JP2566789B2 - 多孔質静圧気体軸受の製造方法 - Google Patents

多孔質静圧気体軸受の製造方法

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JP2566789B2 JP62228578A JP22857887A JP2566789B2 JP 2566789 B2 JP2566789 B2 JP 2566789B2 JP 62228578 A JP62228578 A JP 62228578A JP 22857887 A JP22857887 A JP 22857887A JP 2566789 B2 JP2566789 B2 JP 2566789B2
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【発明の詳細な説明】 [発明の属する分野] 本発明は、軸受面に多孔質グラファイトからなる多孔
質体を配しその多孔質体の通気孔から加圧気体を軸との
間の微小隙間に噴出し、気体膜を形成して軸を支持する
多孔質静圧気体軸受の製造方法に関するものである。
[従来の技術] この種の軸受で所定の回転精度、負荷能力、軸受剛性
等の軸受性能を得るためには、多孔質体に所定の圧力で
気体を供給した時に軸受面における単位面積あたりに噴
出する気体の流量すなわち気体透過流量が軸受面全面に
わたり均一であることが要求される。そのためには、多
孔質体の各粒径がほぼ均一で、通気孔がほぼ均一に分散
していることが望ましい。従来、この多孔質体としては
多孔質グラファイトがよく用いられている。
[発明が解決しようとする問題点] ところで、従来の多孔質グラファイトは、焼コーク
スを粉砕した後、ピッチなどの結合剤を加え、加熱下で
混練してから加圧成形し、その成形体を約1000〜1400℃
に焼成し、その焼成物の孔隙を少なくするため減圧加圧
下にバインダーピッチを含浸させ、再び前と同様に焼成
し、上記のごとき含浸、焼成の操作を数回繰返した後、
さらに2000〜3000℃付近に加熱して黒鉛化して製造して
いた。
しかしながら、このような従来の多孔質グラファイト
は、密度が低いこと、マイクロクラックが存在するこ
と、およびコークスの粒径が不揃であること等の特質を
有していた。そのため、このような従来の多孔質グラフ
ァイトを気体(静圧)軸受として使用する場合、軸受面
における気体透過流量が設計値に対して多くまたは少な
くなり、また分布も一様でなかった。そこで、多孔質グ
ラファイトを軸受部材として用いた多孔質静圧気体軸受
を製作するにあたっては、軸受面の仕上加工後に気体透
過流量を所定の値で均一に分布させる流量調整という作
業を必要としていた。
この流量調整作業とは切削や研削等の仕上加工後の多
孔質グラファイトの軸受面に樹脂等を塗布あるいは含浸
させた後、気体透過流量を測定しながら所定の値になる
まで樹脂等を溶剤により少量ずつ除去し、気体透過流量
を均一に分布させるものである。しかし、この流量調整
作業は作業者の経験や熟練度に頼る部分が多く、品質の
安定化が難しい。また、工数も多く必要とし、この種の
軸受を多量に生産する上での障害となっていた。
また、従来の多孔質グラファイトでは、湿度によりグ
ラファイトの寸法が変化する膨潤現象が生じる。これは
バインダーとして使用したピッチやマイクロクラック、
気孔が吸湿するためであると考えられる。この膨潤現象
が大きいと、気体軸受の運転上、軸受周辺の気体の湿度
の管理を厳密に行なうことが必要となる。従って、膨潤
現象による寸法の変化を極力少なくすることが望まし
い。
本発明は、上述の従来形の問題点に鑑み、品質の安定
した軸受を多量に生産する上で障害となっていた流量調
整作業を行なうことなしに、気体透過流量が軸受面全面
にわたり均一である多孔質静圧気体軸受を提供すること
を目的とする。
さらに、多孔質グラファイトの膨潤現象を極力抑え、
気体軸受を運転する際に気体の湿度の管理を厳密に行な
う必要のない多孔質静圧気体軸受を提供することを目的
とする。
[問題点を解決するための手段および作用] 上記の目的を達成するため、本発明は、粒径がほぼ40
μm以下に分布している炭素材料用の素材を成形、焼結
および黒鉛化することによって、 膨潤度=[(吸湿状態の試験片寸法−乾燥状態の試験片
寸法)/乾燥状態の試験片寸法]×100 にて定義される膨潤度が0.02%以下である多孔質グラフ
