JP2566950B2 - ビスマレイミドおよびその製造方法 - Google Patents

ビスマレイミドおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐熱性高分子のモノマーとして有用なビス
マレイミド化合物およびその製造方法に関する。更に詳
しくは、式(I) で表されるビスマレイミド、およびこの化合物を式(I
I) で表されるエーテル結合を有するジアミンと無水マレイ
ン酸を反応させて製造する方法に関する。
(従来技術) 従来、イミド構造を有する樹脂は、電気絶縁性、耐熱
性、成形品の寸法安定性に優れた性能を発揮し、産業上
広く利用されている。例えば、電気絶縁材料に用いられ
る耐熱性の熱硬化性樹脂としては、ポリイミド系樹脂、
ポリアミノビスマレイミド系樹脂等が公知であり、含浸
ワニス、積層板、成形品等に広く用いられている。
しかし、これら従来の樹脂は、一般に、耐熱性の点で
は優れているが、成形品は脆く、成形樹脂としての目的
には実用的ではない欠点がある。
一方、ビスマレイミド化合物として、更に耐熱性、電
気的特性等の向上が期待できるトリフルオロメチル基を
含有した2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)
(フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン
をジアミン成分とするビスマレイミド化合物を使用する
と、ポリアミノビスマレイミド樹脂に可撓性の付与され
る可能性のあることが記載されている(特開昭56−1031
62)。
しかしながら、このようなエーテル結合に対し、マレ
イミド基がパラ位にあるような構造では、分子鎖が剛直
となり、可撓性の付与される効果は未だ小さいのが実情
である。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の課題は、N,N′−(4,4′−メチレンジフェニ
レン)ビスマレイミドに代表されるビスマレイミド化合
物の熱硬化性樹脂としての特徴を生かし、且つ、メタ系
の2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンの構造を
マレイミド中に組み入れた耐熱性、可撓性が良好な樹脂
の原料単量体である前記式(I)で表されるビスマレイ
ミド化合物を提供することである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は、このような考え方を基に本発明の課題
を解決すべく鋭意検討してきた。その結果、前記式
(I)で表される新規なビスマレイミド化合物が耐熱性
に優れ、且つ、この化合物が前記式(II)で表されるジ
アミンと無水マレイン酸を縮合・脱水反応させることに
より容易に製造できることを見出し、本発明を完成する
にいたった。
すなわち、本発明は、新規なビスマレイミド化合物お
よびその製造方法である。
本発明の化合物は、式(I) で表される2,2−ビス〔4−(3−マレイミドフェノキ
シ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ンである。
このビスマレイミド化合物は、トリフルオロメチル基
を有するヘキサフルオロプロパンを連結基とするメタ系
のビスマレイミドであり、エーテル結合とメタ結合に基
づく折れ構造により、可撓性の付与される効果が大き
く、また耐熱性、電気的特性等の性能や化合物の溶剤溶
解性が向上する。
例えば、化合物の耐熱性の尺度を示す性能の一例とし
て、5%重量減少温度があるが、本化合物(I)のそれ
は、空気中で460℃と非常に高いレベルにある。
この本発明の化合物を製造する方法について説明す
る。
原料として使用されるジアミンは式(II)で表される
2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン化合物であ
る。このジアミンは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンとm−ジ
ニトロベンゼンの縮合、還元により高純度、高収率で工
業的に有利に製造できる(特開昭61−194055)。
本発明の化合物を製造する方法については特に限定す
るものではないが、通常、第1段階で式(II)で表され
るジアミン類と無水マレイン酸を有機溶媒中で反応させ
て、式(III) で表されるビスマレアミド酸を製造する。このためには
公知の方法が適用される。通常、用いられる反応溶媒は
クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリク
ロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メ
チルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソプロピル
ケトンなどのケトン類、エーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、β−オキシエチルメチルエーテルなど
のエーテル類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼンな
どの芳香族化合物、アセトニトリル、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルス
ルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン、1,3−ジ
メチル−2−イミダゾリジノンなどの非プロトン性極性
溶媒などである。
これらの溶媒の使用量は特に限定されないが、通常、
