JP2565958B2 - 方向継電器 - Google Patents

方向継電器

Info

Publication number
JP2565958B2
JP2565958B2 JP62319661A JP31966187A JP2565958B2 JP 2565958 B2 JP2565958 B2 JP 2565958B2 JP 62319661 A JP62319661 A JP 62319661A JP 31966187 A JP31966187 A JP 31966187A JP 2565958 B2 JP2565958 B2 JP 2565958B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
accident
negative
current
equation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62319661A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01164222A (ja
Inventor
彰 ▲吉▼田
隆文 前田
公二 五十嵐
文郎 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Engineering Corp
Toshiba Corp
Tokyo Electric Power Co Holdings Inc
Original Assignee
Toshiba Engineering Corp
Toshiba Corp
Tokyo Electric Power Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Engineering Corp, Toshiba Corp, Tokyo Electric Power Co Inc filed Critical Toshiba Engineering Corp
Priority to JP62319661A priority Critical patent/JP2565958B2/ja
Publication of JPH01164222A publication Critical patent/JPH01164222A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2565958B2 publication Critical patent/JP2565958B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Emergency Protection Circuit Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔本発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、3相電力系統の逆相電圧および逆相電流を
用いて、地絡または短絡の事故点の方向を識別する方向
継電器に関する。
(従来の技術) 3相電力系統に生じた不平衡事故すなわち1相地絡、
2相地絡および2相短絡事故の方向を識別するための方
向継電器として、逆送電圧V2および逆相電流I2を用いる
ものが知られている。このものは、常時の負荷状態では
負荷電流中の逆相分が少いため、不平衡事故の方向を高
感度に識別し得るものとして知られている。逆相電圧V2
および逆相電流I2を用いる方向継電器(以下逆相方向継
電器という)の公知のもの以下に説明する。
公知の逆相方向継電器の第1のもの(公知例1と称
す)は逆相電圧V2および逆相電流I1の位相関係に応動す
るものである。このものは一般に動作条件を次式とす
る。
−|I2|cos(φ−θ)>K1 ……(1) 但し、I2は逆相電流を複素数で表わした値、φはV2
I2より進む角度、θは一定角度、K1は正の定数である。
公知の逆相方向継電器の第2のもの(公知例2と称
す)は特公昭49−25588号に示されるもので、逆相電圧V
2の逆相電流I2の比V2/I2に応動する距離継電器を用いる
ものである。このもので最も代表的なものは次式を動作
条件とする。
−|V2I2|cos(φ−θ)+K2I2 2>K1 ……(2) 但し、V2は逆相電圧を複素数で表わした値、K2は正の
定数である。
(2)式はV2/I2の比に応動するリアクタンス形距離継
電器の動作条件式であり、逆相電流I2の大きさが零でな
いとすると次式に変形される。
以上の公知例のものは、通常の場合はいずれも不平衡
事故の方向を識別する。これを図面を用いて説明する。
第5図は不平衡事故時の対称分等価回路である。図で
