JP2569625Y2 - ワーク保持装置 - Google Patents

ワーク保持装置

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JP2569625Y2
JP2569625Y2 JP1992008810U JP881092U JP2569625Y2 JP 2569625 Y2 JP2569625 Y2 JP 2569625Y2 JP 1992008810 U JP1992008810 U JP 1992008810U JP 881092 U JP881092 U JP 881092U JP 2569625 Y2 JP2569625 Y2 JP 2569625Y2
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正徳 松本
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Suzuki Motor Co Ltd
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、それぞれ中心部に挿通
孔を有した複数のワークを互いに同心上に重ね合わせ、
さらにこれら重ね合わせたワークの挿通孔内にシャフト
を挿通させる場合に適用するワーク保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、トランスミッションに適用さ
れるシンクロナイザハブは、その外周域にシンクロナイ
ザスリーブをスプライン結合させ、さらにその両端にそ
れぞれシンクロナイザリングを同心上に保持した状態
で、インプットシャフトやアウトプットシャフトに圧入
保持される。
【0003】そこで従来では、図5および図6に示すよ
うに、一対のワーク保持装置10,10を適用し、これ
らシンクロナイザハブW1 、シンクロナイザスリーブW
2 および一対のシンクロナイザリングW3 ,W3 を予め
重ね合わせた状態に保持させることにより、図示してい
ないインプットシャフトやアウトプットシャフトへの圧
入作業の容易化を図るようにしている。
【0004】ワーク保持装置10は、それぞれ半円弧状
を成す素材に切削加工を施すことによって、その内周面
に凹部11を有した断面コの字状に形成されており、該
凹部11を構成する三方の壁部10a,10b,10c
によって互いに重ね合わせた状態のシンクロナイザハブ
W1 、シンクロナイザスリーブW2 および一対のシンク
ロナイザリングW3 ,W3 の外周面および両端面を覆う
ことにより、これらの互いに離反する方向への移動を規
制するようにしている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
ワーク保持装置10は、上述したように素材に切削加工
を施すことによって成形されているため、その加工作業
が煩雑で、かつ加工時間も長く、製造コストの著しい増
大が招来される。
【0006】また、上記三方の壁部10a,10b,1
0cによって上記シンクロナイザハブW1 、シンクロナ
イザスリーブW2 および一対のシンクロナイザリングW
3 ,W3 の外周面および両端面を覆うためには、すなわ
ち上記凹部11内にこれらワークW1 ,W2 ,W3 ,W
3 を挿入させるためには、該ワークW1 ,W2 ,W3,
W3 との間にクリアランスcを設けなければならない
が、このクリアランスcがあるため、振動等が加わった
場合には、上記保持装置10,10がワークW1,W2
,W3 ,W3 から容易に脱落する虞れがある。
【0007】本考案の目的は、上記実情に鑑みて、安価
で、かつ確実にワークを保持することのできるワーク保
持装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本考案では、それぞれ中
心部に挿通孔を有した複数のワークを互いに同心上に重
ね合わせ、さらにこれら重ね合わせたワークの挿通孔内
にシャフトを挿通させる場合に適用するワーク保持装置
であって、それぞれ重ね合わせたワークの端面に当接す
る平板状を成し、かつ互いに対応する一側縁部から前記
挿通孔に対向する部位に亘って切欠を形成した一対の当
接部と、これら一対の当接部の他側縁部間を互いに連結
し、かつこれら当接部の間に重ね合わせたワークを配置
した場合に各当接部をそれぞれワークの端面に押圧させ
る連結部とを備えて成り、弾性部材を曲げ加工すること
によってこれら一対の当接部および連結部を一体に成形
している。
【0009】
