JP2568324Y2 - 製氷機の前面パネル構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、製氷機の前面パネル
構造に関し、更に詳しくは、製氷機本体および前面パネ
ルにより画成される機械室に外部空気を吸込んで空冷作
用を営むようにした製氷機において、前記前面パネルに
開設した氷塊の放出口を介して機械室へ外部空気が吸込
まれるのを阻止して、該放出口が空気中の塵埃により汚
れるのを防止し得る前面パネル構造に関するものであ
る。

【０００２】

【従来技術】角氷等の氷塊を連続的に多数製造する自動
製氷機では、その製氷方式として多数の型式が提案さ
れ、用途に応じて適宜の方式が採用されている。例え
ば、多数の仕切り板を縦横に配設して下方に開口する
多数の製氷小室を画成し、その下方に配設した水皿から
各対応の製氷小室に製氷水を噴射供給して、冷凍系に接
続する蒸発管で冷却されている各製氷小室に角氷を形成
するクローズドセル式の製氷機や、前記水皿は使用せ
ず、これらの製氷小室中に下方から製氷水を散布するこ
とにより、各小室中に角氷を形成するオープンセル型の
製氷機や、直立配置した製氷板の一側面に、その上方
から製氷水を流下させることにより、該製氷板面にかま
ぼこ状の氷塊を多数形成する水流下式の製氷機等が知ら
れている。

【０００３】前述の３型式に係る製氷機は、何れも製氷
水を所要量貯留するための製氷水タンクを備え、該タン
ク中の製氷水をポンプで圧送して製氷ユニットの前記製
氷小室または直立製氷板に供給し、氷結するに至らなか
った製氷水は前記タンク中に回収した後に、再び製氷ユ
ニットに向け送り出す強制循環機構を採用している。従
ってこれらの製氷機では、製氷水タンクや製氷水を循環
させるポンプ等の付帯設備が必要となり、構成が複雑化
すると共に製造コストも高騰し、また大型化する一因と
もなっていた。これに対して、水皿中に製氷水を所要レ
ベルで貯留し、蒸発管を配設した製氷基板の下面に突設
垂下した製氷突起を、該製氷水中に浸漬させることによ
り、該製氷突起の周りに氷塊を形成させるようにした簡
易型の製氷機が既に提案されている。この製氷機では、
製氷運転中に製氷水を水皿と製氷水タンクとの間でポン
プ循環させる機構を必要としないために、構造的に簡略
化されて製造コストを抑制し得ると共に、小型化を図っ
た製氷機を製造し得る利点を有している。

【０００４】本件出願人は、前記簡易型の製氷機に関連
した複数の出願を既に行なっている。先の出願に係る製
氷機は、筐体の内部に配設した貯氷庫の内部上方に、前
述した構成の製氷ユニットが配設されると共に、この貯
氷庫はスクリュー式の氷塊放出装置を備えている。そし
て氷塊放出装置を作動することにより、貯氷庫に開設し
た氷塊放出口を介して氷塊を放出するようになってい
る。また筐体の正面側には、貯氷庫および氷塊放出装置
を覆う前面パネルが配設され、該パネルと筐体とにより
貯氷庫の下方に機械室を画成し、この機械室に圧縮機や
凝縮器等の冷凍機械を収納するよう構成してある。なお
冷凍機械を構成する凝縮器としては、空冷式のものが使
用され、機械室内に配設した冷却ファンの回転により筐
体の底面に穿設した吸込口を介して外部空気を該機械室
に吸込んで、凝縮器を強制空冷する構成が採用されてい
る。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】前述した構成の製氷機
では、貯氷庫に設けた氷塊放出口と対応して前面パネル
に放出口が開設され、前記氷塊放出装置の作動により搬
送された氷塊は、両放出口を介して外部に放出されるよ
うになっている。この場合に、前面パネルにおける放出
口の開口寸法は、貯氷庫における氷塊放出口の開口寸法
よりも大きく設定されているため、両放出口の間に所要
の隙間が画成されていた。そして、該隙間を介して放出
口と機械室とが空間的に連通していた。従って、前記機
械室の冷却ファンを回転すると、放出口および隙間を介
して外部空気が機械室に吸込まれることとなっていた。