C1は正相および零相回路を一括して示す正零相回路、C2
は逆相回路、T1〜T5は端子、ZBおよびZFはインピーダン
スである。
逆相回路C2で、端子T5は継電器設置端子である。V2
よびI2はこの端子T5の逆相電圧および逆相電流であり、
矢印方向を正とする。継電器は図示の電流I2の矢印方向
(以下前方と呼ぶ)の事故で動作し、矢印と反対方向
(以下後方と呼ぶ)の事故では不動作でなければならな
い。
前方事故の最は、逆相回路C2は端子T3のような前方部
分から正零相回路C1に接続される。逆相回路に電圧およ
び電流を供給する電源は正零相回路C1にある。したがっ
て端子T5の逆相電圧V2および逆相電流I2の関係は次式で
示される。
V2=−I2ZB ……(4) 後方事故の際は、逆相回路C2は端子T4のような後方部
分から正零回路C1に接続される。このため、端子T5では
次式の条件が成立する。
V2=I2ZF ……(5) 前方事故の場合、逆相電圧V2がI2より進む角度φは、
(4)式の関係から180゜+θ(但しθはZBの角
度)である。後方事故の場合は(5)式の関係から角度
φはθ(但しθはZFの角度)である。逆相インピー
ダスの角度は系統の各部でそれぞれ90゜弱のほぼ一様の
角度であるため、角度θおよびθも90゜弱でありほ
ぼ等しい。
前述の一定角度θをこのほぼ等しい角度θおよびθ
にほぼ等しく選ぶと、事故点が前方の場合次の関係が
成立する。
φ=180゜+θ≒180゜+θ ……(6) また、後方事故の場合は次の関係が成立する。
φ=θ≒θ ……(7) 公知例1の継電器は、前方事故では(6)式の関係か
ら(1)式の左辺が正となるため、逆相電流I2の値が十
分な値であれば動作する。また後方事故では、(7)式
の関係から(1)式の左辺が負となるため動作しない。
公知例2の継電器では、前方事故では(6)式の関係
から(3)式の左辺が負となるため、逆相電流I2の大き
さが十分大きく、K1がI2 2に対して無視できれば確実に
動作する。後方事故では(3)式の関係から、cos(φ
−θ)≒1であり、また(5)式の関係から|V2/I2|は|
ZF|に等しいのでK2<|ZF|としておけば確実に不動作と
なる。
以上のように各公知例の継電器は、通常の事故の場
合、不平衡事故の事故点方向を識別する。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、前方事故でも事故による逆相電圧V2および逆
相電流I2の値が小さい場合は動作し得なくなる。一般に
前方保護範囲内の事故では、不平衡事故時の逆相電流I2
が著しく小さいことはないが、逆相電圧V2は著しく小さ
い場合がある。すなわち、第5図で前方事故点T3がかな
りの遠方であり、事故点端子T3から端子T5までの逆相イ
ンピーダンスが大きく、且つ逆相インピーダンスZBが小
さい場合は、逆相電圧V2が著しく小さくなる。継電器が
長距離送電線の保護に用いられる場合、保護範囲内事故
でも遠方事故の場合は事故による逆相電圧V2の値が小さ
く、定格電圧の1%程度の場合もある。
一方、電力系統では常時運転中でも、各等の不平衡に
より若干の逆相電圧V2および逆相電流I2を生じており、
また計器用変成器や継電器の入力回路の各相の不平衡で
も若干の逆相電圧V2および逆相電流I2を生ずる。このよ
うな原因による誤差分逆相電圧は定格電圧の2%程度に
達する場合がある。
事故中の逆相電圧V2および逆相電流I2は、前記の常時
運転中に存在する誤差分と事故により生ずる事故分の和
となり次式で表わされる。
V2=V2f+V2e ……(8) I2=I2f+I2e ……(9) 但し、V2fおよびI2fは各々事故分の逆相電圧および逆
相電流 V2eおよびI2eは各々誤差分の逆相電圧および逆相電流 長距離送電線保護の場合、保護範囲内事故では事故分
逆相電流I2fは誤差分逆相電流I2eより十分に大きいが、
事故分逆相電圧V2fは誤差分逆相電圧V2eより小さくなる
場合がある。
事故分逆相電圧V2fが誤差分逆相電圧V2eより小さい場
合、(8)式で表わされる事故中逆相電圧V2は事故分逆
相電圧V2fと逆位相となる場合がある。このような場
合、公知例1の継電器は、保護範囲内事故では(1)式
の左辺が正であるべきであるにも拘らず負になって動作
し得ない不都合を生じる。
公知例2の継電器はこのような問題を解決する。すな
わち第5図の前方の逆相インピーダンスZFは保護範囲の
送電線のインピーダンスとそれより更に遠方のインピー
ダンスの和である。したがって長距離送電線保護の場合
はZFの値が大きく、(2)式の定数K2はK2<|ZF|に整定
するので、定数K2の値が大きな値となる。このため、事
故中逆相電圧V2が事故分逆相電圧V2fと逆位相となり、
(3)式の左辺が正になるようなことがあっても、この