ァイトの軸受面を製造することを特徴とする。
また、炭素材料用の素材は粒径が1〜20μmに約80%
前後分布していることを特徴とする。
これによれば、膨潤度が0.02%以下という静圧気体軸
受にとって極めて好ましい特性が達成される。
[実施例の説明] 以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
第1図は、本発明の一実施例に係る多孔質ラジアル静
圧気体軸受の縦断面図である。同図において、1は軸、
2は軸1の表面にイオンプレーティングにより形成した
窒化チタンTiNの皮膜である。3は多孔質体であり、冷
間静水圧加圧プレス(CIP)で成形後焼成および黒鉛化
した各通気孔が均一に分散している多孔質グラファイト
からなっている。この多孔質グラファイトについては後
に詳細に説明する。4はハウジング、5は給気孔、6は
給気室である。
給気孔5から加圧気体を供給すると、その気体は給気
室6から多孔質体3を通って軸受面3aの通気孔から噴出
する。そして、軸1と軸受面3aとの間の微小隙間に気体
膜を形成し、軸1を支持しながら排出される。
第1表は、本実施例の静圧気体軸受と従来の静圧気体
軸受とを比較したものである。ここでは、軸受部材であ
る多孔質グラファイトを透過する気体の透過流量、多孔
質体の厚みおよび気体供給圧力を比較項目とし比較して
いる。
第1表に示すように、従来の静圧気体軸受で多孔質グ
ラファイトの流量調整を行ならない場合には、気体透過
流量が50〜200cc/min/cm2とばらつきが大きく、しかも
ばらつきの上限では設計値である30±5cc/min/cm2に比
較して透過流量が非常に多くなっている。前述した手段
で流量調整を行なうことにより気体透過流量は30〜60cc
/min/cm2となり、設計値に近い値とすることができる。
しかし、軸受面面積が約300cm2の軸受ではこの流量調整
作業に約8時間を要している。一方、本実施例の静圧気
体軸受では多孔質グラファイトの流量調整を行なわなく
ても所定の流量が得られている。
第3図(a)は静圧気体軸受で従来の多孔質グラファ
イトの軸受面における気体透過流量の分布をモデル的に
表わした図、同図(b)は本実施例の静圧気体軸受で多
孔質グラファイトの軸受面における気体透過流量の分布
をモデル的に表わした図である。同図において、A′は
従来軸受に用いていた多孔質グラファイトの断面をモデ
ル的に表わした部分、Aは本実施例で用いた多孔質グラ
ファイトの断面をモデル的に表わした部分、B′,Bはそ
れぞれの多孔質グラファイトの気体透過流量の分布を示
す線図、Cは気体が一定の圧力gで供給されていること
を示す線図である。
従来の多孔質グラファイトA′は素材粒子k′の各粒
径が均一ではなく通気孔も不均一に分散しており、従っ
て気体透過流量の分布B′は均一ではない。これに対
し、本実施例の多孔質グラファイトAの素材粒子kの各
粒径は後述のごとく40μm以下特に1〜20μmに約80%
前後分布しており、通気孔がほぼ均一に分散している。
従って、気体透過流量の分布はほぼ均一となる。
このような多孔質グラファイトは、例えば東芝セラミ
ックス株式会社より商品名セラファイトとして販売され
ているような多孔質グラファイトの素原料を用いて製造
することができる。
次に、本実施例で用いた多孔質グラファイトについて
さらに詳しく説明する。
この多孔質グラファイトに使用した素原料は例えば特
公昭50−18879号公報に開示されている方法により、ピ
ッチを溶融状態で小粒球形として次いで酸化により不融
化したのち、振動ミルまたはボールミル等により微粉砕
したものであり、前記のセラファイトと同様、粒径がほ
ぼ40μm以下に分布している素原料である。第2表にそ
の代表的な物性値を示す。また、第4図に、この素原料
の粒径の分布を示す。同図は、粒径が0.6μm以下のも
ののwt%、0.8μm以下のもののwt%、‥‥等で素原料
の累積分布を示す。素原料の粒径は平均(メジアン平
均)6.5μmであり、粒径1〜20μmの間に約80%が含
まれる。
この素原料をCIP(静水圧加圧プレス)成形法により
ゴム型に充填し、加圧力を300〜1000kgf/cm2の範囲で変
えて幾つかの成形体を作成した。成形体は円筒形とし、
その寸法はすべて外径約80mmφ、内径約65mmφ、長さ約
