JP2568481B2 - 被覆顔料およびその製造法 - Google Patents

被覆顔料およびその製造法

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JP2568481B2 JP62112713A JP11271387A JP2568481B2 JP 2568481 B2 JP2568481 B2 JP 2568481B2 JP 62112713 A JP62112713 A JP 62112713A JP 11271387 A JP11271387 A JP 11271387A JP 2568481 B2 JP2568481 B2 JP 2568481B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は鱗片状無機粉体の粒子表面が、酸化チタンと
酸化アルミニウムによって、順次、積層被覆されている
被覆顔料およびその製造法に関する。
更に詳しくは、特性としては白色度が高く、油性物質
や水に漏れても色くすみする度合が低く、表面光沢が少
なく、光沢光が青味がかった色調を示さない、光学的特
性を具備し、かつ皮膚(肌)の上に塗着すると良好な伸
展性(伸び)と付着性(付き)を発揮する、新規な被覆
顔料およびその製造法に関する。
(従来の技術) 従来、ケーキ状のメイクアップ化粧品は、雲母,セリ
サイト,タルク,カオリンのような鱗片状の無機粉体を
体質顔料に用い、これに酸化チタンなどの白色顔料、少
量の着色顔料、油性物質などのバインダーを混合して調
製されている。
ところが、雲母,セルサイト,タルク,カオリンのよ
うな鱗片状の無機粉体は、天然に産する鉱物を粉砕した
ものであるので、結晶格子中に含まれる微量の鉄などの
影響でやや灰色味や褐色味を帯びている。そのため、こ
れらを配合した化粧料は、やや灰色ないしは褐色に色が
すくみ、また、皮膚上に塗布した場合、時間が経つにつ
れて汗や皮脂で濡れて更に色がくすんでくる、という欠
点があった。
また、感触,使用感について見てみると、雲母,セリ
サイトは皮膚上での伸展性が比較的良いものの、皮膚へ
の付着性に欠けており、タルク,カオリンは、皮膚上で
の付着性は比較的良いものの、皮膚上での伸展性が不充
分である、という欠点を有する。
一方、雲母の代わりに、特公昭51−6172号公報記載の
方法にて得られる、雲母表面に薄膜状に酸化チタン微粒
子を密に被覆した雲母チタンをメイクアップ化粧料に配
合すると、皮膚上での伸展性は良好になり、しかも、皮
膚への付着力が雲母に比べて良くなり、また色のくすみ
という現象も緩和される。しかしながら、雲母チタン顔
料は、雲母表面の酸化チタン薄膜による光干渉で銀白
色,金色などの真珠光沢が生じるので、表面光沢が大き
くなり、好ましくない。
また、特開昭51−6172号公報記載の方法の中間生成物
として得られる酸化チタン水和物被覆雲母も、上述の雲
母チタン程ではないが、真珠光沢が生じ、好ましくな
い。
特開昭58−149959号公報には、雲母上の金属酸化物層
が、酸化チタンに加えて二酸化ケイ素及び酸化アルミニ
ウムが存在する均質混合層として形成されていることを
特徴とする真珠光沢顔料およびその製造方法が開示され
ているが、これらの顔料は仕込条件により深青色,緑
色,金色等の干渉色を生じるので、白色度が小さく、表
面光沢が大きくなり、好ましくない。
これらの欠点を改良する目的で、特開昭60−94463号
公報には、雲母に硫酸バリウム(第一層)と酸化チタン
(第二層)を二層状に被覆した顔料が開示されている
が、このものは、第一層目の硫酸バリウム粒子の雲母表
面における被覆率が低いために、顔料表面で被覆層が酸
化チタン(一層)のみからなっている割合が大きく、結
果として青味がかった表面光沢を示す、などの欠点も有
するものであった。
(本発明が解決しようとする問題点) 本発明は、従来技術の難点を悉く解消したものであっ
て、その目的とするところは、(1)白色度が大きい特
性、(2)油性物質,溶剤,水で濡れても色がくすまな
い特性、(3)表面光沢が少なく又、光沢光が青味の色
調を示さない特性、(4)皮膚上での伸展性や付着性に