ような場合の逆相電圧V2の値は小さく且つ逆相電流I2
値は大きいので、(3)式が成立し動作する。
なお、公知例2の継電器は、通常逆相過電流継電器と
組み合わされ、逆相電流I2が大きいときのみ動作を有効
とするようになっている。このため長距離送電線保護で
インピーダンスZFが大きい場合、後方事故で逆相電流I2
が大きいときは(5)式の関係から逆相電圧V2も大きい
ので、誤差分逆相電圧V2eの影響は僅かである。
以上のように公知例2の継電器は長距離送電線にも適
用し得るものであるが、適用条件によっては不具合な場
合がある。その1つの例は各端子送電線の保護の場合で
ある。これを3端子送電線について説明する。
第6図は3端子送電線保護の場合の逆相等価回路であ
る。図で、ZBおよびZF1〜ZF5は逆相インピーダンス、T5
〜T7は端子である。継電器は端子T5に設置され、端子T5
〜T7で囲まれる範囲を保護範囲とする。
図の場合、送電線分岐点Jから端子T7までの距離が長
いためインピーダンスZF4が大きく、分岐点Jから端子T
6およびT5までの距離が短いためインピーダンスZF1およ
びZF2が小さい場合がある。このような場合、更にイン
ピーダンスZBおよびZF3が小さいと公知例2の継電器で
も適用が困難となる場合がある。
すなわち、後方事故(ZBの方向の事故)の場合、
(5)式のZFとなり、ZF1〜ZF3が小さいため、ZFが小さくなり(2)
式のK2を大きくできない(K2<|ZF|)。一方、前方事故
が端子T7付近で起こると、インピーダンスZF4が大きく
且つZBが小さいため、事故分逆相電圧V2fは大きくなら
ない。したがって誤差分逆相電圧V2eにより(8)式の
逆相電圧V2が事故分逆相電圧V2fと逆位相となり(3)
式の左辺が正となるような場合、左辺の定数K2の値が小
さいので動作の確実の期し難い不具合を生ずる。
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、動作条件
を後方事故で確実に不動作を保証し得る限度のものと
し、前方事故でより高感度に動作し得る方向継電器を提
供することを目的としている。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段) 本発明の第1は逆相電流I2および逆相電圧V2に応動
し、動作条件を次式とする逆相方向継電器である。
−|V2|cos(φ−θ)+K2|I2|>K1 ……(11) 継電器の入力電流および電圧あ、例えば送電線端子の
逆相電流および逆相電圧、または同一母線に接続される
複数の端子の逆相電流の和および該母線の逆相電圧など
とする。
本発明の第2は平行2回線電線の第1および第2の回
線の各々の逆相電流I2およびI2′ならびに第1の回線の
端子の逆相電圧V2に応動し、動作条件を次式とする逆相
方向継電器である。
−|V2|cos(φ−θ)+K2|I2|cosα>K1 ……(12) 但しαはI2がI2+I2′より進む角度である。
送電線端子が逆相電圧V2は、その端子に設けられる遮
断器の線路側または母線側もしくは送電線端子が接続さ
れる母線より取得される。
(作用) 第1の発明についてその作用を図面を用いて説明す
る。第7図は誤差を考慮した場合の事故時の逆相電圧の
有効成分|V2|cos(φ−θ)と逆相電流の大きさ|I2|
(以下両者を一括して両駆動量という)の関係を示す図
である。
後方事故時に於て、誤差を無視した場合の両駆動量の
値は直線(イ)より矢印方向にある。すなわち、後方事
故時の事故分の逆相電圧V2および逆相電流I2の関係は
(5)式より次式で示される。
逆相電圧V2は逆相電流I2より角度θだけ進みであ
り、(7)式の関係から次式が得られる。
インピーダンスZFは系統の運転状態によって変化する
が、ZFの最小値が与えられると、このときの両駆動量の
関係が直線(イ)で示される。ZFの値がこの最小値より
大きいときは両入力量の関係はこの直線(イ)より矢印
方向にプロットされる。
前方保護範囲内の事故で、誤差を無視した場合の両駆
動量の関係の例が直線(ロ)および(ハ)で示される。
すなわち、前方事故時の事故分の逆相電圧V2および逆相
電流I2の関係は(4)式より次式で示される。
逆相電圧V2は逆相電流I2より角度(180゜+θ)だ
け進みであり、(6)式の関係から次式が得られる。
直線(ロ)および(ハ)は、各々インピーダンスZB
値が最小値および最大値に保たれ、且つ事故点が保護範
囲内の任意の点にある場合の両駆動量の関係を示す。前
方保護範囲以遠の事故を考えると、直線(ロ)および
(ハ)はいずれも、点(ニ)および(ホ)より更に原点
に向って延長され、無限遠の事故では原点に到達する。
しかし、保護範囲内の事故のみを対象とする場合は、イ