【作用】上記構成によれば、弾性部材によって一体に成
形された一対の当接部および連結部の弾性力により、複
数のワークが重ね合わされた状態に保持される。
【0010】
【実施例】以下、実施例を示す図面に基づいて本考案を
詳細に説明する。図1は、本考案に係るワーク保持装置
を概念的に示したものである。ここで例示する保持装置
20は、図4に示すように、トランスミッションに適用
されるシンクロナイザハブW1 の外周域にシンクロナイ
ザスリーブW2 を同心上に装着し、さらにその両端にそ
れぞれシンクロナイザリングW3 ,W3 を同心上に装着
した状態に保持するもので、図1に示すように、矩形状
を成す連結部20aと、この連結部20aの両端縁から
それぞれ直角方向に向けて延在され、互いに対向する態
様で配設された一対の当接部20b1 ,20b2 とを有
している。
【0011】連結部20aは、板厚が一様の平板状を成
しており、図3に示すように、上記一対の当接部20b
1 ,20b2 がそれぞれ配設された端部間の距離L1
が、上記シンクロナイザハブW1 、シンクロナイザスリ
ーブW2 および一対のシンクロナイザリングW3 ,W3
を互いに重ね合わせた状態の最大厚さ、すなわち上記シ
ンクロナイザハブW1 に重ね合わせた状態の一対のシン
クロナイザリングW3 ,W3 の両端面間距離とほぼ等し
い長さを有している。
【0012】当接部20b1 ,20b2 は、図2に示す
ように、上記連結部20aから延在した長さL2 がそれ
ぞれ上記シンクロナイザハブW1 、シンクロナイザスリ
ーブW2 および一対のシンクロナイザリングW3 ,W3
を互いに重ね合わせた状態の最大外径、すなわちシンク
ロナイザスリーブW2 の直径よりも短く、かつその半径
よりも長く形成され、またその幅L3 が上記シンクロナ
イザスリーブW2 の直径とほぼ等しく形成されており、
個々の中央部に切欠20c,20cを有するとともに、
個々の両側縁部の互いに対応する部位にそれぞれ一対の
規制部20d,20d…を有している。
【0013】切欠20c,20cは、上記シンクロナイ
ザスリーブW2 の中心に対応する部位からそれぞれ上記
当接部20b1 ,20b2 の先端縁に開口したU字状を
成しており、上記シンクロナイザリングW3 ,W3 の外
径よりも小さく、かつ該シンクロナイザリングW3 ,W
3 の中心部に形成された挿通孔H3 ,H3 の内径よりも
大きな幅L4 ,L4 を有している。
【0014】規制部20d,20d…は、図1に示すよ
うに、上記連結部20aの高さの半分よりもさらに短い
長さの矩形平板状を成しており、上記当接部20b1 ,
20b2 の延在方向に対して直交し、かつ互いに他方の
当接部20b2 ,20b1 に対して近接する向きに突設
されている。
【0015】なお、一方の当接部20b1 の先端部に
は、他方の当接部20b2 から離反する方向に向けて僅
かに傾斜したリップ20e,20eが形成されている。
【0016】このワーク保持装置20では、上述した連
結部20a、一対の当接部20b1,20b2 、規制部
20d,20d…およびリップ20e,20eがそれぞ
れ1mmの板厚を有した炭素工具鋼鋼板(SK5)等の
金属薄板(弾性部材)を曲げ加工することによって一体
に成形されており、該一対の当接部20b1 ,20b2
が弾性的に互いに拡開自在に構成されている。なお、こ
れら一対の当接部20b1 ,20b2 の先端間距離(上
記リップ20e,20eを含まない)は、通常状態にお
いて、上記シンクロナイザハブW1 に重ね合わせた状態
の一対のシンクロナイザリングW3 ,W3 の両端面間距
離よりも狭く構成されている。
【0017】上記のように構成されたワーク保持装置2
0によって上記シンクロナイザハブW1 、シンクロナイ
ザスリーブW2 および一対のシンクロナイザリングW3
,W3 を保持するには、これらを互いに重ね合わせて
装着状態とし、その状態のまま先端側から上記リップ2
0e,20eを介して一対の当接部20b1 ,20b2
間に挿入させることにより、該シンクロナイザスリーブ
W2 の外周面を連結部20aおよび規制部20d,20
d…にそれぞれ当接させればよい。
【0018】この状態においては、図3に示すように、
上記一対の当接部20b1 ,20b2 の先端部が通常状
態よりも互いに離隔した状態となり、その弾性復元力に
よってこれら一対の当接部20b1 ,20b2 がそれぞ
れ上記一対のシンクロナイザリングW3 ,W3 の端面を
押圧することによって該一対のシンクロナイザリングW