75mmおよび内厚約15mmとした。これらの成形体に対し、
N2雰囲気中で1100℃、2時間の焼成(炭素化)を行なっ
た。ただし、昇温速度は15℃/H、降温速度は400℃/Hで
ある。昇温速度が15℃/Hと比較的小さいのは、本原料は
揮発分が12〜16%あり、これを徐々に温度を上げて飛ば
すためである。急激な温度上昇は割れやふくれの原因と
なる。さらに、その後Ar雰囲気中で2500℃、2時間の黒
鉛化処理を行なった。ただし、昇温および降温速度は40
0℃/Hである。そして、できたグラファイトを機械加工
により、外径60mmφ、内径50mmφ、長さ54mm、肉厚5mm
に加工し、最終的な軸受を得た。なお、本発明に係る軸
受を製造するにあたっては、ピッチ等のバインダーは使
用していない。
これらの軸受について、第5図に示すように、気体透
過流量(通気量)を測定した。同図において、給気側パ
ッド52は多孔質体51の外径側面に矢印Fの方向へ押し当
てられている。また、回収側パッド53は多孔質体51の内
径側面に矢印Fの方向へ押し当てられている。パッド5
2,53と多孔質体51との間にはゴム製Oリング54が配置さ
れ、多孔質体51の表面からの空気の漏れを防いでいる。
Oリング54で囲まれる多孔質体の面積は、給気側、回収
側共に1cm2である。そして、給気側パッド52から矢印A
の方向に5kgf/cm2の圧力をかけて空気供給する。回収側
パッド53で回収した空気は流量計55を通って、その流量
を測定した後、大気へ放出される。
第6図は、成形の際の加圧力を変えて作成した上記の
各多孔質グラファイトについて上記の方法により通気量
を測定した結果を示すグラフである。同図により、加圧
力400〜550kgf/cm2でほぼ気体軸受として好ましい通気
量が得られ、さらにこの加圧力であれば内径面の各部で
の通気量のばらつきも好ましい範囲内に入ることが確認
された。
次に、本実施例の多孔質グラファイトと従来の多孔質
グラファイトの吸湿による寸法変化量の比較テストの結
果を、第3表、並びに第7図にグラフにして示す。
なお、この試験は上記のような製造条件で作成したそ
れぞれのグラファイトで35mm(縦)×70mm(横)×5mm
(厚み)の試験片(ただし、縦、横および厚みの許容誤
差はプラス側は0、マイナス側は0.1mmまでとする)を
作り、この試験片の吸湿(吸水)による厚み寸法の変化
量をカールツアイス社製の横型測長器(分解能0.1μ
m)を用いて計測し、さらにこの変化量から伸び率Eを
求めたものである。この試験の際の伸び率Eの算出式、
および試験条件は以下の通りである。
算出式: ただし、 L0:乾燥状態の試験片寸法(130℃で24時間乾燥炉にて乾
燥させ、室温まで炉内冷却した後、炉から取出し、その
後シリカゲル入りガラス密閉容器内で温度(23±0.5
℃)ならしのため4時間放置後、測定) L:吸湿(吸水)状態の試験片寸法(水道水中または水溶
性研削油を水で80倍に薄めたものの中に42日間自然吸水
させ、その間11日目、18日目、28日目、42日目に取り出
して、温度(23±0.5℃)ならしのため4時間放置後、
測定) 第3表に示すように、従来の多孔質グラファイトは5m
mの板厚に対し0.07%(3.5μm)程度の伸びを生じてい
るが、本実施例の多孔質グラファイトでは0.007%(0.3
4μm)程度の伸びであり、寸法の変化はほとんど認め
られない。
ところで、一般に気体軸受において気体供給用の軸受
部材となる多孔質体の板厚は3〜7mmの範囲である。そ
れは、多孔質体と軸のクリアランス(隙間距離)が一定
の場合には、板厚が3mm以下だと透過流量値が多くなっ
て発振を起し、また7mm以上だと透過流量値が少なすぎ
て気体軸受として必要な剛性が出ず、どちらにしても気
体軸受の剛性を確保するための最適な透過流量値になら
ないからである。
さらに、多孔質体と軸のクリアランスは一般に3〜10
μmの範囲である。それは、回転精度と剛性を確保する
ためである。すなわち、板厚(透過流量)一定の場合、
クリアランスが3μm以下だと剛性は向上するが回転精
度が劣化し、一方10μm以上だと剛性が確保できないか
らである。ただし、クリアランスは透過流量値と以下の
ような関係がある。
Q:クリアランスhのときの必要流量 Q0:クリアランスh0のときの必要流量 従って、透過流量値が少ない場合はクリアランスを小
さくし、逆に透過流量値が多い場合はクリアランスを大