ンピーダンスZBの値ごとに両駆動量の最小値が定まり、
各直線の点(ニ)および(ホ)より原点に近い部分が除
かれる。
後方事故に関して、誤差を考慮すると両駆動量の関係
が存在する範囲は折線(ヘ)より斜線方向に拡大され
る。折線(ヘ)は図示のように原点より横軸負方向にYv
縦軸正方向にYiの距離にある点(ト)より右上方向への
直線(イ)と平行な部分と、点(ト)より下方向への横
軸垂直部分とよりなる。(但しYvおよびYiは各々誤差分
逆相電圧V2eおよび誤差分逆相電圧I2eの大きさの最大値
である。) すなわち誤差分の各導入量(逆相電圧および逆相電流
I2を一括して導入量と言う)V2eおよびI2eは電力系統の
常時運転中に存在するもので種種の位相角となり得る。
また、事故分の各導入量V2fおよびI2fの位相各も事故相
や事故種類に応じて変化する。したがって、事故分およ
び誤差分の各導入量の位相関係が最悪の状態で加算され
る場合を考える必要があり、後方事故時の両駆動量の関
係の限界は誤差により直線(イ)から折線(ヘ)に移
る。
前方事故で、誤差を無視した場合の両駆動量の関係が
点(ニ)および(ホ)の場合について、誤差を考慮する
と両駆動量の関係は各々斜線範囲(チ)および(リ)と
なる。点(ニ)および(ホ)は誤差を無視したときの各
駆動力の関係が各々直線(ロ)および(ハ)示される運
転状態にあるとき、保護範囲内事故で継荷器が最も動作
しにくい状態となる場合を示すものであり、これに誤差
を考慮した範囲(チ)および(ホ)で確実に動作するこ
とを継電器は要請される。
以上の両駆動量の関係に対して第1の発明の継電器が
どのように応動するかを第8図を用いて説明する。図で
第7図と同一部分は同一記号を用いて示す。直線
(ヌ)、折線(ル)および曲線(オ)は各々本発明の
(12)式、公知例の(1)式および(2)式を動作条件
とし、後方事故時の範囲(ヘ)でぎりぎり不動作にした
場合の動作特性を示す。
本発明の特性(ヌ)は後方事故時の範囲(ヘ)以外の
範囲の殆どすべてを動作範囲とするものであり、後方事
故時の不動作を条件としたとき最も高感度に前方事故を
検出し得る。これにより図示の保護範囲前方事故の範囲
(チ)および(リ)のすべてで動作し得る。
これに対して公知例1の特性(ル)および公知例2の
特性(オ)は範囲(ヘ)以外の範囲にもかなりの不動作
範囲があり、特性(ヌ)に対して前方事故を検出する感
度が低い。図示の例では両特性とも範囲(チ)および
(リ)の一部の事故で動作し得ない。
以上のように第1の発明の継電器は、誤差分の逆相電
圧および逆相電流を考慮したとき、後方事故での不動作
を条件とした場合に前方事故を最も高感度に検出し得る
利点を有するものである。
次の第2の発明を図面を用いて説明する。第9図は平
行2回線送電系統を示す単線図である。電源P1およびP2
の間に平行送電線LおよびL′がある。方向継電器は送
電線Lの端子T8の逆相電流I2および逆相電圧V2ならびに
送電線L′の逆相電流I2′を導入量とし、逆相電流I2
より事故点が端子8からどの方向にあるかを判別する。
逆相電流I2とI2′の和I2+I2′は図示の部分に流れる電
流として表わされる。F1〜F5は事故時の現象を説明する
ための事故点である。
継電器の応動を、端子T8より送電線Lの方向を前方と
して説明する。後方の事故点F1の事故および前方の事故
点F3の場合は、逆相電流I2と逆相電流和I2+I2′の関係
は、送電線LおよびL′の両者が運転されているとき、 送電線Lの運転されているとき I2=I2+I2′ ……(18) である。これらの関係から逆相電流I2と逆相電流和I2
I2′は同位相であり、(12)式のcosαは1である。こ
の条件で(12)式と(11)式は等しい。
送電線Lの事故点F2の場合は、送電線Lを経由して事
故点F2に向って事故電流が流れる。この事故電流は電源
P1およびP2より供給される。したがって逆相電流I2と電
流和I2+I2′は同位相であり、(12)式のcosαは1と
なり、(12)式は(11)式と等しい。
送電線L′の事故点F4およびF5の場合は、電源P1およ
びP2より送電線L′を経由して事故点に向って事故電流
が流れる。事故点F5は電源P2の側に近いため、事故点F5
の事故では送電線Lでは事故電流は電源P1の側より電源
P2の側に向う。この条件では逆相電流I2と電流和I2
I2′は同位相であり、したがってcosαが1となり(1
2)式は(11)式と等しい。
事故点F4の事故では、この事故点は電源P1の側に近い
ため、送電線Lでは事故電流は電源P2の側から電源P1
側に向う。この条件では、逆相電流I2と電流和I2+I2
の間には180゜の位相差があり、(12)式のcosαは−1