原料に対して1〜10重量倍で十分である。
次に第2段階において、ビスマレアミド酸を環化脱水
させて一般式(I)で表されるビスマレイミドを生成さ
せる。この方法としては、無水酢酸を脱水剤として用
い、反応を塩基および触媒の存在下に有機溶媒中で行う
公知の方法が用いられる(特公昭46−23250、特公昭49
−40231、特公昭59−52660)。
この際、無水酢酸の使用量は、特に上限の制限はない
が、通常ビスマレアミド酸に対し2〜4倍モルの範囲で
ある。
使用される触媒は、アルカリ土類金属の酸化物、鉄
(IIおよびIII)、ニッケル(II)、マンガン(IIおよ
びIII)、銅(IおよびII)またはコバルト(IIおよびI
II)の炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩などであり、
特に好ましくは酢酸ニッケル(II)、酢酸コバルト(I
I)、酸化マグネシウムである。これらの触媒は単独で
も十分な効果を発揮するが、2種類以上併用しても差し
支えない。使用量はビスマレアミド酸に対し5×10-4
0.1モルの範囲である。
使用される塩基は、アルカリ金属の酢酸塩または3級
アミンである。具体的には酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
ム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチル
アミンなどである。その使用量は、ビスマレアミド酸に
対し0.05〜1.1モルの範囲である。
本発明の方法の実施態様には、特に制限はなく、第1
段階で生成する中間体のビスマレアミド酸は、ビスマレ
イミドを製造するために必ずしも単離する必要はなく、
そのまま同一溶媒中で第2段階の環化脱水反応を行うこ
ともできる。この際、反応温度は、20〜80℃の範囲であ
り、反応時間は0.5〜9時間の範囲である。
反応終了後、析出した結晶を濾過するか、水またはメ
タノール中に排出すると目的物の結晶が得られる。
(作用および効果) 本発明の化合物は、耐熱性に優れ、可撓性に優れたポ
リマレイミド樹脂およびポリアミン変性ポリマレイミド
系樹脂原料単量体として有用な化合物である。
したがって、電気電子絶縁材料、耐熱性接着剤、航空
宇宙産業用基材など特異な機能が要求される樹脂の素材
として広範な用途を有している。
(実施例) 以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明す
る。
実施例1 撹拌機、温度計を装備した反応フラスコに無水マレイ
ン酸4.32g(0.044モル)とアセトン4.32gを装入し溶解
する。これに2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン10.37g(0.02モル)をアセトン31.0gに溶解した溶液
を室温で滴下し、更に23〜27℃で3時間撹拌する。
反応終了後、生成する結晶を濾過、アセトン洗浄後乾
燥し、ビスマレアミド酸を淡黄色結晶として得た。
収量 14.2g(収率99.3%) mp.186〜188℃ 元素分析(%) C H N F 計算値 58.83 3.37 3.92 15.94 分析値 59.21 3.50 3.76 15.20 IR(KBr,cm-1):3220,3280(NH) 1705(アミド結合) 1245(エーテル結合) このようにして得られたビスマレアミド酸7.14g(0.0
1モル)をアセトン21.4gに懸濁させ、トリエチルアミン
0.48gを添加し、室温で30分間撹拌する。
酸化マグネシウム(II)20mg、酢酸コバルト(II)・
4H2O 2mgを添加後、無水酢酸2.6gを25℃で30分かけて滴
下し、更に室温で3時間撹拌する。反応終了後、生成す
る結晶を濾過、洗浄後乾燥してビスマレイミドを淡黄色
結晶として得た。
収量 6.4g(収率94.3%) mp. 135〜138℃ 元素分析(%) C H N F 計算値 61.95 2.97 4.13 16.80 分析値 61.97 2.74 4.17 16.26 IR(KBr,cm-1):1780と1720(イミド結合) 1245(エーテル結合) 5%重量減少温度(空気中):460℃ 実施例2 撹拌機、温度計を装備した反応フラスコに無水マレイ
ン酸4.32g(0.044モル)とアセトン4.32gを装入し溶解
する。これに2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フエニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン10.37g(0.02モル)をアセトン31.0gに溶解した溶液
を室温で滴下し、更に23〜27℃で3時間撹拌すると結晶
が析出してくる。
これにトリエチルアミン0.96gを添加後、室温で30分
間撹拌する。酸化マグネシウム(II)40mg、酢酸コバル
ト(II)・4H2O 4mgを添加後、無水酢酸5.2gを25℃で30
分かけて滴下し、更に室温で3時間撹拌する。
反応終了後、生成する結晶を濾過、洗浄後乾燥してビ
スマレイミドを淡黄色結晶として得た。
収量 13.1g(収率96.5%) mp.135〜138℃

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) で表されるビスマレイミド
  2. 【請求項2】式(II) で表されるジアミンと無水マレイン酸を反応させること
    を特徴とする式(I) で表されるビスマレイミドの製造方法。
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