きくすることとなる。
以上より、軸受隙間が5μm±0.5μmに設計された
軸受で、多孔質体の厚みが5mmとすると、この実験値か
ら従来の多孔質グラファイトでは寸法の変化が3.5μm
生ずることになり、軸受隙間が非常に狭くなり、気体軸
受けの性能(回転精度、剛性)が、著しく損なわれる。
一般に適正な軸受性能を得るために許容される軸受隙間
の寸法公差は5μmのすき間に対し±0.5μm程度であ
る。
従って、気体軸受の軸受部材となる多孔質グラファイ
トの厚み方向の伸びを膨潤度として、 ただし、 乾燥性能:130℃、24時間乾燥後、シリカゲル入り密閉容
器内で23±0.5℃に冷却 吸湿(吸水)状態:水道水中(23±0.5℃)24時間自然
吸水した状態 と定義すれば、気体軸受の軸受部材として使用可能な多
孔質グラファイトの膨潤度は0.02%以下(従来のグラフ
ァイトは約0.06〜0.07%)であることが解る。本実施例
の多孔質グラファイトはこれを充分に満足している。
また、多孔質グラファイトの原料としてはメソカーボ
ンマイクロビーズ(以下、MCと呼ぶ)も適している。MC
については例えば特公昭50−39633号公報に述べられて
いるような方法で作ることができる。以下、MCを素原料
として用いた軸受の実施例を説明する。
第4表は、MCの代表的な物性値を示す。また第8図
は、第4図と同様にMCの粒径の累積分布を示すグラフで
ある。
MCは形状が真球に近く通気量の分布もより均一に近づ
くものと予想され、さらに製造上炭素化のための炉内の
昇温速度も大きくすることが可能なため製造時間の短縮
が可能である。
これによる多孔質グラファイトの製造は以下の通りで
ある。まず、CIP(静水圧加圧プレス)成形法により、
ゴム型にMCを充填した後350〜750kgf/cm2の加圧力で成
形し、N2雰囲気中で1100℃で2時間、ただし昇温速度10
0℃/H、降温速度400℃/Hとして焼成(炭素化)を行なっ
た。
次に、本品をAr雰囲気中で2500℃で2時間、ただし昇
温および降温速度400℃/Hとして黒鉛化を行なった。そ
して、機械加工によりできたカーボン材を加工し、最終
的な軸受を得た。なお、寸法は、ほぼ前記の多孔質材の
実施例と同じである。これらの軸受について、前記実施
例と同様に通気量の測定ならびに膨潤の測定を行なっ
た。その結果、成形時の加圧力が400〜600kgf/cm2で気
体軸受の好ましい仕様を満たし、膨潤度も0.02%以下と
なることがわかった。
一方、第1図においてイオンプレーティングにより形
成した窒化チタンTiNの皮膜2は同図に示す軸受の焼き
付きを防止する。つまり、本実施例による多孔質グラフ
ァイトは従来のグラフゥイトより硬度が高く、軸1とし
て従来の硬質クロムメッキ等の方法で皮膜を形成した軸
を使用する場合には、回転中に供給圧力の低下や過負荷
等の異常により軸1と軸受面3aが接触し焼き付きを起こ
してしまう。イオンプレーティングにより形成した窒化
チタンTiNの皮膜は硬度が高く、また窒化チタンTiNが自
己潤滑性をもつことから焼き付きの発生を防止すること
ができる。
従来例と本発明の実施例との比較を第4表に示す。
第1図において、軸受の軸受面3aで形成される軸受穴
7と軸1は次のようにして加工する。まず、軸受穴7を
真円度および円筒度等が所定の形状精度となるように仕
上げ、その内径をd3とする。次に、軸受の最適隙間をα
として、軸1をd3−2αより若干小さい外径寸法d1で所
定の形状精度に仕上げる。この軸1にイオンプレーティ
ングにより皮膜2を外径寸法がd2=d3−2αとなるまで
形成する。この時、イオンプレーティングによれば皮膜
2は軸1に対して均一な膜厚で形成することができ、か
つ皮膜の厚さもイオンプレーティングの処理条件により
容易に決定できる。このため軸1を切削あるいは研削等
により加工する際には、真円度および円筒度等の形状精
度がサブミクロンオーダーとなるように仕上げ加工を行
なってから、軸1が必要とする外径寸法d2までイオンプ
レーティングにより皮膜2を形成すれば良い。
このように軸1の表面に窒化チタンTiNの皮膜をイオ
ンプレーティングにより形成することにより、以下の効
果を生ずる。
1) 回転中に、軸と硬度の高い多孔質グラファイトか
らなる軸受面が接触した時の焼き付きを防止することが
できる。
2) 軸と軸受穴の仕上げ加工は、切削や研削等による