となる。したがって、(12)式は −|V2|cos(φ−θ)+K2|I2|>K1 ……(19) となり、(11)式より動作しにくい条件となる。
事故点F5の事故のように、事故電流が送電線Lを電源
P2の側より電源P1の側に流れる事故は、後方事故であ
る。したがって(19)式のようにより不動作側となるこ
とは、隣り回線L′に生じた後方事故での不動作をより
確実にするものである。
以上のように、第2の本発明は、隣り回線事故のうち
の後方事故での不動作をより確実にする以外は、第1の
発明と全く同様に作用するものであり、第1の発明と同
様の効果を有するものである。
(第1の実施例) 第1の発明に関して、第1の実施例を図面を用いて説
明する。第1図は第1の実施例のハードウェアの構成を
示す図である。図で1はデータ取得器、2は処理装置で
ある。3相交流電力系統のa,b,c各相の電流Ia,Ibおよび
Icならびに電圧Va,VbおよびVcがデータ取得器1に加え
られる。データ取得器1は、これらの電流および電圧の
瞬時値を同時刻に予定周期でサンプルし、デジタルデー
タDmに変換して処理装置2に送る。処理装置2は送られ
たデータDmを用いて演算処理を行ない、処理結果が動作
条件にあれば 出力信号OPを出力する。この出力信号OP
は処理装置2の外部への信号出力として取り出される場
合もあり、また処理装置2の内部で用いられ、他の処理
結果と組合わされた処理結果が外部に取り出される場合
もある。
データ取得器1および処理装置2は、通常のデジタル
形継電器に用いられるものと同様であるので、簡単のた
め詳細な説明を省略する。
処理装置2に於ける処理内容を図面を用いて説明す
る。第2図はその処理内容を示すフロー図である。以下
特記しない限りすべてをサンプル周期が電力系統周波数
の周期の1/12の場合すなわちサンプル間隔が電気角で60
゜前の場合について説明する。
処理が開始されると先ず処理3で、データ取得器1で
得られたデータDmを取得し記憶する。次いで処理の逆相
データ算出処理で逆相電流I2および逆相電圧V2の各々の
データi2mおよびv2mを作成する。更に処理5で判定演算
を行ない、動作条件にあれば処理結果をYとし、動作条
件になければ処理結果をNとする。処理5の処理結果が
Yであれば処理6で出力信号Opを出力した後、処理7で
データ書替え処理を行なう。処理5の処理結果がNであ
れば、処理6がバイパスされる。処理7が終わると処理
3に戻り前記の処理を繰り返す。
次に各処理の詳細を説明する。処理3で取得されるデ
ータDmは3相の各相の電流Ia,IbおよびIcならびに電圧V
a,VbおよびVcの各々のデータiam,ibm,icm,vam,vbmおよ
びvcmより構成され、これらのデータがすべて取得され
る。
処理7では前記のデータDmおよび逆相電流および逆相
電圧の各々のデータi2mおよびv2mが次式のように書換え
られる。
すなわち、データDmの各データはDm-1として記憶さ
れ、データDm-1の各データはDm-2として記憶される。以
下、順送りにされ、データDm-12が棄却される。逆相電
流データi2m〜i2m-12および逆相電圧データv2m-12も同
様に処理される。
処理4での逆相電流・電圧データi2mおよびv2mの算出
処理の例を次式に示す。
処理5は(11)式の判定を行なう処理であり、この処
理では例えば(11)式を次式に変換して処理する。
−|V2I2|cos(φ−θ)+K2I2 2>K1|I2| ……(23) (23)式は(11)式の各項に|I2|を乗じた式であり、
判定条件は(11)式と等しい。(23)式の各項は例えば
次のようにして算出される。
|V2I2|cos(φ−θ)=(v2m-3・i2m−v2m・i2m-3) …
…(24) I2 2=i2m 2+i2m-3 2 ……(25) 上記で(24)式はθ=90゜とした場合の処理である。
これらの処理を説明する。(21)式で、データiam
よびibmがサンプルされた時刻を時刻mとし、データi
bm-2およびicm-2がサンプルされた時刻を時刻m−2と
すると、時刻m−2は時刻mより電気角で60゜前であ
る。したがって、データiamおよびibmが各々電流Iaおよ
びIbを時刻mにサンプルした値であるのに対して、デー
タibm-2およびicm-2は各々電流IbおよびIcを60゜遅られ
た電流 (以下同様の記号で示す)を時刻mにサンプルした値に
等しい。
この関係から(21)式のデータi2mは次のように表わ
される。
(27)式の右辺で対称分との間に次の関係がある。
但し、I1およびI2は各々a相基準の正相電流および逆
相電流である。また は位相角を だけ進めることを意味し、例えば はI2を120゜進めたものである。
(28)式の関係からデータi2mは次のようになる。