すぐれている特性を併せ持った新規で有用なる被覆顔料
およびその製造方法を提供することにある。
本発明の製造法の特長は、所定の金属塩を水に溶解
し、粉体を分散させた懸濁液を撹拌下に加熱することに
よって、第一層目の酸化チタン水和物、第二層目の酸化
アルミニウム水和物の沈着が1バッチの工程で実施でき
るという点にあり、工程が極めて省力的,合理的であ
る。
(問題点を解決するための手段) 本発明の上記目的は、鱗片状無機粉体の粒子表面が酸
化チタン水和物によって被覆されており、更にその表面
が酸化アルミニウム水和物によって被覆され、且つ被覆
物質の酸化チタン水和物と酸化アルミニウム水和物の重
量比が、70:30〜30:70であることを特徴とする被覆顔
料。ならびに、水溶性チタン塩、水溶性アルミニウム塩
および尿素が溶解している水溶液中に鱗片状無機粉体を
分散せしめ、この懸濁液を、撹拌下、80〜100℃に加熱
することによって、分解生成するアンモニウムを、前記
のチタン塩とアルミニウム塩に反応せしめ、生成する酸
化チタン水和物と酸化アルミニウム水和物が鱗片状無機
粉体の粒子表面に順次積層沈着した後、この鱗片状無機
粉体を懸濁液から濾別し、水洗,乾燥することを特徴と
する、鱗片状無機粉体の粒子表面が酸化チタン水和物に
よって被覆されており、更にその表面が酸化アルミニウ
ム水和物によって被覆され、且つ被覆物質の酸化チタン
水和物と酸化アルミニウム水和物の重量比が、70:30〜3
0:70である被覆顔料の製造法によって達成される。
本発明の被覆顔料の基本を構成している鱗片状無機粉
体としては、例えば、雲母,セリサイト,タルク,カオ
リン,硫酸バリウム,窒化ホウ素,鱗片状アルミニウム
等を挙げることができる。
基本の鱗片状無機粉体の表面を被覆している被覆物質
の酸化チタン水和物(1)と、酸化アルミニウム水和物
(2)の重量比率は70:30〜30:70の範囲が好ましい。
(1)の比率が70%を超えると被覆層全体の屈折率が高
くなるために被覆層における光干渉が生じ、真珠光沢や
青白い色調が現れるので好ましくない。(1)の比率が
30%未満であると被覆層全体の屈折率が低くなるため
に、油,水,溶剤,で濡れた状態で充分な白色度が得ら
れず、化粧料や塗料に配合した場合、くすんだ色調を与
える。また、皮膚上での伸展性や付着性がわるくなる。
本発明に用いられるこれらの無機粉体の粒径は、通常
1〜100μmの範囲が好適である。
基本の鱗片状無機粉体の表面を被覆している上記被覆
物質の量は、該被覆顔料の総量を基準として、5〜60重
量%である。5重量%未満の場合は、白色度が低下し60
%を超えると、該被覆顔料の粒子同士が凝集し固化を起
しやすく、またそれを配合した化粧料,塗料の伸展性や
付着性がわるくなる傾向にある。
本発明の被覆顔料の製造において用いられる水溶性チ
タン塩としては、例えば、硫酸チタニル,硫酸チタン,
塩化チタン等を挙げることができるが、硫酸チタニルが
最も好ましい。また、水溶性アルミニウム塩としては、
例えば、硫酸アルミニウム,硝酸アルミニウム,塩化ア
ルミニウム,カリウムミョウバン,アンモニウムニョン
バン等を挙げることができるが、硫酸アルミニウムが最
も好ましい。
水溶性チタン塩又は水溶性アルミニウム塩の濃度はそ
れぞれTiO2又はAl2O3換算で3〜50g/が望ましい。上
記濃度が3g/未満であっても被覆処理は可能である
が、1回の被覆処理で製造される被覆顔料が少なくなる
ので経済的ではない。
上記濃度が50g/を超えると、顔料表面に沈着する酸
化チタン水和物や酸化アルミニウム水和物が粗粒子とな
って、伸展性及び付着性が悪くなるので好ましくない。
例えば、水溶性チタン塩に硫酸チタニルを、また、水
溶性アルミニウム塩に硫酸アルミニウムを用いた場合の
化学反応式は次の通りである。
(反応式) (NH22CO+3H2O→ 2NH4OH+CO2 ……(1) TiOSO4+2NH4OH→ TiO(OH)+(NH42SO4 ……(2) Al2(SO4+6NH4OH→ 2Al(OH)+3(NH42SO4 ……(3) 反応式(2)においては、左辺、右辺の数字を合わせ
