JP2566643B2 - 澄明なローヤルゼリー水溶液を用いる乳化組成物およびそれを含有する飲料 - Google Patents

澄明なローヤルゼリー水溶液を用いる乳化組成物およびそれを含有する飲料

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ローヤルゼリーを高濃度に含有し、かつ澄
明な水溶液、その水溶液を用いる乳化組成物およびそれ
を含有する飲料に関するものである。
従来の技術 ローヤルゼリーは古くから栄養価の高い健康食品,あ
るいは薬品として利用されている。その効果としては間
脳自律神経中枢の老化防止,血清コレステロール値の増
加抑止効果、抗腫瘍効果,一過性の血流増加作用などが
報告されている。
ところで、ローヤルゼリーを清涼飲料水(栄養飲料,
スポーツ飲料,果汁飲料等),乳飲料,医薬ドリンク
剤,ゼリー等の各種飲料に利用しようとする場合、単に
生ローヤルゼリーを添加してもその中に多量に含有され
ているタンパク質,脂質等が、飲料に含まれる金属イオ
ンやそのpH等の影響により,経時的に凝集,沈澱,相分
離等を起し,外観上好ましい状態を得ることが困難であ
る。そこで従来はローヤルゼリーをエチルアルコールで
抽出処理し、その抽出画分を飲料等に添加する方法がと
られている。
発明が解決しようとする課題 エチルアルコールで抽出すると、生ローヤルゼリーに
特有の成分である10−ヒドロキシ−△−デセン酸(10
−hydoxy−△−decenoic acid)をはじめとする脂肪
酸類およびその他のエチルアルコール可溶性成分はかな
りの割合で取り出すことができるが、それでも15%以上
の損失はまぬがれない。さらに、生理活性効果が高いと
考えられているタンパク質や糖質などの有効成分は、大
量に失なわれてしまうので、天然界では唯一、乳成分に
近いとされている生ローヤルゼリー中のバランスの良い
栄養分を利用できなくなるという問題点がある。
課題を解決するための手段 本発明者らは、ローヤルゼリー本来の成分を極力損わ
ず、自然の組成に近い状態で含有され、かつ長期間安定
であるような飲料等を得ること目的として鋭意研究した
結果、ローヤルゼリーの水分散液を特定領域のpHと温度
で微粒子化することにより、澄明でしかも生ローヤルゼ
リーに含まれる有効成分がほとんど失なわれていない水
溶液を得ることに成功し、その用途についても検討を進
めて本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は (1)pHが約2〜3.5のローヤルゼリー水分散液を約80
℃以上で微粒子化処理に付して得られたローヤルゼリー
0.05%以上を含有する澄明なローヤルゼリー水溶液に、
油脂および乳化剤を配合してなる乳化組成物、および (2)上記(1)の乳化組成物を含有してなる飲料に関
するものである。
本発明のローヤルゼリー水溶液の製造に際して用いら
れる原料は、特に限定されるものではなく、たとえば
「ローヤルゼリーの表示に関する公正競争規約」(昭和
54年9月)で定義されているような「生ローヤルゼリ
ー」、「乾燥ローヤルゼリー」あるいは「調製ローヤル
ゼリー」のいずれも使用できる。本発明の目的からする
と、天然状態で含まれる各種有効成分ができるだけ高濃
度に含むものを原料とすることが、当然望ましい。ロー
ヤルゼリーの水分散液を調製するに際し、その濃度は約
0.05重量%以上にするが、約5〜10重量%の高濃度にし
ても本発明の目的とする澄明な水溶液を得ることがで
き、このような高濃度で実施すれば作業効率上有利であ
る。この水分散液のpHを2〜3.5に調整するには、可食
性でありローヤルゼリーの風味を損なわない有機酸ある
いは無機酸が適宜に選択して用いられる。一般に、クエ
ン酸、リンゴ酸あるいは酢酸などの有機酸が好ましく、
とりわけクエン酸が好ましい。このpH調整のためには、
酸水溶液、たとえば無水クエン酸の場合、約0.2〜1%