i2m=I2の時刻mでのサンプル値 ……(29) 電圧についても電流の関係があり、データv2mは次の
ようになる。
v2m=V2の時刻mでのサンプル値 ……(30) (29)および(30)式のデータi2mおよびv2mが(20)
式のように書換え処理される。書き換えられた各データ
をi2m-nおよびv2m-nで表わすと、データi2m-nおよびv
2m-nは各々データi2mおよびv2mよりnサンプルすなわち
n×30゜前の逆相電流I2および逆相電圧V2のサンプルデ
ータとなる。
次に(24)式を説明する。逆相電流I2および逆相電圧
V2の各サンプルデータi2m-nおよびv2m-nは次式で表わさ
れる。
i2m-n=|I2|sin(α−n30゜) v2m-n=|V2|sin(α+φ−n30゜) ……(31) 但しαはサンプル時刻で定まる角度 (31)式の関係から(24)式の各項は次のようにな
る。
(32)および(33)式の関係から(24)式が得られ
る。
(25)および(26)式については、電気学会大学講座
保護継電工学、昭和56年7月20日発行初版(以下参考文
献1と称す)の112頁第6.2表で説明されているので簡単
のため説明を省略する。
以上のように本実施例は第1図のハードウェア構成と
第2図の処理フローを用い、一定角度θを90゜として処
理(23)を行ない、(11)式に応動する出力信号を生じ
させるものである。
(第2の実施例) 第2の実施例は(24)式の処理を次式とするほかは第
1の実施例と全く同様のものである。
|V2I2|cos(φ−θ)=v2m′i2m+v′2m-3i2m-3 ……
(34) この式で、v′2mおよびv′2m-3は次式で算出され
る。
v′2m=v2m-3sinθ+v2mcosθ ……(35) v′2m-3=−v2msinθ+v2m-3cosθ ……(36) (35)式で、 v2m-3=V2∠90゜の時刻mでのサンプル値 ……(37) (30)および(37)式の関係から(35)式は次のよう
になる。
v2m′=(sinθV2∠90゜+cosθV2)の時刻mでのサンプル値=V2∠θの時刻m
でのサンプル値 ……(38) (36)式で−v2mはv2m-6に等しいので、同様の関係か
ら v2m-3′=V2∠θの時刻m−3でのサンプル値 ……(3
9) となる。
したがって、 V2′=V2∠θ ……(40) で表わすと、 |V2′I2|cos(φ−θ)=|V2′I2|cosφ ……(41) となり、参考文献1の前記第6.2表より明らかなよう
に、 |V2′I2|cosφ=v′2mi2m+v′2m-3i2m-3 ……(42) であるので、(35)および(36)式の算出値を用いて、
(34)式の右辺の演算を行なうことにより、左辺の値を
算出し得る。
以上のように本実施例により一定角度θを任意の角度
として、(11)式に応動する方向継電器を得ることがで
きる。
なお、(21),(22),(24),(25)および(26)
式の算出手段は上記で述べたものの他に種々の手段があ
り、他の手段を用いて同様に実施し得るものである。
(第3の実施例) 第3の実施例は、(23)式の処理を次式とするほかは
第1または第2の実施例と同様のものである。
この処理は、(11)式の|V2|cos(φ−θ)を算出す
る手段として|V2I2|cos(φ−θ)/|I2|を用いるほか
は、(11)式と等しい。|V2I2|cos(φ−θ)および|I2
|の値は第1または第2の実施例と同様に算出され、(1
1)式に応動する出力信号を得ることができる。
以上のように、(11)式の条件を得る手段は(23)式
に限定されることなく種々変形実施し得るものである。
(第4の実施例) 第4の実施例は逆相電流I2を電力系統の複数の端子の
逆相電流の和とするものであり、他は第1〜第3の実施
例と同様のものである。これを図面を用いて説明する。
第3図は本実施例を説明するための電力系統単線図で
ある。図で、B1〜B5は母線、D1〜D7は遮断器、L1および
L2は送電線、CT1およびCT2は変流器、VTは計器用変圧器
である。変流器CT1およびCT2は各々並列接続され、各相
の二次電流の和Ia,IbおよびIcならびに計器用変圧器VT
の各相の電圧Va,VbおよびVcが第1図の継電器のデータ
取得器1に供給される。
処理を含む他の部分は第1〜第3の実施例と同様であ
り、(11)式に応動する出力信号が得られる。
本実施例は逆相電流I2が複数端子の逆相電流の和であ
るほかは第1〜第3の実施例と全く同様に作用し送電線
L1およびL2ならびに母線B1の方向の事故を高感度に検出
する。
以上のように本発明は複数端子の逆相電流の和をI2
して、適用することができ、同様の効果を有するもので
ある。
なお、第3図の変流器CT1およびCT2の二次回路を並列