【０００６】前面パネルの放出口を介して外部空気が機
械室に吸込まれることにより、空気と共に吸込まれる塵
埃が該放出口に経時的に付着して汚れてしまい、貯氷庫
から氷塊を放出する際に、この氷塊に放出口に付着して
いる塵埃が転移して不衛生となる欠点があった。また、
貯氷庫の氷塊放出口と隙間とを介して貯氷庫の内部と機
械室とが空間的に連通するため、前記冷却ファンの回転
時には、貯氷庫内の冷気が吸引されて庫内の冷却効率が
低下し、貯留されている氷塊が融解し易くなるという難
点も指摘される。

【０００７】

【考案の目的】本考案は、前述した製氷機に内在してい
る前記欠点に鑑み、これを好適に解決するべく提案され
たものであって、前面パネルの放出口を衛生的に保つと
共に、貯氷庫に貯留した氷塊の融解を抑制し得る前面パ
ネル構造を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記課題を克服し、所期
の目的を達成するため本考案は、製氷機本体の内部に配
設され、正面側に氷塊放出口が形成された貯氷庫と、製
氷機本体の内部における貯氷庫の下方に画成され、正面
側に開口が形成された機械室と、前記製氷機本体の正面
側に配設されて機械室の開口を正面側から囲繞すると共
に、前記氷塊放出口と対応する放出口が開設された前面
パネルとを備え、前記機械室に対応する製氷機本体に開
設した吸込口を介して外部空気を機械室に吸込んで空冷
作用を営ませるよう構成した製氷機において、前記前面
パネルにおける前記放出口と機械室の開口との間に臨む
パネル裏面に、該開口を画成する部材に当接して前記機
械室と放出口とを空間的に遮断する遮断壁を設け、前記
空冷作用を営むに際して放出口から外部空気が吸込まれ
るのを防止するよう構成したことを特徴とする。

【０００９】

【実施例】次に、本考案に係る製氷機の前面パネル構造
につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しなが
ら以下説明する。

【００１０】図２は、実施例に係る前面パネル構造が実
施される製氷機の全体的な構成を概略的に示す断面図で
ある。製氷機本体１０の内部上方に、断熱材１２で囲わ
れた貯氷庫１４が配設され、該貯氷庫１４の内部上方に
は製氷ユニット１６が配設されている。製氷ユニット１
６は、製氷水を所定レベルで貯留する水皿１８と、この
製氷水中に浸漬される製氷突起２０を備えた製氷基板２
２とを備え、該水皿１８は除氷運転に切換わると所定角
度傾動して、製氷突起２０に形成された氷塊を製氷ユニ
ット１６の下方に画成した貯氷室２４へ放出し得るよう
になっている。また水皿１８の内部には、揺動板２６が
揺動自在に配置され、製氷運転に際して該揺動板２６を
揺動することにより、水皿１８に貯留されている製氷水
に動きを付与して、前記製氷突起２０に形成される氷塊
が白濁するのを防止するよう構成されている。なお貯氷
庫１４の下方には、後述する如く、圧縮機ＣＭや凝縮器
２８等の冷凍機械が収納される下部機械室３０が画成さ
れ、この機械室３０内に配設した冷却ファン(図示せず)
を回転することにより、凝縮器２８を強制空冷するよう
構成されている。

【００１１】前記貯氷庫１４の正面側にカバー体３２が
着脱自在に配設され、このカバー体３２の前面側に、図
２に示す如く、前記製氷ユニット１６における水皿１８
の傾動機構３４と、揺動板２６の揺動機構３６および氷
塊放出装置３８(後述)が纏めて配設されている。そし
て、各機構３４,３６および装置３８を配設したカバー
体３２が１つのユニットとして構成され、これが貯氷庫
１４に対して着脱されるようになっている。

【００１２】前記氷塊放出装置３８は、カバー体３２の
裏面から貯氷室内に延出する氷塊搬出用のスクリュー４
０と、該カバー体３２の前面に配設されたモータＧＭと
から構成され、該モータＧＭによりスクリュー４０を回
転することにより、貯氷室２４に貯留された氷塊を正面
側に向けて搬送するよう構成してある。また貯氷庫１４
における正面端部近傍の底面に、所要開口寸法の氷塊放
出口１４ａが開設され、スクリュー４０により搬送され
た氷塊は、該氷塊放出口１４ａを介して外部に放出され
る。