の濃度の水溶液として添加される。
この水分散液は、微粒子化処理に付すに際し約80℃以
上、好ましくは約85℃以上に加熱される。上限温度は特
に限定はされないが、一般に100℃までで充分でありそ
れ以上に加熱する必要は特にない。ここでいう微粒子化
処理とは、圧力型、超音波型あるいは攪拌型などの乳化
機による処理に付すことを意味する。なかでも、超音波
乳化機あるいは高圧ホモゲナイザーが好ましく、とりわ
け超音波乳化機で処理すると澄明度のより高い水溶液が
得られる。
高圧ホモジナイザーで処理する場合は、2段均質化法
を採用するときはその合計圧力が少なくとも800kg〜1,0
00kg/cm2G以上いなるようにし、また、500〜600kg/cm2G
程度の圧力で処理する場合は2回以上の処理を行なうの
が好ましい。
超音波乳化機で処理する場合は、処理量に応じて600W
振動体を連接して微粒化処理を行えば良い。
上記のような微粒子化処理をすることにより、ローヤ
ルゼリーを高濃度に含みかつ澄明な水溶液が得られる
が、必要によってはさらにろ過を施して異物を除去して
もよく、このろ過によって品質的により安定な水溶液が
得られ易くなる。ろ過は、常法によりろ過助剤、たとえ
ばケイソウ土ろ過(例えば、Standard Super Cel)を行
なうことにより目的が達せられる。
このようにして得られる澄明なローヤルゼリー水溶液
は、単に水で希釈することによりスポーツドリンクタイ
プの飲料として有用である一方、各種のローヤルゼリー
含有食品あるいは飲料のための原料としても好適であ
る。このローヤルゼリー水溶液には、後述の第1表に示
す分析データからも明らかなように、生ローヤルゼリー
中の各種有効成分が極めて高含量状態で移行されてお
り、生ローヤルゼリー本来の栄養や生理活性効果を十分
に活かすことができ、これはローヤルゼリーのエタノー
ル抽出物にはみられない効果である。
次に、上記ローヤルゼリー水溶液に油脂および乳化剤
を配合してなる乳化組成物について述べる。
ローヤルゼリー水溶液は、ローヤルゼリーが最終の乳
化組成物中に約0.05〜10重量%を含むように用いる。こ
のときのローヤルゼリーは、乳化組成物を最終製品に添
加することを考慮すると、上記濃度範囲内において高濃
度側にしておく方が一般に有利である。
油脂類は常温で液体であればよく、さらに保存期間が
長期に渡っても、酸敗したり変質することができるだけ
少なく、安定で風味上好ましいものが用いられる。たと
えば、天然物油脂であるコーン油,サフラワー油,やし
油,大豆油,パーム油,無塩バターなど、さらには安定
性のよい中鎖脂肪酸トリグリセリド等の中から単品で或
いはこれらの内の二種類以上を組合わせて使用すること
ができる。とりわけ、炭素数が約8〜10の中鎖飽和脂肪
酸トリグリセリドが好ましく用いられる。またビタミン
A,D,Eなどの脂溶性ビタミン類、γ−リノレン酸、オク
タコサノール、エイコサペンタエン酸(E.P.A)、パル
ミトオレイン酸等の高生理活性を有する脂溶性物質を配
合することもできる。この場合これらの脂溶性物質は、
上記の油脂に予め溶解分散した後乳化処理する事により
良好な結果を得ることができる。これら油脂類の配合量
は、油脂の総量としてローヤルゼリーに対し、5〜20重
量%配合するのが望ましい。
本発明に用いる乳化剤は可食性であればよく、たとえ
ばソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂
肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびグ
リセリン脂肪酸エステル等があげられる。なかでも、ポ
リグリセリン脂肪酸エステルの重合度6〜10におけるモ
ノエステルでオレイン酸を構成脂肪酸とするもの即ち、
デカグリセリンモノオレエートを用いると、最も良好な
状態の乳化組成物が得られる。
これらは単品で或いはこれらの内の二種類以上を組合
せて使用することができる。これらの配合量はローヤル