る関係から酸化チタン水和物をTiO(OH)としている
が、本質はTiO2・nH2Oで表され、含水酸化チタンとも呼
ばれている〔千谷利三、“新版無機化学(全)”、産業
図書、p422(1964);ロビンソン、ヘスロップ、“無機
化学(下)”、斎藤喜彦訳、東京化学同人、p501(196
1)〕。
同様に、反応式(3)において、酸化アルミニウム水
和物をAl(OH)としているが、本質はAl2O3・nH2Oで
表される無定形の酸化アルミニウムのヒドロゲルで、含
水酸化アルミニウムとも呼ばれている〔千谷利三、“新
版無機化学(全)”、産業図書、p390(1964)〕。
反応式(2),(3)の加水分解に伴って水溶性チタ
ン塩及び水溶性アルミニウム塩から生成する酸は、尿素
の加水分解で発生するアンモニアによって中和される。
製造時に必要な尿素の量は、上記加水分解で生成する酸
の中和に必要な量を基準にして、その1倍乃至4倍量で
ある。
尿素が1倍量未満では、反応が遅すぎて好ましくな
い。また、尿素が4倍量を超えると、アンモニアの発生
が過剰になりすぎて沈着する酸化チタン水和物あるいは
酸化アルミニウム水和物の粒子径が大きくなり、得られ
る被覆顔料の伸展性や付着性がわるくなるので好ましく
ない。
前記水溶液中に分散させる鱗片状無機粉体の濃度は20
g/〜200g/が望ましい。20g/未満では一回の製造
操作で得られる顔料量が少なく経済的ではない。又、20
0g/を超えると、それに応じて水溶性チタン塩,水溶
性アルミニウム塩,尿素の濃度も大きくする必要がある
ので、反応が不均一になって沈着する粒子が粗大にな
り、伸展性,付着性がわるくなる傾向がある。
本発明の被覆顔料は、鱗片状無機粉体の表面上を第一
層として酸化チタン水和物が被覆しており、第二層とし
てその上に酸化アルミニウム水和物が被覆している。被
覆層の表面は、走査型電子顕微鏡観察によると50nm以下
の超微粒子で構成されていることが認められる。
本発明の被覆顔料は、被覆層が酸化チタン水和物及び
酸化アルミニウム水和物の二重層から成っており、被覆
層の平均の屈折率が、酸化チタン水和物単独被覆の雲母
チタンの場合と比べて低くなっているので、充分な白色
度を所持しながら顔料の表面光沢が小さく、また青白い
色調を示さないという特長を示す。
本発明の被覆顔料は、鱗片状粉体の表面にある被覆層
が微粒子によって構成されているため皮膚への付着力に
優れ、また、全体として鱗片状であるので、皮膚上でな
めらかな伸びを示す。これらの特長は、化粧料に配合し
たときそのまま発揮される。また、塗料へ配合したとき
も同様に良好な伸展性,付着性を示す。
本発明によれば、前記の優れた特長を有する被覆顔料
は次のようにして製造される。すなわち、水溶性チタン
塩,水溶性アルミニウム塩および尿素が溶解しており、
鱗片状無機粉体が分散している懸濁液を撹拌下に加熱し
80℃以上とし、そのまま前記反応式の(2)及び(3)
の反応が終了するまで加熱し続ける。この加熱時間は通
常2〜15時間の範囲内にある。反応の初期のpH1〜2を
示す期間に反応式(1),(2)が同時に進行し酸化チ
タン水和物が鱗片状無機粉体表面状に沈着する。その後
のpH3以上の領域で反応式(1),(3)が進行するこ
とによって酸化チタン水和物層(第一層)の上に酸化ア
ルミニウム水和物が沈着し、第二層が形成される。
第一層目に酸化チタン水和物、第二層目に酸化アルミ
ニウム水和物が沈着していることは以下の方法によって
確認される。
反応の初期(pH約1〜約2)においては、反応液の一
部をサンプリングし濾過して得られた濾液10mlに、過酸
化水素を5滴加えると、黄色を呈し、チタンイオンの存
在が確認されるが、pH2.5を超えるとチタンイオンは検
出されなくなる。したがって、pH約1〜約2の領域で第
一層目として酸化チタン水和物が沈着し、pH2.5の段階
では、反応式(2)の反応が完了していることが確認さ
れる。
pH2.5〜5.0においては、反応液の一部をサンプリング
し濾過した瀘液に付き下記の「モリンテスト」を行うこ
とにより反応液中にAl3+の存在を認めるがpH5.5を超え
るとAl3+は認められない。したがって、pH2.5以上5.5未