【００１３】前記製氷機本体１０は、前記冷凍機械が配
置される支持フレーム４２と、該支持フレーム４２に配
置された冷凍機械および前記貯氷庫１４の両側面を囲繞
するメインフレーム４４とから基本的に構成される。そ
して、この製氷機本体１０の正面側に図示形状の前面パ
ネル４６が着脱自在に装着されて、貯氷庫１４のカバー
体３２に配設した各機構３４,３６や装置３８を囲繞す
ると共に、貯氷庫１４の下方に前記下部機械室３０を画
成するようになっている。支持フレーム４２は、矩形状
の底面４２ａと、この底面４２ａの前後の端縁部に形成
した所要高さの立上り部４２ｂ,４２ｃとから構成さ
れ、底面４２ａに空気の吸込口が穿設されると共に、後
部立上り部４２ｃに吹出口(何れも図せず)が穿設されて
いる。すなわち、前記冷却ファンを回転すれば、吸込口
から吸引された空気は、機械室３０内の凝縮器２８に接
触して熱交換による冷却を行なった後、温度上昇した空
気は吹出口を介して外部に吐出される。なお底面４２ａ
の下面には、吸込口を被覆するフィルター部材４８が着
脱自在に装着され、塵埃を除去した空気が吸込口を介し
て機械室３０に吸込まれるようにしてある。

【００１４】前記支持フレーム４２の前部立上り部４２
ｂには、図１に示す如く、所要寸法の開口４２ｄが開設
されている。この開口４２ｄは、前記前面パネル４６を
製氷機本体１０から取外すことにより開放され、機械室
３０に収納した冷凍機械のメンテナンスを正面側から行
ない得るようになっている。また前部立上り部４２ｂに
おける開口４２ｄを画成する部材としての上部横材４２
ｅの上端には、その幅方向の全長に亘って前記貯氷庫１
４を囲繞する断熱材１２が載置されており、前面パネル
４６を取外した状態では、機械室３０は開口４２ｄを介
してのみ前方に開放している。なお貯氷庫１４に形成し
た氷塊放出口１４ａは、前部立上り部４２ｂの上端より
所要高さ上方で、かつ前方に臨む位置において下方に向
けて開口している。

【００１５】前記前面パネル４６は、図２および図３に
示す如く、前記カバー体３２の前面に配設された各機構
３４,３６および装置３８を囲繞する膨出部４６ａと、
この膨出部４６ａの下方の中央において所定幅で裏側に
向けて凹設された凹部４６ｂとが形成されている。膨出
部４６ａから凹部４６ｂに移行する傾斜面４６ｅには、
前記貯氷庫１４に形成した氷塊放出口１４ａよりも大き
く開口する放出口４６ｃが下方に向けて開設されてい
る。そして、製氷機本体１０に前面パネル４６を装着し
た際に、放出口４６ｃが貯氷庫１４の氷塊放出口１４ａ
を所要の隙間を介して囲繞するよう設定されている。

【００１６】また放出口４６ｃの下方に臨む凹部４６ｂ
には、容器状の載置台５０が着脱自在に装着されるよう
になっており、氷塊を取出す際に該載置台５０にコップ
等の受容器を載置するようにしてある。この載置台５０
の上面には多数のスリット５０ａが形成され、氷塊放出
口１４ａや放出口４６ｃから落下する水滴を集水して周
囲を汚すのを防止するよう構成される。なお、前記膨出
部４６ａには、電源ランプＬと氷塊放出用のスイッチＳ
Ｗの押しボタン５２が配設され、該押しボタン５２を押
してスイッチＳＷをＯＮ作動させている間、前記氷塊放
出装置３８が作動するよう設定されている。すなわち、
載置台５０に容器を載置した状態で、押しボタン５２を
押すことにより、前記スクリュー４０により搬送された
氷塊は、氷塊放出口１４ａおよび放出口４６ｃを介して
容器に放出される。

【００１７】前面パネル４６の裏面には、図１および図
４に示す如く、前記支持フレーム４２における前部立上
り部４２ｂの上部横材４２ｅと対応する位置に、該パネ
ル４６の裏側内部を上下に遮断する遮断壁４６ｄが形成
される。この遮断壁４６ｄの裏面端縁部は、前面パネル
４６を製氷機本体１０に装着した際に、上部横板４２ｅ
の前面に幅方向の略全長に臨って当接し(図５参照)、前
記下部機械室３０と放出口４６ｃとを空間的に遮断する
よう構成されている。