ゼリーに対し、3〜20重量%が望ましい。
乳化に際しては、高圧ホモゲナイザーあるいは超音波
乳化機などの剪断力の大きい乳化機を用いるのが好まし
い。この場合、前者では800〜1,000kg/cm2G以上の圧力
での処理、また後者では600W振動体を数個連接した装置
での処理が好適である。
このようにして得られる本発明の乳化組成物は、ロー
ヤルゼリーを高濃度に含み、かつ安定で長期間保存して
も分離が起こらず品質的に良好である。本乳化組成物
は、食品あるいは医薬等の製造に広く利用できる。しか
も、その使用に際しては、水などと単に混合するだけで
均一な溶液となり、強い攪拌やあらためて乳化処理する
などの操作は不要である。乳化組成物の使用例としては
各種の脂溶性ビタミン類(A,D,E)やオクタコサノー
ル,エイコサペンタエン酸(E.P.A),パルミトオレイ
ン酸等の高生理活性を有する脂溶性物質を配合した飲料
あるいはデザート類(例、各種ゼリー,プリン等)など
が挙げられる。
次に、本乳化組成物を飲料の製造に用いる場合につい
て説明する。
対象とする飲料等は、特に限定されるものではない
が、たとえば清涼飲料水(例、栄養飲料,スポーツ飲
料,果汁飲料など),乳飲料(例、乳酸菌飲料,コーヒ
ー牛乳,フルーツ牛乳)あるいは医薬ドリンク剤(例、
各種ビタミン,生薬エキス類配合の内服液)などがあげ
られる。本乳化組成物は、一般にローヤルゼリーとして
約0.01〜5重量%となるように用いられる。
本乳化組成物を上記の飲料等に配合する際は作業効率
上、あらかじめ高濃度のローヤルゼリーを含むように調
整したローヤルゼリー含有の乳化組成物を飲料等で希釈
して最終的にローヤルゼリーの配合量が所定濃度になる
ように調製する。混和時の温度については特に考慮する
必要はない。
実施例 次に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例1 生ローヤルゼリー10.0gと0.2%無水クエン酸溶液190g
を攪拌混合し、加熱しながら溶解したのち(pH3.3)、
液温が80℃になったところで超音波乳化機(日本精機
製)により600W−2分間の微粒化処理を施して均質な分
散液を得た。この分散液をろ過(けいそう土:Standard
Super Cel,吸引法)してローヤルゼリー5%を含有する
澄明な水溶液を得た。このローヤルゼリー中の各種成分
残存率を、99.5%エチルアルコールを用いて常法により
抽出して得られたものと比較して第1表に示す。
次に、第2表に示す原材料を配合したスポーツ飲料を
製し、その全量に前記の本発明のローヤルゼリー水溶液
の全量に合し、95℃で10秒間加熱殺菌したのち、直ちに
250g缶に分注、巻締してローヤルゼリー1%を含有する
スポーツ飲料を得た。このものを3ケ月間室温に放置し
たが、ローヤルゼリー成分の沈澱および分離は認められ
ず、ローヤルゼリーの分散安定性はきわめて良好であっ
た。
実施例2 生ローヤルゼリー10gと0.5%無水クエン酸溶液190gを
攪拌混合し、約80℃以上の温度で加熱しながら溶解した
のち(pH3.0)、液温が80℃になったところで高圧ホモ
ゲナイザー(GAULLIN社製)により600kg/cm2Gで2回の
回分微粒化処理を行ない均質分散液を得、ついでけいそ
う土(Standard Super Cel)ろ過処理を行なってローヤ
ルゼリー5%を含有する水溶液を得た。
次に、第3表に示す原材料を配合した栄養飲料を製
し、この全量に前記のローヤルゼリー水溶液の全量を合
し、95℃で30秒間加熱殺菌したのち、250g缶に分注、巻
標してローヤルゼリー1%を含有する栄養飲料を得た。
このものを3ケ月間室温に放置しても、ローヤルゼリー
成分の沈澱および分離は認められず、ローヤルゼリーの
分散安定性はきわめて良好であった。
実施例3 実施例1と同様の方法で得られたローヤルゼリー水溶
液200gに乳化剤としてデカグリセリンモノオレエート0.