3 ,W3 がそれぞれ上記シンクロナイザハブW1 に圧接
された状態に保持されるとともに、上記連結部20aお
よび規制部20d,20d…がシンクロナイザスリーブ
W2 の外周面に当接することによって該スリーブW2 の
保持装置20に対する径方向への移動が規制されるた
め、上記シンクロナイザハブW1 、シンクロナイザスリ
ーブW2 および一対のシンクロナイザリングW3 ,W3
や上記保持装置20に振動等が加わった場合にも、これ
らシンクロナイザハブW1 、シンクロナイザスリーブW
2 および一対のシンクロナイザリングW3 ,W3 から保
持装置20が不用意に脱落することはない。
【0019】一方、上記一対の当接部20b1 ,20b
2 に形成された切欠20c,20cを介してシンクロナ
イザハブW1 の挿通孔H1 に図示していないインプット
シャフトやアウトプットシャフトを圧入した後において
は、上記リップ20e,20eを介して一対の当接部2
0b1 ,20b2 を拡開させれば、上記シンクロナイザ
ハブW1 、シンクロナイザスリーブW2 および一対のシ
ンクロナイザリングW3 ,W3 、さらにはシンクロナイ
ザハブW1 の挿通孔H1 に圧入したシャフト(図示せ
ず)から上記保持装置20を容易に取り外すことができ
る。
【0020】なお、上記実施例では、トランスミッショ
ンに適用されるシンクロナイザハブW1 の外周域にシン
クロナイザスリーブW2 を同心上に装着し、さらにその
両端にそれぞれシンクロナイザリングW3 ,W3 を同心
上に装着した状態に保持する保持装置20を例示してい
るが、本考案はもちろんその他のワークを互いに重ね合
わせた状態に保持する際にも適用することができる。こ
の場合、ワークは必ずしも円形状を成している必要はな
い。また、一対の当接部20b1 ,20b2 の両側にの
み規制部20d,20d…を設けているようにしている
が、当接部をワークの大きさに合致させて形成し、その
先端にも規制部を配設して構わない。この場合、保持装
置に対するワークの移動が完全に阻止されるため、該保
持装置のワークからの脱落を一層確実に防止することが
可能となる。
【0021】また、上記実施例では、保持装置20を金
属薄板を用いて成形しているが、弾性を有する部材であ
れば、樹脂材等、非金属を用いて成形しても構わない。
【0022】
【考案の効果】以上説明したように、本考案に係るワー
ク保持装置によれば、一対の当接部および連結部がそれ
ぞれ弾性部材によって成形されているため、これらの弾
性力によってワークを確実に重ね合わせた状態に保持す
ることができる。
【0023】しかも、上記一対の当接部および連結部を
それぞれ曲げ加工によって一体に成形しているため、そ
の加工を容易に、かつ短時間に行うことができ、製造コ
ストの増大を可及的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本考案に係るワーク保持装置を概念的
に示した斜視図である。
【図2】図2は、その平面図である。
【図3】図3は、図2における III−III 線断面図であ
る。
【図4】図4は、本考案に係る保持装置を適用するワー
クを概念的に示した分解断面側面図である。
【図5】図5は、従来のワーク保持装置を概念的に示し
た平面図である。
【図6】図6は、図5における VI−VI 線断面図であ
る。
【符号の説明】
20a 連結部 20b1 ,20b2 当接部 20c 切欠 H1 ,H3 挿通孔 W1 ,W2 ,W3 ワーク

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ中心部に挿通孔を有した複数の
    ワークを互いに同心上に重ね合わせ、さらにこれら重ね
    合わせたワークの挿通孔内にシャフトを挿通させる場合
    に適用するワーク保持装置であって、 それぞれ重ね合わせたワークの端面に当接する平板状を
    成し、かつ互いに対応する一側縁部から前記挿通孔に対
    向する部位に亘って切欠を形成した一対の当接部と、 これら一対の当接部の他側縁部間を互いに連結し、かつ
    これら当接部の間に重ね合わせたワークを配置した場合
    に各当接部をそれぞれワークの端面に押圧させる連結部
    とを備えて成り、弾性部材を曲げ加工することによって
    これら一対の当接部および連結部を一体に成形したこと
    を特徴とするワーク保持装置。
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