端部に連設され、混合管７の内側に複数の炎口部
８を相当幅広のスポット部４で相互に連通して並設した
構成となっている。

【００１５】前記炎口部８は開口面積の大きいストレー
ト状に形成されており、スポット部４はオリフィス４ａ
と拡開炎口部４ｂとからなり、開口面積の小さい扁平状
に形成されている。

【００１６】前記した相対向するバーナ本体Ａ、Ａと火
移り炎口部ＢとをもってＵ字状バーナを形しており、こ
のＵ字状バーナは、ステンレス鋼板等の金属板でバーナ
上板９とバーナ下板１０とをプレス成型によって各別に
作り、これらを重ね合せてスポット溶接等により位置決
めし、周縁をカシメ等で気密に一体結合して構成され、
前記バーナ本体Ａ、Ａ及び火移り炎口部Ｂと混合室５、
５及び７を介して連通する混合管１１を有している。

【００１７】火移り炎口部Ｂのスポット部４は、相隣接
する炎口部８間に相当幅広に形成され、そのオリフィス
４ａは、バーナ上板９に設けた上向き凹部４ａ′とバー
ナ下板１０に設けた下向き凹部４ａ″を密接し、これら
をスポット溶接により溶着した固着部１４によりそのオ
リフィス幅ｔを決め、かつ、上向き凹部４ａ′の長さｌ
だけのオリフィス４ａを形成している。

【００１８】１は、火移り炎口部Ｂの先端上部に上方へ
拡開して設けた一連の庇で、バーナ上板９の先端を一定
の長さｌ′だけ上方へ膨出して一体に設けられ、バーナ
下板１０の先端とで炎口部８の炎口１２と同一幅の炎口
幅ｔ′を有する一定長さｌ″の拡開炎口部４ｂを形成し
ている。

【００１９】２は火移り炎口部Ｂの下部先端に下方へ折
曲げて設けた一連の舌片で、バーナ下板１０の先端を一
定の長さｌ″′だけ下方へ屈折して一体に設けられてい
る。

【００２０】前記舌片２としては、図３〜図６の実施例
のように、下方へ斜状に折曲げて形成するほか、なお、
斜状に折曲げ形成する場合の最小角度θは、たとえば、
４５°〜６０°程度とするのが望ましく、また、その端
面２ａは庇１の端面１ａと略同レベルであることが望ま
しい。

【００２１】３はスポット部４の炎口で、舌片２の基端
折曲げ部分に形成され、庇１の端面１ａと舌片２の端面
２ａとで形成される一定幅ｔ″の開口１３には炎を形成
せず、該開口１３より舌片２の長さｌ″′だけ引込んだ
位置に形成されている。

【００２２】前記構成において、混合管１１からの混合
ガスは、それぞれの混合室７、５、５を介してバーナ本
体Ａ、Ａ及び火移り炎口部Ｂに供給され、バーナ本体
Ａ、Ａの一方にスパーク等によって着火すると、バーナ
本体Ａ、Ａの他方に火移り炎口部Ｂを介して火移りし燃
焼するものである。

【００２３】そこで、火移り炎口部Ｂのスポット部４に
おいて、混合ガスがそのオリフィス４ａから庇１による
拡開炎口部４ｂに至ると、均圧に減速されて停滞し横方
向にも拡がって炎口部８からの混合ガスと合流し各々の
先端炎口３から均等に、しかも、ゆるやかに噴出して燃
焼し、炎口部８による炎と連なった途切れのないガス量
に相応した一連の火移り炎ａを形成する。

【００２４】また、庇１の下部先端に下方へ折曲げた一
連の舌片２を設け、かつ、該舌片２の基端折曲げ部分を
炎口３としているから、該炎口３に形成される火移り炎
ａは、その下部が舌片２でカバーされているため、炎ａ
のドラフトによる外乱ｂに影響されず、火移り炎ａはリ
フトすることなく常時安定燃焼する。

【００２５】したがって、スポット部４が相当幅広であ
っても、炎口部８の炎ａ′がスポット部４の炎ａ″より
やや大きい途切れのないガス量に相応した一連の火移り
炎ａが形成されるものである（図５参照）。

【００２６】さらに、スポット部４における炎口３は、
庇１の端面１ａより一定の長さｌ″′だけ引込んだ位置
に形成されているから、炎口３は庇１でカバーされるた
め、上方排気式のグリル等に使用した場合でも煮こぼれ
汁、塵埃等の侵入による炎口詰りが生ずるおそれはな
い。

【００２７】

【考案の効果】この考案によるガスバーナの火移り炎口
は、火移り炎口部の先端上部の庇により形成される拡開
炎口部で混合ガスが均圧に減速されて停滞し横方向にも
拡って各々の先端炎口から均等に、しかもゆるやかに噴
出して燃焼する構成としたから、供給ガス量に相応した
火移り炎が途切れることなく一連に形成される。したが
って、バーナの能力を最小に絞ったときとか、ガス供給
圧が低下したとき等でも安定した火移り炎が形成される
ものである。

【００２８】また、火移り炎口部の下部先端に下方へ折
曲げた一連の舌片を設け、かつ、該舌片の基端折曲げ部
分を炎口としたから、庇と舌片の先端面より一定の寸法
だけ引込んだ位置にある炎口に形成される火移り炎は、
舌片により外乱が防止されるため、常時安定燃焼する。

【００２９】さらに、炎口は庇の端面より引込んだ位置
にあるため、上方排気式のグリル等に使用した場合でも
該炎口は庇でカバーされているから、煮こぼれ汁、塵埃
等の侵入による炎口詰り等の弊害は生じない。

【００３０】したがって、特に、バーナの能力を最小に
絞ったときとか、ガス供給圧が低下したとき等における
火移り性能は向上し、また、炎口詰りもないので使用上
安全である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案によるガスバーナの火移り炎口の一実
施例を示した全体平面図である。

【図２】同正面図である。

【図３】要部の一部を拡大して示した半断正面図であ
る。

【図４】図３のＸ−Ｘ線における断面図である。

【図５】同一部切欠平面図である。

【図６】要部の拡大断面図である。

【図７】異なる実施例の同断面図である。

【図８】従来例の要部だけの正面図である。

【図９】その断面図である。

【図１０】改良された従来例の断面図である。

【符号の説明】

Ａ バーナ本体 Ｂ 火移り炎口部 １ 庇 ２ 舌片 ３ 炎口

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 相対向するバーナ本体（Ａ）、（Ａ）
   と、該バーナ本体（Ａ）、（Ａ）の一方から他方への火
   移り炎口部（Ｂ）とを有するＵ字状バーナにおいて、該
   火移り炎口部（Ｂ）の先端上部にガスを均圧に減速して
   停滞させる一連の庇（１）を拡開して設けるとともに、
   その下部先端にはドラフトによる外乱を防止する一連の
   舌片（２）を下方へ折曲げて設けたことを特徴とするガ
   スバーナの火移り炎口。
2. 【請求項２】 舌片（２）の基端折曲げ部分を炎口
   （３）とした請求項１記載のガスバーナの火移り炎口。