5g、油脂として中鎖トリグリセリドとα−トコフェロー
ルを混合したもの0.5gを加えて超音波乳化機(日本精機
製作所製)を用いて600W−2分間の乳化処理を行ない、
ローヤルゼリーを含有する乳化組成物201gを得た。
次に、第4表に示す原材料を水に溶解して得た799gの
栄養飲料に、前記乳化組成物201gを混合し、95℃で30秒
間加熱殺菌後直ちに50mlの瓶に分注、キャッピングし、
ローヤルゼリー入り栄養飲料を得た。
この飲料を室温で3ケ月間および40℃で1ケ月間の保
存試験に付したところいずれもローヤルゼリー成分の沈
澱や相分離は認められず、その乳化安定性はきわめて良
好であった。
実施例4 実施例1と同様にして得られたローヤルゼリー水溶液
200gに、乳化剤としてヘキサグリセリンモノラウレート
0.5g,油脂としてパーム油0.5gを加えて超音波乳化機を
用いて600W−2分間の乳化処理を行ないローヤルゼリー
を含有する乳化組成物201gを得た。
次に、第5表に示す原材料を水に溶解して得た799gの
果実飲料に、前記乳化組成物を加え、加熱殺菌後100ml
の瓶に充填しローヤル入り果実飲料を得た。
これを実施例3と同様の試験に付したがいずれも分散
性は安定であった。
実施例5 実施例2に従って得られたローヤルゼリー水溶液200g
に乳化剤としてプロピレングリコール脂肪酸エステル1.
0g,油脂としてやし油1.0gを加えて超音波乳化機(日本
精機製作所製)を用いて600W−2分間の乳化処理を行な
いローヤルゼリーを含有する乳化組成物を得た。
次に、第6表に示す原材料を水に溶解して798gとした
液に、前記乳化物を加えよく混合し95℃で30秒間加熱殺
菌後、直ちに100mlの瓶に分注、キャッピングしローヤ
ルゼリー入りスポーツドリンクを得た。
これを実施例3と同様の試験に付したところいずれも
沈澱、分離は認められず乳化安定性はきわめて良好であ
った。
実施例6 実施例2に従って得られたローヤルゼリー水溶液200g
に乳化剤としてソルビタンモノステアレート0.5g,油脂
として中鎖トリグリセリド0.5gを加え超音波乳化機を用
いて600W−2分間の乳化処理を行ない、ローヤルゼリー
を含有する乳化組成物201gを得た。
発明の効果 本発明によると、ローヤルゼリーが0.05%以上も高濃
度に含有し、かつ澄明な水溶液が得られ、しかもこの水
溶液は長期間保存しても沈澱や分離などの現象が認めら
れず安定である。従って天然ローヤルゼリーに含まれる
有効成分を十分に活かし、しかも飲料等に利用した場
合、外観的に好ましいものが得られる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】pHが約2〜3.5のローヤルゼリー水分散液
    を約80℃以上で微粒子化処理に付して得られたローヤル
    ゼリー0.05重量%以上を含有する澄明なローヤルゼリー
    水溶液に、油脂および乳化剤を配合してなる乳化組成
    物。
  2. 【請求項2】請求項(1)の乳化組成物を含有してなる
    飲料。
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