【００１８】

【実施例の作用】次に、実施例に係る製氷機の前面パネ
ル構造の作用につき説明する。図１に示す製氷機本体１
０の正面側に、前面パネル４６を装着すると、該パネル
４６の放出口４６ｃは、前記貯氷庫１４の氷塊放出口１
４ａを所要の隙間を介して囲繞する状態で位置する。ま
た前面パネル４６に形成した遮断壁４６ｄの裏面側端部
は、前記支持フレーム４２の上部横材４２ｅの前面側
に、その幅方向の全長に亘って当接する。

【００１９】この状態で、前記下部機械室３０に配設し
た冷却ファンを回転させると、外部空気は支持フレーム
４２の底面４２ａに穿設した開口を介して機械室３０に
吸込まれる。この空気は、フィルター部材４８を通過す
る際に塵埃を完全に捕集されているので、凝縮器２８に
塵埃が付着することによる熱交換効率の低下およびオー
バーヒート等による故障の発生を未然に防止し得る。こ
のとき、前面パネル４６の放出口４６ｃおよび貯氷庫１
４の氷塊放出口１４ａは、前記遮断壁４６ｄにより下部
機械室３０とは空間的に遮断されている。従って、放出
口４６ｃを介して外部空気が機械室３０に吸込まれるこ
とはなく、該放出口４６ｃが塵埃により汚れるのを有効
に防止し得る。この結果、前記貯氷庫１４からの氷塊放
出に際し、氷塊放出口１４ａおよび放出口４６ｃを介し
て放出される氷塊を衛生的に保つことができる。また、
貯氷庫１４内の冷気が冷却ファンの回転により吸引され
ることがないので、冷気逃出による庫内温度の上昇を防
止して、貯氷室２４に貯留されている氷塊が融解するの
を抑制し得る。更に、フィルター部材４８が配設されて
いない部分からの外部空気の吸込みが無いので、空気中
の塵埃が機械室３０に進入して凝縮器２８に付着するの
を防止し得るものである。

【００２０】なお実施例では、前面パネルに形成した遮
断壁を支持フレームの上部横材に当接する場合につき説
明したが、本願はこれに限定されるものでなく、例えば
遮断壁を断熱材に当接させるようにしてもよい。

【００２１】

【考案の効果】以上説明した如く、本考案に係る製氷機
の前面パネル構造によれば、放出口から機械室への外部
空気の吸込みを阻止し得るので、該放出口が空気中の塵
埃により汚れるのが防止され、該放出口を介して放出さ
れる氷塊を衛生的に保ち得る。また貯氷庫内の冷気が吸
引されないので、該貯氷庫中に貯留されている氷塊が融
解するのを抑制し得る効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施例に係る前面パネル構造を採用した製氷
機において、製氷機本体から前面パネルを取外した状態
で示す概略斜視図である。

【図２】 実施例に係る前面パネル構造が採用される製
氷機の概略縦断面図である。

【図３】 製氷機の外観斜視図である。

【図４】 製氷機における前面パネルと機械室との関係
を示す要部概略縦断側面図である。

【図５】 製氷機における前面パネルと機械室との関係
を示す要部概略横断平面図である。

【符号の説明】

１０…製氷機本体，１４…貯氷庫，１４ａ…氷塊放出口 ３０…機械室，４２ｄ…開口，４２ｅ…上部横材(開口
を画成する部材) ４６…前面パネル，４６ｃ…放出口，４６ｄ…遮断壁

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 製氷機本体(10)の内部に配設され、正面
   側に氷塊放出口(14a)が形成された貯氷庫(14)と、製氷
   機本体(10)の内部における貯氷庫(14)の下方に画成さ
   れ、正面側に開口(42d)が形成された機械室(30)と、前
   記製氷機本体(10)の正面側に配設されて機械室(30)の開
   口(42d)を正面側から囲繞すると共に、前記氷塊放出口
   (14a)と対応する放出口(46c)が開設された前面パネル(4
   6)とを備え、前記機械室(30)に対応する製氷機本体(10)
   に開設した吸込口を介して外部空気を機械室(30)に吸込
   んで空冷作用を営ませるよう構成した製氷機において、 前記前面パネル(46)における前記放出口(46c)と機械室
   (30)の開口(42d)との間に臨むパネル裏面に、該開口(42
   d)を画成する部材(42e)に当接して前記機械室(30)と放
   出口(46c)とを空間的に遮断する遮断壁(46d)を設け、 前記空冷作用を営むに際して放出口(46c)から外部空気
   が吸込まれるのを防止するよう構成した ことを特徴とす
   る製氷機の前面パネル構造。