満の領域で、第二層目に酸化アルミニウム水和物が沈着
し、pH5.5の段階では反応式(3)の反応が完了してい
ることが確認される。
「モリンテスト」:モリンのメチルアルコール飽和溶
液でぬらして乾燥した瀘紙に検液を滴加する。乾燥後、
2N−HClを点じてから紫外線の下で観察すると緑色の蛍
光斑点が現れる。
なお、モリンは次の構造式を有するもので、Al3+と蛍
光を発する安定なキレートを生じる。
その後、濾過,水洗,乾燥することによって、酸化チ
タン水和物−酸化アルミニウム水和物で二層被覆された
顔料が生成する。乾燥温度は通常105〜150℃である。
尚、実施例1の本顔料を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、雲母上を50nm以下の超微粒子が密に被覆している
ことが確かめられた。
(1) 顔料の白色度の評価 試料顔料を金皿に打型し、高速分光彩計にて測色し、
L*−a*−b*−表色系(CIE1976)におけるL*値
を指標にして評価した。
(2) 顔料の色くすみ度の評価 試料顔料が流動パルフィンで濡れることによる色差変
化,ΔE値の大小により評価した。
ここで、粉体を金皿に打型したもののL*−a*−b
*−表色系の測色値をL*0,a*0,b*とし、また、顔
料80重量部に流動パラフィン20重量部を均一に混合した
ものを金皿に打型したものの測色値をL*,a*,b*とす
るとき、色差ΔEは次式から求めた。
(3) 顔料の表面光沢の評価 両面テープを貼着した艶なしの黒色紙の表面に試料顔
料を均一に塗布した。
これを変角分光色彩計で、入射角45゜,受光角45゜,
波長430〜700nm条件で分光反射率を測定した。各波長の
分光反射率の値は、入射角45゜,受光角0゜における標
準白色板の各波長の分光反射強度を基準(100)にした
百分率で示した。
得られたデータより表面光沢の大小、表面光沢の
青味の程度を数値的に評価した。
表面光沢度:波長550nmにおける分光反射率に基づ
いて評価した。
表面光沢の青味指数 顔料の表面光沢の青味の度合い(青味指数)は波長45
0nmでの分光反射率(I450)と、波長700nmでの分光反射
率(I700)との比(I450/I700)の大小で評価した。I
450/I700の値が大きい程青味の度合が大きく、1に近い
程無彩色に近い(反射光が白っぽい)ことを表す。
(4) 皮膚表面での伸展性及び付着性の評価 顔料の化粧料(粉白粉等)として必要な性能である皮
膚表面での伸展性(伸びのよさ)および皮膚表面に対す
る付着性(付きのよさ)について、実用テスト(専門検
査員10人)により調べた。スコアは極めて良い(5
点),良い(4点),普通(3点),悪い(2点),極
めて悪い(1点)の5段階とし、10名のスコアの平均値
を求め、次のように表示した。
実施例1 硫酸チタニル(TiO2として100g),硫酸アルミニウム
(Al2O3として100g),尿素650gを溶解させた水13中
に平均粒径10μmの雲母A1.0Kgを分散させた後、撹拌下
に加温し30分で100℃とした。その時のpHは1.5であっ
た。pH1.5及び2.0の時点で反応液をそれぞれ10mlサンプ
リングし、これを濾過した瀘液に過酸化水素水5滴を添
加すると液は黄色を呈し、反応液中にチタンイオンが検
出された。反応液のpHは経時的に上昇した。pH2.5の時
点で反応液をサンプリングし同様に過酸化水素水を添加
したところ液は無色のままであり、チタンイオンは検出
されなかった。したがって、pH2.5未満の領域で第一層
目として酸化チタン水和物が沈着する反応が進行し、pH
2.5では、その反応が完了したことが確認された。
さらに、pH2.5及びpH5.0において、反応液の一部をサ
ンプリングし、濾過した瀘液につきモリン・テストを行
った結果、瀘紙上に緑色の蛍光斑点が生じ、アルミニウ
ムイオンが検出されたが、pH5.5の反応液からは同様の
テストによりアルミニウムイオンが検出されなかった。
別に、硫酸アルミニウムと尿素が溶解している水溶液
を加熱し、100℃で保持する実験より、水溶液中に酸化