形状精度の仕上げとイオンプレーティングによる寸法精
度の仕上げを別々に行なうことにより、従来の切削や研
削等による形状精度と寸法精度の同時仕上げに比較し
て、仕上げ加工が容易になり製品の歩留まりが向上す
る。
第2図に本発明の第2の実施例を示す。同図は多孔質
スラスト・ラジアル静圧気体軸受の縦断面図である。21
は軸で、その表面には第1図に示す軸1と同様の方法で
イオンプレーティングによる窒化チタンTiN皮膜が形成
されている。22は軸21の両端に設けられたスラスト板、
23はスラスト板22のスラスト軸受面25aに対向する面に
形成されたイオンプレーティングによるTiN皮膜、24は
円筒状のラジアル多孔質体、25は円環状のスラスト多孔
質体、26はハウジング、27は給気孔、28a,28bは給気
室、29は排気孔である。給気孔27から供給された加圧気
体は給気室28aからラジアル多孔質体24を通り軸受面24a
から軸21との間の微小隙間に噴出し気体膜を形成し、軸
21をラジアル方向に支持しながら排気孔29から排出され
る。一方、給気室28bからスラスト多孔質体25を通過し
た加圧気体は軸受面25aからスラスト板22との間の微小
隙間に噴出し気体膜を形成して軸21をスラスト板22を介
してスラスト方向に支持しながら排出される。ラジアル
多孔質体24およびスラスト多孔質体25は、上述したよう
にCIPで成形後焼成および黒鉛化し、通気孔が均一分散
された多孔質グラファイトからなっている。
なお、本実施例の多孔質グラファイトは気孔率を17〜
20%にすれば自励振動、流量低下の両問題を防ぐ上で望
ましい。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、粒径がほぼ40
μm以下に分布している炭素材料用の素材を成形、焼結
および黒鉛化することによって、膨潤度が0.02%以下で
ある多孔質グラファイトの軸受面を製造するようにした
ため、膨潤度が0.02%以下という静圧気体軸受にとって
極めて好ましい特性を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1の実施例を示すラジアル多孔質
静圧気体軸受の縦断面図、 第2図は、本発明の第2の実施例を示すスラスト・ラジ
アル多孔質静圧気体軸受の縦断面図、 第3図は、従来例および本発明の軸受の軸受面における
気体透過流量の分布をモデル的に表わした図、 第4図は、上記実施例で用いた多孔質グラファイトの素
原料の粒径分布の一例を示すグラフ、 第5図は、気体透過流量の測定方法を説明するための断
面図、 第6図は、成形時の加圧力と通気量の関係を示すグラ
フ、 第7図は、多孔質グラファイトの吸湿による寸法変化量
を示すグラフ、 第8図は、多孔質グラファイトの素原料として用いるこ
とができるメソカーボンマイクロビーズの粒径分布の一
例を示すグラフである。 1:軸、2:TiN皮膜、 3:多孔質体、4:ハウジング、 5:給気孔、6:給気室、 21:軸、22:スラスト板、 23:TiN皮膜、24:ラジアル多孔質体、 25:スラスト多孔質体、 26:ハウジング、27:給気孔、 28a,28b:給気室、29:排気孔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ャノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−113745(JP,A) 実開 昭60−67425(JP,U) 特公 昭50−18879(JP,B1)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粒径がほぼ40μm以下に分布している炭素
    材料用の素材を成形、焼結および黒鉛化することによっ
    て、 膨潤度=[(吸湿状態の試験片寸法−乾燥状態の試験片
    寸法)/乾燥状態の試験片寸法]×100 にて定義される膨潤度が0.02%以下である多孔質グラフ
    ァイトの軸受面を製造することを特徴とする多孔質静圧
    気体軸受の製造方法。
  2. 【請求項2】炭素材料用の素材は粒径が1〜20μmに約
    80%前後分布していることを特徴とする請求項1記載の
    多孔質静圧気体軸受の製造方法。
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