接続することなく、各々の二次電流をデータ取得器に個
別にとりこみ、サンプル値をデジタルデータに変換した
後に加算するようにしても、複数端子の逆相電流の和I2
のデータが得られることは勿論である。
(第5の実施例) 第5の実施例は第2の発明に対するものである。これ
を図面を用いて説明する。第4図は本実施例のハードウ
ェアの構成を示す図で、第1図と同一部分は同一記号で
示される。8はデータ取得器である。
データ取得器8には平行2回戦送電線の第1の回線L
の端子の各相電流Ia,IbおよびIcならびに各相の電圧Va,
VbおよびVcと、第2の回線L′の端子の各相電流Ia′,I
b′およびIc′が供給される。各相の電圧Va,VbおよびVc
は送電線に隣接する母線など、送電線端子とほぼ同一電
圧となるところから送電線Lの端子の電圧として供給さ
れる場合もある。
これらの電流および電圧は第1図の場合と同様にサン
プルされてデジタルデータDmに変換され、処理装置2で
処理される。
処理装置2での処理を説明する。処理フローは第1の
実施例と同様に第2図で示される。しかし、各処理の内
容が異なる。これを説明する。処理3で取得されるデー
タDmには第1の実施例で取得されるデータiam,ibm,icm,
vam,vbmおよびvcmのほかに、送電L′の電流ia′,ib
およびic′の各々のデータi′am,i′bmおよびi′cm
取得される。
処理7では、(20)式の書き換えのほかに次式の書き
換えが追加される。
i″2m→i″2m-1,i″2m-1→i″2m-2,…i″2m-11→i″2m-12i″2m-12→棄却
……(44) 但し、データi″2mは(45)式に示される。
処理4の逆相データ算出処理では、第1の実施例のデ
ータi2mおよびv2mのほかに、次式のデータi″2mを算出
する。
i″2m=i2m+i′2m ……(45) (46)式は(21)式と同様の式であり、i′2mは回線
L′のa相基準の逆相電流I2′の時刻mにおけるサンプ
ル値である。また、(45)式のデータi″2mは回線Lお
よびL′のa相基準の逆相電流I2とI′の和I2+I′
の時刻mにおけるサンプル値である。
処理5は(12)式の判定を行なう処理であり、この処
理では例えば(12)式を次式に変換して処理する。
(47)式で左辺第1項の|V2I2|cos(φ−θ)および|
I2|は、第1の実施例の場合と同様に例えば各々(24)
式および(26)式で算出される。また、左辺第2項の分
母および分子は、例えば各々次式で算出される。
|I2(I2+I′)|cosα=i2mi″2m+i2m-3i″2m-3
…(49) (48)および(49)式は、前記参考文献1の第6.2表
に説明されているので簡単のため説明を省略する。
以上のように本実施例は(12)式に応動する出力信号
を生ずるものである。
〔発明の効果〕
本発明によれば、逆相電圧V2および逆相電流I2を用い
て事故点の方向を判定する方向継電器において、従来装
置に対して十分に高感度の保護を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例のハードウェアの構成を示す
図、第2図は本発明の一実施例のソフトウェアの構成を
示す図、第3図は逆相電流が複数端子の逆相電流の和と
する場合を説明する電力系統単線図、第4図は平行2回
線送電線に適用した場合を説明するハードウェアの構成
を示す図、第5図は不平衡事故時の対称分等価回路を示
す図、第6図は3端子送電線系統の逆相等価回路を示す
図、第7図は誤差を考慮した場合の事故時の逆相電圧の
有効成分と逆相電流の大きさの関係を示す図、第8図は
本発明の継電器の応動を説明するための特性図、第9図
は平行2回線送電系統に適用する場合の動作を説明する
単線図である。 1……データ取得器、2……処理装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 隆文 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東京電力株式会社内 (72)発明者 五十嵐 公二 東京都府中市東芝町1 株式会社東芝府 中工場内 (72)発明者 安藤 文郎 東京都港区西新橋1丁目18番17号 東芝 エンジニアリング株式会社内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】3相交流電力系の逆相電圧及び逆相電流を
    用いて事故点方向を判別する方向継電器において、下記
    式を動作条件とすることを特徴とする方向継電器。 −|V2|cos(φ−θ)+K2|I2|>K1 但し、V2,I2:逆相電圧および逆相電流を複素数で表わし