アルミニウムの水和物の沈澱生成が認められるpHは約4
であった。
これらより、アルミニウム水和物が第二層として沈着
するpH領域は、pH約4〜5.5未満である。
100℃になってから6時間で加熱を止めた。ついで、
濾過,水洗し、120℃で4時間乾燥して、酸化チタン水
和物−酸化アルミニウム水和物被覆雲母1.20Kgを得た。
この被覆顔料総量中の被覆物質量はTiO2として8.3
%、Al2O3として8.3%であった。
比較例1 特開昭60−94463号公報記載の実施例4に準じて下記
の如く被覆顔料を製造した。
平均粒径10μmの雲母A1.0Kgを水10に懸濁し、塩化
バリウム488gを加え、90℃に加温し、12重量%硫酸チタ
ニル水溶液6.0を100ml/分の流速で撹拌下に滴下し
た。滴下終了後、10重量%水酸化カリウム水溶液約3
を100ml/分の流速で撹拌下に滴下し、pHを5.6とした。
得られた生成物を沈澱させ、濾過,水洗して塩を除去
後、105〜110℃で8時間乾燥させ、800℃で1時間焼成
し、硫酸バリウム−酸化チタン被覆雲母を得た。
電子顕微鏡観察の結果、硫酸バリウム粒子が雲母表面
上に散らばって分布しており、硫酸バリウムが被覆して
いない部分は酸化チタンの微粒子が均一に全面を被覆し
ていた。そのため、後述のようにやや光沢度があり、光
沢光の青味が大きく見られた。
比較例2 特公昭51−6172号公報記載の実施例1に準じて下記の
如く酸化チタン水和物被覆雲母を製造した。
水10に硫酸チタニルをTiO2として1.0Kg及び尿素180
gを溶解し、この水溶液に平均粒径10μmの雲母3.0Kgを
懸濁させた。
次いでこの懸濁液を撹拌しながら85℃に加温し、この
加温撹拌を2時間続けた。次いで濾過,水洗を繰り返
し、得られたスラリーを水に分散させ、5%アンモニア
水を加えてpHを7とした。更に濾過,水洗し100℃で乾
燥した。
顔料総量中の被覆物質の量はTiO2として、25重量%で
ある。
比較例3 硫酸チタニルを使用せず、硫酸アルミニウムの量をAl
2O3として230gとする他は実施例1と同様にして、酸化
アルミニウム水和物被覆雲母を得た。実施例1と比べ
て、被覆層を形成する微粒子の径が大きくなるため、表
1に示すように伸展性,付着性に劣っていた。
比較例4 特開昭58−149959号公報記載の実施例1に準じて酸化
チタン,酸化アルミニウム,酸化ケイ素混合物によって
被覆された被覆顔料を下記のように製造した。
平均粒径10μmの雲母A300gを、水10中に懸濁した
液を75℃に加熱し、塩酸を加えてpHを2.2に調整した。
四塩化チタン15重量%,塩酸5重量%,及び1当たり
20gのAlCl3・6H2Oを含む溶液、並びにNaOH15重量%及び
1当たりSiO2として3.3gを含むケイ酸ナトリウム水溶
液を、pH2.2を維持する速度で同時に徐々に添加した。
青色干渉色が得られた後に溶液の添加を止めた。濾過,
水洗,120゜における乾燥の後800℃で30分間焼成した。
顔料特性の比較,評価 顔料特性を下記の通り比較,評価した。
顔料:実施例1,比較例1〜3,原料に用いた雲母A。
特性:(1)白色度,(2)オイルに濡れたときの色く
すみ度,(3)顔料表面の光沢度,青味指数,(4)皮
膚上での伸展性,付着性。
実施例1,比較例1〜3,原料に用いた雲母Aの顔料特性
の比較,評価結果を表1に示す。
実施例1の顔料は、すべての項目において優れてい
る。
比較例1(硫酸バリウム酸化チタン被覆雲母)は実施
例1に比べて特に表面光沢の青味が現れる欠点の他、伸
展性,付着性にやや劣っている。
比較例2及び3の顔料は、雲母Aに対する被覆物質が
酸化チタン水和単独および酸化アルミニウム水和物単独
のものである。酸化チタン水和物単独被覆だと真珠光沢
が大きく現れ、実施例1に比べ光沢度,青味度,色くす
み度の点で劣っていた。又、酸化アルミニウム水和物単
独だと、伸展性,付着性,色くすみ度が著しく劣ってい
た。同様の方法で調べた結果から判断するとすべての項
目で良好な結果を得るためには、雲母に対する被覆物質
を構成する酸化チタン水和物と酸化アルミニウム水和物
の重量割合が70:30〜30:70の範囲とすることが必要であ
