JP2566209Y2 - 車両用灯具の漏光防止構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、レンズに固着されたフ
レキシブルなフックをランプハウジングの係合爪に係合
して、該レンズをランプハウジングに取り付けた車両用
灯具において、上記係合爪付近を通過する漏光を防止す
るための構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図２は、フレキシブルなフック（ランス
と呼ばれている）を用いてインナレンズをランプハウジ
ング１に取り付けた車両用灯具の従来例を示す断面図で
ある。図示の２は無色のアウタレンズで、その周囲に赤
色のレンズ３が２色成形法によって一体に成形されてい
る。上記無色のアウタレンズ２の内側に、橙色のインナ
レンズ４が配設されている。５は光源バルブである。前
記無色のアウタレンズ２の周囲には脚２ａが一体に成形
されており、この脚２ａはランプハウジングのシール溝
１ｂに挿入され、熱軟化性の接着剤であるホットメルト
６で接着されている。さらに橙色のインナレンズ４に固
着されたフレキシブルなフック（ランス）４ａが、ラン
プハウジング１に一体成形された係合爪１ａに係合され
ている。図３は、この種の車両用灯具におけるフレキシ
ブルなフック４ａと係合爪１ａとよりなるインナレンズ
（橙色のレンズ）取付構造付近の模式的な断面図であ
る。構造機能の理解に便なるごとく模式化して描いてあ
るので写実的な投影図ではない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】図３に示した従来例の
インナレンズ取付構造においては、この取付構造部分か
らの漏光を防止するよう、フレキシブルなフック（ラン
ス）４ａに遮光塗装７を施してあるが、矢印ａ方向の迷
光（制御されていない光）がランプハウジング１の内面
で矢印ｂのごとく反射し、さらに矢印ｃのごとく反射し
て漏光する。この漏光（矢印ｃ）は赤色のレンズ３を通
過するので赤色に着色され、有害である。図３について
見ると、上記矢印ｃの漏光は係合爪１ａによって遮られ
るはずと考えられるが、図４について次に述べるごと
く、係合爪１ａの両側（図３において紙面の奥、および
紙面の手前側）を通って漏光するのである。図４は前記
係合爪１ａ付近の模式的な斜視図である。ランプハウジ
ング１に係合爪１ａが一体に成形されている。この部分
を合成樹脂材料で射出成形するには矢印ｄ方向にスライ
ドするスライド型を設けなければならない。このため、
該スライド型（図示せず）に対応する切欠１ｃが生じ
る。この切欠１ｃを通って、前記係合爪１ａの両側を、
鎖線矢印ｃ，ｃ′のごとく、係合爪１ａの両側を通って
漏光が発生する。本考案において係合爪の両側とは、漏
光の光路方向に関して両側の意である。

【０００４】本考案は上述の事情に鑑みて為されたもの
であって、フレキシブルなフック（ランス）によってイ
ンナレンズを取り付けた車両用灯具において、該フック
に係合する爪の両側からの漏光を防止することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的（係合突起付
近からの漏光防止）を達成するため本考案に係る漏光防
止構造の構成は、レンズに固着されているフレキシブル
なフックを、ランプハウジングに固着された係合爪に係
合した車両用灯具であって、上記ランプハウジングの係
合爪付近に切欠が形成されているものにおいて、前記の
レンズには、前記の係合爪に向けて膨出するとともに上
記の切欠に嵌合するボックス状のリブが設けられている
ことを特徴とする。

【０００６】

【作用】上記の構成によれば、レンズを装着するための
係合爪の周辺に、該係合爪を成形するためのスライド型
のために切欠（ランプハウジングの切欠１ｃ）が有って
も、この切欠を通る光路が遮光用のボックス状リブによ
って遮られるので、漏光を発生する虞れが無い。

【０００７】

【実施例】図１（Ａ）は本考案の１実施例を示す模式的
な斜視図である。本実施例は図４に示した従来例に本考
案を適用して改良したものであって、図４におけると同
一の図面参照符号を付したものは前記従来例におけると
同様ないし類似の構成部分である。次に、本図１（Ａ）
が図４に比して異なる点、すなわち、本考案を適用して
改良した事項について説明する。鎖線で囲んで示したＥ
部が本考案の要部であって、橙色インナレンズ４のＥ部
付近の拡大斜視図を図１（Ｂ）に示す。本実施例の橙色
インナレンズ４には、図４に示した切欠１ｃに嵌合する
ボックス状のリブ４ｂが、合成樹脂材料で一体に成形さ
れている。さらに、この橙色インナレンズ４には、図４
に示した係合爪１ａと係合するフック４ｃが合成樹脂材
料で一体に成形されている。而して、図４について説明
したように、ランプハウジング１の切欠１ｃは、係合爪
１ａに対向する位置に形成される。従って、図１（Ｂ）
のフック４ｃとボックスリブ４ｂとは隣接ないし連設し
て配置されることになる。図１（Ａ）に示したように、
橙色インナレンズ４の係合爪１ａの周辺には遮光塗装７
が施されている。この遮光塗装７について図１（Ｂ）を
見ると、この図に描かれている部分であって図に現われ
ている面は総べて遮光塗装７を施された面である。この
ため、図１（Ｂ）に示した矢印ｃ″のごとく光が通過す
ることは許されない。しかし、熱せられた空気が矢印
ｆ，ｆ′のごとく流動することは許容される。上述の作
用により、図１（Ａ）の実施例において、例えば矢印ｇ
方向の光が矢印ｇ′のごとく通り抜けて赤色レンズ３が
発光しているように見える虞れが無い。そして、灯室内
の熱せられた空気が矢印ｆ″のごとく流動してレンズの
曇りを防止することができる。

【０００８】

【考案の効果】レンズに固着されているフレキシブルな
フックをランプハウジングの係合爪に係合する構造の車
両用灯具に本考案を適用すると、上記の係合爪の付近を
通過する漏光が未然に防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る車両用灯具の漏光防止構造の１実
施例を示し、（Ａ）は車両用灯具のレンズ取付部付近の
断面図、（Ｂ）はそのＥ部を抽出して描いた斜視図であ
る。

【図２】フレキシブルなフックによってレンズを装着し
た車両用灯具の従来例の断面図である。

【図３】従来例の車両用灯具における問題点（漏光を生
じること）を説明するための断面図である。

【図４】上記従来例において、係合爪の付近で漏光を発
生する状態を説明するための模式図である。

【符号の説明】

１…ランプハウジング、１ａ…係合爪、１ｂ…シール
溝、２…無色のアウタレンズ、２ａ…脚、３…赤色レン
ズ、４…橙色のインナレンズ、４ａ…フレキシブルなフ
ック、４ｂ…ボックス状のリブ、４ｃ…フック、５…光
源バルブ、６…ホットメルト、７…遮光塗装。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 レンズに固着されているフレキシブルな
   フックを、ランプハウジングに固着された係合爪に係合
   した車両用灯具であって、上記ランプハウジングの係合
   爪付近に切欠が形成されているものにおいて、 前記のレンズには、前記の係合爪に向けて膨出するとと
   もに上記の切欠に嵌合するボックス状のリブが設けられ
   ていることを特徴とする、車両用灯具の漏光防止構造。