    た値 φ:V2がI2より進む位相角 θ:一定位相角 K1,K2:正の定数
  2. 【請求項2】3相交流電力系の逆相電圧及び逆相電流を
    用いて事故点方向を判別する方向継電器において、下記
    式を動作条件とすることを特徴とする方向継電器。 −|V2|cos(φ−θ)+K2|I2|cosα>K1 但し、V2,I2:平行2回線送電線の第1の回線の逆相電圧
    および逆相電流を複素数で表わした値 I′2:第2の回線の逆相電流 α:逆相電流I2が逆相電流の和I2+I2′より進む角 φ:V2がI2より進む位相角 θ:一定位相角 K1,K2:正の定数
JP62319661A 1987-12-17 1987-12-17 方向継電器 Expired - Lifetime JP2565958B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62319661A JP2565958B2 (ja) 1987-12-17 1987-12-17 方向継電器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62319661A JP2565958B2 (ja) 1987-12-17 1987-12-17 方向継電器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01164222A JPH01164222A (ja) 1989-06-28
JP2565958B2 true JP2565958B2 (ja) 1996-12-18

Family

ID=18112789

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62319661A Expired - Lifetime JP2565958B2 (ja) 1987-12-17 1987-12-17 方向継電器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2565958B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01164222A (ja) 1989-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4342064A (en) Static distance relays with improved polarizing signal
JP2000074978A (ja) 平行2回線送電線における故障点標定装置
JP2565958B2 (ja) 方向継電器
US5325061A (en) Computationally-efficient distance relay for power transmission lines
JP3628143B2 (ja) 地絡距離継電器
JPS6019492Y2 (ja) 地絡距離継電器
RU2066511C1 (ru) Дистанционный способ защиты и автоматики линии электропередачи
JPH0373825B2 (ja)
JP2984294B2 (ja) 3端子平行2回線送電線の短絡故障点標定方法
JPH10132890A (ja) 故障点標定方法および装置
JP2737357B2 (ja) 三相電子的負荷装置
JP2723286B2 (ja) 地絡検出装置
JPH08122395A (ja) 多端子系送電線における故障点標定方法
JP2997525B2 (ja) 断線・欠相検出装置
JP3773020B2 (ja) 多端子電気量を用いた故障点標定方法
JPH11178199A (ja) 距離継電器
JP2577364B2 (ja) 1線地絡事故検出リレ−方式
SU1663682A1 (ru) Устройство дл определени повреждени фазы
JP2642349B2 (ja) 送電線保護継電装置
JP2733397B2 (ja) 電流補償付不足電圧リレー装置
JP2600682B2 (ja) 地絡保護継電装置
JPH02116763A (ja) 故障点標定装置
JPH0634023B2 (ja) 平行2回線地絡故障点標定方式
JPH0572237A (ja) 交流電気量検出装置
JPS61135323A (ja) デイジタル形一線地絡検出リレ−

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081003

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081003

Year of fee payment: 12