る。
原料として用いた雲母Aそのものは、白色度,色くす
み度,光沢度において劣っている。
これらより、雲母Aを基体とし、これに酸化チタン水
和物と酸化アルミニウム水和物の二層被覆を施した実施
例1の顔料が白色度において優れ,且つ色くすみ度,表
面光沢,光沢光の青味の抑制された、皮膚上での伸び、
付着性の良好なものであり、メイクアップ化粧料用の体
質顔料としてすぐれた特性を備えていることが明白であ
る。
実施例2 硫酸チタニル(TiO2として40g),硫酸アルミニウム
(Al2O3として2g),尿素100gを溶解させた水10中
に、平均粒径70μmのセリセイト1.0Kgを分散させた
後、撹拌下に加温し、60分で100℃とし、5時間加熱を
続けた。ついで、濾過,水洗,120℃で4時間乾燥して酸
化チタン水和物−酸化アルミニウム水和物被覆セリサイ
ト1.01Kgを得た。顔料中の被覆物質量はTiO2として3.8
%およびAl2O3として1.9%を含む。得られた顔料を実施
例1顔料と比較すると伸展性が特に良好になった。
実施例3 雲母の代わりに、平均粒子径10μmの焼成雲母を用い
る他は、実施例1と同様にして酸化チタン水和物−酸化
アルミニウム水和物被覆雲母を得た。
実施例4 雲母の代わりに、焼成タルクを用いる他は、実施例1
と同様にして、酸化チタン水和物−酸化アルミニウム水
和物被覆タルクを得た。
実施例1に比べて伸展性にやや劣るが光沢が更に少な
い顔料が得られた。
実施例2〜4の特性を表2に示す。
前記の表1及び表2に示す結果から明らかなように、
本発明の被覆顔料(実施例1〜4)は、白色度,色くす
み度,光沢度,青味指数,伸展性,付着性において極め
て良好であり、そして他の被覆顔料(比較例1〜4)よ
りも優れている。
(発明の効果) 本発明の被覆顔料は、白色度が高く、油性物質や水に
濡れても色くすみする度合が低く、表面光沢が少なく、
光沢光が青味がかった色調を示さない、光学的特性を具
備し、かつ皮膚(肌)の上に塗布すると良好な伸展性と
付着性を発揮する等、その作用効果は顕著であって、商
品価値の極めて高いものである。
更に本発明の製造法は、鱗片状無機粉体の存在下に、
前記のチタン塩とアルミニウム塩と尿素の共存水溶液を
加熱することによって、酸化チタン水和物の鱗片状無機
粉体の粒子表面の沈澱吸着および酸化アルミニウム水和
物の沈澱吸着を円滑,容易に、しかも1バッチの工程で
実施することができ、更に以後の構成(濾過,乾燥)も
極めて簡易であって、工業的大量生産を有利に行うこと
ができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鱗片状無機粉体の粒子表面が酸化チタン水
    和物によって被覆されており、更にその表面が酸化アル
    ミニウム水和物によって被覆され、且つ被覆物質の酸化
    チタン水和物と酸化アルミニウム水和物の重量比が、7
    0:30〜30:70であることを特徴とする被覆顔料。
  2. 【請求項2】鱗片状無機粉体が、雲母,セリサイト,タ
    ルク,カオリンである、特許請求の範囲第(1)項記載
    の被覆顔料。
  3. 【請求項3】水溶性チタン塩,水溶性アルミニウム塩お
    よび尿素が溶解している水溶液中に鱗片状無機粉体を分
    散せしめ、この懸濁液を撹拌下、80〜100℃に加熱する
    ことによって、分解生成するアンモニウムを前記のチタ
    ン塩とアルミニウム塩に反応せしめ、生成する酸化チタ
    ン水和物と酸化アルミニウム水和物が鱗片状無機粉体の
    粒子表面に順次積層沈着した後、この鱗片状無機粉体を
    懸濁液から濾別し、水洗,乾燥することを特徴とする、
    鱗片状無機粉体の粒子表面が酸化チタン水和物によって
    被覆されており、更にその表面が酸化アルミニウム水和
    物によって被覆され、且つ被覆物質の酸化チタン水和物
    と酸化アルミニウム水和物の重量比が、70:30〜30:70で
    ある被覆顔料の製造法。
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